sf小説・体験版・未来の出来事16

 雲飛は自分の坊主頭をツルリと右手で撫でると、次に、きな子の爆弾のような胸を左右、それぞれを揉む。それから両手で彼女の両胸を同時に揉みしだく。きな子は服の上からとはいえ乳房を揉まれる心地よさに、
「あっ、はっ。気持ちイイ。」
と声を出すと、顔をのけ反らせた。雲飛は立ち上がると自分のズボンとパンツを外した。彼の巨大な肉砲身が全部、きな子の目に映った。(すんごく、太いのね。)と、きな子は思う。僧侶の勃起ペニスを自分の目で見たのは初めてだ。他人の目で見る事は、そもそも、出来るのだろうか?この坊さん、自分とセックスするつもり、だろう。独身の僧侶ならキャバクラにも来るだろうし。それにしても坊さんがチンコ立てて上着だけ着て自分の前に立っているなんて構図は今まで考えた事も、なかったわ。
雲飛は、きな子に、
「おれのモノを見て、セックスする気になっただろう。」
とダメ押しをするように訊く。きな子は、
「ええ、そうみたいですね。」
と投げやりな返事を返した。雲飛は、きな子を抱きかかえるようにして立たせた。それから自分の両手を雲飛は激しく動かして、きな子の上着とスカートを脱がせた。白いブラジャーとショーツだけの全身になった、キャバ嬢の、きな子。どちらも薄い下着なので彼女の赤い乳首と黒の陰毛、それに股間の食い込んだ縦筋は雲飛の目にも明らかに見えた。雲飛は自分の上着とシャツを脱ぐ。全裸になった彼は下着姿のきな子を抱きしめると、分厚い唇を彼女の赤い小さな唇に押し付けて濃厚に口づけを続ける。
 その部屋にも寺らしく仏像があり、その前には経机とリン、など本格的な仏具が並んでいる。
 雲飛は右手を、きな子の股間に入れるとジンワリとショーツは濡れていた。そのショーツを勢いよく雲飛は下に下げると、膝の辺りで、きな子は交互に足を上げてショーツを外した。黒く濃い林のような陰毛が、きな子の淫唇の上に繁茂している。
 雲飛は、きな子を抱きかかえると仏像の前に二人で移動すると、雲飛は自分の両膝を開いて正座した。その上に豊満尻を抱かれた、きな子が両脚を開いて座ると雲飛の股間からニョキリと屹立した肉欲棒、肉欲如意棒が彼女の股間の中心を貫く。二人は仏像の前で合体した。雲飛は彼女の尻を抱いていた両手を、きな子の背中の上に持って来ると合掌した。そして、きな子にも、
「合掌しなさい。きな子。」
と促す。きな子は素直に合掌した。雲飛は合掌した両手を外すと、きな子に、
「合掌を、やめていい。今から動くから、しっかりと私につかまっていなさい。」
と話した。きな子の両手は雲飛の裸の背中に回され、そこをしっかりと抱く。その途端、正座した雲飛は裸の腰を動かし始めた。結構な揺れが、きな子の全身に来た。それは彼女の淫洞窟内を刺激し、快楽を与える。仏像の前でのセックスは、きな子にとっても初めてだったのだ。前後左右に揺れる、きな子の白い裸身は彼女の黒い長い髪と同じく乱れ始める。彼女は赤い唇を開くと、
「あああっ。浄土に行きそうっ。」
と切なげに声を上げる。
雲飛はリンをチーン、と鳴らすと木魚を叩き始めた。右手で木魚を叩き、ポク、ポク、ポク、左手で経文を手に取ると読経を始める。と同時に雲飛は自分の腰を動かすのだ。
『愛欲自在経』
を雲飛は読み上げている・・・。

 所は変わってチベットの流太郎とトントンプー村長は会話を続けている。流太郎は聞きなれない言葉に、それを聞き返した。
「愛欲自在経、ですか。聞い事もない、お経ですよ。」
トントンプー村長は得たり、賢しと、うなずき、
「日本人の、ほとんどは知らんのじゃけどのう。チベット仏教のゾクチェンに、それがあるよ。愛欲自在経を読経しながら女人と交われば生きながら極楽を悉知する、と。」
「はー、極楽三昧ですね。それは、いい。」
「チベット仏教の一つの神髄かと思う。日本の坊主は哀れ、と、わしらは思うとるのじゃが。昔の日本で吉祥天の木像に夢精しよった坊主が、いるという。実際の話でな。それよりもチベット仏教のゾクチェンでは愛欲自在経を読経する際の相手の女は美女を第一義とする、あるのじゃ。」
流太郎は感心して、
「トントンプー村長はゾクチェンを学ばれたのですか。」
と訊いてみると村長は、
「ああ、少しな。だが実践は、しておらん。日本の坊主で愛欲自在経を読経するものも、福岡市郊外の寺におる、という話は聞いているがな、雲・・・なんとかいう坊さんらしい。チベット仏教のゾクチェンを修行して日本に帰ったという。時さん、時に、あんたは福岡市に住んでいるそうじゃな。」
「ええ、福岡市東区香椎ですけど。」
「その坊さんは西の方の郊外にいるらしいな。帰国したら会ってみるのも、いいかも知れん。」
「ええ、そうしてみますよ。」

 福岡市郊外の雲上山、栄海寺での雲飛の、きな子との坐位セックスは頂点に達しようとしていた。射精をこらえるために雲飛は、きな子を抱きかかえて立ち上がり、なおも左手と右手には愛欲自在経と木魚を叩く棒を持っている。この棒はバイというバチが正式名称だ。それらの仏具も、ここの栄海寺にあるものはチベットのものらしい色彩がある。雲飛は射精を、こらえられなくなったのか急速に座り込むと、バイでリンをチーン、と鳴らし、
「愛欲成就、快楽即極楽。」
と愛欲自在経を唱え終わると、正座したまま、きな子の豊満尻の中に連続で二回、射精した。
 二人は快感の渦に巻き込まれたように、しばらく陶然としていたが雲飛の如意肉欲棒も次第に縮小したので、二人は合体から離れた。
 雲飛は裸体で正面からもたれている、きな子に、
「もし貴方が妊娠したら、それは当寺にとっても喜ばしい事ですから、連絡をください。決して堕胎など、せぬように。」
と念を押す。きな子は、
「出産したら、引き取ってくれるのですか。ここへ。」
と真顔で聞く。雲飛は余裕綽々と、
「無論ですよ。貴女が育てますか?」
「いいえ、引き取ってください。その方が、いいと思います。」
雲飛は満足した。もっと、きな子に射精したかったが、妻の快念とのセックスの場合は、これで終わりなので続ける精力も出ない気が雲飛には、した。雲飛は立ち上がると部屋の隅にあるタンスのなかから僧衣を取り出すと下着を着ずに、僧衣を身にまとい眼鏡を取る。
そこには普通の僧侶らしい姿が、あるだけだった。きな子はショーツを履き、ブラジャーをつけて、衣服を着たけれども。

 再びチベットに戻って、トントンプー村長と流太郎は話を続けている。村長は、
「キミには自由行動も必要かも知れん。どうだい、外に出てみないかね?」
と予想外の提案をした。流太郎は、
「外に出るって、いっても僕はチベット語を知りませんから、何かの際には困りますよ。」
と抵抗する。村長は、
「いや、なに。そこが面白い処でな。私が渡す眼鏡とイヤフォンを身に着けて外出すれば、いいのさ。」
と自信ありげな様子だ。流太郎は、
「なぜ、そんなものを身に着けるんですか。伊達眼鏡と何のためのイヤフォンでしょう?」
「君がチベット語を知らないと云うからさ。ついでにマスクも、していくんだ。」
「眼鏡にイヤフォンに、マスク。それでは病人に見られます。」
「そう見られてもチベット語が分かれば、いいだろ?お金も多く渡して置こう。キャバクラも街には、あるよ。入って見るように。」
そういう訳で流太郎はトントンプー村長の渡した眼鏡、イヤフォン、マスクをして街に出た。不思議や不思議、なんと不思議にも街の看板の字が眼鏡を通すと日本語に見えるのだ!信じられない、というか、このあたりの看板は日本語のものもあるのかと思い、流太郎は眼鏡を外した。すると看板の文字はチベット文字で、一語も理解できない言葉が看板にあった。又、眼鏡を掛けると、そのチベット文字が日本語になるという何とも不思議なメガネだ。
(こりゃ不思議、というより便利だな。)と流太郎は思いつつ街を歩く。露天商から荷台に乗ったトマトを一個買うと、それを食べる。うまい、そう思いつつ歩き始めた流太郎は、やがて繁華街の中にキャバクラらしき店を見つけたのだ。
 チベット一のキャバクラ、ルナルナ、と、ある。眼鏡を外せばチベット語で書いてあるのだろうが、外したら読めない文字になるから今度は眼鏡は外さない。
 店のドアを開けると、すかさず、その店のチベット人のマダムが呼びかける。
「いらっしゃいませ!ようこそ、あら、日本の方のようね、チベット語、分かりますか。」
流太郎はチベット語など一語も解さない。すると、今のは日本語ではなかったのか。もしや?と思い、日本語で話してみた。
「分かりますよ。今、あなたが話したのはチベット語でしたでしょ。」
それが流太郎の耳には分からないチベット語で相手に通じたらしい。彼の耳には日本語で聞こえているけど。
マダムは目を丸くして、
「まあ、上手なチベット語を話しますね。もちろん、私は日本語は話せません。」
と話す言葉は流太郎の耳には、すべて日本語で聞こえる。トントンプー村長から貰ったイヤフォンは言語を自動変換して耳に伝えるらしい。そしてマスクは喋る日本語をチベット語にする。流太郎は、
「あなたのチベット語も解りますよ。出来ればナンバーワンの女の子を呼んで欲しいな。」
と要望すると、マダムは、
「はい。まだ時間も早いから、ナンバーワンのチェリネを行かせます。一番奥の席に、どうぞ。」
と右手で奥まった上等な場所を指し示した。
 その場所の、ゆったりとしたソファに座ると、チベット美女のチェリネが自分で盆にグラスを二つ乗せて、やってきた。彼女は流太郎の横に座り、グラスに酒を注ぐ。チベットビールだ。
男性のボーイが「トゥクパ」という日本のラーメンみたいで麺が細いうどんのような料理を持ってきた。チェリネは、
「あなた日本人みたいだけど、チベット語うまいらしいですね。」
と話しかけてきたので、流太郎は、
「そうかな?自分でも、よく分からないよ。」
と日本語で話すと、それはマスクを通してチベット語に同時に変換されるから流太郎の耳にもチベット語でしかない。チェリネは、その言葉を聞いて、
「とてもチベット語が、うまいよ。おにいさん。」
と手放しで褒める。
「そうかい?それは嬉しいな。」
兎に角、話してみるしかない。
「くだけたチベット語も素敵。日本から何故、チベットに来たの?」
プロキシマb星人と地下鉄で来た、などとは答えられない。
「ん?社用だよ。ぼくはサイバーセキュリティの会社に勤めているんだ。」
「サイバーセキュリティって、何のことか、分からないわ。」
「インターネット関連さ。」
「ああ、インターネットね。わたしも、お客さんとインターネットで、やりとりしてる。」
チェリネの肌は白く、髪は波だって目は漆黒より少し灰色がかっていて神秘的だ。胸の膨らみが目立つ服を着ている。流太郎は、
「何人も、お得意さんが、いるんだろうね。」
と訊いてみると、
「十人は、いるのよ。対応に大変よ。」
「今日は、僕が一番乗りだね。」
「そう、なりますけど。マスクを外して、お酒を飲みませんか?」
「ああ、そうするよ。」
流太郎は白いマスクを口から外して、チベットビールを飲む。うまい、と思ったらチェリネが、
「日本のビールと比べて、どうですか?」
と訊くので、
「とても、うまいよ。」
と日本語で話した。チェリネは、それを聞いてキョトン、とした顔になる。日本語が分からないのだ。慌ててマスクをすると流太郎は、
「とても、うまい。日本のビールは日本で飲むためのものだね。比較は、難しい。」
と日本語で話しても、その不思議なマスクはチベット語に変換してチェリネの耳に届くのだ。彼女は、それを聞いて、
「よかった。さっきの言葉は、日本語ですか。わたし、少しも分からなかったけど。」
「ああ、そう日本語だった。つい、うっかりして話してしまったね。これからは気を着けよう。」
「いつまでもマスクをしているのは変だわ。料理も食べて欲しいのに。」
「あ、そうだね。食べる時は外すよ。」
「病気なのですか?風邪とか、そういう状態にあるの?」
「そ、そーだね。マスクなしでは、いられないんだ。」
「えー、そうなの。お大事に、してね。」
と云う風に、何とか流太郎は逃げ切った。マスクなしではチェリネとの会話は成り立たないのだ。マスクを外して流太郎は急いで料理を食べた。そして又、マスクをする。
 チェリネは喜んでいるようだ。自分の腕を横にいる流太郎の腕に当てると、
「今日は早く帰れる日なの。わたしの家に、一緒に来ない?泊まって行っても、いいから。」
と意外な話を始めた。

 チェリネの家まで彼女と歩いている流太郎である。午後二時くらいか。キャバクラで働いている彼女は高級マンションで一人暮らしをしているのだろう、と流太郎は思いを巡らせつつ歩く。街に見える看板の文字は総て日本語に見えるのでチベットにいる事を忘れるようだ。こんな凄いメガネを村長のトントンプーは持っていたのだ。それからマスク、イヤフォン。これらも日本語に自動変換する機器なのである。
チベットには一万歳を超える人が何処かにいるという話がある。超絶した文化があるのだろうか。トントンプー村長は、それで、そういうものを所持しているのか。地底王国シャンバラの入り口はチベットにある、という噂もある。
 美人のチェリネは人目を惹く。それで彼女の隣を歩く流太郎も注目されるが素顔でないから幾分、(´▽`) ホッとする。ポタラ宮殿に似た寺院が見えた。チェリネは、その寺院を指さすと、
「チベット密教の寺だけど、興味あるかしら。」
と流太郎に歩きながら質問した。流太郎は、
「ああ、ありますよ。日本の密教とは違うんでしょう。というか、そもそも密教って何だか知らないけど。」
「興味があれば、それでいいの。あそこに入れば分かるわ。」
「観光では入れるのかい。拝観料が、いるんじゃないのかな。」
「あの寺が、わたしの実家よ。」
その一言に流太郎はガツンと脳に一撃を食らった。それで黙ってチェリネに、ついて行く。大きな寺だった。中に入ると参詣客も多い。その人たちを横目に見ながら僧院の中に入るチェリネを流太郎は追う。
 僧院の中は誰もいなかった。チェリネは自分の部屋らしき広い部屋のドアの前に立つと流太郎に、
「わたしの部屋に入りましょう。」
と誘う。流太郎は、うなずく。
靴を履いたまま、二人はチェリネの部屋に入る。ベッドや机は部屋の隅にある。奥に仏像が、あった。チェリネは衣装ダンスの前に歩くと、私服を脱ぎ始めた。すぐに下着姿になり、形のいい乳房が薄いブラジャーに覆われているのが見えた。横幅の広い大きな彼女の尻はスカートを脱ぐと、プルンプルンと揺れる。
一旦、下着姿になるとチェリネは流太郎の方を向いて立った。股間のショーツには陰唇のスジがクッキリと浮き立っている。流太郎との距離は二メートルほど。彼女の乳首も浮き立って見える。
流太郎は少しずつ自分の股間に前進の血液が集まるのを感じつつあった。チェリネは衣装ダンスの中から僧服を取り出すと、それを着る。さっきの下着姿は見えなくななり、女僧とでもいうべき雰囲気のチェリネになった。流太郎の股間の充血は分散した。チェリネは、
「わたしは、この寺院の院長の娘なの。キャバクラには週に何回しか、行かないわ。それ以外は、この僧院で修行か仕事をしています。」
彼女は黒髪に手をやると、右手でスッと髪全体を引いた。パカッと取れたのは彼女のカツラだった。日本の尼僧のように剃毛していず、スポーツ刈りのようなチェリネの頭部である。流太郎は、
「ぼくは、このままでいいですか?マスクとか取った方が、いいかな、と。」
と云ってみる。そうすると言語による意思疎通は出来なくなるのだろうけれど。チェリネは両肩を西洋人のように、すくめて、
「そのマスクをしているから、チベット語を喋れるんでしょ?」
と指摘した。なんだ、知っているのか、と流太郎は思った。
「そう、そうなんですよ。これが、ないと僕はチベット語が話せません。」
と言い、右手の人差し指で自分の白いマスクを指さした。それを見るとチェリネは婉然と微笑み、
「チベット語を話さなくてもいい世界に連れて行ってあげられるわ。そのためにもチベット密教、ゾクチェンの修行をしましょう、今から。」
と流太郎を、いざなうのだ。

 その部屋で流太郎はチベット密教の僧服をもらい、身に着けた。プロキシマbに行くはずでは、なかったのか、と思い出すが、こういう展開も悪くはないのかもしれない。
 結跏趺坐という胡坐(あぐら)に似た姿勢で座り、両手の指を組んで瞑想をする事を流太郎は習った。曼陀羅を指で作るやり方がある。それをチェリネが自分の手で、やるのを真似て流太郎も組めるようになった。
 チェリネは大きな窓を開けた。流太郎の視線は窓の外に出た。丘の上に立っている僧院は、下の方にある街並みを見下ろせた。チェリネは、言う。
「空を見るように。そして何も考えないで。もしも何か、思いが浮かんでも、そのままにしているように。それが、ゾクチェンの瞑想です。」
流太郎は、なるほど、そういうものか、と思った。窓の外に見える赤い建物がチベットの僧院だ。ここの他に、いくつも見える。日本と違って僧の衣服も赤色なのがチベットの特色だろう。真紅というより、えんじ色の赤だ。チェリネも今は、その赤の僧服を着ている。流太郎も身に、まとっているのは赤色の僧服だ。
空を見ていると、ぼーっとしてきた。何も考えが浮かばない。それで、いいのだろう。これがゾクチェンの瞑想なのだ。おや?
流太郎は股間に手を感じた。柔らかい手の感触。その手は流太郎の、おとなしくしている男性器を撫で始め、柔らかに掴む。そして軽く、しごく。チェリネが後ろから流太郎の股間に手を伸ばしているらしい。やがてムクムクと起き始める流太郎のイチモツ、それをグン、と柔らかな手は握ると、次に流太郎の僧服の股間の切れ目から隆起してき始めた肉砲を僧服から出した。マスクをしている流太郎は、
「チェリネさん。何をしているんだ。」
と声を出すと、後ろのチェリネは、
「声を出すと思考が乱れるでしょ。何も考えないで、と言ったわよね。この位で瞑想を止めては、いけない。」
と、たしなめる口調である。
チェリネの右手は柔らかく、気持ちいい。何も考えるな、というのは無理だ。チェリネの手の皮膚は彼女の膣の感触を連想させた。何も考えずにいるとチェリネの全裸を想像した。全勃起しても射精を耐え続けるとチェリネの右手の動きは止まった。彼女は、その場を離れると仏像の祭壇の前から絵のような物を持ってきて、
「これはタピリツァというものです。」
と話すと、その宗教画を流太郎に見せた。仏らしい人物が結跏趺坐を組んでいる。その姿の周りは虹色で囲まれている。驚くべき事に、その仏は全裸であり開かれた股間からは勃起した男根が屹立しているのだ。巨根の仏の男根、こういうものは流太郎は初めて見る。チェリネは、もう一枚の宗教画を持っていた。それを次に流太郎に見せる。
そこには結跏趺坐して勃起した仏に両脚を広げて跨っている若い美女が描かれている。彼らは互いに見つめ合い、座ったまま結合しているのだ!チェリネは、
「チベット密教では肉食を認め、性交も否定しません。むしろセックスは悟りへの一番の近道だと、します。だから私達も、そのうちセックスしなければ、なりませんね。でも、今少しの時間は要します。何故なら、貴方もチベット密教のゾクチェンに習熟しなければ、ならないからです。」
と教え諭した。チェリネの豊満な胸は赤い僧服の上からも、ハッキリと見て取れる。流太郎は、(自分は勿論、チベット密教の初心者だ、やれやれ、これから、どうなるのか)と慨嘆する。僧服の股間から自分もチンコを出しているままで、このままで、いいのか、とは思うのだが。チェリネは、
「今日は、この辺で、いいでしょう。チンコも服の中に、しまってね。」
と云うから流太郎は、そうした。その前に威厳を持って立ったチェリネは、
「わたしの名前はラマ・チェリネ・リンポチェ、と言います。」
と正式な自分の名前を開陳したのだった。
 その日からチベット密教の僧侶としての生活を始めさせられた流太郎である。その日の晩の食事の豪華な事、日本人なら坊主の食事は質素なものだと一般的に思われる。でも、それは日本の話。ここチベットでは僧侶の食事は近くの住民が寄付してくれる。裕福な家程、寄進も多く高価な食べ物が寄付される。チェリネの僧院は特に周辺に富裕な邸宅が多いため、その寄進される食べ物は豪勢なもの、ばかりだ。食卓にはチェリネの父、ラマ・アルビン・リンポチェも現れた。チェリネが連れて来た流太郎を見ると、
「おや、日本の方かな?体験としてチベット密教を修行するのも、よろしい。」
と鼻髭を揺らせてアルビン師は云う。流太郎が本気ではないのは見て取ったようだ。それから、
「風邪でも引いているのかな?お大事ね。」
とアルビン師は云う。さすがに、そのマスクは日本語を自動的にチベット語に変換するものとは気づかない。流太郎は、
「風邪は引いていません。このマスクは日本語をチベット語に変換翻訳してくれる不思議なものです。僕はチベット語を知りません。」
と話すとアルビン師は云う。
「そうなのかね。日本は技術の国だとは知っているが、そんな便利なものも出来たんだねえ。」
流太郎は、
「いえ、日本のモノでは、ありません。トントンプー村長に、もらったのです。」
アルビン師は云う。
「そうか、村長も不思議なものを持っているのう。あ、一人娘のチェリネだよ。わたしも君を指導したいが、中々、忙しくてね。チェリネが指導するから。」
それからテーブルの上に山のように積まれた御馳走の数々を三人で平らげていく事に、なった。

 個室といっても四畳半の部屋を与えられた流太郎。仏像が林立する部屋ではあるが、その仏像の股間は総て勃起した道具を表している。中に結跏趺坐で若い美女と交合する仏像もある。
なんという展開か。籾山に命じられたのはプロキシマbへの出張だったはずが、チベット密教の僧侶として修業するようになるとは。
 次の日の朝、又、豪華な朝食を三人で食べた後、チェリネは、「今日は午前中に葬式があるの。わたしは、そこで読経しなければ、ならない。あなたも、ついてきなさい。」
と流太郎に話した。チェリネの父、アルビン師は静かに微笑んでいる。
 
 チベットの高地平原での葬式は死体を解体してのものだ。赤い広い布で遺体を隠して解体するが、その死体の匂いにハゲワシ達は集まって来た。少し離れたところで待機する鳥たち。
チェリネと流太郎は解体される遺体の近くにいた。赤い布を取り払うとハゲワシが一斉に遺体に集まり、それを食べ始める。チェリネは読経を始めた。流太郎も眼鏡を掛けているからチベット語の経文は日本語に見える。それをマスクをしたまま日本語で話すと、チベット語の読経になる。
死臭は、ものすごく、流太郎は懸命に耐えるのだった。
日本の坊主の葬式は、はるかに遣り易い環境にある。そもそも日本の仏教は葬式が一番の収入源だ。それを楽々、行い高収入であるから、それをチベットの鳥葬と比べれば極楽かもしれない。
 流太郎は日本でも葬式には出た事がないので初体験だった。鳥が食べられるように骨まで細かく砕くため、遺体は何も残らなかった。

 葬式の後は信者の家に呼ばれていたらしく、街から少し離れた場所の大きな民家にチェリネと流太郎は入った。葬儀の死者の親戚の家だった。三十路の女主人のような女性が、
「ようこそ。おいでくださいました。今日は私の夫も仕事を休んで、今朝の葬式に出たものですから家に居ります。あなたっ。」
と広い応接室の外に声を掛ける。すると応接室に入って来たのは三人の男性だ。三人の男の顔は、よく似ている。チベット人らしく陽に焼けた顔ばかりだ。女主人は、
「大した、おもてなしは出来ませんが、少しは出来ます。チェリネ・リンポチェに見せたいものがあります。隣の若い、お坊様にも。」
と打ち明けるように話す。チェリネは座ったまま、目を輝かせて、
「ええ。是非、見せてください。」
と促した。
女主人は三人の男性に目配せした。すると三人の兄弟のような男は長男らしい男が女主人の後ろに立つ。続いて、次男、三男らしき男が並んだ。それを後ろを向いて確認した女主人はスカートを降ろしたのだ。その下には何も彼女は履いていなかった。豊満な尻と、その前の濃い草むらが現れる。チェリネと流太郎は彼らの横姿を見ている。
 女主人の後ろの男がズボンを脱ぐ。パンツの股間は膨らんだ彼は、女主人の尻の穴に自分の陽肉を入れた。彼は腰を振り始め、三分ほどで射精する。そうすると彼の後ろの男と入れ替わり、次男のような、その男もズボンとパンツを脱いで女主人に挿入する。二人の尻は連携して動き、又して三分で射精。
その男も後ろにいる三男らしい男と交代して、同じように尻を振り始める。女主人は流太郎を横目で見ると、
「男の御坊様。わたしに前から入れてください。」
と懇願した。
余りの展開に流太郎はチェリネを横目で見ると、チェリネは、うなずき、行け、という顔をした。後ろから尻の穴に入れられている女主人の前に立ちあがって行った流太郎は、彼女の淫芯が男を誘うように口を少し開けているのを見た。その途端に自分の男根が隆起したのだ。それで彼はズボンとパンツを脱ぎ、女主人と立ったまま結合する。彼女の後ろでは男がグングンと尻の穴を攻めているので、その律動に流太郎も腰の動きを合わせた。女主人は尻の穴と膣の穴を同時に攻められて、快感が彼女の全身を走り巡っているらしい。
チェリネは座ったまま興味深そうに三人の尻の動くのを眺めている。突然、チェリネは言葉を発した。
「オム・マニ・ペメ・フム。性の法悦に至りなさい。オム・ターレー・トゥッターレー・トゥレー・スヴァハー。」
観音菩薩からターラー菩薩の真言がチェリネの口から唱えられると、三人の尻の動きが次第に早くなり、女主人は赤い口を開くと赤い舌を出した。後ろの男が彼女の乳房を服の上から揉みしだき、流太郎は舌を出して女主人の舌と絡め合わせた。絶頂に達した女主人は自分の陰唇と尻の穴を強く締め付ける。前後の二人の男は、その刺激に同時発射して果てるのだった。

 館を後にしたチェリネの銀行口座には、あの女主人からの多額の寄付金が振り込まれている。あの三人の男は兄弟で、しかも、あの女主人の夫なのだ。晩になると、長男、次男、三男の順でベッドに全裸で寝ている女主人に彼らも全裸で体を重ねていく。それで兄弟の性欲が一致する日には一晩、最低三人の男と、その肉棒を女主人は味わっている。チベットでは、こういう多夫一妻制が、あるわけではないが、地方によっては多く存在するのだ。
 チェリネは軽快に歩いていくので、流太郎は追いつくのに懸命だった。あの女主人も裕福な家らしい。多数の信者が、いなくても少数の富裕な信者がいれば宗教家としての生活は、成り立つ。流太郎は、さっきの女主人との交合でチェリネがマントラを唱えた時には至福の性感を覚えたのだった。(チベット密教のマントラは、凄い)と速足で歩きながら流太郎は思っていた。
 その辺りは広壮な民家が並ぶ高級住宅街だ。チベットに対する日本人のイメージは貧しい遅れた国、だろう。それは、かなりの部分、当たっているが、すべてのチベット国民が貧しいと考えるのは早漏、いや、早計である。日本にしても没落の道を歩み始めている。流太郎は日本にいる時に見たものを思い出す。

 福岡市長選挙が始まった。候補者は二人。一人は五十代の男性で元、有名証券会社勤務、重役にまでなった人物だ。東京にある、その会社を退社後、福岡市長選挙に立候補したのだ。当初、誰もいない福岡市長の立候補者だった。その唯一人の立候補者の名前は兜山円太郎という証券界に、ふさわしい本名だが街の噂にも唯、一人の立候補者である兜山の当選確実の声が挙がっていた。
しかし、だ。次に立候補してきたのは何と、ナント、驚きの・・・人工知能ロボット『福岡君』だったのだ!
彼は、といっても外見が男性なだけで、股間にイチモツがあるわけではない。下半身がないタイプのロボットだ。街の選挙ポスター掲示板には、古くからあるやり方だが兜山候補と福岡君のカラー写真が貼られる。それを見る福岡市民も驚きの反応だ。流太郎がチベットに来る前に二人(?)の選挙運動は始まっていた。
これまた昔からある遣り方の選挙運動で街宣車に乗り、スピーカーで自己紹介するというものだ。兜山は証券の営業で鍛えた声を使い、
「兜山で、ございます。どうか、わたしという銘柄に投資してください。お金は、いりません(笑)。選挙用紙に私の名前を書くだけで、よろしいのです。」
と福岡市中を車で回る。一方の福岡君は青い背広に赤色のネクタイで街宣車の助手席に座り、運転手は当然のようにロボット運転手だ。
「福岡市の皆さま、人工知能の福岡君、で御座います。この度、福岡市長選に立候補しました。皆様の力強い一票を是非、わたくしに入れてくださいますよう、お願いします。」
と四十代男性の声で話す。
それを見た市民はスマホで写真や動画を撮影して、SNSに投稿する者も、いる。そのため全世界的に福岡市長選に熱い視線が向けられるようになった。

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