SF小説・未来の出来事43

僕たちの先祖は男女ともに全員が注射を受けた。男性の宇宙人は、
「これで君達は自分の身長を伸び縮みさせることが出来る。というより縮む方が先で、今より伸ばす事は出来ないけどね。洞窟や、その他の場所で今の背丈なら不自由するだろう。試しに【縮め 身長】と念じるんだ。さあ、みなさん、やってみて。」
と皆に呼びかけた。
 それで僕たちの先祖は全員、頭の中で【縮め 身長】と念じたんだ。すると全員の身長が縮み始めて百五十センチの身長になった。
皆は小さい体になった事に驚いたらしい。僕の先祖も大いに驚いた。
・・・・・・と言うことで今日は仕事があるから服を着るよ。外出もするしね。」
とランルングは話して下着と服を急速に身に着けた。真理裳も全裸でベッドから出ると、
「わたしも服を着るわ。」
と白いショーツとピンク色のブラジャーを身に纏った。ランルングは小さな体で真理裳を見上げると、
「台所に行こう。食堂でもある場所へ、さあ。」
と話しかけ、真理裳に背を向けると応接室のドアを開けた。
 食堂は広くて十人は座れそうなテーブルに椅子が並んでいた。巨大な冷蔵庫からオレンジ色の液体が入ったコップとクロワッサン風のパンを真理裳が座る予定のテーブルの上に置き、
「そこに座って食べてね。飲み物は地下世界の果物のジュースだよ。マンゴーとメロンとオレンジの味がする、そういう果物が地下世界にあるんだ。僕は事務室で仕事を、してくるから。」
と言い置いてランルングは食堂を出て行った。
 事務室の天井の高い部屋でランルングはパソコンを起動させると、メールボックスを見る。求人に応募してくれた人が、いる。八王子の主婦で四十代、眼鏡を掛けた、おとなしい容貌だ。ランルングは(お手伝いさんの募集なんて応募してくれる人が、いるとは思わなかったのに早いな、決断が。)と思い、(面接に来たら即決しよう。)そう判断して、その主婦のスマートフォンに自分のスマートフォンで電話した。
「・・・、あ、有西さんですか?有西風世(ありにし・かぜよ)さんですね。ネットグッドサイエンスのランルングと申します。早速ですが面接に来ていただきたいのです。いつが、よろしいですか?え、今から?いいですよ、大歓迎です。時間は、どの位かかりますか?三十分くらい・・・分かりました。お待ちしております。」
と百五十センチの身長のランルングは話すと通話を切る。
(雑用の用事とか牛の世話とか色々と、してもらう事は小山程ある)そう思うランルングだ。
これで三十分後には有西風世が来る。それまでにインターネットで酪農の営業メールをランルングは関係する会社に送信していった。地底の貴金属も莫大な富となる。彼は、その一部を換金したが中東の石油並みに存在する地底の貴金属である。その所有権をランルングの一族は持っている。そして、それらは日本の地下にある。ムー大陸が沈没する前にランルングの一族は日本に渡り、それから地下へと潜っていった。地上にいると巨人だと騒がれたりするので地下へ潜ると更なる道が、そこにはあったのだ。
やがて地底の太陽に照らされた年中が春のような場所が現れた。花は一年中咲き誇る地底の極楽、桃源郷を上回る世界だ。
ダイヤモンドやルビーが顔を出している場所を更に掘り進めると簡単に地上で高価な宝石の原石が手に入る。
 貴金属の卸商としてもランニングは活躍を始めていた。何せ原石は地底で採掘し放題なのだ。地底の資源富豪、ランルングである。
そんな、こんな、あんな、で忙しいランニングは丹真理裳との性接触すら時間を取るのが難しい、ゆえに家政婦は絶対的に必要となっている。三十分など超特急的に吹き飛んでしまい、玄関チャイムが鳴ったのでランニングは有西風世(ありにし・かぜよ)が来訪したと思い、部屋にある玄関前のモニターカメラ画像を見ると、中年女性がピンクのスカートで立っていて眼鏡を掛けて真面目そうな顔立ちだ。(よしっ、採用即決だ!)とランルングは決断して玄関に向かった。
 玄関にも玄関前が映るモニターカメラの映像が見える。指タッチでランルングは玄関ドアを自動で横に開くと、有西風世が生真面目に一礼して、
「面接に上がりました、有西です。」
ランルングは歓待的に、
「どうぞ、お上がりください。私の事務室に行きましょう。」
と話し、先導的に歩き始める。
有西風世が玄関に入ると同時にドアは自動で閉じられていた。
さすがに会社兼用の邸宅だ。有西は廊下を歩きながら天井の高さに驚いていた。事務室の中も高い天井だ。
ソファの素材も地底からのもので座り心地は格段に、いい。ランルングは有西に向かい合って座ると、
「履歴書などは不要ですよ。もう採用を決めましたので、明日から、いや今からでも働いてもらいたい。」
と話は早かった。有西は喜びを控えた顔で、
「頑張りますので御期待下さい。」
ランルングは立ち上がった。身長は百五十センチなので有西より背が低い。座ったままの有西に
「これから各部屋を案内しますから、ボクについて来てくださいね。」
と呼びかけたので有西は元気よく、
「はい、お願いします。」
と答えると立ち上がった。有西、即ち探偵の丹廷臣であるから身長は160センチ程なのでランルングを見下ろす形になるが、有西は勤めて視線でランルングを見下ろさないように勤めた。その態度にもランルングは好感を持ったようだ。事務室を出た二人はランルングが先頭に立ち、長い廊下を歩いて行く。
 応接室の前に来るとランルングは歩みを止めて有西を振り返った。有西も立ち止まる。ランルングは、
「ここは訪問者が訪れる部屋だ。今日ではないけど、ここの清掃もしてもらうよ、中に入ろう。」
と語り、応接室のドアを開ける。中に入るランルングと有西。
部屋の中では丹廷臣の妻、丹真理裳が元モデルらしく優雅にソファに座っていた。丹廷臣が変装している有西風世は内心、少しは動揺したが、それを顔に出さずに女の声で、
「こんにちわ。家政婦の有西です。」
と挨拶して頭を下げる。
丹真理裳は家政婦が自分の夫とは気づかずに、
「こんにちわ。ここには、これから数多く来る予定ですのよ、うふふ。」
と応答した。有西風世、即ち探偵の丹廷臣は(数多く浮気に来る訳か)と今後の妻の行動予定も分かったが、そういう気持ちも顔には出さずに、
「素敵な場所ですものね、こちらは。」
と相槌を打った。ランルングは満足げな顔で、
「それでは、奥さん。僕らは家の中を回るので。」
と話しドアを開けて廊下に出る。
有西風世も応接室を出た。ドアが閉まるとランルングは、
「月時亜理子という最初に見た名前はハンドルネームですか?」
と有西に尋ねた。
「あ、あれはネット上で使っている名前です。本名は有西風世です、間違えて御免なさい。」
と丹廷臣が変装している有西は答えた。ランルングは即納得して、
「ああ、なるほどですね。SNSとかで使っているんでしょう?月時亜理子という名前を。」
「そうなんですの。そうしないと夫にもバレますから。」
「そうですね、それでは他を案内します。」
と話しランルングは廊下を歩きだした。
 様々な部屋に入ったランルングと有西風世だった。宝石の原石の部屋。恐竜の化石の部屋。世界中の骨董品が集められた部屋。
これ等の部屋を紹介し終わるとランルングは、
「仕事を手伝ってもらう時に入る部屋です。さーて、僕は仕事があります。今日からの貴女の賃金は出します。応接室の女性客を相手に話でもしていて下さい。その人もボクが一日中、仕事だと聞くと帰ると思いますのでね。」

 応接室に入った有西風世に丹真理裳は、
「おや、こんにちわ。ではなくて、おはようございます。」
と呼びかけた。有西は、
「おはようございます。この家に今日から雇われました家政婦です。有西と申します。」
と自己紹介して、真理裳が座っている場所から少し離れて腰かける。
真理裳は、
「仕事は大丈夫ですか?有西さん。」
有西は眼鏡を少し上に、ずらすと、
「今は休憩だと思います。応接室にいる人と話でも、していて下さいとランルングさんに言われました。」
その後で有西は右隣にいる真理裳との間に手提げバッグを置いた。そのバッグには隠し撮りが出来るカメラが内蔵されていて、有西は、さりげなく動画開始のボタンを押している。音声も記録されていく。
 それに全く気付かない丹真理裳は、
「そうなんですのね。それでは御話でも、しませんか?有西さん。」
「ええ、構いませんよ、奥さん。」
真理裳は少し微苦笑して、
「ええ、一応、奥さんなんですけど。ダメな主人で・・・。」
それは自分の事だと丹廷臣が変装中の有西は思い、
「まあ。失礼ですけど、どんな方なんですか?御主人様は。」
「うん、探偵をしているのだけど、それは腕のいい探偵なんです。ただ夜の活動がダメなのね。いきなり、こんな事を有西さんに話して、よかったのかしら?」
有西は平然とした顔で、
「ええ、わたしも主婦ですし、旦那はダメ人間ですの、わたしも。同じ女性同士だから遠慮せずに話してくださいね。」
と語りつつ、右肩をすぼめた。真理裳は、
「ああ、有西さんも勿論、旦那様は、いらっしゃるのですし、・・有西さんの旦那様は、どういう御職業ですか?」
「それは・・会社を転々と変わっているんです。四十過ぎてからですから、給料は上がらないし。幸い、わたし達には子供がいないので手間は要りません。それでもギリギリの生活では仕方ないので、わたしが働きに出ているんです。ここの家政婦の給料も、とても、いいですよ。一般の仕事よりも。」
真理裳は目を満月のようにして、
「それは、いい仕事なんですね、それでは。」
と同意して、
「それでは夜の方は?」
と好奇心を隠さない顔で聞くと有西は、
「もう一年も夜の生活は、ありませんわ。他で浮気している事は考えられます。」
と話すと有西は自分の妻である真理裳の顔をジロッと見る。真理裳は少しギクリとした顔をしたが、すぐに元の顔に戻ると、
「浮気が原因・・・なのは有り得ますわね。でもウチの主人は平凡な顔だし小柄なのでモテませんから浮気はしてないと思います。」
有西は突如、切り出すように、
「奥さん、ランルングさんと関係を持った・・・という事なのですか?もしかしなくても。」
と問いかけた。真理裳は微笑み、
「そう、御賢察の通りですわ。朝から、してしまいました。それは、もう、凄かったです。それにランルングさんの身長は・・・あ、これは話せません。秘密らしくて。」
丹廷臣である変装した有西は、
「そうでは、ないかと思いました。家政婦の私が、そんな事を聞いて失礼しました。」
と話すと少し頭を下げる。真理裳は右手を胸の前で左右に振ると、
「いえいえ、気になさらないでください。この部屋にはダブルベッドも、あるんです。」
と言うので有西は部屋を見回すと、奥の方にダブルベッドが見えた。有西は努めて平静に、
「成る程、分かりました。奥さんみたいに綺麗な方なら自然な流れですわよ。元モデルさんみたいな人ですね、奥さんは。」
「あら、そうかしら。ある企業の社長秘書でしたわ。モデルだなんて、できませんもの、わたし。」
と嘘をついた真理裳。おそらく元モデルと告白すると調べられるのでは、ないかと思ったのだろう。有西になっている丹廷臣は、その嘘は分かった。妻の真理裳はモデルという仕事しか、していない。丹廷臣が真理裳と交際していた時もモデルだったし、その頃に丹廷臣は真理裳の職業歴を調べた事が、あるからだ。有西は(嘘をついたな、真理裳)と思いながら顔色も変えずに、
「これは失礼しました。秘書の仕事をしている人も綺麗な方が多いです、と私は思いますわ。」
「ありがとう。それで探偵さんと交際することになって。」
(これは本当の話だ)と有西は思い、
「探偵さんが御主人なのですね、奥さん。」
「ええ、まあ、そうです。お金には困らないけど、一晩中、主人は帰らない事もあります。今週、一週間は主人は出張です。」
「一週間は帰らないんですね、ご主人は。」
「ええ、その予定ですわ。」
「それで一週間は毎日、ここへ来られるんですか?」
「ええ。と言うより、この部屋にベッドもあるから泊まろうかな、と思っていますのよ。」
・・・・・・・・
と語った丹廷臣は中洲ビックタワーのゲームセンターの休憩室で板丸という若い女性と、いるのだ。丹廷臣は続けて、
「それからの一週間というもの、妻の真理裳はランルングの邸宅に泊まり続けで居ましたし、私は家政婦だったので夕方の四時には仕事が終わりました。帰る前に私は応接室に入り、隠し撮りカメラを設置して置いたのです。もう、それは透明な針くらいの大きさなので見つけられない場所に置くと気づかれない代物なんですよ。録音も出来る優れたものでナノテクノロジーのカメラです。サイバーモーメント社が開発したカメラで高価な事も、この上もないですが妻の真理裳の浮気を立証するためには手痛い出費も、する必要がありました。家が一軒、買える位の価格ですからね、そのナノテク・カメラは。
その代り、一週間は録画、録音できるヨッタ・バイトの容量を持つカメラなんです。」
板丸という女性は静かに頷いた。
 丹廷臣は遠い場所を見る目で、
「一週間も録画録音させたカメラを回収して自分の部屋で再生すると、やはり妻とランルングの浮気の光景、情事が全て記録されていました。二人は全裸で・・・当たり前ですが、その前にランルングの体が二メートル五十センチにも伸び上がり、彼の股間のモノも二十センチ位になる。その彼の股間のモノが勃起すると二十五センチ位にも・・・あ、板丸さん、こういう話は大丈夫ですか?」
板丸は美微笑して、
「いいですよ。わたしも未成年ではないし、カマトトみたいに性に無知な真似などしませんから、続けてください。」
それを聞いた丹廷臣はホッと安堵の態で、
「で、その巨人になったランルングの体と妻の百八十センチの体が結合して、体位も様々に変化させて一日に五時間も交わっていました。休憩は、していましたけどね。それを詳細に私の口からは話せませんし、長くなりますから、これまでとして。
 一週間後に私は妻に証拠映像を見せて、
「探偵に頼んでキミの行動を記録させた。これが、それだ。」
とランルングとの情事を精密に記録した映像と音声を突きつけると、妻の真理裳はアッサリとアサリ貝のように口を開き、
「この通りだわ。凄い探偵さんね。」
と認めました。
それで妻と離婚して九州の福岡に流れ付き、今の会社で探偵として雇ってもらったのです。」
と話し終わると丹廷臣は右手に持った缶ジュースを一気に飲み干した。板丸もジュースを少し飲むと、
「衝撃的な話でしたね。巨人がいるというのは。今の時代にも。」
と感想を言う。丹廷臣は、
「東京にも巨人伝説は、ありますし。ダイダラボッチというそうですが。」
「わたし知らないわ。民俗学みたいなものでしょ?それ。」
「ええ、そうらしいですね。だけどランルングは今でもいるでしょうし、どうなったかは知らないけど私の元妻も生きているはずです。そういう事より今を生きたい、私は。」
と力強く宣言する丹廷臣だ。
板丸は悪戯っぽく、
「ここは成人向けゲームセンターですよ。どれで遊びますか?」
「そうでしたね。どれで遊ぼうかな、と迷います。初めて入りましたし、取り敢えずは見て回りましょう、板丸さん。」
「ええ、それが一番の早道ですわ。」
二人は申し合わせたように立ち上がると、成人向けのゲーム機を見て回った。普通のゲーム機にUFOキャッチャーというものがあるが、それと似たようなゲーム機がある。機械の手で掴み取ることが出来るのは丸いカプセルばかりではなく、アダルトDVDとかオールヌード写真集とかがゲーム機の底に並んでいた。
プレイする料金は普通のゲーム機の十倍だ。丸いカプセルは中身が見えないようにピンクの紙で包まれていたりするものもある。丹廷臣は面白そうな顔をして、
「これを、やってみますよ。クレジット払いが出来る機械ですね。」
と板丸に話すと財布からクレジットカードを取り出して機械に挿入した。アダルトキャッチャーという名称がゲーム機に張り付けてある。それがゲーム可能の青ランプが点灯したので、丹廷臣は機械の手を作動させる。中身の見えない赤色の紙で包まれた丸い円形の容器を掴んだ機械の手を上に持ち上げると、その手は移動して外に出てくる部分に丸い球を落とした。丹廷臣は、
「やりましたよ!板丸さん。」
と喜びの声を上げた。機械の外に出てきた赤い大きな丸いものを丹廷臣が取り上げて、中身を出すと何とコンドームだった。勿論、箱に入ったコンドームで薄さは世界一らしい。板丸は失笑して、
「いいものを拾いましたね。独身貴族には必須の製品ですよ。」
「いや、当面は必要ないですよ。貴女に差し上げましょうか、板丸さん。」
「いえいえ御辞退しますわ。まだまだ、面白いものがありますから行きましょう、他へ。」
と勧める板丸に丹廷臣は眼を開くと、
「えっ、そうなんですか、それでは行きましょう。」
と答えると板丸は歩き始めたので丹廷臣は、彼女に随歩した。
いきなりのように通路の右側は江戸自体の遊郭のような建物があり、着物を着て、顔と首に白粉をつけた若い女性が座ったままの姿で客を誘っていた。丹廷臣を見ると一人の女性が、
「お兄さん、今日は一番目になるから早く来て。」
と右手で、おいで、おいでの動かし方で誘う。板丸は、
「みんなロボットなんですよ。人間と間違えそうですねえ。」
と解説した。丹廷臣は、
「いや、これは驚きました。江戸時代に時間遡行したのかと思いましたよ。」
「タイムスリップね。丹さん、いかがですか、遊郭に入った事は、ないはずですよ、現代の男性は。」
丹廷臣は歩行を止めずに、
「うーん、高くつきそうですねー、遊郭に入るのは。」
と話すのだった。
次に見えたのが第二次世界大戦後の焼け跡の残るような場所の街角に、たたずんでいる若い女性たちが立っていて、口紅の色が鮮烈に赤い。そのうちの一人が丹廷臣に右手を振り、
「ねえねえ、お兄さん。安くしておくわ。あのトイレに入れば立ったまま、できるから。」
と近くにある公衆便所みたいなものを指さして言う。彼女たちも、よく見ればアンドロイドなのだ。隣には板丸がいるし、何とも、やりにくい丹廷臣は、
「いや、遠慮しておきたいね、お姉さん。」
と答える。
すると、その女性は右手に持っていた煙草を吸うと、フーッと息を吐いて「わたしのアソコは有名なAV女優のものと同じに作ってあるし、わたしはアンドロイドだから妊娠もしないよ。ゴムなしOKさ。あんたが立たないのならスペシャル精力ドリンクも、おまけで付けてあげる。それを飲んで勃起しなかった男は、いないんだ。わたしは電動だし、女性器も電動で動く。その動きが、いいね、って言ってくれる男性客ばかりなんだよ。試さないと損、損さ。どう?お客さん。」
と熱烈に呼びかけた。
丹廷臣は言葉も返さずに通り過ぎた。板丸は慌てて附いて来て、
「やってみたら、よかったのに。公衆便所に入れば誰からも見られないでしょ。」
と話すと丹廷臣は、
「売春婦と行為するのに気が引けるんです。ただ、それだけの理由なんですよ。」
と弁解した。
 巨大なスロットマシンが設置されている。数字が回る部分も巨大なパネルなのだが、それは数字ではなく全裸のヘアヌードの女性が一人ずつ、横並びに三人並んでいた。三人とも違うので、三つのパネルのヘアヌード女性の等身大の写真を一人のヘアヌードに揃えれば、いいというゲーム機らしいのだ。丹廷臣は立ち止まると、
「これは面白そうだ。私より背の高い女性が等身大の写真で並んでいるのですからね。やってみる価値のあるゲームでしょう。」
と板丸に話すとゲーム機の前の椅子に座った。
丹廷臣は支払いの出来るパネルを見ると現金、クレジットカード、仮想通貨でも支払いが出来る。ようし、それならと丹廷臣は、
「ビットコインで払ってみます。」
と話すとスマートフォンを取り出し送金した。パネルからビットコインを送るより簡単な決済方法だ。プレイする料金は高価な値段だが、パネルは大きいし、それを回すのには電気代も掛かるので妥当なものであるのだろう。
丹廷臣は巨大なスロットマシンとも言えるゲーム機を開始させた。