SF小説・未来の出来事36 試し読み

それでも答えなければ、と喜須江は思い、
「暇では、ありません。」
と答えてみた。美青年は諦めずに、
「それでは、いつ、暇になりますか?」
と聞いてくる。
喜須江は少し微笑むと、
「さあ、ね。先の予定は分からないものヨ。」
美青年は納得して、
「そうですね。それでも今は貴女は暇そうに見えましたから。」
と、なおも食い下がった。
地下街の明るさで見ても大変な美青年だ。喜須江は、
「あなたは左翼の人ですか?」
と聞くと、美青年は微笑して、
「そうですとも。僕は左翼ですよ。あなたは?」
「分からない。日本紅党に入ろうかな、と思っているの。あなたは紅党に入っていますか?」
「いえ、まだ、これからです。」
「それでは今までの左翼の人ですか?」
「そう、ですね。場所がね、ここでは、ないんだけど。」
喜須江は美青年が福岡市の人間ではないと類推した。自分も東京から福岡に来ている。もしかして、この美青年は東京から?喜須江は上を見上げて、
「ここではないって、東京からですか?」
「いいえ、東京では、ありません。もっと、いいところです。」
喜須江はドヨーンと意識が旋転するが、
「もっといいところって、日本ではないんですね?」
美青年は笑みを浮かべると、
「日本では、ありませんよ。しかし、日本に近いといえば近いです。私に、ついてくれば分かりますよ。楽園です。」
日本に近い場所にある楽園。バリ島、とか、そういう島なのか、と喜須江は思いを馳せた。かといって、この青年に簡単に随行しても、いいものかなと喜須江は考えていた。黙っている喜須江に、
「おや?楽園というのに興味は、ないんですか?貴女の生活は既に楽園生活?」
そうではない、と喜須江は思う。で、
「楽園生活には程遠いです。男性との縁もないみたいですから、わたし。」
その反応に気を好転させたらしい美青年は、
「それは今日で終わりにしましょう。貴女の予定も、ある。名刺を差し上げます、貰ってくださいね。」
と胸のポケットから名刺を出して喜須江に渡した。薄い金属で出来た名刺。この名刺が、のちに喜須江の運命を変転させていくのだが、今の喜須江には軽い金属の名刺にしか思えなかった。
愛野道男(あいの・みちお)
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という名刺の内容だった。電話番号と住所も書いてある。が、なんと住所は空に浮かぶ島の愛高島ではないか。喜須江が名刺から顔を上げて見ると美青年は、いつの間にか、いなくなっていた。
 美青年はIT関連の人間だったのだ。自分もネット記者だし、と喜須江は軽い金属の名刺を手にして思う。地下街の遠くを見ても美青年は見えなくなっていた。
喜須江はズボンのポケットに美青年、愛野道男の金属名刺を入れると立ち上がり、地下街を歩いていく。驚異的に長い地下街で、この地下街は福岡市の中心的繁華街の天神地下街に続いている。そのためには長い工事期間が必要だった。
数キロに亘る地下街としては日本一の長さだろう。福岡市営地下鉄の駅と隣接する事で地下鉄の駅を降りると地下の商店街に、すぐ出られるというものだ。喜須江が歩いていても地下鉄の駅に近くなると人通りが多いのに喜須江は気づいた。
「福岡ぶらぶら探訪記」という連載ものを社会部デスクに頼まれている伴野喜須江だ。歩行にしても相当な距離を歩いていると実感する喜須江。博多駅と天神駅を地下で繋ぐという道のりは運動としても、かなりなものがある。
 天神駅の地下街に近づいた時に喜須江は快音を見つけた、と思ったのだ。背広姿ではないので、それだけ目立つ姿の快音だ。その辺は小さな噴水広場があり、そこに快音らしき男が立っている。だが・・。喜須江の視線を受けて、快音は喜須江を見たが何の変化も顔には見せなかった。喜須江は(おかしいわね、勢君。)と思って、彼との距離が三メートルの所で「勢君。」と呼びかけてみた。
快音らしい男は初めて目を瞬かせ、
「はい。僕は勢ですが、貴女は、どなたでしょう?」
と答える。喜須江は、
「わたしよ。忘れたの?伴野です、同級生の。」
「ええ?僕の同級生に伴野なんて人は、いませんでしたね。」
との返答に喜須江は、
「記憶喪失しているのかしら。博多超ビッグホテルの地下に勢君は泊まっていたわよね?」
「は??え?あそこには泊まっていませんよ。僕は天神駅の安いビジネスホテルに泊まっていました。人違いでは、ありませんか?」
世の中には似た人は数人はいると言われている。勢快音に似た人も、いても可笑しくはない。それに、ここは福岡市だ。とうとう快音を見失った喜須江。快音は一体、どこに消えたのか?と錯綜とした思いに捕らわれた喜須江であったが、それにしても快音と、よく似ている男性で年齢も近そうだ。それでも最後の望みを賭けて喜須江は訊いて見る。
「勢快音君、ではないのですね。失礼しました。」
と話して喜須江は立ち去ろうとした。すると、その男は、
「ああ。待ってください。勢快音は僕の兄の名前ですよ。僕は兄の一つ下の弟です。昔から人には、よく似た兄弟、と言われています。貴女は快音の同級生の方ですね。失礼しました。」
と話して白い歯を見せた。
立ち去ろうとした足を止めた喜須江は、
「そうだったの。快音君の弟さん。今、ここで何をしていますか?」
快音の弟は、
「待ち合わせですよ、女の人とね。詳しくは話せませんが、撮影するんですよ。その辺で勘弁して下さい。」
と話す。喜須江は遠慮がちになり、
「それは失礼しました。プライベートな待ち合わせでしたのね。東京から、ここまで、その撮影のために来たの?」
「ええ。スマホ一つでSNSで出会い、彼女も意気投合しましたから撮影させてくれるんですよ、という事ですけど。」
快音と梨ふたつのように似ていて双子みたいな男だ。それでも喜須江は、
「お邪魔だったわね、わたし。」
「いいえ、兄さんの彼女なら問題ないですよ。」
「あら、わたし快音君の彼女じゃないのよ。」
「そう?ですか。まあ、いいや。兄と親しい人なら邪魔とは思いません。兄の世話には随分と、なりましたから。」
「あなたも得度していますか?実家は御寺ですものね。」
快音の弟は自分の右手で自分の頭を撫でると、手を降ろして、
「ああ、剃髪もしました、そう、得度も。でも坊さんの資格を取る修行には行っていないんです。カメラの専門学校に行きました。動画も撮ります。」
と意外な経歴を披歴した快音の弟だ。彼は目を開くと、
「初めまして。快音の弟で快人(かいじん)と言います。」
と名乗る。喜須江は、
「はじめまして御挨拶します、伴野喜須江です。」
快人は、
「伴野さんは何を、なさっていますか?職業は。」
道行く人たちは二人を気にも留めない。喜須江は、
「ネット新聞記者なんです。それで東京から福岡へ。博多駅の地下街から、ここまで歩いてきました。長い地下街ですねー、ここは。」
快人は、うなずくと、
「日本一らしいですよ。地下街としては。プロ野球も福岡市に又、球団が出来ましたね、そして去年は日本一でした。」
「うん。そうね。日本一の多い福岡市だわ。SF福岡に取材に行こうと思っているのだけど。」
「それは、いいですね。SFは僕も読みますよ、電子書籍で。伴野さんも読みますか?SF?」
「時々、読みますわ。普通は恋愛ものの小説を電子書籍で読みます。」
「ははあ。伴野さんは独身ですね。違いますか?」
「ええ、独身よ。まだ二十三歳ですもの。」
「あ、来ました。ぼくの待ち人が。そうだ、取材しませんか?伴野さん。僕が撮影しているのを。」
長身のモデル風美女が勢快人の近くに歩いてきて立ち止まる。その美女は快人に、
「お待たせ。お話し中に割り込んだみたいですね。」
と端正な顔に静かな微笑みを浮かべて話した美女だ。快人は右手を上げると、
「やあ。待ちませんよ。この女性はネット新聞記者の方で、僕の撮影を取材してくれるんだって。」
と喜須江の返答を待たずに取材敢行を決めた口ぶりだ。喜須江は異としないのだろう、無言でいる。モデル風美女は納得した顔で、
「それは、ありがとうございます。ぜひ、取材してください。」
と楽しそうに話す。喜須江は二人に、
「それでは、取材する事にします。どこで撮影を行なうのですか?」
快人が、
「海辺に行きますよ。今日は風も穏やかだし、那珂川を東に渡って海の方に北に行けば博多港です。そこからは韓国の釜山に行く船も出ています。歩いて数キロはあるのでタクシーで行きましょう。」
三人は地上に出てタクシーに乗った。
喜須江を前の席に、快人とモデルは後部座席に乗る。快人は、
「博多港まで。」
と、AIを搭載した若い男の風貌のロボットに言う。ロボットは、
「博多港ですね。毎度、ありがとうございます。」
と答えたが、操作も何もしない。
博多港、という言葉に自動運転車に備えられたナビが反応して自動的に博多港を目指してタクシーは発進したのだ。
タクシー自体に行先を判断して出発できる機能が、あるらしい。喜須江の視界はビルと歩道の人の流れ、から川を渡り左折した車からは海に近づいていくのが塩の匂いで感じられた。
博多港に着いたので三人はタクシーを降りる。料金は快人がスマホ決済していた。人通りの少ない場所に快人は二人を連れていく。軽い潮風がモデルの長い黒髪を揺らせている。快人はモデルに、
「そこで腰に片手を当てて。」
とポーズを取らせてデジタルカメラで撮影した。港には大型貨物船が悠々と停泊している。カモメは、いない博多港だ。カモメの食べ物が、ないのだろう。博多港には鳩やカラスも来ない。それは、わびしい港であることを示している。そういう港には船に乗る人以外、人が集まる事もない。どうして、そうなのか。
博多港には公園がなく、緑の樹木もないのである。今、モデルは海面まで五メートルの場所で快人の指示通り、色々とポーズを取っている。快人はモデルにデジタルカメラを構えたまま、
「次は水着になろう。服は伴野さん、お願いします。」
長髪、長身のモデルは、そこで服と長いスカートを脱いで水着になった。黒の水着はビキニで低い高さの股間の逆三角形のものだ。胸の部分も少ない面積なので彼女の乳房の白い肌が大幅に露出している。それはモデルの尻の部分も同じだ。
人通りのない場所だけに撮影も、やりやすい。快人はビキニになっているモデルに、
「そこのベンチに座って。はい、両脚を大きく広げて。」
と指示する。
モデルは言われた通りにビキニ姿でベンチに腰かけ、大開脚した。快人はデジタルカメラを写真撮影だけでなく、同時に動画として撮影していくというモードに設定している。普通のデジタルカメラでは写真撮影と動画撮影は同時に出来ない。それが同時に出来るという今までにないデジタルカメラを快人は持っている。
伴野喜須江はモデルの衣服を腕に下げて持ちながら、大胆なモデルのポーズに少し驚いた。快人はデジタルカメラに当てた眼を離さずに、
「次はベンチの上で四つん這いになって、お尻をカメラに向けて高く持ち上げよう。」
言われた通りにモデルはビキニ姿でベンチに四つん這いになり、顔を後ろに向けると大きな桃のような尻を高く持ち上げた。
快音はカメラを向けたまま、
「よし、いい構図だ。尻の割れ目が半分、見えるくらいパンツを下げて。」
モデルは左手で股間を覆うものをズリさげて、半尻が見えるようにした。快人は、
「よーし、いいよ。すぐに持ち上げて尻を隠そう。よし、この辺で一旦、停止する。次の場所に行くまで休憩しよう。伴野さん、モデルの服を彼女に返してあげて下さい。」
言われた通りに伴野喜須江はモデルの服を彼女に渡した。手早く服を身に着けるモデルだ。ウーッ、ドクドクドク、港の汽船が音を立てた。モデルの水着姿は乳首が浮き出ているものであった。開脚した時には股間の縦筋もクッキリとしていた。それを伴野喜須江はシッカリと見ていたのである。
 三人で並んでベンチに腰かけて休憩する。快人が真ん中で両隣りに服を着たモデルと伴野喜須江だ。快人の右隣が喜須江で、喜須江は海を見ていた目を快人に向けると、
「勢さんは政党は何処を支持するの?」
と気楽な感じで質問する。快人は、なごやかな様子で、
「日本紅党ですよ。この前、日本紅党のオンライン演説会をネットで見たけど、党首の桜見さんが公約を色々としていました。それで今度の選挙は日本紅党に投票しようか、と思っているんですよ。」
話した。
喜須江はモデルに、
「モデルさんは、どうですか?政党の支持する所なんて、ありますか。」
と尋ねると、服を着ても大きな胸を隠せないモデルは、
「わたしも日本紅党に投票しますよ。わたしもオンライン演説会をネットで見ました。大胆なモデル活動も認めてくれる日本紅党なんだな、って思ったわ。」
潮風は優しく吹いている。喜須江は日本紅党の躍進を思った。快人に向けて喜須江は、
「勢さんは実家が、御寺ですよね。そちらの方は、やらないのですか。」
快人は自分の長めの髪を潮風に揺らせて、
「うん、兄さんが跡を継ぐと思いますよ。僕は自由に、させてもらっています。写真と動画の専門学校を出て、アルバイトで貯めた資金でインドに行きました。そこでジャイナ教と出会い、修行僧になったんです。ジャイナ教は仏教とは随分違うと思いましたよ。
 菜食なのは、いいんですがね。服を全く着ないで人の前に姿を見せるんです。股間にも何も当てないんですよ。」
と話すので、喜須江もモデルも(きゃっ)という顔をした。喜須江は、
「それではヌードのまま、でいる、という事ですね?快人さん。」
快人は愉快そうに、
「そうです。それは露出狂ではなくて、何も持たないという事を示す為なんです。財産とかは勿論、服も持っていない事を体で示すんですよ。それで裸のまま、托鉢に行くんです。底の深い皿を持って富裕な食べ物をくれる屋敷に行くんですが、インド南部なので気候は暑いし裸でいる事には心地よさがあります。股間も何もしませんし。チンコと金玉を揺らせて歩く事になります。」
そこでモデルと喜須江は顔を赤くした。
快人の裸体で歩行する姿を二人は想像してしまったのだ。実際に南インドで快人は裸体でいる修行をしていたのだから。それにしても一般的にパンツとズボンで男性器は固定されているから、歩いたところで股間の揺れは感じないものだが、それに戸外にいる場合でもプールや海岸では海水パンツを履いているために性器の揺れは感じないものだ。裸体の快人は初めて戸外で自分の性器の揺れを感じたのだろう。快人は港の風を吸い込むと、
「いつもは、その屋敷の勝手口みたいなところに行って、カレーやフルーツを貰っていました。老女の召使みたいな人に、たっぷりと皿に食べ物を入れてもらいましたよ。老女は僕の股間は別に気にせずに親切に食べ物の布施をしてくれました。
それが或る日、そこの勝手口に行くと出てきたのは若い女性で、その屋敷の娘のようでした。その日は、とても暑い日で娘らしい女性もビキニで出て来たんです。全裸の僕を見ても、その娘は驚かずに準備してきた大量の食品を僕の皿に入れてくれました。大きな胸の娘で尻も大きいらしい。水着の胸の部分は乳首が突き出そうな様子でした。僕は、その娘が近くにいるのを見て半勃起してしまったんです。
それでも富裕な屋敷の娘は僕の股間を気にしないでいてくれましたけどね。」
喜須江とモデルの女性は沈黙を続ける。快人は宙を見つめて回想し、
「やはり修行が足りないんだな、と思いましたよ。いずれは人が通る道沿いで全裸で対応しなければ、ならなくなるんです。道行く信者に全裸で、お祓いもしないといけなくなる。そこで僕はジャイナ教をやめて、日本に戻りました。」
と述懐する快人。
 中年のインド人が三人の前に現れた。白い衣を、身につけただけの、その男性は快人に、
「ここにいるのは分かっていた。快人君、久しぶりだ。」
快人はニッコリして、
「グル。よく私の居場所が分かりましたね。」
快人のジャイナ教の師らしい。グルは、
「それは瞑想して君を突き止めたよ。私は何も持っていない。」
と語ると白い衣を右手で取る。
そのグルの全裸の姿が現れた。男性器も丸だしだ。喜須江と女性モデルは両手で目を隠す。
五秒ほど全裸を示すとグルは白い衣を再び身に纏い、
「それでは快人君。しばらく私は日本にいる。ただ、日本でジャイナ教を広めるつもりはない。ジャイナ教を修行したければ又、インドに来るのだ。それでは快人、さらばだ、しばし。」
と話すと速足で港のフェリーの発着口がある建物へ歩いて行った。喜須江は両手を目から離すと、
「すごい先生ですね。いきなり裸を見せるんですもの。結構、大きな竿でしたわ。目を隠す前に、よく見ましたもの、わたし。」
と話した。
快人は心静かに、
「あれも修行なんですよ。若い女性に自分の裸を見せて、何も持たない事を示すと共に、勃起もしない事を見せるんです。師の竿は微動だにしていませんでした。」
と快人は解説する。女性モデルも両手を目から離すと、
「わたしも少し、あの先生の竿と玉を見ましたわ。あんなに大きいのに、女性に使わないなんてと思うわよ。」
と異見を述べるが、快人は、
「性交をしないのが修行僧の決まりです。先生は修行僧になる前に大勢のインドの女を抱いたらしいですよ。二千人位のインド女性と朝晩、やっていたそうです。」
女性モデルは大いに納得して、
「それでは。もう飽きてしまったのかな、女には。」
快人は、
「そうだね。休憩は、もういいだろう。海に潜ろうか、それでは。」
と云うと立ち上がった。
 快人に附いていった二人は近くにスキューバダイビングが出来る店があるのを目にする。快人は受付の前で二人に、
「費用は全部、僕が出す。伴野さんも、どうですか?」
と云うと、次に伴野喜須江の顔を見た。喜須江は、
「ええ、やりますよ。スキューバダイビングって、やってみたかったんです。」
 三人は更衣室で着替えて、服を別の場所のロッカーに入れた。酸素ボンベも軽量のもので作られているために背負いやすい。店の入り口とは別の所に海に面した飛び込める場所から快人を先頭に三人は博多湾に飛び込んだ。
 博多湾の浅い水中だが三人の足が海底に届いて立てる浅さではない。快人を先頭に海中を泳いでいく。しばらく泳ぐと先頭の快人は停止すると女性モデルも泳ぎ止まる。快人は海中でデジタルカメラを手にして構えたではないか!
モデルは魚のひれのような足に付けた靴を動かしつつ、ビキニを外し双方の白い乳房を海中で披露した。
快人はデジタルカメラで撮影を開始している。次にモデルは股間の薄くて短い覆いを下にずらす、彼女の黒い恥毛が海中に揺れ動く。海中ヌード撮影を快人は実行した。
快人はデジタルカメラを海中に手放すと自分のスキューバダイビング用の水着を前のジッパーを降ろして外した。酸素ボンベは背中に背負ったまま快人は海中で前面は全裸となって立っている姿勢になる。それからデジタルカメラを手にすると白い巨乳と黒の股間を露わにしている美人モデルを丹念に撮影する。ボクボクボクと口の辺りから泡を出しつつ快人は平泳ぎの姿勢で裸身に近い美女を撮影していくのだ。伴野喜須江は酸素ボンベの存在を忘れてしまうほど海中にいるのを実感せず、二人の裸体を熱心に見つめ続ける。美女モデルは水中用のゴーグルを目に当てているし、快人や喜須江も、それは同じだ。被写体としての美人モデルも次第に大胆なポーズを繰り広げていくようだ。
海中というものは無重力状態に似ているため、思いのままに身体を動かせるのだ。それでモデルは仰向けになった状態になり、海の中で両脚を大きく広げた。その際に、股間のビキニを両膝までズリさげて、M字開脚と呼ばれる姿勢を取る。それで海の中だけに美女の股間の中心にある開いた貝のような場所は神秘的な態様を示している。一般的に公開するのにはボカシのような修正が必要であるが、喜須江は紅党党首の桜見総統が、ー公約の一つとして、女性器を隠す必要のない法律を作ろうと思っているの・と話していたのを思い出した。無修正の解禁を桜見総統は考えていたのだ!勢快人はマスターテープを持ち続けるだろう。そうすれば、いつの日か桜見総統が政権を取れば女性器の無修正が解禁される時が来る。その時には勢快人は堂々と今、撮影している美人モデルの海中の無修正ヌードを公表できる。

SF小説・未来の出来事35 試し読み

快音は探偵に同意の顔で
「行きますよ。何処へでも。」
と答えた。探偵の少し後ろから快音青年は追うように歩いていく。新宿駅から少し歩いた場所は酒場の多い通りになり、探偵と快音はアルコールの匂いを鼻に感じつつ停止することなく歩き続けた。日没が近い空の模様は闇の到来を感じさせる。
 スナックやバーと言った雰囲気の店が並ぶ通りの一軒の店の前にフロックコート姿の探偵は立ち止まると快音に顔を向けて、
「この店の中に貴方が探している女性が居ます。でも一見の男性はダメなので、ここで待っていて下さい。」
と言い残して、その店の中に入って行った。快音は眼で店の名を確認すると、百合の奇跡という店名だ。もしかして?もしかするのだろう。フロックコートの探偵は店内から一人の女性と共に現れたのだ。彼女は伴野喜須江の面影を残していた。伴野喜須江は派手な化粧をして、いかにもバーの店員らしい。伴野は快音を見ると驚かずに、
「勢君、お久しぶり。あなたホストの仕事を、しているんでしょう?」
と聞いてくる。フロックコートの探偵は右手を軽く上げると、
「では、私はこれで失礼します。」
と言い置いて、その場を立ち去った。快音は伴野喜須江に、
「ああ、そうだよ。ホスト稼業をしているよ。君はレズバーで働いているんじゃないのか?」
「ええ、働いているけどレズという訳でもないの。今、仕事中だから、これで。」
とレズバーの店内に戻ろうとする喜須江に快音は、
「せっかく会えたのに、それはないだろう。君のスマホの番号を教えて欲しい。」
と呼びかけると喜須江は、
「それより勢君の番号を教えてくれたら、こちらからスマホするわ。」
と意外と上機嫌な伴野喜須江だ。快音はズボンのポケットから財布を取り出すと、財布の中から名刺を取り出して喜須江に手渡した。
喜須江は感心して手にした名刺を見ると、
「名刺まで持っているのねー。うん、後から連絡するわ。」
と放言してレズバーに戻った。
男子禁制のレズバーらしい。探偵はコネを持っているのだろう。関係者以外の男は入れないレズバーだ。まるで尼寺では、ないか。
快音は入れない店だが店内には、どのような客が来ているか。小人数制らしく客単価を上げなければレズバーとしても経営は難しい店だという。
 その日は福岡市に帰る事を中止して快音は実家に帰った。都内のホテルに泊まる必要は、ない。住職の父親は葬式に出ていて不在だった。広めの自室の中で椅子に座り、快音は果たして伴野喜須江は連絡をくれるのだろうかと思いを馳せてみる。
 深夜0時に快音のスマホが鳴った。まだ寝ずに起きていた快音はスマホを取ると、
「もしもし。」
「伴野よ。まだ、起きていたのね、勢君。」
「ホスト稼業で見に着いた習慣さ。今、どうしている?」
通知設定で電話している伴野喜須江の電話番号は分かったのだ。
「今、終電でマンションの自分の部屋に戻るところよ。」
「ああ。仕事が終わったんだね、もう。」
「明日、休みになったの。何か勢さんとの縁を感じてね。彼氏もいない五年間だった。それで、ではないんだけどレズバーで働く事になって、実は、わたし・・・。」
そこで言葉をとぎらせる伴野喜須江に快音は、
「実は、どうしたんだあ?」
と声を大きく放つ。
「明日、話すわ。水天地公園にしましょう。朝、十時にベンチで待っているわ。丁度、私たちの実家から半分ずつの距離にある、あの公園で。」
水天地公園とは高い杉が林立した丘の麓にある大きな池の周囲の土地だが市の中心部からは遠くて人は滅多に来ない場所だ。明日は平日なので猶更、誰も来ない場所だ。快音は、
「ああ、あの公園の近くで分かれたんだったね。高校卒業前に。」
又、捨てられるのか、との絶腸の思いが快音の脳裏に光を伴って、よぎる。
「そうそう、それでは明日。」
と喜須江の声が告げるとスマホは通話切れとなる。

 翌日の目覚めは早く、快音は本堂で父と共に朝のお勤めをすると食事をして外出する。破天荒な息子の行動にも口を挟まない密教僧の父だ。これから息子の快音が初恋の女性と会いに行く事も知らぬ父である。
 父に行く先を断らずに実家を飛び出した快音の足は水天地公園へと向かった。約束の十時前に公園に入るとベンチに座っていた伴野喜須江は、うつむいていた顔を上げて、
「おはよう、勢君。早く来たね。」
と声を快音の耳に届けた。快音は彼女の前で立ち止まると、
「体の方が勝手に動いて、ここに来たんだ。自分でも、よく分からないよ。」
と話すと喜須江はベンチから立ち上がり、空を見上げて、
「あ、来たわよ。あれ。」
と空中を右手の人差し指で指し示したのだ。
薄い白の円形のUFOが出現している。青の光がUFOから発射されて、二人は青色の光と共にUFOに吸い上げられて行った。
 UFO内に取り込まれた二人は私服を着た二人の背の低い男性に対面する。その異星人らしい一人の男性は二人に、
「ようこそ、船内へ。我々はプロキシマbから来た者です。地球人は我々を簡単には信じません。そこでネット新聞記者の伴野喜須江さんに連絡を取り、今日、下にある公園の上空に来たんですよ。」
と説明した。
ネット新聞記者の伴野喜須江?レズバーで働いているのでは?と快音は思う。喜須江は戸惑っている快音を見ると、
「レズバーは潜入取材のために入店して働いているのよ。本職はネット新聞の記者です。高校を卒業して会社で働きながら、ネット通信大学を受講して卒業した後でネット新聞に入ったの。」
と詳しく伴野喜須江は話してくれた。
それは納得しても今は異空間ともいえる空飛ぶ円盤の内部にいるし、小柄な二人は明らかに地球の人間ではない。快音は一応、
「分かった。だけど、この宇宙から来た方々とは伴野さん、あなたは、どういう関係があるんだ?」
それには小柄な宇宙人の一人が快音に歩み出て、
「伴野さんが我々の地球への活動を手伝ってくれるのには最適の女性だと判断したんです、日本ではね。そのために我々は日本の上空から良い波動を出している人々を、この円盤内の機器から検出しました。無線電波を探り出すのと同じなんですが、地球の科学では数千年先に発見できるかどうか、でしょう。
とにかく、それで伴野喜須江さんを見つけ出したので、遅からず彼女に交信をしたんです。最初は夢の中に交信しました・・・」
・・・・・・・************************************
レズバーでの勤務から近くのマンションの部屋に戻った喜須江はシャワーを浴びて寝るだけの生活を続けている。喜須江の体はシャワーを浴びている姿からも豊満である事が分かるのだが、着やせする体型なのかレズバーでも喜須江は攻められたい願望を持つ女子から話しかけられる事も多い。
喜須江はネット新聞記者としての仕事のために潜入取材でレズバーで働いているので本物のレズではないから彼女の体も豊かな体でも不思議はない。
 誰もいない部屋でもあるし喜須江は全裸でシャワーを浴びた浴室から出てくると洗面所に吊るしてあるバスタオルで白い体を拭く。その際に彼女の胸や尻は悩ましく振動する。彼女の体は胸部と臀部以外は寧ろ痩身とも言えるほど細い体型だ。彼女の陰部の上は黒い逆三角形の密毛地帯で、それは彼女が気に入った男を即勃起させる形状であるのは間違いなく言える事だ。
快音は十八歳の喜須江の姿しか知らないし、彼女の全裸は見た事もない。それで、その魅力は未だに知らない快音なのだ。バスタオルで全身を拭くといっても喜須江は自分の手を使って拭いているのではなく、全自動バスタオルで自分のシャワーで濡れた裸体を拭かせている。この全自動バスタオルはマイクロコンピューターを内蔵している。それで、まず始めは全自動バスタオルに喜須江の体を学習させる必要がある。
 そのため喜須江は全自動バスタオルの隅にある作動スイッチを押して、手動で全裸の自分の体を従来のように拭いていく。二、三分もすると彼女は魅惑的な白い裸身を拭き終わるのだ。それは女性に限らず男性でもバスタオルで濡れた体を拭く行為に変わりはないのだが、この一回の動作で全自動バスタオルは喜須江の体を拭く距離と時間を学習してしまう。
次回からは喜須江は全自動バスタオルの作動スイッチを押すだけで、自分の手を使うことなく全自動バスタオルが自発的に彼女の体を全身隈なく拭いていく。
喜須江は最初に全自動バスタオルを自分の左乳房に掛ける。すると、そこから初めて全自動バスタオルは彼女の裸身を拭きつつ移動していく。喜須江の左乳房が終わると右の豊満な乳房をユサユサと拭き、それが終わると下に降りて彼女の臍や下腹部を拭き、それから黒の逆三角形地帯を拭くと、喜須江の股間も丁寧に拭いていく。彼女の女性器も丹念に拭く。それは全自動バスタオルが喜須江のバスタオルで全身を拭く動作を学習した通りの動きなのだ。
つまり喜須江はバスタオルで最初に自分の左乳房、そして次に右の乳房、みぞおちから臍のあたり、下腹部から股間、女性器の順に拭いてくのが日常の無意識的な動作だった。
それから全自動バスタオルは彼女の大きな尻、それからナダラカナ背中、細い首回り、左手、右手、それから急降下して彼女の左足、そして右足の表側、それから彼女の右足の裏側と左足の裏側を拭くと白い柔らかな喜須江の皮膚を上昇して最初の左の乳房に戻ると全自動バスタオルは停止する。
 喜須江は左乳房に戻った全自動バスタオルを右手で取るとハンガーに掛けて(全く便利だわ、この全自動バスタオルは。サイバーモーメントの製品って信じられないほど素晴らしい。他にも買いたいものがあるけど結構な価格だわ。でも貯金して買おうっと、ね。)
それから全裸のまま彼女はベッドへ行き、時には布団もかぶらず全裸のまま仰向けになって寝る。両脚を大きく開いて寝る事もある喜須江だ。
その日も喜須江は、すぐに入眠した。夢の中で地平線が見えそうな草原に彼女は立っている事に気づいた。しかも全裸で大草原にいる喜須江だ。初夏の季節らしく全裸でいる事は彼女には心地よい気温だった。彼女の肩の高さまで伸びている草に囲まれているため、その外からは彼女の全裸は見えないはずだ。
草の生えていない空間は広い公園位の面積があるが、そこには誰も見えないので取り敢えず喜須江はホットした。
 それも束の間、上の空に気配を感じた喜須江は上空を見上げた。そこには白い円形のUFOが空中に難なく制止していた。そのUFOは目に見えない速さで急降下して喜須江の前、五メートルの距離に着陸した。そのUFOの前面が開くと中から一人の小柄な男性が出て来た。肌は黄色で日本人の肌色の、その男は私服を着ている。黒い目なので宇宙人には見えない男は喜須江に歩み寄ると、喜須江は自分の全裸に気づき、右手で陰部を左手で乳房を隠した。
男は平静な微笑みを浮かべると、右手に持ったものを喜須江に差し出して日本語で、
「心配しないでください。この布を貴女の体に当ててみて貰えますか。」
と薦めるのだ。喜須江は左手で、その布を宇宙人らしき男から受け取った。ポロリンと彼女の乳房は魅惑的に揺れて男に見られたが、宇宙人は冷静に動じない。
喜須江は貰った布を乳房に当てて男に見えないようにした。すると!その布は伸びていき、彼女の乳房を両方とも覆うと、更に下へ行き彼女の下腹部から太ももの上まで伸びてミニスカートの位置で停止した。そして彼女の後ろの方も、その布は伸びて薄茶色の布は喜須江のツナギの衣服のようになったのだ!
 宇宙人のような男は柔らかな印象で、
「さあ!UFOの中へ行きましょう。お話しする事が、あります。」
と誘いかけた。
喜須江は言われた通りに着陸した円盤の中に入ると、そこで聞いた話は、
「これは貴女の夢の中なんです。明日、貴女が働いているレズバーの前にいますよ。貴女の仕事が終わった頃にね。」
そこで喜須江は目が覚めた。
今の夢を鮮明に覚えていた喜須江は夕方になるとレズバーへ出向き、仕事が終わった夜の十二時にレズバーの外に出ると夢の中で見たUFOの中で話していた一人の小柄な男性が店の前に立っているのに気付いた。小柄な男は明瞭な日本語で、
「伴野さん、こんばんわ。御機嫌、いかがですか?」
喜須江はビックリして立ち止まると、
「あなたは、もしかして・・・?」
「ええ、貴女が夢の中で見たUFOの男です。二十四時間喫茶が、そこにありますね?」
とレズバーの斜め前を指さす小柄な宇宙人。喜須江は、うなずくと、
「ええ、ありますわ。」
宇宙人は確信的に、
「話は、あの中でします。もちろん、会計は私が払いますからね。」
と話し、二十四時間喫茶店に喜須江を連れて行った。そこで男は様々な事情を話し、伴野喜須江は協力する事を確約した。//////////****************************************
 円盤内の小柄な男は、
「そういう訳で伴野さんは我々に様々な情報を提供してくれる事になりました。」
と快音に話すと、続けて、
「勢さん、貴方にも情報の提供を願いたいのです。」
と懇請するので、快音は、
「そうですか、いや、ありますよ。つい最近、経験した事だけども・・・。」
快音は総務省の審議官のキャラリンの話をした。それにはネット新聞記者の伴野喜須江も双眼を光らせたのだ。喜須江は、
「それは新しい接待の、やり方だわ。極東映像からは誰も宴会に出ずにホストに接待させたのだからね。」
と一刀に断じた。
小柄な宇宙人は興味深そうに、
「なるほど。日本の役人は接待で、どうにでもなるようですね。ハハハ、これは面白い。うん、我々も日本の官僚と言う連中を動かしてみたくなりましたよ。極東映像より以上の接待が出来ると思うけど、考えてみましょう。」
と話を開陳した。
その後は美女の宇宙人が出て宇宙ドリンクとでも称すべき飲み物を三人に手渡した。円形のソファを指さして小柄な宇宙人は、
「座って飲みましょう。この飲み物は容器も食べられますよ。」
と話すとソファに座り、一気飲みする。
そして容器も軽々と食べてしまった黒髪、黒い眼の宇宙人だ。
伴野喜須江と勢快音も同じように飲んだ後、容器も食べてみると軽く噛めば崩壊する菓子で出来ているようだ。
 小柄な宇宙人は容器を食べ終わると、
「プロキシマbの科学を使えば日本にとって喜ばしい現象を起こせますよ。ただ今の政府に喜ばしい事を起こしてもね・・・。」
と話した。
伴野喜須江は期待に満ちた目で、
「それでは政権が変わったら、実行してくれるのですね。エリマリンさん。」
と宇宙人に呼びかけた。彼の名はエリマリンだったのだ。エリマリンも希望に満ちた目で、
「ほう、そうですか。変わる前でも、やりましょう。その政党を我々が支持できると評価したならね。」
伴野喜須江は胸を張り、
「連絡してみます。心当たりがありますから。」
と即答した。
エリマリンは期待している顔で、
「それでは地上に戻って活動してください、伴野さん。」
と話した。
円盤は水天地公園に着陸して快音と伴野喜須江は円盤から降りた。円盤は急浮上して二人の見上げた空には晴天以外の何物も見えなかった。喜須江は快音に、
「わたし、福岡に行くわ。九州の福岡に。」
と告げた。快音は、
「そうなのかい。いや実は僕も福岡に戻らないとね。出張で東京に来ていたんだ。」
喜須江は眼を円形にすると、
「そうなの。今は福岡市で働いてるの、勢君。」
「福岡で働いていますよ、だから戻るんだ。」
「それでは一緒に行かない?リニアで、すぐだわ。」
「行こう。しかし、何故、福岡へ?」
「それは、そのうちに分かるわ。ともかく水天地公園を出たらタクシーで東京駅へ。」
と喜須江に言われて二人は公園を出ると車道には空飛ぶタクシーが地上を走っていたので喜須江が右手を上げて呼び止めた。
 二人は空飛ぶタクシーの後部座席に乗る。ほどなく回転翼を車の真上に出したタクシーはヘリコプターに変わり空へ上昇した。
 東京駅前に空飛ぶタクシーが停車できる空間がある。ビルの屋上に作られた駐車場に快音と喜須江の乗った空飛ぶタクシーは着陸した。そこからエレベーターで地下に降りて地下道から東京駅に着くとリニアモーターカーの乗り場へ切符を買って二人は急いだ。
 博多への時間は長く暗い地下を走るのだ。新幹線より早いとはいえ退屈な旅。だが一人ではなく二人なので話は幾らでも出来る。快音が窓際で喜須江は通路側に座る。リニアは動き始めた。快音は前を向いたまま、
「心当たりのある政治家って誰なんだい。」
と喜須江に聞いてみる。
「それは福岡に着いてからの楽しみにしていてよ。」
福岡市に、そんな期待の政治家がいるのだろうか。外の景色は漆黒で、それは不安や期待のない世界を暗示しているようでもあった。初恋の女性とリニアで同席している快音、それは予期せぬ出来事であったが、福岡で王家富富(おうけ・ふふ)という若き女社長との出会いから喜須江との再会に繋がったのであった。人生は何が契機となるかは分からない。もう諦めていた伴野喜須江が今、自分の隣に座っている。化粧品など身に着けていない喜須江は若い女性の持つ芳香やフェロモンを発散している。快音には、それが感じられて心地よく何かを話しかける気も出てこない。福岡の政治家よりも隣にいる喜須江の方が快音にとっては大事だ。ネット新聞・・・そうだ!喜須江はネット新聞記者なのだ。それを話の芽にして・・・と快音は口を開くと、
「伴野さん、ネット新聞って収入源は広告だろう?」
とチラと横目で喜須江を見て話しを向けると、喜須江は、
「それが主かも知れないけど他にも、あるらしいわね。書いて欲しい記事を書くというサービスも、あるのが昔から続いている新聞社とは違う所かな。他にも、あるらしいけど入社して数年では私には教えてもらえないし。」
と答えたのだ。快音は、
「そうか、書いて欲しい記事とは依頼される事だなあ。」
と持ちかけると喜須江は、
「そうみたいね。詳しくは分からない。」
と答え、そこで会話は再び途切れる。快音は、
「福岡で働くのはネット新聞の為なのか?」
喜須江は軽く、うなずくと、
「福岡のレズバー取材も、しているわ。その他の取材もあるから・・今回は、そちらの方が重要ね。」
「その他の取材・・・何なんだ、それは?」
「ひまなら勢君、わたしに同行してみる?」
「ああ、そうしたいね。暇を取れそうだな。」
伴野喜須江は今は社会人なのだ。
快音は稀に実家の寺院の法事を手伝う事を除けば、ホスト、性感マッサージ、などを働いてきた。それも社会に必要な仕事なのだが世間的には冷ややかな目で見られる職業ではあるのだ。
喜須江は当然の事ながら、それに話を向ける。
「勢君、勢君の仕事を知りたいな。何をしているの?」
「デリバリーホストを今は、しているよ。」
「デリバリーホストって?実家の御寺では何も言われない?」
「ああ。密教は性欲を肯定するしオヤジも『どんな職業でも、やり方では菩薩の修行になる』と言うので風俗業で働くのも認めてくれる。それが、この前に福岡の機械製造メーカーで社員的に働く事になったんだ。」
「おめでとう!勢君。立派な社会人ね。」
「風俗で働いていても立派な社会人だろう?」
「そうね、わたしも取材とは言えレズバーで働いているし。」
二人は座席の手もたれに載せている手を近づけて触れあった。初めて触る喜須江の左手は滑らかでスベサラとした感じがある。
大胆にも快音は、しっかりと喜須江の左手を自分の右手で握りしめると喜須江は頬を赤くした。
 前の席の座席の背面はスマホによるクレジット決済でスクリーンが現れる。快音は喜須江の左手を握ったまま、
「前の座席で映像を見よう。君の前の席の背面をスクリーンに出来る。」
と話すと喜須江の手を放して快音はスマホを取り出して、リニアのサイトにアクセスし、喜須江の前の座席の背後にスクリーンを出して映像を見る課金をクレジット決済した。
これで映像が見れる。快音は喜須江に、
「ヘッドフォンも出て来ているから、それを耳に付けた方がいい。」
と進言した。確かに黒色のヘッドフォンを取り出せる。喜須江は、それを手に取ると耳に当てた。スクリーンの下にタッチパネルのようなものがあり、それを喜須江が指で操作すると映像が流れ始めた。

SF小説・未来の出来事34 試し読み

 自分の社員寮のマンションの部屋に帰った快音は、一階のコンビニで買った弁当を食べると早めに寝ようと思ったが、明日の事を考えると眠れなくなった。ノートパソコンに彼の視線は漂着した。机の椅子に座り、ノートパソコンを起動させるとネットサーフィンを始める。
とはいっても自分に関係したサイトしか見ない快音だ。実家の寺のサイトには快音の人生相談のコンテンツもある。毎日、返信すると約束していない無料のものだけにパソコンも持たずに全裸で福岡市に移動させられた快音としては小安堵感をもって今、相談内容を閲覧していられる。それらの悩みに、いくらか返信すると自分が関りを持つホストゴーのサイトを見た。なんと日本紅党のバナー広告が出ているではないか。格差社会を無くします 日本紅党 桜見世子
 不思議な政治広告だ。時社長は日本紅党から広告費を受け取っているのだろう。それで、ひとまずは安泰なのか。明日、ホストの仕事を頼まれた人物も巨額な報酬をくれるというからホストゴーは広く顧客を求めるよりも少人数でも出費を多くしてくれる人に標的を定めたという事なのだろうと快音は思う。
 紅党の桜見世子という人も大胆な事をする・・・と思いつつ、快音は寝支度を整え、ベッドに転がり込んだ。
 翌日は七時に起床してコンビニで買ったカップラーメンに水を入れると電子レンジに押し込み、三分に設定して、チンとなって出来上がったカップラーメンをベッドの横のテーブルで食べた。
お湯の要らないカップラーメンは便利で、いい。
 社員マンションを出て博多駅まで歩いていく途中に(あ、サイバーモーメントに今日は欠勤する事を伝えていなかった)と気づいたので丁度、見えてきた公園に入ると総務課に
本日は欠勤します
とメールを送った。博多駅から電車で南福岡駅へ行くと、そこから歩いて三分のホストゴーの事務所へ入った快音は、すでに社長の時と専務の本池釣次郎が出社しているのを知った。快音は、
「おはようございます。」
と挨拶をすると流太郎が、
「おはようさん。あと二十分で指名された場所に行ってもらう。朝からではあるけど、酒は向こうで用意するという話だ。二十代の女性で社長らしい話しぶりだよ。前金で君の口座には振り込まれている。サービスに勤めれば、それ以上の報酬をもらえるか、どうかは分からないけど頑張ろう、快音君。」
と話を開陳した。
続けて流太郎は快音に、
「そこのソファに座っていい。」
と話すと、緑の長椅子を指さす。

 運転手は本池専務で車での移動は三分ほど、快音は70階建ての
高層マンションの入り口の前で降ろされた。釣次郎は運転席から、
「ここの最上階に住んでいる女性だよ。玄関も三つあるらしいけど、どの玄関の呼び出しを押しても、いいらしい。では、がんばって。快音君、夕方には迎えに来るから。」
と励ましと応援の送り出しだった。
 見上げても最上階は目が届かない位置に快音は立った。なんと、その建物は十階までが複合商業施設で色々なテナントが入居している。デパートに似ているが、少し違うビルだ。
 社員寮のビルの二階も、まだ全部見ていない快音。ここは十階までがデパートのようなものだ。午前九時なので、まだ開店していない。エレベーターは何基もある。住居用の11から70のエレベーターも五基は見られた。そのうちの一つの住居用のエレベーターで快音は最上階へ向かった。
1から11まではテナント抜きで上昇するため、時間がかかるが、それからは住居だけの階になる。朝の九時なので出勤や通学の為のエレベーター利用は、ないので各階止まらずに70階まで連続上昇だ。
 最上階で開いた扉から快音は70階に勇み足で出る。そこはホテルのような壁と廊下だった。エレベーターの正面にはドアがある部屋は皆無だった。左に曲がって廊下を歩くと玄関ドアが快音の目に着いた。
 快音がインターフォンのボタンを押そうとすると、男の声で、
「はーい、お待ちください。」
と告げられ、ドアが開いた。玄関の中で待っていたのは黒い背広を着た日焼け顔の大男。とにかく快音は、
「ホストゴーから参りました。快乱と言います。」
と挨拶すると大男は、
「はい、聞いていますよ。社長が待っています。靴は脱いで上がってね。」
と説明した。快音はブーツのような靴を外して玄関に上がり、大男の背中を追った。廊下は横幅も広い。壁には絵画が所広しと飾られている。
大男が一つの扉を開くと、
「社長。デリバリーホストの野郎が来ましたぜ。」
と報告する。
中は応接室みたいな広い部屋の真ん中の長椅子に腰かけているのは着物を着た若い女性で、その人物こそ快音を呼んだ女社長なのだろう。大男に、その女性は、
「ご苦労。お前は下がっていい、下桂(しもかつら)。」
と鈴の音を振るような声で命じる。
大男は深く一礼すると扉を閉めた。部屋の出入り口近くに立っている快音を見ると女社長は手招きして、
「まあ、まあ、こちらに来て座ってね。」
と呼びかける。
半円形で背もたれのあるソファだ。横並びに五人は座れる。それが空間を置いてUの字と逆Uの字を向かい合わせた形で配置されている。快音は向かい合ったソファの空いている空間から入ると、その円形のソファに女社長に向かい合って座る。二人の間には強固なプラスチックのテーブルがある。
 着物が似合う女社長は白い肌で赤い唇を開くと、
「ここは父の応接室だったの。ホームバーみたいに、あそこには酒類が並んでいるでしょ。」
と白い人差し指で指した方向を快音が目で辿ってみるとウイスキー、ジン、ラム酒の瓶が整列していた。女社長は続けて、
「あの辺にコップもあるから取って来てね。」
と快音に言う。快音は立ち上がり、数本の酒瓶と二つのコップを銀色の盆に載せてテーブルまで運んで置いた。快音は、
「どの御酒にしますか?」
と聞くと着物社長は、
「そうね。まず初めにアナタが好きなものを飲んでいいわよ。」
と両手を自分の胸の前に組んで答える女社長。
快音はジンの酒瓶を手に取ると、
「いただきます、それでは。」
とコップに注ぎ、グイと飲んだ。強烈な酔いが回ってくる。その変化を女社長は楽しんで、
「強いのねー。そのジンは普通なら、もっと酔うものなの。」
と笑顔で話す。快音は目を少し虚ろにして、
「うーん、そうですか?ホスト稼業で慣れたんでしょう。社長も一杯、」
「いえ、わたしは飲まないのよ。父と違って全くダメなの、お酒は。」
と意外な返心だった。心を返した答えだ。快音は、
「そうなんですか?それでは僕だけ酔っていいんですか?」
「ええ、どうぞ。貴方の頭の毛。それは、もしかしてカツラ?」
「もしかしなくてもカツラですよ、よく分かりましたね。」
「髪全部が真っ黒だから。自然の髪とは違うのね。」
酔いが回ってきた快音。顧客に答えなければ、ならない。
「ボクの髪がカツラだと気づいたのは、アナタだけですよ。社長さん。」
女社長は快音に、
「もっと飲んでくださいな。アナタの酔った顔は面白いもの。」
と更なる飲酒を強く促す。
快音は又、一杯のジンをコップに注ぐと飲み干すのだった。相当な泥酔というか沼の中に居るような沼酔を感じる快音だ。
 部屋の天井から青い光が快音を照らした。強烈な眠気を催した快音は意識を失っていく・・・・。
 女社長は立ち上がると壁に向かって歩いた。そこにはインターフォンがあり、女社長は、それに向かって、
「山星(やまほし)、よくやりました。あれを持ってくるように。」
と話す。インターフォンからは男の声で、
「了解、誘拐完了ですね、女王様。」
それに答えて女社長は、
「山星、何を言うの。時間が来たら返却するから、こいつを。」
と話し、
「すぐに行動よ。」
促す。インターフォンからは、
「アイアイ・クイーン。」
と返事が流れた。
間もなくドアが開くと黒い上下の背広に黒の帽子、しかも黒のサングラスを掛けた背の高い男が現れ、ソファに寝そべった快音に近づき、快音の頭にヘッドフォンのようなものを取り付けた。それが終わると女社長の方を向き、
「王家・女王、完了いたしました。」と気を付けの姿勢で報告する。
王家と呼ばれた女社長は、
「ご苦労だ。山星、サングラスは外しなさいよ。」
男はサングラスに手を当てて、
「あ、すみません。寝る時もサングラスを掛けたまま寝たりしています。」
と弁解すると急速な動きでサングラスを外した。王家女社長は、
「よろしい。あんたも見ていきなさいね。今日は仕事は休みで、いいから。」
と、ねぎらうような話し方で語る。山星は姿勢を更に整えると、
「はいっ、有難き幸せ。それでは見学いたします。」
と答えた。
王家社長はテーブルの上のリモコンを取ると操作を始めた。応接室の奥の壁にスクリーンが投影された。王家社長はソファに寝そべっている快音の右側に座ると、
「山星、あんたは、この男の左の空いている所に座りなさい。」
「はい、有難き幸せです、王家社長、それでは失礼します。」
社長の前を通る訳には、いかないのでサングラスを外した黒服の山星はU字型のソファの後ろを移動して快音の左側に腰を静かに落下させた。
スクリーンは薄い闇が映っている。王家は、
「今、映っているのは寝そべっているデリバリーホストの快乱の頭の中よ。これから、そこを、いじってやろうというのさ。東京から来た男みたいだね、さっきの口ぶりでは。」
と長いUの字ソファの左端にいる部下の山星に話しかける。
山星は両手を両膝に置いたまま、
「そうでしょうね。軟弱そうですし。奴の頭の後ろの方はカツラが少し、外れているですよ。」
と横目で快乱を見下ろしつつ評した。王家は、
「若禿げでも、ないようだな。うん?」
スクリーンを見た王家は、画面の中に仏像が現れたのに気付く。女社長は、
「若い男にしては夢の中に仏像が出て来るとはねー。」
山星も、それを見て、
「もしかして、坊主じゃないんですか?こいつは。」
と発言した。王家社長は、
「わたしも、そう睨んだよ。でも坊主でデリバリーホストを、しているとはねー。東京なら有り得る話さ。もうちょっと、見ておこうか、山星。」
「ええ、見させて貰います。王家社長。」
だがスクリーンからは仏像は消えた。代わりに現れたのが、赤いビキニの美女だった。それを見て王家社長はニヤニヤ笑いをして、
「やっぱり坊主でも性欲は抑えられないよ。だって夢の中だろ?」
と黒服の山星に云う。山星も笑いだしそうな顔をして、
「夢の中だから現れるんでしょうね、あの胸と尻が大きくて足の長い美人が。」
画面、つまり快音の脳内は、しかし美女がビキニで右手を腰に当てて体を傾けてポーズを取ったままだ。王家女社長は、
「なんだか、つまらないなあ。快乱が夢の中に出てこない。よーし、こうして。」
と話すとリモコンを操作する王家。すると画面には快乱が現れる。しかも全裸の快乱。ビキニ美女は驚くどころか快乱に近づいた。横から映っている二人。快乱はビキニ美女と五十センチの距離で、股間の肉道具をスグに勃起させた。
 王家がソファに横たわっている快音の股間を見て、
「山星、現実の快乱も勃起しているよ。」
と伝えると山星も快音のソコを見て、
「本当ですね。夢は現実に、というやつですか。」
王家は、
「美女を少し動かしてみるよ。」
と話すとリモコンを操作する。
ビキニ美女は自分で胸の部分の水着を外した。そこは、いつの間にか森の中になっている。土の上にビキニはフラリと落ちた。白い肌の乳房が露わになる。その部分が日焼けしていないので、ビキニの形が白く残っているみたいだ。快音の肉道具は金づちのように硬く上を向く。快音は美女に近づくと強く抱きしめた。彼の肉金槌は美女の股間のビキニの食い込んだ部分に当たる。美女は感じて口を開けた。快音は美女の股間のビキニを両手で素早く降ろす。しゃがんだ快音は美女の薄い股間のビキニを彼女の足首まで降ろした。美女は両脚を交互に持ち上げて赤いビキニを外す。
黒く手縮れた美女の股間の陰毛が快音の視界に入った。下から見上げている快音だ。快音は立ち上がり美女を横抱きに抱くと、芝生のような場所で彼女を降ろすと、二人は重なり合い、快音の肉金槌は美女が大きく足を開いた、その付け根にある開いた淫穴に入り込んでいく。森の中は薄暗いが日の出前らしく、二十分も激しく腰を一緒に振り続けた二人に太陽光線が当たった。
と同時に全裸で仰向けになり、上から、のしかかった快音に肉金槌を嵌められていた美女は消えたのだった。
 射精をしていない快音は、まだ肉金槌を強固にしたままだ。
「おや?消えてしまった。もしかして、これは夢か幻か、なんだろう?」
と四つん這いのまま独り言を言う。
それを見ていた王家富富(おうけ・ふふ)は、
「奴の思念は夜明けを迎えた。坊主らしい女を忌避する考えが夢にも出て来ている。ようし、それなら。山星、見ていろよ。」
と黒服部下の山星に告げる。
山星は姿勢を正して、
「はい、社長、拝見します。」
と即答した。
 四つん這いの全裸の快音の体に何処から現れたのか、植物の太い蔓が四本、伸びて来て快音の両手、両足に絡みつき、四つん這いの状態から起こすと後ろに引っ張って行って、大きな樹木の下部にキリストの磔のように固定したのだ。快音の両手は水兵に横に伸び、両脚は揃えて固定された。全裸の快音は、
「なんだー、これは?手が。足が、動かなーい。」
と絶叫した。怒叫とも表現できる。
快音の股間の肉金槌は少し下を向いた。それでも下腹部からは直角の角度は保っている。
 森の何処からか裸の女性たちが続々と現れた。十人以上と見える。
三十路が大半で、容姿は波の女性ばかり、中には肥満体の女、痩せて貧乳の女もいた。美女は皆無である。
 彼女達は大木の下の部分に磔されているような快音を取り囲んだ。裸体の快音の肉金槌は、まだ水平に勃起している。一人の女が、
「この格好でチンコ立てて森にいるなんて、どういうつもりなのかしらねー。」
と快音を指さした。他の女たちは一斉に笑い始めた。もう一人の女が乳房を揺らすと、
「まるでキリストが十字架に掛かっているみたいよー。キリストのつもり?この人。」
他の女が、
「キリストでもチンコは出していなかったんでしょう?森の中なら見られないと思っていたんだー。」
別の女が、
「わたしたちモテない女の集まりなの。森の中でレズ乱交するために集まって、さっき全員脱いだら叫び声が聞こえてね。ここに来たら、あんたが叫んでいたんでしょう。チンコは水平に立ててさー。」
並の女とはいえ全裸になれば三十路でも美乳や豊満尻の女もいるから、それを目にして快音の肉金槌は少し上を向いた。それを見て三十路の女たちは、きゃー、すごういー、とか、はしゃぎたてる。
 全体の長らしき女が、
「ひとりずつ、この男を犯しましょう。両手と両脚は縛られているしね。」
と意見を御披露目した。全部の女が、
「さんせーい。」「あたしも、したい、犯したい。」「みんなで、ろーよ。この男。」「おー、おー。」「いえーいっ。」
と声を上げる。
長らしき女が全裸の胸を揺らすと、
「一人ずつ、犯していきましょう。そのために一列に並んでください。」
と快音を犯す遣り方を決めた。全裸の三十路集団は縦に一列、磔の全裸の快音の前に行儀よく並んだ。画面には三十路女の丸い尻が並んでいるのが映る。快音は見えなくなっている。
 王家富富はリモコンを手にして、
「ちょっと角度を変えよう。」
と云うと、リモコンを操作した。カメラが移動するように画面は磔の姿勢の快音を横から映し出す。
横から見える快音の股間は肉金槌は元気に反りかえり始めた。最初の女が快音の肉金槌を右手で握ったのだ。女は顔は普通だが胸と尻の大きな女で、快音に口づけると自分の股間を大きく開き、彼の肉金槌を自分の秘所に入れ込んでいく。彼女は長い髪を振り乱すと、
「あーん、強烈っ!太すぎて気持ちいいっ!」
と媚声を上げると自分で自分の乳房を揉む。尻を上げたり降ろしたりして、抜き差しする快感を楽しんでいるようだ。
横から見えるだけに彼女の乳房の大きさや揺れ、と尻の揺れも映し出されている。
 ソファに寝そべっている現実の快音は仰向けになると両手を水平にして磔になった姿勢を取った。快音のズボンの股間は、はち切れそうだ。それを見た王家富富は笑みを浮かべると、
「うふふ。夢の中は現実にも反映されるのね。スクリーンに映っている、あの情景を快乱は今、体験しているのだわ。夢とも思わずにね。あの三十路全裸集団はリモコン操作で登場させたのよ、わたしが。」
と部下の黒服の山星に話す。山星は度心臓を抜かれたように、
「そうだったのですか。それは凄い機械ですね。」
と相槌を打ちつつ頭を前後に振る。王家富富は、
「サイバーモーメントにも制作できない機械と思うわ。奴らに機械市場を独占させないわよ。」
と固く断言した。女社長の王家の視線はスクリーンに戻る。
 最初の女が尻を痙攣させてイッたらしく、快音から離れると尻を土に着いて寝そべった。
統率者らしき女性は、
「次に行きましょう。まだ男は萎えていないし射精もしていないから。」
と次に待っている三十路の裸女を促す。
背が高くて190センチは、ある裸の三十路女性は快音より背が高い。彼女は快音を見下ろすと、
「最初の人でイカなかったのなら、わたしでイってね。」
と言い裸体を快音に密着させると両膝を曲げた。
横から映っているので超長身の女の股間は見えない。王家富富は左手に持ったリモコンを右手で操作する。
映像は快音と長身女性の上からの俯瞰を映し出した。それが急降下して二人の性器の結合が映し出された。
何しろ快音は身動きが出来ない。長身女性は自分の両膝を曲げて伸ばして快音の肉ハンマーを膣内に擦りつけて、
「はあっ、はあーん、いくっ、いくっ。」
と悶えると右手で自分の黒髪を掻き揚げた。
快音は遂に射精してしまった。途端に彼の肉凶器は只の陰茎に変形した。長身の女は快音から離れる。
長らしき女はダラリと垂れた快音の股間のモノを見ると、
「しばらく休憩して貰いましょう。二人目で終わるとは意外でした。」
と語った。
 王家富富はリモコンを動かすと、
「あの長らしい女を操るよ、今からね。」
と山星に話す。
画面に映った全裸の統率者は、
「キリストの磔みたいな姿勢が勃起持続には難しいのかもしれないですね。」
と集団の全裸三十路女達に呼びかけ、続けて、
「今度は釈迦の悟りを顕わしているような結跏趺坐の姿勢を取らせましょう。」
と提案した。一人の全裸女性は、
「結跏趺坐って何でしょうか、わたし知りません。」
と質問したので裸の三十路の長は、
「座禅で組む姿勢ですよ。胡坐に似ているけど、そうだ、この人に自分で足を組んでもらいましょう。」
と虚脱している快乱に話す。
快乱は、
「この磔みたいな姿勢を解いてくれたら自分で結跏趺坐を組みます。」
と十字架に掛かったままのような体勢から即座に答える。
全裸の統率者は足元の地面からカッターナイフを拾うと、快乱を縛っている四本の蔓を切り捨てた。
崩れ落ちるように地面に座り込んだ全裸の快音は、両脚を組み、結跏趺坐の姿勢を取った。組んだ両脚の上に自分の萎えたモノを載せている。
全裸三十路女達は快音を取り巻くと、
「すごーい。坊さんみたいよ。ちんこ出しているのが違うかもね。」
「しごいてやったら立つんじゃないのー?」
「もう少し待ちましょう。」
「美人になら即、立つかも、この人。あれをしたらいい。」
「あれって、なーに?お姉さん。」
「あれは、あれですよ。変顔マスク。」
「あー、あれね。指導者さん、変顔マスクは在りますか?」
指導者の裸女性は、
「あるけど三枚しか今、ないわね。高価だけど売り切れて生産が間に合わないらしいのよ。」
変顔マスクとは所謂、仮面の事だがシリコン製で薄くて顔面に張り付くので仮面よりは実際の顔のように見える。メイク技術より簡単に美人になれるというものだ。
指導者の裸女はチラと座禅を組んでいる快音を見ると、
「あら?この人の頭の毛はカツラみたいよ。」
と話し、快音に近づくと彼の髪の毛を右手で掴むとグイと引っ張った。スポリと抜ける快音のカツラ。剃髪した頭が白く光っていた快音。

SF小説・未来の出来事33 試し読み

何とも毅然とした態度のエマーニだった。性感マッサージ師として快乱が見た最初のエマーニとは別人だ。快乱は下でな態度で、
「何を体験するんでしょうか?エマーニさん。」
「ついてくれば、分かる。」
と答えたエマーニは単なる更衣室みたいな、その部屋のドアを開けると部屋を出る。快乱も続いて出たが、そこは入った時の廊下とは違った廊下だった。壁も白から茶色になっていたのだ。
しばらく二人は歩いた。快乱はエマーニの後ろを少し離れて歩く。エマーニの服装は茶色の上下で、下はズボンだ。女性らしい体型を顕わさないような服である。ピッタリと尻に、くっついているズボンでもないのでエマーニの大きな尻も感じられない位だ。
立ち止まり、右側の部屋のインターホンを押すとエマーニは、月の言葉で何かを言った。するとインターホンからも月の言葉が年配の男性の声で聞こえる。ドアが自動ドアのように横滑りに開いたのでエマーニは中に入ると顔と右手を出して快乱を部屋の中に入るように手招きした。
快乱が急いで中に入る。自分の服装もエマーニと同じの茶色の上下だったのだ、と快乱は気づいた。部屋の奥の窓際の近くに机を前にして座っているのは月の人間だ。というのは雰囲気として地球の人間とは違う。ただ軍人ではないか、と思われる風貌だ。彼は快乱を見ると、
「ようこそ!地球から、」
と日本語で話したのだ。快乱は、
「初めまして。快乱と言います。」
と話すと頭を下げた。
軍人は椅子から立ち上がると、
「快乱君。まあ、そこの椅子に掛けなさい。」
と明瞭な日本語で話す。
簡素な木の椅子に快乱は座った。軍人は胸を張ると、
「月政府も軍隊を持っている。規模も、かなりのものだが地球人は知らない。アポロ15号などを攻撃したのは月政府軍によるものだ。特に我々は有人でロケットを月に飛ばしているのは探知している。アメリカ人が、いい気になって行っていたものだな。それで、その頃に我々の諜報部隊から何人もの人間、月の人間だがアメリカを探りに行った。」・・・・
 アメリカの首都、ワシントンに降り立った月政府軍の諜報部隊員、マルノ・ゲッティーは自分の顔にアメリカ人らしく見せる特殊メイクを施している。それで彼は月からのスパイと誰からも気づかれずにワシントンで生活を始めた。
マルノ・ゲッティーは二十代後半に見える青年で、実年齢は二十代ではないのだが地球では、彼は二十九歳と称している。
ワシントンの新聞社に入社した彼の履歴書はイギリスの名もないビジネス専門学校だったが筆記試験と面接ではハーバード大学を首席で卒業した入社希望者よりも実力があったのでアメリカの習慣として実力主義による判定としてマルノ・ゲッティーは採用された。ハーバード大学首席卒業者は採用されなかったのである。日本の新聞社では、あり得ない話だろう。世界的にも紙による新聞は部数が毎年、減り続けている。ワシントンの新聞社としても新規採用は少なめにしか採用できない。
 マルノ・ゲッティーも下働きから見習いを経て、一人で取材に行くようになった。宇宙開発に関する機関に彼は出入りするようになった。その機関が宇宙に関するアメリカの公式声明に関与しているらしい。
その機関に取材に行くマルノ・ゲッティーは報道担当の部屋で広報担当の女性、アイラン・メリットン(27)と今日は二人きりになっていた。マルノは、
「ワシントン・タイムズのマルノです。よろしく、お願いします。」
と挨拶する。アイラン・メリットンは高学歴(大学院修士課程修了)の女性らしく理知的な目でマルノを見ると、
「前に一度、取材に来ましたよね、ゲッティーさん。」
と確認した。マルノは右斜め上を見上げて、
「そうでしたか?すみません、記憶になくなってしまって。」
と顔をメリットンに向けて答えた。アイラン・メリットンは、
「いいえ。構いませんのよ、ご多忙なんでしょ?」
「ええ、それは新人ですから忙しいのです。最近、又、UFOが多く目撃されていますが、月にUFOは存在しますか?」
と切り出したマルノにメリットンは、
「いえ、月には生物は存在しませんので、未確認飛行物体も存在しないと思います。」
「それは、こちらの見解ですか?メリットンさん。」
平静で動じないアイラン・メリットンは、
「ええ、ここの見解です。」
「メリットンさん個人の見解は如何でしょう?」
そう聞かれたメリットンは髪を後ろに揺らせて、
「わたし個人には、そうね、見解を持っていないとしか、お答えできませんわ。」
「月には生物がいない、というのもメリットンさんは、どうですか?(おれは月から来た人間なんだ、と心の中でマルノは思った)」
「そうですね、わたしは大学で物理学を学びましたから、月に就いても勉強しましたし、一般的に云われているような考えしか持っていませんわ。」
と余裕のある発言だ。マルノは(この無智女が!)と思いつつも顔には出さずに、
「私だって社から命じられて取材に来ています。新聞社としてはUFOを、まともに取り上げられないらしいので。こちらの意見を聞いてこい、という事だったんです。」
メリットンは、あら?そう?という顔をした。彼女は、
「UFOも自然現象だと思います。中に誰かが乗っているなんて考えるのは、どうかと思います。」
と理路見ろ整然という返事だ。マルノは、
「メリットンさん昼は、どちらで御食事をされますか?」
と話を変えて聞く。
メリットンは左斜め上を見上げて、
「外でランチは取りますけど。」
顔をマルノに向けて短く答えた。
マルノの顔は月光のように輝き、
「行きつけの店なんか、ありますか?」
「それは、ありますけど・・・。あなたに関係あるのかしら、マルノさん?」
大きな窓の外には緑の樹木が数本と芝生が見えている。室内にはアメリカ国旗が置いてあるし、メリットンの背後にはズラリと並んだ資料のファイルが並んでいる。マルノは、それらを眺めると、
「ええ、よろしければメリットンさんのランチ代を差し上げます。」
「ワーオ、素敵だわ。ご馳走になろうかしら。」
「ええ、喜んで。どんな店でも構いません。」
室内の壁の丸い掛け時計は昼の十二時を指していた。

 アメリカの首都であるワシントンDCにも安いレストランやハンバーガーショップが、ある。マルノは安い店は混むので、その反対に高級な店を選んだ。個室のあるレストランだ。メリットンは、いつも行く店は安い方のレストランやハンバーガー店なので、室内にシャンデリアがある個室にはマルノと入って新鮮な衝撃を感じたのだ。マルノはドアを閉めると四人が座れるテーブルの椅子をメリットンに右手で示して、
「どうぞ。おかけください。」
室内の壁には大型のディスプレイがある。マルノは、そこへ行くとボタンを押した。すると料理場、厨房が画面に出る。白い服と帽子を被った料理人が数人画面に映る。そこへボーイみたいな男が現れて、
「いらっしゃいませ。本日は、ようこそ、おいで下さいました。ご注文を承ります。」
と白い歯を見せて喋った。マルノは立ったまま、
「スペシャル・コースを頼む。」
「畏まりました。フルコースタイプで御座いますね。」
「そうだよ。会計はスマートフォンで、しておいたよ。」
ボーイは、そこにあるパソコンの画面を見ると、
「お支払い済みの御予約のマルノ・ゲッティ様で御座いますね。有難う御座います。丁寧にウチのチーフ・シェフが手をかけて料理を作りますので、しばらくの間、お待ちくださいませ。」
マルノはボタンを又、押すと大型ディスプレイの画面は消えた。
 アイラン・メリットンは初めて見た個室内のディスプレイを通しての注文に感嘆と関心を持って眺めていた。マルノ・ゲッティは席に戻りアイランと差し向かいに座った。マルノは両手を広げると、
「先端的な注文方法でしょ?メリットンさん。」
アイランは、
「驚きました。注目すべき店ですね、ここは。」
それから運ばれてきた豪勢な料理の数々、フランス料理のフルコースに似ていたが、大きな海老に様々なソースをかけ、ホイップクリームを最後に載せた皿が出ると、マルノはメリットンに、
「月の海老という料理名なんですよ、これは。」
と朗らかに話した。メリットンは皿を注視すると、
「風変りな料理名ですね。」
「月で食べているような趣きが、あるんですよ。僕は既に食していますから。どうぞ、ミス・メリットンさん、味わえますよ。」
銀色のナイフとフォークを巧みに動かすとメリットンは可愛い口の中に付きの海老を入れる。喉の下に飲下したメリットンは、
「本当だわ。月にいる気分に、なります。」
二人が食べるのを終了したのはメリットンの昼の休憩時間が終わりそうな時刻だった。
 店の外に出た二人、冬の寒い風も気にならない程に体の中は熱い料理と飲み物で発熱している。マルノは右手を上げると、
「それではメリットンさん。又、取材に来ますよ。」
「ご馳走様でした、ゲッティさん。次の取材を、お待ちしていますわ。」
メリットンが帰る方向とは逆の方向にマルノ・ゲッティは黒のズボンで歩いていった。

一日の業務を終えたアイラン・メリットンはオフィスを出ると、誰かが待っているのに気付いた。(誰?あっ!)そこには蛇の頭をした男が立っていた。と思ったのは一瞬で、それは今朝に取材に訪れてランチを御馳走してくれたワシントン・タイムズの記者であるマルノ・ゲッティが笑顔で立っていたのだ。彼は、
「お待ちしていました、メリットンさん。今日は今から空いていますか?」
メリットンは同意の顔をして、
「空いていますよ、ゲッティさん。仕事以外に趣味もないし。」
と即座に答えてくれる。マルノは、
「よかった、もしメリットンさんが予定があったら、とか考えていました。夕食は早いですね?」
「そうね、昼に御馳走になりましたから。」
背広のままのマルノ・ゲッティは、
「ティー・ルームというのが開店したんですよ。紅茶を主に出しています。そこへ行きましょう、メリットンさん。」
「ええ、喜んで。楽しみだわ、それは。」
マルノに連れられてティールームへ行くアイラン・メリットン。一階にあるティールームはホテルのラウンジ内にあった。マルノは店の中の入り口付近に立っていたボーイの青年が近づいてきたので、
「一番、いい席を頼むよ。」
と話すと白い服装に黒の帽子を被った青年は、
「承諾いたしました。ご案内します。」
と答えると店の奥に二人を連れていく。
そこにはエレベーターがあり、ボーイは最上階のボタンに指で触れる。すぐに店の奥まで降りて来たエレベーターだ。
それが開いたのでボーイは、
「さあ、どうぞ。お乗りください。」
とマルノとメリットンを先にエレベーターに乗せた。それからボーイは乗り込むとエレベーターは最上階へと向かう。
到達したのは数十秒後。
扉が開くと、そこはティールームではないホテルの中の外観だ。ボーイは、「ご案内します。」
と云い、エレベーターを出た。この最上階にもティールームが、あるのだろう、と歩きながらメリットンは思っていた。
ボーイが或る部屋の前に来ると円筒形のガラスのキーホルダーの付いた鍵をマルノに渡し、
「ごゆっくりと、お過ごしください。」
マルノがカギでドアを開けると、そこは部屋の中央にテーブルがあり喫茶店風の内装である壁紙も落ち着いた色調の色合いで、ティールームのようだ。メリットンは、もしかしたら、という思いが打ち消されて、
「個室のティールームなのね。エレベーターで最上階まで来た甲斐が、あるわ。でも、すごく高そう。予算が・・必要なのでは?マルノさん。」
と室内を見渡しつつ話した。マルノは背広の上着の襟の下を両手で整えると、
「予算は、あります。充分にね。座りましょう。メリットンさん。」
「ええ、それでは。」
テーブルの上にはメニュー表が立ててある。マルノはメリットンに、それを手渡した。彼女はメニューを見て、
「ふうん、紅茶の他にビーフステーキまで、あるのね。ディナーとしても食べられるものが並んでいるわ。」
と感心する。マルノは、
「少し早いけど食事を注文してもいいですよ。」
と誘う。メリットンはメニューから顔を上げて、
「それよりスペシャル・ティーを頼んでも、いいかしら?」
「ええ、もちろんです。」
テーブルにはインターホンがあった。それを押すとマルノは、
「スペシャル・ティーを二つね。」
と手軽な感じで注文した。メリットンは、
「最上階まで持ってくるわけ?スペシャル・ティーを。」
「いいえ、最上階にも店の厨房が、あるんですよ。」
とマルノは、説明したのだ。
それで三分もすると玄関チャイムのようにベルが二人のいる室内に鳴り響いた。出入り口のドアの上にはモニターカメラがあり、それには白い服に白い帽子の料理長のような男が手にした銀皿にティーカップを二つ載せて笑顔を浮かべている。マルノはドアを開けた。
「御機嫌如何です?スペシャルティーを、お持ちしました。」
マルノは、
「御機嫌いいから部屋の中に置いてね、それ。」
料理長は椅子に座っているメリットンを見ると、
「おや、これは奥様。失礼いたします。」
とスペシャルティーをテーブルに並べる。
それから深く一礼して料理長は立ち去った。部屋のドアが自動施錠で閉まる。
マルノは椅子に座り、メリットンに、
「どうぞ、飲んでください。メリットンさん。」
メリットンはマルノの顔を見て、
「わたしたち、夫婦に見えたのかしら?」
「そうですかね?別に貴女が誰かの奥さんに見えたとしても、料理長は奥様と呼ぶはずですよ。」
メリットンは、ふふ、という絵顔(笑顔ではなく)を浮かべると、
「そういう見方も、確かにあるわ。いただきます。」
アッサム紅茶に似ているが、別の味わいもある。メリットンにしてみると、
「初めて飲んだ高級な紅茶ね。深い味に異国どころか異星の味わいまで感じるわ。」
マルノも手に取って飲みつつ、
「うまいですね、例えるなら月の味も入っている・・・。」
メリットンは同意の顔をして、
「そうだわ、うまい形容です。」
「ついでにディナーも、どうですか?」
「まだ空腹でないもの。」
「運動すれば空腹になりますよ。」
「そうね。でも、この部屋で走り回る訳にも行かないでしょ。」
「逆立ちなら出来ますよ。」
「まあ、わたしスカートを履いているのよ。」
「誰も、いないじゃありませんか。」
「貴方が見ているわ、マルノさん。」
「私などに気にしないで下さい。」
「そうは行きませんよ、マルノさん。」
マルノは椅子から立ち上がると、
「それでは別の部屋に行きましょう。」
メリットンも立ち上がると、
「ええ、ついて行きますよ、マルノさん。」
部屋の奥にはドアがあった。二人は、その部屋に入る。
二人が入ると同時に照明が点いたようだ。
ドアはオートロックで自動的に閉まった。
広い部屋だが、そこはベッドルーム、寝室なのである。
ダブルベッドに赤い布団、赤いカーテンに床は白の絨毯が
敷き詰めている。メリットンは大驚して、
「なんとベッドルーム・・・・。」
と絶句した。
 マルノは上着を脱いだ。白いカッターシャツの彼は、
「アイラン・メリットンさん。ここでは貴女はUFO関連機関の人間である事を忘れて欲しいんです。貴女は服を着ていても素晴らしい魅力のある体だ。僕の股間を見てください。」
メリットンはマルノに云われたまま、彼の股間を見ると、そこは大きく盛り上がっていた。彼女は、
「まあ!凄い!」
声を上げると自分の上着を脱ぐ。その下にも服を着ているがメリットンの乳房が形よく浮き出ている。マルノはカッターシャツも脱いでシャツ姿になる。メリットンも最後の上着を脱いでブラジャーだけの上半身になった。
薄めのブラジャーで彼女の盛り上がった大きな乳房の先にある豆のような乳首はクッキリと浮かび出ている。二人は、どちらからともなく近づいて抱き合った。そして二人の唇は重なり、長い時間の間、
離れなかった。マルノはキスしたままメリットンを横抱きに抱いてダブルベッドに優しく寝そべらせる。キスを続けつつマルノはメリットンの白い薄めのブラジャーを外した。
揉まれるのを待っているような白い大きな乳房を見るとマルノは唇を離し、メリットンの乳首を右、左と吸う。メリットンは心地よさそうに目を細めると両脚を大きく開く。マルノは身を起こすと、メリットンのスカートを外した。白いパンティは薄くて彼女の股間の真っ黒な陰剛毛の縮れた様子をハッキリと映している。
そのパンティに食い込んだ彼女の陰部は男のモノを咥えたさそうな女陰を示していた。マルノは紐で外せる彼女のパンティを両側共に外すと、アイランの股間を隠していた薄い繊維を横に移動させる。
縦長の女のスジが少し開き、マルノの肉棒を欲しそうにしていた。
マルノは素早く自分のズボンとパンツを脱ぎ棄てる。
最大限に屹立したマルノのモノはアイランの開いた女性器の中に埋め込まれていく。アイランは気持ちよさそうに、
「アアッ、最高よっ、はーっ、奥まで来てーんっ。」
と少し自分の白い大きな臀部を持ち上げてマルノと深く身を合体させた。全裸の二人は共に腰を動かし始める。
三分間は性器をピッタリと合わせて擦り合う。アイランの白い大きな乳房は揺れて、ピンクの彼女の乳首は硬く尖っていた。
快感の波に乗っている二人だったが、マルノは腰の動きを止める。アイランは閉じていた両眼を開けると、
「どうして、止めるの?」
と意外な顔で聞く。彼女の黒髪は乱れていた。マルノは、
「気になっていたた事を思い出したよ、アイラン。」
メリットンは止まっている大きなマルノの陽肉棒を自分の中で感じつつ、
「なんなの?それは?」
「君の個人的な月への見解だ。」
押して引くという動作を止められてメリットンは快楽の波が止まったのを感じた。質問に答える彼女、
「個人的には月の見解は、ないんです。でも私の所属する機関は、月の裏側には人が住んでいる事や、月にある大気、水、酸素などの事実を捕まえている。重力も地球と、ほぼ同じらしいわ。」
「ありがとう。御褒美に快楽を一緒に味わおう。」
マルノの腰は再び動き始め、アイランの膣内を自在に往復した。アイランは長い髪を振り乱して自分の尻をマルノの腰の動きに合わせて振り続け、快楽の沼に溺れて行った・・・・。

 こちらは性感マッサージ師の快乱が座っている軍隊の部屋だ。一人の男が入って来た。彼は背広姿で軍服ではない。きりっと引き締まった顔で、両脚の踵をくっつけて背を伸ばすと部屋の中の軍人に敬礼し、
「サットン少佐、地球のアメリカから戻りましたっ。」
と報告した。
サットン少佐も立ち上がり、敬礼して、
「うむ、ご苦労だった。マルノ・ゲッティー大尉。かなり昔から活躍しておられますね。ゲッティー家は地球のアメリカで。」
と話す。マルノ・ゲッティ大尉は、
「私はマルノ・ゲッティ三世です。祖父が同じ名前のマルノ・ゲッティで、父はカルノ・ゲッティーでした。いずれも地球のアメリカのUFOに対する声明をしている公的機関の女をベッドに、いざない、
性交して動作を止める事により、彼女達の自白を引き出してきました。」
と喜び勇んで説明する。サットン少佐は椅子に座ると、
「ゲッティー大尉、座り給え。」
「はい、サットン少佐。」
ゲッティー大尉が木製の椅子に座った後、サットン少佐は自分の胸に触ると、
「一か月ほど、南の島で勤務してもらう。太陽の光は十分だ。ワシントンは寒かっただろう?」
と探りを入れるように聞く。ゲッティー大尉は思い出すように、
「寒かったですよ、アメリカの首都は。地球人って寒いのが好きなんですか。」
サットン少佐は、
「そうだな。我々は寒くなる地方に人は誰も住んでいない。地球の面積が狭いためだろう。」
「南の島の軍事施設では女もいないでしょう。」
とゲッティー大尉は云うと、うつむいた。
 サットン少佐は、
「原住民の女は、いる。それと施設内にある売店やレストラン、マッサージ室などにも若い女性が勤務している。あの施設では若い女性をハントする事が許されているんだ。ゲッティー大尉の寝室に若い女を連れ込み、セックスする事も許可されているからね。
売春施設がないだけに、腕の見せ所だよ、ゲッティー君。」
との訓示であった。サットン少佐は続けて、
「今から行ってもらう、ゲッティー大尉。コリントン中佐の部屋へ行け。」
ゲッティー大尉は立ち上がると、気を付けの姿勢に敬礼をして、
「行ってまいります。」

SF小説・未来の出来事32 試し読み

 乗り物の中で官能的な描写を読んでいる貴美は頬を赤らめて、周囲を見回すと貴美を気にしている人物は、いなかった。慌てて電子書籍の画面に視線を戻す。
オレは喜悦しているアンドロイド妻の女の奥深くに男性の液体を、もう一度、放ってやった。
 こんな日々を送っているが、妻はアンドロイドなので婚姻届けは出していない。で、配偶者控除も出来ないが、そもそもオレは節税も必要ない。電子書籍のSFものを読むのがオレの趣味だ。今は*知らない星に連れられて*というものを読んでいる。それは・・・
 釣次郎はピラミッドの内部に連れていかれた。そこには水晶で出来た縦長の小屋みたいなものがあり、人間二人は入れる。二人を車に乗せて、ここへ案内してくれた僧侶は、
「その中に入ると他の惑星に瞬間的に移動できる。具体的な場所も入力すれば、そこへ行ける。一度に二人は可能だ。地球人のアンタは何処に行きたいかね?」
釣次郎は地球の時・流太郎が気になった。そこで、
「地球の日本の東京駅に行きたいです。」
と話すと、僧侶は小屋の壁にある機械に情報を入力した。僧侶は歯を見せて笑顔で、
「マリムさんと二人で一日か、その辺り地球の日本の東京に戻りなさい。これはボッダの指示だ。行く行かないは地球人のアンタが決められる。どうするかね?」
釣次郎は、いい息抜きだと思い、
「行きます、喜んで。地球も気になりますし、ぜひ行きます。」
僧侶は最後の入力を終えると、
「それでは中に入るように。マリムさん、あんたもな。」
その小屋の中に入った二人は、すぐに自分たちが何かに運ばれているのを感じた。ハッと思うと二人は東京駅の構内にいた。突然、現れたのに周囲の人達は気づかない。向こうから若い女性が歩いてくる。その女性は釣次郎に気づくと立ち止まり、
「本池釣次郎さんでしょ?もしか、しなくても。」
と呼びかけた。
「そうですが、貴女は、どなた?」
「サイバーモーメントの城川貴美と言います。時流太郎さんの会社に本池さんは、いるのでしょう?行方不明に、なったとか時さんが話していました。その時に本池さんの写真とかも見せて貰いましたから分かったんですよ。」
納得了解した釣次郎は、
「これから何処へ行かれますか、城川さん。」
と尋ねると、
「これからサイバーモーメントの東京営業所に行きますわ。」
そこで貴美は電子書籍を閉じた。東京駅に着いたからだ。ロケットカーを出て、そこからエスカレーターで一階に上がった貴美は快適に歩行していると二人の男性が自分を見ているのに気付いた。
日本人の男性と白人風の男性だ。日本人の男性は貴美に歩み寄ると、
「城川さんですね?」
と話しかけたので、貴美は立ち止まると、
「ええ、そうですが。貴方は?」
と不審げに聞く。話しかけた青年は笑顔で、
「本池と申します。時社長の会社の社員ですよ。時社長に東京駅に城川という女性がロケットカーで到着するから迎えに行って、と連絡がありました。」
貴美はホッと安堵の息をつくと、
「そうでしたの。不審な顔をしてごめんなさいね。」
釣次郎はニコニコして、
「いいえ、こちらこそ驚かせてしまって、すみません。我が社は町田市にあります。電車賃は、こちらで持ちますから。さあ、行きましょう。」
と申し出た。
 東京駅➡新宿駅➡小田急線・新宿駅➡小田急線・町田駅での移動だが夕方五時前なので座席に座れた。貴美を中央にして左右に釣次郎と白人風の男が座る。右にいる釣次郎に貴美は、
「本池さん、遠い惑星から一瞬で東京駅に着いたんじゃないのかしら?」
面食らったのは釣次郎で、
「ええっ?何故、その事を・・・・。」
と絶句した。貴美は、
「電子書籍のSFに書いてあったの。」と云うと左に座っている白人のような男性に、「あなたはマリムさん、じゃないのかしら?」
マリムと呼ばれて白人風男性は、「ぎょえっ、それも男子書籍に書いてありましたか?」貴美は「そうよ。ボッダの指示でしょ?」
釣次郎とマリムは、ほぼ・ほぼ的に同時に、
「ええ、そうです。」と併答したのだ。
電車の窓には流れていく神奈川の風景が見える。遠くに巨大な観音像が見えたりするのが新しい名所らしい。ボッダの事に話題が移った時に見えた白い観音像は偶発的な事象とは思えない。
 最近の日本は神社離れが加速している。コロナウイルスによる神社参拝を離れる人たちも増えるばかりだ。それよりも寺院は人も少ないので参詣客が増えている。ボッダは釣次郎に、これを見せたかったのか。そうではない、と思われるが未だに姿を見ていない釣次郎にとってのボッダであった。釣次郎は貴美に、
「遠い星に何故か覚者のボッダが、います。」
貴美は、どうでも良さそうに、
「ふーん、そうなの。仏教みたいで興味ないわ。」
とアッサリとアサリ貝の殻を捨てるような返答に釣次郎も、それから先を話せない。
町田に電車は到着した。三人横並びで歩けないので貴美は二人の後を追う。駅から歩いて数分の企業の缶詰のようなビルの地下に流太郎の合同会社は、ある。ドアを釣次郎が開けると中で座っていた流太郎が立ち上がり、
「やあ、いらっしゃい。城川さん。」
と待ちかねたように呼び掛ける。わずかながら来客の場合に対応できるテーブルとイスもある。そこへ貴美と釣次郎、マリムを導き、流太郎は、
「サイバーモーメントの黒沢社長から電話が入りましたよ。城川さんを出向社員として働かせて欲しい、とね。どうです?城川さん。」
それを簡素なソファに座って聞いた貴美は目をダイアモンドのように、きらめかせて、
「やりますわ、時社長。待ちに待った町田で始める仕事ですね?」
流太郎は上機嫌で、
「早速ですがホームページを作ってもらいます。あの机にパソコンも、あります。行きましょう、城川さん。」
貴美は手打ちでホームページを作れる。それを流太郎は黒沢社長に教えてもらっていた。HTML言語、CSS、さらにはブログを動かすXMLなどを駆使できる貴美である。
流太郎が大体の構想をWORDに、まとめていた。「出張ホストを手配します」というサイトを作って欲しいのか、と貴美は理解した。流太郎の声が貴美の頭の上から、
「それでは城川さん、よろしくね。早くなくていいから完成してください。」
と春風のように聞こえた。流太郎はソファにいる釣次郎とマリムの前に座ると、
「本池、こちらの方は、どなただ?」
釣次郎は改まると、
「この星の人では、ないんです。地球から遠い惑星の人ですよ。」
流太郎は左程、驚かずにマリムへ、
「ようこそ、お越しくださいました。あ、日本語でスミマセン。」
マリムは、さざ波のように笑顔を広げると、
「いやー、大丈夫ですよ。私は日本語を話せますし、日本の小説も読めますから。」
流太郎は安堵し、
「これは素晴らしい!これから色々と事業を広げたいんですけど、まずは手始めにホスト紹介業を行おうと思っています。コロナウイルス感染の一つの大きな原因がホストクラブに行く事だったりしますからね。店を構えていても女子は誰も来なくなります。
女性のデリバリーヘルスは古い昔からあるのに、デリバリーホストは多くないです。それにホストクラブではホストは酒を注いで、話を聞いたりするだけで女性客と肉体関係に陥る事は、ほとんどないし、出来ないんですね。それをデリバリーホストの場合では、女性客の望みを拡大させようという試みです。
しかし本番は、なしという設定にしなければ、いけないんですね。あ、お名前を御伺いしていませんでした。わたくし、時流太郎と申します。名刺を差し上げます。」
流太郎から名刺を貰うとマリムは、
「ぼくはマリム、といいます。地球と同じような星なんて銀河系にも幾つもありますし、宇宙は銀河系だけではないですから、その辺を地球人は自覚しないと、いけない。
身体能力も地球人は、それほど大したものではないです。僕の星にもホストクラブは、あるし、それにねー。」
マリムは両手を左右に広げると、
「地球とは規模が違うんですよ。ホストの活動のね、行動半径というか行動範囲というかね、ぼくの星のホストは遠距離出張もしますし、それに他の星にデリバリーホストとしてUFOで行きますよ。太陽系だって地球以外は、金星と火星で交流が行われています。彼らの認識では地球人は野蛮、という事で交流したがらないようですよ。
特にアメリカ人なんて地球防衛軍なんて構想するけど文明が発達している星が地球を征服するのは簡単です。彼らは武器を考えるけれど、我々の星では一つの惑星を爆発させるだけの爆弾がありますし、それに武器なんて核爆弾や水素爆弾でなくても、いい。コロナウイルスのようなものでも、いいんですからね。我々の星には生物兵器は豊富にある。それでも惑星侵略のためには使わないんです。
コロナウイルスより強力な細菌だって最近じゃなく、百年以上前から開発していますね。本当に惑星侵略をしたいのは地球人、特にアメリカ人かもしれないけど、子供の火遊びは危険ですよ。月の裏側からも攻撃されてアポロ計画は頓挫したらしいですね?」
と背広姿の流太郎に問うマリム、流太郎は、
「いえ、知りません。まあ地球の科学文明は太陽系内でも遅れているのだとは思いますけど。」
マリムは我が胃を満たしたように、昔風なら我が意を得たように、
「それ、それ、それです。アインシュタインは光速が一番早い、と考えていたし、それ以外のものを考えられなかったので宇宙での航行が進まずにいるのが地球です。他の惑星では光速を超えた移動手段を持っているという事実を認めれば地球人は特に科学者は物凄い劣等感を持たないと、いけない。その劣等意識を持ちたくないが故のUFO否定にも、なるんですよ。」
流太郎は沈思話考に及び、
「私も他の惑星の科学は理解できません。けれども、それより稼がないと生きて行けません。これは地球規模での経済構造ですし。」
マリムは静寂感を表して、
「本当に、そうだね。労働して金銭を得て税金を納める。それで自治体や国が運営されるのが地球です。我々の星では労働は必要ではないので嫌々ながら働いている人は、いませんよ。」
流太郎は簡単に感嘆して、
「素晴らしい星ですね。労働のない世界なんて、まるで見たことのない夢の世界のようです。」
突如、部屋が動き始めた。わずかな揺れが感じられる。地震か?そうでは、ないようだ。地震とは左右に揺れるものだか、これは一方向に引っ張られていく動きなのである。地下にある部屋が何処に引っ張られるのだろう。
 流太郎、貴美、釣次郎の顔は緊張感で引き締まる。マリムは平然とした様子だ。異星人のマリムには動ずるべき事態では、ないのだろうか。例えて言えば地下鉄の動きのようなものを、四人は感じている。段々、速度が上がっていくようなのだ。地下鉄に乗っても、その揺れに慣れるように三人も落ち着きを見せ始めた。マリムは変わらぬ落ち着きぶりだ。
マリムは流太郎の話しかけに答えて、
「ええ、地球とは資源の違いが凄くあります。地球とは豊かな国ではない。例えば水道水にしても日本では有料です。電気、ガスもタダでは、ないし。これが我々の星では全て無料。食べ物もレストランに行かなければ無料で貰えます。」
地下鉄に乗っている気分になった貴美はパソコンを打つ手を止めて、
「どうして無料なんですか?」
好奇の目で問いかけた。マリムは生徒に教える教師のように、
「農家に国家が収入を与えています。地球と違って悪天候が続いたり、雨が降らない事が続くような事態にも、ならないのです。つまり、常に豊作、毎年が豊作、海では大漁の日々です。漁業の人達と農業の人達は、それぞれが収穫したものを物々交換します。
要するに金が回る事が少ない。ボッダは、その超能力の凄さで人々から寄進を受け、広大な土地も彼に捧げられました。
ボッダは働く必要なく、信者の寄進により生活しています。それは地球の宗教法人も似ていますが、ボッダには個人で手に入れるものも、お金が要らないので税金も掛かりません。
 全ての国民はベーシックインカムを貰いますので、失業しても困りません。」
と鮮やかに説明した。釣次郎は、
「なんだ、本当に天国みたいですね。今の日本も格差が激しくて、その癖、公務員、特に国会議員の給料は高いですよー。」
と話す。
流太郎が右手を高く上げると下に降ろし、
「それを紅党党首の桜見党首が変えるらしい。日本の政治家なんか国民とか呼んで普通に生きている人々を見下しているだろう。特権階級とでも思っているみたいにな。それを選挙で選ぶから、こうなっているんだ!」
怒りを爆発させようとした流太郎、その時に室内の揺れは止まった。流太郎は出入り口のドアに行くと、ドアを開く。地下鉄の駅のホームのような光が室内に入って来た。マリムは流太郎の後ろに立ち、
「外に出ましょう。ビルの地下室の廊下とは違いますよ。」
マリムは何かを何故、知っているのか。
全員、外へ出た。確かに町田駅近くのビルの地下とは違う。マリムに似た男性が歩いてくると、
「ようこそ、ここは八王子市の高尾山近くにあるビルの地下です。実は町田のビルの所有主には数百億円の謝礼を払い、了解してもらっています。時さんも事前に知らされていたでしょう?」
と流太郎に念を押す。
流太郎は思い出すように、
「ええ、そういえば聞いていました。私の会社の部屋だけを家賃を下げる代わりに突然、移動する事もある、という話でした。何か分からなかったけど賃料が下がるのなら、それでいいと思っていましたが、しかし、こういう移動とは思いもよらない移動でしたね。一体、これは・・・?」
その辺りはビルの地下らしいが部屋があるのは、移動してきた流太郎達の部屋だけで白壁と白い床面の廊下がある。
マリムが流太郎の方を向くと、
「実は、このビルは我々の星が所有しています。ですので八王子の地下から町田の地下までトンネルを掘って、時さんが借りている地下室の底部の裏側にリニアモーターカーの底部にあるものを取り付けて、ここまで運べるようにしました。」
と説明した。流太郎は憤り、
「何か勝手じゃないですか。ま、部屋の賃料が下がっているから文句は・・・でも、我々も業務中ですよ。」
マリムはニヤとすると、
「ちょっと驚いて、もらいたかったのですよ。我々の星の科学および技術力の高さに、ね。業務の邪魔といっても静かに移動して、会話の妨げにも、ならなかったのではありませんか。」
流太郎は渋々、
「そういえば、そうです。そうだ、せっかくだから、こちらのビルを見学してもいいですか?」
マリムは鷹揚に、
「ええ。でも廊下と部屋だけで、部屋はロックされていますから入れませんし。それより屋上に行きましょう。」
三人は同時に、うなずく。
エレベーターで屋上に上がると、そこには中型とでもいうべき白い外観のUFOが、居座っていた。
マリムは三人に、
「私の星に来ませんか。無理には連れて行きません。。」
と誘う。
流太郎は貴美と釣次郎に、
「オレは乗ってみる。君達は、どうするかい?」
と二人の顔を見回すと、貴美は面白そうに、
「わたしも乗りますわ。」
と賛意を示し、同じように好奇の目の釣次郎も、
「僕も乗りますよ、時社長。」
と同意したのだった。
マリムに続いてUFOに乗り込んだ三人は半円形のソファをマリムが示し、
「そちらへ、おかけください。」
と教唆する。
飛び上がった感じもしないがUFOはビルの屋上から飛び上がったのだ。瞬間移動、という表現が適切だろう。
数分以内に見知らぬ惑星に到着した。外に出た四人。釣次郎は、
「ここはボッダが居る星だ!」
マリムは、
「みなさんを御案内します。地球での経済活動に興味を持たれたボッダが皆さんに会いたいそうです。」
UFOが到着したのは広い庭で枯山水のような趣きの場所も見えるが森林が半円形で建物を囲んでいる。日本の寺院というよりもインドの寺院に似ている。白い外観の建物の上部は流線形で先端は空に向けて尖っている。宝殊の形、涙滴、涙の形と形容できる。
 マリムが先導する玄関は開いていてボッダが四人を出迎えた。ボッダは背の高い筋肉質の男性で肩幅が広く、顔色は褐色で目は緑色だ。静寂に見えた顔は活火山のような動きのある容色に変化すると日本語で、
「みなさん、ようこそ!私がボッダです。」
と明るい声で話した。とても千歳の年齢には見えず、五十代にみえる外貌だ。白色の袈裟に似た服を身に纏い、身軽な動きで四人を手招きすると、
「さあ、中に入って歓談しましょう。」
開かれた扉の向こうは、広い空間でドアが多数並んでいる。その中の一つのドアを開けてボッダは四人を室内に入れた。
講義室のような部屋で黒板ではなく白いプラスチックの板があり、教壇のようなものの後ろにボッダは立ち、四人は最前列の椅子に座る。ボッダは、
「授業ではないので気楽にしてください。私は立って話をします。」
と丁寧な喋り方だ。釣次郎はボッダが予想していたよりも優しく、謙虚に見えた。緑色のボッダの瞳は静かな湖上のような趣きがあり、どこにも見ることの出来ない光がある。
それにしてもボッダが日本語を話すとは流太郎も思わなかった。ボッダは流太郎に、
「時さん、あなたは会社を作ったばかりだが、これから成功するだろう。」
と話したのだ。流太郎は横に座っているマリムを見ると、
「ボッダに話されたんですか?私の事を。」
「いいえ、話していませんよ。」
とマリムは答える。それではボッダの超能力か。流太郎は、
「ボッダ様。私の思考から読み取られたのでしょうか?」
と尋ねるとボッダは、
「君のアストラル体にある脳の部分を読めば分かる。何よりも君は事業を考えている。しかも思考というのは言語を元に行われる事が大半だからホスト・デリバリーを考えているのも分かる。色々とホストを募集すると、いいだろう。私も君のデリバリー・ホスト業を応援したい。」
と明快に答えた。貴美も釣次郎も驚きと賛美の目でボッダを仰ぎ見た。ボッダは貴美と釣次郎を見ると、
「城川さんと本池君、のアストラルの思念も私には読めるからね。貴方方の名前も分かるんだ。もちろん私も日本語を数十年は学習したから、あなた方の名前が分かるのだがね。」
とスラスラーンとの御言葉だった。
一層、驚く貴美と釣次郎。釣次郎は思わず、
「ボッダがデリバリーホストを応援してくださるなんて予想外でした。」
と目を四角にしたよう表情で云うと、ボッダは静顔小笑して、
「男女の性欲を否定しているのは地球に生まれたブッダだが、私はボッダだ。性欲を否定はしない、それどころか推奨する。禁欲をさせるのは、より性の活動に活力をもたらす為だ。私は二万人以上の女人を抱いた。というと抽象的だな。二万人以上と性交した。その多くは美女ばかりだったのだ。現在も妻は十人、愛人は五十人と昔より少ないが、毎日、性愛の相手に事欠く事はないよ。それも地球的に見て若い完熟した美人ばかりでね。もちろん、私の宗教で修行に励んでいる女性ばかりだ。釣次郎君が訪問していた、あの広い寺院内に私の妻と愛人は住んでいる。
諸君らも性欲を亢進させなさい。活力なき人間を作り出すのが地球の仏教だ。あの寺院では女性修行僧の方が多くて、禁欲の期間を満了した修行僧は寺院内で結婚する。あの寺院内には結婚した修行僧の男女が住む僧房がある。寺院内には産婦人科の病院はないが、日本の昔の産婆の資格を持った女性層がいるので、寺院の外に出て出産する必要は、ない。
という事で、なにか質問があるなら自由に挙手するように。」
と話すとボッダは長い髪を掻き揚げた。
流太郎は右手を上げる。ボッダはニンマリすると、
「時さん、どうぞ。質問しなさい。自衛隊の事か?」
図星、当たり彗星だった。流太郎は動揺を抑えると、
「そうです、さすがボッダ様。良く、お判りで。」
「それ以上は分からないから、質問を続けるように。」
「はい。こちらの星は他の惑星を攻めに行くような構想は、ないんですかねー。」

SF小説・未来の出来事31 試し読み

医師のセックスレス妻の丸代が指さす部分を見て、丸代と同じ全裸のヨガ講師、与儀は両手を腰に当てると、
「今は想像でなくて、現実に見ているし、少し前まで俺のモノを刺し込んでいたからな、そこに。君は、とても気持ちよさそうだったよ、丸代。」
と肌を重ねた男女の会話らしい遠慮のない響きで話した。丸代は頬を染めて「ええ、人生で一番、気持ちよかったわ。」
満足げな与儀は、
「次はガルーダーサナでセックスするのもいい。」
丸代は、そのポーズを思い出して、
「ワシのポーズね。片足で立って右手を上げる・・・。」
その時、広い室内の出入り口が開いて数名の男が這入り込んできた。
裸の与儀は彼らに、
「なんだ、君達は外からは入れないように鍵を掛けていたが。」
彼らは三人で横に並んでいる。肌の色は白いし金髪の男は真ん中で、
「鍵が役に立たない事を実証するために入ったんだ。強盗とかではないので安心されたし。」
と与儀と同じ180センチくらいの彼らは全員が灰色の背広の上下に身を包んでいる。
丸代は慌てて下着と服を着た。与儀は未だに全裸だ。謎の男たちの右にいる人物は与儀を見て、
「中々の股間じゃないか。そこの女性と楽しんでいたようで申し訳ない。でも、これから君達を連れていくのが俺たちの使命なんだ。」
と確信的に宣言する。与儀は混乱を余儀なくされてしまい、
「一体、何処に連れていくつもりだ?」
熊のように体格のいい左側の男は、
「屋上に上がれば分かる。服は着ないのか?」
「ああ、着るよ。どうせ抵抗しても、連れていくんだろう?」
真ん中の男は上着の内側からピストルに似たものを取り出すと、全裸の与儀に狙いを定めて、
「そうだ、抵抗すれば、この飛び道具でオタクを撃たないといけなくなるよ。」
と静かに云う。静かに脅される方が脅しは、より凄みを帯びるものだ。与儀はゾクゾクゾクッと背中の上を冷水が逆流していくような感覚がして急いで下着と服を身に着ける。真ん中の男はピストルを上着の中にしまうと、
「屋上へ案内しろ。オレ以外の二人もピストルを持っている。素手でもオタクを倒すことは容易な話だ。そこの奥さんも一緒に来るように。」
と少し震えて立っている月森丸代に誘いかける。三人の前を与儀と丸代は歩かされた。屋上に登る。平屋建ての住居なので二階はなく屋上だった。ドアノブを与儀が回すとロック解錠で、五人は屋上に出た。屋上の面積一杯に停車しているのは地球の乗り物ではなかったのだ。UFOを見るのは与儀も丸代も生まれて初めてだった。与儀と丸代は同じような事を考えている。(そうすると、この人たちは・・・)二人を見て真ん中の男は笑顔になると、
「俺たちを宇宙人だと思っているんだろう。アメリカ人だよ。NASA勤務の俺たちだ。月まで来てもらいたいんだ。」
と簡潔に話した。
与儀は幾分、落ち着いた。それは彼らが地球外生命体ではないと打ち明けたからだ。日本語も日本人と遜色を感じない明瞭な話し方なので、与儀は、
「おれだけ、ついて行こう。この女性は必要ないだろう?」
と丸代を指さして訊く。
リーダーらしい列の真ん中にいた男は、
「いや、その奥さんにも来てもらわないとイケナイよ。二人で来てもらわないと、な。目的を達成できない、俺たちのね。」
与儀は丸代に、
「という事らしいけど、どうだろう?丸代さん。」
丸代は躊躇せずに、
「行きますわ。夫は驚くだろうけど平気です、わたし。」

 円盤の内部に廊下があって、一つのドアをリーダーが開けると、そこはホテルのラウンジのような豪奢で贅沢な雰囲気のある部屋だった。リーダーは与儀に、
「腰かけたまえ。月まで揺れることなく飛んでいくよ。さあ、出発だ。Go to the moon!」
ゴートゥ、ザ・ムーンというリーダーの言葉通りに円盤は離陸したのだが、室内の与儀と丸代には円盤が垂直に飛翔したのには気が付かなかった。赤いソファが円形に並べてあって、アメリカ人と話した三人と与儀と丸代は並んで向かい合う。リーダーは、
「これから月の地球から見て裏側に行くよ。おれの名前はカッター、アメリカのテキサス生まれでね。四十五歳だ。」
と両手を広げて自己紹介した。さっきヨガ教室で一列に横に並んだ時と同じ配置で他の二人はソファに座っている。リーダーのカッターは右手を与儀達から見て左の男を示すと、その熊のような大男は、
「俺の名前はキラミン。ニューヨーク生まれさ。四十歳だ。」
カッターは右手で自分の左にいる男を示す、その男は理知的な顔立ち、
「俺の名前はトムトム。カリフォルニア州ロサンゼルス生まれダヨ。日本にも何回か来たな。親日だから日本語も、うまくなった。」
カッターは身を乗り出すと、
「君達の自己紹介も、どうぞ。」
というので与儀は、
「福岡市生まれで父親はインド人の与儀です。よろしく36。」
トムトムは、
「36てのは君の年齢か?よくわからない。」
与儀は気軽に、
「しくイコール36でしょ?」
トムトム「あー、なるほどね。ダダダン、トだじゃれだね、あはは。」
丸代は細々と、
「月森といいます。東京生まれです。医師の妻です。」
カッターは面白そうに、
「そ。なら君は不倫をしていたんだな、ああ?」
与儀は横から割り込む様に、
「ぼくらは真面目な交際ですよ。結婚する予定ですから。」
アメリカ人三人は感心して、代表するようにカッターは、
「それは、いいな。オメデトウ。月に、これから行くのはツキがいい、なーんて本当さ。」
丸代は打ち解けたように、
「わたし月森という名前です。月に森なんて、ありませんよね?」
トムトムは首を右、左にスイングすると、
「いや、あるんだよ。それがねー、だって月には人が住んでいるんだから。」
与儀と丸代は一方ならず、四方八方驚いて丸代は、
「えええっー。月に森が、あるーんですか、信じられないですわ。」
熊のようなキラミンは髭もじゃもじゃの顔を丸代に向けると、
「森も林も湖も、池も小川も大河もあるさ。俺たちは、今は月に住んでいるんだから。」
と説明口調で解説してくれた。与儀は好奇心で、
「この円盤はアメリカのモノなのですか?知りたいなあ。」
トムトムが答えて、
「知りたいとは尻に鯛を載せる事だ、なんてのはサテ置き、アメリカのモノではないね、この円盤は月の富裕層から借りているよ。」
丸代は目玉焼きが出来そうな眼をして、
「月の富裕層ってアメリカの人は既に月に住んでいるんですか、凄いわ。」
カッターが説明する、
「アメリカ人は月では富裕ではなく、それに誰も住んでいない、月にはね。これは月人の所有するもので、それを借りているという訳さ。」
月まで、そう時間が掛かる訳がない。着陸したと思えないのに、円盤は月に着陸していたのだ。それも地球から見えない月の裏側に、である。月の一日は地球の一月程度もある。であるから半月が太陽が出ていて、半月は夜となる。ルナティックとは狂気の意味があるが地球で十五日間も太陽が出ていて、残りは夜などでは、どういう精神状態になるのだろう。
生物は太陽に依存する。月の人間は半月は起きていて、半月は寝ているのだろうか。カッターは壁にある何かを見て、
「月の裏側に着いたよ。降りよう、円盤を。」
と皆を促した。
そこはビルの屋上のような場所だった。月にビルディングがある。屋上から眺めると都市でビルだらけ。空にはUFOが、あちこちに飛んでいる。月の重力も地球と、ほぼ同じだった。だったらアポロの月面着陸で軽く飛んでいる宇宙飛行士は何故、あんなに軽々と月面を飛べるのだろうか。
しばらく五人は屋上にいた。明るい太陽の下に月の裏側が五人の目に見える。与儀は歩くと、
「地球と同じような重力ですね。月は重力が少ないと教えられていましたが。」
とカッターに尋ねる。カッターは両手を左右に広げて、両肩をすくめると、
「月への最初の月面着陸の映像はフェイクだ。つまり贋物、作りものさ。映画監督のスタンリー・キューブリックが特撮の関与を認めているだろう。月には宇宙からの訪問者で一杯なんだよ。地球と同じ環境どころか地球よりも生命が住むのに良い環境は宇宙には、いくつでもあって、そういう星がいくつもあったとしても不思議ではない。この考えられない程に広大な宇宙空間に生命が地球だけにあり、地球人だけが二足歩行して思考する生物だと考える方が狂気なのでは、ないだろうか。
これは我々、アメリカ人の中にも科学と称する妄想を正しいとする人々が多い。銀河には何百億人の人類がいると私は聞いた。それは真実だと思うよ。」
それに第一、酸素があるのだ。酸素ボンベなど不要の月面である。ビルの屋上にも植物を植えている鉢が見受けられる。とすれば雨が降り、成長するので鉢植えにされている緑が並んでいる。カッターは、
「太陽系の惑星には全て酸素がある。そうでないと生命は存在できないからね。地球以外の惑星には生命は存在できないと主張しておいた方が都合がいいんだ。なぜならアメリカ以外の国は他の惑星への興味を失う。そしたらアメリカが一番乗りで他の惑星に乗り込める。そして領土も取れる算段なんだよ。これに所謂、妄想の科学で生活している大学教授らが賛同して月どころか太陽系の惑星は地球以外には生命は、いないなどと、のたまわっているんだ。あめりかとしては一番いい宣伝工作に無料で活動してくれる日本の物理学者の教授たちだ。日本の政治家は全部がアメリカの飼い犬さ。餌を貰うために何でもやるんだぜ。でもなあ、」
そこでカッターは一息つくと、
「とんでもないのが現れたよ、日本の政治に。」
と話すと、与儀と丸代を見る。与儀は、
「誰なんですか、その政治家は?」
「日本紅党党首の桜見世子。過激派共産主義の女党首でね。でも、オレ達はアメリカがどうなろうと構わない、というのは月で生活しているからね。地球に行く時には誰かを、ここに連れてこないとイケナイ。これは随分前からの習慣みたいになっているよ。そして地球に返さない場合もある。」
と静かに話すカッターの口調だが、与儀と丸代はゾッゾクゥーと背筋が寒くなる。このビルの屋上は月の地面の上に建っているので二人が逃げ出しても、ビル内も月の土地も全くの不案内なのは二人とも分かっている。カッターたちに随行するしか方法は、ないのだ。不安に怯える二人を見るとカッターは獲物を捕らえた人の目をして、
「君達は返すかもしれない。月で性活したらいい。地球人の性の活動を観察したい人たちもいるし、ぼくらは実は公務員みたいなものでね、そういう月の政府の部門に連れていってホテル暮らしを君達にしてもらい、どこにあるのか分からないカメラで撮影されているだけで生活は保障されるよ。どうかな?」
とカッターは二人の目を覗き込んだ。与儀は不承不承の顔だが、
「それしか、ないでしょう。ぼくらは、そうすると月で新婚生活ですね。」
と答えると、カッターは快速な態度で、
「ようし、決定だ。今から地球対策省の地球人生活観察庁に行こう。このビル内に実はあるんだ。だから下に降りれば、いいだけさ。エレベーターに乗ろう。屋上の端にはエレベーターがあった。地球のエレベーターと、そんなに違いはない。かなり下に降りたが何階かは分からない与儀と丸代だった。階数は月の数字で表記されているためだ。エレベーターを出るとカッターはトムトムとキラミンに、
「ここまでで、いい。トムトム、キラミン。今日の仕事は終わりだ。」と告げた。
トムトムはヒューッ、と口笛を吹くとキラミンに英語で、
「地下のバーに行こう。地球対策省のバーだから安く、飲めるぜ。」
と誘うと理知的なキラミンも楽しそうに、
「ああ、昼から酒が飲めるな。どうせ半月は昼だけど。」
と英語で答えたので与儀と丸代には二人の対話の意味が分からなかった。
 カッターが地球人生活観察庁の部屋のドアを開けると、そこは受付のような場所で金髪の男性が座っていた。一般の受付口のようだ。カッターと受付の男性の会話は月の言語で行なわれているので与儀と丸代には理解不能だ。カッターとの話を了解した受付の男性は笑顔で先へ進む様に手で示す。受付の右横には廊下があり、それを三人は歩いていくと又、いくつものドアが廊下の左右に並んでいて、カッターを追いかけるように与儀と丸代は歩いた。
カッターは一つのドアの前で立ち止まると、
「ここが日本人研究課なんだ。入ろう。」
とドアを開ける。
中に入ると数人の職員が見えたが、対応してくれたのはカウンターに座っている中年男性で、
「ようこそ。お待ちしていました。」
と浅黒い顔の男は日本語で話した。
カッターは二人を紹介する。
「日本から来た与儀さんと月森さんだ。月での性活がしたいらしい。」
受付の男は座ったまま、
「ここでは職員全てが日本語を習得しています。お気軽に話してください。右に進んで最初のドアが日本人応対室となっています。」
又しても右手に進む三人だ。
最初のドアの前に立ち、カッターが待っていると自動でドアが開いた。三人が入った部屋は広くて応接室のような場所に男の職員が歩いてきて、
「ようこそ。そこのソファに腰かけてください。」
と明確な日本語で話し、自分も三人に対面する形で座る。北欧人に似た容貌の男性だ。白さは北欧人より白い肌の色、顔の色である。職員は笑顔で、
「わたくしたち職員は全員が地球の日本に行き、語学も学びました。」
と話す。与儀は疑問に感じた事を聞く。
「どのように日本に滞在したのですか。ホテル?民泊、それとも・・?」
職員は悠然と、
「日本の東京郊外の高尾山の地下に我々が宿泊できる施設があります。自家発電の装置を据え付けていてオール電化で風呂も沸かせます。電子レンジや冷蔵庫はネット通販で買って入り口から少し離れた場所で受け取り、車で施設に運び込みます。その離れた場所のマンションは一階を借りていますけどね。水道は地下水を導き入れているので天然のものです。水道代を払う事も、ありません。
その施設は三十人は泊まれます。施設の管理者は常駐していますし、日本の紙幣や硬貨も持っているので時々、地下から出て東京だけでなく北海道から沖縄まで旅行もしますよ。パスポートは要りませんから(笑)。」
と懇切丁寧、次節は不明に説明してくれた。その室内の温度は20度くらいだろうか。
与儀は納得して、
「語学学校に行くわけですか、日本語習得のために。」
と再度、質問すると職員は、
「それでは色々と面倒ですね。近くに借りているマンションまで個人教師として来てもらうのです。朝から夕方まで教えてもらえますし、入学手続きも要りません。ネットで募集したら、すぐに面接に来ますよ。その教師も学校で教えるよりも高額な報酬を貰えるのでね。」
と即答した。なるほど彼ら月の人達は既に日本にも来ているだけでなく宿泊施設も東京郊外に持っているらしい。でも与儀には、まだ疑問がある。それで与儀は、
「そのー、語学教師を雇える資金は何処から来るのですか?」
と訊くと職員は、
「当然なる疑問ですね。実は月にはダイアモンドが豊富に採れる場所があります。月政府で管理している場所もありますから、そのダイアモンドを地球に持ち込んで換金するのですよ。この活動のための施設は地球の全世界的な場所に置いていますから、日本には逆に云うと月のダイアモンドの換金施設は、ないわけですが海外から日本の施設に送金してもらいます。タックスフリーな島とかにも拠点がありますし、日本に税金なんか払わなくていいようにね。」
と魅力的に職員は話してくれた。
与儀は理解して、
「分かりました、話は別ですがヨガとか興味ありますか?」
職員は、
「うーん、それはインドのものでしょう。我々は日本にしか興味を持ちませんので。」
と答えた。与儀は小落胆して、
「私はインド人の父親を持つハーフです。純粋な日本人では、ないんですよ。」
職員は顔色を変更せずに、
「日本に住んでいれば大丈夫です。日本国籍ですか?」
与儀は、
「日本国籍で日本生まれです。インドには修行のために五年は滞在しました。」
職員は楽しそうに、
「それなら猶、興味深いですね。我々は純粋な日本人ばかりを研究していないのですよ。そもそも純粋な日本人なんて、いないんです。縄文人と弥生人の混血ですからね、古い日本人も。四国には古くからユダヤ人が住んでいますよ。キリストの墓も青森県にあります。これはキリストの遺体を埋めた墓と考えるよりも、キリストを慕うユダヤ人が建立したと思われます。とすると青森県にもユダヤ人が辿り着いているという事実がありますね。だから青森県の人の中にはユダヤ人の血が混じっている人も、いるはずですよ。」
 月の人間が、このような事実を知っていて一般の日本人が知らないというのも変な話ではあるが、大体に於いて日本の学者というものは常識と言われる範疇の外には出たがらないし学説も発表しない。
一般の日本人は読書をしない程度は隣国の中国よりも遥かに下なのだ。士農工商の時代が長く続いたので、仕方のない事ではあるだろう。だって士族以外は読書をしないのも自由だったからだ。
 インド人の血を持つ与儀も興味の中心はヨガであったので、キリストの墓が青森にあるのは知らなかった。それで与儀は、
「キリストの墓が青森に、ですか。知りませんでした。私にはキリストより、ババジやヨガナンダの方が救世主なのです。」
というと月の職員は、
「ババジ?ヨガナンダ?知りません、私は。ここは月政府の日本人研究課で、わたしは課長のドミリンダ・ケネフと言います。申し遅れましたが、ここでの会話は録音されていますし、映像として記録されています。」
与儀と丸代は無言で、うなずいた。いつの間にかカッターは、その場から姿を消していた。横にいる人間には注意を払わないものだ。しかもソファを距離を置いて座っていたカッターだった。与儀が横を見るとカッターがいないのでドミリンダ・ケネフに顔を向け、
「カッターさんが居なくなりました。」
ケネフは動ぜずに、
「あの人の役目は終わったのです。貴方方を、ここに連れてくるのが目的でしたから。」
丸代は唐突に、
「アメリカ人なんですか、あの人は?」
と質疑するとケネフは含み笑いをして、
「どうして、どうして。あの人たちも月の住民です。」
と話したのだ。
カッターはアメリカ人ではなかった。とするとトムトムやキラミンも、そうなのだろう。二人は騙されていたのだ。与儀は、
「でも何故、アメリカ人なんて言ったんでしょう、カッターさんは。」
ケネフは、
「あなた方を不安がらせないためですよ、きっとね。」
と話すと両手を前に出して組み、テーブルの上に置くと、
「月の生活では昼が半月くらいで夜が半月ほど、ですが、我々も地球人と同じ人間ですから半月、起きて、半月、寝続ける事なんてありません。我々の先祖は地球に似た環境の星から月に飛来して住み続けています。一晩中、太陽が出ていても部屋の中を暗くする工夫や、一日中、夜の場合も通勤、通学が出来る環境づくりをしています。だから貴方方も半月起きて、半月寝なくてもいいんです。その点は安心していてください。」
と念を押すようにケネフは話した。続けてケネフは、
「何か聞いておきたい事があれば、遠慮なく聞いて下さい。」
と両手を組んだまま云った。
与儀は少し身を乗り出して、
「僕らは地球に帰れるのですか?」
ケネフは思念顔で、
「うーん、どうでしょうか、それについては今は何とも言えない。ただし地球の日本よりは住みよいのが月です。というか月の裏側ですね、地球から見たら。完全なる共産主義ですからね、月の裏側は。あなた方は性の活動を我々に見せてくれれば、いい。なにも我々の目の前で、やってもらわなくていい。それだけで月で暮らせる月の貨幣、紙幣を報酬として上げるだけでなく生涯年金も積み立てられます。老後は地球の日本よりも高額な年金を受けられます。それでも地球の日本に帰りたいですか?」
という驚きの話をした。
月の裏側は共産主義の国で年金は地球の日本よりも高いという。それなら、あんなに貧富の差、それは過去の政治が作り出してきたものだが、そんな環境で生きていかなくてもいいのだ。

不適切な関係 男女

不適切な関係 男女について、例えば、あるモノから始まる不倫モノ
の構想が泉のように湧いてきました。

それを無料で書いて、どうするんだ、という訳ですが。