SF小説・未来の出来事13 試し読み

 黒沢は時に、うなずくと、
「ああ、記憶を取り戻したい。でも、自分だけの力、では無理のようだ。なにか専門の医師にでも、見てもらえば、いいのかもしれない。」
時は、
「脳神経外科医あたりが、いいんでは、ないでしょうか。僕も詳しくは知りませんけど。」
と提案すると黒沢は、
「そうだね。そうしよう。君は、いい医者を知らないかね?」
「知りません。インターネットで検索すれば、見つかりますよ。」
「そうだな。そうするか。」
黒沢はズボンのポケットからスマートフォンを取り出して、ネット検索を始める。
「脳神経外科 福岡市」で検索すると、一番上に出たのは、
能田脳神経外科
というのが検索結果である。黒沢は、
「アイランドシティにある能田神経外科が、いいんだろうな。知らないか?ここを。時君。」
と訊いた。流太郎は、
「知りません。通勤途次では見ませんね。」
黒沢は、
「今から行ってくるよ。君は又、どうして、ここへ来ているんだ?」
と不思議そうな顔をして聞く。流太郎は、
「営業ですよ。我が社の株式会社夢春と何か提携いただくものが、あれば、というものですが。」
「ああ、そうだな。しかし、さっき君は土星とかなんとか言っていたが・・・ああ、頭が痛くなってきた・・・。」
「記憶を取り戻すと、分かると思いますよ。医師の助けが必要でしょう。それでは、これで失礼します。」
流太郎は立ち上がると一礼して社長室を出て行った。

 ロボット運転手に運転させて、黒沢はアイランドシティに行った。
「おう、ここで、いいよ。停めてくれ。」
と黒沢が指示すると、停車した車内から黒沢は歩道に降りた。能田脳神経外科の看板が見える。三階建ての建物になっている。入院患者も、いるのだろう。
 玄関を入って受付で診察を頼むと、女性ロボットは笑顔で、
「かしこまりました。椅子に座って、お待ちください。」
と話した。
健康保険及び社会保険など、既に廃止されている日本だ。医療費を引き下げないと患者は来ない。その窮余の策として病院が、いち早くロボットを使い始めた。医療事務などロボットにも出来る。それと受付も。一度、購入すれば電気代も要らない、それは太陽エネルギーで充電できるからだ。二、三人の患者の後、黒沢は名前を呼ばれたので診察室に入った。白衣を着た太った中年男性が院長の能田らしい。彼は黒沢に、
「やあ、どうぞ、そこに、お掛け下さい。」
黒沢は能田の前に座った。すると能田は、
「それで?今日は、どういう調子ですか?頭の具合は。」
とニコヤカに尋ねてくる。
「それが頭は何ともないんですが、記憶の方でチョット思い出せない事が、あるのです。」
「ほほう。思い出せない記憶なんて、いくらでも、ありますよ、人間には。」
「それが。思い出したい特異体験が、あるらしいんです。」
「そうなんですか。あなたは耳が悪いのですか?耳にイヤホンを、つけておられるが。」
黒沢はハッとした。耳に手をやると、そこにはイヤホンが、ある。これは何だろう?これこそが土星で、もらったものなのだろうか?
「ああ、これですね?いや、私は耳は、すこぶる、いいのでイヤホンなんて、していなかったんですけど、何故、イヤホンをしているのかが分かりません。」
能田は鼻の下の髭を右手で、いじくると、
「それも忘れたようですね。ちょっと、そのイヤホンを見せてもらえますか。」
と請うので黒沢はイヤホンを耳から取って、能田に渡す。
能田は、それを受け取ると手のひらに乗せてジロジロと見る。
「これは地球のイヤホンでは、ないようです。」
そう能田は断言した。
「地球のイヤホンでは、ない?とすると、何処のイヤホンですか。」
と黒沢は問う。能田は落ち着いた表情で、
「恐らく土星でしょう。土星の物質で、出来ているみたいです。」
黒沢の頭の中で、土星という言葉が鳴り響く。そういえば時・流太郎も土星で黒沢に会ったとか、自分を見つけてくれた、とか、そんな話をしていた。では自分は土星に行ったのだろうか?分からない。覚えていない。記憶に残っていない。
「能田先生も土星に行かれた事が、あるのですか?」
と黒沢は聞くと、
「いいえ、ありませんが、私の知人にUFOマニアがいて、彼は土星人とコンタクトを取り土星に行ったんです。帰って来た時、土星の物質を色々と見せてもらったが、その中に、このイヤホンもあったからね。」
「何に使うんでしょう、このイヤホンは。」
「ああ、なんでも土星語が分かるイヤホン、というか日本語に翻訳してくれるらしいですよ。それで土星語を知らなくても、意味が分かるそうです。」
それでも黒沢の記憶は蘇らなかった。能田は興味深げに黒沢の顔を見ると、
「貴方は土星に行ったのかも、しれませんね。レントゲン検査を、しましょう。」
レントゲンはドイツの科学者、ヴイルヘルム・コンラート・レントゲンが発見したものだ。レントゲンという言葉は小学生でも知っているが、その由来については意外と知られていない。
 能田にレントゲン撮影された黒沢は、写真を見た能田に、
「CTスキャンも現在では大変進んでいますからね。どうも貴方の脳の海馬が少し、やられています。」
「海馬?が、ですか。」
「そうです、この海馬がないと人は記憶が出来なくなります。あなたの海馬の損傷は偶発的なものか、人工的なものかは分かりません。ただ、この程度は治せるものですが、完全には治るかどうかは断言できません。手術しますか?」
「ええ、お願いします。」
という事で黒沢は、手術室で能田に脳の手術をして、もらった。メスによる切開ではなく、レーザービームのような光線を黒沢の頭に当てるというものだった。診察室に戻ると能田は、
「土星の記憶は戻りましたか?」
と尋ねたので、黒沢は土星での出来事を思い出そうとする。
ドセルノ・・・大金持ちだ。彼は黒沢に、
「時・流太郎なる人物を探したいのかね。いいとも、何か彼の遺留品は、あるかな。」
と問いかけたのだ。黒沢は、
「地球には、あるでしょう。ここには私は、時の遺留品など持っていませんよ。」
「よし、地球に君を戻そう。UFOなら数分以内に帰れるさ。」
地球に戻った黒沢は、株式会社夢春を訪ねた。
社長の籾山に黒沢は、
「何か時君の遺留品は、残っていないか。」
と訊くと籾山は、
「会社の机の中に彼のハンカチが残っていました。今も、そのままにしています。取り出しましょうか。」
「ああ、そうして欲しいね。」
籾山は時の会社の机の所に行き、引き出しの中からピンク色のハンカチを取り出した。それを黒沢に渡すと、
「これが時の遺留品ですが、これで、どうなるんでしょう?」

「土星人からの提案なので、私には分からないんだ。これを借りていくよ。」
「ええ、大丈夫でしょう。もし時が戻ってきても、ハンカチがない理由は私が話しておきます。」
それからドセルノに連絡してUFOが来て、又、土星に行った。ドセルノに時のピンクのハンカチを渡すと、
「これが彼の持っていたものです。」
と黒沢は説明した。ドセルノは満足げに、うなずくと、
「よし、これを宇宙捜索機に、かけてみよう。」
室内にある大型のコンピューターのような機械の前に行くと、ドセルノは時のピンクのハンカチを、その機械の中に入れた。
ドセルノは機械のパネルを操作した。数分後、機械を立って見つめていたドセルノは、
「時君の居場所が分かったよ。地球から数万光年は離れている星、それも地球とソックリな星にいる。その星に我々は行くことが出来る。もちろん三日は、かかるけどね。」
と黒沢に振り向いて話したのだ。黒沢にとっては、それは驚きと喜びだった。黒沢はドセルノに、
「是非、その星に連れて行ってください。三日なんて、あっという間ですよ。おっ、という間かな。その三日とは土星の三日なんでしょう?」
と問いかける。ドセルノは確信的に、
「もちろん、土星の三日だ。地球の時間なら一日は十時間。君も、もう土星の一日に慣れただろう?」
「はい、今では、すっかり土星の一日、一週間には慣れました。」
「でも、一年は経っていないから、年には慣れていないだろう。」
「それは・・そうですね、土星の一年は地球の七年でしたっけ?」
「それは土星の四季だ。春とか夏の期間だよ。土星の一年は地球の二十九年と、ちょっと。君は黒沢君、土星の一年も、この星に居てくれるか?」
「それは、ちょっと、どうでしょう。仕事があるなら、いいのですが。」
「今のところAVの仕事しか、ないけどな。」
「そんな・・・私は地球では科学関係の会社を経営していた人間です。土星の科学関係の・・・。」
「いや、それは君には理解不能な土星の科学だよ。地球でも幼稚園生に大学の講義が分からないように、いや、それ以上の隔たりが地球と土星の科学では、あるからな。君を教育するのに、どの位の時間が、かかるか・・・。それよりもチンポも二本に、なったしAVの仕事を享受するのは簡単だからな。」
黒沢は、そんなものかと思った。時流太郎は今、何をしているのだろう。黒沢が沈黙したので、それを了解の意味に受け取ったドセルノは、
「さあ、円盤に乗ろう。時君の星に行くよ。」
と黒沢を誘った。

 快適な宇宙の旅、とでも言おうか。六時間たつと四時間と少し眠って土星の一日を空飛ぶ円盤の中で過ごしていると、三日たったら窓の外に青い星が見えた。あれが地球に近似した星なのだろうか。ドセルノは黒沢の視線を追って、
「そうだ。あれが地球のパラレルとも言える星さ。今から、あの星の陽本(ひほん)に着陸するよ。」
ドセルノは胸に付けたマイクに聞こえるように、
「着陸に入り給え。」
と操縦手に指示した。ぐいーん、という感覚で窓の外は、その星の外気圏、熱圏、中間圏、成層圏を通過し、対流圏に到達した。
空から下を見ると日本列島に似た形の島があり、そこの東京の辺りに円盤は着陸した。円盤は、とあるビルの屋上に着地した。ビジネスのビルらしい。ドセルノが、
「さあ、降りよう。ここは巨大で高層なビルだけど、下に降りれば、すぐに理由は分かるさ。」
と円盤から降りて説明して、先だって下へ降りる階段を降りて行ったので、黒沢も急いで後を追った。
最上階と思われる所はモーテルのような宿泊所も見えた。レストランもある。なんのビジネスのビルなのだろう?そうこうするうちに行き止まりか、と黒沢には思えたが、そこはドアで自動で開いたのであった。中も部屋で、そこはラウンジのようだ。受付に女性が座っている。ドセルノは彼女に近づくと、
「社長には話してあります。ドセルノと言います。」
と日本語で話した。ここは、日本なのか?若い女性は、にこやかに微笑むと、
「お待ちください、お呼びします。」
と答えて、自分の机の前のボタンを押して、
「社長。お客様です、ドセルノ様が、いらっしゃっています。」
と話した。
その受付の女性の前面にあるドアが開くと、背広を着た中年紳士が現れた。彼はドセルノを見ると、
「おや、ドセルノ様。お早い、お着きですね。」
と云うと軽く頭を下げた。ドセルノは、
「栄部伊・売雄(えいぶい・うるお)君、お早う。さっそくの御出迎え、感謝するよ。時・流太郎君に会うために来たのだ。」
「ああ、・・・時、でございますね。時は今、撮影中で、ございます。」
ドセルノは、
「そこを、なんとか、してくれないか。」
栄部伊社長は少し考えて、
「それでは、撮影現場に来ていただきます。ついて来て下さい。」
栄部伊社長はエレベーターに歩いていく。ドセルノと黒沢が後から来ると、開いたエレベーターに三人は乗り、下に下降して、すぐに降りた。天井の高い場所だった、その階は。撮影スタジオは、そんなものだろう。
撮影スタジオとドアに印字してある。なんともパラレルな世界。言語も同じなのだ。ドセルノは、こういう交流があるために日本語が巧いのだろう。栄部伊社長は閉まっているだろうドアにカードを、かざすとドアは開いた。中に入ると巨人の女が全裸で横たわっている。身長は四メートル程か。
その巨人の女は大きく両脚を開脚して普通の身長の男が、その女に全裸でかぶさっていた。時・流太郎が、その男だったのだ!
巨人女とのセックスを撮影中だった。
身長四メートルの、その女の肌は白く、顔立ちは地球の北欧の女性のようだ。彼女の膣の長さは三十センチ近くあり、時流太郎の勃起肉棒をもってしても湖水に大根という感じだろう。
時流太郎の身長は百七十センチほどなので、倍以上の身長の女とのセックスだ。流太郎は自分の頭の上に両手を伸ばして巨人の女の乳房を揉んでいた。彼女の乳房は地球の女性の倍はある。乳首が硬くなって立っているが、それも地球の女性の二倍、顔も二倍はある。既に流太郎は勃起肉砲を彼女に挿入して、腰を前後に振っている。
巨人女は、
「ぁっはっ、ああああっ、あ、あん、あん、あんっ。いくぅぅぅ。」
と日本語で悶えている。
黒沢は栄部伊社長に、
「あの巨人の女性は日本語を話せるんですか?」
と訊くと栄部伊社長は、
「北欧出身だけど日本育ちの女性ですよ。なんでも地底人だったそうです。北極のあたりに地球の地底に行ける洞窟があるらしいですよ。そこは、いつもは閉じていて岩石で塞がれています。中からしか開けないらしい。十五の時に、その洞窟から北欧のスウェーデンに出て来た時は、身長は三メートル以上あって大騒ぎとなりました。誰が養育するのか、という問題も出てきます。そこで私が後見人となって彼女を養父として引き取り、今日まで養育しました。
AV女優になるかについては、彼女の自由意思で決めてもらいましたよ。」
流太郎は腰を光速のような速度で前後させている。巨人美女は長い睫毛を伏せて目を閉じ、口を半ば開けると赤い長い舌を出して、
「あああっ、ああああっ、とぶーっ。」
と悶えると、顔を、のけ反らせる。
流太郎と巨人美女は同時に絶頂に達した。時のチン長で、こうも彼女がイクとは、と黒沢は思った。彼女の巨大な膣口から流太郎は肉砲身を抜き出すと、なんと、彼は自分の肉砲に十数センチのシリコン製のバイブレーターのような物を装着していたのだった。
それでチン長は倍には、なっている。だから、あの巨人美女は満足したんだ、と黒沢は思惟する。
 栄部伊社長は二人に近づくと、
「次の撮影まで十分は休憩。アレナ、服を着ていいよ。」
と養女の娘に慮(おもんばか)った。
「はい、パパ。」
と彼女は大きな声を出す。そういえば悶え声の大きさも地球の女性の二倍は、大きかったのだ。栄部伊社長はドセルノと黒沢に、
「アレナの撮影では録音マイクは、要らないのですよ。」
と苦笑する。ドセルノは、
「そういうものでしょうね。アレナさんを土星に呼びたいのだが、どうですか?」
「うーん、今のところ撮影が立て込んでいましてね。最近にない空前の大ヒットですよ。なにせ本物の巨人女性とのセックスですからね。コンピューターグラフィックのような技術では製作していない、と大評判、アレナはウチの万札箱ですよ。」
ドセルノは押してくるように、
「土星でも大うけするでしょう。土星の人口は、ここより多いですよ。」
「そうでしょうけど、この星の特に陽本のファンの期待に応えたいので、もうしばらく、お待ちください。」
ドセルノは渋々といった表情で、
「わかりました。待ちますよ。金よりファンですな、うん、うん。」
と了解したらしい。
アレナはブラジャーだけして、彼女のための特製椅子に座った。そして脚を広げているので広大な恥毛と長大なマンコのスジは見られている。その辺は、あっけらかんかんとした彼女、歳は二十歳位に見える。
時は全裸で黒沢達の方を振り返った。長いシリコンのついたペニスを、ブランとさせて。黒沢を見ると驚きの表情で時は、
「黒沢さん!僕は信じられません、あなたが、ここに来るなんて!」
と声を上げる。
黒沢は、
「随分、探したよ。土星の科学技術で君を発見してもらったんだ。」
黒沢の横にいるドセルノがニヤリとした。時は、
「そうだったのですか。でも、地球に帰る気がしません。この星で、この陽本(ひほん)で僕は満足した生活、特に性の生活には満足しています。AV男優は地球の日本では、半ば嘲りの視線で見られますが、僕は今年、AV文化勲章を貰えるんですよ。そしたら生涯年金として地球で裕福に過ごせる額のお金を毎年、もらえます。籾山さんも、いい人で給与も割と高くもらえるけど、この星のAV男優の収入には遠く及ばないんです。」
黒沢は少し驚きながら、
「AV文化勲章なのか、うーむ。」
と唸る。時は、
「授賞式は陽本経済新聞デジタル版、というより、ここでは紙の版は、ありませんけど、動画配信されますよ。僕は、その勲章を胸に付けてAV撮影もする予定です。」
「陽(ひ)経新聞というのかな、ここでは。」
「ええ、そうです。AVパラダイスの株の時価総額は陽本一ですよ。という事は、この星では一番なんです。ひほん一なんです。配当も一番出してくれる、我々の給料も世界一、というか、この星の世界で、ですけど。地球にいた頃、サイバーセキュリティの仕事をしていた頃は、今に比べれば貧乏でしたね。」
流太郎は遠くを見つめるような目をして過去を振り返っているようだ。黒沢は少し、たじたじとなり、
「ああ、すまなかったね。地球に帰ってもサイバーセキュリティなんて仕事しか君には、ないだろうし。なんとか考えてみよう。株式会社夢春の籾山君とも話して見るさ・だから、考え直してもらえるかもしれないから。」
時は、そんな事には、ならないだろうという顔をした。そして次の撮影が始まった。

 アレナはベッドに座る。巨大なベッドだ。身長四メートルの彼女が横になれる広さと長さだ。それのダブルのべっどなので、なおさら大きい。時は彼女の前に立ち、あそこも立てた。先端にはシリコン製バイブレーターのような物を、つけているからペニスの長さは二倍となる。それを口に含んだアレナは両手を次に流太郎の両脚の太ももを持つと、自分の両肩に掛けさせた。
流太郎はアレナの背中に足の裏をかけ、背中を真っすぐに保つ。その姿勢は流太郎の背中と腹筋の強さが必要だ。その姿勢のまま、勃起させた肉砲身をアレナに、しゃぶらせている。
体操選手の様な、その流太郎の姿態を見て黒沢は、(鍛えられているな、時君も)と思う。
巨人の女のフェラチオシーン。その地球の女性、いや、その星の女性より二倍は長い赤い舌で肉筒を舐められるのも流太郎には、たまらない快感を齎(もたら)した。アレナは、しゃぶり終わると流太郎をベッドに降ろし、自分は四つん這いになる。後背位でのセックスを求めるアレナ。高く突き出された白い巨大な尻の間に見える長大の縦の肉欲スジは流太郎のムスコの突入を欲しているような形状を呈している。彼女は立膝だが、その足が長いので流太郎は立ったままアレナ巨大なマンコに肉砲を突き入れた。
「あああっ、はっ、あんっ、いい。」
とリズミカルな躍動的なヨガリ声を出すアレナ。既に彼女の白い大きな尻は流太郎の腰の動きに連動するかのように大きく揺れている。
「いくーっ。いくーっ、あっ、とぶー。」
と甘く可愛い声を、しかし大音声で発するアレナである。
「ああん、銀河系が落ちてくるぅぅぅっ。」
と脳内の感覚をもらす喘ぎ声をアレナは出すと、自分で自分の両方の白いパイナップルの様な乳房を、ぐにゃりと掴む。本当にパイナップル大の乳房だ。流太郎は彼女の普通の女性の二倍の膣圧を感じつつ射精を、こらえなければ、ならない。巨大なベッドは少し、ギシ、ギシと音を立てた。
時々、アレナが顔を流太郎に向けて目を閉じたまま、唇を突き出してキスを求めても流太郎の顔は彼女には届かない。精一杯、流太郎は両手を伸ばしてアレナのパイナップル乳を双方、つかんで揉み狂う。アレナはアヘ顔になり、赤い舌を出すと両眼を鼻の上部に向けて寄せた。流太郎は同時にアレナの白い背中を舌を出して舐め上げると、彼女は、
「あふっ、いくーーー。」
と叫ぶと流太郎の勃起肉筒を強く締めたので、流太郎は、たまらず、
連続射精、二回をしてしまった。
羽目太郎監督は、
「はい、いいよ。ここまてで、カットするから。休憩だよー。」
と汗だくの二人に伝える。
黒沢は心の中に焦りを感じた。時流太郎は、この星から地球には戻らないかもしれない。AV王国、陽本。その基幹産業で働く地球出身のAV男優・時・流太郎。黒沢は栄部伊社長に、
「時君はAVに出る時は、何の名前で出ていますか?」
と訊くと、
「地球・龍太郎ですよ。りゅう、は竜の方の龍で、字画の多い龍の字です。」
地球龍太郎。なんとも、いい名前ではないか。もしかして時の適職、いや天職なのかもしれない。だが・・・と黒沢は思う。(地球に連れて帰りたい)
休憩して椅子に座っている流太郎に黒沢は近づいていくと、
「城川康美の事は覚えているだろう?」
と、身を流太郎に、かがめて聞く。ボンヤリとした目で流太郎は、
「まだ・・覚えていますが・・・。」
「彼女から君への伝言がある。録音しているから、これを聞きなさい。」
黒沢は小さな手の中に入るほどの大きさの録音再生機をズボンのポケットから取り出し、親指でスイッチを押した。
『時さん、康美です。地球からいなくなって、時さん、もう、随分時間が経ちましたね。なんだか、わたし寂しくなりました。仕事は人に任せて、いられます。やっぱり、わたしには時さんしか、いないみたい。黒沢社長と帰ってきませんか、地球に。」
と康美の声が再生された。
時は急に立ち上がると栄部伊社長の方を向き、
「社長。申し訳ありませんが、地球に帰りたいと思います。」
と宣言した。
栄部伊社長は不愉快そうな顔をして、
「何故だね?この星での暮らしに不満でもあるのか?さっきの録音再生の声の女性が地球での君の彼女みたいだが、そのためか?地球に帰りたいのは。」
と言い返す。流太郎は確信的に、
「そうです。もう一度、彼女とやり直したいんです。」
「だが、この星の紙幣や硬貨は地球では何の役にも立たないし、地球のいかなる国の貨幣通過には替えられないんだ。君は無一文で地球に帰るのだぞ。」
と栄部伊社長は確かめるように流太郎に打診する。流太郎は、
「お金より康美の方が大事なんです。帰らせてください、地球に。栄部伊社長、お願いします。」
時流太郎は頭を下げた。それを見ると栄部伊社長は、
「よし。分かったよ。でも、ここへ戻りたくなったら、すぐには帰れないだろう。ドセルノさんの都合次第だからだ。」
と話すと、ドセルノは、
「黒沢君を通して都合は、つけよう。土星と、この星では通貨交換が可能だからビジネスの存在が成り立つ。地球と土星は、まだ貨幣の交換が不可能だ。それで土星人の我々としては地球に、それほど興味を持たない。とはいえ地球の例えば金(きん)は土星に持ち帰らるが。土星には天王星や海王星という豊かな資源を持っている。帰りに立ち寄ってみよう。」
という事で流太郎は地球に帰還する事となった。

 ドセルノの円盤内で何日か経つと、流太郎は窓の外に青く輝く星を見た。その部屋にはドセルノと黒沢もいて、ドセルノは、
「あれが海王星だ。海王星の四季のそれぞれは、41年もある。春の始まりに生まれたら、42歳で夏になるというわけだ。地球の日本人の寿命を80歳とするなら、四季の内、二つの季節しか海王星では生きられない事になる。
一年が海王星では地球の164年だから。」
そのドセルノの話に黒沢は尋ねる。
「海王星人って、いるのでしょうか。」
「今のところ、我々でも発見していない。それでも、いないとは言えないだろう。海王星に降り立つには超巨大台風を避けなければ、いけない。その台風とは地球では大暗班(だいあんはん)と呼ばれる時速2000キロメートルのものだ。これは地球の日本の東京から福岡までを一時間で往復する風なのだ。」
海王星を通過した円盤の窓の外に見えたのは、又しても青い星。ドセルノは、
「天王星だよ、あれは。土星の外側にある星だから土星人は、この星に行くことを既に何万年も前から試みている。そして、そこに限りない資源を見つけた。その一つがダイアモンドの海なのだ。」
「えーっ。」と流太郎。
「ほおーっ。」と黒沢。続けてドセルノは、
「天王星の一年は地球の84年。つまり天王星に住んでいると生まれたのが春だとしよう。そうしたら冬の終わりに死ぬ事になる。寿命が84歳だとしたら、だ。つまり天王星人は一生に四季を一つずつしか体験できないのが普通という事だ。」
円盤は急降下した。ドセルノの話したダイヤモンドの海らしきものが見える。キラキラと白く輝く海、それはダイヤモンドの輝きで、これは比喩ではなく、本物の液体ダイヤモンドが宏大に広がっている。その上を円盤は低空飛行した。
そのダイヤモンドの海を見ながら黒沢は、
「一体、どれほどのダイヤが出来るのか、想像も、つきません。」
とドセルノに話すと、
「我々土星人は、あれからダイヤを作り出している。地球の油田どころの規模ではない。それを他の惑星に売りに出している。地球でも少々、売っているよ。あまり大規模には地球でではダイヤモンドの輸出は、していないけどね。」
どこまでも広がるダイヤモンドの海だった。天王星にダイヤモンドの海がある、という事実は流太郎も知らなかった。
あの海の中からバケツ一杯に液体ダイヤモンドを、すくいあげ、それを康美に渡したら、どうだろう。地球では、それは液体から固体に変わっている筈だ。
あれだけダイヤがあればダイヤモンドの家も作れそうだ。と目を輝かせる流太郎にドセルノは、
「君が想像するかもしれないように土星にはダイヤモンドの家がある。大抵の場合はダイヤは通貨に替える。つまり売るのが普通だがね。」
と解説してくれた。
急上昇した円盤は素晴らしい速度で地球に向かっているらしい。とても巨大な惑星が見えた。ドセルノは解説する。
「あれは木星だよ。木星の一日も地球の時間にすると10時間。木星は幸運の星と地球の占星術では言われている。幸運の女神には後ろ髪がない、というのも素早く通り過ぎるのが幸運だからだ。
土星人も木星人も似たような一日を持つ。木星は傾斜することなしに太陽を回っているため、どの場所に同じように太陽光線が降り注ぐ。そのため地球の赤道直下のような場所ばかりだ。地球の黒人は木星から追放された者の子孫なんだ。木星人は大体、肌の色は黒い。我々土星人とは反対に。木星にもアンモニアの雲がある。
だから土星によく似ているんだ。時速360キロの風も木星では吹く場所がある。」
占星術なんて、という顔をした流太郎にドセルノは、
「惑星からの地球への影響が、ないとする考えの方が正しくは、ない。地球の占星術でも惑星の影響、太陽、月の影響を元にしている。土星の占星術は、もっと高度なものだが。
木星は強い電波を出しているのだ。22.2メガヘルツの電波も地球に届いたことが過去、検出されている。
ん?時君、メガヘルツは、よく分からないだろう。黒沢君、説明してあげなさい。」
「はい、ドセルノさん。」
と黒沢が話をし始めた。
「電波というのは波だ。揺れでもある。一秒間に揺れる波の振幅数がヘルツ。一秒間に一度揺れたら1ヘルツ。メガは百万回揺れたら1メガヘルツ。だから22メガヘルツとは、一秒間に電波が2千2百万回揺れた事になる。この揺らぎが木星から地球に届いているというのがドセルノさんの話さ。」
ドセルノは、
「その通り。これだけでも木星が地球上に与えている影響が分かるだろう。他にも地球の科学で検出できない影響力も木星から地球に来ているのだよ。一説によると地球の黒猫は木星から連れてこられたとも云う。地球の一日の二十四時間に対応できず、黒猫は夜中に目を覚ましたりするというのが、その理由だ。木星は一日が十時間だからね。木星の電波は幸運の電波だという事だろう。木星と土星は、同じような時間で自転している。これは太陽系の惑星の神秘の一つだろう。」
流太郎は、
「木星は寒そうですけど、」
と反論するとドセルノは、
「木星第一の衛星イオには活火山がある。このイオは地球の衛星の月と同じほどの大きさだ。イオの地下にはマグマの海もあるんだ。そこからの熱は相当なものがあるから、木星は暖かい。それに地軸が傾いていないために、太陽光線を直接、受ける。地球人が想像するような世界ではないのだよ、木星は。」
と断言した。ドセルノは付け加えるように、
「イオには標高の高い山もあって、ボオサウレ山脈は1万8千2百メートルある。こういう火山が爆発すれば、その熱量は大変なものだ。」
地球のエベレスト山の倍以上の高さ。太陽系で一番高い山は準惑星ベスタのレアシルヴィアの中央丘で2万2千キロメートル。次が火星のオリンポス山の2万1900メートル。
流太郎は地球にあるものは小さいものだ、と思った。と思ったら窓の外には青い地球があった。
そこが自分の故郷なんだ。康美は、どうしているのだろう・・・?

黒沢と流太郎の二人を降ろすとドセルノの円盤は地球外へ飛び去った。サイバーモーメントの社屋の屋上から透明な膜で包まれたドセルノの円盤は二人には見えなかった。階段を降りた二人は社長室へ入り、黒沢は流太郎に、
「ソファに座り給え。久しぶりの地球だろう。」
と声を掛ける。
座った流太郎は、
「ええ、そうですけど、あの星の陽本と変わりない空気ですし。特に地球に帰って来たという印象は感じません。」
と感慨を洩らす。
 黒沢は手を額に当てると、眼を閉じかけた。流太郎は、
「どうしました?黒沢さん?」
と気遣うと、
「いや、なに土星での暮らしに慣れたものだから、すぐ眠くなる。時差ボケどころではないよ。」
と苦笑する。自分が土星でAVに出ていた事を、まだ流太郎には話していない。そ・う・い・え・ば、自分の性器は土星では地球でとは違ったものに、なっていたような・・・・よく、思い出せない。ただ、AVに出ていた事は、あった気がする。