体験版・ブルジョア気分でセックスしたい

 照山秋絵は福岡県福岡市南区井尻に住む、二十八才の主婦だ。人口百五十万人を突破した福岡市は、全国で六番目に人口が多いところ。照山秋絵は福岡市の生まれ育ち、夫の照山幸次郎も同じだ。
照山秋絵の身長は158センチ、B86 W59 H89となかなかの身体であるけれど、顔は美人と言うより知的な印象を与える。
それもそのはず、秋絵は九州大学文学部国文学科を出た才媛で福岡市内の不動産会社に勤務した後、夫の幸次郎と結婚した。
夫の幸次郎は身長178センチと高く、やせ型で出身大学も秋絵と同じ九州大学で経済学部の卒業、二人は同い歳で学生時代には同棲していた。
秋絵の実家は福岡市内にあるけれども、東区にある九州大学には遠いため、大学のある箱崎という町に1LDKの広い部屋を娘に借りてやった。
大型冷蔵庫まで備え付けてやった父親の配慮は、幸次郎との生活に大いに役立った。大学四年の夏に同凄を始めた。出会いは、その年の春に大学正門を抜け出た秋絵に後ろから幸次郎が声をかけたのだ。幸次郎は秋絵の大きな尻がぷるんぷるんと左右に揺れるのを見て、胸に込み上げるものを感じた、追いすがると幸次郎は、
「ちょっと、君。いいかな?」
「えっ、なんですか。」
振り返って立ち止まった秋絵の顔は美人ではなかったけども、幸次郎の視線は秋絵の胸に移動すると、その豊かな膨らみを認めて合格点を心の中で与えた。
「この近くで、お茶でも飲もうよ。」
「いいわよ。」
幸次郎の実直そうな顔はハンサムでなかったため、秋絵は安心したのである。つまり軽いナンパではないと、値踏みした。
秋絵のような知的レベルが高い女性に限らず、ハンサムな男性は女性は敬遠する。結婚するのにいやな男性の一番目は
女癖の悪い男
だそうだ。幸次郎は、
「じゃあ、連れて行くよ。」
と秋絵を誘導した。個室喫茶みたいなその店は、周囲を気にせずに話せるのがいい。
幸次郎は目の前に座った秋絵が大きく足を開いたので、白いパンティが眼に留まったが、すぐに秋絵は足を戻した。
幸次郎の口の中に唾液が出てきた。二十一歳の女性が持つ香りみたいなものを彼は、鼻一杯吸い込んだ。すると、股間のイチモツが少し反応してしまった。でもまず、会話をしなければ・・・
「君、頭がよさそうだね。」
と口火を切ると、秋絵は平然と、
「そうかなあ。文学部だから想像力の方が優先されると思う。」
「文学部ねー。ぼくは経済学部だよ。」
「それじゃあ、違いがありすぎるかもね。」
「男女の差ほどは、ないと思うよ。」
秋絵はくちびるの左右を両方上に上げた。目じりも笑って、
「気障な表現ね。それ。」
「文学的かな、と思って、言ってみたんだけど。」
すてきな人だわ、と秋絵は思った。この歳になるも男性経験ゼロの彼女は、男に声をかけられたのは、これが初めてではない。やはり、喫茶店に連れられていって、さて話を聞いてみると英会話教材のセールスだったり、あやしげな新興宗教へのお誘いだったりした。
それというのも秋絵は二十歳までは貧乳だったし、貧尻だったのだ。ここ一年ちょっとで、大きく女としては発育したのだが、秋絵の身体を見て好色な視線を注ぐ男も、彼女の顔を見るとまともな顔に戻った。つまりは、秋絵を軽い女と見ないということで、これは正解だろう。
目の前の男は過去の男性とは違う、と秋絵は直感したので、
「文学も好きなのかしら。」
と、弱弱しく尋ねると、
「ああ。ぼく、文学部に入ろうと思ったんだ。そしたら、高校の担任の先生が反対してね。男は、経済だっていうものだから。」
「なるほど、そうね。わたし、兄がいるけど、やはり経済学部に通わせられたのよ。兄も文学好きだけど、うちは明太の会社ですから。兄は社長にならないといけないし、父が、
『文学部にどうしても入りたいのなら、学費は新聞奨学生にでもなって稼ぎなさい。』
と言うと、素直に経済学部に入ったのよ。京都大学のね。」
「京都大学になぜ?」
「うちは、もともと京都なのよ。でも京都も博多も美人の産地だから同じね。わたしは美人じゃないけど。」
「そんな事ないよ。君は綺麗だ。というとお世辞めくから、本当のところは知的美人だな。」
秋絵は、うなずいた。その日は、それから携帯電話の番号を教えあって別れた。

それから数ヶ月後のある夏の朝、秋絵は幸次郎の荒々しい、いつものセックスを堪能していた。学生同凄である。鉄筋マンションの六畳の部屋で朝と晩、幸次郎に抱かれて九州大学に通った。
避妊具なしの性交は、幸次郎も覚悟の上だ。妊娠しても、出産は卒業後になる見込みで、秋絵が見込んだとおり幸次郎は真面目に二人の関係を考えていた。
勉強もあるし、週二回のペースでセックスに朝晩、一時間ほど励む。若いのに少ないと思う奥さん方は、セックスレス夫婦も世の中には多いという事を考えるべきだ。
初めて知った男のちんぽを、秋絵のまんこは離さなかった。文字通り秋絵の膣は幸次郎の竹のような男根を力強く締め付けた。幸次郎は外は暑くてもエアコンの効いた秋絵の部屋で下の布団一枚で、秋絵の上に乗り高速度で腰を前後に振りながら、
「おおー、秋絵―っ、ちんこがしまっていいー。あっ、出るっ。」
と叫ぶと、男の精密エキスを心置きなく放出すると、柔らかく大きな白い尻を若々しく震わせながら秋絵は、
「おまんこ、いいーっわっ。」
と叫んで、幸次郎の尻を両手で掴んで自分の方に引き寄せた。二十分の前戯と二十分の性交、二十分の後戯で朝晩のセックスは構成されたが、この時間はそれぞれ短くなる事も多かった。
九大生でもあるし、試験前にはセックスを控えておいた。試験が終わると徹夜でセックスに励む二人だった。
一晩最高、三回というのが幸次郎の記録である。秋絵の上で果てた後、幸次郎は、
「三回が限度だろう。度を超して射精すると下手したら死ぬかもしれないらしいよ。」
彼の顔を十センチ前で布団の上に横になって眺めながら、秋絵は、
「本当なの、それ?」
幸次郎は秋絵の大きな尻を優しくつかんで揉みほぐすようにすると、秋絵は、アアン、と眉を寄せて呻いた。幸次郎は、
「豊臣秀吉の本当の死因は、女とやりすぎたかららしい。三百人以上の女性とセックスしたあと、秀吉は死んだんだって。」
秋絵は幸次郎の小さくなった肉欲棒を右手で掴んでみた。すると、それは少し膨らんだ。
「そうなの。わたし、あなたに早く死なれたら困るわ。まだ学生だしなー。本当のセックスは、結婚してからね?」
「今でも世間のセックスレス夫婦よりは、セックスしているよ。そんな夫婦、奥さんが可哀想だよ。中には・・・・。」
と秋絵の硬さの残った乳首にキスすると幸次郎は、話し出した。

関東の方の主婦でさー、カリスマ主婦っているんだよ。アフィリエイトですごく稼いでいてね。アフィリエイトってインターネットで、企業やお店の商品やサービスを紹介して儲けるんだけど。
その主婦のアフィリエイトへのきっかけが、だんなのボーナスが出なかった事らしい。
こどもの教育費だけでもと、その主婦は考えたらしいね。
――――――――――――――――――――――――――――――
「登喜子、すまない。おれ、今年の夏のボーナスはなしだ。」
敬二は妻に話した。
「しかたないわよ。社会的な不景気ですもの。でも、いいわ。夜のお勤めだけでもしてくれれば。」
三十後半の登喜子は、色っぽい眼をして夫を見た。敬二は、
「ああ。ボーナスがないぶんだけ、夜のボーナスを出すとするか。」
と食卓で子供の寝静まった頃に、妻に答える。
いそいそと、食器を片付ける登喜子に敬二は後ろから襲うように抱きつくと、彼女の首筋を舐めまわした。登喜子は身をくねらせながら、
「ここじゃ、やめて。子供に聞こえるかもしれないから。」
「いいさー、聞かれても。おれたちの子供だろ。」
敬二は固くなったモノを妻の尻に擦り付ける。じわーっと、まんこが濡れるのを登喜子は感じたが、
「あなたみたいなスケベに、なってほしくないもの。」
と笑うように答えると、ふっと敬二は登喜子から離れて、
「大体、子供の教育で疲れたとか言って、ここしばらくご無沙汰だっただろう。だから、ボーナスないんだよ。」
「そんな・・そんな事が、ボーナスと関係あるの?」
「いや・・・言いすぎだな。関係はない。不景気が原因だろう。でも、おれの性欲は好景気なんだよ。」
敬二は自分の方を振り向いて立ったエプロン姿の妻の両肩を捉えて、キスをした。すぐに敬二は舌を差し込んだ。妻は柔らかく、それに応える。ぐんぐんと敬二の肉欲棒は大きくなっていった。エプロンとスカートをしたままの登喜子のパンティを身をかがめて、ずり降ろした敬二は妻のエプロンとスカートを上に上げた。豊かな陰毛が丸見えだ。敬二は妻を抱えて、台所の食卓の上に乗せると足を広げさせた。妻が腰掛けている食卓の部分は、いつも子供が食器に顔を向けているところだ。
登喜子は愛汁が溢れてきたので、声を出さなかった。敬二は妻の両足を抱えるようにして、いつの間にかズボンのチャックから出している金剛のような棒を妻の開いた穴の中に挿入していった。
夫の首にぶら下がるようにして、声を出すまいと頑張った妻の登喜子は夫が割りと早く放出した時に、
「あ、はーんっ。」
と艶かしく悶えると、食卓の上で腰を震わせた。

銀座のキャバクラに立ち寄った敬二は、ナンバーワンのあゆみに、
「今月から愛人やめても、いいのね?」
とトイレの前で聞かれた。
「すまない。夏のボーナスの後払いにしてくれた君には悪いけど、次のボーナスは確かじゃないし・・・。」
あゆみは冷たい眼をすると、
「いいわよ。お金に予定立ったら又、声かけてね。」
すぐに背を見せて歩いて行くあゆみの尻を見て、半分ちんこを勃起させた敬二ではあった。
数ヶ月、あゆみは敬二の愛人として都内某所にある彼女の自宅の高級、高層マンションの最上階まで敬二は、退社後、訪れていてはセックスレスとなった妻の代りにしていたのだ。
手付金というか前金をいくらか払っただけで、あゆみは敬二との愛人関係を了承していた。
敬二の今夏のボーナスは、あゆみへの銀行振り込みで跡形もなくなくなっていたのだ。やせていても胸と尻の大きなあゆみの身体は、敬二のちんこを捕らえて放さなかったのだが、昨夜の妻との台所でのセックスは、続けて夫婦の寝室での二回目にも持ち込めたので、妻は三十代後半とはいえ自分専用の女で、そういうまんこも持っている事がわかった。
なんとも、嵌め心地がいい。若いが、あゆみのまんこは遊び馴れているらしく、締まりのないようにも感じられると思い出す敬二だ。

次の日、敬二は又、台所で妻の身体を求めたが、
「ごめん。今からわたし、仕事なの。」
と拒否された。
「仕事?どこへ行くんだ、今頃から。」
「パソコンで、できるのよ。アフィリエイトって言うんだけど。」
「・・・・。」
「少し稼げば、セックスできると思う。」
登喜子は、すぐに台所から消えた。
次の日、敬二は食事後、トイレに入った妻にドアの前で、
「もう、終わったか?」
中から、
「終わったわよ。今はパンツはいてるところ。」
ガタッと勢いよくドアを開けると敬二は、パンティをあげようとしている妻に襲いかかった。登喜子は、
「やめてっ、こんなところで。」
と声を出したが、その唇は夫にふさがれた。それでも、口を外した夫に、
「アフィリエイトやってると、儲かるのが分るのよ。お願い、ここでのプレイはいつかするから。」
と両手を合わせた。夫は、たてていたモノが萎んでいくのを感じた。

幸次郎は寝そべったまま、
「それからしばらくして、その主婦はカリスマ主婦として有名になったし、という話。」
と秋絵に語った。秋絵は、びっくりしたような顔で、
「カリスマ主婦って、本当は大変なのね。実情は。」
「ああ、その夫の裏話もネット界のパパラッチが探り出したらしいよ。」
「ふーん。そうなのね。」
それから二人は朝陽の光が射してきたので、起きて服を着て大学に行く準備をした。
ドアを開けない玄関の中で、立ったまま二人はキスをしてから外へ出る。
九州大学は国道三号線沿いにある。その車道の大学側の歩道に沿って白い壁が延々と続き、中の様子は見えない。2013年の今は、かなりな部分が西区にできた新しい九州大学用地に移転しつつあり、2019年には完全に西区元岡という福岡市西の郊外に完全に移ってしまう。秋絵と幸次郎の頃には、第一ステージとして移転が始まっていた。最初のステージでは理系の学部だったので、幸次郎と秋絵は関係なかった。
 二人とも授業は真面目に出て、それが終わっても一緒に帰る事もなかった。近年よくあるカップルが手を繋いで並んで歩く、というような事もする事はなかった。むしろ、二人はそうするのを避けた。
なぜか、というと秋絵の手を握っただけで幸次郎は勃起したからだ。
東京でも福岡でも見られる手を握って歩くなどというカップルは、セックスレスなものと思って間違いない。ちんこを立てつつ街を歩くなんて事は、いくら男でもなかなかできないからだ。
また、その接触から即座にセックスに移行できないというのも、その男のインポ体質を表している。
手を繋いで歩けるのは、小学生までである。
大抵は幸次郎が先に部屋に帰っている。秋絵はもちろん、合鍵を彼に渡した。夕食の食材をコンビニで買って、秋絵が戻ってくる。
前に一度、二人で外食した。箱崎商店街の中にあるイタリア料理店は、小さな店で顔を合わせて食事をするにはもってこいのところだが、その頃、二人は週二度のセックスという慣習に馴染んでいて、その日が、やる日だったのだ。前菜に続いてパスタが運ばれた。幸次郎はフォークを取ろうと、まとめておいてある小さな細長いかごに手を伸ばすと秋絵も同じところに手を伸ばしていた。
二人の手は触れ合った。幸次郎は、右手の指先から女の色香が電流のように腕を伝い、喉から下腹部へと流れていくのを感じた。彼は、
「あっ。先にいいよ。」
と慌てて右手をどける。
「うん。お先に。」
秋絵は幸次郎より先に銀色のフォークを掴んだ。そのフォークは、クリストフルシルバーの大きなものだ。40ミクロンで銀メッキされているが、銀そのもののフォークは中々、作られるものではない。カトラリー(スプーン、フォーク、テーブルナイフなどの食器類)も贅沢にというのがそのイタリアレストランの趣旨だった。店主は時々、イタリアに今でも行って本場のイタリア料理を食べてくる。のみならず、昔修行したレストランに戻って手伝う事もある。
CUTLERYのクリストフルは、バターナイフその他もある。日本人のシェフにも人気がある。秋絵が手にしたものは、13650円のものだ。続いて幸次郎も同じ渋い銀色の優美に曲がったフォークを手にした。その時、そのフォークにも秋絵の色気が感染していたらしく、なぜならまとまったフォークを取る時は、他のものにも触るから、
だめ押しの形で幸次郎の小さなものを大きくしていった。
彼がフォークを小麦色のパスタに突き入れた時に、秋絵が口を丸めた後、
「おいしいね、このパスタ。」
と話しかけて来た時は、すでに幸次郎のイチモツは秋絵の股間より少し高めのところに向けて勃起していた。秋絵は幸次郎の前に座っている事もあって、白い太ももをダランと広げて座っている。純白のパンティは、そのテーブルの下に屈めば見えるはずだ。
秋絵の問いかけに幸次郎は、ハッとなり、
「う、うん。」
とまだ食べてないパスタについての感想を答えた。全勃起させているので、小さな声しか出せない。他のテーブル席には、横に三メートル離れたところに老夫婦が座っているだけだった。その老夫婦の頭の色は、どちらも半分白くなっていた。黙々とフルコースを食べているらしく、幸次郎には眼もくれない。
パスタの上に小さな肉が載っていたので、幸次郎は食器かごから15120円のテーブルナイフを取り出して切り始めた時に、テーブルにあったおしぼりを床に落としてしまった。拾うために屈んだ幸次郎の眼に飛び込んできたのは、むにむにとした白い太ももを広げている秋絵の姿態で、パンティが丸見えな上にぴっちりとはりついた布地に真っ直ぐな縦の線が入っているし、それが少しぷるぷると揺れて甘い匂いが幸次郎の鼻に侵入する。
両膝を床に着くと幸次郎は、秋絵のパンティに顔を近づけて割れ目がくっきりと浮き出ているところにキスをした。
テーブルの上の秋絵の顔は、感じているところを押し殺した表情だ。幸次郎は秋絵の顔が見たくなって、おしぼりを拾うと席に戻る。秋絵の顔は甘く歪んでいたが、非難の色はない。いつもは、後数時間もすれば布団の中で、ちんことまんこを擦り合わせている時間帯だ。幸次郎は、もう一度屈んでテーブルの下に潜ると、秋絵の白い布で覆われた縦のスジを見てみた。その部分は、じわりと水分に変色している。
座りなおした幸次郎は小さな声で、
「トイレに行こうよ。」
と秋絵の眼を見て囁いた。すぐに彼女は前髪を下に揺らした。そのついでに彼女の豊かな胸も小さく揺れた。
連れ立ってトイレに入った二人は、上は服を着たまま、ズボンとスカートをおろして、秋絵はパンティも膝まで下げて、幸次郎はブリーフの切れ目の中から出した肉体の巨棒を逆三角形の秋絵の陰毛の下にある濡れた柔らかなもう一つの口に、もどかしく挿入させた。
秋絵は頭を後ろに、のけぞらせると、
「ああーん。すてきだわあー。」
と声を高らかに出した。その時、幸次郎の両手は秋絵の白い大きな二つの尻肉をたっぷりと、掴んでいる。柔らかな尻の肉は幸次郎の指をのめりこませた。

もう一つのテーブル席にいた老夫婦の片方、奥方の方が手にしていたフォークを止めて、
「あなた、今、若い女性の声が聞こえませんでした?」
と口をもぐもぐさせている夫に問うと、
「ばかだな、おまえももうボケ始めているよ。声なんか、なんにも聞こえはしない。このおいしいイタリア料理に集中できないなんて、どうかしてるよ。まったく。何と言うか・・・。」
老婦人は顔を赤らめると、
「そうですね。そう言えば、そうですわ。長い間の欲望が声になって、外から聞こえてきたのかもしれませんわね。」
老夫は苦く笑うと、
「なんの欲望だ?もしかして、あれか?」
と声に出す前に店主の方をチラと見た。店主は彼等とは別の方を向いて、距離も十メートルはある。イタリア人みたいな日本人の中年店主だ。聞いている風には見えなかった。
老婦人は、ますます顔を赤くすると、
「そうです。あなた。あれなんです。」
「へへえー。帰って、するか?あれ。」
「いいですわねー。三十年ぶりになるのですかね。」
老夫は笑いをこらえた顔になり、
「は。よく覚えているよ。おれは、十年前に・・その・・・。」
老婦人の顔は、きっ、となると、
「浮気ですね。あ・な・た。」
「いや、そのね、勃起したのは十年前が最後だったかなー、と。」
「うまい、言い訳ですこと。」
「まあまあ、食べてから帰ろうよ。帰りに精力剤の店に寄るからさ。それで、大丈夫だと思う。」
老婦人の顔は、嬉しそうになった。首を二回もタテに振ると、
「さっきの声は、わたしの気持ちだったのですよ。やっぱり。」

赤い壁紙で内装されているトイレの中で、腰を逞しく振りながら幸次郎は右手で秋絵の口を押さえた。彼は小声で、
「おれも、いいんだ。腰がとろけそうだ。けど、秋、我慢しろよ。」
と彼女の耳たぶの近くで囁く。
自分の頭の左側で秋絵の顔がうなずいたのを感じると、彼は囁いた彼女の耳たぶを舐めまわして軽く噛んだ。彼女は、彼の手の中の口で、
うふん、いやっ
と悶えた。その感じられた声が幸次郎を昂ぶらせる。彼は、彼女の細い首すじにも自分の舌を長くして這い回らせた。秋絵の首の周りは、幸次郎の唾液でいっぱいになる。彼女の尻の肉から左手だけ離して、彼は彼女の右胸を揉みまくり続けた。知的な秋絵の目は、すでにトロンとなっている。

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