sf小説・未来の出来事46 試し読み

 全裸のアイスナンと成頭友見は空中遊泳のようにラブホテルのスイートルームを動いていく。やがて棚のリップスティック型無重力状態発生装置にアイスナンの右手が届き、彼女は、
「スイッチをオフにするから直立した体勢に、なりましょう。」
と声を掛け、アイスナンの全裸は床面に対して立った姿勢となるが両足裏は床から十センチ離れている。成頭も両脚を落とすようにするとアイスナンと同じ体勢になった。が、半立ちのままの肉砲は成頭の体から直角の位置を保っている。
アイスナンは成頭の姿勢を見て、
「それで、いいわ。スイッチをオフ!」
二人は無重力状態から解放された。
二人は駅弁体位のままだ。クロールで少し疲れたのか成頭の怒陰茎は少ししか膨張していない。それを見たアイスナンは、
「少し休みましょう。ベッドに腰かけて。」
「はい、そうします。」
二人は並んでベッドに腰かける。浴室の中にもベッドは、ある。ウォーターベッドなのだ。
自分の膝に両手を置いて成頭は、
「それにしてもアイヨー先生が黒人に変装していたのには驚きましたよ。」
「そういう趣味もある人は他にも、いるわ。」
「なるほど。でも先生の場合は趣味と実益を兼ねているというか、そうなのでは?」
「そうね、アパレルでもバイト代は貰っていますからね。」
「そのアパレル店では黒人の変装を解くわけでしょ。」
「そうですね。その通り。」
「そこで、どういう仕事をしているんですか。」
「それは話せないわ。」
「店内に入りましたけど店員にアイヨー先生は、いませんでした。」
「それは、そうでしょうね。その話は打ち切りましょう。」
「はい、そうしますか。」
多分、事務員なのかもしれないと成頭は思った。
 しかし。黒人に変装するのが単なる趣味とは成頭には思えなかった。それに福岡市長ともラブホテルで密会している。そこではスパイ活動が行なわれていると七谷教官は断定している。そのように考えていると成頭の陰茎は怒りを鎮めていた。アイスナンは成頭の股間を眺めて、
「完全に静まったわね。貴方の息子さん。」
成頭は自分の股間を見て、
「ああ、そうみたいですね。連戦は無理みたいです。」
アイスナンは、
「オホホホ。では無理しなくてもいいわ。いくら浴室でも、暖房はしていないから部屋に戻りマショウ。」

 それで二人は豪華なリビングに服を着て入った。座り心地のいいソファに座っても成頭の頭の中は黒い雲が出ていた。アイヨー先生の顔に戻ったアイスナンは、
「どうも納得が行かないようね。成頭さん。わたしが日本にいる目的は金儲けです。アパレル店は私が経営者。語学学校はアルバイトみたいなものよ。」
と分かりやすく解説した。
なるほど、そういうものか、と一旦、納得した成頭友見ではあったが、福岡市長とラブテルで談合について話していたではないか。そこで成頭は、
「アイヨー先生は福岡市長を知っていますよね。」
と押すと、
顔色を変えずにアイヨーは、
「ええ、名前だけはね。」
と卒なく答えた。成頭は、
(やはり怪しい。名前だけでなく体って知っているんだろう)
と思ったが、それは顔には出さずに、
「福岡市長には談合疑惑が、あるんですよ。それは知っていましたか。」
「ほー、そうなの。わたし政治には全く、詳しくないから。わたしの興味は、お金だけです。」
「男の体には興味がない?ですか。」
「それは普通の女性として男性に興味は、ありますけどね。わたしも処女では、ありませんし。」
「アイヨー先生はスパイ映画とか興味がありますか。」
「ないですね。わたし、映画は見ませんからね。」
その時、突然、成頭のスマートフォンがズボンのポケットの中で振動した。彼はアイヨーに、
「スマートフォンが鳴ったので、取りますけど。」
アイヨーは目を丸くして両手を広げると、
「ええ、どうぞ。お構いなく、ね。」
それで素早く成頭はスマホを取り出すと、
「這い、もしもし、成頭です。・・・ああ、君か。お久しぶりだね。なに?もう着いたって?それでは迎えに行くか。その前に行けるかどうか聞いて見るよ。」
通話終了させると成頭はアイヨーに顔を向けて、
「ちょっと急用が出来ました。今日は、ここで失礼します。」
と急いで話した。アイヨーは肩をすくめると、
「急用なら仕方ないわね。身内の不幸でも、あったのですか?」
「ええ、祖父が死にました。」
「それは、大変ね。お悔み申し上げますわ。」
成頭はラブホテルのスイートルームを飛び出すように出て行った。
地下鉄で福岡空港へ向かう。その前にスマートフォンで七谷教官に、
「今日は自由行動でいい、という事でしたが、さっきまでアイヨーとラブホテルのスイートルームに居ました。全て録音、録画しています。それが一旦、終わったので知人を迎えに福岡空港に行きたいんですが。」
と電話すると、七谷教官は気軽に、
「それは成果が上がったね。もう今日は仕事は、しなくていい。空港だろうと博多港だろうと好きな場所へ行きたまえ。」
「はい、有難う御座います。」
という事で成頭は地下鉄で福岡空港に到着したのだ。
 
 国際線のゲートで待っているとドイツの修道女アメレント・アーベルシュタインが現れた。成頭は元気なアメレントの顔を見ると嬉しくなった。そこで自分の近くに来たアメレントに成頭は、
「元気そうだね。これから、どうする?」
「今回は、そんなに急ぐ事はないんです。日本観光でもしてこいと上の人に言われましたから。」
と寛ぐ様子のアメレントに成頭は、
「そいつは、いいねー。僕も暇がある。二人だけで楽しみたいな。」
「オー、グート。こんな場所では言えないけど、二人だけの空間で言いたい事も、あるのよ。」
との返答に成頭は満足して、
「それでは個室喫茶に行こう。空港の近くにはないからね、個室喫茶は。でも中洲には、ある。地下鉄で行けるから。」
と話すと、空港の地下鉄駅に歩き始める。

 中洲の個室喫茶は中洲地下街にある。地下鉄中洲駅から歩いて三分ほどだ。ロボット店員が案内してロボットメイドがコーヒーを二つ持ってきた。ドアを閉めると自動的に鍵が掛かり外からは開けられなくなる。アメレントにとっては初めての体験らしく、
「すごい個室だわ。あそこに横長のソファもあるし。」
「ああ、うん、そうだね。ヨーロッパは今、大変なんだろう。小型の核戦争も始まっているし、ドイツとフランスは再び戦争になっているし。」
アメレントの顔は憂いを帯びて、
「そうね。わたしの修道院はドイツとフランスの国境からは遠いから、まだミサイルも飛んでこないけど。
でもフランスも長距離ミサイルを保有しているし、どうなるか分からないわ。」
「貴女はドイツ人だから自分の国は心配だろう。」
「そうね。だけど日本なら安全だから、今は心配ないわ。」
ヨーロッパ戦争が始まった。
EUは、ほぼ解体してしまったのだ。フランスもドイツもEUから離脱している。
アメレントは上着を脱ぐと、
「暑いわね。12月のヨーロッパは寒い。この部屋の暖房は私には暑いの。」
成頭は横目でアメレントを見ると彼女の胸の膨らみは想像していたより大きかった。西洋人らしい上向きの美乳にして巨乳だ。成頭は思わず生唾を呑み込む。で、成頭は、
「アメレントさんの胸は大きくて形が、いいよ。」
と褒める。アメレントは、
「そう見てくれて嬉しい。揉むか、吸ってもいいわ。」
二人はテーブルに向けて並んで座っているから成頭はアメレントの左の乳房を右手で掴んで揉み握る。アメレントの顔は快感に歪み、
「いいっ。はあっ。わたしたち、裸になりましょう。」
と言うと手早く服を脱ぎ始めたので成頭も服を脱ぐ。
全裸のアメレントの乳房は、おいしそうな果実のようだ。それに彼女のフェロモンは甘い香りで成頭を包んだ。二人とも全裸になると、互いに近づき抱き合い唇を重ねた。成頭の股間の男の武器は天井に向かう。
彼はアメレントを横抱きにして立ち上がるとソファに運び、彼女を仰向けに置く。すぐにアメレントは白い長い両脚を大きく広げた。彼女の股間は黒い縮れた恥毛が逆三角形で覆っていたが大きな淫裂は成頭の男の武器を受け入れたいように少し口を開いている。
たまらない成頭の欲棒は惹き寄せられるようにアメレントの陰唇の内部に突入した。その時、彼女は痛がらずに快感で長い睫毛の両眼を閉じたのだ。成頭は?と思い、
「君は修道女だから処女では、ないのか。」
と聞くと、
「うん、実はね・・・。」
と、その理由を話し始めた。

 女子修道院の中にもスポーツをする施設がある。その中の一室にフェンシングをする場があり、アメレントは防具をかぶって相手と練習をしていた時に股間を攻撃され、見事に処女膜を喪ったのだった。
「・・・という訳なのよ。練習相手も修道女だった。一年先輩のね。平謝りに謝ってくれたけど、戻すには美容整形外科とかに行って処女膜を再生してもらうしか、ない。それも馬鹿みたいだから、そのままにしていたの。普通の女性なら、いずれ失うものですものね。」
成頭はアメレントに、のしかかり、
「僕のモノの方が気持ちいいだろ。」
「それは、そーに決まっている。グート。Haaaa!」
それから心地よげに快楽の声を上げるアメレントはヨーロッパ言語的な発音で、日本人女性が発する快楽の叫びとは違っていた。三十分は交楽を続けられた成頭も、それ以上は耐え切れずにアメレントの中に大放出した。
成頭はアメレントから離れると、
「ここはホテルではないから、もう出よう。」
「子供が出来たら結婚してくれるかしら。」
「修道女は、やめるのか。」
「うん、辞める。処女でいるのは修道女として必須だけど、それは失ったから、本当は今、辞めないといけないんだけど。」

 中洲ビッグタワーの中にある成頭の部屋に二人は歩いて移動した。アメレントは成頭の部屋を見渡して、
「広い部屋ですね。最近は電子フェンシングが流行しているのよ。本物の剣よりも安全だから。」
「なるほど、そうか。それなら君の処女膜も突き抜けないのかな。」
「それは、そうみたいね。電子剣が防具や身体に当たると得点のランプが、つくから審判員もいらないらしいわ。」
成頭のシングルベッドに二人は腰かけた。
電子フェンシングの話は成頭も初耳で、
「僕も電子フェンシングを、やってみたい。君と。」
セリフを決めてみる。
アメレントは、
「私も、まだ電子フェンシングは、した事がないのね。」
「いつか、やろうよ。」
「やりましょう。日本で流行する前に。ドイツには、あります。」
「一度、行きたいな。でも・・休暇を貰わないとね。」
「成頭さん、どんな仕事をしていますか?」
「ホストですよ。」
「ホスト?なに、それ?知らないわ。わたし。」
「女性客相手に酒を飲ませるのさ。でも昔は神学生だった。」
「それなら、わたしも修道女を辞めて・・・とは、いかないの。」
「それでもむ君は処女を喪っただろ、さっき。」
「ええ、でもフェンシングの剣ほどの痛みは、なかった。」
「うーん。そうだろうね。」
成頭としては複雑な心境だ。それで、
「今日は、ここに泊って行かないか。」
すると意外にもアメレントは、
「日本に長期滞在する費用を貰っているの。最低でも高級ホテルに泊まらないと費用を使えないし、報告も出せないから。
それに日本の高級ホテルに泊まるように上の人に言われているし。」
びっくりした成頭は、
「修道院って質素に暮らすんじゃないのか。」
「普段は、そうですけど社会に、お金を流すように言われています。タクシーも乗らないと、いけません、わたしの修道院では、そういう方針です。高級ホテル、知りませんか。」
「知らないけどインターネットで調べよう。」
成頭は立ち上がると机の前に座り、ノートパソコンを起動した。
 高級ホテル 福岡市
で検索すると、ズラリと出てきた。アメレントは立ち上がり、成頭の傍に来てノートパソコンの画面を見ている。成頭は、
「高級ホテルにはスイートルームもあるけど、一泊が二百万円とかあるけど、それでも、いいのかい。」
と問いかけるとアメレントは、
「さすがに、それは泊まらないわ。高級ホテルのシングルで、いいの。」
パタパタ、カタカタ、と成頭の指先がパソコンのキーボードを叩くと、
「一泊、五万円、の高級ホテルが、あるよ。」
アメレントはパソコンを覗き込むと、
「いいね。それにして。」
「申し込みは自分で打ち込んで。席を譲るから。」
成頭は立ち上がると自分の椅子をアメレントに勧める。」
「じゃあ、失礼して。座るわ。」
とアメレントは言うと成頭の椅子に座り、パソコンから高級ホテルのシングルの予約をした。
そのホテルは福岡市中央区だから成頭の住んでいる博多区中洲より少し離れている。ダキサン・ホテルという円筒形の細長い建物で、一階はレストランも何店舗かあるために人の出入りは賑やかだ。アメレントは立ち上がり、
「すぐにダキサン・ホテルに行かなくちゃね。又、明日。連絡するわ。」
と右手を振ると、玄関に行く。追いかけた成頭は、
「歩いて行くには遠いよ。タクシーを呼ぼうか。」
「自分でタクシーは呼べます。アフイーダゼン。」
とドイツ語で別れを告げた。

 アメレント・アーベルシュタインはスカイタクシー乗り場までスマートフォンで地図を見ながら移動した。
運賃も高いために利用客は少ないのでアメレントは、すぐにスカイタクシーに乗れた。後部座席でアメレントは、
「ダキサン・ホテルまで、お願いね。」
と指示すると、
若い女性の運転手は、
「ロータリーの方で宜しいですか、ダキサン・ホテルの。」
「ええ、ロータリーに、して頂戴。」
とアメレントが答えると、タクシーは浮上した。
空飛ぶタクシーは今では珍しくないので通行人も見上げる人は少ない。
上空百メートルほどの高さに飛び上がるとスカイタクシーは西に移動した。ほどなくダキサン・ホテルに到達すると下降してホテル前のロータリーにスカイタクシーは着陸した。
 電子通貨のデジタル円でスマートフォンからアメレントは運賃を払うと女性運転手は、
「有難う御座いました、又、ご利用下さい。」
と礼を言う。
 スカイタクシーを出たアメレントはダキサン・ホテルの一階の自動玄関ドアを入り、フロントで、
「シングルの部屋を予約しましたアーベルシュタインと言います。」
と話すと背の低いフロントマンは、
「アーベルシュタイン様。有難う御座います。最上階の部屋の鍵で御座います。」
とシングルの部屋の鍵を渡してくれた。

 夜景の見える広い部屋だった。アメレントは大きな鏡の前に立つと髪形をポニーテールに変えた。後ろ髪をバンドで止める。それだけでも彼女の印象は変わった。更にアイシャドウを付ける。ハンドバッグの中から小さな機器を取り出すと、それを自分の顔に向けてスイッチを押す。人工太陽光線が彼女の顔を照らした。ものの一分でアメレントの顔は日本女性の肌の色になる。いや、もう日本人女性のようだ。
 アタッシュケースの中から衣服を取り出すとシングルベッドの上に置き、今、着ている服を脱いでアメレントは下着姿になるとベッドの上の丈の高い膝下まである茶色のフロックコートを着る。そのフロックコートの襟元にあるボタンを押すと、なんと服は着物に変化したのだ!!
背の高い和服美人に見えるアメレントの顔は彫りが少し深くて鼻も高いとはいえ日本人女性に見える。
 彼女は部屋を出てエレベーターで一階に降りた。着物姿のなので人目を惹く。
 レストランの並んだ通路を歩くとアメレントは和食の店に入った。高級そうな服に身を包んだ男女の客が大勢、テーブルに座っている。壁は板張りで、若い着物を着た女性がアメレントに近づくと、
「席を御案内します。こちらへ、どうぞ。」
と話すと店の奥に連れていく。
四人が座れるテーブルに案内されたアメレントは、和服ウェイトレスに、
「お会いされる方は、もうすぐに来られますよ。それまで粗茶ですが玉露を、どうぞ。」
とテーブルに白い湯飲みを置く。和服ウェイトレスは態勢を変えて店の入り口を見ると、
「あ、来られましたわ。あの方の玉露と、お品書きを持って参ります。」
それと入れ替わるように背の高い、黒い背広を着た四十代の男が現れると、
「蟹田です。茶島さん、待ちましたか?」
と紳士らしくアメレントに問いかけた。
アメレントは微笑むと、
「いえ、少しも待ちませんわ。今、来た所ですの。」
「それでは失礼して腰かけます。」
蟹田という男はアメレントに向かい合って座った。
和服ウェイトレスが蟹田の玉露と、お品書きを持ってきた。
 お品書きを手に取った蟹田は、
「和食満腹全席、しますよ、お嬢さん。二人前ね。」
と若い和服ウェイトレスに注文した。
「畏まりました。お待ちくださいませ。」
と話すと、お品書きを手にして和服ウェイトレスは離れて行った。蟹田は玉露の入った湯吞みを手に取るとグイと飲み、
「ああ、うまい。茶島さん、さあ、飲んで下さい。私が支払いますので。」
と勧める。アメレントは日本人女性にしか見えない挙措で、両手で湯飲みを持つと少し口を付けて玉露を飲み、
「おいしいですわ。日本茶としては最高級ですね。」
蟹田の顔が、ほころび、
「玉露でも最新の育て方などで昔の玉露とは違うんですよ。福岡県の八女に出張で来ました。その帰りですけど八女では玉露だけでなく、いい御茶が栽培されています。年に数回、特種な光線を当てて栽培している農家があります。
ブラジルの太陽光線を再現できるらしい。
それで特殊な玉露が出来るんだそうです。」
茶島アメレントは、
「驚きました。蟹田さんは農林水産省の方ですね。」
「ええ、そうです。茶谷さんがドイツの農園の方から依頼を受けているとか聞きましたよ。東京に茶谷さんの知人が、いらっしゃるんですね。私は新興農業課の課長を勤めております、蟹田幸一と申します。」
「茶島志都美(しずみ)と申します。ドイツから日本に来て東京の大学で農学を学んだ知人から依頼されました。大きな農園の娘さんで日本の農業の実際を知りたいという話でした。
例えばイチゴの栽培法とか西瓜の栽培法とか、らしいです。
でも今は、その人はドイツに帰っていてスグには日本に来れない事情があります。そこで私に電子メールで依頼してきたのです。」
と一息に事情を説明した。新興農業課の蟹田幸一はニヤリと頷いて、
「それでもですね、農家にも明かせない栽培技術も、あるんですよ。」
「そういう事は、あるかと思いますが普通に知られていい所だけでも教えていただけませんか。」
と和服姿で説き伏せる茶島志都美の姿には色気がある。蟹田幸一は九州に長期出張中で妻子は東京都にいる。いわば別居中のようなものだ。蟹田の妻も四十代で二年も夫婦の交わりが無い。それでも蟹田は風俗には行かないでいた。
 蟹田から見ても茶島志都美の顔やハッキリとはしない胸のふくらみも日本人離れしている。ハーフなのかもしれない、と蟹田は思いつつ、
「いいでしょう。ヨーロッパの諸国とも親交を図るのは我が国としても必須ですからね。御案内しましょう。でも、もう・・・。」
と話すと腕時計を見て、
「日が沈みました。明日からに、しましょう。」
茶島志都美も自分の高級腕時計を確認して、
「あら、もう六時ですね。明日からに、なりますわ。」
蟹田幸一は運ばれてきた和食満腹全席を見て、
「まずは食べてください。これからの腹ごしらえに。明日へのエネルギー補給をしましょう。」
二人は無言で大いに食べ始めた。

元気満タンとなった二人である。蟹田は笑顔で、
「ここにはサウナもありますよ。私は今晩は、このホテルに泊まりますが、茶島志都美さんは如何ですか?」
「ええ、私も泊まります。宿泊は申し込んで鍵も貰っていますの。」
「それは、いい。私もシングルの部屋を取りました。サウナに行きませんか。」
「ええ、行きましょう。」
二人は並んでレストランを出ると蟹田幸一の導きで二階にあるサウナにエレベーターで行った。

男の娘を助け出せ派面ライダー 試し読み

男の娘を助け出せ 派面ライダー

通勤からの、それもOLではない、ある職業からの帰り道で美乃(みの)は後ろから誰か、つけてきているのを感じた。
(誰?誰なのよ?)
だが、振り返ってみると襲われそうな気がして、歩く速度を、もっちり、とした太ももの移動時間を短くして、速めてみた。
すると、後ろの誰かも足音が高く、早くなる。
美乃は155センチの体で、胸は88もあり、尻は88の、肉欲をそそる体、色白で脚は細い。
美乃は近くの広い公園に駆け込んだ。後ろからの追跡者も美乃を追い駆けてくる足音だ。
公園には誰も、いなかった。ああ、と美乃は足を停めて、後ろを振り返った。なんと、そこには大きな男が黒いパンティストッキングをかぶり、右手でズボンの世界の中心点のファスナーを降ろし、
「ピー!男の世界の中心点のチンコの雄たけびを聞け、ピー!」
と喚(わめ)く様に言葉を口から吐くと、
立ったままの美乃を、がっし、と抱きしめ、彼女の赤い唇に自分の分厚い男の唇を重ねた。
そのまま三分も唇を重ね合い、その間、美乃は尻と乳房を揉まれていた。やがて男の手は美乃の股間の間、スカートの中に男の手が伸び、男の右手の中指が、マンコの辺りを探った。
「おい、クリトリスしか、ないのか、おまえ。」
と唇を外した、黒いパンティーストッキングで顔を覆った男が聞くと、美乃はスカートのポケットから無線機のようなものを取り出すと、
「助けて!派面ライダー!」
と大声を上げた。
その美乃の唇をパンスト男は、美乃の背後に回り、左手で塞ぎ、右手で彼女の豊満な乳房を薄い上着の上から、入念に揉み解(ほぐ)し始める。
美乃の乳首を探り当てた男は、ズボンから飛び出して既に勃起したモノを美乃の尻に彼女のスカートの上から、ぐん、と押し付けた。
パンスト男は膝をかがめて、伸ばすと、美乃の尻の割れ目の下の方から、上の部分まで、男の張り切った亀頭で強くなぞる。
「おお、いい気持だぜ。男の中心点でチンコを雄たけび、させる。なんて、な。姉ちゃん、おまえも感じているんじゃ、ないのか。」
美乃は右手に無線機を持ったままだ。
その時、バイクの爆音が公園の外に聞こえた。そのバイクは、公園の入り口前で停められ、黒いサングラスをかけた、白バイの警官の制服に似たものを着た男が、バイクから降りると、
「派面ライダー、チン参(ざん)!」
と名乗りを上げ、二人に駆け寄ってくる。白バイの警官の服装との違いは、白の部分が赤になっている事だ。
パンスト男は、
「ピー!又しても、我々、モッカーを邪魔しに来たな。この娘はな・・。」
美乃を自分の前に抱き留めながら話すと、派面ライダーは飛び上がり、
「とぅーっ。」
と叫び、飛び蹴りで、モッカーの黒いパンストに隠れた左耳の辺りを攻撃した。
パンストのモッカーは、
「あわっ、ピー!」
と声を出し、美乃を乱暴に自分の横に押しやると、
「まだまだ、こんなものでは、な。おれのモノを見ろ、派面ライダー。」
とモッカーは勃起チンコ、それはパンツの切れ目から突き出ていた、を見せた。
派面ライダーは、
「ふん。おれと勝負するのか。変チンするから、見ていろよ。」
と答え、両手を、手のひらの方を、十センチほど離して向かい合わせて、自分の頭の上に空高く突き出し、そこで止めると、
「変チン!」
と声をかけると同時に、両手のひらを向かい合わせて離したまま、自分の股間に向けて振り下ろす。
「おおっ!」
両手は股間のあたりで停まっている。すると、派面ライダーの股間が膨れ上がってきたではないか!
派面ライダーは両手でガッツポーズを取ると、
「ぼっきーキック!」
と叫んで再び飛び上がり、今度はモッカーの顎(あご)を蹴った。
「ピー!」
と叫ぶと、パンストモッカーは、その場に倒れて意識を失った。

 嬉しそうな美乃は、派面ライダーに駆け寄ってきて、抱きつき、
「ありがとう、派面ライダー。」
と言葉をかけると、派面ライダーの胸に顔をうずめる。
その時、美乃は自分の下腹のあたりに何か肉の塊のようなものを感じた。それは、派面ライダーの勃起した実在だった。
美乃は顔を赤くしたが、公園内では暗くて、その色は見えない。
派面ライダーも美乃の肩を軽く抱きながら、
「ごっつあん、してしまおうかな。いただきます、してしまおうかな。」
と声をかけると、美乃は、
「いいわよ、してっ。」
と自分から背伸びして、派面ライダーにキスをした。
 美乃の、背中の真ん中まである黒髪がユサユサと揺れる。
派面ライダーも、美味な、もののように美乃の唇を味わい、舌を入れて絡める。
唇を離した派面ライダーの右手は、美乃の股間に触れると、
「おや?君は、もしかして・・・。」
と呟くように聞くと、
「そう、わたし、男の娘、よ。」
と美乃は、にっこりとして答えた。
派面ライダーは、美乃の肩に回した両手を外すと、
「ま、今日は、この辺で。明日、仕事が朝早くあるから。」
と語ると、公園の入り口に止めたバイクに向かって走って行った。

波山飛苧(なみやま・とぶお)は、四十歳になる福岡市の不動産会社の社員だ。昨日の夜、公園で男の娘を派面ライダーとなって救出した。
実は美乃は、キャバクラで働いていたのだ。「キャバクラ女子校生」の新人として、飛苧は彼女と出会い、
「何か困った時には、これで呼ぶといい。ただ、不動産会社の休日と、平日は営業時間外に、してほしいけどね。」
とキャバクラで無線機を渡した。
美乃は信じていない顔をして、
「またー、そんな。波山さんみたいな人、冗談が、こみいってますね。」
と答えると、近くにいたキャバ嬢が、
「それ、ほんとなのよ。わたし達もね。危ない時に、波山さんに助けてもらったんだから。」
すると美乃は、
「えええっ、そうなんですかー。」
と半ば、信じた顔で無線機をスカートのポケットに入れた。

 そんな経緯で美乃は、派面ライダーに助けられたのだ。

 現実に帰れば、飛苧は福岡市にある不動産会社の社員だ。2016年は、日本経済は年末辺りまでダメで、だから不動産を買う人も売る人も少なく、飛苧の会社も支店の一つを閉店した。
不動産会社といっても色色な業容で、飛苧の会社は賃貸物件の仲介も、やっている。これも2016年は不調。
2017年になってから、少し、不動産の仕事も増えてきて、中洲のキャバクラにも時々、行けるようになった。
その行きつけのキャバクラ「女子校生」で知り合ったのが、さっき助けた美乃だった。
飛苧(とぶお)は美乃を女性だと思っていたのだ。
男の娘、美乃。でも、さっき軽く抱いた感じは女のものだった。

美乃、本名は飛切美乃(とびきり・びの)という。実家は福岡市郊外にある六百坪の豪華なる邸宅を所有する。父はゲームセンターとパチンコ店を、いくつも経営している。年収は五億円で全国的に見れば、それほどの資産家でもないが、福岡市では、いい暮らしが充分できる。
現実的な話としては、福岡市内には千坪の邸宅は、ほぼ、ないので六百坪は広さは上位の方だ。
邸宅内では若い女性の女中つき、女中は死語みたいなものだからメイド、と表現しよう。実際にメイド喫茶にいるメイドの恰好をした若い女性が、飛切家には仕えている。
美乃の父親は、飛切辰蔵(とびきり・たつぞう)という。
名前と関係あるか分からないが、自分専用のメイドに、
「おれのモノはね、とびきり、よく立つんだ。」
と話す。
自分の書斎で、そのメイドと二人きりの時に語ったのだ。
メイドは顔をリンゴの色にして、
「そうなんですかあ。すっごーい。」
と褒めてみる。
時刻は昼の一時、妻は四十代で演劇鑑賞に出かけている。書斎は狭くて四畳半だからメイドとの距離も近い。
飛切辰蔵はズボンを脱いでパンツも取ると、メイドに向けて自分の雄々しい筒先をドビーンと見せた。
メイドは両手を自分の両頬に当てると、
「きゃっ、旦那様。見て、いいのですか。」
と可愛らしく聞く。
「ああ、見ているだけで、いいのかな。」
「いえ、それだけでは、我慢、出来ませーん。」
辰蔵は椅子に座ると、
「では、好きにしていいぞ。」
と男のキノコを直立に近くさせたまま、メイドを促す。
メイドは躊躇して、
「でも、奥様が旦那様には、いらっしゃるのですから・・・。」
「なに、あれはな、今日は演劇鑑賞会だ。男の俳優の股間でも眺めて、満足しておるのだろう。夜は遅くなる。楽屋に入れる、らしいからな。そこで気に入った若い男優の、なるべくチンポの太い奴を選ぶんだ。それで徹夜もあるよ。
だから、今日は君と徹夜で楽しめるかも、な。」
巨乳メイドは主人の辰蔵の巨大化したキノコに、武者(むしゃ)ぶりついた。口いっぱいに大きくなった肉竿を入れて、フルートを吹くように辰蔵の肉竿に両手の指を当てて動かす。
辰蔵は目を瞑(つむ)るが如(ごと)くにして、
「ああ、秋葉原のメイドでも、これは、しないから東京のメイド喫茶には、行かなくていい。うおっ、うおっ。」
とメイドに指で演奏されているような感覚を、チンポに辰蔵は覚える。よしっ!
と辰蔵は考えたのだ。この若い可愛い娘にだけ奉仕させては、いけない、おれも、する。
「よしっ、しゃぶりながらでも、いいから、服を脱いで股間にあるショーツと君の大きな胸に被(かぶ)せてあるものも、外しなさい。」
メイドは、
「まい、もふひんはま。(はい、ご主人様、と発音したが、肉棒を咥えたままなので、そういう発音になる。) 」
椅子に座った辰蔵は、ゆっくりと立って、もちろんチンコも立てたまま、メイドが服と下着を脱ぎやすくする。
メイドの名前は満津実(まつみ)という。満津実は辰蔵のモノを咥えたまま、中腰でスカートと白いショーツを降ろして両足を外した。
満津実の豊かな下腹部と、びっしり密生した黒い陰毛が辰蔵の下に下げた視線の中に入る。
ピンクの彼女の割れた線も、クッキリと見え、陰唇は肉厚だ。
ぴしゃ、と音を立てて満津実は主人の肉棒を口から離し、素早く上着と下着、それにブラジャーも外して床に落とす。
全裸になったメイドの満津実は、腰のくびれも見事でAVに出れば人気女優になれるだろう。
辰蔵は満津実に屈(かが)んで、彼女の左りの白い巨乳のピンクの乳首を口に含む。辰蔵から見て右の乳房の乳首だが、咥えているうちに満津実の乳首は硬くなり、彼女は黒髪を揺らせて、
「あはん、いいです、ご主人様。」
と乱れた姿勢になる。
辰蔵は激しく満津実の左乳首を舐め回し、右乳首は左手で摘(つ)まんで強弱を咥える。満津実は少し白い両脚を開いて、マンコも少し開いた。
辰蔵は満津実の細い狭い両肩を優しく下に両手で押すと、満津実は膝を曲げていって四畳半の床の絨毯(じゅうたん)に膝まづいた。