ダキニ天女の仮面を付けた尼僧快応は自分から唇を外すと弧円に、
「今日は、ここまでです。」
と突き放すように命じた。それで禅僧・弧円は股間の肉棒も一気に脱力してしまう。それでも快応の前に跪(ひざまず)いて、
「ダキニ天女様。それは、あまりにも酷い御言葉です。男の象徴も元気だったのです。」
「まだ、お前は修行が足りない。チベット密教の僧侶でもなく、日本の劣った密教僧でもない。ただの禅坊主が、わたしを、そんなに長く抱く事は許されないのだ。」
「確かに、で御座います。私は、しがない禅坊主です。日本の密教は劣っているのですか。」
「ああ。チベット密教に比べればだ。それは、ほとんど知られていない事実だ。それ故に、もっとチベット密教を修行しろ。それからなのだ、性的ヨーガは。」
との託宣をダキニ天女の仮面を付けた尼僧快応は禅僧・弧円に告げた。弧円は、
「それではダキニ様、服を着ます。」
と話すとダキニ天女に憑依されている尼僧快応は、
「いや、そのままでよい。全裸のまま土下座しろ。」
と告げる。
「はい、そういたします。」
と言うが早くダキニ天女の仮面を付けた全裸の快応の前に土下座した。少しして、
「顔を上げて私を見よ。」
とダキニ天女の快応の声がしたので弧円は顔を上げた。その目線の先に快応の持ち上げられた右足の裏が、あった。
「私の足を舐めなさい。」
とダキニ天女は命じた。
「はい、ダキニ天様。」
禅僧・弧円は全裸のまま、快応の足先を舐め始める。尼僧快応の足はスベスベツルっとして女の色気が、にじみ出て弧円は再び勃起した。それを上から見下ろしたダキニ天の快応は、
「お、ちんこ立ててるじゃないか。わたしに入れるのは、まだ早いんだよっ。」
と怒鳴りつける。弧円は快応の素足を持ったまま、
「はい、承知しております。でも、そればかりはワタクシの意志では、どうにもなりませんものです。はい。」
「修行せよ。チンコを自由に出来ないなどチベット密教僧では、ないっ。」
とダキニ天の快応は叫ぶと、自分の右足で正座している弧円の左肩を蹴った。
慌てて仰向けに、ひっくり返る弧円。勃起した肉棒が天井を向いている。ダキニ天の快応は自分の左足で弧円の金玉を抑えた。するとタチマチ、弧円の勃起肉は植物が、しおれる様に萎えた。ダキニ天・快応はニヤリとして、
「どうだ、弧円。このように、するのだ。それで、勃起チンコは縮む。」
と教える様に話す。仰向けの弧円は、
「かしこまりました、ダキニ天様。陰嚢の金玉が関係しているのですね。」
「そうじゃ。その通り。そもそも、わたしと交わるのならゾクチェンぐらい達成していなければ、いけないのだが、大負けに負けて接吻させたのだ。
今の段階で私と交わると、おまえは消滅する。」
弧円は起き上がって正座すると、
「消滅するので御座いますね。それは・・・。」
「困るだろう。まあ瞑想も大事になる。チベット密教の瞑想を、しなさい。座禅は、やめろ。」
「はい、そういたします。禅坊主としては檀家の数も少ないので、今は仏像や仏具、仏壇を販売しております。禅宗なんて、その程度のモノなのでスグに座禅は、やめます。」
「よろしい。そうしなさい。日本には間違った仏教が入りこんで千年以上。腐りきった日本の仏教界は大昔からじゃ。弧円、おまえは幸せ者だ。よくぞ独身をとおしてきた。」
「いえ、ダキニ天様。わたくしも風俗嬢とは遊んできました。」
「その程度ならよい。一回のプレイにも金が掛かるだろ。」
「そうで御座いますね。仏像販売までは貧困でしたし。」
「そもそも日本の仏教など子供の遊び。チベット密教とは天と地ほどの差がある。性的ヨーガの技法も数々、ある。日本の密教で理趣経を読んでも実行できないのが、大昔からの現実。日本の僧侶で悟ったものは、いない。」
「ははあーっ、その通りで御座います、ダキニ天様。」
尼僧快応の僧衣が何かに操られているように持ち上がると彼女の裸身を覆った。ダキニ天女の超能力だ。
快応の顔は元通りにダキニ天女が憑依する前の顔になる。
禅僧・弧円は立ち上がると衣服を身に着けた。
尼僧快応は、
「実業家さん、わたし何も覚えていないのです。何が、あったのですか?」
禅僧・弧円は照れた顔で、
「いや、なに、貴女と口づけただけですよ。ダキニ天様が貴女に憑依したようでした。」
「ダキニ天様が!光栄ですわ。」
「私に、もっとチベット密教の修業をしろ、おっしゃいました。それでも私にはチベット密教そのものが分かりません。どうか助けてください。」
「分かりました。それより先にダキニ天様の仮面を外しても、いいですか?」
「ええ、勿論です。どうぞ。」
尼僧快応はダキニ天の仮面を外すと実業家に手渡す。
快応の顔は元・ネットアイドルの尼僧の顔になっていた。
快応は、
「院長様にチベット密教を修行するツテを聞いてみます。」
弧円は剃髪頭を下げると、
「お願いします。」
と頼み込む。快応は、
「まだ時間ありますよ。普通にセックスしても、いいですよ。」
と誘うと弧円は、
「いや、私も僧侶です。尼僧の貴女と性交するなどは破戒も、いいところです。不邪淫戒を破る事になります。ダキニ天様以外の天女であれば、貴女に憑依下さるなら私も男になれます。」
と、いとも真面目な口調で弧円は語る。快応は、
「その辺も院長様に聞いてきますわ。あと少しでも話なら、できると思いますけど。」
と話しかけた。弧円は、
「そうでした。客間に行きましょう。」
寺院の応接間だけに広い部屋だった。不動明王の仏像が飾ってある。向かい合って座ると弧円は、
「まったく座禅なんて何の役にも立たず、インポテンツの状態のときに貴女のビデオを見て元気を回復できました。貴女は菩薩様のように思います。」
と打ち明けた。
尼僧の快応は、
「ありがとうございます。あのビデオが人助けになるなんて嬉しいです。ネットアイドルでいるより、よかったのかしら。」
「ええ、勿論ですとも。チベット密教を修行したいです。」
尼僧院に戻った快応は春珍院長に、
「チベット密教を修行したいという禅宗の、お坊さんがいるのですが。」
と話を持ちかけてみた。春珍院長は、
「そうですか。チベットの方に聞いてみましょう。」
と答えるとスマートフォンを取り出して番号を押すと、通話した。
「タシデレ。」
に始まるチベット語による会話だ。タシデレとは、こんにちわ、の他に色々な意味がある。
それから春珍院長はチベット語で会話した。「・・・トゥジェチェ。」で通話を切る。
それから座っている春珍院長は立っている快応に、
「チベットに来るのは大変だし、弟子を受け入れる余裕もないわ。という事らしいの。」
と話した。快応は残念そうに、
「そうなんですね。」
「けれど、福岡にチベット密教の講演に行く人が、いるんですって。その人に習えばいい。との話でした。」
快応は顔を輝かせて、
「それでは、それを伝えてみます。」
「うん、そうね。禅宗の、お坊さんならチベット密教僧も、打ち解けやすいかもね。」
という展開となった。そのチベット密教僧は五十歳で、入場有料の講演をするという。福岡市南区のハルカス文化会館で、その講演は行われたが来場者は、ほぼ僧侶だった。
講演内容はチベット密教の概観的考察というものでチベット密教の歴史と、その大まかな内容について講演が行われた。特に知られていないものでは、なかったのだがチベット語の通訳を通してチベット密教の僧侶が語る内容は来場者を納得させるものだった。
快応と弧円も、その講演を聞きに行っていた。そのチベット密教僧の名前はダンジン・ポンポチェ。その講演が終わると快応は弧円を連れてダンジン・ポンポチェのいる控室に行った。
控室に入ると日焼けした顔のダンジン・ポンポチェが二人を見ると親し気に、
「やあ、初めまして。」
と椅子から立ち上がって挨拶した。快応は紫色の頭巾を、弧円は帽子を頭に、かぶっている。快応は、
「ダンジン・ポンポチェさん、初めまして、尼僧の快応です。こちらは禅宗の弧円さんです。」
と紹介した。
ダンジン・ポンポチェは二人に歩み寄ると、
「お二人とも僧侶ですね。春珍院長から聞いてきました。私はチベット密教僧の中で一番、日本語を知っているので講演に来ましたし、禅宗の僧の方でチベット密教を学びたい方がいると聞きましたが、それが貴方ですね。」
と弧円を見て言う。
弧円は帽子をかぶった頭を下げると、
「そうです。初めまして。禅坊主の弧円と申します。」
「ダンジン・ポンポチェです。ゲルク派からニンマ派に転向しました。ゲルク派は独身でいないと、いけないので厳しいです。性的ヨーガを習いたいんですね、弧円さん?」
「はい、さようで御座います。」
「その相手は快応さんですね。」
「ええ、そうなればと願うものです。」
「よろしい。密教を学ぶ前に顕教を学ぶ必要がありますが、弧円さんは禅僧なので顕教は知っている事とします。ダキニ天様の修法でも、されたのでは?」
「はい。しました。それでダキニ天様から、おまえは修行が足りないと言われたのです。」
と弧円が話すとダンジン・ポンポチェは笑顔で、
「そうでしょう。いきなりダキニ天様は難しいですよ。殺されなかっただけでも有難いと思いなさい。私が教えます。安全な方法を。」
と優しく諭すのだった。
弧円の山寺に迎えられたダンジン・ポンポチェは広い居間で寛ぎ、紫色の椅子に座って、
「この抹茶は、おいしいですね。」
と弧円に語る。弧円は、
「福岡県の八女市で作られたものです。まだ市場には出ていないものです。特別モニター価格で買ったら、あとは寄贈と言う形で送られてきますよ、わっはっは。」
「禅寺という事も、そうですが、弧円さんの徳の高さでしょうね、きっと。」
「いや、私はタダの能無し禅坊主ですよ。六十歳にして一度も妻を持たずに来ました。」
「それは素晴らしいと思います。チベット密教ゲルク派では独身ですから。」
「ほ、そうなのですか。ダンジン・ポンポチェ様はニンマ派ですね?」
「そうです。ニンマ派は妻帯を許されています。私もチベットに二人の妻を持っていますよ。」
「二人、ですか。凄い精力ですね。」
「うん、いえ、それほどでもないです。ニンマ派には三人の妻帯者も、いますから。」
弧円の目に羨望の念が現れて、
「日替わり妻、みたいな事も出来ますね。」
「そういう事です。私も二人の妻を日替わりで抱いたりしていますよ。今回、日本には半月の出張だけど夏の八月ですから妻達も納得しています。」
「それなら多く学べますね、私がチベット密教を。」
「ええ。しかし伝法料は先に収めてください。後払いは許されませんから。」
「ええ、ええ。今、納めさせてください。」
弧円は立ち上がると客間を出た。自室のノートパソコンでチベット密教の伝法料をダンジン・ポンポチェの提示した銀行口座にオンラインで支払った。
それは高価な別荘を買えるほどの金額だった。弧円は家代々からの貯蓄もあるし、さほど気には、ならなかった。
客間に戻るとダンジン・ポンポチェがスマートフォンを取り出して銀行口座を確認していた。ダンジンは、
「暗号通貨を介在しているために、もう着金していますね。チベットでは少し前から銀行が暗号通貨の媒介を利用し始めたという世界でも後進国な状態です。確認しました。
今からでも伝授できます。」
と話すとダンジン・ポンポチェは力強く立ち上がった。
本殿の大仏像のある場所に弧円はダンジン・ポンポチェを案内した。大仏像を見るとダンジン・ポンポチェは、
「大仏像は中国でも日本でも同じようにツマラナイものに作られていますね。仏は、もっと神秘的なものですから、その風貌にしても仏頂面ではないのです。
悟りを開いた釈迦は数人の女と性的ヨーガを実践していたのです。」
「ええっ、お釈迦様が?」
驚天動地的な顔をした弧円にダンジン・ポンポチェは、
「ええ、そうです。これは一部の弟子にしか釈迦は伝えず、不邪淫戒を曲解した弟子が不氾の教えと捉えたのです。つまり女と性交をしないという。」
と解説した。弧円は、
「なるほど。私の人生も不氾で生きていました。ファッションヘルスには行きましたがソープランドには行きませんでした。」
と寂しい笑顔で告白した。寂笑である。ダンジン・ポンポチェは、
「それは素晴らしい、というより哀れです。ヤブユムを知らないと、そうなるのです。」
「ヤブユムとは、何でしょうか。」
「男女合体尊です。性交する仏の像です。釈迦も同じく性的ヨーガを実践したのです。」
「ああ、本当ですか!なんというツマラナイ人生を歩んだのでしょう、私は。」
と慨嘆する弧円にダンジン・ポンポチェは、
「今からでも遅くは、ありません。性的ヨーガでなければ一般人と同じく世俗の生き方となるでしょう。貴方は、それをしなかっただけ素晴らしいのです。
今、抱きたい女性がいますね。その女性は尼僧ですね。しかもチベット密教を修行している。」
と断定的に話す。
弧円は尼僧の快応を思い出し、
「ええ、そうです。その通りです。素晴らしいダンジン・ポンポチェ様の通力ですね。」
笑顔満面のダンジン・ポンポチェは、
「他心通という通力で貴方を見ました。講演会場に来ていた、あの女性では、ありませんか。」
「そうです。大正解、いや大、りっしんべん、の性解ですよ、ダンジン・ポンポチェ様。」
「それならチベット密教を修行する甲斐が、ありますね。あの女性は元・ネットアイドル・・。」
「そうみたいですね。そこまで、お分かりとは・・・。」
「他心通力以外も持っていますから。宿命通力で見ると前世の、あの女性はアイドルから出家しています。弧円さん、貴方は、その時は彼女のマネージャーだったのです。」
「そうなんでしたか。」
「後追いで、その時、マネージャーだった貴方も出家しますが宗派も違い、再び二度と彼女とは会わずに生涯を終わったのです。」
「そうだったんですねー。今世では・・・。」
「貴方のチベット密教の修行次第で夫婦になれるという事ですね。」
弧円は狂喜した。快応の全裸身は既に見ている。あとは性的ヨーガだ。
涎を垂らしそうな弧円の顔を見てダンジン・ポンポチェは、
「それは、そんなに難しい事では、ありません。天眼通力で見ると貴方は今世では彼女と結婚するために独身であったのですから。」
と慰め励ますように語った。
ダンジン・ポンポチェは、
「それでは、いつ、いかなる時も勃起できる法を見せましょう。」
と云うと法衣を腰の下からの部分を脱ぐ。するとパンツも履いていないダンジン・ポンポチェの肉刀が凶器のように、ぶらさがっていた。
ダンジン・ポンポチェは目を開けたまま瞑想するような表情になると、見よ、彼の肉棒は即座にソソリ立ったのだ。
25センチもある立派なモノだ。
ダンジン・ポンポチェは勃起したまま合掌して、
「全裸身の吉祥天女を瞑想で思い浮かべると訓練された私の男性器は即反応を起こします。
これが修行の第一歩です。さあ、始めましょう、弧円さん。」
弧円も僧衣を下半身だけ脱ぐと男性棒はダラリと現れた。弧円は瞑想で全裸の吉祥天を思い浮かべたが、思うように、いかない。それというのは、そもそも吉祥天をよく知らない上に、全裸の姿など思い浮かばないからだ。
弧円を見ていたダンジン・ポンポチェは、
「うん。吉祥天の裸身が思い浮かべられないのですね。取りあえず僕が作ってきます。明日、持ってきますよ。」
と云うと、その日の修行は終わりにした。
翌日、ダンジン・ポンポチェはポスターの大きさの写真を持ってきた。そこに顔は吉祥天で体は若い美女のヌード写真を貼り付けたものがあったのだ。
それを見た弧円は全勃起する。
ダンジン・ポンポチェは笑顔になり、
「いいですよ。弧円さん。そのまま持続しましょう。」
と提案する。
結跏趺坐で勃起させた弧円は目の前に立てかけられた吉祥天と若い美女のヌードの合成写真を見たまま、瞑想を続ける。
すると合成写真の中から全裸の吉祥天が飛び出して弧円の前に現れた。
弧円の視線は全裸の吉祥天の股間に集中する。全身が白い肌の吉祥天の股間は黒々とした恥毛で覆われている。
吉祥天は微笑むと、
「弧円、顔を上げて私を見よ。」
と指示する。
白い彫りの深いインド美女の顔が吉祥天の顔だった。
結跏趺坐のまま勃起させている弧円は、
「吉祥天様。ありがたい限りです。」
と話す。
次の瞬間に弧円は全裸の吉祥天女が対面座位の形で座って抱き着き、大きく開いた白い両脚の付け根の開いた穴の中に自分の肉金剛棒が吸い込まれていくのを見て感じた。
吉祥天女のオマンコは天上の味だ。
風俗嬢の手コキしか知らない弧円は忘我に近い境地になる。まさに極楽だ。
日本の仏教界で言われる極楽など概念の遊びでしかなく日本の僧侶は半ば地獄のまま、あの世に行く。
それは性的ヨーガを知らないからだ。せいぜいが大したこともない日本の女のマンコを知り、子供も生まれる。が、しかし天上の快楽を知る事は決してない。
弧円は自分が行ってきた数十年に及ぶ座禅の愚かさを知ったのだ。達磨なんてインドから来た詐欺師だ、と思えたのだ。達磨自身の両足は腐ったという。
自分は今、吉祥天女と対面座位で交わっている。性的ヨーガを実践している。下半身は蕩けそうだ。
吉祥天女は自分から唇を重ねてくれた。その二つの吉祥天女の部分に弧円は、あえなく射精して果てついてしまった。
吉祥天女は煙よりも透明に消えていたのだった。
立ってみていたダンジン・ポンポチェは、
「おめでとう!まずは第一の性的ヨーガは達成です。私も吉祥天女で童貞を喪失しました。極楽だったでしょう?弧円さん。」
結跏趺坐のまま弧円は、
「ええ。生まれて初めて極楽を知りました。チベット密教の有難さも痛感しましたよ。」
と涙を流さんばかりの感謝の顔を見せた。
チベット密教僧になった知観は尼僧の快応と性的ヨーガが行えなくなったのが寂しく不満で、俗世間に戻ろうかと思っていた。自分の会社の専務の本池釣次郎からは時々、スマートフォンで連絡がきた。
「社長。坊さんの方は忙しいですか?」
「そんな事は、ないよ。今は暇だ。」
「坊さんの仕事って、どんなものですか?」
「尼僧と性的ヨーガをするビデオに出たんだ。そのための修行もしたよ。」
「性的ヨーガって・・セックスするみたいなものですか。」
「そうだね。そうだ。」
「楽で楽しそうですね。」
「そんな事、ないよ。厳しい修行もしたし。」
「会社のサイバーセキュリティ保守点検の依頼が増えています。僕一人では回れないので誰か、雇いますよ。」
「ああ、そうしてくれ。一任する。」
「そんなー、そうします。なるべく早く戻ってきてください、時社長。」
「今日からビデオの仕事があるんだ。それじゃ。」
と知観、時流太郎は通話を切った。
本池釣次郎にはサイバーセキュリティの仕事を教えていたので助かった流太郎だ。
部屋に備え付けの内線電話が鳴る。流太郎が取ると院長の春珍からだった。
「知観さん、仕事が沢山、来そうですよ。ある会社の社長さんが私の部屋に来ますので、今から知観さんも私の部屋に来てください。どうも、その社長さんは知観さんと旧知の間柄みたいですね。」
「分かりました。今すぐ参ります。」
テカテカに光っている自分の頭を右手で一撫でして知観は春珍院長の部屋へ行く。
「やあ、どうも。お待たせしました。知観です。」
と春珍院長の部屋に入ると挨拶した知観の後ろから人が入って来たので知観が振り向くと、なんと、その人物はサイバーモーメント株式会社の黒沢金雄社長だった。黒沢は春珍院長に、
「初めまして。サイバーモーメントの黒沢です。」
と挨拶して深く頭を下げた。
春珍院長も立ち上がり、
「快楽解脱院・院長の春珍と申します。」
と話して頭を下げる。
それから、
「知観さんと知り合いのようですね、黒沢さん。」
と探りを入れた。黒沢は白い歯を見せて、
「そうなんです。時君とは旧知の中ですよ。今回、ご依頼いただきましたチベット密教瞑想装置なども知観、いえ時君の意見を参考に作らせていただきます。」
春珍は安堵した表情で、
「よろしく、お願い致します。どうにもチベット密教の瞑想は面倒なものらしいので機械で出来ないものかと考えておりました。それをサイバーモーメントさんが実現して下さるのは、有難いことです。」
「少し、高額な予算を頂きますが大丈夫ですか?」
「ええ、それは構いません。ウチは本山からの支援も受けられますから。チベットの本山からですね。それでなくとも、ウチはアダルト事業も、やっておりまして。これが相当な収益を生んでいるのです。」
黒沢は納得顔で、
「ありがとうございます。機器の実験検証などには時君を使わせていただきます。」
「ええ。知観さん、よろしいですね?」
と春珍院長は流太郎に了解を求めた。知観は、
「ええ、もちろんです。」
と答えて頷く。
春珍院長は明るい笑顔で、
「アダルトビデオの「釈迦」に主演が決まったのよ、知観さん、おめでとう!」
菩提樹のもとで悟りを開いた釈迦は長期の断食で痩せ細っていた。その辺は特殊撮影と編集によって釈迦に扮する知観の映像に手を加えれば、よい。流太郎の顔では、どうしても釈迦に見えないので総て撮影後に流太郎の顔を釈迦の顔に加工した。
精の付くものを食べまくり股間を回復させた釈迦は女の弟子の中から美女を選んで性的ヨーガを実践する。
リアルな映像にするために、そのアダルトビデオ「釈迦」はインド美人を出演させていた。
だから流太郎は何人もの全裸のインド美人と交わる事になった。数少ない色の白い印度美人ばかり出演させるのにも手間暇は、かかったのだ。
釈迦が性的ヨーガを、ほんの一部の弟子にだけ伝えた事は知られていない事実である。
これが密かに発展して後期密教としてチベットに伝えられた。日本に伝えられた密教は根本の部分が欠けていたのである。
流太郎が演じる釈迦は夜になると日替わりで女の弟子を抱いていた。それをアダルトビデオにして市場に出すと大いに売れたのだった。
ネット通販なので現役僧侶も多く買ったという。
それで又、春珍院長の快楽解脱院は収益を上げた。
ボタン一つでチベット密教の瞑想状態を作り出す装置の開発のためにサイバーモーメントの黒沢はチベット語の通訳を連れてチベットへ行く。
ある僧院に行き、申し出ると断られた。それで快楽解脱院の春珍院長のチベット語の紹介状を見せると受付の男性僧の顔が、なごかになりチベット語で、
「院長に、お会いください。」
と答えてくれた。
院長はパクパク・ラマという偉大な指導者だ。面会室に紫の僧衣で現れたパクパク・ラマは菩薩顔で、チベット語で話す。
「ようこそ、おいでくださいました。日本の春珍院長から電話がありましたよ。チベット密教の瞑想状態を機械で作り出したいのですね?」
それをチベット語の女性通訳が黒沢に日本語で通訳した。
「はい、その通りです。大変、難しいと思います。それでも、やってみたいのです。」
パクパク・ラマは、それをチベット語の通訳から聞くと笑顔で、
「いいでしょう。簡単な瞑想なら可能かもしれません。私の高弟に瞑想させます。その時の脳波を取ると、いいかもしれません。」
という事でパクパク・ラマの高弟の一人、ボクダン・オーンが紹介された。赤い僧衣のボクダン・オーンは椅子に座って瞑想を始める。黒沢はヘッドフォンをボクダン・オーンの頭に取り付ける。
そのヘッドフォンはボクダン・オーンの脳波を取り続けた。
宿舎に戻った黒沢はボクダン・オーンの瞑想時の脳波をノートパソコンで見てみる。
確かに通常人の脳波とは違っていた。
さて、この脳波を他の人にも発生させる事が必要だ。簡単なチベット密教の瞑想をボクダン・オーンにしてもらい、それをヘッドフォンで全て採録している。
それらの種々の脳波をチベット密教僧でない人にも発生させるべく鋭意工夫を重ねた黒沢であったが、モニターとして募集した治験者には全て失敗した。
そこで黒沢は流太郎である知観を呼び出して実践したところ成功した。
流太郎の脳内には密教僧の高僧の脳内に現れる様々なビジョンが現れた。その中にはダキニ天とのセックスも含まれている。その主観的ビジョンを見た流太郎の股間のモノは座った姿勢で隆起した。
黒沢は、
「おお。勃起したね。時君。」
「はい。今、ダキニ天と対面坐位でセックスしています。耐えられない程、気持ちいいです。」
「そういうビジョンを見ている、と?」
「ええ、そうです。しかし、あまりにも生々しいのです。」
「うん。高僧の瞑想状態を再発生させているよ。ところがさ、通常人では無理だった。とすると、少しでもチベット密教の修行をした君には発生させられた、って事だ。
そうなると購買者はゴク、限られた人物になる。
例えばだ。快楽解脱院の春珍院長などになるな。それと・・・。」
黒沢は営業部を通して全国の密教寺院にダイレクトメールを送って勧誘させた。他にはオカルト系販売サイトにも働きかけたりした。
だが日本の密教寺院からは反応なし。オカルト系販売サイトも簡単には乗ってこなかった。
黒沢は営業部長に広告の宣伝文を変えさせた。










