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体験版・sf小説・未来の出来事52

「あ、そうなんですか。初めて知りました。インドが統一された言語でない状態なんて。」
流太郎としても驚きだったのだ。マディラは、
「インド人女性を口説くのも英語が、いいわ。」
と助言してくれた。
「そうですか。僕は、お試しレッスンという事で来たので、ヒンディー語は辞めようと思います。」
「そうですね。英語が、いいですよ。日本語を学んで日本に行こうというインド人もいますから。日本語講師の需要もある位です。もう少し時間、ありますけど?」
「マディラさん、日本の政治に興味がありますか。」
「ありますよ。日本人より興味があります。(笑)。だって日本の人、自分の国の政治に興味ないみたいですもの。」
「新進民主党という党は、どうですか。」
「あ、知っています。まだ小さいけど希望が持てるのかなー、と思いますわ。」
「フレッシュアイランドに新進民主党の福岡支部がありますよ。」
「そうですか、一度行ってみたいな。と思うのね。」
「それではマディラさん、ご機嫌よう。」
流太郎は立ち上がり、部屋を出た。
授業を受けるために待っている人達の中に丸内円太もソファに座っていた。丸内円太は(あ、ビルの一階だった、待合場所は)と思い出して立ち上がりバラリッツを出るとエレベーターの前に一人の青年が立っていた。時流太郎だ。しかし丸内円太は時を知らない。エレベーターに二人で乗りこんで流太郎は丸内円太に気づき、エレベーターを降りてビルの外に出ても丸内は一階に立ち止まっているのを確認した。
流太郎はフロックコートの中からサングラスと帽子を取り出して身に着けると付け髭も鼻の下につける。
前にも見かけた新入社員風の男、ますますインドの雰囲気を身に着けている。マディラにヒンディー語を習っているに違いない、と流太郎は観察したのだ。
思惑通りにビルからマディラと新卒男が並んで出てきた。体の関係がある男女の雰囲気が流太郎には感じられた。二人はヘリタクシーの乗り合い場所に歩いて行く。博多駅周辺には幾つかのヘリタクシーの乗降場所がある。観光目的で乗る人達が殆どだが、料金も安くはないので利用者は少ない。マディラと丸内はヘリタクシーに乗った。クレジット決済が出来るヘリタクシーに流太郎も乗りこむと、
「今、飛び立ったヘリタクシーを追ってくれ。」
と運転手に告げる。運転手は中年の男で、
「だんな、探偵さんか何かですか?」
「うん、そんなものだ。少し間をおいて追跡した方が、いいな。」
「合点満点です。私も私立探偵は少し、した事がありますよ。元々は航空会社のパイロットだったんですが、CAと勤務中にトイレでセックスしたのを別のCAに密告されてクビになり、この仕事に就くまでには色々な職を経験しましたけどね。あ、飛び立ちます。」
流太郎の乗ったヘリタクシーは上昇した。そして可能な限り運転手はマディラと丸内の乗ったヘリタクシーに近づく。それを運転手は観察すると、
「お客さん、あれは豪華ヘリタクシーですぜ。マジックミラーの車体で外から中は見えないものです。車体が大きいのは後部座席が広いので、後部座席はシートを倒すとダブルベッドになります。運転席とは厚いガラスで仕切られて完全防音。バックラーは車体の後部に付いていますから、後部座席は運転手には見えないんです。だから空中セックスし放題ですね、これは。」
と話す。
こちら後部座席に乗っているマディラと丸内である。後部座席の前面は壁となっていて、そこに運転手と話せるマイクが設置されている。マディラは、そのマイクに、
「運転手さん一時間程、博多湾上空を周回してください。」
と要望した。
すると中年男の声が、
「はい、承知しました。ゆっくりと、お楽しみください。」
と答えた。
後部座席の左右と背後はマジックミラーに、なっている。三方から外の景色が見えるので気分爽快となったマディラと丸内だ。マディラは左に座っている丸内に、
「いい景色だわ。博多湾の上空でセックス出来るのなら運航料金も安いものだわ。丸内君、空の上でセックスした事は、ないでしょ?」
「ありません。もちろんですとも。」
「では、今から経験できますよ。誰も見ていないから安心ね。」
マディラは丸内円太のズボンのベルトを外すと一期に降ろした。そこには、もう半勃起を顕わすパンツの形がある。
 丸内としてはマジックミラーから外の風景、といっても見下ろさなければ見えない海や島々を眺めつつ、いつの間にかマディラと自分は全裸になり坐位により彼女を突きまくっていた。アへアへ顔のマディラは、
「あなたの会社、インドに輸出しているの?」
と問いかける。
「ええ、そのために僕が出張するんです。外の景色、いいですよ。マディラさん体位を変えて外を見ますか。」
「いいえ、いいの。あなたがインドに出張する時に私もついて行けると思うわ。ニューデリーに行くんでしょ。」
「そうみたいです。あ、愛高島が見えました。」
「ああ、あの謎の博多湾に浮かぶ島ね。インドでも有名ヨ、愛高島は。そのために日本に来るインド人も多いわ。」
「愛高島にもホテルは、あるしラブホテルもあります。今から行きませんか。金は僕が出しますよ。サイバーモーメントから貰う給料がいいから。」
「それなら、そうして。運転手に言うのよ。」
「わかりました。そしたら一旦、離れます。」
丸内円太はマディラから離れると前面のマイクに、
「運転手さん、愛高島に寄って下さい。」
「はい、コース変えます。」
ヘリタクシーは空に浮かぶ島、愛高島に向かった。数分でヘリタクシーは愛高島に到着した。それを追っていた流太郎を乗せたヘリタクシーも愛高島に着陸した。
 マディラと丸内はラブホテルに向かって歩いている。流太郎も後を追う。ラブホテルの近くには森林地帯がある。そこへ行き流太郎は二人を待った。
十分、二十分、数時間後には出て来るさ、と流太郎は気長に待つつもりでいると、十五分後にラブホテルの屋上に巨大なUFOが現れたのだ。
そのUFOの基底部から黄色の光が真下に放射されて一組の男女が光に包まれて上昇しUFO内へ消えた。それを見上げた流太郎は、(マディラと新入社員だ!)
それに至るまでのマディラと丸内の行動に戻ろう。そのラブホテルの経営者は地球人では、なかった。パリノ・ユーワクという火星人によって持ってこられた巨大なUFOが愛高島なので、ラブホテルの経営者は火星人が多い。彼らのラブホテルは地上よりも格安な宿泊料金だ。
それで、どうして儲かるのかと言えば彼らのラブホテルには各部屋に隠し撮りカメラが設置されている。そこで各部屋のカップルの行為は逐一、撮影されている。経営者は火星からアダルト動画の有名な監督を呼び寄せたり、又は火星に撮影された動画をUFOで持ち帰らせたりしている。それらは編集されて火星で販売される。地球人の実写セックス物は人気が高い。それでラブホテルの宿泊料金は格安にしても経営者は隠し撮り動画で高額な報酬を得ているのだ。
 無目的で火星から飛来するのは太古の時代に終わっている。空に浮かぶ島の愛高島は宇宙人にとってのビジネスチャンスである。
実はマディラは、そのラブホテルの経営者と知り合いであった。そして、その経営者の正体も知っていたのだ。経営者は、「マディラさんの宿泊の場合は半額に致しますよ。マディラさんの本当の姿のセックスでは宿泊料金は無料にします。」
とドラム判を押したのだ。
 その話を今、室内にいるマディラは思い出した。スイートルーム並みの部屋の寝室でマディラは丸内に、
「丸内さん。わたしは本当はインド人では、ありません。それを実際に見せますから、見ていてください。」
と話す。
それから、ゆっくりとマディラは服を脱いでいく。下着姿になったマディラ。薄茶色の肌にコンモリと高い丘のようなブラジャーの盛り上がり、くびれたウエストから下に向かうと横幅の広い尻の前面の逆三角形のショーツは透けていて黒い茂みが見えている。丸内は涎を垂らしそうな顔をして、それを食いつきそうな顔で見ていると、マディラは、
「浴室に行くから付いてきて。」
と誘い、ふたりで大浴室に行った。普通の浴室の五倍の広さ、脱衣室まである。マディラは下着も取ると尻と乳房も薄茶色の肌だが美形にして大きく柔らかそうだ。丸内は殆ど勃起している。マディラは丸内の股間を見て、
「丸内さんも脱いで。」
と促すので丸内は急いで全裸になる。完全勃起に近い丸内の肉棍棒をマディラは確認すると大浴室に入る。
そこでシャワーヘッドを手に取り、お湯を浴びたマディラの肌は薄茶色が抜け落ちて積雪のような純白の肌が現れる。顔にもシャワーを浴びせるとマディラの顔は白人女性よりも白い顔になった。丸内は驚きすぎて、その場に尻スイカを付きそうになった。
シャワーを停めるとマディラは丸内に全裸を見せて、
「どうですか?この体は。」
「ああ、素晴らしいです。マディラさんはインド人では、なかったのですね。」
「そう、その通りです。実は私は地球人ではないのです。」
「そうなんですか。では宇宙の何処から、いらっしゃったんですか?」
「それは説明が難しいですね。何故なら私の星は、まだ地球で発見されていないんです。それだから地球の言葉では私の星の名前はないんです。インドは潜り込みやすい国でした。そこで英語を学び、ヒンディー語を学び、日本語も学びました。宇宙人と交信が難しいのは言語の問題です。
日本人としても英語を知らなければアメリカから、やってきた人の言語は分かりません。ましてや宇宙人の言葉など聴きとるのも難しいです。それで我々の方で地球の言語を学び、接触しなければ、なりません。
丸内さん、あなたがインドに行くとか、あなたが勤めている会社の製品を輸出するとか、そういう事は私には、どうでもいいのです。あなたは今の仕事を、辞めたくなると思いますよ。服を着て屋上に行きましょう。インド人の女の体で貴方の体を楽しみましたが、今は時間がない。というのはですね、このラブホテルの屋上の上に来ている、と通信が今、あったのです。それはテレパシー会話のような非科学的なものではなくて私の頭の中に埋め込まれたマイクロチップに無線で届いたものです。さあ行きましょう。」
マディラは大浴室を出ると脱衣室で手早く服を身に着けた。丸内も遅れまいと慌てて服を着る。スイートルームを出てエレベーターで屋上に行くと確かに二人の頭上には巨大なUFOが空中に停止していた。
二人はUFO下部から放出された光によって上昇し、宇宙船内に誘導されていた。待合室のような場所に移動した二人は開いていた部分が閉じるのを眼下に見た後で床面に静かに着地した。
その部屋の壁が左右に開くと隣の部屋は広くて数人の白い肌の宇宙人がいた。その内の一人である船長ともみられる人物が、
「ようこそ。日本人さん。私達は地球より数万年は進化した星から来ました。この宇宙船は宇宙空間にあるフリーエネルギーで動いています。それで光より早く移動できる。光より早く移動するエネルギーをまだ地球人は見付けていません。地球人は何かを燃やす事でエネルギーを得るという考え方から脱却していないのは旧石器時代から変わっていないのです。それで地球の神話にも火の神などが存在しています。
ですが宇宙空間は真空ではなくエネルギーに満ちています。そこから際限なくエネルギーを取り出して宇宙船の動力源にするのです。
マディラの他にも地球の主要な国家に潜入させて言語を学ばせています。私は立っていますがマディラと日本人さんは座ってくださいね。そこの円形のソファに。」
船長は右手でコの字型のソファを示したので二人は腰かける。船長や他の宇宙人は白い服を着ていた。船長は、
「私の名はエホバエリです。日本人さん、あなたの名前は丸内さんですね。」
丸内はビク、として、
「はい、そうです。」
「あなたは日本の会社員らしいが・・・我々と遭遇した事は・・・記念すべき事ですよ。何故なら・・・それは、これから分かります。地球なんて我々の星に比べたら貧弱なものなんです。女性も単一的なものですし、地球人はね。これから我々の星に来ていただければ、それは分かります。行きますね、私達の星に。」
とエホバエリは同意を確認する発言をした。丸内は喜んで、
「行きます、ぜひ連れて行ってください、お願いします。」
と懇願した。
エホバエリは大きく胸を張ると運転士らしい若い男性に、その星の言語で何か指示した。多分、運転開始の指示だろう。移動を始めても船内は微動だにしない。エホバエリは、
「今、光速の何百倍もの速度で宇宙空間を移動しています。それでも少しも揺れないでしょう?」
と丸内に賛意を求めた。丸内は大驚嘆の眼差しで、
「そんな速度で。揺れませんねー。」
エホバエリは落ち着いた様子で、
「もうすぐ到着です。私達の星は球体では、ありません。太陽系の惑星などは全てが球体ですが正円ではないものです。だけど星が球体である必要が、あるのでしょうか。私達の星は地球のドーナツのような形をしています。つまり中央の部分が空間だという事です。そして、この宇宙船も中央の部分が空洞であるのです。我々の星に似せた形に作られています。その方が移動の際も球体よりも早く移動できます。」
という驚くべき話をした。
丸内は、
「ドーナツが空を飛んでいる訳ですね、要するに。」
エホバエリは楽しそうに、
「そうです、その通り。それで私達の星は中心が空洞ですけど、そこに小さな太陽があるんですよ。我々の星は巨大ですから重力の法則では我々の星が小さな太陽を引っ張っているのです。もちろん我々の星は惑星なので恒星、太陽系の太陽のような星を回っているのですが、空洞の内部にも小さな太陽があるので我々の星の内部に面した地帯は夜がない一日中が昼の状態です。
考えてみて下さい。夜のない世界を。闇のない世界を。食物の野菜は地球の三倍の大きさ。樹木も三倍です。そして、その地帯には五メートルに近い人間がいます。その巨人族とも我々は仲良くしています。彼らの知性は三倍かというと、そうではなく、二メートルに満たない我々より知性は発展していません。地球に於いてもクジラは最大の哺乳動物ですが知能は、どうですか、という事と同じですね。
なんと彼らは原始的生活を好み、読書も大してしない。我々の指導により彼らは文盲ではないですけど、巨人の女性は美人だし、夜のない世界で交合している彼らです。その場所などは自治区みたいに我々の法律も無視していい事にしているので、観光に行くと楽しいですよ。
彼らは決して凶暴ではないので観光客に乱暴などしないんです。御菓子など渡してやると喜びます。
丸内さんも観光で連れて行ってあげますよ。五メートル近い巨人を見る事など地球では、あり得ませんからね。おお、もう到着しましたよ。私より日本語が上手いマディラと行動してください。」
と話した。
そのUFO自体もドーナツ形だが、丸内は上からUFOを見られないので確認できない。
その星の太陽光線は眩しすぎる程だ。宇宙船を降りてからはマディラに付いて行く丸内円太。地球に居るよりも幸福感を感じるのは心地よい春の気温のせいばかりではなく、目に映るものが地球とは違い、建物はビルなどは百階建てと思われる程の高層ビルが立ち並んでいたり、マイカーならぬマイUFOで道路を走っている光景が見えたりするからかもしれない。マディラと街を歩いても丸内は背広を着た人を見なかった。皆、肌が白いので黄土色の丸内は、その星の人の注意を惹いた。一人の山高帽を頭にしている中年男が丸内に近づいてきて、その星の言葉で何か話してきた。マディラは、
「うちのサーカスに入りませんか、と話しているのよ。どうする?丸内さん。」
「お断りします。と伝えてください。」
「あら、サーカスと言っても地球のモノと違って楽なものなのよ、この星のサーカスの出演者は人気者で収入も高いの。多くても月一度の出演程度だし、週休四日は確実。なりたくても、中々なれないんだけどなあ、サーカスの団員には。」
丸内は困惑気味に、
「言語の違いや、その他の違いもあるでしょう。」
「そうね。一応、断わっておくわ。」
マディラがサーカスの関係者に丸内の断りを伝えていた。
 レストランに入ってマディラが注文し、運ばれてきた料理は地球の一般的なレストランのモノの二倍は、あった。それで普通だとマディラは云う。
食後のデザートに地球の葡萄に似たものが出されたが、それは地球のモノの三倍の大きさだった。五メートルに近い巨人族がいるというのも、うなずける。食後に丸内は、
「五メートルに近い巨人の人達は見られるのですか?」
「ええ。これから見に行きましょう。観光地になっています。入場料は払うのです。それは巨人達の収入になりますし、彼らは入場料だけで生活も出来ます。」
コーヒーと紅茶が混ざったような味の飲み物を二人は飲んだ。マディラは、
「外で小型UFOタクシーを拾うわ。さあ、出ましょう。」
道路面から浮いて走っているタクシーはマディラが右手を挙げて停めた。二人は車内に乗り込み、マディラは丸内には分からない言語で指示した。それから丸内に、
「巨人村まで、と言ったのよ。」
小型UFOは浮上した。
丸内が窓の下を見ていると、繁華街から緑の多い地帯へと移動して小さな山のある牧場のような場所に降下していく。
 牛らしき動物が数頭、見えたが牛の体長は地球の牛の三倍は、ある。それでも、おとなしそうに巨牛は草を食べていた。地球の緑地の草の三倍の高さなので牛の餌には困らないはずだ。地球の農家風の建物も地球の農家の三倍の高さである。
 UFOタクシーはタクシー専用乗り場に着地して二人は外に降りる。巨大な農村という風景に丸内には思える。
 それでも歩道には観光客の姿も見えたので、やはり巨人村観光地らしい。遠くに巨人の男の姿が見えた。地球の原始人のような姿で、ゆっくりと歩き回っている。その近くには巨大な邸宅がある。マディラは丸内に、
「見世物にするために、わざとあの格好をしています。彼らは彼らの学校がありますが日本だと中学までの学校しか、ありません。巨人村の収入は凄いので彼らは働く必要が、ないのです。近くで見るためには入場料が必要です。あそこが入り口、入場料の二人分は私が払います。」
マディラと丸内は延々と続いている高い柵の一か所にある入り口から入る。マディラがスマートフォンのようなものでクレジットカード決済を二人分、したらしい。
フェンスのようなものは十メートルの高さだ。広大な敷地でもあるし巨人たちはフェンスの外に出る気もないらしい。
地球の三倍の大きさの馬が巨人の近くに現れた。巨人は、その巨馬に乗ると手綱を引いて巨馬を走らせる。圧巻過ぎる光景だ。巨馬の目も地球の馬の三倍なのも丸内からすれば驚きの一言、地球規格外の世界だ。
巨馬と同じく巨人は観客に突入する事は、ない。平日の時間帯らしいが観客は多い。マディラは向こうを指さすと、
「あの大邸宅の中に入れます。あの中では、もっと驚く事が見られますよ。」
 その大邸宅の中に移動した二人。見るものは何もかもが大きなモノばかり。食堂は広いだけでなく五メートルに近い巨人が座れるような椅子に食卓が地球の食卓の三倍は、ある。
 居間も同じく巨人が寛げる空間であるし、普通の身長の人間が見学できる広さは充分にある。もちろん見物人はフェンス越しに食堂でも居間でも見学するので巨人が食卓や居間の巨大ソファに座っていても行動に妨げは、ない。
驚くべき事に、彼らの寝室でさえ見学できた。
昼間でも時々彼らは寝室でセックスする。それで巨人の寝室が一番多く人だかりがしていた。
特別観覧席は屋根裏にあり、そこは入場料の百倍はするもので、富豪達が利用する事が多い。今、男女の巨人が寝室に入って来た。二人は若くて男は筋肉質、女は豊満巨大な乳房と尻を持っている。元々二人とも軽装なので、すぐに全裸になった。二人は立ったまま正面から抱き合い、キスをした。巨人男の股間は野球のバットかと思われるような長大なモノが即座に完全勃起した。六十センチはあるだろう正に肉筒、それが足を開いた巨人女の秘洞窟に潜入した。これで巨人男女は一つとなり男は連綿と自分の腰を振り続ける。巨人女は長い黒髪を乱しながら雷のような快楽の声を発した。
満杯の観客からは、どよめきの声が上がる。
これを見たいために来る人達も、いるほどだ。
地球ではストリップショー程度で男女の交わりを金を取って見せてくれるところは、ない。この星では巨人の性行為は、このように解放されて一般公開されている。もちろん巨人村には未成年者は入場できない。
年中無休の巨人村である。巨人男女の立ちセックスを唖然として見ている丸内円太である。しかし巨人たちの性交は三十分で終わった。地球のクジラの性交時間は、もっと短い。それに比べれば、この星の巨人の性交時間は長いと言える。
次は、いつになるか分からない巨人の性交だ。巨人の二人は巨大なベッドに寝て休憩している。
確かに六十センチの勃起陰茎を持続するのには大量の血液が必要だ。マディラは丸内円太に、
「巨人の寿命は三十歳です。彼らは、それで文化を持ちません。識字率は十パーセント以下で、義務教育ではない中学には行く必要が無いんですよ。小学校三年までが巨人の義務教育です。それは長い間、我々が巨人を管理してきて適切な教育期間を割り出しました。」
「そうなんですね。」
と丸内。
巨人男の勃起陰茎が巨人女の膣内に入るのは圧倒的迫力だった。巨人女の膣の長さは二十一センチで伸縮性があり、出産時には数倍は広がる。マディラは、
「彼らは長い事、休憩します。それを見ていても仕方ありません。出ましょうか。」
巨人の館を出るとマディラに連れられて丸内はUFOタクシー乗り場へ行き、再び空へ舞い上がり、今度は官庁街のような場所のビルの屋上に着地したUFOタクシーから降りるとマディラは、
「実は私は公務員のような職業なんです。このビルは外惑星省と日本語で訳すと、そういう機関のもので私は、ここの地球対策室で働いています。さっきの船長は私の上司で地球対策室長のエホバエリです。今から地球対策室に行けばエホバエリは、いると思います。」
と説明した。それからエレベーターで下に降りると地球対策室は遠くなかった。中に入ると数人の宇宙人が勤務している部屋の中に、あのエホバエリが座っていたが入って来た二人をると立ち上がり、
「ようこそ、丸内さん。お待ちしていました。応接室へ案内します。」
その部屋の中にあるドアを開いてエホバエリは丸内を応接室に入れた。
星の違いこそあれ、役所的な雰囲気のある部屋だ。マディラは入らずにエホバエリと丸内円太だけになった。エホバエリは、
「どうでした、丸内さん。我が星の世界は。」
「驚きましたよ。巨人の世界に。」
「うん、そうでしょう。でもね、地球にも太古は巨人がいたのです。でも滅亡してしまった。我が星では巨人が亡びるのを防いでいます。でも、あれは一部の世界です。この星では地球よりも遥かに楽しく生きられますよ。」
丸内は目をダイナマイトの爆発のように光らせると、
「おわう。そうなんですか。労働は免れないのでは。」
「いいえ。労働のない世界が我が星です。私もマディラも好きで、この仕事をやっています。私は小さい頃から我が星以外の惑星に興味を持っていました。それで公用で地球などにも行けるのですからね。貴方も自分の望む仕事が出来ますよ、丸内さん。」
と言われると丸内も考え込む。エホバエリは、
「どんな事をしてみたいですか。」
「働かずに遊んで暮らすとか。」
「ああ、出来ますよ。そういう地球人を求めていたんです、我々は。」
丸内は外惑星省の若い男の役人に連れられて、その星の豪華なマンションに住む事になった。
 5LDKのマンションでベランダからは、その星の郊外の風景が見渡せる。五人の美女と生活している丸内円太、各部屋に一人の美女がいるのだ。いずれも日本語の出来る女性だが、その星の言語の訛りは感じられて、それが神秘的に聞こえるのだ。その五人の美女が日常生活を支えていて、炊事、洗濯、掃除をしてくれる。
週の内、二日は休んでいいが残りの五日は毎日、五人のうちの一人とセックスする事が義務付けられている。
義務付けられなくても丸内円太は実行しただろう。
それは夢にさえ見た事のない世界だった。ただし、その丸内の生活は室内に仕掛けられた隠しカメラで二十四時間、生放送されている。
その星の全地方にインターネット配信されていて、「地球人の男の生活と性活」として有料で見ることが出来る。その収入源の八割が丸内と女たちに振り込まれた。日替わりでセックスしているので女性には均等に収入を割り当てられる。
丸内は地球に帰ることを忘れてしまい、その星の言語を学び始めた・・・。

体験版・sf小説・未来の出来事51

 同級生のアダルトビデオを見ている不倫課長の妻、百合江は自分と同じような名前の同級生百合乃の温水プール・セックスには心を激震するほどの影響を受けた。(ああ、わたしも、やりたい。夫とのセックスは二か月に一度になっている。日本人の三十代の主婦としては、それが平均的なのかしら。誰にも聞いたことが無いから分からないけど、百合乃は、あんなに温水プールの中で激しくやって、快楽の極みを感じているのに自分は、ここで虚しく夫の帰りを待っている。深夜の十二時頃に帰って来るんだもの。「あなた、ご飯は?」「いいよ、外で食べてきたから。」「毎日の残業は大変ね。」「まあね。でも家族のためさ。」という遣り取りが多くて、最近は私も何も聞かないし、夫も何も言わない。)同級生の百合乃が温水プールの中でのカタシとのセックスを終え、次に超スイートルームのダブルベッドの上で温水プールの温水が裸身に残ったままカタシと正常位で性結合をしたところで不倫課長の妻、百合江はビデオを停めた。(百合乃。ありがとう。続きは又、楽しみに見るわ。わたしも行動しなくっちゃ。)百合江は自分のスマートフォンを手に取ると出会い系アプリで相手探しを始める・・・とアフリカ人形は時流太郎の心に語ると、(ちょっと長いかな?)と訊いてきた。流太郎は、(いいや、面白いな。続けてもらおう。)アフリカ人形(よし、続けるぞ。そこでオレは不倫課長の妻の出会い系アプリを操作して、ある人物に登場してもらった。ニックネームはT、初老の男性。
撮影希望の女性を募集しています 希望であれば目隠しやボカシを入れられます。主婦の応募も歓迎します。
という呼びかけが表示された。不倫をまだ、した事のない不倫課長の妻の百合江は(まあ、私にピッタリンコじゃないの。もしかして、AV?それでも、いいわ、不倫できるなら)と瞬思してメールで応募してみた。十分後には返信メールが届く。
ご応募、ありがとうございます。わたし共の会社は東京にありますが、どちらに、お住まいですか?
百合江はメールを返信して、
福岡県福岡市です。遠いですか。
すると、すぐにTからの返信が、あった。
福岡市ならフレッシュアイランドに私共の支社があります。明日にでも飛行機で飛びますから、明日の撮影では、どうでしょうか。
百合江は乳房を高鳴らせて、
明日で構いません。初めてです。撮影されるのは。
Tからはスグに返信が
初めては大歓迎です。ういういしい、ですもんね、初撮影は。ギャラも、はずみますよ。明日、又、連絡させて、いただききます。今日は、おやすみなさい。
百合江の乳房の中を期待と不安が錯綜した。その夜、夫は十二時を過ぎても帰らなかったので百合江は寝てしまった。
朝起きても夫は、いなかった。帰って来た様子もない。朝は子供を送り出すと、居間に座る。テーブルの上のバナナの一房から一本を取り出すと自分の赤い唇の中に入れる。まるで、それを男の果実棒のように咥えて口に出入りさせる。すると百合江の体は熱く、火照って来た。バナナを食べてしまうと寝室に行き、夫には分からない場所に隠したバイブレーターを取り出す。ある人気AV男優のペニスと全く同じ形、長さをしていて、おまけに自分の股間に挿入すると、そのAV男優の息遣いまで再現される。百合江は下着を履いていないので両脚をソファに座ったまま、大きく広げるとバイブレーターを赤い陰唇に挿入した。AV男優の荒々しい性行為の息遣いが百合江の耳に聞こえてきた。まるで、そのAV男優に犯されている気分になり、百合江はソファに寝そべった。その時、スマートフォンからメールの着信音が鳴り響く。百合江はバイブレーターを股間に挿入したまま、テーブルの上のスマートフォンを手に取るとメールを確認する。やはりTからの送信だった。
T おはようございます。私は今、フレッシュアイランドの福岡支社に来ていますよ。奥さん、こちらは撮影いつでもスタンバイです。今から、どうですか。
百合江は股間のバイブレーターを外さずに返信する。
今から行けます。よろしく、お願いします。
すると、すぐに返信が、
T 弊社の所在地の地図と住所を添付していますから、お待ちしています。
百合江の股間のバイブレーターが激しく動き、AV男優の声が、「おわああ、いくっ!」と叫んだ。百合江も同時にイってしまった。
しばらくして百合江はバイブレーターを外して起き上がると、身づくろいをして外出した。サングラスは一応、かける百合江、帽子も、かぶってマスクも付けた外見でロボットタクシーはスマートフォンで呼ぶと三分くらいで到着した。「アイランドシティのココに行ってください。」と百合江はロボット運転手にスマートフォンを見せた。そこにはTから添付されて送信された地図と住所が載っている。ロボットは、それをカーナビに差し込んで記録すると百合江にスマートフォンを返した。タクシーの窓の外は流れるように動き始めて二十分程でフレッシュアイランドのTが待つ会社のビルに到着した。自社ビルらしく受付には赤い帽子を被ったサイボーグの若い女性が座っている。百合江は受付に近づいて「撮影希望の者です。」
と話すとサイボーグの女性は微笑みを湖上のように浮かべて、
「13階が社長室です。あちらのエレベーターで、どうぞ。」
と右手で近くのエレベーターを指し示した。百合江はエレベーターで社長室へ行く。ドアが開くと地中高年の男性が私服で立っていた。Tらしい。男は嬉しそうに、
「やあ、どうも。私がTですよ。撮影スタジオは社長室の隣です。社長室からも行けます。まずは社長室に入りましょう。」
と話すとドアの所へTは行くと、ドアを開いた。二人は中に入る。社長の机の後ろには書棚に似たスチール製の置き場所にビデオテープやらCDROMがギッシリと並べられている。それはアダルトなものばかりだ。Tは応接ソファに百合江を座らせて、自分も百合江の真向かいに座らせる。それから、
「ようこそ、お越しくださいました。ウチはAV制作会社なんですよ。今では制作数が日本一で、売れ行きも日本一です。それで女優さん探しに苦労しています。お金は一杯ありますから、奥さんにもヨソより倍は出演料を出します。政治じゃないけど金が決め手のアダルトです。気持ちよくなってもらって、お金も沢山貰える。こんな副業は他には、ないですからね。」

百合江は微苦笑した。帽子とマスクとサングラスが百合江の表情を、かなり隠している。Tは勇みよく、
「奥さん、隣のスタジオでは男優がスタンバイしていますよ。行きましょう。」
確かにスタジオでは男がパンツ一枚で椅子に座っていた。広いスタジオでは様々な状況設定がされている。ラブホテルの部屋、医療現場、飛行機の中など、壁にはドアが並んでいて、その内部は更なる場面が設定されているのだろう。Tは、
「奥さん、サングラスと帽子とマスクを外してください。そこのテーブルに置けば、いいですよ。」
言われた通りに百合江がすると、Tの目は夜空の星のように瞬き、
「いやあ、奥さん美人ですね。胸の膨らみも凄い。旦那とは毎日、セックスしているんでしょう。」
「いいえ、二か月に一度ほどです。」
「信じられないな。おいハメ一郎。奥さんの胸を触らせてもらえ、いいですね?奥さん。」
「ええ、いいです。触って下さい、男優さん。」
ハメ一郎は既に股間の肉道具を半分ほど立てていたが立ち上がり百合江に近づくと彼女の胸をス~っと右手で触った。百合江は軽く悶えると、
「あっはん、乳首に触れました。立ってきてます、乳首が。」
と気持ちよさそうだ。」
Tは、
「もうカメラは回っていますよ。カメラマンは、いませんけどね。奥さん、男優のリードに任せてください。いけ、ハメ一郎。」
ハメ一郎は百合江を抱くと抱え上げてラブホテルの場所へ移動する。百合江は自分を抱きかかえているハメ一郎の顔を真直に見て、(この人、政治家の玉金硬一郎に、よく似ている!)と気づいたのだ。(そんな事ないわよね。他人の空似なのかしら。)ベッドに横たえられた百合江はハメ一郎に長いキスから舌を入れられ、首筋を舐め回され、乳房を吸われ、太ももを大開脚されて、クンニリングスをされる。その技巧の素晴らしさは夫を遥か彼方に凌ぐものだった。百合江の股間からは甘い蜜液が滲み出し始める。ハメ一郎の股間のモノはバナナかと思わせるほどに巨大化していた。頃よしと見たハメ一郎は百合江の股間にバナナもどきを入れようとしたので百合江は「玉金硬一郎さん!気持ちいいっ!」
と叫んでみた。すると、どうだろう、ハメ一郎のバナナのような大男根は見る見るうちに委縮していったのだ。百合江はハメ一郎の顔が、しまったと言っているのを見て、大開脚したまま、
「やっぱり玉金硬一郎さんですね。新進民主党を支持していますよ。誰にも言いません。」
「いえ。玉金硬一郎は僕の兄です。双子なんですよ。似ているのは仕方ないです。でも兄は、それほど有名でもないから今まで気づかれなかったんですけど。」
とハメ一郎は説明した。百合江は納得して、
「分かりました。早く来て!」
と更に開脚した。彼女の陰唇は大きく開いている。ハメ一郎は百合江の蕩けそうに柔らかな尻を抱えると再勃起した。ハメ一郎の肉凶器は百合江の久しく何も咥えていなかった淫裂に突き刺さっていく。百合江は顔を、のけ反らせて
「すっごーい。夫のより、いいわっ。あん、ああーっ。」
と大いに淫らな嬌声をあげた。
ハメ一郎と百合江の収録は二時間にも及んだ。AV監督らしいTは、
「お疲れ様でした。タクシーを呼びますから。」
と百合江に声を掛けた。
スタジオを出て行った百合江の後ろ姿が消えたのをみてハメ一郎は、
「見抜かれましたね、お父さん。玉金硬一郎の弟という事で誤魔化しましたけど。」
「ああ、おまえは俺の子だ。政界なんて向かないよ。政治では金も儲からないし。俺の跡を継いでくれれば、いい。」
パンツ姿の硬一郎は、
「それでも、せっかく党首になったんだし、AVが日本の社会に本当に確立するように法改正も、していきます。」
「ああ、頑張ってくれ。早めに政界は引退して俺の跡を継ぐんだぞ。」
無言の玉金硬一郎、これから天神で政権演説をする予定だ。

という事でだ。)とアフリカ人形は流太郎の心の耳の中で語った。(まず第一歩は成功した。辛い思いの不倫子の恨みを晴らさなければ、ならない。玉金玉男に出会い系サイトに入らせて、不倫価値用の妻の百合江に会わせたのも俺の力なのだ。後は百合江と玉金硬一郎のアダルトビデオが出回るのを待つだけ。意外と早く一週間後に発売された。これは新進民主党が主張するアダルトビデオ新法が国会を通ったのだ。玉金硬一郎は街頭演説では話さないが密室での集まりではアダルトビデオが早急に発売される新法を制定する事を有権者に主張した。彼の支持者は、ほとんど男性だったので皆、支持者は賛同したものである。次に玉金硬一郎が狙うのは無修正、つまり女性器、男性器の公開である。これは玉金は隠密な集会では発表している。
さて。この不倫課長の妻の百合江のアダルトビデオを不倫課長に購入させるか閲覧させるか、しなければならない。オレは今、奴が不倫中の新入美人社員にエリートの別の会社の独身男に出会わせたのだ。当然の事ながら彼女は不倫課長に会うのを拒否した。性欲の捌け口を失った奴はビデオ鑑賞個室に会社帰りに出かけた。奴は個室で新着アダルトビデオを探すと「課長の妻」というタイトルのビデオを見つける。(面白そうだな、これは)と思った奴は早速、それを見始める。なんと自分の妻の百合江が出ているではないか。(おお。気持ちよさそうにセックスしているな、百合江。なに・・あんなに乱れた裸身はオレにも見せたことが無いのに・・・。騎乗位に後背位、駅弁売り体位、モザイクも薄い・・・男優の目にはボカシが入っているが何処かで見たような気もする。それにしても数十回はイッた百合江だ。)
帰宅した奴は妻の百合江を問い詰める。
「おい、おまえアダルトビデオに出たな。」
「ええ。あなただって浮気してるんでしょ。だから、わたしも・・・。」
「・・・・・。」
絶句する不倫課長。数日後に奴の部下の男性は
「課長の妻というアダルトビデオを見たけど凄いな。うちの課長の奥さんだよ、あれは、きっと。」
と仲間に話す。仲間は、
「本当か、それ。それならオレも見てみるよ。インターネットでも見れるんだろ?」
「ああ、見れるよ。おれさ、課長の分譲マンションに行って、奥さんを見た事があるんだ。」
「そいつは凄い、今日、会社が終わったら是非、見る。」
翌日、奴は部長に呼び出される。別室に行くと部長から、
「アダルトビデオに君の奥さんが出ているじゃないか。」
「・・・そのようです。申し訳ありません。」
「もう一度、出演するようなら君の進退問題にもなるからな。」
「はい、決して、そのような事には、ならないように妻に言い含めます。」
「そうしてくれ。それにしても君の奥さんの裸と乱れ方は凄いな。人気AV女優並だよ。男優がテクニシャンなんだろう。」
と好色な表情で部長は云った。翌日、又、奴は部長に呼ばれた。
「君は社長によって解雇された。理由は分かるかな。」
「分かりません。妻のアダルトビデオの件ですか。」
「違う。君は部下の新人社員と不適切な関係を持っていた。昨日、それを新人社員が社長に話したんだ。」
言い訳の仕様もなく奴はクビに、なった。
再就職を探したが見つからない。新就職先では前職場の退職理由を本人ではなく、前職場に連絡して尋ねるからだ。失望した奴の遺体は睡眠薬を多量に服用した死因で発見された。それはネットニュースでも報じられて不倫子も、それを読み溜飲を下げた。
どうだい?この話。)流太郎は心の中で、
(それは凄いね。で、あんたはアフリカの精霊なのか。)
(いや、いや。アフリカの精霊に、それほどの力があるのかどうかは私は分からない。ただ私はシリウスに近い星の高度に発展した星から来た人工的に作られた精霊なのだ。私の御主人に地球で活動するように命ぜられたのでね。光よりも速く飛べるし、霊体なので食べ物や飲み物も要らない。地球での活動は御主人様に報告する。シリウスに近い星に帰還したら。私の御主人様は霊能者なんだ。)それに対して流太郎は、
(それで。僕の役に立ってくれるのか。あんたが。)
(ああ、役に立つとも。出世するよ。あんたは。自衛隊の地下組織、情報第三部隊に委託的に関わっているだろ、あんた。)
(なんで、そんな事を知っている?)
(まあまあ。理由は知らなくても、いい。そして最近、参謀本部の軍田大元帥を暗殺益する話を聞いたね?)
流太郎は腰の関節が外れるような程、驚き、
(どうして、そんな事まで・・・)
(まあ、理由は知らなくていいよ。だからこそ、その軍田大元帥暗殺益に私が貢献できると言いたいのさ。いいね?)
流太郎の顔に喜びが溢れて、
(いや、ありがとう。)
(では、私を自衛隊情報第三部隊に連れていくように。)
(そうしますよ。よろしく頼みます。)
時流太郎はアフリカ人形を手に取ると背広の上着のポケットに入れた。それから専務の釣次郎の方を向くと、
「自衛隊に行ってくるからな。留守番を頼んだよ。」
「はい、いってらっしゃい。」
自分が持ってきたアフリカ人形が自衛隊の根幹を変える事に活躍するとは、その時の釣次郎は想像さえしなかったのであった。
フレッシュアイランドの陸上自衛隊情報第三部隊に歩きつくと流太郎は七谷教官にアフリカ人形を見せた。机の椅子を立ち上がると教官は興味を示して、
「珍しいな。変わったものだね。」
流太郎は、
「実は、このアフリカ人形は只の人形では、ないんです。自分に思念で話しかけてきました。」
七谷の目は鋭く光り、
「ほーお、そうかね。それで何を話したのか。」
「軍田大元帥の暗殺に貢献できる、と話しました。」
七谷は、
「すごいな。それに、その計画を知っているとは・・・。君の妄想じゃないのか、と疑うのが常識だ。だが私は、そうは疑わない。何でも、やってみないとな。結果は分からないものだ。計画の責任者は湖水一佐だが、作戦そのものは私に任されている。うん、アフリカ人形で軍田大元帥を葬(ほうむ)られるのなら試してみたい。」
その時、七谷一尉の心の耳にアフリカ人形の声が聞こえた。
(よう。私がアフリカ人形のモガベだよ。初めましてだな)
七谷一尉は奇異な顔をして心の中で
(初めまして。私の声は聞こえますか。)
(ああ、よく聞こえるよ。)
(我々の計画である軍田大元帥暗殺について協力して下さるのですね。)
(もちんさ。それには、まず第一に私を軍田大元帥に会わせてくれないとな。)
(分かりました。私が直接、軍田大元帥の所に行くのは難しいので少々、お待ち下さい。)七谷一尉は机の前の椅子に座ると固定電話で連絡する。
「湖水一佐、七谷です。急な話ですが今から参ります。はい、ただちに。」
七谷一尉は立ち上がると時流太郎に近づいて、
「アフリカ人形を借りるよ。」
と右手を差し出した。
アフリカ人形・モガベは七谷一尉の手に渡る。七谷は「君も出てくれ。講義室で待っていなさい。」
と指示すると足音も高く七谷一尉は湖水一佐の待つ部屋へと向かった。その部屋は、そんなに遠くではなく二分もすると七谷一尉は到着した。湖水一佐の部屋は七谷一尉の部屋の八倍は広い。ゆったりと椅子に腰かけた湖水一佐は四十代前半の顔を三十代の七谷一尉に向けると、
「急な話とは、もしかしたら軍田大元帥の件か。」
と鋭く指摘した。七谷は上着のポケットからアフリカ人形を取り出すと、
「はい、軍田の件です。このアフリカ人形は何と軍田消滅計画を知っています。」
湖水一佐の目が輝いた、そして、
「そうか、普通なら馬鹿馬鹿しいと否定される事だな。だが私はオカルト好きというよりもオカルトマニアな程だ。そのためとも言えないけど通常の指揮過程を外されて情報第三部隊長を任命された。いわゆる呪いのアフリカ人形なのだね。」
その時、湖水一佐の脳内にアフリカ人形の声がした。
(そうだ、湖水さん。私はモガベ。実はシリウスに近い星で作られた人工精霊なのだ。)
湖水一佐が、それほど驚かなかったのも、彼は降霊会のようなものに参加していたりしたからだ。湖水一佐は頭の中で(ようこそ、モガベさん。いやモガベ様。私は情報第三部隊長の湖水一佐です。軍田大元帥暗殺計画を御存知のようですね、モガベ様。)
(ああ、知っている。でも、この時点では私は何も出来ない。そこで軍田大元帥に会わせてくれ、という事だ。それに暗殺というより殺益と呼ぶべきだな。)
(なるほど、そうでございますね。殺益。全くで御座います。分かりました、軍田大元帥に今から会う予定です。モガベ様。わたくしの制服の上着のポケットの中にご滞在ください。軍田の部屋に入ったらモガベ様を取り出して軍田に見せてやります。)
(うん、そうしてくれ。)湖水一佐は七谷一尉に、
「そのアフリカ人形を私に渡してくれ。軍田大元帥に見せるためだ。」
と指示、七谷一尉は無言でモガベを湖水一佐に手渡す。湖水一佐は立ち上がると、
「今から軍田大元帥に会いに行く。君も、この部屋を出るんだ。」
と命令した。軍田大元帥の部屋は、そもそもフレッシュアイランドの基地内には、ない。福岡市中央区の福岡城の地下にある。それなので湖水一佐はスマートフォンで軍田大元帥に連絡をして面談の約束を取り付けた。フレッシュアイランドの地下から湖水一佐専用ジープで福岡城の地下まで通じている道路を走っていく。トンネルの内部より明るく照明された広い地下道路を走っているのは湖水一佐の専用ジープだけだった。時折、逆方向から専用ジープが走り過ぎたが、極めて少ない車両だった。福岡城まで時速100キロメートルで走る専用ジープは太陽光と電池を両方使える自動運転も出来る最新型のジープだ。自衛隊の車両そのものも電動式に切り替わっている。地下道路の照明も自衛隊独自で給電している太陽光発電システムに、よるものだ。
そして何と運転手はロボット運転手である。運転自体は自動運転で行なわれている。福岡城の地下にある参謀本部までの道のりは、そんなに遠くはない。到着して湖水一佐は顔を見せるだけで警衛は門を通してくれた。兵舎は廊下も地下なのに昼間のように明るかった。軍田大元帥の部屋までは少し歩く必要がある。その部屋の扉の前に立ち、モニターカメラに湖水一佐の顔が映されると中からインターフォンで軍田大元帥の声が、
「湖水君、入り給え。」
と声を掛けた。ドアノブを捻って湖水一佐は部屋の中に入る。なんと広い部屋である事か、そこは百坪は、あろうかという広さだった。天井も高い。壁面に映画館のスクリーンと思われるようなパネルが設置されている。パソコンは横並びに十台は設置され、背後にはスーパーコンピューターと思われる巨大な機器が聳え立つ。部屋のドアのすぐ近くには応接用の長椅子とテーブルが客人を迎えるかのように並べられている。何処からともなく現れた軍田大元帥は快活な態度で湖水一佐に、
「よく来たね。湖水君、そのソファに座りなさい。」
と話す。言われた通りに長椅子に座った湖水一佐の前に軍田大元帥は腰かけると、
「話とは、何かな。」
「実は大元帥。珍しい人形を手に入れたのです。これです。」
と湖水一佐は発言すると制服の上着のポケットからアフリカ人形のモガベを取り出して軍田大元帥に見せる。軍田は興味深い顔で、
「なにやらアフリカの人形だね。不思議な雰囲気を持っているなー。これが自衛隊と何か関係があるかな、湖水君。」
その時、軍田大元帥の耳の中でモガベの声がした。
(こんにちは、軍田大元帥。私はアフリカ人形のモガベだ。)
軍田大元帥は奇異な顔をすると湖水一佐に、
「空耳かな。私には、この人形が話しかけたように聞こえたけど。」
(空耳ではない。私の声だ。軍田大元帥、あなたは日本紅党の桜見・世子と関係を持っているだろう。)
(なぜ、それを・・しまった!聞こえたかなモガベ殿。)
(よく聞こえたよ。もっとも君が私とテレパシー的に話せるのも私が君を霊的に活性化しているためだよ軍田君。)
テーブルの上に置かれたアフリカ人形のモガベは淡々と指摘した。軍田は、
(そうだったのですか、モガベ殿。私には霊的能力など、ないと思っておりました。)
(ないようだね、軍田君。私の霊的な援助で君は私と会話できる。)
自信を失う軍田にモガベは(桜見世子の父親が陸上自衛隊の陸将であった事に好感を持った君は桜見世子とラブホテルに行った。)
反論しない軍田大元帥は事実を認めたようなものだ。モガベは(そこで行なった行為は後々、知られていくだろうが、それよりもオタクは日本紅党を支持する事に、したんだな。)無言の軍田大元帥にモガベは続ける。
(そのような事を非難する気は私には、ない。それよりもアンタには初恋の女性が、いた。婦人自衛官の。そうだろ?)軍田は無言で頷く。モガベは(アンタは防衛大学校の一年生、彼女は防衛大学校の近くの陸上自衛隊の駐屯地に入隊したばかりの18歳の女性だった。美人でモデル体型の彼女と交際を始めたアンタだったが彼女は一か月後に交通事故で亡くなった。そうだな、軍田君。)
軍田大元帥は驚愕で動揺する眼を上げた。そして思念で(どうして、そこまで分かるのですか)モガベは、
(すべてアンタの脳内に記録されているんだよ。私は、それを読むというか見ることが出来る。)
(そうなのですかーっ。どうか私の守護神になって戴けませんか)(それは無理だな。でもアンタを喜ばせる事は、してあげよう。それには金が必要だけどね。)(いくらでも出します。モガベ様。)(それでは見積もりなど出しておこう。湖水君に報告させる。)(ありがとうございます、モガベ様。)(おう、それでは後程(のちほど)にな。)それからモガベは湖水一佐にだけ聞こえるように(湖水君、帰るぞ。)湖水一佐はテーブルの上のアフリカ人形のモガベを手に取ると制服の上着のポケットに入れた。そして立ち上がると、
「それでは軍田大元帥。失礼します。」
と挨拶すると踵を返して大型すぎる部屋を出る。それから長い廊下を歩いて兵舎からジープの待つ駐車場へ行き、ロボット運転手にフレッシュアイランドの駐屯地に帰るよう指示する。明るい地下トンネルからフレッシュアイランドに戻ると湖水一佐は七谷一尉に自分の部屋に来るように連絡した。