体験版AV男優・真羅山太資の私性活

 AV男優・真羅山太資の私性活

 真羅山太資(まらやま・ふとし)は、三十歳のAV男優だ。身長は百六十五センチ、体重は七十五キロで小太りな外見だ。AV男優としては中堅だが、逆駅弁ファックを編み出した。AV女優と対面してセックスを行う駅弁に対して、AV女優に背中を向けさせて、後ろからペニスを挿入し、女優の下腹部辺りを抱える。
AV女優は両脚を上げて、宙に浮いた格好になるのだ。これには有名AV女優も、
「ああん、飛んでるーっ。」
と悶えまくったのである。女性器が下付きの女優と行いやすい体位だ。
その体位は真羅山が二十五歳の時、福岡空港のトイレで客室乗務員の女とセックスした時、女はトイレの壁に両手をつけて尻を突き出した。
「このポーズで、したいの。アテンション、プリーズ。」
とハスキーな声で、二十二歳の巨乳の客室乗務員は懇願したのだ。
太資は、
「ようし。このポーズでハメるよ。」
と答えると、女の尻を持ち上げるようにして挿入した。客室乗務員は靴を履いた両足をあげて、
「ああっ、飛行機の中でセックスしてるみたいだわ。」
と乗務員の制帽をかぶった黒髪を乱しながら、太資の野太いモノをぴっちりとマンコで包み込んでいた。ショーツだけ下ろして、彼女は紺色の制服を着たままで、スカートは制服でミニだった。膨らんだ彼女の淫肉の唇は、太資の肉竿をヌメヌメと刺激した。太資は思わず、
「おわっ。」
彼女は、
「アハン、ハアンッ。」
と声を出してしまった。幸い誰も入ってこなかった女便所だった。

 その後で、客室乗務員の彼女、名前は滝上夢代(たきうえ・ゆめよ)は、飛行機に乗るのだ。そのために制服を着ていたのである。夢代のヒップは制服でも隠しきれない大きさで、かなりの男性乗客は彼女の歩いて動く尻を見ていた。その尻の中に少し前、真羅山太資が盛大に白液を注ぎ込んでいる。
そういう後の女性の尻は、淫らな雰囲気を醸し出すものなのだろう。乗客の一人は彼女の尻に手を伸ばしかけたが、自制した。

 この滝上夢代は、それから後、一ヶ月して空港のロビーで真羅山に告白した。
「わたし、結婚する事になったわ。いつまでも客室乗務員なんて、やってられないものね。」
結婚?誰とするんだ、と真羅山の頭の中で思いが彷徨う。
夢代はニカッと白い歯を出すと、
「同じ航空会社のパイロットよ。四十歳だけど、一晩に二回はしてくれるから、太資より多いし、テクニックも上で、わたしのアソコを三十分も舐めてくれたりもするの。
結婚したら毎日するって、言ってくれてるのね。つまり、交渉ね。ここ、ロビーだから、表現は抑えないと。
要するにね、太資よりうまい人だから。」
ガーン、と雷のようなものが太資の頭の中で轟いた。夢代は制服を調えると、
「それじゃ、さよなら。もう、会えないから。」
と言葉を残して、太資の前から立ち去ったのだ。
 正にこの時に太資は、AV男優になる事を決意したのだ。自分は夢代と結婚するつもりだった。それを呆気なくパイロットに持っていかれたのだ。
太資は福岡空港で、航空便の荷物を動かす仕事をしていた。
 その仕事を辞めて上京する事にした。人手の多い今、会社を辞めるのは簡単だった。夢代と結婚していたら、太資はその会社で働き続けただろう。女の影響と言うものは殊の外、大きいものなのだ。
パイロットとセックスを比べられて、別れを通告されるという男にとって屈辱的な場面を経験した太資は、もっとうまくなりたかったし、多くの女とやりたいという気持ちもあった。
そういう思いを秘めつつ、新幹線に乗って東京へ。

 東京についてから昔ならAV男優を募集している事務所を探したりしたのだろうけど、今はインターネットで簡単に探せる。
「AV男優募集」
で検索すれば、いい。
ズラズラと沢山、出てくる。なにしろAVメーカーは、三百社は超える数はあるのだ。
それでも運よく太資は、大手AVメーカーのハメハメカンパニーにサイトのフォームから応募していた。
ハメハメカンパニーは西新宿にあった。高層ビルが立ち並ぶ一角のビルの三階に、AVメーカーとは分からない外観の入り口がある。
ハメハメカンパニーとは通称で、ビルの会社名の表札にはHHCと出ている。
ドアを開けると一人の美形な長身の女性が、受付に座っていた。真羅山太資を見ると、立ち上がって、
「真羅山さんですね。専務が、お待ちかねです。」
と笑顔で個室に案内する。AVメーカーの女子社員は真面目な女性が、ほとんどだ。させ子のような女性は、いなかったりする。
女性がAVメーカーに持つイメージは、男性が持つイメージとは違うという事なのだろう。
ほとんどの場合、女性の体や顔を中心に撮られているのがAVなのだ。
 それにAVメーカーの人達は、優しくて真面目な人が多い。撮影技術もテレビ局に勝るものを持っているのだ。この理由は、こうだ。
映画全盛の時代に優れた人達は映画会社に入った。映画会社に入れなかった人間がテレビ局に入った。
そのうち、テレビが普及すると映画は圧迫され、興行収入も落ちてくる。
普通の映画では生きていけない人達は、アダルトビデオの世界に身を投じるようになり、そこで優れた撮影技術でAVを製作していったのだ。
レンタルビデオ店がAVメーカーの収入源ともいえるだろう。人がお金を払って借りるのがAVであり、タダで見るのがテレビなのだ。
 だからAVメーカーの人達は、優れた映像製作者でもある。
 太資の待つ、すべての壁が白い部屋のドアが開いてHHCの専務、五十代の筋肉質な男性が入って来た。背は高めだった。眼は丸く鋭い眼差しで、
「やあ、初めまして。専務の飯野栄蔵(いいの・えいぞう)と言います。福岡から応募してくれて、ありがとう。最初にね、健康診断があるよ。それ、大体、男優持ちだけど、君は今回はウチで持つからさ。新宿の病院に行って貰います。いい?」
「はい、もちろんです。」
「じゃあさ、今から行ってもらうよ。スタッフに同行してもらう。道川君というアシスタントディレクターと行ってね。」
道川ADが呼ばれて、会社の近くにある病院に性病の有無を検査しに行った。道川は二十代後半の丸く肥った男で背は低い。
「真羅山さんの男優名ですけど、漫湖名眼留(まんこ・なめる)だそうです。」
と細い眼をして道川は、新宿の裏通りで語った。
太資は苦笑いした。これから多くのAV女優のマンコを舐めるのでは、あろうけれども。
 病院では、クラミジア、HIV、淋病、梅毒、そして性病とはいえないが、B型肝炎でないか、どうかを調べられた。
道川は検査結果を貰って、
「陰性でしたよ。つまり、安全でした。これで撮影には入れるな。」
と太資に話した。
このようにAV男優になるにも健康診断が必要だったりと、昔のように簡単には、なれなくなっている。
それでも昔と違ってインターネットで登録はできるし、まるで派遣の登録みたいだが、AV女優とガンガンやれるし、マンコも舐め回せてギャラも貰えるのだ。初回の絡みから、いい仕事をしたと監督に認めてもらえれば五万円は貰える事もあるらしい。それは、メーカーによって違うだろう。

 真羅山太資の場合、汁男優からではなく企画ものの撮影から始まった。
恋人を失った男
というもので、恋人をなくした男性宅をAV女優が訪ねて行って、セックスをするというものだった。撮影は社内にあるスタジオの個室で、おこなわれた。
椅子に座り、落ち込む漫湖名眼留。その時、玄関のチャイムが鳴って、名眼留が開けに行くと、
社長秘書のようなAV女優が立っていた。
「こんにちわー。なんか落ち込んでませんか?わたし、そんな貴方を助けたいんです。
救済AV企画、恋人を失った男というものを、やってるの。わたし、春野桜姫(はるの・さくらひめ)っていう名前でーす。」
白いスーツの上下の桜姫の体は、出るところが出ている他は痩せていた。それで、腰のクビレが凄い。
白々しく思いながらも太資は、
「ええーっ。夢みたいだな。おれ、彼女を失ったんだ。」
夢代の事を思い出しながら、寂しそうな表情をする。なかなかの役者だ。俳優などは現場で監督に指示されて思い出しによる演技もする。太資は自分でやっているから玄人裸足で逃げ出す、というものだろう。
春野桜姫は美巨乳を誇示するかのように、白スーツの上着を脱ぐ。白シャツも脱ぐと白いズボンも降ろした。
立ち上がった太資の目の前に、桜姫のブラジャーに包まれた、たわわな乳房があった。それは乳首の透けてみえるブラジャーだった。ツン、と突き出たピンクの乳首を太資はブラの上から吸う。
「ああっ。うまいのね。」
桜姫は頭を反らせて、気持ち良さそうだ。桜姫の睫毛は長く、股間のショーツの陰毛も長そうだ。
彼女の乳首を吸いつつ、太資は服を脱いでいった。
結果として、太資は全裸、桜姫は下着姿だ。すぐに太資は彼女の下着をブラジャーから外す。
彼女の股間のVゾーンは、黒々とした長い陰毛がその下の閉じた淫唇も隠していた。太資の指は彼女の膨らんだ淫唇の合わさった割れ目を、ゆっくりと辿る。
「ぁー、はぁーん。」
と声を出して彼女はビキニで日焼けしていない尻を揺らせる。太資の肉茎は蛇が鎌首を持ち上げるように上に立ち上がる。
 その時、監督の声が、
「はい、次は真ん中に置いてあるトランポリンに行って、乗る。そこで、跳びながら合体。」
と指示した。
二人は腕を絡ませつつ、トランポリンまで歩くと裸の彼らはトランポリンに乗り、ディープ・キスから太資のモノを立ったままハメて、二人で跳びはねる。
「ぁん、ぁん、ぁぁぁっ、あん、おまんこ、一番気持ちいいのーっ。」
と桜姫は、しまいには両脚を太資の尻に巻きつけ、両腕を彼の首に回して、ぶらさがり、マンコは太資の硬い肉茎を咥え込んでいる。脂肪のついた桜姫のマン肉は気持ちよく太資の肉砲に絡んで締め付けた。
彼は気持ちよくなり、
「あっ、出る。」
と叫ぶと、空中に二人が跳んだ瞬間、精も放っていた。降りた時、彼は膝をついて桜姫の大きな乳房が彼の胸に押し付けられた。
監督が満足気に、
「よし、いいぞ。トランポリン・セックス、うまくいったね。」
と二人を慰労するように声をかけた。

 ハメハメカンパニーでは、マンネリ化したAVを打破するために新企画を考案中だ。企画部の羽目田育造(はめた・いくぞう)は、三十五歳の独身男、だからというのか、今もAVに夢中なのだ。一応、百人斬りは達成している。
ハメタ!イクゾウの新宿ナンパ実録
という企画モノでは自ら主演していた。そのシリーズで、ある大企業の専務の娘を引っ掛けてハメ撮りに成功したのだ。
彼女は二十五歳、あと一ヶ月すると某財閥の長男との結婚式が控えていた。自分の望みというより、親に用意された結婚らしい。
瓜実顔の彼女は大きな眼を開いて、
「乗り気の結婚じゃないけど。」
とインタビューで答える。
羽目田は中背で、痩せ型だ。画面に顔は出ないが、
「じゃあ、好きな人が他にいるのかな?」
と尋ねる。
「いるけど、その人も又、親の勧めている相手と結婚するのよ。」
「なるほどね。それで、このAVに出ようというきっかけというか、動機と言うかな。それは?」
彼女は微笑むと、
「別れる彼はAVが好きなのよ。それでわたしが出ているのを彼が見ることがあったら、面白いなって。」

東京を下に見ながらのセックス、というAV撮影が羽目田育造と、その令嬢、飯名レ美(いいな・れみ)とで行われた。
ヘリコプター二名貸切で、五万七千円弱という料金だ。(2014/04/09現在)
所要時間は二十三分程度である。七日前の予約で、なんとかなった。ヘリコプターの機体価格は五千万円前後なので、お得な料金だろう。
R44という機体で、最高が時速190キロ、航続時間は三時間二十分、航続距離は592キロメートル。
高度限界は4270メートル。というヘリコプターで東京へリポートから羽目田と飯名は空へ舞い上がった。
東京へリポートは江東区新木場四丁目にある。
操縦士は後ろを見ないのだ。二十分の短い時間で、カメラは座席に置き、横からの撮影だ。
バタンバタンバタン、
とヘリコプターの羽が回り始めるとフワッと空へ昇った。レ美は羽目田の膝の上に跨り、羽目田は彼女のスカートの中に手を入れてショーツを膝頭までずらした。擬似セックスなどは昔のAV、それと現在も芸能人専門レーベルでは時々、行われている。が、それでは面白くないので、羽目田はコンドームさえつけずに、やる。
だから、彼がズボンのファスナーを下げて、パンツから長大な陰茎を取り出しても、ゴムはつけなかったのだ。
「レ美ちゃん、いくよ。」
「うん、入れてー。」
大股を開いて羽目田に跨っているレ美のスカートを上げると、彼女のほどよい陰毛とその下のピンクの股間口が開いているのが見えた。モザイクはあとでかけるが、羽目田の眼にはレ美の淫口は男の男根を欲しくてしようがない、という形状をしているように見える。
たまらずに大きなレ美の尻を両手で引き寄せて、合体結合した。高度は一キロ位まであがっている。
レ美の顔を羽目田は横に向けて、眼下の風景を見させる。彼女は、
「ああン、まるで天国ね。羽目田さんの、大きいわ。あっ、ァ、アアッ。」
と令嬢の慎ましやかな悶え声は、それだけでもオナニーで抜けそうだ。レ美は軽く大きな尻を動かしている。
ブルルルル、と羽の旋回音が二人の耳に響く。
レ美の大きな胸を赤の上着の上から羽田は揉んだ。
「アフン、ウン、イイ。」
髪を振り乱してレ美は、のけぞった。ヘリコプターは左に曲がりながら飛行する。
羽目田はレ美の上着を脱がせてブラも外して、お椀型の乳房の硬くなったピンクの乳首を吸ってやると、眼を閉じて眉をしかめたレ美は、
「感じるわ。空の上で、アアーッ、もっと、チンコでこすってぇー。」
と叫ぶと、羽目田の首に手を回した。お嬢様がヘリコプターの座席で男に跨り、白い両足を大きく広げている。その脚は、やがて羽目田の尻に絡まり、強く締め付けた。
「あっ、あっ、オマンコ、とろけそうよぅ。いくっ、いくっ。」
とレ美は顔を赤くして、よがりまくった。口をポカンと開いて、赤い舌を出すと、
「いくわー、あっ。」
と悶えて、だらーんと体を伸ばした。失神したらしい。二十分は早く過ぎる。躾よく育てられた令嬢の乱れた姿は一部の男しか見られなかったわけだが、AVで何人かは撮られてきたとはいうものの、今回の飯名レ美は最高の女性だっただろう。普通、こういう令嬢はAVどころかテレビにも出たがらないのだ。
レ美の彼氏の事情で出演してくれて、青い大空でピンクの乳首を立てて失神したのだった。

 羽目田育造も又、福岡県福岡市の出身だ。それで真羅山太資をもっとメジャーにしたがった。漫湖名眼留の芸名も有名にしてやりたかったのだ。
ハメハメカンパニーでは芸能人などを使う事は、一切しない。女優、タレントなどの知的レベルの低い女のセックスなど今の時代には見られる事もない。そもそも女優などという職業の女は台本を読むのがいいところ、の頭の中身のお粗末な連中だ。
こういったのがテレビなどに出て、企業も自社のCMに出したりしてきたわけだが、おたくの商品って、あの馬鹿女優程度のものなのかね、と識者には見られているわけだが、馬鹿企業はそれにはお構いなく、大勢の消費者にアピールできれば、と思っている次第だろう。
そもそも銀幕だのブラウン管に写ってきた女優など全てオツムのレベルの低い女である。
脚本を読むのが精々の頭であるのに、それ以上の事をさせる奴等が結構多い。
インターネットの時代になり、こういった馬鹿女優を追う人達も大いに減ってきたのだ。

 さて、ひるがえってAV女優とは、そもそもの初めから知性の高い女性が登場していた。国立大学生や国立大学院生という極め付きの女性も出演していたのだ。というのは、ご存知だと思う。
テレビ、映画の馬鹿女優など見るよりもAV女優を見る方が、知性の高い女性を見る事になるので、ためらわずにダウンロードやネット通販でDVDを買うべきだ、といえる。
真羅山太資も又、電子書籍を熱心に読んでいる。
「ちんこ立ちぬ」
という森建夫(もり・たてお)という人の書いた小説だ。

私は恋人を油山という福岡市の南にある療養所に訪ねた。もう二年も彼女は肺の病気で悩んでいるのだ。いい薬はあるのだが、高価なため実家の貧しい彼女は最低の治療費しか出してもらえなかった。もう二十になる彼女は、それでも胸は成長していた。
六人の相部屋に彼女は、いたのだ。みんな、もちろん女性ばかりで彼女の他は、おばさんばかりだった。
看護師に案内されてドアを開けた私を見たのは彼女、そう、郁埜(いくの)だった。
彼女は寝ていたが半身を起こして、
「来てくれたのね。わたし、あなたが来てくれると思ってた。」
と嬉しそうな顔で私に話しかけた。それは自分には意外だったのだ。
「本当かい?君は僕のことなんて軽く見ているのかな、と思っていたよ。」
「そんな、わたし、他の人には興味がないの。どうして、二年も訪ねて来てくれなかったの?」
「それは、ぼくは東京の会社に入社してしまったんだ。だから、福岡に戻る事は出来なかったんだよ。」
「そうなの、それなら来てくれなかったのも仕方ないわね。東京って、ゴホッ、ゴホッ。」
彼女は頭を前に傾けて咳き込む。私は、彼女に駆け寄ると、
「大丈夫かい?」
と声をかけて、彼女の肩に手を置いた。柔らかい気が自分の指に伝わってくる。右手はスルッと滑って彼女の胸に触ってしまった。
「あ、はっ。」
と彼女は声を出した。
「ごめん、手が滑ったんだ。わざとじゃ、ないよ。」
慌てる私に彼女、郁埜は、やつれた、つぶらな瞳を私の眼の中に向けると、
「感じてしまったわ。わたし、肺の病気なんだけど、おっぱいは二年で大きくなっちゃって。」
と照れたように言う。
「そ、そうだね。君とは高校の卒業式の時、以来だから。」
私は病室内を見渡した。今の彼女の反応を聞かれただろう、と。
だが、私の眼に映ったのは熟睡している五十代から四十代の主婦らしき人達で、さっきの郁埜の性の反応には気づかなかったらしい。
で、私のちんこは立ってしまっていたのだ。もちろん、半立ちだったが。
ちんこ立ちぬ、と私は頭の中で、その言葉を反芻した。
郁埜は顔を赤くして、うつむきながら話すのだ、
「なんか、感じたの?だって、あなたのズボンの股間のところ、膨らんでいるもの。」
「えっ、そうなのかい。ばれたら、しょうがない。でも、半立ちだよ。」
「それってさ、わたしの胸に触ったから、かしら?」
「だろうねえ、君の胸ってプリンの大きなものみたいだ。」
彼女は潤んだ瞳を二つ、私の方に向けると、つまり、顔全体も横向きにして、
「このまま、死んでいったら、セックスもできないのね。」
と大胆な事を言ったのだ。私は、ドギマギしてしまった。東京でインターネットの会社に勤めているが、サポートデスクで働いていて、外回りではないから未だに東京の人間にはなっていないと思っている。
「そ、そんな事ないよ。ぼくが、いるからさ。」
高校の頃の憧れの彼女だった。卒業して短大に進むも、肺結核で入院して未だに治らないという現代では珍しい症状だという。
病室にいる女性は全員、肺癌だそうだ。それも手遅れで治らない人達だという。そう、郁埜は話した。
「だからね、もう、このおばさん達は一日中、寝てるの。わたし達が何しても気がつかないのよ。」
そう話した郁埜の顔の色っぽい事といったら、なかった。大きな眼に、額を隠した長い髪、ほっそりとした首すじ、狭い肩、その下の小さなメロンのような二つの乳房は私以外の男性は触った事がない、と彼女は言う。
「自分の手で乳首をつまむ事もあるの。病気なのに性的発育とか感覚はあるのね。わたし、死ぬ前にセックスしたいな。」
「死ぬなんて事は、今は肺病ではないんだよ。癌でない限りは。」
と私は彼女を励ました。半立ちは収まりつつあるようだ。
「あら、ちんこ、小さくなったのね。だめよ、立たせていてほしいの。」
郁埜は柔らかで細い右手の指で、私の股間を触った。彼女の手からも柔らかな気が立ち上っていて、私のズボンの下の肉欲の道具にも浸透してきた。
「うふ、立ってきてる、立ってきてるわ。ヌンチャクを握っているみたい。」
そうなのだ。彼女は空手五段という、すごい女の子だ。それで美しい顔をしているのだ。高校三年生のときにも下校時に四人の男に襲われたが、いずれも蹴りの一撃で倒してしまい、しかもそれは男の股間の急所のために、全員が性的不能者になったという。
「郁埜さん。全部立ってきたよ。」
と私は告白した。彼女は軽く私の肉欲の棒をしごいて、
「ちんこ、立ちぬ、なのね。もしかしたら、わたし、肺がんになって死ぬかもしれない。だから、今、経験したいのよ。」
きりり、とした決意の眼で私を郁埜は見たのだ。
看護師は三十分の面会時間を許した。あと二十分ちょっとだ。
窓の外は一面の緑の林が見える。標高四百メートルのこの場所で、郁埜とセックスする事になるなんて、東京駅では思ってもいなかったのであった。
「ねえ、キスして。」
と郁埜は言うと、長い睫毛を伏せた。私は夢中で憧れの郁埜の唇に自分のものを重ねたのであった。ああ、滑らかで、おいしい。私は郁埜の細い肩を丁寧に抱くと、キスを続けた。郁埜も両手を私の首の後ろや、背中に走らせた。
憧れだった彼女を抱き、キスしただけでも私は良かったのだ。何故なら、私は東京に恋人がいた。それも同じ会社の一つ上の女性で、私のデスクの横でサポートをしている。ただ、彼女とは喫茶店でコーヒーを飲んだりするだけの関係だったが、なんとなく結婚を意識するような女性なのだ。それでも、今、郁埜を、ほっておく事はできない。彼女は死ぬのかもしれない、という予測も私もしたのだ。こんなにも長く肺結核を・・・
ピンポーン、と真羅山太資の部屋のチャイムが高らかに鳴った。
太資は電子書籍リーダーをノートパソコンの横に置くと、
「はーい。どなた?」
と風呂上りのガウン姿で玄関に立つ。
小さな穴のガラスから見ると、二十歳かと思える若い女性がミニスカートで立っている。
若さに満ちたその姿は、チラチラと見えそうなスカートの下のショーツが気になる。
思わず鍵を外して、ドアを開けると、
「こんにちは。今日は、お仕事、お休みですか?」
実は夕方六時から撮りが入っているのだが、
「そうね、今、いいよ。」
と太資は答える。その女性は笑顔で、
「わたしたち、使用済み下着の訪問販売をしています。もちろん、一人暮らしの男性にターゲットを絞ってますけど。」
と説明して、右手に持っている大きな黒いバッグを持ち上げてみせた。
「なーるほどねー。でも、おれ、あまり興味ないなー。」
と太資は拒否してみせた。どう反応するかを楽しみに、である。果たして女性ミニスカート販売員は食い下がってきた。
「そんなこと、ないでしょ?オナニーのおかずにもなりますよ?」
「あんた、よくそんな恥ずかしい事、言えるね。」
「だって、仕事ですから。それに今は昼の二時で、このマンションのこの階は誰もいませんよ。」
「そうだろうけどさ、で、いくらするの?それ。」
「ありがとうございます。ブラジャーとショーツ、のセットで五万円です。」
「五万円、って、高いね。」
「その代わり、都内の高級デリヘル嬢のものですよ。そのデリヘルの電話番号とサイトのアドレスも書いてある紙も、ついてますから。それと、その高級デリヘル嬢の写真も。」
デリバリーヘルスと提携しているようだ。
「それを買ったら、あんたとやらせてくれるか。」
「いいえ。そういうサービスは、しておりません。」
「そうだろうな。よし、五万円で買ってやろう。」
「ありがとうございます。本番はしませんけど、サービスとしてミニスカートの下のショーツには触っていいです。」
太資は部屋に戻って財布を取ってくると、金を払って商品を受け取り、彼女のミニスカートをめくると、透けたショーツの淫らな割れ目を指でなぞった。
「アアーン。はい、さようなら。」
乱れた顔を元に戻して、その若い女は走っていった。
 茶色の袋に入ったものを太資は取り出してみる。紫色のショーツとブラジャーが出てきた。その下着からは香水の匂いと、女の匂いが漂い流れた。それは太資の鼻腔から鼻の奥に入ると、マグマのように彼の脳髄に浸透していった。
(高級デリヘル嬢のマンコを覆っていたショーツだ。一度、ショーツになってみたいものだ。)と太資は思う。自転車のサドルになってみたいなどとは、物足りなさ過ぎる思いだろう。
考えてみれば、この紫のショーツは彼女が風呂にはいる時、便所で用を足す時、男とセックスする時、以外はいつも高級デリヘル嬢のマンコに接しているのだ。
袋からは一枚の紙が出てきた。それと写真だ。長髪のモデル体型の女性が写っている。この下着の持ち主だった女性だろう。二十二歳くらいに見える。全身が写っているが、脚も長く、胸と尻は程よく張り出している。その紫の下着を身につけた写真で、ショーツはマンスジが浮き出ている。
ブラには乳首が突出していて、紫の色は不思議な性欲を昂進させた。太資はズボンとパンツを脱いで、紫のショーツを履くと、すぐに淫肉茎は充実したのだ。
(おおっ、彼女のマンコがあたっていたところに、おれのチンコが触れている・・・)麝香のような匂いの中で太資はマスターベーションしてしまった。
その紫のショーツの外側にそのモデルの陰毛が一本、付着しているのを見た時、彼は反射的に射精していた。どっぷりと白濁液を吸い込む紫のショーツは、まるでそのモデルの淫門であるかのようだ。
いかにもモデルらしい取り澄ました美形の女、彼女の紫の下着を誰か男が見たり、外したりしたのだろうか。
フェチというのも単に見るとかよりも、そのものに触るとか、身につける方が楽しいはずだ。
昔の文通などは手紙フェチといえるだろう。相手の女性の指、手の側面部や底のあたりは便箋についている。これを受け取った男は、その便箋に触るので感じるものもあるだろう。
実際に「気」が、ついていて、それが男の陰茎を刺激する事もある。香水がついている事もあるだろう。太資の場合、モデルのマンコがついていた部分に自分の肉茎を接触させたため、すぐに感応してしまったのだ。
ネット通販で使用済み下着が密かに売れるのも、単なる物体ではないという証拠だ。その女の淫門が長い間、ぴったりとくっついていたものは女の気が付着しているのだ。
ネット通販でも可愛い女性が顔を出して売っている、それはその女性が使用していたショーツやブラに価値を認めて売っている。ラブドールより価値があるといえる。
太資が気がついた紙には、その高級デリヘルのサイトのアドレスがあったので、さっそくアクセスすると、
写真のモデルは口を手で隠していたが、掲載されていた。アラビア人女性のような顔だ。
ここで電話して、その女性を呼んでも平凡で、つまらない。そう太資は思うと、彼女の紫のショーツを洗濯機に入れて、次は紫のブラジャーを鼻に当てて匂いを嗅ぐ。
レモンのような匂いさえ、感じられた。又しても陰茎は立った。太資は紫のブラを鼻に当てて、匂いを嗅ぎつつ、陰茎をしごくと気持ちよかったのである。
でも、射精は・・・近くのコンビ二の女とコンビ二の便所でゴムをつけて射精する。それが、もっと気持ちいいのだ。コンビ二にも客の少ない時間帯というのがあって、女子学生、主婦のバイトも店内掃除をしたりしている時がある。
太資は何度も買い物をして顔なじみの女子大生が便所の近くにモップを持って行った時に、歩き寄って、
「男子便所の調子が悪いんだ。見てくれないかな?」
と話すと、肉感的な学生店員は、
「え?わたし、わからないので店長を呼んできます。」
「いいから、入って見て見てよ。」
と太資は、女子学生を男子便所に連れ込んだ。便器のレバーを引くと太資は、
「あれ、流れたよ。」
「じゃあ、問題ないんですね。」
と太資から十センチ離れた女子学生が話す。
「いや、問題は、おれの陰茎なんだ。ほら、」
女子大生の手を握って、股間を触らせた。もっこりとズボンの布は、ふくらんでいた。
「きゃ、何するんですか。」
と女子大生は声を出す。
「君の体に感じて立っている。だから、ハメさせて欲しい。」
太資はコンビ二の制服の女子大生を抱きしめると、勃起したモノは女子大生の陰毛の上あたりに当たった。
女子大生は眼を薄目にして、
「仕事中です。ゃめてくダサイ。」
とちいさな声で少し抵抗する。太資は、その口を自分の口で塞いだ。
女子大生は、うぐうぐと口の中で音を出すが、太資の舌の侵入を受け入れると、自分の舌を絡めてきた。彼女の制服のズボンの下はショーツしか身につけていなかった。そのショーツも下にずり下げて、太資は自分のズボンのベルトを緩めて、下に落とすと、パンツを下げて肉砲を彼女の割れ目に向ける。少し太資は腰を落とすと、彼女の縮れた陰毛の下の肌色の縦の唇に、自分の腰を持ち上げると共に野太い陰茎を挿入した。
「あはっ・・・・。」
彼女が感じた声を出したので、慌てて口を手で塞ぐと、気持ちよく締め付ける女子大生のマンコを堪能して、コンビ二のトイレで太資は腰を振り続けた。
女子大生の上半身はコンビ二の制服を着たままだ。彼らの下半身は結合している。くちゅ、くちゅ、と太資の男根が抽送される度に淫らな音を彼女のマンコが発した。
彼女は眼を閉じて、口を開くと赤い舌をチョロ、チョロと出したり引っ込めたりする。
彼女は、
「成人確認の画面のタッチを、お願いします。」
と、うわごとのように声を出す。太資は、腰を振って、女子大生の大きめのマンコに深く入れながら、
「ここか。タッチするよ。」
と言いつつ、彼女の右胸に右手でタッチした。
「あン、ありがとうございます。」
と笑みを浮かべると、彼女も大きな尻を軽く振り始めた。

彼女の中に思い切り射精すると、陰茎を抜いて、コンビ二のトイレのティッシュペーパーで彼女の膣周辺を拭いてやった。
二人とも下半身だけの脱衣だったので、元に戻るのは早い。ショーツを上に上げて履く、女子大生は色っぽかった。
彼女の名札は美滝と読めた。

ハメハメカンパニーに困った事が起きた。それは、ある日、一人の女性が訪ねて来た事から始まる。彼女は未成年だが、十八歳だ。でも、十八になったばかりで高校生では、ある。
髪は腰まで伸ばして、ミニスカート。身長百五十七の彼女は、美乳と推定される形を上着から見せていた。今風のコピーライトでは、魅せていた。いや、魅せすぎていた、といえるだろう。
最近のダイエットブームは、本当に女性の美である豊乳、巨乳を亡くしつつある。テレビなど見て、やせ細ったクソ女優やゴミタレントのガリガリの体に憧れるからよくない。
そんな、できそこないの見世物女に憧れてはいけない。大きな胸を失うのはダイエットだ。
ハメハメカンパニーに現われた彼女は、インターネットはするがテレビは見ないという。
白いソファに座った彼女は、
「わたし、水名月照香(みなつき・てるか)って、いいます。高校に行きたくないです。もうやめて、AV女優になりたい。」
と話すのだ。専務は、
「経験は、あるのかな、男性の。」
と向かいに座って、質問すると、
「一人だけでした。彼、工場に勤めていたけど、東区のね。AV男優になるといって、東京にいきました。」
「連絡は、取れないわけだね。」
「取れたら会いに行きますよ。わたしもAV女優になれば、会えると思って。」
「なるほどね。確かにAV女優は多いけど、AV男優は少ないからね。でも、女優が多いから、いきあたるとは限らないよ。」
「そっかぁ、そうですね。どうしたら、いいのかしら。」
「高校卒業して、おいでよ。」
「もう三ヶ月も休んでいるんです。うちには携帯電話で連絡して、東京にいるって話していますから。好きにしていいって、ホテルにブラックカードを送ってくれました。」
専務は面食らった顔をすると、
「どういう家庭なの、君の家。」
「ん、敷地は五百坪しかないけど、ヘリポートとヨットも博多湾につないでます。東区の海に近い家ね。」
いかにも金持ちのお嬢さんらしい。ブラックカードがあれば、ホテルはスイートルームに無料でランクアップしてくれるらしいではないか。
「今、泊まっているのは、ホテルのスイート?」
「もちろんじゃありませんか。カードは使わないと、損ですよ。」
専属のデスクがいるブラックカードの保有者だとは。
企画部の羽目田が専務の横で聞いていたが、
「専務、なんとか彼女の彼を使いましょう。」
と申し出る。
「そうだねー。彼の写真とか、あるの?」
水名月照香は携帯電話を出すと、画面を操作して二人に見せた。
「この人ですけど。」
そこには、いかにも工員風の若者が写っていた。が、専務と羽目田は途方に暮れた顔をした。
専務は、
「私の知る限り、見ない顔だね。AV男優になってないかもしれないよ。」
照香は、
「それじゃあ、どうしたらいいのかな。あ、でも彼はAVが好きなんです。彼の部屋で二人でAVを見た事もあります。現役女教師の四畳半セックスとか。」
あっけらかんと彼女は打ち明けた。それは大学院卒の大学講師を四畳半の部屋で、十二時間
犯しまくるというものだ。
専務は指を鳴らして、
「それ、うちのだよ。漫湖名眼留の出ているものだね。」
漫湖名眼留、真羅山太資は四畳半の薄暗い部屋で、その二十四の女講師をまず、四つん這いにさせて後ろから挿入した。意外にも大きな彼女の尻は艶々としていた。太い漫湖名眼留の陰茎を迎え入れた彼女のマンコは、陰茎を包むように張り付いている。その上には皺のよった尻の穴が見えている。
東京の下町の民家で古いため、空き家となっているのを借りて撮影したもので、昼の一時から夜中の一時まで食事以外は撮影された。もちろんトイレの休憩もあったが。
風呂も二人で入った。こうやって撮影していると、その女講師も打ち解けてきて恋人同士のセックスのような雰囲気に近いものを盗撮しているようだ。だが、女講師はAVである事を忘れない、それは出演してお金がもらえるという事。この意識が二人の絡みを面白くさせる。
ハメハメカンパニーとしては高額の八百万円を彼女に払うのだ。
太資の陰茎の抽送に恥ずかしげに揺れていた女講師の白い巨臀も、やがて淫らに自分で挑発するように動かし、
「いい、いいっ、いいわあんっっっ。く、ふう。はっ、あっ、いきそうよっ。」
と静かだった知的な顔が快感で歪んでいる。大きなレモンのような乳房は、ぷるん、ぷるんと振れている。漫湖名眼留は、彼女の乳首を両手の人差し指で撫で回した。
「あっ、うふん、乳首立ちそうよ。ああっ、はあっあっ。感じすぎる、いいっ。」
と髪を振り乱して乳首を硬直させていった彼女の顎に手を当てて名眼留は横を向かせると、自分も左に顔を向けてキスした。すぐに二人の舌は絡み合った。カメラは据付で、二人の他にはいないのだ。
彼女の尻の辺りに自分の両手を後ろに伸ばしている手を名眼留も両手で握ると、柔らかく彼女の指が絡まって、舌も更に絡ませてくる。
聡明な女とのセックスほど気持ちのいいものはない。普段とは違った彼女の顔はもちろん、服の上からは想像もできないイヤラシイ乳房や尻、そしてマンコの花びらを見るだけで、すぐに名眼留は陰茎を天に向けていた。
学問一筋だった彼女は今、花びらのようなマンコで名眼留のどす黒い陰茎を咥え込んで離さない。横に広がった彼女の尻は、ユサユサと色っぽく揺れている。それを名眼留の両手はムズッと掴むと彼女は、
「はぅぅ。あぁぁぁ。」
と息を荒くした。知的な彼女の横顔が、性の快楽を味わう表情を見せる。そこに初対面で見た彼女の顔との大きな開きがあるからこそ、余計色っぽさがある。すぐに遊びに応じるような顔の女性のセックスは、その変化のなさからも面白みはない。
名眼留の右手は彼女の臍の穴に入った。
「ああああっ、やーっ。うん、あぁ、はん、うぁぁ、うぁぁ、ぁふっ、はっ、ぁっ、やぁん、ぁん。」
と二つの穴に男の体が入った感覚を気持ちよくヨガリ続ける彼女の声と裸体は、性を職業とする女性も及ばない淫靡さがある。時々顔を上に上げては、口を開ける動作も恥女よりも艶めいている。
彼女の声は、名眼留の勃起を持続させた。名眼留は彼女の臍の穴に右手の人差し指を出し入れする。それと同時に自分の陰茎の運動も連動させるのだ。そして、左手の人差し指を彼女の尻の穴に当てた。
「いゃん、ゃんっ、いいっ、だめ、そこは、はあーっ。」
と大きな声を出した彼女は、ますます淫らに体を揺らせる。これで三つの穴に名眼留は、自分の肉体を埋め込んだ。こうしていると、まるで楽器を弾いているようである。よく女性の体は楽器に例えられるけれど、名眼留は幻の名器を弾くように彼女を愛撫した。
 「ぁぁぁぁ、はぅ、ゃぁぁ、ゃぁん。」
とヨガル彼女の声はしかし、楽器と違って男の欲情を倍化させるものだ。甘えるような悶える声は、名眼留の淫茎をとろけさせそうにした。
「出るよ、もう。」
「まだ、早いわ。十二時間、持たせてーっ、はうんー。」
四十分は彼女の悶え声も連続したが、名眼留の腰は彼女の中に発射するように脳からの指令が伝達され、
「うっ、うう。」
と小さく声を出すと、彼はピタリと彼女の淫唇が挟み込んでいる陰茎の先から勢いよく欲液を噴射させた。
彼女は自分の乳房を掴んで、のけぞった。そして、ガクガクと巨尻を震わせたのだった。

 こうして後、十一時間は知的美人との愛交は続くのだが、それを水名月照香は全部、見たらしい。
「彼と一緒に全部、見ましたよ。彼の部屋で。」
と得意そうに照香は話す。専務は、
「ありがとう。でもね、あの美人講師には八百万円も払ってるんだ。」
照香は驚いて、眉を上げた。
「そんなにも、ですか。でも、あの女性は綺麗でしたね。安いのかも、ですね。」
と受け答えする、照香の声には{わたしだって、綺麗でしょ?}という響きがある。
照香にも清楚な雰囲気がある。工員の彼がいた、なんて思えない。羽目田は、
「君さ、あのビデオの男優と絡んでみたくないか?」
と提案すると、照香は、
「いいですよ。二人目の人がセックスのうまい人だと、いいな、って。思ってたの。」
専務と羽目田は眼を見合わせて、やれやれ、という顔をした。という事で、水名月照香のデビューを決めてはみたものの、専務には絵が浮かばなかった。まだ高校生の雰囲気もある。それも、マズイ。
それで、水名月照香をひとまずハメハメカンパニーの社員にする事にした。照香は、それを聞くと、
「うわあ、社員にしてくれるんですか。今、まだ就職難の時代です、働けて嬉しい。」
と喜んだのだ。
ハメハメカンパニーには来客もある。大手レンタルビデオ会社の社長が来る事もある。そんな時、照香はコーヒーを持って、応接室に置いていく。はっきりいって、それだけで枕営業などはHHCではしないのだ。それが意外でもあろう。
清純が売り、そうな芸能プロダクションでは枕営業をすることもある。枕営業とは、もしかしてご存じない方のために説明すると、女性の肉体接待の事だ。男性の接待もあるのかもしれない。その場合は尻の穴を提供するか、陰部の提供だろう。が、あまり耳にしないものである。
 事務員のような雑用だけでは、もったいない。照香は撮影現場にも、ちょくちょく顔を出させられるようになった。
照明を当てる仕事の手伝いも、させられた。AV撮影では照明は大事だ。光を当てる事で、性交中の女性の顔を変えることができる。
アメリカと日本では、ポルノムービーの現場は違っている。それを羽目田は近づけてみたかった。
まさか、そのまま真似するわけにはいかない。何故ならアメリカでは、男優、女優は麻薬など吸いながら撮影にのぞむという。
 それで、別の方法でやってみるのだ。
照香は現場で見ていると、男優が挿入してAV女優が、
「ヒイイィィィ。」
と声を上げた。そのAV女優は、あまりの刺激のせいか眼に涙さえ浮かべているのだ。それは今までのAVでは見られなかった女性の表情だった。
「ぁぁぁ、いっちゃうぅぅぅ。」
絶頂の叫びを上げて、彼女はイッた。ベッドの上で大きく股を開いて。股間の割れ目はヒクヒクッ、と痙攣していた。
照香はそれを見て羽目田に、
「何か、したんですか。」
と不思議そうに聞く。羽目田は、
「ああ。男優のコンドームの外側にメンソレータムを塗ったんだ。効いただろうな、オマンコに。」
と答えた。

 ぶらさがり健康法というのがあるが、それに似た、ぶらさがりセックスも撮影された。
真羅山太資=漫湖名眼留が鉄棒にぶら下がり、そこに対面で女性がかぶさって自分で名眼留の一物をワギナに入れ込むというものだった。本当に掴まると名眼留は耐えられないので、彼より背の高い女優が膝を曲げて挿入させて、脚を伸ばすのだ。AV女優は脚を地に着けている。

 女子体操選手だった二十歳のOLがAVに出演したくて、やってきた。漫湖名眼留も男子体操選手の格好をして撮影が始まる。
その女性は赤の体操着を着て平均台の上に立った。体操着の股間は抉られたように開いている。黒い恥毛はモロに見え、彼女が平均台の上で片足を高く上げるとオマンコ丸見えとなった。そのポーズで静止したところに名眼留が平均台に登って、これまた股間の開いた短パンから鉄のような肉棒を突き出して、彼女に近づき、彼女の尻を片手で抱いて元女子体操選手のマンコに分身をハメていった。彼女は両手も上に上げて、
「あはーん。十点です。」
と声を出した。
 彼女は現役時代、特に平均台での演技中に観客の男性の視線が自分の股間に集中するのに感じて、演技中にマンコを濡らした事もあったらしい。

 ハメハメカンパニー、HHCは都内の小さなスケート場を夜に貸切にさせてもらった。
今年、2014年は日本の男女で世界フィギュアスケートを制覇する快挙もあったが、HHCではスケート場で滑りながら裸の男女がセックスする映像を撮った。もちろん合成なしである。
 女優はフィギュアスケートの選手だった女性で、下手な漫湖名目留の滑走を助けて、滑るのだ。
手を繋いで五十メートルほど滑った後、勃起した名眼留の肉茎は氷の上で元女子フィギュアスケート選手のピンクの縦裂の秘部に入っていく。
「あーっ。」
氷の上を滑りながら、髪を振り乱して彼女は乱れた。彼女の誘導で回転しながらの滑走、秘部を結合させたまま片足を上げて滑るなどのシーンもある。寒いので滑りながら彼女は、全裸の柔らかい乳房を名眼留に押し付けた。そして名眼留と結合したままキスしての滑走。ふたりの裸の尻は淫らに揺れていた。
二人は万歳した格好で片足をそれぞれ上げて滑りながら、名眼留が
「出すよ、」
と声をかけて陰茎を抜き、滑りながら彼女の白い腹部に腹射した。余裕があったので小さめの彼女の乳房に胸射もした。白い氷の上を手を繋いで滑りながら、名眼留の白い液体は彼女の腹と胸に飛び散ったのであった。
「ぁぁぁ、イヤッ。」
と、よがった彼女の吐く息も白かった。

 水名月照香はビキニになってもらって、股間の開いたものだが、撮影した。もちろん、ボカシは入れられる。ボカシのない照香の陰唇はチューリップのつぼみのようだ。
髪は、おさげにして胸と下のパンツ部分が離れたところは、白い肌に彼女の臍が見える。脂肪のつき始めた脚はスラリと牝鹿のように長い。
魅惑する西洋人的スタイルだ。美乳と巨尻な彼女である。
Tバックショーツも履いてもらった。十種類のTバックショーツ、それは男女兼用タイプで、これを更衣室で全部、彼女のオマンコに直接あてて履き、脱いだものをデビューサイン会の時に、駆けつけたファンに先着順で配った。
清楚さが売りの照香だから、その使用したTバックショーツを貰ったファンはキンタマ雀躍した。
頭にかぶって寝ると、照香にクンニしている気分になれる。
十八歳という年齢も、ウケた要因の一つだった。HHCでは他社のやらない使用済み下着販売も、やっている。AV女優のメールアドレスは、五万円で販売中で、売れると三万円は、その女優にキックバックした。
水名月照香は本人が拒否したため、メールアドレスの販売はなかったが、十万円のスタジオ見学は出演した。これは、HHC内のスタジオの広い風呂をマジックミラーで覗ける場所に見学に行ける。女優は全裸で、前張りもつけない。水名月照香も黒い密生した陰毛を、見学に来た多数のファンに見られた。その場合は八万円のキックバックがある。
十人見に来れば、八十万円だ。土日は照香も朝、昼、晩とスタジオの風呂に入ったりする。
それで一日二百四十万円の収入になる。一ヶ月で九百六十万円ほど稼ぐ月もあるのだ。照香が美乳と巨尻と美マンを見せるだけで。
もちろんそれは、無修正だ。ただ、マジックミラーで見える場所は十人しか入れない。

 HHCは福岡市に新たなスタジオを作る事にした。九州の福岡県福岡市だ。東京では土地が高すぎる事、とマンネリ化したAVしか作れないと判断したのだ。
防衛省や文部科学省を初め、最高裁判所などがある場所でAVとは、これ、いかにと言えなくもない。そういうところでコソコソと作るより、豊かな自然も身近にある福岡市で新たなAVを作ってみようという発案であった。
それで、企画部の羽目田と真羅山太資の二人で先に現地でAV作りをする事になった。さて、土地の確保だが2014年の今、福岡市にある広い空き地は東区にある人工島と呼ばれる場所で、すでに半分程度の建物は建ったのだが、残りにかなり広大な空き地がある。HHCは映画スタジオの建設と称して申請し、敷地千坪を確保した。今はスタジオ建設を進めている。
島のような形の埋立地で緑を多くしている。中央には大きな緑地の公園もある。いずれは、このスタジオで様々なAVを撮るわけだけど、今は建設中なので羽目田育造と真羅山太資は東区の香椎駅の西にある千早駅近くにマンションを借りて、住む事にした。
三十階の窓から眺める◑◑博多湾も又、いいもので☀晴れでも☂雨でも☃雪でも、それぞれの様相がある。
 羽目田も真羅山も福岡市の出身だった。それでも人通りの多いところでのナンパは、やりにくいのだ。それに、引っかかる女もまず、いない。それは、東京と違うところだろう。東京でもストリート・ナンパは条例で禁止されてはいるらしい。
そこで、AVメーカーが、やっているのは仕込みと呼ばれるヤラセである。
あらかじめ打ち合わせておいた女性に、それらしく声をかけるのだ。断る女性も応じる女性もAVメーカーと打ち合わせ済み。これなら、条例にも引っかからない。
羽目田はマンションで朝の九時に台所で、
「勇んで来たのは、いいけど、女性が問題だな。東京に比べれば、AV志願の女性も少ないからなー。」
と、ぼやいた。太資は、
「そおっすねえー。おれも、客室乗務員の彼女しか、いなかったから、どうしたら、いいのか迷ってしまいますよ。ナンパなんか、したこともないし。」
と同調する。不協和音は、出ないのだ。
天井の片隅を見つめていた羽目田が、ハッと気づきの表情を見せると、もしくは魅せると、
「いい方法が、ある。インターネットだ。それで、いこう。」
と促すと、
「ああ、そうだ。今の時代は、昔と違いますね。ネットでナンパ、ですね。」
「そんなに、コソコソしなくてもいいよ。おれ達は、AVメーカーの人間だよ。堂堂とやろうよ。な?」
!$£¢、℡、℡。
「そうです、異存はありません。」
「でも、おまえはおれに依存しろ。」
「は、頼っていいって、ことで?」
「いいぞん、なんてね。って、あんまり遊んではいられないよ。ここに光ファイバーを引かないとね。」
「そうでしたね。それまでは携帯で、出会い系サイトの女と交渉しましょうよ。」
「交渉しても高尚な女は見つからないだろう。でも、やらないよりは、いいか。」
羽目田は、でも、まず携帯電話で光ファイバーの手続きをNTTとした。羽目田は笑顔で、
「一週間くらいで、いいらしい。この点、他社よりも早い。何だかんだといっても光はNTTの独占になるよ。所詮は、だね。最初の電話を考えれば、いいんだ。どこの他社が、いた?それで、誰が不満を持っていただろう。電電公社といっていたけど、光ファイバーもNTTが独占した方が、いいと思う。
それは、その方が何かといいよ。」
「そうですね。それは分かりますよ。日本という国は、一つだし。」
「そうだろう?な?ウクライナみたいな小国はロシアに併合されたいわけだ。電話線の中を走っているものは、NTTだけで、いいね。」
「ハメハメカンパニーもAVのNTTになれば、いいっすねえ。」
「ははは。NHHCか。国立大の女をAV女優にするのは難しいが、女子社員は国立大出を揃えるのも、いいし。」
「出会い系、しましょうよ、羽目田さん。早めに作らないと、いけないんじゃないですか。」
「それほど責め立てられないけど、いくか。」
二人は古いタイプの携帯電話を取り出した。インターネットに接続すると、羽目田は、
「出会い系ミレニアムというサイトが、あるんだ。ここは、女性会員の質が高い。なんと、女性に身分証明が、いるんだ。しかも運転免許証がある女性は、運を丸で囲んでいるアイコンがついている。
お、この女性は・・・。」
羽目田が太資に見せた画面には、可愛い女が画像で載っていた。どこか化粧をしすぎ、という雰囲気もある。太資は、それを見て、
「この女性、アンダーヘア画像も、載せてますね。」
逆立つ黒い恥毛が印象的な女性だ。
羽目田が声に出して読み上げる。
「オナニーの回数、毎日、か。好きな体位、後背位。職業、キャバクラ。なるほど、中々、彼氏のできない環境だな。酒を飲むのは、大好き、とね。」
太資は彼女のヘアを見ていると、少しムクムクとアレを大きくしていた。羽目田はそれに気づき、
「戦闘準備、完了みたいだね。よし、このハンドルネーム、エロリンにアタックメールを送ろう。」
と宣言する。

!こんにちは。ひまな、お時間に遊びませんか。
こちら、撮影もできますから。
‰Ω℧ℵ
№1⌘の貴女へ

送信中です、の画面が出た。羽目田は、
「彼女が、暇ならいいけど。」
と呟く。朝の十時前だ。十分経過すると、メールが到着した。羽目田の顔に喜悦が走る。さっそく開くと、

 メールありがとね。店は五時からだから、今、ひまですよ。

と、ある。①成功だ。そこで羽目田は返信する。

ぼくは東区に住んでますけど、貴女は?

今度は五分以内に返信が来た。

わたしも東区です。箱崎だけど、ね。☀♫

羽目田は、

ぼくは千早だ。それじゃあ、箱崎駅前で待ち合わせしようか。

と携帯電話を打つ。

うまく、いってる

彼は、事が早く進むのに満足だ。

 返信は、
何時が、いいの?
羽目田は、
十一時に。
エロリンからは、

よろしくね
赤のハンドバックを持っていきます。。
と、ありえないような書体の返信が、きた。
だから、羽目田も、
黒の帽子
文字は、見えるかな?黒の帽子を、かぶっていきます。それでは、現地で。
と送信したのだ。

 JR箱崎駅はモダンな外観だ。灰色と銀色が混じったような色の建物で、昔の駅の外観とはかなり異なる。
そんな中、羽目田と真羅山は隣の駅、千早から着いた。人の行き来も、そう多くはない。入り口より少し離れたところに美形の若い女が立っている。手には赤いハンドバッグ、エロリンだ。
羽目田と真羅山は近づいていって、羽目田が、
「エロリンさんですか。」
と声をかけると、彼女は笑みを浮かべて、
「そうです。撮影って、なんなのかしら。撮ってくださるの?」
羽目田は、
「うん、まあ、そのですね。いきなりっていうわけには、いかないでしょう。」
春の服装の彼女は、それでも胸のふくらみをクリーム色の上着の上から表している。
「もしかして、へんなやつじゃないでしょうね?まさか、AVとか。」
羽目田は開き直って、
「そうなんですよ。でも、軽いものから色々とありますから。」
それを聞いて彼女は、
「当たったわね。でも、いいわ。軽いものって?どんなもの?」
「それは、下着になるだけのものから、色々とありますよ。それで淫語を話すとかね。」
「あー、あれね。」
とエロリン。羽目田は、
「意外と詳しいですね。AVを見てらっしゃる。」
「お客さんの中にAVマニアの人がいたから、話を合わせるために勉強したの。キャバ嬢も楽じゃないのよ。自費で勉強。」
エロリンは、微笑む。
 太資が感心したように、
「すごいな。」
と声を洩らすと、エロリンは太資を見て、
「こちらの方は?スタッフさん?」
と優しく尋ねた。羽目田は、
「いえ、この男はAV男優なんですよ。」
「まあ、じゃあ、わたし、この人と絡むの?」
少しエッチな眼をして聞く。顔を赤くして。太資は、
「まだ、決まってないんですよ。羽目田さん、どうしますか?」
「ああ、なりゆきで、いこう。エロリンは、どっちがいい?」
「うーん。3pも可能かしら」
と戸惑いつつ、答える。
羽目田と真羅山の顔が輝く。羽目田は、
「おれたち、千早駅の近くにマンションを借りてるんだ。そこでインタビューから始めよう。やめたくなったら、いつでも言えばいいからね。」
「それなら気が楽だわ」
と彼女は、答える。ピカリ、と彼女の瞳孔が光る。
羽目田はホッとして、
「それなら、行こうか。もちろん、電車代、昼飯代は出すよ。出演料は撮影次第で。」
と誘うと、
「キャバに間に合うように、終わって。」
と云う。
「何時からかな。」
と羽目田が聞くと、
「千早なら四時に乗れば、いいから。」
「それなら三時半まで、撮影ということにしよう。」
「そうね。それで、Eわよ。」
と、いいを英語のEのように発音した。
三人が、高層マンションの部屋に入るまでは時間がかからなかった。
リビングでエロリンに、さっそくインタビューだ。
羽目田が彼女の前でマイクを片手に行う。カメラは据えつけている。
エロリンの上半身は据付のカメラ、そして少し足を開いた下半身は真羅山がテーブルの下に潜って撮影している。
花柄のパンティで大きく膨らんだエロリンの股間は、スジが見えている。陰毛が一本、花柄のショーツからはみ出ていた。
羽目田が質問する。
「職業はキャバクラだそうだけど、お客さんとセックスする事、あるのかな。」
「ないですよ。ウチは高級キャバクラで、手も握らせません。」
「ふーん。硬いんだねー。男の人の硬いアレ、握った事あるだろう?」
エロリンは恥ずかしそうに、
「あります。」
「それを咥えた事は、あるのかな。」
「ええ。バナナみたいで、おいしかった。」
羽目田は真羅山に目で行け、合図した。太資の右手はエロリンのマンスジをなぞる。彼女は眉を動かして、
「ああっ、感じる。」
と少し、ヒップを動かして、喘ぐ。彼女の瞳が潤んだ。羽目田はニヤニヤして、
「敏感なんだね。どんな体位が、いいのかな。」
「それはもう、後背位かしら。バックでガンガン突かれるのが好きなの。」
真羅山は、ショーツの上から彼女の淫穴の裂け目に指を軽く入れた。首を少し後ろに反らせて彼女は、
「あっ、ふうんっ。」
と声を出す。クイ、クイとエロリンのマン穴は太資の人差し指を締めるのだ。羽目田は、そのままにしていろ、という合図を真羅山にする。
太資のカメラは、さっきより開いた彼女の白い太ももを映している。
エロリンのマンコにはショーツの上から太資の指が入っているのだ。据付のカメラは彼女の表情を映していて、下半身は写らない。
「それは、いいな。その体位は、いつしたのかな?」
「半年前かしら、彼がそのあと、ああああああ、消えてしまって・・・わたし、その体位で五時間も彼にやらせたの。だから、かしら。彼も四回は出したけど。」
太資はテーブルの下でエロリンの穴に指を入れて、クチュ、クチュと動かしていた。
羽目田は太資に、
「真羅山。おまえ、エロリンと絡んでもらう。体調は万全だろう。」
と命ずると、ニタリとした。続けて、
「テーブルの下で丸裸になれよ。」
と言われた太資はカメラを止めて、筋肉質の素肌をさらした。パンツも脱ぐと、バナナの長いもののような彼の肉竿が垂れ下がる。
羽目田は眼を斜め下に向けて、
「ようし。エロリンの横に行け。」
素裸の太資は彼女の横に座った。彼女は、
「きゃっ、大きいな、これ。」
と脳内では、その反応の声は、もっと大きかったのだ。羽目田は、
「エロリン、脱いで。」
と声をかける。彼女、細い指を動かして上着を脱ぐ。張り切ったブラジャーが、乳首を浮き出せていた。それを眼にした太資は肉竿を上に立たせた。それをエロリンのブラの乳首のところに両方、擦り付けた。彼女は、
「はううっ、気持ちいいっ、最高っ。」
と快楽の声を上げる。ソファに上がって太資は、そそり立った肉竿を彼女の耳たぶに当てて、かがむと、ふーっと彼女の耳に息を吐く。
「ああん、ぞくっとするわ。変に、なりそうよっ。」
とヨガル。羽目田は、
「エロリン、スカートも脱いで。」
と指示するので彼女もソファの上に立って、スカートを降ろした。花柄のショーツに浮き出ているマンスジに染みがついている。
羽目田は、
「ソファに四つん這いになって、尻を高く突き出して。」
と指示する。彼女は、膝と手を突くとショーツの尻を上に上げた。股間のスジは太資の眼に丸見えだ。たまらなくなった太資は彼女のショーツをずり下げて、肉竿をズブリと挿入する。
「あっ、はあう、あふあふうっっん、いいっ、あはぁ、あぁ。」
と快感の声を上げるエロリン。品位のあるキャバ嬢の全裸の四つん這いの姿は、羽目田もチンコを少し立たせてしまった。しかも、その白い大きな尻に太資の巨肉竿が出たり入ったりしているのだ。
「はん、ハン、ァアァァァ。」
と切れ目なく声を上げ続ける彼女の快美感を感じている声。乳房はタプ、タプと揺れている。それを両手でムズ、と掴む太資。
「あーん。いいっ。」
と裏返ったようなヨガリ声だ。
羽目田は、
「よーし、いいぞ。その調子だ。今から面白いものを下ろすからな。」
と快哉を叫ぶ声を出す。ウイーン、と天井の方から音がした。何かが二人の上に降りてくる。二人は後背位でつながったまま、上を見上げた。
白いロープが二本、手で掴まれるようにそれぞれ、Uの字型に曲がっている。それは、サーカスの空中ブランコ用のロープだった。羽目田は命ずる、
「それに掴まって空中で揺れながらセックスを続けてくれ。」
全裸の二人は立ち上がると、それぞれのロープに手を掛けた。エロリンのマンコには太資の肉竿がスッポリと入っている。二人が手を掛けると、ロープは上に上がった。太資が腰を振り始めると、二人のロープは揺れ始めたのだ。
「ああーん。飛んでるぅ。」
気持ち良さそうに眼を閉じて、エロリンは絶叫した。
「普通のバックより、千倍は気持ちいいわあ。」
二人は、腰を同調させて振り、やがて、それは早くなっていった。太資は左手をロープから外し、エロリンの左の乳房を後ろから揉む。
「やぁん、ぁぁぁぁ。」
彼女の淫膣は強く太資の鋼鉄のような肉竿を締め付けた。その絡まりの気持ちよさに彼は、
「おうっ。出ます、出ます、あああ、いく。」
「ああああ、いやんっ。」
エロリンは失神しかかったので、羽目田は急いでロープを下に降ろした。彼女は、ビニールのソファに崩れ落ちたのであった。
最初の撮りは、こうして終わった。次は、どうするか、羽目田は頭を悩ませる。
とりあえず、淫語でいくか、と羽目田は考えた。それよりも、官能小説の朗読でもいい。エロリンをさっきのソファに座らせて、でも、今度は全裸だ。大きな乳房が二つ並んでいる。
昔の官能小説よりも今の電子書籍の官能小説がいいいだろう。黒い縁取りの電子書籍リーダーを手にするエロリンは、朗読を始めた。それにしても、キャバ嬢が全裸で座っているのも、なかなかの見ものだ。
柔らかな彼女の声は、
「通勤の時、いつも気になるOLが今日も地下鉄に乗ってきた。満員の地下鉄で、彼女の身体はおれの体と密着してしまうのだ。肩と肩が強く、くっつく。どんな女の肩だって、肩の骨は硬い。ぴったりと腕が接触すると、柔らかな感触がおれの股間を刺激した。あ、立ってくる。とおれは思った。果たして、自分のセガレは強くなっていくのだ。世の中の父親は自分の息子、といっても陰茎の形容ではなく、実際の子息を自分の陰茎のように思っている奴もいるのだろう。自分の息子が強くなり、やがてもう自分では制止できなくなるような事態にまで発展していく。そんな強さをおれは今、自分の陰茎に感じていた。
目のパッチリとした彼女は背は百六十はないけど、大柄な感じで、尻も大きい。胸も大きいのだ。おれは肘で彼女の乳房に当たってみる。プル、という感触が肘に感じられた。
ぁっ、
と彼女は小さな声を出した。うまくいった。肘を伸ばして下に降ろした手で彼女のスカートの股間に触れる。そこには柔らかな膨らみがあった。陰毛の厚みをおれは感じた。痴漢をしているのだが、でも彼女は抵抗しない。これも長いこと、地下鉄に乗り合わせているためかもしれない。もう、半年だ。しがないサラリーマンのおれだが、こうした新入OLの体を腕や手で味わえるのだから通勤は楽しいのだ。
これ以外にはソープと他の風俗に行くしか、楽しみはない。で、それら風俗通いにはスリルがないのだ。
金でオマンコを買い、息子を突入させる、その後のやるせなさは愛のないせいかもしれない。ソープの女は金をもらえるからオマンコさせてくれるのだ。
ああ、むなしい。そう思えるのも当たり前かもしれない。だから、地下鉄で顔見知りの女子社員の体を服の上からでも堪能できるのは、おれとしては最高の楽しみ、金を払わなくていい娯楽だ。
ちょっとした勇気はいるが、それは彼女と視線が合った時に自分への気持ちを確認すれば、騒がれないですむ。考えてもみてほしい。スカートをはいている女の下着は薄いショーツだけなのだ。
それはピッチリと女の股ぐらに張り付いて、中にはスジを作るほど食い込んでいる場合もある。けれど、厚さ何ミリのものだ。鋼鉄のショーツを身につけている女など世界には一人もいないのだ。
だから、おれは勃起してしまったモノを女のスカートに後ろから当ててやると、肛門か膣のあたりに接触して、そのまま気持ちいいから射精した事もある。満員電車なんて最近の客は携帯に夢中でいたりするのが多いから、誰もおれを見ようともしない。そのOLは、もうおれが射精しても動きもしないのだ。勿論の話だが、こういう事をすると決めた時はおれは、地下鉄に乗る前、自宅を出る前にコンドームを装着してくる。
そうしないと、射精したらパンツは濡れるし、ズボンにも滲むだろう。薄型のコンドームをしていれば、大丈夫なのだ。0.02ミリのものならコンドームをしていないような気分にもなる。使用後のものは、会社のトイレで処分する。
多くの男性は痴漢をしたくてもしないのは、もしかしたらこの究極の射精を怖れてかもしれない。もちろん犯罪になるからというのが、第一の戒めだろう。それでもいい、と決意しても、そのあとには自分も勃起する。そして、ついには射精するとなるとパンツは濡れるし、となってしまう現実はこれから会社や役所に行く人間にとっては厄介なのだ。
だから、おれみたいに通勤時にコンドームを装着していれば、女の尻、にチンコを当てて射精しても慌てなくていい。
こうやって、通勤中の地下鉄の中でおれは週一回のペースで射精する。福岡市の地下鉄の中で、だよ。福岡県のね。福岡市の地下鉄は海沿いに走っているところもある。海から何キロか離れていても、潮の匂いというものは漂ってくるものだ。地下鉄の中にもその潮の匂いは微弱ながら存在するのだね。
そういう中での射精は気持ちいいよ。それから、その女には目線で、好きだという気持ちをアピールしておく。そして三ヶ月以上は手出しをしないのだ。女の目線が自分を見るのに親しみを見せてから、触り始めるんだ。それで痴漢呼ばわりは、されない。
その女の尻の割れ目に勃起したチンコを入れて、射精する事もあるよ。

羽目田は手でエロリンを制止した。あまりエロくないと判断したからだ。次の電子書籍を探すと、又、彼女に朗読させた。

角刈りの若い男がラブホテルで上品そうな三十路の女性に、
「言ってもらおうか、奥さん。云うんだよ。おまんこ、オマンコ、まんこ。ってな。」
上流な家庭の夫人らしき女性は、
「いくら、あなたとラブホテルに来ているからって、そんな下品な言葉は、いえません。」
と拒絶した。角刈りで背の高いやせた若い男は、
「へえ、そうかい。おまんこ、っていう言葉は知ってるじゃないか。東京の田園調布に住んでいても、おまんこという言葉は知ってるんだろ?じゃあ、言えよ。おまんこ、して下さい、ってな。」
三十路のエレガントな服を着た細身のその女性は、
「おまんこ、して下さいと言わなくても、するつもりでしょ、あなたは。」
と意外にもスラスラとおまんこ、と発音した。角刈りの男は笑って、
「おう。言ってくれたね、おまんこ、って。江戸前の女なら、おまんこする前におまんこと言わなきゃあ、な。江戸っ子だってねえ、神田のおまんこ、よ。と、くらあね。銀座のおまんこ、日本橋のおまんこ、とまあ、言えばキリがねえや。おや、おれの息子が起立したぜ。先生に質問があるんだろう、な、先生よ。」
その女性はベッドに腰掛けている。男が目の前に立って、股間を突き出したので、ふくらんだその部分を右手で触った。口紅のついた口を開くと、
「元気いいチンポじゃない。しゃぶり甲斐が、ありそう。」
と品の良い口調で語りかけた。角刈りは首をのけぞらせて、
「おおっ。奥さん、うめえや。ちんぽの扱い方が。さんざん、だんなのをしごいたんだろ?まるでマンコに入れた感覚だ。ああっ、でも後で奥さんの本物のマンコは味あわせてもらうげとな。」
「ふふ、それで夫の借金は帳消しにしてくれるのなら、三回まで射精してもいいわ。」
「本当かい?奥さんのマンコ、今の手の平より柔らかくて濡れてるだろうな。」
「あなたのチンポも先走り液が出て、濡れてるわよね?」
「そらあ、もう、出てるよ、少しなー。奥さんの中で出したいぜ。」
「いいわよ。誓約書には、山科蓮子とオマンコ三回しましたので借金は帳消しにします、とあるわね。終わった後で判を押してね。」
「あー、押す、押す。こっちも江戸っ子だい。トサンの金貸しだけど、約束は守る。」
「十日で三割のところから、主人もよく借りたわ。おかげて、あんたとのオマンコが待ってるけど。」
「おっ、奥さん、オマンコって言ったなあ。すぐに、やるか、今から。」
「いいわよ、オマンコ。」
男のモノは、すでに巨大になっていた。

「で、いいんですか、羽目田さん?」
素裸のエロリンが読むのを止めて、聞くので、
「お?それだけなの、その官能小説は?」
と羽目田は聞き返すと、
「だって、無料サンプルはここまで、でしたよ。購入してもいいのですか。」
「いや、その作者の別のものに、いこう。江路埜達人のね。電子書籍リーダーを貸して。」
エロリンから黒縁のWIFIなしでダウンロードできるタイプのものを手に取ると、羽目田は別の官能小説をダウンロードした。エロリンは股間も隠さないので黒いヘアも丸見えだ。膝を閉じているので、ピンクの洞窟の入り口は見えないけれども。
羽目田はダウンロードが終わり、
「次は、これで、お願いするよ。」
とエロリンに渡す。受け取る彼女の乳房が色っぽく揺れた。
エロリンは眼を細めると、読み始める。

 大学に入ってすぐ、里代は性に目覚めた。官能小説で淫語を覚えた彼女は、好きな同級生の鉄次郎に告白したのだ。キャンパスの大樹の陰で、誰もいなかったから、
「オマンコしてください。」
と。鉄次郎は、
「ええっ。おとなしそうな君が、オマンコなんて、何処で覚えたのかい。」
と筋肉質の体に似合わずに、おどおどと聞く。
「え、これくらい今の女子大生に限らず、女子高生も知っていると思うの。オマンコ、オメコ、福岡ではボボとか言うわ。でも標準なのは、オマンコだと思うし。鉄次郎さんの大きなオチンポさんを、わたしのオマンコに入れてください。」
と眼を潤ませて、里代は又、はっきりと鉄次郎に話しかけた。鉄次郎は回りに人がいないか、見回すと、誰もいなかったのでホッとして、
「もう、その話はここでは、やめてくれ。外に出ようよ。そしたら、できる。」
「オマンコを?」
「そうだ、場所を探そう。」
と鉄次郎は里代の言葉を遮るように喋った。大学の肛門、いや校門を出てから里代は、
「わたしね、朝起きたらオマンコが濡れているのを感じるの。鉄次郎さんを知ってから、こうなってきたんです。だから、鉄次郎さん、責任を取って。」
なんの責任なのか、と鉄次郎は言いたかったが、
「そうだな。おれも男だし・・・。」
「オチンポも、大きくなるわよね。」
くっ、と鉄次郎は喉の奥で音を鳴らした。
「当たり前だろう。毎日、立ってる。でも、おれは空手をしているからな。立てても、射精はせずにすませているんだ。」
里代の目が大きく開いた。
「立派なのかしら、それ。苦しくないの?キンタマに精子が溜まってるんでしょ。出した方が、いいわよ。」
「大胆に話すなー。キンタマとか、大きな声で言うなよ。むこうの、おばさんが笑って通り過ぎたぞ。」
「いいじゃないの。里代、鉄次郎さんのキンタマも見たいし、舐めたいな。」
鉄次郎は息を呑むのだった。そして、
「あまりにも露骨だな。キンタマというより睾丸と言った方が、マシだ。」
「そうなのね。睾丸剤って、あるわよね。」
「あれは癌の抗癌剤だ。キンタマの睾丸じゃないぞ。」
「そうよね。女の人でも恥ずかしがらずに抗癌剤って言ってるものね。」
「当たり前だろ。癌の薬だからな。」
福岡市東区は奇妙な土地がある。右側を見ると夕陽が沈んでいるのだ。北に走っていると思われる道路が南に走っている。彼らは、そうしたところを歩いている。
「わたしの子宮が癌にならないように、鉄次郎さんの睾丸を使ってくれれば、こうがん剤。うまいでしょ。」
里代は長い髪を右手でかきあげる。鉄次郎は、
「それは、いいな。おれのキンタマが女性の役に立つのかとか考えた事がなかったよ。ラブホテルがあるじゃんか。見えるだろ。」
二人の右、つまり西に何と、お寺の形をしたラブホテルがあるのだ。名前も、
快楽浄土という。
五重塔の代わりに男性の性器をかたどった石の大きな彫刻品が庭に飾られている。亀頭は天を向き、陰茎は直立して、睾丸は地に据えられている。
大学の近くにラブホテルというのも日本有数の話かもしれない。利用者は里代と鉄次郎の大学の教授も利用している。不倫専門の利用だ。中には教え子で在学中の女子学生と、この快楽浄土に入り、昼間からオマンコしている四十代の男性教授もいる。
その教授はスマートな裸体で、美人の教え子の全裸をベッドの上に眺めると、
「脚をもっと開いて御覧。ああ、いいオマンコだ。君の顔と同じく綺麗なオマンコだね。」
と嘆賞すると美人女子大生は、
「先生、早くオマンコしてくださいっ。先生のオチンチン、大きいわ。」
教授は破顔一笑して、
「妻がね、子宮を手術で全部取り出してから、オマンコしてないからね。授業中、君のマンコの辺りを眺めて、昼休みに弁当を食べた後に便所でオナニーしていたんだ。今、僕は君のオマンコを見ている訳だけど、大体想像していたオマンコの形だね。」
「先生、かわいそう。わたしのオマンコを想像してマスターベーションをしていたなんて。」
「ああ、でも。アントニオ猪木の言葉みたいに言えば、
オナニーすれば、なんでもできる
かな。それと、
オナニーしてますかぁ?
とかアントニオ猪木風に言ってみたいね。」
「授業中に、お願いします。今度。」
「それは、できんよ君。君だけへのオマンコ言葉としてね。言ってみただけだ。妻のマンコは、もう役に立たない。」
「では、これから何度もオマンコしてくださるんですね、嬉しい。」
「ああ、」
教授は教え子の上に乗り、勃起した肉の棒を根元までピンクのういういしい美人のマンコに挿入した。彼女は口を少し開いて、
「あ、あふうん。」
と色っぽい声を出して、頭を軽く左右に振ったのだ。
美人の教え子のマンコに入った教授のチンコは荒々しいまでの動きをして、彼女を忘我の境まで導いた。
「ああっ、先生のチンコ、いいっ。」
「君のマンコも最高だよ。ぼくのチンコが動きやすいように、君の膣内はよく濡れている。」
「恥ずかしいっ。けど、マンコ、気持ちいいっ。」
ふたりは手を握り合い、舌を絡めあった。

 同じ時刻に教授の自宅では、妻がインターネットの勧誘員に玄関を開けていた。彼女は色白の三十歳、やはり美人だ。二十代半ばのセールスマンの青年は、筋肉質でスポーツマンタイプの爽やかな印象だった。
「うちの回線は、他社さんより、お安く御利用できます。」
「あら、そうなの。それでは、あがってください。居間で、ゆっくり話を聞くわ。」
「それは、どうも。では、遠慮なく、お邪魔します。」
背広姿の青年は、茶色の靴下で玄関を上がる。紺色の背広は、クリーニング屋から戻ってきてすぐのもののようだ。
二人はテーブルをはさんで向かい合って座った。青年は、
「ご主人は、どういうお仕事をされていますか。」
「大学の教授ですわ。」
「それならインターネットも、ご覧になりますね。」
「それは見ておりますけど、ADSLでね。アダルトなものも見てるみたいです。」
少し顔を赤らめて、教授の妻は云うのだ。
「はは、それが普通ですよ。男ならですね。そのためにも、うちの光ファイバーの回線に変えていただければ、と思います。」
青年はパンフレットを教授の妻の前のテーブルに置いた。続けて青年は、
「海外の無修正ならオマンコもバッチリ見えますし。それなら、ご主人も喜ばれると思います。」
「まぁ、オマンコが、ですか。主人は、わたしのオマンコを舐めるのが好きなんですのよ。ぉほほ。」
彼女は手を口に当てて笑った。
「そうなんですか。奥さんのオマンコをねえ。でも、他の女性のオマンコ画像とか動画もみたいんでしょうねえ。そのためには、光ですよ。」
「そうなのですか。光ならオマンコを見るのにいい、と主人に言っておきますわ。」
「お願いします。でも、ぼくも奥さんのオマンコ、見たいなあ。」
「まっ、でもあたし、ストリッパーでは、ございませんのよ。」
「それは、わかってますよ。今のは冗談ですよ。営業で、こさせてもらってます。契約の方を、お願いします。」
青年は頭を下げた。
「でも、主人に聞いてみないと分かりませんわ。海外の無修正のオマンコを見るために光にしてくれるか、どうか、はね。」
「男はオマンコのためなら、なんでもしますよ。ご主人も例外ではないと思います。」
「どうかしら。じゃあ、その無修正のものは男の方のアレも見れるのね。」
「はい。オチンチンやキンタマ、いや、睾丸もモロですし。そう、奥様のお楽しみのためにも、いいと思います。」
「ま、オチンチンなんて恥ずかしい。オチンポさん、と言った方がいいですわ。勃起チンコをしゃぶる女性も見れるのね。」
「ええ、フェラチオやクンニリングスも見れますよ。奥さんも、ご主人にクンニされてるんでしょう?」
「ええ、週三回ですか。そのペースです。」
「うおおー。中々、いい回数ですね。奥さんの旦那様は、おいくつで?」

レズニスル夫人 体験版

 愛野珠代(あいの・たまよ)は、見てしまった。二十一歳の同僚、相賀好代(あいが・すきよ)が社長室で、社長夫人とキスしているのを。昼の休憩時間だった。社長室のドアは、少し開いていたのだ。
中から、チュッ、チュッという唇がくっついて離れる音がしたので、珠代は思わず足を止めて社長室の中を細い隙間から覗き込んだ。
すると、グラマーだが肩幅も広い背も高い社長夫人に小柄な好代は抱きすくめられ、上を向いて唇を社長夫人に任せていた。
社長夫人は三十代になろうという年齢で、紺の上下の服を着ている。
好代は不動産会社の制服を着ている。オレンジの上下で、スカートの丈は短い。
好代は肩までの髪の毛を揺らせながら、男にされるように社長夫人にキスされ続けていた。
社長夫人の顔は眉毛が太くて、目も大きい。髪の毛はショートカットにしている。胸も尻も張り出しているが、肩幅も広い体型だ。
社長夫人の名前は、レズニスル・丸三という。夫の名前が、丸三商次(まるさん・しょうじ)という会社名みたいな名前だが、そのためだ。
彼女は時々、レズニスル・マルサンと署名していたし、名刺にもそう印字していた。
レズニスル夫人は、母親がフランス人というハーフだ。だから、色は白い。背も高いのも白人らしい。フランス人女性は、背が低いというけれども。髪の毛の色は黒である。アンダーヘアも黒だ。
夫の丸三商次は、フランスに商用で滞在中に父親が日本人の、このレズニスルと出会った。
父親の名前は外国郁夫(そとくに・いくお)といって、フランスのパリでワインや日本酒を取り扱って大成功した億万長者だった。娘のレズニスルは、レズニスル・ソトクニと学校でも記名した。
パリのビジネス専門学校を卒業するとレズニスルは、父親の会社「ソトクニ・トレード」に入社して秘書として働いているところを夫になる丸三に見初められて、短期の交際の後、すぐに結婚して日本に来た。
丸三商次は福岡市で高級洋酒店を天神に持ち、不動産会社も持っていた。その不動産会社の経営を実質は、妻のレズニスルに任せていたのだ。

レズニスルは小柄な好代の体を軽々と抱きかかえると、社長の椅子まで運んで腰を下ろし、好代を自分の膝の上に乗せて今度は、紅い長い舌を出して自分の女子社員の首すじを舐め上げた。好代は、その柔らかく甘い感覚に眼をトロンとさせていた。愛野珠代は好代が自分に気づかないほど、快楽の世界に浸っているのが分かった。珠代は思わず自分の右手の人差し指と中指を自分の股間に持っていくと、制服の上からマンコを指圧してしまった。
(あうん)
珠代は心の中で、悶え声を出して股をキュッとすぼめた。(あ、誰か来る)
向こうから大きくなる靴音に、珠代は姿勢を正していた。社長室を覗くと、二人は社長と社員らしく離れていた。レズニスルは座り、相賀好代は少し離れて不動産会社の女子社員らしく立っている。

靴音の主は、若い女性とその母親らしき女性で、どちらも高級そうな身なりをしていた。どちらも肩からエルメスのバッグを下げている。下の方に点線の円の中にHのマークが入っている有名なブランドものだ。二十万円以上なのは間違いない。
足元を見ると靴はトリー・バーチのぺたんこな靴で、銀色に豹柄だ。四万円近くは、するものらしい。母娘揃って同じデザインの靴も珍しい。愛野珠代はブランド好きだから、それらを判別できた。
長い廊下を歩いて母娘は、社長室に近づいてくる。珠代は何気なく立って、二人を出迎える。娘は二十歳位で、明るくヒマワリのような感じがする。背も珠代より高くて細身だが、彼女の胸と腰は大きく膨らんでいた。その娘は立っている珠代を見ると、
「こんにちは。ビルの売却の件でお邪魔します。社長さんは、いらっしゃいますね?」
「はい、在室しております。どうぞ、こちらへ。」
珠代は社長室のドアを開いた。母親は四十位で、これも高身長で美貌の名残をとどめている。普通のOLだったとは、思えない。その母親の
静けさが壁に染み渡る その美貌
という俳句が浮かびそうだ。季語がないので俳句にはならないが、美貌は春という事にすればいい。
母娘の身長は、ほぼ同じで娘が先に社長室に入った。ドアを開けてから珠代は、小走りにその場を去っていた。

丸三不動産の社長室は、部屋の主となったレズニスル・マルサンの趣味でフランス風なデザイン、置物、内装となっていた。そこへ入った母娘はフランス人形みたいな女性が机を前に立っているのを眼にした。レズニスル夫人は立ったまま、西洋人らしい笑顔を浮かべて、
「ボン・ジュール。ようこそ、おいでくださいました。わたしどもに、ご相談いただき感謝しています。」
相賀好代が高価そうなフランス製のコーヒーカップを二つ、応接テーブルの上にコトン、カタンと並べた。レズニスルは六人がけ、テーブルを挟んで三人ずつが座れる応接ソファの前に行くと、長身美女母娘に、
「どうぞ、こちらへおかけください。」
長身の娘の方が、
「それでは、失礼します。」
と腰掛けたので、母親もその隣に身を沈めた。レズニスルはミニスカートを、ひるがえして二人の前に座った。レズニスルの白いパンティは二人の母娘にも、はっきりと見えた。

商談は長きに亘るものではなかった。破格な買値をレズニスル夫人が提示したのだ。レズニスルは、
「それに加えて、娘さんに当社のイメージガールになってほしいのですわ。それにつきましても、契約金をお支払いします。」
フランス人の眼でレズニスルに見られると娘は、
「それは、嬉しいな。わたし、大学を出ましてから就職もせずに父の私的なものを売り払う事をしていました。天神のモデル事務所にも登録はしたんですけど、仕事がこないんです。モデルって、やってみたかったから。」
レズニスルは笑顔で、
「それでは、そうしましょう。高根野花(たかね・のはな)さん、丸三不動産も今では福岡市で一番の不動産会社なんです。ローカルテレビにもCMを出してますわ。」
と優しく話しかけた。
丸三不動産は天神の西側にある自社ビルを本店として、福岡市内にいくつかの支店があるが、女子社員が多くて男子社員は一つの店に一人と決まっていた。紅一点の逆で黒一点というべきで、あろうか。
また女子社員のスカートはミニスカートである。賃貸物件で来た客に対して椅子を離れて又、戻ってくる時には顧客にパンティが見えるように座るという社内の規律がある。先ほどは社長のレズニスルが自ら実践したもので、そばにいた相賀好代もそれを見て
自分もしっかり顧客にパンティを見せよう
と心に思った事だった。社長が実践しないで社員にやらせる会社があるとすれば、そんな会社は伸びないはずだ。
丸三不動産で部屋を借りれば、その店で女子社員のパンティが見れると若い男性の間で評判となり、引越し好きな若者はみな丸三不動産で部屋を借りた。
契約が決まって書類作成の時にも女子社員は度々、椅子を立つので何回もパンティを見せる場合もある。
契約書に添えてポケットティッシュを渡すのも、丸三不動産の慣わしである。それで夜、自分の部屋で仲介、契約してくれた丸三不動産の女子社員のパンティを思い浮かべながらオナニーして、もらったティッシュで射精後に拭き取る男も多かった。
おまけに丸三不動産の女子社員はブラジャーをつけない事を義務付けられていたので、夏に白いカッターシャツの上からふくらんだ乳房と赤い乳首がうっすらと見えたりする。
だから夏の方が契約に来る男性客も多くなり、「にっぱち」という二月八月は客が減るという言葉の八月は、丸三不動産では男性客で賑わった状態となる。
特別サービスとして、丸三不動産では個室での接客もしていた。その場合、家賃の二ヶ月を契約の時に不動産手数料として払えば、それに応じたサービスを女子社員がやるというものだ。
女子社員を指名しての仲介となると指名料として一人につき一万円が、かかったが、それに伴って椅子を動く複数の女子社員のパンティが見られるので指名する男性客も多かった。
もちろん個室は完全防音で、中で大抵は上増し一か月分の家賃の手数料で女子社員とセックスしていた。それは手数料そのほか、敷金とか礼金すべて丸三不動産の口座に振り込まれて書類を手渡しする時に行われる。一日で三人くらい指名される女子社員もいるから、三万円の指名料をもらえる女性もいた。
指名料については丸三不動産の方では、そのまま女子社員に渡すのである。

レズニスル夫人は夫の丸三商次と会社の近くの高級マンションに住んでいるのだが、夫の商次は一年ほど前からそのマンションに帰ってくるのが月に一回ほどになった。
そんな珍しい晩は、レズニスルは夫に全裸でダブルベッドの上に乗って、むしゃぶりつくのだが夫は、
「気分が乗らないんだ、すまない。」
と断りを入れた。夫の商次はパジャマを着たままだ。レズニスルは唖然として、
「あなた、もう半年も私とセックスしてないじゃない。それで、なんともないの?」
「ああ、仕事が忙しくなって元気がないんだ。レズニスル、そこに立って、おまえの綺麗な体を見せてくれ。」
商次は、ダブルベッドの横の地点を指差しながら頼んだ。彼女は夫の言に従って、ベッドの横に立って両手を広げた。
白人のような白い裸身は、足もすらりと長い。胸もロケットのようにふくよかで、ヘアは黒い剛毛だ。実は商次は、この体型には飽きていた。彼は日本人女性の短い足で、尻が外人女性より低い位置にある体に性欲を覚えるようになっていた。だが、しかし、レズニスルの体は美しいので、
「レズニスル、お前の体は私だけのものにしておくのは、勿体無いんだと思うよ。他の男に抱かれてみては、どうかね。」
レズニスルは体を軽く震わせると、
「わたしの家は男女関係に厳しいんです。フランスは大抵、カトリックの家ですから、わたしも男は夫だけ、と教わりました。商次以外の男、だめなの。」
丸三商次は溜息をつくと、
「日本はキリスト教の国じゃないから、いいんだよ。」
「だめです、何処の国でも。」
とキッパリと夫の誘いを彼女は拒否した。
「わかった。やるだけ、やってみよう。」
商次はベッドからレズニスルを手招いた。彼女は爆乳を夫に押し付けて、マンコを夫の太ももに当てた。商次は彼女の大きな尻と、広い肩に両手をそれぞれ置いて、軽くキスをした。
しかし、眠気が強烈になったのか、彼は眠ってしまったのだった。

レズニスルが同僚の相賀好代とキスしていた日の晩、愛野珠代は福岡市近郊のラブホテルで丸三商次に抱かれていた。
珠代は足が短い方で、どっしりとした尻を持っている。胸は小さめだ。アンダーヘアは、トランプのダイヤ型で恥丘の土手は丸くこんもりとしている。
一年ほど前から丸三商次の性欲は、自社の社員の愛野珠代で発散していた。
滅多に行く事のない会社に久し振りに来てみると、女子社員の珠代がミニスカートで応対してくれた。
社長室で応接ソファに座った時、珠代がコーヒーを持って来てテーブルに置いたが、しっかりとパンティを見せてくれた。珠代はパンティを上に持ち上げた形にして履いているので、割れ目がパンティに食い込み、溝ができていた。いわゆるマンスジである。
オレンジの制服に純白のパンティに食い込んだ割れ目は、その場で丸三商次のイチモツを半分ほど奮い立たせた。その時は、レズニエルは不在だったので誘い話は珠代に直ぐに通じた。
その日の内に、丸三不動産の真のオーナーと愛野珠代はラブホテルに行き、濃厚な時間を過ごした。
小ぶりの珠代の乳首は、商次にたっぷりと十分も吸われて硬直していた。仰向けになった珠代は足を大きく広げて、商次にクリトリスを丹念にねぶられて、大きな尻を震わせて快感を覚えていた。珠代の顔は日本女性的で眼も普通の大きさで、唇も普通、髪の毛は肩より少し下の長さのストレートな髪で、クリトリスは少し大きめだろう。
「いやあああっん。」
膨らんだクリトリスを激しく商次に舐め回されて、珠代は大きな悶え声を上げた。彼女の割れ目が潤ってくる。

同じ時刻にレズニスルは市内の高級ホテルのスイートルームで、全裸で相賀好代の同じく全裸の体をすみずみまで舐め回していた。好代の体は百五十四センチでバスト84、ウエスト58、ヒップ85という尻の大きな女性だ。肌は色白で、眼はパッチリとしている。鼻筋も通って高く、白人女性並の鼻の高さだ。レズニスルが彼女に惹かれたのも、この白人のような顔立ちからだった。同種のものは惹きつけ合うというものだろう。
レズニスルは、乳房と乳首を好代の乳房と乳首に合わせた後、両脚を大きく広げて眼を閉じている好代の下半身の方に頭を移動させた。
陰毛の下に好代の若々しくピンクのマン裂が、小さな口を開いていた。レズニスルは、
「トレビエン(とてもいい、というフランス語)。今からあなたにレズのテクニックをするわ。」
と囁くと、右手の人差し指から小指の四本の指を好代のマン裂に挿入した。
「あはん、社長の指って・・感じます。」
好代は声を上げた。レズニスルは、
「秘儀、ピアノマンコ。」
と声を上げると、好代の中に入れた四本の指をピアノを奏でるように動かした。好代は気持ちよさそうに、
「ア、 アアア、アッアアアーアアー。」
と色艶かしく悶えた。ふふふ、とレズニスルは満足気に微笑むと、
「今のは、ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌの出だしを弾いたのよ。」
「そうだったのですね。わたしのマンコが感じるままに、声を出してしまいました。」
好代は眼を開いて答えていた。レズニスルは白い歯を見せながら、
「次はね、」
指を又、別の動き方で動かす。何を弾いたのだろうか。好代は、
「ア、ア、アアア、アアアアー。」
と身をくねらせながら悶えた。好代は眼を開けて、
「今のはエリック・サティのジムノペディ第一番でしょ、社長。」
と聞く。
「ええ、そうよ。メロディの最初のところね。よくわかったわね。」
「わたしも、子供の頃、ピアノを習っていましたから。」
「まあ、そうなの。わたしも、そうだったのよ。それで気が合うのね。体も、合っているし。」
レズニスルは好代の顔に身を屈めて、キスをした。半分、フランス人の舌を好代の唇の中に入れていく。好代の舌は自分より少し小さいようだ、とレズニスル夫人は感じた。
好代はレズニスル社長の舌を感じながら、一生懸命自分の舌をレズニスルの舌に絡ませていった。と同時に、家庭教師のように自分の部屋にピアノを教えに来た女教師の事を思い出した。

グランドピアノの前に座って、エリック・サティのあなたが欲しい、という曲を弾いていると、その東京の音楽大学を出た女教師は、
「いいわよ。とても、いい。弾き続けて・・」
と褒めながら、左手を座っている好代の開いた足の間に入れると、白いパンティの上からマンコを触った。
「あ、」
好代は声を小さくあげたが、ピアノを弾き続けた。サティの「あなたが欲しい」は五分半弱の曲だ。女教師の手が入ってきたのは、3分位のところで、彼女の手は滑らかに好代のパンティの上でピアノを弾くように動いた。それは、サティの「あなたが欲しい」を同時に奏でているらしかった。指の動きで好代は、それがわかったのである。(こんな指導法もあるんだわ。)と好代はマンコで感じながら、思っていた。男の人の手じゃないし、マンコの中にも突っ込まないからいいか、と好代は思うと曲を弾き終った。
女教師も自分の左手を好代のマンコの上のパンティから離すと、拍手して、
「よかったわ。わたしの左手の動き、わかったでしょ。ああいう風に弾いて。もう一度。」
それで好代は、エリック・サティのあなたが欲しい、をもう一度、弾いた。すると確かに、うまくなっていたので終わるとすぐ、
「先生、上手く弾けるようになりました。ありがとう。」
と礼を言うと、
「体で覚える。体で教える、とは、この事ね。女のマンコ、百までって言うじゃない。」
「え、三つ子の魂、百までじゃないんですか。」
「そうだったわね。でも、同じようなものよ。女はマンコで考える、というのが真説なのよ。それなのに世間では、女は子宮で考えるなんて言ってるでしょ。みんな、女はマンコで考えてるの。ピアノを弾くのもマンコで考えて弾きなさい。それが上達への早道です。」
きっぱりと女教師は宣言したが、好代はピアノの指導でマンコを触られるのに抵抗感があったため、ピアノをやめてしまった。

そういう過去があったので、レズニスル夫人の「秘儀、ピアノマンコ」は懐かしい感じもした。今度は指を入れられているけど、成人だから構わない、と好代は思いながら、いつのまにかレズニスル夫人の舌が自分のマンコを舐め始めたのに気づいた・・・。

ラブホテルで丸三商次は全裸の愛野珠代の両肩を掴んで、抱き起こすと、
「おれね、古流の柔術てのを叔父さんから習ったけどね。その中に、女とやる時の技っていうのが、あるんだ。そのひとつが、
巴マンコ
って、言うんだけど、いくよ。」
と話し、珠代の体を前に傾けて、寝転んで右足を珠代の腹部に当てた。柔道の巴投げの体勢だ。そこで柔道では右足を上げて、自分の頭の上方に相手を投げるのだが、丸三商次は珠代を自分の体の上方にに珠代を投げた。落ちてくる珠代を抱きとめると、
ずぶり、と荒々しく珠代のマンコに商次のビッグサイズが入ったのだ。自分の体重と落ちてくる重力で、珠代は激しい摩擦感をマンコに感じて失神しそうな快感を覚えた。商次は仰向けに横たわり、珠代はそこに跨った姿勢で、
「あああっ、すっごーい。」
彼女は両手で自分の乳房を揉みながら、大きな声を出した。商次はにやにやして、
「よかっただろう。戦国時代は敵の大名の奥方を、この巴マンコでものにした話もあるんだ。その奥方は、巴マンコの味が忘れられなくて、その藩を抜け出したほどだった。」
珠代は自分で激しく腰を振りながら、
「ああっ、あの巴マンコの感覚が欲しくて、激しく尻を振ってますぅ。いやん。」
と悶えると、揺れる黒髪を右手で搔き揚げた。

好代が満足そうに眠ったのを見て、レズニスルは次はどんな秘儀を教えてやろうか、と思ったが、ふと、初恋の相手を思い出した。
それはパリでのビジネス専門学校一年の時、相手は長身で美男子のアサン・モロンという同級生だった。彼は栗色の眼をして、足が長く痩せていた。何人もの同級生の女の子とデートしていた。それも、パリは20の区があり、それぞれの区の女の子をものにしていっているという評判だ。1999年の頃、パリの人口は212万人と五千人ちょっとで名古屋より少し少ない位だ。
アサン・モロンは色が白く、髪を長くしていた。ちょっと見ると、大人になりかかった美少女という容貌だ。彼は二十の歳にパリの売春婦に声をかけられ、ただでセックスしてもらい童貞を捨てていた。
二十一の歳になると商売でセックスしている売春婦を何度も、天国にセックスで行かせたのだ。最初の売春婦の友人たちだから、タダでしていただけでなく、逆にお金まで貰うようになった。
そのうち、素人童貞である事に嫌気がさして、アサン・モロンは二十二の歳にビジネス専門学校の同級生の女の子を誘って夜の公園の樹木の陰でセックスした。
アサン・モロンは、その娘とは飽き足らずに次の女の同級生とセックスしたため、最初の娘は愛想をつかした。次の娘の次の娘に手を出したので、次の娘も愛想をつかしたのである。
彼は、多くの女を知りたくなっていた。高校生の女とは違う、たっぷりとした胸のふくらみを見るたびに、少しペニスが立ちかける。だから評判の美青年でありながらも、ヤリチンという噂もあり、次第にビジネス専門学校の女生徒は彼を警戒し始めた。
一度やったくらいでは妊娠も確率は低いために、アサン・モロンはコンドームなしでセックスをやりまくっていた。
レズニスルはクラスが違ったので、アサン・モロンを見た事がなかった。そんな或る日、学校の玄関で帰ろうとするレズニスルに、
「ハイ、元気かい?」
と若い男性の声がした。彼女が左横を振り向くと、そこには男性モデルのような背の高い色の白い男が立っていた。レズニスルは、
「元気よ。あなたのアソコも元気なの?」
と冗談を飛ばす。男はそれに少し微笑むと、
「元気さ。君の中で暴れまわりたいね。」
と気障っぽく言うと、近づいてきた。レズニスルは処女を失えると確信して、
「いいわ。やってほしい。」
「おお、オッケーなの。ただ、ぼくはすぐにセックスはしない。愛を育みたいんだ。早くても三日後にしている。それがナンパ野郎とは違うとこだね。」
学生が、ぞろぞろと帰っていく。その玄関からの階段の上で立ち止まっているのはアサン・モロンとレズニスルだけだ。それを見た一人の女生徒は二人に聞こえない距離まで階段を降りると、横の友達に、
「あーあ。あの娘も又、あいつの毒牙にひっかかるのだわ。わたしも、やられたけど。ただ、あいつのチンポって、意外と柔らかいのよ、大きくて太いけどね。それにすぐ、別の女に声かけるから、呆れるのね。」
「そうなの。チンポは太いだけじゃなく固くないとね。わたしも放課後は、チンポの固い男性を探してるわ。」
最初に語った女生徒は青い眼を輝かせて、
「いいわね。見つかったら、わたしにも紹介してね。」
「うん、三人で遊ぼう。」
その二人は、階段を降りるとパリの街へ歩いて行った。エッフェル塔が見える場所に、その学校はある。エッフェル塔とは、324メートルの高さで、エッフェルという人が設計した万国博覧会のためのものだ。近くには噴水のある公園もあり、ここで多くの女をアサン・モロンは口説きまくった。時には夜、エッフェル塔を見ながら公園で後背位セックスに浸ったアサンだった。

レズニスルはアサンから名刺をもらっていた。そこには彼の住所と電話番号が記載されている。アサンは、
「三日後に会おう。」
と両手を広げて肩をすくめて見せた。

レズニスルにとっては、その三日後までが楽しい期待の日々だった。パリには四百も緑地帯があるから、数本の大木の陰で処女を失うというのもいい。16区にあるブローニュの森でアサンとするのも、いい。レズニスルは、ブローニュの森を散策している時に、大木の上から女性の声が、
「アハッ、アハハン、シエル、シエル!」
泣き叫ぶのを聞いた。その声のあたりを見上げると、なんと、そこで若い男女のカップルが全裸で後背位で木の枝に跨ってセックスしていた。その樹の根元には、彼らの服が脱ぎ捨ててあったのだ。それは上着だけで、下着は木の枝にでも置いているに違いない。
ポタン、彼らの汗のしずくが落ちてきた。十八のレズニスルは、拳を握って早足で駆け去っていった。

三日後、は案外早く来た。待ち合わせの場所も決めていたのだ。カルチェ・ラタンのとあるブティックの前で、レズニスルが待っているとアサン・モロンが何だか厳しい顔をして近づいてきた。レズニスルは待ちわびた笑顔を浮かべて、
「ハーイ、アサン。これから二人で思いっきり・・・。」
「ノン。セッタンポシーブル(不可能だ。)ぼくはね、神への道を生きる事にしたんだ。」
レズニスルの顔から血の気が全部引いた。処女を捨てるというのは、それなりに大決心して来ていたのだった。だが、アサンは処刑宣告をするような口調で、
「ビジネスの勉強も、やめる。カトリックの神父は、結婚できない。女性とも付き合わない。だから美人の君とも、もうお別れだ。」
「そんな・・・じゃ、マリア様に捧げるの、あなたのペニスを。マリア像でオナニーするのかしら。」
「馬鹿な事を言うな。性欲なんて、肉の欲望だ。神様は、そんなものをお喜びにならないのだ。ぼくは主、イエス・キリストに仕えたいんだよ。」
きっぱりと求道者らしく彼は答えると、踵をめぐらせる前に、
「オーボアール。次に会った時は、信仰の事で話ができるようにね。」
と暖かく話しかけて矢のように彼女から離れて行った。
レズニスルはセーヌ川のほとりまで歩くと、暮れ行く空を見上げて、
(わたしより神様の方が、よかっただなんて。)
と嘆いたのだった。

アサン・モロンは神学校に入学した。校長のダニエル・レバシは校長室に彼を招いていた。半白の髪の毛をしたレバシは眼鏡を外すと、
「君は入学してくれると思っていたよ。わたしのモノは、君の女性への思いから解放する力があると信じていた。主は、いかなる方法を使ってでも神への道を良き僕(しもべ)に思い出させる。
二日前の君との行為は、素晴らしかっただろう。君の尻の穴は、君のペニスが女の膣で味わうよりいいものを感じたはずだ。」
と青い眼を光らせてアサンに優しく話しかけた。アサンは顔を朱に染めて、
「ええ、二日前の神父様との行為がなければ、私は神への道を忘れていたに違いありません。女性なんて股の穴で男を狂わせる邪淫な生き物です。私は、どうにか、それから逃れられました。校長神父様、どうか私を神の道に進ませてください。それから、時々でも神父様とのあの行為を、つまり私の尻の穴に神父様の固く大きくなった聖なるモノを入れてくださらん事を。」
アサンは椅子に座った校長の前にある机の前の床に跪くと、両手を組み、額に当てた。
レバシ校長は立ち上がると、跪くアサンの後ろに回り、彼のズボンの上から尻の穴のあたりを指でなぞると、
「時々、どころか、定期的にしよう。髪はもっと長くして構わん。私が許可するから。私の部屋には風呂もあるし、ワインをたくさん置いてある棚もある。ワインを飲みながら、風呂で君の尻の穴に入れると、天国を味わえるだろう。楽しみだな。」
「はい、ありがとうございます。校長神父様。」
アサンは、これからの修道生活に天国への期待をするのだった。

セーヌ河畔を、とぼとぼと歩いて行くうちレズニスルは古びた幅広の建物が眼の前に現れたのを知った。その壁に沿って歩いて行くと中から黒い修道服を着た三十歳ぐらいの修道女が出てきた。
控えめで目立たない彼女の姿は、いかにも神への従順な生活を送る女性にふさわしかった。レズニスルの悩みつかれた顔や姿を見ると、
「どうしました?とても悩んでいるようですね。」
と彼女は、慰めるように声をかけた。レズニスルは、
「ええ、シスター。わたし、とても悩んでいます。実は、心に思っていた男性が立ち去ったものですから。」
修道女は軽くうなずくと、
「よくある事です。あなただけでは、ありませんよ。実は、わたしも二十歳の頃には彼氏がいました。けれども、その彼は、お恥ずかしい話ですけども女たらしだったのです。それだけなら、なんとかできたかもしれません。ところが、或る日、彼は信仰に目覚めて神父になる事になりました。」
レズニスルは自分の場合との相似に驚いて、
「えっ、それは、わたしも・・・。」
シスターは十字を胸の前で切ると、
「こういう話は、外では、しにくいものですね。中に入りましょう。今、休憩時間ですから。」
そう言うと、右手で手招きした。レズニスルはシスターの後に従って、その女子修道院の門をくぐる。道の両脇には薔薇の花が咲いていた。玄関の両脇には白い百合の花が、我こそはと各々、咲き誇っている。玄関を入ってすぐの右側のドアの中が、応接室となっているらしく、レズニスルは古ぼけたソファに座るとシスターは差し向かいに座った。窓際には白い陶器のマリア像が飾ってあった。レースのカーテンの外は真っ黒になってきている。レズニスルは、そのシスターが救いのマリア様のように見えた。シスターは薄い唇を開くと、少し頬もこけている痩せた体を乗り出して青い眼で、
「神父様に、あなたの彼氏もなる事になったのですね。」
と、いたわるように話しかけた。
「ええ、そうです。よくある話ですか、こういうのって。」
身を反り返らせて、シスターは人差し指を右の頬に当てると、
「そうねえ。フランスはカトリックの国ですからね。男性は神父様になるのが一番だと思うのだろうし。」
レズニスルは、ほっ、とため息をついた。それから、うつむいて部屋の床を見つめていると、ススス、とその前に黒い影が動いた。見上げるとシスターが、左の隣に立っている。シスターは、右手をレズニスルの左肩に置いた。骨ばったその手は、しかし柔らかく感じられた。シスターの高い鼻の下の唇が動いて、
「彼が神の道を選び、独身を通すなら、自分たちも神に仕えて独身であらねばなりません。それでも、女の感覚器官は黙っていないけど、彼でなくても。」
シスターはレズニスルの両方の乳房を両手で素早く揉みながら、熱くキスしたのだ。キスを続けながら、シスターの手はレズニスルのスカートの中から黄色いパンティの中に入り、レズニスルのCON(おまんこ)を巧みな指使いで擦った。
ああ、レズニスルのCONは女性の手によって初めて開発されたのである。心の中でレズニスルは、(やめてください)と言おうとしたが、眼を上げるとマリア像が優しく微笑んでいるし、シスターも懸命に自分のCONを愛撫していた。その真剣さと、自分が感じる快感に彼女はソファに背を深くつけて、頭をのけ反らせてしまった。両脚は少し開いてしまう。それを見たシスターは、レズニスルの衣服を素早く剥がしてしまった。十九歳の彼女の白い全裸は、乳房も形よく突き出て股間の草むらは男性が見るとすぐに勃起するような形状をしている。縮れたcheveux pubiens(フランス語で陰毛。発音はシェボー プビエン)の下にはクッキリと割れ目が盛り高い淫丘の下部に顔を出していた。その割れ目にシスターは、すぐに口づけると割れ目の中に長いルージュ(赤)の舌を潜り込ませた。レズニスルは、
「a!han!bon!bon!」
と悶え声を上げたのだ。それは彼女の処女膜が破れた時でもあった。
シスターは少し流れた紅い血を見て、
「おーう、処女だったのですね。神の祝福です。」
と声を上げると、両手はレズニスルの両乳房を掴みながら両手の人差し指で両乳首を愛撫した。と同時に舌でレズニスルのCONを舐め続ける。
レズニスルは、天国に行くような快感を覚えていた。眼にチラチラと入るマリア像の微笑みは、処女懐胎したマリアがレズの喜びは知っていたのではなかろうか、と思わせるものに見えた。本当はマリアも処女で妊娠するものですか、とは心の片隅では思いつつ。
シスターは、ドアに行き鍵を掛けると着ていたものを脱いだ。修道女服の下は下着をつけていなかった。黒々としたシスターの陰毛がレズニスルの眼に鮮烈に焼き映る。シスターの胸は貧乳だった。
レズニスルの視線が自分の貧乳に注がれるのを感じたのか、シスターは、
「わたしの胸、乏しいけど。イエス様も貧しいものは幸いなるかな、天国はその人にあり。と仰ってるわよね。この胸、でも乳首は固く尖るのよ。あなた、吸ってくれないかしら。」
シスターは、レズニスルに覆いかぶさると、貧乳をレズニスルの口に当てた。乳首をレズニスルが吸うと、それはたちまち固く太くなった。口を開くと、
「本当ですね。あ、シスターのヘアが私のヘアにあたってます。」
「あなたも結構、剛毛ね。もう一つの乳首も吸って、A!HAN!セ、ボン。」
「プルクワ(何故)?シスターに、なられたのですか。」
尋ねるとレズニスルはシスターの赤い乳首を吸う。
「AA!HAN!男に、もてなかったからよ。貧乳って事もあると思う。あなたは大きなオッパイだから、これから男はできるわ。わたしの乳首、両方とも立ったから、これをあなたの乳首に当てて終わりにしましょう。」
シスターは、自分の乳首をレズニスルの乳首に当てると擦りつけた。微妙な感覚をレズニスルは感じると、いい気持ちになった。次にシスターに舌まで入れられるキスをされて、マンコをいじられてシスターは、立ち上がると修道女服を手早く身につけた。壁の大きな時計を見ていたらしい。その時、閉じたドアが外からドンドン、と叩かれて、
「シスター・メルネンコ、晩の祈りです。聖堂に来なさい。ついでに今の行いも懺悔するように。」
シスターは気をつけの姿勢で、
「はい、院長様、ただちに参ります。」
と答えると、レズニスルに向いて、
「帰りは、自分で帰ってね。アデメン、じゃなくてオーボワールかな?」
アデメンは又、明日という意味だ。日本語ではアドマと表記されたり聞こえたりする。シスターは、ドアの鍵を外して出て行った。

家に帰ると日本人の中年男性が応接間に来客していた。がっしりとした体格で、アレも太そうだ、と彼女は思ってしまった。父親の外国郁夫は、
「お帰り、レズニスル。私のビジネスの仲間の丸三商次君だ。」
と来客を紹介すると、その男は、
「はじめまして、丸三商次と言います。日本の福岡から来ました。私どもは、フランスのワインを取り扱っておりまして、こちらの「ソトクニ・トレード」さまとも末永く、お付き合いさせていただきたいと思っています。」
彼はレズニスルに頭を下げて、再び彼女を見ると、
「いや、これはお美しい。ビーナスのような美を持っていらっしゃいますね。」
と嘆賞すると父の郁夫が、
「いやなに、まだ学生ですよ。未成年者です。ビジネス専門学校を卒業したら、わしの会社で働かせようと思ってね。」
と先の計画を打ち明けると、丸三商次は眼を銀河系の星星のように輝かせて、
「それは楽しみです。ぜひ、お嬢さんが成人した姿を拝見したいものです。」
と意志を述べると、父親の郁夫は、
「ああ、もちろんです。福岡は私の曽祖父の出身地で、東京で事業を興しましたが、そのおかげで私もフランスに来て商売しとるのです。娘のレズニスルにも関係のない土地では、ないですからな。あははは、おい、レズニスル、丸三さんに挨拶しなさい。」
座っている二人のうち、丸三に顔を向けて、立ったまま彼女は、
「ボンソワール、ムッシュウ。レズニスル・ソトクニです。」
と乳首にむず痒さを感じながら自己紹介した。
こんな出会いで三年後、二人は結婚した。

新婚旅行は京都にした。福岡市で結婚式を挙げると新幹線で京都へ旅立った。三時間もしないで京都に着く。福岡市に比べれば古い建物も多いし、パリに比べれば街の美感も感じられない。
(古いだけが立派な事なのかしら、古都っていうけど。)
レズニスルは夫の丸三商次と京都を回りながらも、変な失望を覚えていた。どれも、これも古い。福岡市は、新しい。彼女は夫が福岡市の人間でよかったと思った。それに何かしら、
「・・・どす。」「・・・どすえ。」
って、人の話を聞いていると、最後はそう聞こえる。どすはDOSの事かしら、昔のマイクロソフトの製品にあったけど、今はWINDOWSのはずだわ。京都の人は古いのが好きだから、今でもWINDOWSを使わずにMS-DOSを使っているのかしら。それじゃ、
DOSえ、というのは何の意味だろうな、とレズニスルは思った。
そのうち、
「いいえ。」
という言葉が聞こえたが、これは日本語の「いいえ」なのだろうか。旅館の中年の女中が、
「明日は雨どすさかい、この部屋でゆっくりしてはったほうが、いいえ。」
と夫に話しているのを聞いてしまった。さかい、というのは大阪の堺だろうか、雨DOS堺、というのもよくわからないけど、
ゆっくりして這った方が、NON
というのもわからない。京都言葉はレズニスルには何のことやら、わからなかった。
博多駅で見送りの人が、
「ゆっくり京都ば、見てきんしゃい。」
とか言っていたが、あれもわからない。京都場って、どこにあるのだろう。見て金シャイ、ってシャイは英語なのは分かるけど。
窓の外は夕暮れだ。パリの夕暮れとは違うなあ。湿気っぽい日本の夕べ。夫と本格的に付き合うまで、あの修道院に時々行って、シスター・メルネンコとレズしてた。
シスターは外に出るときも、あの修道女服だから目立つし外ではレズはできなかったけど、女子修道院には長い歴史の中でレズのテクニックが開発されていったという誰も知らない事を教えてもらった。神に処女を捧げるといっても、やはり女の体。我慢できなくなる人達の方が多いらしい。もともと男性とつきあいのない人達ばかりだから、女のほうに興味をもってくる。先輩のシスターが後輩のシスターに対して、男役になるのが普通らしい。
シスター・メルネンコの話では、祭壇の蝋燭でオナニーしていた修道女もいた、とか。若いその修道女は、
「メルネンコ、祭壇の蝋燭は太いから、とてもいいよ。」
と感激していたらしい。
こういった修道院で、わたしは幾つかの秘儀も学んだけど。「ピアノマンコ」なんか使う時が来るかしら。

窓の外の夕闇を見ながら回想に耽っていたレズニスルに夫の丸三は、
「これから、ご馳走を食べて舞妓さんに踊ってもらうから楽しいよ。」
と彼女の肩に手を置いて告げると、
「それが終わったら、・・・でしょ?」
とレズニスルは夫を振り向いて聞く。丸三商次は逞しい自分の胸を叩くと、
「ああ、そうだよ。初めての夜だね。」
と自信ありげに返答した。

豪勢な京都料理が二人の前に並べられた。十二皿の小鉢にお吸い物、茶碗蒸し、それから白味噌雑煮というもの。
二人は、せかせかと料理を食べたが、レズニスルはどうも白味噌雑煮の餅が苦手なようだった。箸で餅をつまんだが、どうも上手く食べられない。夫の商次は、それを見て取ると、
「京都名物の白味噌雑煮はね、こうやって食べるんだ。」
と言いながら妻の傍に来ると、キスをして妻の大きな白い乳房を揉んだ。
「A!A!」
レズニスルは声を出して眼をつぶると、夫は
「眼を開けてご覧。」
と言うのだ。彼女が眼を開けると、丁度口の前に夫の巨大なモノの亀頭の上に白味噌雑煮の餅が乗っているではないか。彼女は、
「セ、ボン。」
と発音すると、夫のモノと餅を同時に口に頬張った。秘伝のだしが、フランス育ちの彼女にも、おいしいものとして口の中に感じられた。夫の亀頭の上の餅を口の中で滑らせて、彼女は口の中に入れた。夫は、
「おお、いいフェラチオテクニックだよ。気持ちよかった。」
と話すと、イチモツを浴衣の中にしまった。レズニスル浴衣なのだ。紫色のお揃いの浴衣を彼らは身にまとい、京料理を堪能した。舌太鼓をドンドンと、鳴らしたのだ。

しばらくすると障子の外から、
「踊り子はん、入れてもよろしおすか?」
という若い女中の声に、丸三商次は大声で、
「いいよー、食べ終わったけん。」
と答えた。レズニスルには、食べ終わった件、と聞こえた。
ガラリと障子が開くと、白い着物に紅い帯をして、顔には白粉を塗り髪は結い上げて、鼈甲のかんざしをつけた若い舞妓と三味線を抱えた着物姿の五十路の女が部屋に入ってきて、二人とも丸三夫婦の前の畳に三つ指をついて、舞妓が
「佳つ百合いいます。よろしゅう、お願い申し上げます。」
と細々と挨拶した。
舞妓は二つの扇子を手に持って三味線の響きに合わせて、踊り始めた。どうもフランスのバレーのような動的なところは、ないようだ。二つの扇子を広げてヒラヒラさせたり、横に少し移動したりと動く空間も狭い。それに、おしろいをつけた舞妓の顔は、どれも同じようなものだ。おしろいをつける事で、表情が均一化されるのだろう。

バレリーナの踊りなどでは、片足を高く上げたり、くるくると体を回転させたりする。それに比べれば舞妓の踊りは消費カロリーも少ないものだ。
佳つ百合の踊りもレズニスルには、物足りないものだった。

舞妓の佳つ百合と三味線五十路が部屋を出たら、レズニスルは夫にしなだれかかった。丸三商次は彼女の浴衣を剥がしにかかる。その時彼は、
「お、コンドームしないといけないな。」
と慌てて呟くと妻は、
「そんなのなしで、いいわよ。」
「いや、だめだ。子供はもう少し、あとにしよう。君の体が崩れるのはもう少し、先がいい。外に出て、買ってくるから。」
と言い残すと、夫は部屋を出て行った。
旅館の中にはコンドームの自動販売機など、あるわけもないので、滑りそうな廊下を歩いて玄関から商次は京都の町へ出てみた。
平日なので、人もそう多くはない。足早にコンドームの自販機を探す商次に近づいてくる男がいた。背は高く、ひょろひょろとした感じの男で歳は三十代後半か。頭は角刈りにしている。男は、
「旦那さん、おんな探してはるのと違いますか?」
と商次に柔らかな調子で話しかけてきた。商次は無視して通り過ぎようとするとガバと商次の腕を取り、
「なんの用か知りまへんけど、旅のお方でっしゃろ。そしたら、二度とない機会かもしれへん。ええ女、おりますのや。へへへ。ホテルで、できまっせ。」
商次は興味を惹かれた。自分の精力には自信がある。その女と一発やってからでも、妻のレズニスルとはセックスできるだろう。商次は顔をその男に向けると、
「いいねえ。いくらで、できる?」
「あ、そら、もう。十万円ですわ。」
「一般的には高いな。でも、おれも社長してるんだ。最近は風俗もデフレだねえ。政府は風俗のインフレを目指すとは、言えないんだろうな。京都て安いものだけが売りかと思っていた。ふーん、そんな女がいるのか。京美人なんだろう。」
伊達な角刈り男は揉み手をしながら関西弁で、
「そらーもう。最近は舞妓では、贅沢な暮らしがでけへんもんやさかい、夜はアルバイトしてますんや。そやけど夜のアルバイトの方が稼ぎ、ええらしいですわ。昨日は三人と寝て、三十万。手取りは七割やから二十一万、稼いだ子です。」
「淫乱じゃないのか。」
「いえいえ、まるで静かな湖のような、ええ女だっせ。みんなに長いコンドームさせますからな、ちんこの肉は彼女のオソソの中に当たらんのです。そやから、処女のような美さえあるんですわ。」
角刈り男は、商次の腕を取って歩き始めた。平安時代か、と思うような建物をいくつも過ぎると、高級めいたホテルについた。パリにあるような白の外観の様相は商次にフランスを思い出させた。
角刈りは、
「ここだんがな。待ってますわ、あの娘。あ、宿泊代はタダにさせてもらいます。」
それは手数料の三万円から負担するのだろう、と商次は思いながら角刈りと中に入ると、フロントは京美人が和服で立っていた。彼女は、えくぼを浮かべて、
「ようこそ、おこしやす。あちらに待ってはりますよ、彼女。」
と右手で待合場所のような空間を示した。ホテルもグルかと思いつつ商次が、そこを見ると、なんとレズニスルが・・・と思ったが、よく見ると日本的な面立ちは妻とは違った。彼女は明るく笑うと、黒の洋装で立ち上がった。舞妓には見えない感じだ。商次の方に淑やかに近づいてくると、
「行きましょ。」
鈴を振ると出るような音声で話しかけた。美声というのも、引っ張られるものだ。レズニスルの声と似ているから不思議で、自分のタイプは決まっているのかと彼は思った。逆三角形の体格で、外に出るときは黒縁の眼鏡をかけている商次は彼女の揺れる尻を見ながら、ついていった。
突き当たりの部屋に商次が後から入ると、彼女はドアを閉めて、
「先にお金の方をお願いします。」
と右手を出した。はいはい、十万円ね、と商次は三十万円入れている財布から十枚抜き出して彼女に渡した。それを受け取ると嬉しそうに、
「おおきに。うち、金持ちの方としかしませんの、あれ。」
と語り、自分のブランド物らしい白の財布にしまうと、肩にかけていたバッグに入れて、ベッドの頭の板に置いた。しかし、よくレズニスルに似ているものだと商次が思っていると、いきなり元気よく彼女は服を脱ぎ始めた。肌もレズニスルほどではないが、白い。彼女は黒のパンティとブラジャーだったが、それも外すと商次に駆け寄って彼の股間の膨らんだものをズボンの上から握り締めて、関西弁で、
「元気ええな。もう、こんなに立ってはるわ。特製のコンドーム渡しますよって、それしてね。薄いのやから、コンドームの感じしないと思いますよ。」
商次も脱いでいると、細長いコンドームを手渡された。彼女は、うふと笑うと、
「ちんちんの根元まで嵌めてくださいね。うちの純潔、守るため、しもらってます。」
とスラスラと説明する。十万で客とって何が純潔だ、と商次は思ったが、
「わかったよ。君のような美しい女性は、そうでないと。」
「あら、嬉しいこと言わはるのね。そんなら、コンドームせんといてもいいですよ。」
半立ちのチンコに長いコンドームを、かぶせかけていた彼は驚いて、
「本当か。」
「うちと結婚してくれはりますか?」
真顔になって彼女は、聞いた。
「いや、それはね。実は今日、結婚式して京都に新婚旅行で来てるんだ。重婚なんて犯罪になるしな。」
ふん、という顔を彼女はすると、
「そうなのやね。よく奥さん残して出てきはったわ。」
ぐい、とコンドームで覆われた商次のロングサイズを握り締めて柔らかな指でツーと根元から亀頭までをなぞった。気持ちよさに商次は、
「あー、柔らかいね。それに君は、ぼくの妻に似てるんだ。」
「そうやの。そしたら、奥さん思うて私を抱いて。」
「よし、そうしよう。」
ベッドに寝そべった彼女は、両脚を彼女の体に対して逆Tの字になるまで開くと両手を前に出した。黒いヘアは逆立っていた。ぱっくりと開いた彼女の膨らんだ切れ目に商次は完全包装されたロングなモノをズーンと埋め込んでいった。彼女は静かにゆらめくと、
「ええわー、ええですぅ、ちんこ最高。」
と透き通るような声を出した。商次は腰を振りながら、
「そうか、いいか、最高か。」
と彼女に顔を近づけて聞くと、
「うち、ミス京都なったんやけど、ああん、つきあってた五人の彼が選考委員にうちのセックス写真送ってしもて。あん、もっと擦ってええよー。」
と昔の事情を語ってくれた。彼女の大事な部分意外は、商次は自分の舌で舐め回った。一度抜いてから、彼女の足を片方ずつ持ち上げて足も指まで、しゃぶってみた。その粘着するような肌は二回目の勃起を彼にさせてしまったので、
「もう一発、いいかな、入れてしても。」
と彼女のオソソを舐め狂いながら聞くと、
「ええよ。夜の十二時までなら、何度やっても、かましません。そのための十万円どす。五回出した人もいたけど、あんさんのチンコが最高な気がする。」
商次は感激して、柔らかな彼女を抱くと二回目の挿入に腰を動かした。キスをしてやると、うっとりとした眼で、
「体の相性が、ええみたいや。あん、ええわっ。」
悶えると自分でも彼女は腰を振り始めて、
「ああーん、あん。」
とそれから連続的に悶えの美声を商次が二回目に果てるまで、あげつづけた。眼までレズニスルに似ていた。
(本当は、おれはレズニスルを抱きたいから、この女まで彼女にみえるんだろうか。)彼はそう思いながら腰の辺りが、こらえきれなくなって、大量に発射していくのを感じていた。

待っても待っても夫は帰ってこない。レズニスルは外に出てみようと思い、旅館の部屋を出た。廊下を歩くと、ばったりと突然先ほどの舞妓と出会ってしまった。佳つ百合は、おしろいを落としていたがレズニスルには彼女だとすぐに分かったので、
「佳つ百合さんですね。」
と彼女に声をかけると、着物を着た細い肩の彼女は嬉しそうに、
「ええ、そうどす。今日は、ここのお呼びが多いから、ここに泊まってますの。」
おしろいを落とした彼女は、矢張り白い肌で眉毛は細くて眼はパッチリとしていて、胸のふくらみは着物だから特に見えない。脱げば、わかるだろうけど。背は百五十六ぐらいで、レズニスルより小さい。レズニスルは百六十八センチは、ある。
「そうだったんですか。わたし、夫が今、いないから探しに行こうとしてたの。よかったら、部屋に来ない。わたし、フランスから来たばかりで不安なのよ。」
佳つ百合は可愛そうに、という顔をするとスススススと流れ滑るようにレズニスルに近づいて、
「よろしおすえ。」
「?」
よろし、オスえ、なのか、よろし、お酢え、なのか。そこで、
「お酢は、あまり好きじゃないのね。ノン、ノン。」
と言ってみると佳つ百合は、ぽかんとして、
「お酢なんて言ってませんよ。あなたの部屋に行っても、いいわ、と言ったんですけど。」
レズニスルは喜悦満面になると、
「アロール、行くわよ。佳つ百合サン。」
「ウイ、マドモワゼル、いや、マダーム。やってんかな、わからしませんけど。」
フランス人と日本人のハーフ、レズニスルについて佳つ百合は、しずしずと歩くのだった。

夫が帰ってこない部屋に男を連れ込むならともかくも、女の舞妓なら構うものかとレズニスルは思っていた。が、しかし女らしい佳つ百合は夫の代役にはならない。障子の外から女中の声が関西のイントネーションで、
「こんばんは。」
と聞こえた。
「ハーイ。ドウゾ。」
とレズニスルは気軽に応答すると、ガラリと障子が開いて着物を着た若い女中が現れると、
「お布団敷きます、ごめんやっしゃ。」
と断って押入れの中からフカフカそうな布団を二組、手際よく敷くと、
「高級な羽毛布団ですよって、気持ちええですよ。」
にっこりと白すぎる歯を見せて笑い、
「ほな、失礼します。」
部屋の中にいる佳つ百合をチラと眺めて、若女中は部屋を出る時に、
「もう朝まで来ませんさかい、部屋の鍵、閉めてください。」
と注意した。レズニスルは、
「ジュ、コンプラン(わかりました)。」
と答えて、女中が出てからドアに鍵を掛けた。

部屋に戻ってきたレズニスルに佳つ百合は、
「旦那さん、この中にいらはるんですか?」
と真顔で聞くと、いらはる、ってなんなのかわからないけど、ああ、夫ね、
「夫は出て帰ってこないの。遅すぎるし、どうなったのか分からないけど、でも、これからの時間は鍵をかけないと不用心でしょ。彼が帰ってくれば、わかるわよ。」
「そうどすなあ。それなら、心配あらしませんね。」
レズニスルには、佳つ百合のその言葉もよくわからなかったが、佳つ百合の膨らんだ胸を分かるのに言語は不要だった。レズニスルは立っている佳つ百合に近づくと抱きしめた。佳つ百合は驚いて、
「あっ、なにされますのん。」
と声を出したが、その言葉もレズニスルには分からないし、無視して構わないものだから、慌てる佳つ百合の赤い唇に自分の薄型の唇を重ねた。それで佳つ百合は眼を閉じた。佳つ百合の薄緑の上着はレズニスルの白い上着と密着した。
レズニスルは舌を佳つ百合の唇の中に差し入れながら、佳つ百合の長い髪を右手でもてあそぶ。髪から、乳房、オマンコへとレズニスルの右手は動いた。マンコをいじられると佳つ百合は眉根を寄せた。レズニスルは右手で佳つ百合の膝の裏あたりを抱き上げ、左手で佳つ百合の肩を抱いて寝室の羽毛布団に持ち込んだ。ゆっくりと佳つ百合をフワフワとした感触の布団に寝かせると、彼女の服を脱がせていった。佳つ百合は抵抗せずに眼を閉じている。やがて、中背の彼女の白い裸体がレズニスルの眼に映った。

熟女に優しい管理人 体験版

 いきなり玄関に入ってきた見慣れた顔に、主婦の美貴子は驚いた。美貴子は三十歳の福岡市の分譲マンションに住む、美人妻だ。口を尖らせると、
「チャイムくらい押してもらえませんか。」
と抗議すると、
「うっかりしてすみません。だけど防犯上、玄関に鍵を掛けておくのは当たり前ですよ。マンションの玄関はオートロックですけどね。それを確認する意味でも突然ですが、開けさせてもらいました。」
とその四十代のだらしなさそうな男は発言した。美貴子は納得して、
「そうでしたね。わたしが不用心でしたわ。でも、お向かいの北山さんも玄関に鍵をかけないとか言ってましたけど。」
フンフンと鼻を鳴らしながらその男は聞いていたが、背が高く肥満体の中年男性だ。
「北山さんにも注意しておきましょう。ただ、北山さんにではなく藤村さんに言わなければならないことがあります。おわかりでしょう。」
藤村美貴子は、そしらぬ顔をすると、
「なんですか。わたしには何の事か・・・。」
「ふん、わかっているくせに。先月の管理費を振り込んで欲しいんですがね。」
美貴子はあわてて、
「あと十日、待ってください。必ず振り込みます。」
そう言い訳をしながら、藤村美貴子は腰を動かした。主婦にしては短いスカートが揺れた。足を開いて立っているのでパンティの下のほうが中年男の眼に入った。男はごくりと生唾を飲み込むと、
「十日もすれば来月の分を振り込む日になります。オーナーの方から今日取り立てるように言われましてね。」
パンティの色は黄色だった、と男は思い返していた。美貴子は愛想笑いを浮かべると、
「まあ、上がってお茶でも飲んでいってくださいな。コーヒーを出しますから。」
「あまり時間はありません。この後、巡回にも回りますからね。」
「お手間は取らせません。お上がりください。」
美貴子は後ろをその男に見せると、屈んで豊かな尻を突き出すと台所に入ったようだ。男は、しぶしぶと玄関を上がった。台所からトレイにのせてコーヒーカップを運んできた美貴子はカーデガンを脱いで白の上着になっていた。メロンが二つ付いている様に胸は大きく膨らんで、ゆさゆさと揺れていた。豪華な応接セットのガラスのテーブルに美貴子はマイセンのコーヒーカップを置いた。立っている男に、
「どうぞ、お座りください。お粗末なソファですけど。」
男はそれに腰掛けた。すわり心地はとてもいい。マイセンはドイツの陶器で古い歴史を持ち、コーヒーカップには剣のマークがついている。二本の剣を交えた形が青色で描かれている。高価な代物で、ドイツのものは大抵なんでも高い。ベンツにしてもそうだ。カップ一個なら一万円と消費税といったところだ。これは2013年一月現在の値段で、アベノミクスという政策では値上がりするのかどうかは誰も何ともいえない。男はマイセンのカップを手に取ると、ぐいとコーヒーを飲んだ。カチャ、とカップを置いて、
「コーヒーぐらいでは待って一日ですね。奥さんが外出して、いなかった事にしておきましょうか。」
美貴子は喜びで眼を輝かせると、
「明日までには何とかします。」
男はマイセンのコーヒーカップの受け皿にも剣のマークが付いているのを見て、
「なんか高級そうなカップですね。管理費なんて一万千円ですよ。こんなものを買えるのだったら・・・。」
「いえ、これは結婚した時に友人に貰ったものなんです。」
そう言いながら美貴子は男に見えるように両脚を大きく開いた。世界最大の下着のメーカー、トリンプのパンティが大きく現われた。トリンプも又、ドイツの会社だ。美貴子はパンティを上に引き上げているのか、割れ目がくっきりと写っている。美貴子が素早く足を広げたので男は釣られてその部分を見てしまった。美貴子は足を広げたままである。そこから眼を外すと男は、
「そういえば奥さん。奥さんを前にぼく、昔だけどテレビで見た事ありますよ。アイドルグループだったかなー、たしかアフタヌーン少女とかいうグループ名だと思いますけど・・・。」
藤村美貴子は照れたように微笑むと、両脚を心持ち少し更に広げた。割れ目の形も左右に広がる。
「そう、でしたけど。結婚して夫の転勤で福岡市に来たんです。もう5年も前になるかしら。今では福岡市の街を歩いても誰もわたしに気づかないんですよ。」
男はニヤリとして、
「それなら貯金もたくさんあるんじゃありませんか。管理費くらいまとめて払ってもいいと思うけどな。ぼく、アフタヌーン少女のCDは結構、買ったんだけどね。」
「それは、ありがとうございます。でも、わたしの貯金も主人と一つにしてまして、主人が管理してますから。」
そう言いながら美貴子は両脚を開いて元に戻す動作を数回した。その度に割れ目のあたりがピクンピクンと動く。中年男はそこを見ると眼をそらせた。思わず見てしまったのだ、元アイドル歌手の股の付け根を。その価値は一万千円なのか、と男は考えたが、
「それでは、ご主人に連絡させていただきます。私の勤務時間は五時半までなので、ご主人の会社の方に電話しますが・・・。」
美貴子は狼狽すると、
「それは困りますわ。このマンションの管理費はわたしが毎月振り込んでいますから。修繕積立金もですけど。」
「修繕積立金は問題なく振り込まれています。実際の問題として、わたしの給料は修繕積立金からは出ないのですけどね。会社の方からは今月の私の給料から減額するつもりらしいですが、奥さんのとこだけなんですよ。」
男の顔は真剣味を帯びた。美貴子は関心なさそうに、
「それなら少し遅れても会社の方はいいという事なのですね。」
「そうではないと思いますけど。私としても安い給料の少しでも減ると大変なんですよ。」
美貴子は頭を深く下げて、
「すみません。明日までになんとかしますから。」
と言い訳した時に上着の上から胸の谷間が見えた。ブラジャーはしている。意識的に見せてくれたようにも見えた。男は立ち上がると、
「それでは明日、又来ますよ。」
と苦々しく吐き捨てると長身の肥満体を玄関まで移動させた。

男の名前は三船敏行という。福岡市の県立高校を卒業後、上京して不動産会社に就職した。バブルの時は羽振りがよかったが、バブルが弾けてその会社は倒産。別の不動産会社も採用してくれなかった。アルバイトから派遣に登録して働いたが政権交代で派遣の禁止により、仕事を失う。都営住宅も五十歳以上でなければ入居できず、都の住宅補助金を受けようかとも考えたが仕事に目途がつかないので故郷に帰ったのだ。そんな故郷でなんとか分譲マンションの管理人の仕事にありついた。福岡市の中央区大名に本社を構える繁売住宅という会社は主に分譲マンションの販売管理を行う大きな会社だ。元は早良区(さわらく)で賃貸住宅の仲介をしていたが、小さな分譲マンションから始めて成功すると、福岡市のあちこちにお城のような巨大な分譲マンションを建設していった。福岡市はかなり前から一戸建て住宅を建てる土地は中心に近い場所はなくなっていた。近郊の筑紫野市などが建売住宅が販売されてはいるものの、通勤には時間がかかるため、市内の中心になるべく近いところに住みたい人が多いために分譲マンションがすぐに完売する現況で、繁売住宅も大いに儲かっている。他には東京からの分譲マンション会社のものも少なくはない。ライオンズマンションやダイアパレス、東急、三井パークホームなどが眼につく分譲マンションだ。
三船敏行も四十歳になる。管理人になるには早い年齢だが、他に仕事は見つからなかった。彼の担当している博多区の博多駅から南の巨大な分譲マンションは建築されて新しい。とはいえ分譲マンションなので主婦の年齢は三十代後半が主で、藤村美貴子は若い方だ。三船は美貴子の部屋を出てからも彼女の黄色いパンティが目の前にチラつくのを意志の力で振り切りつつ、管理人室に戻った。
 藤村美貴子はエリート会社員の男性と結婚して芸能界をやめた。結婚生活は五年になるが子供はまだいない。そのせいもあってか、貯蓄するより浪費する事がなかなかやめられないでいた。歌手だった頃より少し太ったので、博多駅近くのエステサロンに行ったりアマゾンでダイエットサプリメントを購入したりしていた。その購入も一時にかなりのものを買ってしまう。芸能人の多い無料ブログでブログも作ってみたが、文章を書くのが面倒になって閉鎖した。ひとつはアクセス数が少なかったのも原因で、今は彼女が属していたグループより別の四十人以上いるグループに注目がいっているためのようだ。ステルスマーケティングを頼まれる事もなかったので幸いだとは言えるのだが。
 夫の拓郎は深夜に帰宅する。エリートな彼には仕事が山ほど押し付けられる。
「ただいまあー。」
疲れきった夫の声を玄関で聞いた美貴子は、
「お帰りなさい。今日も晩御飯は外でだったのね。」
「ああ、取引先との接待でご馳走を食べたよ。」
「そーお。なら、ベッドの中でのご馳走はまだ食べれるわよね?」
美貴子は豊乳を拓郎の背中に擦り付ける。
「今日はいいよ。土曜の夜ならできるかもな。」
美貴子は失望をあらわにすると、
「はやく食べないと腐っちゃうわよー。」
と投げかける。ハンサムな拓郎はにこりともせずに、
「風呂に入ってくるよ。」
と言うなり美貴子から遠ざかった。先にベッドで寝ていた美貴子の隣に拓郎がパジャマ姿で入ってくると、
「おやすみ。」
と言うが早いか眠ってしまった。美貴子は夫のモノにパジャマの上から触ってみたが、そちらもすぐに眠ってしまったらしい。

安い家賃の木造アパートに帰った三船敏行は万年雪のような布団に入ると眠ろうとしたが、昼間見た藤村美貴子の黄色いパンティを思い出すと股間に血液が集まってくるのを感じた。少しの時間で、敏行のモノはカチンカチンになった。
(今頃、藤村のやつ、旦那とセックスに励んでるんだろうな。あの時見えた割れ目に突っ込んでなー。)美貴子の上で腰を激しく振っている男の姿を敏行はボンヤリと想像してみた。

次の日、三船は藤村の部屋へ朝から集金に行った。ドアノブを回したが、鍵が掛かっていた。チャイムを鳴らすと、
「はーい。」
「管理人です、おはようございます。藤村さん。」
「今あけますね。ちょっと待ってください。」
昨日より若やいだ声がした。ガチャと音がしてドアが開く。取っ手を握って中に入った三船は、下着姿の美貴子を見てしまった。思わず股間にエネルギーが集まりかけるのを制して、
「奥さん。着替えの最中なら開けなくてもいいですよ。待ちますから。」
扉の外に出かかる三船に美貴子は近づくと、管理人の制服に右手をかけた。
「ドアを閉めてくださいな。通りかかった人に見られますから。」
三船は慌ててドアを閉めた。美貴子は三船の肩を引くと、
「あがってください。」
と言いながら左手で軽く三船の股間に触れた。美貴子は嬉しそうに、
「元気がいいですね。朝から。」
三船は答えようがなかった。美貴子の甘い匂いが鼻にかかってきた。ボンヤリする頭を左右に軽く振ると、
「すみません。あの管理料をお願いします。」
美貴子は今度は右手でぐうっと三船の股間を握ると、それはますます膨らんだ。
「奥さん、やめてください。これ以上、触られたらぼくは、もう・・・。」
「うふふ。主人はとっくに出勤しているわ。わたしたち最近、セックスレスなの。だから、管理人さんにストレスを解消してほしいのよ。」
美貴子は三船の腰に左手を回す。右手は三船のモノを握ったまま、
「靴を脱いであがってよ。管理人さん。」
三船はそのままの姿勢で靴を脱ぐと、部屋に上がった。美貴子の右手にペニスを握られたまま三船は歩かされた。美貴子は止まると、左手でドアを開けた。そこは夫婦の寝室だった。甘酸っぱい香水の匂いが三船の鼻の穴から入ってくる。三船の股間は管理人の制服のズボンを破りそうだった。美貴子は、
「ズボンを脱がせてあげる。」
両手でベルトを掴むと外して、フックも外し、チャックを下げた。三船の黒いパンツが出てきた。小さなバナナが中に入っているようだ。美貴子はそのパンツも降ろすと、ついに管理人の天空に向かった肉根を眺める。
「まあ、主人のより大きいわ。食べたくなっちゃった。」
彼女は三船のフランクフルトソーセージに、しゃぶりついたのだ。管理人は、
「あっ、だめです。奥さん、イキそうです。」
と声を出すと、腰を震わせた。美貴子の甘い舌を自分のモノに感じて三船は、
(これが藤村美貴子の舌なのか。なんという滑らかな動きだろう。ああっ、おれはこんな事をしていいのだろうか。)窓の方を見るとカーテンが、かかったままだ。部屋には灯りがついている。あまりに明るいため、朝の太陽光と思っていたのだ。美貴子は舌を這わせながら、三船のきんたまを右手で撫でた。その瞬間、三船は、
「あああっ、奥さん!藤村さん!」
と小さく叫ぶと、生ぬるい液体を勢いよく美貴子の口の中に発射していた。それは美貴子の口の中にビシャッとかかった。美貴子はだらんとした顔で、その液体を飲み干している。
「おいしいな。管理人さんも気持ちよかったでしょ。」
「はい。あ、あの藤村さんの舌って滑らかですね。」
「歌手だったからじゃないかな。ボイストレーニングの時、男の先生のペニスをよく口に含まされたわ。そのまま、メロディを口ずさんだ事もあるの。女性歌手って結構、そんな訓練してるみたいよ。アフタヌーン少女のメンバーもみんな作曲家の先生のちんこをしゃぶってるし。そうしないと曲を提供してやらないぞ、なんて言われたりしてね。わたしたちも若かったし、作曲家の先生のアソコにも興味があったから、進んでしゃぶってみたんだ。なかなかの味がしたわ。そうするうちに、アフタヌーンも売れ出したっていう事なのよ。」
美貴子はその頃を回想する。

初老のその作曲家は自宅のマンションの防音設備が整った部屋でピアノを弾きながら美貴子を指導していた。美貴子が誤った音を歌うと、
「だめだめ。そんなノドじゃ、素人だ。今から、プロの歌手としてデビューする。そのためにはな、特訓が必要だ。」
部屋の中には美貴子とその作曲家だけだ。白髪が少し混じったその男は、
「特訓についてくる勇気はあるか。」
と美貴子に聞いた。美貴子は有名な歌手になれるのなら、と思い、
「はい、がんばりますのでお願いしますっ。」
と元気よく答えた。男はうなずくと、ピアノの椅子に座ったまま美貴子に姿勢を向けると、右手でズボンのチャックを引き下げ中からダラリとしたモノを出した。それはまだちいさなソーセージのようなものだった。美貴子はハッとしたが、平静を顔に装った。作曲家は美貴子の眼を見ると、
「どうしてるんだ。咥えなさい、私のちんこを。」
と促してくる。美貴子は、きゃっ、恥ずかしいなどという反応はせずに思い切りよくそのソーセージを跪いて口に入れた。アンモニアの匂いが少ししたが、ソレは少しずつ大きくなってくる。やがてそれは美貴子の口の中に広がった。男は満足そうに、
「君は舌の動かし方がうまいようだね。いい歌手になれるよ。そのまま続けていい。そうだな、今練習している曲をハミングしてみなさい。」
美貴子は新曲を作曲家のモノを咥えたまま、ハミングした。男は、
「よーし。なかなかいいよ。こういった訓練はいずれ役に立つ。テレビ局のプロデューサーやディレクター、それから業界の大物に求められた時もためらってはいかんよ。スターダムにのし上がるには、こういった接待が必要なのだからね。それを知らん若造はアイドルになればキャーキャーと騒いでくれるが、それが君たちのビジネスだ。うっ、おおー、もう久し振りだなー。出すよ、出る出る、打ち出の小槌。」
作曲家は身をのけ反らせると美貴子の口の中に緩やかに放出した。美貴子は吐き出すとまずいかな、と考えて全部それを飲み込んだ。それを見た作曲家は大満足のようだった。後年、その作曲家は美貴子のソロアルバムの曲を全部作ってくれた。

ハッと我に返った美貴子の前で、管理人がズボンのベルトを締めているのが見えた。三船は、
「藤村さん。今月の管理費はいいですよ。ぼくが出しておきますから。」
と提案すると、美貴子はしめしめという顔をして、
「そうしてもらえると助かります。これ位でいいのかしら。」
「もちろんですよ。デリヘルはもう少しするし、て、それと比較してはいけないと思います。ただ、風俗の女性は中洲でも三十歳未満が常識です。」
「あら、それならわたしは失格ね。もう三十だもの。」
「普通の三十歳とは違いますよ、藤村さんは。」
「嬉しいな。ああ、カーテン開けますね。どこからも見えないし。」
「失礼します。藤村さん。」
そそくさと、三船は玄関に移動した。その日は五時半にいつものように管理業務は終了したが、それから中央区大名にある繁売住宅の本社に藤村家の管理費を三船は届けに行った。というより、近くのゆうちょのATMで自分の口座から一万千円を卸して持っていったのだ。
本社一階の業務部で三船は、
「サンパール博多駅南の藤村さんの管理費ですが、奥さんに直接預かってきました。奥さんが忙しくて振り込めないとの事でしたので。」
業務部の若い女性が三船に近づいてくると、三船が差し出したお札を受け取り、
「社長が三船さんが来たら、社長室に来るようにとの事です。」
と事務的に話す。三船が戸惑うとその女性は続けて、
「社長室は最上階の十階です。エレベーターで行けます。」
三船は踵を返すと、エレベーターで社長室に駆けつけた。社長室のドアの横にパナソニックのテレビドアフォンがあった。それを押すと、
「三船さんですね。お入りください。」
秘書らしい女性の声がする。管理人服の三船の姿は社長室の秘書の机の上にあるテレビパネルに写っていた。三船が中に入ると、秘書の席のすぐ後ろにある大きなデスクに座った人物が社長だった。六十代に見えるその姿は、でっぷりと太って血色がいい。まん丸顔の社長は立ち上がると、
「やあ、三船君。集金、ご苦労さん。君に話しておく事がある。応接室に行こう。」
社長は部屋を出ると、三船を手招きして隣の応接室に入った。三船もその部屋に入ると、ドアを閉める。自動的に外のドアの上のほうにあるランプがついて、
「来客中」
の表示が出た。社長は背広姿にネクタイでソファに座ると、
「まあ、かけたまえ。」
「はい。」
三船が社長の真向かいに座ると、社長は上着のポケットからハバナの葉巻を出して火をつけた。一本を三船に手渡し、
「ライターは持っているか。」
「はい、百円ライターを持っています。」
社長はにや、と笑うと、
「私がつけてやろう。ダンヒルの金だ。」
テーブルの上に置いた豪華なライターで三船に葉巻の火をつけてやった。三船は恐縮して、
「恐れ入ります。こんなライターは初めて見ました。」
社長は得意そうに、
「そうだろう。65400円もする。君もいつか持ちたまえ、な。」
「わたしなど、とても・・・。」
「まあ、まあ。夢は持つものだよ。私もね、小さな場所でやっていた不動産の仲介業者だったけど、倹約して分譲マンションを建てていった。最初のうちはただ、次のマンションを建てるために資金を残すので精一杯だったし、ダンヒルどころか、もらいもののマッチで「わかば」を吸っていた事もある。何十年も経つと、どうにかここまできたのさ。君が自分の金で藤村さんの管理料を持ってきたのも分っているよ。」
三船は驚愕の顔つきで、
「どうして、ご存知なのですか。」
「いやね、藤村さんから電話があったんだ。十日もすれば返すという事だった。それからね、藤村さんのたっての希望で、藤村さんの修繕積立金は半額になったからね。」
「はあ、それは了解しましたが、でもお得ですね。」
「そう。あるプランを提案したんだよ。管理量も払うのに困っているのなら、と思ってね。」
三船は好奇心がムクムクと起こり、
「そのプランってどんなものなんですか。」
「今のところは、まだ君には秘密だ。そのうち話す事もあると思うよ。ご主人も了解済みだそうでね。」
謎のプラン、なんなのだろうと三船は思ったが、他人事でもあり社内秘でもあるのなら自分のような一管理人が知るべき事ではないだろうと思い、
「その件も覚えておきます。ただ、入金チェックは私がする事ではありませんし。」
「そうだな。本社でやっている。今日は、君の管理人としては稀な行為に私から礼を言おうと思ってね。」
柔和な笑みを浮かべた社長の顔は、いい人柄が滲み出ていると三船は思った。社長は葉巻を吸うと、オニックスの灰皿に置き、-そのオニックスの灰皿は縞目模様の天然石だ、
「今日はゆっくりと葉巻を吸って帰りなさい。」
「はい、有難く頂戴いたします。」
「ふむ。君は管理人には勿体無いな。私は管理人さんをすべて知っているわけではないから。」
「いえ、私などは人生の落ちこぼれですから。」
「なにを悲観的な事を。君はまだ四十歳なのだろう。これからだよ、本社の仕事もやってもらうように考えておく。」
三船は葉巻を吸うのを止めて、
「本当ですか、社長。そんなにいい話、夢みたいです。」
「私がウソをついて、どうなるかね。しばらくはもう少し管理人業務に励んでくれたまえよ。」
「はいっ、社長。」
その日はアパートのぼろい部屋も気品が現れたような気に三船敏行は思ったのであった。

 次の日も三船はサンパール博多駅南の管理人室で掃除の後の午前中をボンヤリと管理人室に座って、過ごしていた。目の前を住人の一人が通り過ぎるかと思うと、三船に気づいて、その三十代前半の女性は声をかけてきた。中背だが肉感的なスタイルの二重まぶたの色気漂う雰囲気で、
「管理人さん、今日仕事が終わったらヒマですか?」
「ええ、ヒマではありますがね。」
「五時半に終わるの?ここの仕事。」
「ええ、大抵はそうですよ。」
「じゃあ、迎えに来るから待っててよ。」
「え?ええ?」
三船が何か言おうとすると、その女性はオートロックを開けてマンション内に入った。(どういう事だろう。でも、待ってないといけないかな。)三船の頭の中に社長の-業務に励むように、という声が聞こえた。(これも業務かあ)と思ってみたのだ。それから集合ポストの前に行き、大きなゴミ箱に捨ててあるチラシを更に大きな収納箱に入れる。たまったら廃品回収業者を呼んでトイレットペーパーに交換してもらう。そのトイレットペーパーは管理人室の便所で使う。この集合ポストのチラシを住民が捨てるのを嫌って、つまり何もしたくないからだが、チラシを禁止している分譲マンションが多いのはご存知だろうか。こういった事もしないマンション管理会社や管理人は究極の怠け者である。が、かなりあるのは事実。こんな分譲マンションに入居している住民はチラシを拒否しているために情報弱者となっていくのは必定なのだ。三船の勤める繁売住宅では、サンパールマンションのすべてにこのゴミ箱を設置している。こういった良心的な分譲マンションは実は少ない。であるからして、チラシ禁止の分譲マンションに入居したら出世は望めないものと思ってよいだろう。チラシ一枚も情報なのだ。今の社会で何が流行っているのか、売れているのかさえ掴めない様では、この社会で成功することなどあり得るはずもない。
それが終わると、マンション前の緑地に水をやって、マンション内に入ると全部の通路を歩いて行くのだ。
「今日も異常はなかった。」
管理室に戻って三船敏行は呟く。それからズボンのポケットに手を入れて、さっきゴミ箱の中から見つけた一つのチラシが入っているのを確かめた。それは、風俗のチラシだ。実はこれは、福岡市の条例で配るために持つ事さえ不法であるとされている。デリヘルのチラシである。三十分、一万二千円からある。そのコースはフェラチオして終わりだが、オプションもついている。ディープキスだのアナルセックスとか追加を頼めば料金も上がる。敏行はこのマンションの近くの古い木造アパートに住んでいるので持ってかえって、ジックリと眺めるつもりだ。彼は独身なので風俗には精通している。アフター5:30にはマンションの住民は敏行を見る事もない。が、今日の五時半にはあの女性が迎えに来るという。で、五時半になった。敏行は管理人室のカーテンを閉める。マンションの玄関外で待っていると、
「お待ちになったかしら。」
と問いかけるのは、あの女性だ。
「いえ、待ちません。」
「そう、それなら大通りに出ましょう。」
二人は車が常に通る四車線の道路に歩いて行った。その女性は、車道に近づくとタクシーを止めた。黄色いタクシーは、すぐに止まった。その女性は後部座席に先に乗ると、
「乗ってくださいよ。」
と笑顔で誘うので、敏行も乗り込んだ。女性は、
「宗像のホテルまでね。」
運転手は、
「宗像のホテルって、いっぱいありますよ。」
「宗像に着いたら、わたしが道を言うわよ。発進してね。」
「わかりました。」
宗像とは福岡市の北東にある人口九万六千人ほどのベッドタウンだ。住宅がある以外は水田ばかりの所と言えば分りやすい。タクシーはまずは福岡市東区へ向かう。敏行の右に座った女性は、
「自己紹介もしてなかったわね。神具瑠真子(しんぐ・るまこ)って言います。シングルマザーなのよ。中洲でキャバ嬢してるからー、あのマンションもパトロンにキャッシュで買ってもらったのね。福岡市の財界のおじいさんだけど、月に二回訪ねてきてセックスして帰っていくのよ。」
敏行は前の運転手が聞いていたら、と思ってバックミラーに映る運転手の顔を見たが表情を変えない。それならと答えて、
「月に二回って・・・そんなもんでしょうね。」
「他に二回は別の女のところに行ってるみたいよ。だから、毎週一回はイタシテイルのよ。」
「へええ。なかなかの方ですね。管理人室からはお見かけしませんが。」
「六時過ぎに来るから、見ないでしょうね。奥さんはもう、おばあさんらしいわ。奥さん公認だから、気楽みたいよ。」
敏行は自分の股間に瑠真子の左手が置かれるのを感じた。爪にはマニキュアで、色は黄緑色だ。ネイルサロンで手入れしているのだろう。瑠真子は左手に力を入れると、
「でも、わたしも月に二回じゃあ物足りなくってさ。管理人さんは普通の管理人より若いようだけど、と思って。独身なんでしょ?」
「そうです、よくわかりましたねー。あうっ。」
瑠真子の左手が敏行のモノを掴んで左右に動かしたのだ。
「水商売ならそれくらい見抜かないと、やっていけないわよ。わたしナンバーワンなのよ、指名でね。あら、もう硬くなってるのね。たまりに溜まった山奥のダムってところなのかなー。」
敏行は半年前に中洲のピンサロで連続三回抜いてもらってから、射精していなかった。それを答えるわけにもいかないので黙っていると、
「わたしも、この前じいさんが来てから十日たってるし、中年のあなたの方が魅力的だわ。おっぱい触ってよ。」
「い、いや、こんな場所では・・・。」
瑠真子は左手で敏行の右手を掴むと、自分の左胸に当てた。見た目より豊満な感触だ。特につかまずに当てていると、
「握ってみてよ、あ、はーん。もっと強く。あなたのモノも力強くなってる。ホテルまで我慢してね。」
外は箱崎から名島に向かう道路で歩道の人は多くはない。国道に沿って歩く人はそういないのだ。敏行はゴムマリを掴んで遊ぶように瑠真子の左の乳房を揉んでみた。はあはあ、と瑠真子の息遣いが荒くなる。彼女は敏行のズボンのチャックを降ろすと巨根を取り出した。そのコーラの瓶のようなものを見て、
「すっごいなー。これなら、ホテルに着く前に一発出しても大丈夫だわね。」
瑠真子はポンっと飛び上がると、敏行の膝の上に乗った。それから足をタクシーの床につけてスカートの中からパンティをずり下げると素早く自分の秘密の部分に敏行の瓶を当てると自分で腰を沈めて貫通させた。
「あああん、いいっ、すごい、すごーい。」
瑠真子は大声で悶えまくった。運転手の耳に届かないはずはない。しかし、運転手は安全運転を続けている。敏行の左の目には窓ガラスを通して流れる香椎の町が見える。香椎神宮は右手に数百メートルのあたりにある。古く大きな有名神社だ。瑠真子の左目はそちらの方を向いていた。
「ああ、香椎神社の近くねえっ、おまんこいいわっ、まんこ、いい。もっと突いていいのようっ!神社で、ああ・・・わたしのマンコ、締まってる?」
敏行は右目で窓ガラスの外を思わず見ながら、
「はいっ、締まってます。香椎神社も閉まってますよ、もう。ううーん。」
瑠真子が激しく腰を振り始めたのだ。敏行はすぐにイキそうになるのをこらえていると、タクシーの車内は瑠真子の愛液の匂いが充満した。バックミラーに見える運転手の顔の唇は笑っているように歪んでいる。信号が赤になってタクシーが停止すると、歩道の人は車内の様子には気づかないようだ。瑠真子は動きを止めている。青になって発車すると彼女は腰を動かし始めた。瑠真子は断片的に喘ぎ声を洩らしている。今まで黙っていた運転手が口を開いた。
「白バイが走ってきてますよ。捕まっても知りませんからね。」
瑠真子の耳には聞こえなかったようだが、敏行の耳には聞こえた。それで、
「瑠真子さん、一旦、ああ、やめませんか?」
「いい、時にやめられないわよ。公然な行為じゃないでしょ、だから白バイも気づかないわっ。」
白バイはタクシーの左側を通過していった。前方のバイクのスピード違反を追いかけていたらしい。そのバイクが白バイに呼び止められ停車したところをタクシーは楽に通過していった。それを左眼で見て安堵した敏行は熱い液体を瑠真子の体内に放出してしまった。ビクッと体を震わせると瑠真子は腰の動きを止めて、敏行にキスをすると体を離して後部右側の座席に戻る。パンティを元に戻すと、
「運転手さん、すみませんでしたね。わたし、欲求不満で場所も弁えずに。」
「あはは。いいんですよ。最近はよくある事です。昨日なんか、三人のお客さんが乗ったんですが、後ろに男女一名ずつと、助手席に女のお客さんです。やっぱり長距離だったんですけど、後ろの方達がやりはじめたのは気にしなかったんですが、私の隣の女性のお客さんが私の・・・その、股間に手を伸ばしたんで、びっくりしました。それだけは、やめてもらいましたけどね。短大生とかいう長髪のおとなしそうな人だったから、人は見かけによりませんね。私は熊本出身ですけど、福岡市の乗客って・・と熊本の同業者に携帯電話で話したんですけど、そしたら来月に私のタクシー会社に転職するって言うんです。」
後部座席の二人は黙って聞いていた。
「そういう事って、最近よくありますよ。初めてじゃないからもう動転はしないとですよ。熊本でタクシーを運転していた時は流石に、いませんでしたけど。そういうお客さん。福岡ってすごいなあ、と思いますたい。」
敏行は質問してみた。
「その後ろの方も学生さんでしたか。」
「いや、その二人の人達は若い会社員の男女でしたね。男性は背広にネクタイだったし。あ、福岡市を出ましたよ。」
古賀市に入ったのだ、突然に田舎めいた雰囲気の景色となる。田畑が見えるわけではないし、町らしい建物は続いているのだけども何処となく福岡市とは違う感じがある。この古賀市に山崎パンの工場がある。国道から見えるような所にはないのだが。宗像市に入ってからは瑠真子が道を運転手に指示して一軒のラブホテルに到着した。瑠真子はラブホテルの入り口で、
「休憩にしておきましょう。」
と話しかけると敏行の右肩を叩いた。首を素直に振って敏行は同意した。宗像のような小人口の場所でもラブホテルは四、五軒はある。宗像市内にも不倫カップルはいるだろうし、それ以外の場合にも使われるために存続しているという状況である。今の社会は不景気であると言われる。が、しかし宗像にラブホテルがあるという事は本当の意味で不景気なのか、と問いたいものではあろう。というのも休憩だけでも三千円から四千円位はするものだからだ。不景気を嘆くのは職業の選択を誤っているのではないだろうか。滅び行く産業というのはいつの時代にもあるものである。
 宗像のそのラブホテルは広々とした部屋であった。潰れないのもサービスの良さなのか、フロントでドリンクを二本、二人はもらったが部屋に入って瑠真子が、
「これ、精力ドリンクよ。さすがにいいサービスしてるわねっ。」
と笑顔の波を漂わせる。敏行もうなずくと、それの栓を開けて一気に飲む。途端にムズムズと股間の辺りがしてきた。瑠真子もうまそうに飲んでいる。顔を紅潮させると、
「女のわたしには、こういうの効くのかな。初めて飲んだけど。」
ベットサイドのテーブルには小型の機械がある。それに気づいた瑠真子は、
「これ、美顔器だわ。使ってみるか。」
手にとって顔にローラーを当てて、
「なかなか、いい感じだわ。もう一つあるけど、これは・・・。」
「バイブですね。中々大きいものです。」
敏行が続けて発言した。彼は瑠真子の隣に立っている。瑠真子はクスっと笑うと、
「あなたのモノの方がこれより大きいわ。これを使う必要はないでしょ?」
「えへへへへ。」
ベッドに座ると目の前に大きなビデオ再生の画面がある。瑠真子は、それに近づくと、
「お金入れなくてもいいみたいよ。見放題だって。有名メーカー目白押し、SODクリエイト、プレステージ、ベイビーエンターテイメント、h.m.p、ラハイナ東海、Waap、桃太郎映像出版、オフィスケイズ、MAX-Aらしいわよ。」
「AVのメーカーは三百社以上ありますよ。もっとあるはずですが。」
「ここのは表示されてるのは、これだけだけど。一度アダルトビデオ見ながらやりたかったんだあ。パトロンは嫌がって、してくれなかったけどね。」
「ぼくは、構いませんよ。新鮮味はあると思いますよ。」
「よかった。つけてみるから。」
瑠真子はSODクリエイトのチャンネルを選んだ。素人ものが映し出される。出演している女性が裸になるのと合わせて瑠真子も裸になり、セックスを始めると瑠真子も敏行にしがみついてくる。映像の中の体位と同じ体位で敏行と瑠真子もセックスして、男優が顔射の体勢に入ると瑠真子は、
「あなたは中に出していいわようっ!」
と声を上げたので敏行は、
「ああっ。」
と抜かずに二発、中出ししてしまった。それでもチンコは中々小さくなるのには時間が、かかった。

帰りのタクシーでは瑠真子は前の助手席に座り、十分位して運転手の股間に右手を当てたが運転手は何も言わない。瑠真子はズボンの上から運転手のナニをこすり始めると、
「海に突っ込みかけた事がありましてね。彼女とドライブしていると、海ノ中道海浜公園に行ってたんですけど。彼女がズボンのチャック開けて、ぼくのパンツの上から握ったんです。止めさせたから、海に落ちなかったんですけど。」
と静かに語ったので、瑠真子も手を離したのだった。タクシーは静かに走行して、博多駅を通過した。帰りは早く感じられるのは、夜になったので夜景のために眼が追う対象が少ないせいかもしれない。瑠真子は自宅のマンションの少し前にタクシーが来ると、
「ここで停めて。管理人さんも、ここでいいでしょ。」
そこは三船敏行のアパートの近くだったので好都合だ、
「あ、この辺が助かります。」
タクシーは停まり、瑠真子は料金を払った。二人が降りるとタクシーの運転手は笑顔を浮かべて、ハンドルの近くの冷蔵庫らしきボックスからキリンの一番搾りを取り出すと窓ガラスを開けて、
「お客さん、ビールでも飲んでください。おつりもらったのが多すぎるから。」
瑠真子に呼びかけて、彼女はその冷えた缶ビールを受け取ると、
「これは結構なものね。わたしいつも仕事で飲んでるから、管理人さんにあげる。」
敏行に渡した。のどが渇いていた敏行は、その缶ビールを開けて飲み始めた。瑠真子は敏行に、
「これから時々行きましょうよ、長距離ドライブに。今日みたいに費用はすべてわたし持ちでいいから。泊まりはできないの、わたしシングルマザーだから。じゃあ。」
そういえば、そんな感じだと酔いが回り始めた敏行は瑠真子の黒い服を後ろから見ながら思っていた。部屋に帰ると六畳の部屋でポケットからマンションのゴミ箱の中にあった風俗のチラシを見ると、(今日はもちろん、一週間は持ちそうだな、性欲は。)と思い、それを部屋の片隅に放り投げた。敏行は福岡に帰ってから未だデリヘルを呼んだ事がない。自宅に来られるのも何かと都合がいいとは思えない。2005年頃に風俗のチラシ、主にデリヘルだが福岡市は市の条例でこれを禁止してからというものデリヘル業者はインターネットでホームページを作って宣伝するしか手がなくなったのである。敏行のアパートは木造ではあるがインターネットは光ファイバーを無料で見れるタイプなので、福岡 デリヘルで検索すれば四百十六万件も出てくる。もちろん四百十六万もデリヘル業者がいるわけはないので、いかに多く紹介されているかという事になる。
 ネット上でも福岡のデリヘルは評判がよく、出張で福岡に来たビジネスマンも利用しているらしい。だが、これからの敏行にデリヘルが必要かというと、もしかしたら瑠真子の誘いの回数によっては不要となるに違いない。勤務時間外にマンションの住民とナニをしようが問題ないではないか。何をしようが、というのが普通の場合ではあるが。敏行はナニを瑠真子とするわけである。そういえば、あの元アフタヌーン少女の藤村美貴子とも今後又、何かあるのかもしれないし。思えば金に恵まれない敏行ではあるが、サンパールマンション博多駅南に勤め始めてから女に不自由しなくなるみたいだ。確かに自分は仕事に恵まれないから金にも恵まれない。だけども・・・敏行はパソコンを立ち上げてポータルサイトのニュースを見ると、資産家の夫婦が惨殺された事件が出ていた。五十代の夫と年下の妻で高級車を二台も乗り回していたお金持ちだったが、首を絞められて埼玉に埋められていたという。それを見て敏行はお金持ちでも、こうなったら一巻の終わりだと思った。自分は東京で派遣の仕事を失ったが命までは失ってはいない。分譲マンションの管理人の仕事も一般サラリーマンよりは、性的に欲求不満の女性、熟女と関係を持つことができるし遣り甲斐のある仕事だと思った。ヤリ甲斐のある仕事である。
 さすれば、自分もそうであったが夢か幻のような大金など考えずにこれから生きていけばいいではないかと敏行は思う。先の事件を考えるにあの資産家は犯人にとっては唯の札束に過ぎなかったのだ。殺せば使える大金が、という思いしかなかったから犯行に及んだ。金持ちにまつわる犯罪はよくある話だから、敏行は自分の金欠は幸運ではないかとも思う。だから管理人になって、熟女と色々な性の関係を持てる状況になったのだ。これを天に感謝せずにおれようか。自分は独身だが、先の資産家夫婦みたいに殺される事はまずない。ビールの酔いが回ってきた。がビールだから軽いものだ。すぐに醒めていく。(えーい。もっと飲んでやれい。)敏行は西鉄バスで中洲に行った。福岡市にはこの西鉄バスというバスしかない。バス会社としてはバスの保有台数が日本一で、東京のバス会社が日本一ではない。西鉄は日本一どころか世界一のバスの保有台数を誇るらしい。
 中洲のとあるバーに入ると、一人の女性がカウンターに座っていた。敏行の小学校の頃の同級生で福岡市のローカルテレビ局のアナウンサーになった福美伸子(ふくみのぶこ)だ。彼女の姿はネットの動画でも見れる。一時期の女子アナブームの時は三十代だったが、どうも独身を通したらしい。というのはローカルなフリーペーパーに福美伸子のインタビューをしている記事が載っていて、彼女の経歴が書いてあったからだ。小さい頃の顔の感じはやはり残っている。(あのおとなしかった福美がアナウンサーなんて。)敏行は東京に就職していたから知らなかったのだ。敏行は思い切って彼女に近づき、声をかけてみた。
「福美さん。実に久し振り。おれを覚えているか。」
福美伸子は三船敏行を振り仰ぐと、
「まあ、三船君やろ。覚えとーよ。」
とアナウンサーらしき声で答えた。この声が職業的に鍛えられて子供の頃とは違ったものになっている。三船は自分を覚えてくれていた嬉しさに、
「となりに座ってもいい?」
「いいよー、もちろん。」
三船は巨体を福美のとなりの席に乗せると、伸子は顔を敏行に向けて聞いてくる。
「三船君は仕事は何をしてるのかなあ。」
吐く息が酒臭い。照れたように敏行は、
「分譲マンションの管理人をやってるよ。」
「あら、そういうのはもっと歳を取った人の仕事じゃないかな。」
「うーん、でも他に仕事がなくてね。東京で仕事がなくなったから戻ってきたけど。」
「ふーん。わたしもね、フリーのアナウンサーになったけど、今、テレビって予算がないからギャラは減ったわ。結婚しとけばよかったなあ、て思う。」
「そうねえ、福美はおとなしかったから、まさかアナウンサーになるとは思わなかったよ、ほんと。」
「大学の先輩に好きな人がいて、その人が入社したテレビ局に後を追って入社試験を受けたら合格できたんだけど。その先輩はわたしの事は好きではなかったらしくて、わたしの同期のアナウンサーと結婚してしまったのよ。」
福美は少し涙目になった。敏行は哀れに思って、
「そういう事は結構あるかもしれないし、気にしなくてもいいよ。」
「うん。もう気にはしてない。その同期とは親友だったからショックはあったけど。彼女のだんなさんとは話はしないけど、彼女とは携帯電話で話をすることもあるのね。」
「それは、そんなものかな。」
「彼女の住んでいるマンションは分譲マンションで博多駅の南にあるのよ。確かサンパール博多駅南とかいったかしら。」
(そこのマンションの管理人をしている)と敏行は言おうかと思ったが、何か間に立つような感じがして言わない方がいいと黙っていると、
「三船君の勤めている分譲マンションって何処?」
と鋭く福美は聞いてきた。
「そのサンパール博多駅南だよ。」
福実は大きく眼を開くと、
「まあ。奇遇ってこういう時に使う言葉だわね。そしたら、わたしの同期のアナウンサーと顔を合わせてるかもよ。」
「うーん。どうかな、住民の人の名前までは全部知らないからね。」
「矢張(やはり)っていうのよ、彼女の姓は。旧姓は一時(いちとき)って言うんだけど。」
一時アナウンサーは福美伸子より遥かに美人だった。福美はおとなしくて目立たないアナウンサーだったが、一時美歌(いちときみか)が寿退社してから少しずつ頭角を現していったのだ。
「矢張さんなら、やはり知らないよ。管理人と親しく話をする人はあまりいないから。」
「そういうものなのね。美歌もわたしと同い年だから四十歳。三船君も同じでしょ。昔若い頃は美人でも、今は歳相応の顔になってるわ。」
「元美人アナウンサーらしき人は、記憶にもないよ。普通はよく見ても横顔だからね。」
そういえば福美の横顔も、もう若くはなかった。三船は、さっきシングルマザーとセックスプレイに励んでいたのが夢のように思われた。福美は三船の頭の上を見ると驚いて、
「矢張さん、でしょう?お久し振りです。」
と声を出した。敏行がそちらを見ると、背広姿の中年男性がゆったりと立っている。その男は形式的に微笑むと、
「お久し振り。福美君、いやもう退社したから福美さん、かな。酒は控えめにした方がいいよ。肝臓を悪くするのは知ってるだろうけどね。」
矢張の顔は普通だが苦味のあるのが魅力的だ。彼はテレビの画面には顔を出さない部署で働いている。福美は少し頬を膨らますと、
「もう上司でもない矢張さんの意見なんか聞きませんよ。奥さんは、お元気ですか。」
「元気ですよ。たまには家内もいるし、うちのマンションに遊びに来たらいい。家内は、お茶とか習ってますから。」
敏行は、この男性の顔も今まで見た事はなかった。苦味はあるが、平凡な妻帯者って感じで別に女性にもモテはしなさそうだ。いかにも愛する妻がいます、という顔であるから。こんな男性を福美伸子は好きになったのか。そういえば福美伸子の人相は幸薄いような気もする。福美は矢張の提案には答えないでいると、矢張は店の奥に立ち去ってしまった。福美は下を向くと、
「どうでもいいや、あんなやつ。」
と呟いた。敏行は福美のグラスを見ると、
「確かにすごいペースだなあ。女性の深酒なんて様にならない、かもね。」
福美伸子は、それに逆らうようにグラスの残りを飲み干すと、
「マスター。おかわり、注いでねー。」
店主はうなずくと、カクテルをシェイクし始める。福美は酔いが回ってきた顔で敏行を見ると、
「矢張に失恋したあと、わたしにも何人か彼氏はできたんだけどね、みんな深酒で逃げられたのよ。それというのもね、矢張に去られた日、いや一時美歌の結婚式の後で深酒をしたけど、それが習慣になっていったんだわ。それからの彼とデートをして飲みに行くと、わたしの方が余計に飲んでしまって呆れられて、連絡が絶えるのよ。」
福美は右耳に掛かった髪の毛を掻きあげると、
「それでも酔いが醒めるのは早いのよ。四十って女としては女でなくなっていく歳だと思っていたけど、今のわたしがその歳になったから。」
「ぼくも四十になった自分なんて考えられなかったけど、マンションの管理人をしているなんてもっと考えられなかった。」
福美伸子は、あはは、と笑うと、
「ニュースをやることもあるけど、最近市内の分譲マンションで六十歳の男性管理人がマンションの敷地内の立ち木に立小便をしているところを住民に見られてクビになった原稿が来たけど、その時、緊急で他のニュースが入ってきたから読まなかったことがあったけどな。三船君は大丈夫よねえ、そういうのは、ね。」
「ああ、でも福美さんがアナウンサーでよかったよ。芸能人なら、こんなところでも写真に撮られる可能性もあるでしょ。」
「そうねー、わたしが芸能人?アナウンサーになるのも迷ったのよ。人気のある職業ではない頃に入社して、他になり手がいなかったから仕方なくやってたら女子アナブームとかになって、結構わたしも祭り上げられたわよ。なんでブームになったのかは、あの頃、いいニュースが多かったからと思うのよ。」
「あー、ベルリンの壁を崩すとか、ソ連の終わりとか、かなー。」
「そうね。最近はいいニュースはないし。ここ三年は沈んだものばかり。東北の大震災はそれの最たるものだわ。でも、政権も本来のものになったから、これからは明るいニュースも増えるのかな、って。」
敏行は、そうあって欲しいと思った。いや、自身については明るい話題は女性とのセックスがすでにある。だから、
「福美さん。男ヒデリは長いのかな。ぼくでよかったら、ぼくも独身だから。」
福美伸子は流し目で小学校の同級生を見ると笑顔で、
「小学校の同級生って、いつまでも子供の時のままみたいな気持ちがするのよ。わたしたち、今日会ってしまったけど普通は顔も見なくなる場合が多いと思うな。三船君も巨体で顔も大人だけど、なぜかわたしには小学校の時の三船君に思っていた感情しか湧かないのね。小学生の時って、性的なものって男女間にも感じないでしょ。三船君は、わたしにとってはいつまでも小学校の同級生なのかもね。」
敏行は酔ってはいたが、意識はあった。そのまま福美の意見を受け入れていいのだろうか。自分には魅力がないのを福美は遠まわしにそんな言い方で、諭しているのではないだろうか。
「福美さん、ぼくに魅力がないって事かな。それならそう言ってもいいよ。同級生じゃないか、遠慮しないで言ってくれないか。」
福美はいたずらっぽい顔をすると、
「逆にわたしに魅力があるの?四十になった女なのよ。」
そう言われて三船敏行は福美の顔から下をゆっくりと酔いながら眺めてみた。胸は膨らんでいるし、ヒップも大きい。敏行は一息つくと、
「福美さん。いい体しているよ。四十なんてもんじゃない。三十だなー、この体は。」
「あら、ありがとう。そう言われれば、三船君の体も素敵に見えてくる・・・。」
「アナウンサーで、しかも福岡地方だからゴシップにもなんにもならないよ。今からでも、ホテルへ行こう。」
「ええ、いいわよ。」
二人は店を出て歩いて近くのシティホテルに入った。部屋に入ると、三船敏行は福美伸子をお互い服を着たままで抱いた。福美は眼を閉じた。それと同時に敏行も眼を閉じると、ドウと後ろのベッドに倒れこんだ。そして、そのまま眠ってしまったのだった。
翌朝、三船が起きるとベッドの枕元にメモが置いてあった。

楽しい思い出をありがとう 何もしなかった三船君はステキです 

わたしは泊まらずに帰ります

福美伸子

(そういえば、あのシングルマザーで出し尽くしていたのかもなあ)

翌日は日曜日で三船敏行は管理人の仕事は休みだ。他に祭日も休みだし、盆と年末年始も休みがある。休みの日が来ると、実にホッとする気がした。管理人の仕事は気が楽そうに見えるが、じっと座っているのも年寄りならいざ知らず、四十歳の敏行には退屈に感じられるのも苦痛だ。それで休みの日は昼近くまで寝ている事になる。休みの前日はアダルトビデオをパソコンで見る。DVDのディスクはビデオテープより小さいとはいえ、ある程度買うと積み重ねた上下の高さも高くなってくる。人は滅多に来ないが、万が一のために眼につくところには置けないものである。それで最近はHDDの容量が150GBのノートパソコンを買って、アダルトビデオをダウンロードして見るのだ。一本の作品が1GB前後なので旧型のパソコンではすぐにHDDは一杯になる。フリーズしてしまう事も多かったのだ。又、早くダウンロードするために光ファイバーにする必要があった。こういった動画を見るためには光ファイバーで見なければスムーズに画面が流れなくなる事もある。
が、しかし、だ。アダルトビデオに出ている女性はほとんどは東京か、その近くの女性が多いので福岡市で見る女とは少し違う気がした。それに画面の中の女は取り出してみるわけにもいかない。素人の女性も簡単に出演してしまうけど、あれは画面に交渉のところを大抵写さないが、一万円札を何枚も見せて出演交渉をするのは敏行も知っていた。それなら自分にはできない事だと敏行は思う。休日の町を歩いても、女性は敏行をろくに見もせずに通り過ぎる。
昼前に起きた敏行は、菓子パンをコーヒーで胃に流し込むとネットサーフィンで福岡市の風俗店を見てみた。その数何と驚くなかれ、福岡市全部で2700以上もあるのだ。各区ごとに数百単位である。それだけ需要がある、という事は敏行みたいな彼女のいない男性は多いのだ。(彼女がなかなかできない人は多いなあ。福美伸子は彼氏が、というより旦那を見つけられなかったが、おれもキスもできずに終わってしまった。あいつには何か男を寄せ付けない何かがあるのかもしれん。)
ついでに敏行は北九州市の風俗店も調べてみた。すると、全部で500程度だ。福岡市となんという差だろう!北九州市の男性は真面目なのか、すぐに彼女を見つけるかのどちらかではないか。
敏行は出会い系にも入っているが、風俗店はこんなに多いのに女性からメールが来る事は、ほとんどない。年齢も正直に分類しているせいもあるのかもしれない。
考えてみると福岡市には出張でビジネスマンが来る事が北九州市より多いために、風俗店の数も多いという事も考えられる。福岡市に出張というビジネスマンはネット検索で簡単に風俗店やデリヘルを見つけ出せる。そんな事も数多くある都市であるとは、町を歩いても感じられない敏行ではあった。昼過ぎに自宅近くを散歩してみる。性的なものを感じられないのは当たり前だ、博多駅南という土地にはラブホテルもないのだ。博多駅前に一軒のラブホテルはある。
その事を敏行は知らないが、南に向かって歩いていると竹下というアサヒビールの工場がある土地に来た。そのビール工場の手前辺りにあるラブホテルの近くに敏行は歩いて来てしまっていた。駐車場完備らしい。紺色のベンツが悠々と出てきたではないか。敏行は思わず運転席を見てしまった。あっ、あれは・・・
矢張だ。この前、中洲のバーで会ったから覚えている。助手席には若い女性が乗っていた。奥さんか?そんな事はないだろう。福美伸子と同い年なら四十のはず、第一奥さんとラブホテルに入る男性はまず、いないぞ。と思っていると、その大型のベンツは次第にスピードを上げて走り去った。浮気、不倫、男性の・・・敏行の頭に言葉が浮かぶ。福美は、あんな男と結婚しなくてよかったのだ。福美伸子は幸せには、なってないかもしれないが不幸にもならないですんだ。三船敏行は小学校の頃の福美を思い出していた。(よかったな、福美。おれは同級生として安心した。この事は、福美に伝えてやろう。)

男の娘を助け出せ派面ライダー 試し読み

男の娘を助け出せ 派面ライダー

通勤からの、それもOLではない、ある職業からの帰り道で美乃(みの)は後ろから誰か、つけてきているのを感じた。
(誰?誰なのよ?)
だが、振り返ってみると襲われそうな気がして、歩く速度を、もっちり、とした太ももの移動時間を短くして、速めてみた。
すると、後ろの誰かも足音が高く、早くなる。
美乃は155センチの体で、胸は88もあり、尻は88の、肉欲をそそる体、色白で脚は細い。
美乃は近くの広い公園に駆け込んだ。後ろからの追跡者も美乃を追い駆けてくる足音だ。
公園には誰も、いなかった。ああ、と美乃は足を停めて、後ろを振り返った。なんと、そこには大きな男が黒いパンティストッキングをかぶり、右手でズボンの世界の中心点のファスナーを降ろし、
「ピー!男の世界の中心点のチンコの雄たけびを聞け、ピー!」
と喚(わめ)く様に言葉を口から吐くと、
立ったままの美乃を、がっし、と抱きしめ、彼女の赤い唇に自分の分厚い男の唇を重ねた。
そのまま三分も唇を重ね合い、その間、美乃は尻と乳房を揉まれていた。やがて男の手は美乃の股間の間、スカートの中に男の手が伸び、男の右手の中指が、マンコの辺りを探った。
「おい、クリトリスしか、ないのか、おまえ。」
と唇を外した、黒いパンティーストッキングで顔を覆った男が聞くと、美乃はスカートのポケットから無線機のようなものを取り出すと、
「助けて!派面ライダー!」
と大声を上げた。
その美乃の唇をパンスト男は、美乃の背後に回り、左手で塞ぎ、右手で彼女の豊満な乳房を薄い上着の上から、入念に揉み解(ほぐ)し始める。
美乃の乳首を探り当てた男は、ズボンから飛び出して既に勃起したモノを美乃の尻に彼女のスカートの上から、ぐん、と押し付けた。
パンスト男は膝をかがめて、伸ばすと、美乃の尻の割れ目の下の方から、上の部分まで、男の張り切った亀頭で強くなぞる。
「おお、いい気持だぜ。男の中心点でチンコを雄たけび、させる。なんて、な。姉ちゃん、おまえも感じているんじゃ、ないのか。」
美乃は右手に無線機を持ったままだ。
その時、バイクの爆音が公園の外に聞こえた。そのバイクは、公園の入り口前で停められ、黒いサングラスをかけた、白バイの警官の制服に似たものを着た男が、バイクから降りると、
「派面ライダー、チン参(ざん)!」
と名乗りを上げ、二人に駆け寄ってくる。白バイの警官の服装との違いは、白の部分が赤になっている事だ。
パンスト男は、
「ピー!又しても、我々、モッカーを邪魔しに来たな。この娘はな・・。」
美乃を自分の前に抱き留めながら話すと、派面ライダーは飛び上がり、
「とぅーっ。」
と叫び、飛び蹴りで、モッカーの黒いパンストに隠れた左耳の辺りを攻撃した。
パンストのモッカーは、
「あわっ、ピー!」
と声を出し、美乃を乱暴に自分の横に押しやると、
「まだまだ、こんなものでは、な。おれのモノを見ろ、派面ライダー。」
とモッカーは勃起チンコ、それはパンツの切れ目から突き出ていた、を見せた。
派面ライダーは、
「ふん。おれと勝負するのか。変チンするから、見ていろよ。」
と答え、両手を、手のひらの方を、十センチほど離して向かい合わせて、自分の頭の上に空高く突き出し、そこで止めると、
「変チン!」
と声をかけると同時に、両手のひらを向かい合わせて離したまま、自分の股間に向けて振り下ろす。
「おおっ!」
両手は股間のあたりで停まっている。すると、派面ライダーの股間が膨れ上がってきたではないか!
派面ライダーは両手でガッツポーズを取ると、
「ぼっきーキック!」
と叫んで再び飛び上がり、今度はモッカーの顎(あご)を蹴った。
「ピー!」
と叫ぶと、パンストモッカーは、その場に倒れて意識を失った。

 嬉しそうな美乃は、派面ライダーに駆け寄ってきて、抱きつき、
「ありがとう、派面ライダー。」
と言葉をかけると、派面ライダーの胸に顔をうずめる。
その時、美乃は自分の下腹のあたりに何か肉の塊のようなものを感じた。それは、派面ライダーの勃起した実在だった。
美乃は顔を赤くしたが、公園内では暗くて、その色は見えない。
派面ライダーも美乃の肩を軽く抱きながら、
「ごっつあん、してしまおうかな。いただきます、してしまおうかな。」
と声をかけると、美乃は、
「いいわよ、してっ。」
と自分から背伸びして、派面ライダーにキスをした。
 美乃の、背中の真ん中まである黒髪がユサユサと揺れる。
派面ライダーも、美味な、もののように美乃の唇を味わい、舌を入れて絡める。
唇を離した派面ライダーの右手は、美乃の股間に触れると、
「おや?君は、もしかして・・・。」
と呟くように聞くと、
「そう、わたし、男の娘、よ。」
と美乃は、にっこりとして答えた。
派面ライダーは、美乃の肩に回した両手を外すと、
「ま、今日は、この辺で。明日、仕事が朝早くあるから。」
と語ると、公園の入り口に止めたバイクに向かって走って行った。

波山飛苧(なみやま・とぶお)は、四十歳になる福岡市の不動産会社の社員だ。昨日の夜、公園で男の娘を派面ライダーとなって救出した。
実は美乃は、キャバクラで働いていたのだ。「キャバクラ女子校生」の新人として、飛苧は彼女と出会い、
「何か困った時には、これで呼ぶといい。ただ、不動産会社の休日と、平日は営業時間外に、してほしいけどね。」
とキャバクラで無線機を渡した。
美乃は信じていない顔をして、
「またー、そんな。波山さんみたいな人、冗談が、こみいってますね。」
と答えると、近くにいたキャバ嬢が、
「それ、ほんとなのよ。わたし達もね。危ない時に、波山さんに助けてもらったんだから。」
すると美乃は、
「えええっ、そうなんですかー。」
と半ば、信じた顔で無線機をスカートのポケットに入れた。

 そんな経緯で美乃は、派面ライダーに助けられたのだ。

 現実に帰れば、飛苧は福岡市にある不動産会社の社員だ。2016年は、日本経済は年末辺りまでダメで、だから不動産を買う人も売る人も少なく、飛苧の会社も支店の一つを閉店した。
不動産会社といっても色色な業容で、飛苧の会社は賃貸物件の仲介も、やっている。これも2016年は不調。
2017年になってから、少し、不動産の仕事も増えてきて、中洲のキャバクラにも時々、行けるようになった。
その行きつけのキャバクラ「女子校生」で知り合ったのが、さっき助けた美乃だった。
飛苧(とぶお)は美乃を女性だと思っていたのだ。
男の娘、美乃。でも、さっき軽く抱いた感じは女のものだった。

美乃、本名は飛切美乃(とびきり・びの)という。実家は福岡市郊外にある六百坪の豪華なる邸宅を所有する。父はゲームセンターとパチンコ店を、いくつも経営している。年収は五億円で全国的に見れば、それほどの資産家でもないが、福岡市では、いい暮らしが充分できる。
現実的な話としては、福岡市内には千坪の邸宅は、ほぼ、ないので六百坪は広さは上位の方だ。
邸宅内では若い女性の女中つき、女中は死語みたいなものだからメイド、と表現しよう。実際にメイド喫茶にいるメイドの恰好をした若い女性が、飛切家には仕えている。
美乃の父親は、飛切辰蔵(とびきり・たつぞう)という。
名前と関係あるか分からないが、自分専用のメイドに、
「おれのモノはね、とびきり、よく立つんだ。」
と話す。
自分の書斎で、そのメイドと二人きりの時に語ったのだ。
メイドは顔をリンゴの色にして、
「そうなんですかあ。すっごーい。」
と褒めてみる。
時刻は昼の一時、妻は四十代で演劇鑑賞に出かけている。書斎は狭くて四畳半だからメイドとの距離も近い。
飛切辰蔵はズボンを脱いでパンツも取ると、メイドに向けて自分の雄々しい筒先をドビーンと見せた。
メイドは両手を自分の両頬に当てると、
「きゃっ、旦那様。見て、いいのですか。」
と可愛らしく聞く。
「ああ、見ているだけで、いいのかな。」
「いえ、それだけでは、我慢、出来ませーん。」
辰蔵は椅子に座ると、
「では、好きにしていいぞ。」
と男のキノコを直立に近くさせたまま、メイドを促す。
メイドは躊躇して、
「でも、奥様が旦那様には、いらっしゃるのですから・・・。」
「なに、あれはな、今日は演劇鑑賞会だ。男の俳優の股間でも眺めて、満足しておるのだろう。夜は遅くなる。楽屋に入れる、らしいからな。そこで気に入った若い男優の、なるべくチンポの太い奴を選ぶんだ。それで徹夜もあるよ。
だから、今日は君と徹夜で楽しめるかも、な。」
巨乳メイドは主人の辰蔵の巨大化したキノコに、武者(むしゃ)ぶりついた。口いっぱいに大きくなった肉竿を入れて、フルートを吹くように辰蔵の肉竿に両手の指を当てて動かす。
辰蔵は目を瞑(つむ)るが如(ごと)くにして、
「ああ、秋葉原のメイドでも、これは、しないから東京のメイド喫茶には、行かなくていい。うおっ、うおっ。」
とメイドに指で演奏されているような感覚を、チンポに辰蔵は覚える。よしっ!
と辰蔵は考えたのだ。この若い可愛い娘にだけ奉仕させては、いけない、おれも、する。
「よしっ、しゃぶりながらでも、いいから、服を脱いで股間にあるショーツと君の大きな胸に被(かぶ)せてあるものも、外しなさい。」
メイドは、
「まい、もふひんはま。(はい、ご主人様、と発音したが、肉棒を咥えたままなので、そういう発音になる。) 」
椅子に座った辰蔵は、ゆっくりと立って、もちろんチンコも立てたまま、メイドが服と下着を脱ぎやすくする。
メイドの名前は満津実(まつみ)という。満津実は辰蔵のモノを咥えたまま、中腰でスカートと白いショーツを降ろして両足を外した。
満津実の豊かな下腹部と、びっしり密生した黒い陰毛が辰蔵の下に下げた視線の中に入る。
ピンクの彼女の割れた線も、クッキリと見え、陰唇は肉厚だ。
ぴしゃ、と音を立てて満津実は主人の肉棒を口から離し、素早く上着と下着、それにブラジャーも外して床に落とす。
全裸になったメイドの満津実は、腰のくびれも見事でAVに出れば人気女優になれるだろう。
辰蔵は満津実に屈(かが)んで、彼女の左りの白い巨乳のピンクの乳首を口に含む。辰蔵から見て右の乳房の乳首だが、咥えているうちに満津実の乳首は硬くなり、彼女は黒髪を揺らせて、
「あはん、いいです、ご主人様。」
と乱れた姿勢になる。
辰蔵は激しく満津実の左乳首を舐め回し、右乳首は左手で摘(つ)まんで強弱を咥える。満津実は少し白い両脚を開いて、マンコも少し開いた。
辰蔵は満津実の細い狭い両肩を優しく下に両手で押すと、満津実は膝を曲げていって四畳半の床の絨毯(じゅうたん)に膝まづいた。

巨乳な女探偵・夏海静花の管理ファイル 試し読み

夏海静花は二十七歳の女探偵だ。身長百五十八センチ、バスト九十一、ヒップ九十二の体は夏になるほど、見えてくる。彼女は高校卒業後、すぐに探偵事務所に入社した。その頃でも、すでに巨乳になる兆候は出ていたのだ。成人になってからは、今の体型に到達した。探偵として、その体は不利になるかというと、それは違う。
世間的に巨乳の女性は頭が悪いと思われている。そこを使えば、捜査もやり易くなるのだ。
探偵社に入社してすぐ、夏海静花は浮気調査の助手をする事になった。男子所員、日名気弓雄(ひなげ・ゆみお)に同行する。日名気は三十歳、長身で痩せ型だが、顔は平凡でハンサムではない。眼は細く、鼻も低い。
夏海静花は丸顔で、目と唇が大きい。鼻は団子のようで、美人といえるかどうか微妙だ。クリクリと動く眼は知性的なので、知能の低いアイドルとは違った雰囲気だからだ。
それより男性なら彼女の胸と尻に視線が、いってしまうだろう。二十七歳の今の彼女の顔の雰囲気は女性検事の顔と同じだが、入社した当時はまだ、女子高生的雰囲気もあった。
日名気と同じ車でターゲットの男性を尾行する。この業界は女性からの依頼の方が多いのだ。夫の浮気を疑っている女性は、多い。しかし、探偵社に頼むとなると結構な費用がかかる。
福岡市のような百五十万人の都市では、月に数百の依頼はある。そこで静花の探偵社も毎日のように浮気調査をしている。
今回の依頼は福岡市会議員の妻からの依頼で、議員は四十五歳の男性で、一見、真面目そうだが、今回以前も疑わしい行動があったという。市会議員といえども、五時過ぎからの行動は自由だろう。とはいえ、その妻にはそうはいかない。

静花は車中でレポートを読み上げる。
「相手はキャバクラ嬢ですね。撮影されたものを見ると、美人に見えますか。」
日名気は冷静に、
「福岡のキャバクラ嬢は、大抵そうだよ。市会議員さんも、色好みだね。」
とハンドルを回しながら助手席の静花に答えた。
夜も十一時だ。福岡市には六十以上のラブホテルがある。東区の志賀島近くにあるラブホテルに市会議員の車は走っている。探偵社二人の尾行する車も、その後を追う。
静花のレポートに写っているキャバ嬢は色白で痩せた、笑顔の美しい女性だ。二十代前半だろう。全身が写っていて、前からだが尻の横に張っているのは、よくわかる。スカートはミニで、胸は上に向いた形のよい美乳だ。顔は真面目そうで、キャバ嬢とはいえ、乱れた感じはなかった。
二人がラブホテルに入るのを写真と動画で撮る。日名気と共に静花も撮った。静花は、
「成功ですね。帰りますか。」
と場を離れたいようだ。
「出てくるのを待つんだ。ぼくたちも入ろう。」
「えっ、まさか・・するんですか。」
「心配するなよ。彼らの隣の部屋が空いていれば、そこに入る。コンクリート・マイクで音も拾えるかもしれん。」
そのラブホテルは無人のフロントなので、気軽に静花たち二人も入れた。市会議員たちの入った部屋の隣の部屋は空いていた。日名気は、
「ラッキーだ。入ろう。」
無言でうなずく夏海静花だ。日名気が先にドアノブを回した。後からの静花がドアを閉める。コンクリートマイクといっても様々だが、探偵社の使うコンクリートマイクは九万円くらいはする高価なものだ。録音機能もある。日名気は、すぐにコンクリートマイクをセットした。耳にレシーバーを当てると、
ちゅっ、ちゅっという男女のキスをする音が聞こえた。それから女の声が、
「奥さんと別れるって、本当なの?」
「そのつもりだ。もう、子供は大学を出て社会人になった。新しい妻が必要なのかもしれない。」
「嬉しいわ。東区のはてまで来て、セックスする必要もなくなるのね。」
「そうだな。これが最後かもしれん。」
ばさばさ、と服を脱ぐ音がする。
「きれいだ。君の胸は白い美乳だよ。」
「恥ずかしい。」
聞いている日名気は、音から二人の場面を想像する。
 市会議員は全裸になったキャバ嬢の乳房を左から右に、それぞれ吸った。全裸の市会議員の股間のイチモツは巨大になっている。
「とても変わった体位で君としたいと考えていたんだ。」
二人は立っている。感じて身をくねらせたキャバ嬢は、
「どんなポーズで、するのかしら。」
「君は体が柔らかいだろう。ブリッジを、ベッドの上でしてくれ。」
「ええ、いいわよ。」
彼女はベッドに乗ると全裸で乳房を揺らせながら、両脚を開き、体を後ろにそらせて両手をベッドについた。豊かな陰毛の下の淫裂がピンクの口をパックリと開いた。
「これで、いいかしら?」
天井を見つめながら、彼女が聞く。議員は、
「上出来だ。すぐ、行く。」
議員は彼女の開いた白い足の間に膝をつくと、大きくなったモノをキャバ嬢の淫穴に挿入していった。
「ああん、こんな体勢だから、とても感じるわ、ああん。」
とブリッジの体勢のまま、彼女は声を上げた。二人は、その体勢のまま結合して三十分は過ぎた。
日名気は退屈そうに、
「長いな。」
と呟く。潮風が室内にも入り込んでくる。波の音がザバーン、ザバーンと窓の外からは小さく聞こえる。日名気は眼を静花に向けると、
「終わったよ。先に出るからな、おれたちは。」
と指示する。日名気の後から静花も部屋を出た。
後は二人がラブホテルから出てくるのを、写真撮影、ついでに動画撮影もすれば終了だ。日名気と車に潜んでいると、市会議員が出てきた。だが、彼ひとりだけだ。日名気は、
「そんなはずは・・・。もしかして、あのキャバ嬢を殺しているかもしれない。」
と口に出す。
「それは大変ですね。あとは警察の仕事でしょう。」
と静花も動揺する。
「とにかく君は、ここにいてくれ。おれは議員の後を追う。」
「はい、わかりました。」
日名気は市会議員の乗り込んだ車を追いかけて、車を発進させた。あとに残された静花は、近くの大木の陰からラブホテルの玄関口を見張った。しばらくすると、一人の尼僧が大きなバックを下げてラブホテルから出てきた。真っ黒な眼鏡をかけて、頭は剃られてツルツルだった。
その尼さんは、十メートルは歩くとタクシーが現われて、それに乗り込んだ。黄色いタクシーは海岸線の道路を福岡市に向って走っていった。
静花は、
「尼さんがラブホテルから出てくるなんて。」
と一人呟いた。
(そうだわ。あの尼さんは、キャバ嬢の変装に違いないわ。)そう思った静花は運よく近くに来たタクシーを停めて、
「あの黄色いタクシーを、追って頂戴。」
と指示する。急発進する静花の乗ったタクシーは、黄色いタクシーが山の中に入っていくのを追った。
キキーッ
と土の上に音を立てて黄色いタクシーは停まった。そこは山寺だったのだ。タクシーから降りた尼僧は寺の山門へ足を運ぶ。
発車した黄色いタクシーの跡に、静花の乗ったタクシーは停まった。降りた静花は石段を登っている尼僧の後を、静かに尾行する。石段の上に辿り着いた尼僧は振り返ると黒いサングラスを外して、
「珍しいわ。こんな夜中に、参詣してくれるなんてね。」
と静花に言葉を投げた。
顔を見るとキャバ嬢ではない。セクシーな尼僧で三十代前半か。静花は、ビクッとして階段を登る足を止めた。尾行は失敗だったのだ。くるりと尼僧に背を向けて降りようとする静花に、
「ちょっと。探偵さん。もう、あの女性はラブホテルを出ているわ。わたしの後ろの方を歩いているのを、振り返って見たから。男と同時にラブホテルを出ないようにしてたわね。あんた、証拠写真でも撮ろうとしてたのね。」
と尼僧は呼びかける。
静花は階段を降りる足を止め、尼僧に振り返ると、
「そうです。すみません。」
「まあ、もうあの女を追っても間に合わないから、今日はうちの山寺で泊まっていきなさいよ。」
「ええ。でも・・・。」
「わたし独りの寺だから、のんびりできるよ。」
静花は日名気に携帯電話する。
「失敗しました。」
「だろうな。今日は直帰で、いいから。」
「すみません。」
「議員は無事に、ご帰宅だ。奥さんは腹の虫がおさまらないだろうけど。」
「キャバ嬢は遅れて出たようですよ。」
「うん、それも考えてはみた。そうだったらしいな。明日になれば、又、やり方を考えるさ。」
ツー、と携帯電話は切れた。

 静花は先ほどの尼僧と同じ部屋にいる。寺の中だから和室の畳の部屋で、仏像が飾られている。その仏像の姿は座っていて、手が六本もあるのだ。顔は恐ろしげな表情である。静花は正座して、それを横目に見ると、
「変わった仏像ですね。」
と素直に感想を洩らした。尼僧は、
「愛染明王といってね。愛欲の仏さんなのよ。足は崩していいよ。この寺の住職は、わたしだから。」
静花は正座の足を崩すと、
「ラブホテルには、どうして・・・。」
と聞く。
「ああ、あれね。あれは檀家の若い男とやりまくるために行ったのよ。最近は、そこまでしないと護寺費を遅らせる檀家があるのね。一応、用心のためにサングラスをして、わたしが先にラブホテルを出ているけど。あんた、この辺の人じゃないみたいだから、教えてあげるけどね。」
「なるほど、分かりました。」
愛染明王の像の前には、赤い蝋燭が二本立てられて火が、ともされていた。ゆらゆらと動く蝋燭の炎が、薄暗い室内をほの明るくする。潮の打ち付けるザバー、という音も聞こえた。
目の大きな女住職は好色そうな顔で、
「AVも色んな分野の女性を出したけど、尼さんは一人も出てないみたいね。わたしが出てもいいけどさ。」
と話すと白い歯を見せた。

そういう過去のあった静花も、今は独立して事務所を構えている。女探偵が何故有利なのかと言うと、相談してくるのは大抵、女性だからだ。だが逆に男性が相談者として依頼もしてくる。それは調査相手が女性のため、男性の探偵より依頼しやすいという事になる。
おかげで夏海静花の事務所は仕事が舞い込んだ。
「忙しいわね。そうだ、助手も女性にしよう。」
静花は一人呟くと、インターネットに募集広告を出したのだ。それも何処かの広告代理店にではなく、自分のブログ、「女探偵の孤独なつぶやき」に
当探偵事務所では、助手を募集しています
とブログの右側面に書くだけでよかった。その日の内に事務所の電話が鳴った。
「はい。夏海探偵事務所です。」
「あの、わたし助手になりたいんです。ブログで見ましたよ。」
と若い女性の声がした。
「ありがとう。さっそくだけど、面接に来てくれないかしら。」
「ブログに載っている住所ですか。」
「そうよ、中央区の薬院ね。電車の駅を降りて、歩いて五分かな。」
「わかりました。今から、いいですか。」
夜の七時だ。外は暗くなっている。
「いいわよ。九時ごろから尾行だから、早く来てね。」
「ええ。風のように飛んできます。」
くす、と静花が笑うと電話は切れた。それから十分もすると、事務所のチャイムが鳴った。
「はい、どうぞ。」
と静花が大声で答えると、ドアが開いて清楚な若い女性が立っていた。髪は肩にかかる位、少し長身であるけど胸の膨らみもそれなりにある。スカートの横幅の広さは豊かな尻を想像させた。眼は、つぶっているように細いが、睫毛が長くて女らしい。茶色のスカートに白い上着で足はスニーカーを履いている。
「よく来てくれたわね。探偵助手って厳しいのよ。その代わり、給料はいいけど。そこに座ってよ。」
静花は応接テーブルのそばにある横長のソファを指差した。面接女性は、ふんわりと腰掛けた。静花も応接テーブルをはさんでソファに腰掛けると、
「履歴書を見せて。ありがとう。霞露子(かすみ・つゆこ)さんね。二十歳。若いわね。短大を出てアルバイト・・・今もしてるの?」
「ええ、深夜のコンビ二とかもしています。」
「それなら探偵の仕事には、入りやすいと思うわ。浮気調査は夜が多いのよ。今夜もわたし、行くけどね。」
「徹夜もできます。」
「それは、いいな。あと、女探偵は体を張る事もあるのよ。」
静花は立ち上がると霞露子の背後に回り、露子の上着の上に突き出した二つの乳房を両手で鷲摑みにした。露子は首をひねると、
「あはっ。感じますぅ。」
と悶えた。その露子の顔に自分の顔を静花は近づけてキスした。ヌル、と静花は自分の舌を露子の唇の間から差し込むと、露子の赤い舌と絡め合わせる。露子は眼を閉じて、じっとしている。静花は露子のスカートの中に手を入れて、ショーツの上から露子の割れているスジを指でなぞる。
「いゃぁん。」
露子は口で抵抗したが、両足は大きく広げた。ショーツの上からでも、露子の突起した淫核が静花の指には感じられる。それを捏ね回すと、
「ああん、ぁぁ、ぁぁーん。」
と露子は悶えて、唇を開いた。忘我の表情を静花は見ると、指を露子の淫核の突起にかふさったショーツから手を離して、
「感度、いいわね。合格よ。いざとなったら、自分の体も武器にするのよ。レズ好みの依頼者も、いるからさ。」
露子は眼を開くと、
「気持ちよかったです。深夜のコンビ二のバイトで暇な時間に、トイレでバイト仲間の女の子と一緒に入ってレズした事はあります。」
と自信を持って露子は告白した。
時々、コンビ二に入ってレジにも店内にも誰もいない時は、レズしていると露子は言う。
女子大生のバイトが多いため、相手を変えてレズしていたそうだ。コンビ二の制服のままトイレに入ると、お互いの唇を貪るように吸って、お互いのマンコを制服のズボンの上から触りあう。割れ目のスジに互いの指が当たると、それだけでも気持ちよくなるそうだ。それから乳首をくっつけあったりもする。露子はそうして二年を過ごしたので、レズテクニックは上達したそうだ。
「所長にもしてあげましょうか。」
いたずらっぽく露子は言う。静花は、
「今度、いつか、してもらうわ。」
「なんといっても、オマンコをくっつけあうのは気持ちいいですから。」
と露子は自信たっぷりに話すのだ。
それには静花の方が、たじろいだ。それでも貴重な助手の登場だ。就職難といっても探偵業界に女性が来るのは珍しい。
(あの依頼は、露子を教育してからにしよう。)静花は露子の全身を眺めて思う。顔は少し可愛いくらいだが、体が成熟して、はち切れそうな露子の身体は女の静花が見ても情欲が動きそうになる。

 福岡市近郊に工場を持つ製薬会社「ストップ」は世間的に知られていないが、抗癌剤「ケストミン」の製造で医学界に知られている。ご存知のように抗癌剤のこれまでのものは危険度も高いものだった。間違えば抗癌剤でなお悪化するケースも発生していたのだが、癌の治療には、やむを得ない療法だ。ケストミンは、その危険性をかなり減らしたものとして医療の現場では重宝され始めた。
ストップは福岡市東区箱崎に本社がある。JR線は博多駅から東に吉塚駅、箱崎駅と延びていって小倉駅や門司駅につながり、関門トンネルを通って本州へと進む。
新幹線は小倉の次は博多駅で停まり、吉塚駅と箱崎駅は通過する。吉塚駅と箱崎駅は小さいとはいえ、外観はモダンな建築になっている。人の出入りは博多駅に近いだけ吉塚駅の方が多い。が、箱崎駅は箱崎神社が駅前からすぐに道路を渡って行けるところにある。西暦921に創建という説が採られている。その他、諸説があるらしい。
でありながら箱崎というところは昔はビルも少なく、今は消えつつあるが銭湯などもあった。2000年以降はビル、マンションで埋まりつつある。この箱崎宮にプロ野球のホークスが祈願に訪れるのは有名だ。
箱崎駅近くに本社ビルのある製薬会社ストップでは、ウェブサイトを通じて人材を募集している。
年齢は二十三歳まで 経験不問
と、なっている。ただ、勤務時間が朝の七時から夕方の六時まで、となっているせいか中途採用でもあるため応募はなかった。
そんな或る日の午後、ストップ総務部の電話が勢いよく鳴った。若い男子社員が受け取ると、
「はい、ストップです。」
すると若い女性の声で、
「中途採用に応募したいのですが・・・。」
と男子社員の耳に聞こえた。
「ああ、募集しておりますよ。いつ、来られますか。」
「今からでは、どうですか。」
「いいですね。お越し下さい。どの位、時間がかかりますか。」
「二十分もあれば、行けると思います。」
「じゃあ、お待ちしています。」

 二十分後、ストップの応接室に現われたのは、二十歳の女性で黒縁の眼鏡をかけている。面接の男性は五十代の白衣を着た白髪交じりの人で、専務だ。応募してきた女性の履歴書を見ると、
「亀山つぐみ、さん。」
と彼女の名前を読み上げて、顔を彼女に向けた。二人とも椅子に座って、間に広い白のテーブルがある。
「はい。そうです。」
「真面目そうな方ですね。よろしい。短大卒業後、現在はアルバイト中・・ね。うちはアルバイトではありませんので、採用後はアルバイトは辞めてもらいますけど、よろしいですか。」
「はい、採用していただけたら、すぐにアルバイトはやめます。」
眼鏡の奥の彼女の目は細いが可愛い印象は、ある。専務はニヤリとして、
「それでは採用としましょう。明日から来てください。」
「はい。頑張って働きます。」
こうしてストップに入社した女子社員は、よく働いた。朝の七時二十分前には会社に来て、待機しているのだ。ストップでは専門の掃除会社に依頼して清掃はさせているため、社員が掃除をする事はない。
亀山つぐみは、白衣を着て雑用から倉庫作業まで言われたとおりに働いた。
 ストップには新薬開発部門がある。そこの責任者は寄手為三(よりて・ためぞう)という三十五歳の独身男子社員だ。もちろん新薬開発部長を務めている。ハンサムな容貌は女子社員の憧れの的だ。それよりも魅力的なのは、彼、寄手為三は株式会社ストップ製薬の創業者の一人息子という事なのである。
為三は薬剤師の免許も持っている。福岡市内の大学の薬学部を卒業後、ストップ製薬に入社。以来、時には土日も平日と同じ勤務もしてきた。あまりにも仕事に追われて、結婚もしてない状況だ。
背も高く、身は引き締まっている。顔は二枚目俳優のそれで、鼻も高い。古株の女子社員は仕事が終わった後、居酒屋などで、
「寄手部長って、まだ独身なんですって。」
とビールジョッキ片手に雑談する。
「聞いたわ。でも、隠している女性がいるんじゃないかしら。あんなハンサムで、女がいない訳はないもの。」
「それが、いないらしいわよ。わたしたち、結婚しても働きに来てるけど、女子社員で独身なのは亀山つぐみ、ぐらいじゃない。あの子、眼鏡外しても細い眼なのかしら。」
「どーだかね。まだ雑用だけど、そのうち新薬開発部に移動になったりするかも。真面目に働いてるから。それに、新薬開発部の小山さん、来週辞めるのよ。もう、五十で旦那の収入もいいからですって。総務部のわたし、知ってるんだ。」
「そーう。うちの旦那、他の製薬会社で働いているの。新薬開発なんか知りたいらしいわ。でも、わたし、業務部だからね。それに会社の秘密をもらせないわ、いくらなんでも。新薬開発部は誰でも入れないしね。」
「うちの会社が抗癌剤でトップなのは、秘密が漏れないからよ。トップを滑り落ちたら、わたしたちの給料も減ると思うわ。」
「こわいねー、それ。でも、わたしの旦那の給料が上がれば、いいわけだけど。」
「達子、裏切るの?会社を。」
「へへへ、心配しないでよ。」
達子と呼ばれた人妻社員は三十二のアダルトビデオの若妻シリーズに出てきそうな顔の女性だ。有池達子である。業務部で事務をしている。夫はストップ製薬のライバル会社、ラクナリン製薬で働いている。新薬開発部、課長で有池剛二という。
やはりラクナリン製薬も抗癌剤を開発しているが、売り上げは今ひとつだ。ストップ製薬と同じく箱崎に本社を構えている。何故、箱崎がいいのかというと、箱崎神社が近いからではなく、箱崎の近く馬出(まいだし)というところに九大病院があるからだ。自社の薬のセールスに真っ先に訪れる病院なのだ。
九大病院、正式には九州大学病院には、がんセンターがある。九大病院によれば、現代日本の男性は二人に一人、女性は三人に一人が癌になるといわれているらしい。
がん情報サイトとしては、
http://cancerinfo.tri-kobe.org/

が有名だ。九州大学病院にはARO次世代医療センター・データセンターなるものもある。平たく言えば、製薬会社にとっては抗癌剤は大いなる利益を生む。九大病院が認めれば、連携している診療病院にも採用されるであろうからだ。
九大病院には、癌の相談窓口もある。外来二階の外来化学療法室の横にあり、気軽に相談も受け付けているらしい。がん相談支援室の窓口へ。
高額療養費制度などで医療費が少し安くなるという。

有池達子は箱崎の2DKのマンションに帰宅すると、食事を作って夫を待った。達子ら既婚社員は朝十時からの出社を認められている。退社も五時半である。
夜九時になると、夫の剛二が帰ってきた。疲れた声で、
「ただいまー。帰ったよ。」
「あら、遅かったのね。ご飯は、どうしますか。」
「食べるよ。いやー新薬は中々できないね。」
達子は台所で、さばの煮付けの載った皿を電子レンジに入れて、
「うちの会社は、がんの新薬はトップよ。」
剛二は食卓の木製の椅子に座り、
「そうだな。できれば、アイディアをもらいたいけど。」
「そんなー。わたし、見つかったらクビになる。」
「おれの給料があがるけん、よかろうが。」
「そうねー。でも、それは犯罪になるのよ。」
「うーん。そうだな。それは、まずい。」
達子が若奥様に見えるのも、彼女の性交回数が少ないからだろう。
チン、と電子レンジが鳴った。達子は、皿を取り出し夫の前に置く。
「おう、さばの煮付けだね。今晩は、やろう。」
「昨日もそういったくせに。」
達子は柳眉をしかめた。さばを口に入れて噛みながら剛二は、
「新しいアイデアを得るには、今までとは違った環境に身を置くといい。と大学で習ったけど、自分への刺激として今晩。」
そこで剛二は息を止め、吐き出すと、
「うちの若いのが、今から来る。そいつとセックスしてくれないか。」
「えっ?何をいうんですか。冗談でしょ、あなた。」
「いや、冗談じゃないよ。三十八にもなって、おれがそんな冗談は言わないよ。部下は、やり手だけどまだ独身でね。おまえが彼に貫かれるのを見てみたいんだ。そうすれば、いいアイデアが湧くかもしれないからね。」
達子は、うつむいた。まるでアダルトビデオみたいだと思う。夫が自分の乳房に触れたのは四ヶ月前だ。その日、夫は勃起したけど一分もたたずに中折れして、縮んだ。一分未満の快楽だったのだ。
達子は食卓のテーブルの下でスカートの上から股間の秘丘、陰毛の生えている辺りを右手で触ると、
「公然の浮気みたいじゃないの。いいの?あなたは、それで。二十代の若い人に、わたしのオマンコが貫かれるのを。」
剛二は肥った腹をさすって、
「コンドームつけて、やらせるよ。妊娠の心配もないし。あいつの精液が、おまえのマンコの中に出されるわけでもない。だから、いいだろう。あいつの陰茎の根元までかぶるゴムをつけさせるし、あいつのきんたまは、おまえの膣の下あたりに当たるだろうけど、おれ以外のキンタマも味わってみろよ。
ミス福岡にも大学の時に、なったんだろう。おまえ。」
眼をぱっちりと開いて達子は、
「そうだけどさ。浮気なんて初めてなの、わたし。」
「え?おれ以外の男とセックスしたことないのか。」
「ええ。血が出たじゃない、初夜で。」
剛二は眼を宙に浮かせて思い出したように、
「そうだったね。あの時は、二発も発射したな。」
達子は白い歯を出して、
「でも、気持ちよかった。男性でも痒いところを指で掻くと、気持ちいいでしょ?あれよりずっと、気持ちいいの。オマンコがね。」
少し顔を赤らめた。
「そうか。大学ではミスコンテストで優勝だろう。自分でも気づいているように、おまえは美人だよ。」
「お世辞、いわないでよ。もう、おばさんだから。」
「そんな事ないよ。」
「だって、あなた立たないじゃないの。」
「それは、仕事疲れからだよ。新薬でいいのができたら、休暇をくれるらしいから。その時は温泉でも行こう。」
「露天風呂で、後ろから入れてよ。」
「ああ、そうするかな。」
ピンポーン、とチャイムが鳴った。剛二は立ち上がると、
「来たよ。おれは寝室の押入れに隠れているから、あいつとセックスするんだぞ。」
「うーん。」
しぶしぶと、しかし眼をパッチリさせて達子は答えた。スカートの尻の割れ目が鮮やかに浮き出た。巨乳でもある達子は玄関に行き、
「はーい。どなたさまですか。」
「こんばんは。ラクナリン製薬の田里(たさと)と申します。ご主人の部下です。」
「はいはい。」
達子がドアを開けると、背は中位で真面目そうな男性がいた。歳は、二十五位だろう。灰色の背広を着ている。ネクタイは紺色だ。眼は細い顔だ。
達子は、
「お上がりになってください。」
と招じる。
「失礼します。」
夫の部下は玄関を上がった。靴下は黒のようだ。居間の方へ達子は案内する。横長のソファがある。達子は、
「おかけになって。」
と勧めた。部下の男は、
「それでは、」
と腰掛ける。台所でコーヒーを注いで来ると、達子は夫の部下に勧める。と、部下は、
「いただきます。申し遅れました。わたし、新薬製造部の田里景一郎(たさと・けいいちろう)と言います。ご主人は、まだ、お帰りにならないのでしょうか。」
「ええ。まだ、ですわ。あまり遅いと外泊みたいですから。今夜も、そうかもしれませんわね。」
「それは、大変でしょう。奥さん。」
真面目な顔して田里はコーヒーを飲んだ。
「最初のうちは辛かったのだけど、今は、慣れましたわ。」
「お子さんは、いらっしゃらないのですか。」
「いません。欲しいとは思いますけど。」
横長のソファの左に達子が、右に少し間を開けて田里景一郎が座っている。田里が横目で達子を見ると、巨大な乳房の大きさが分かる。白いエプロンが前に掛かっているが、横から見たらそのエプロンは薄く見える。張り切った乳房はロケット型だ。
田里は黙り込んだ。達子は膝までのスカートを少し上に両手で上げる。達子の膝から上の十センチ位の太ももが出た。田里はそれをチラと見て、
「実は奥さん。ぼくは貴女のご主人に命じられている事があるんです。」
と話すと、唾をゴクリと飲む。
「なんですの、その命じられた事って。」
「それは、奥さん、ぼくが奥さんとセックスする事です。」
「まあ、そんな事を主人が。」
「本当なんですよ。で、長いコンドームまで貰って、持ってきたんですけど。やはり、実行していいのかな、と。」
達子は色っぽく微笑んだ。
「うふ、わたしも浮気は初めてだから。」
彼女は髪を搔き揚げた。白いうなじが、見える。大学のミスコンテストに優勝した時のような気分に達子は、なった。
田里の右手が達子の右の乳房を掴んだ。はっ、とする達子は髪を振り乱す。田里の右の人差し指は、上着の上から達子の右乳首を優しくいじる。快感の電流が達子の脳内に走った。
「はん。もっと、して。」
彼女は濡れた瞳で背広の田里を見つめた。
「奥さん、もう僕、あそこは破裂しそうです。」
達子の白い右手の指は、田里のズボンの股間に這った。二人は向き合うと顔を寄せてキスする。田里の股間のシンボルは一段と大きくなる。達子の方から滑らかな舌を田里の唇の間にすべり込ませてきた。同時に田里のシンボルを握って達子は上下に擦る。
「あっ、奥さん、そんなにされると出るかもしれない。」
田里は唇を離すと、そう言う。
「わかったわ。寝室に行きましょう。」
二人は立ち上がると、達子は田里に密着する。巨乳の乳房が田里の胸の下あたりで、ぶにゅ、とつぶれる。
「奥さん、マンコしたいです。」
「たっぷり、ハメて。」
恥ずかしそうに達子は田里の耳に小さく囁いた。顔を少し赤くした達子の尻と肩を抱くと田里景一郎は、お姫様だっこをして彼女を軽々と抱き上げた。三十路前半の女の甘い匂いが田里の鼻の穴から侵入してくる。それが彼の股間の突起を維持させた。達子の顔は人妻には見えない。それはセックスレスが続いているためなのだ。
田里はチンコを勃起させたまま、達子夫人を寝室に運ぶ。寝室のドアノブは達子が握って開いたのだ。そこは六畳でピンクのカーテンが下がっていた。ドアの内部付近に電燈のスイッチがあるのを達子は指で押し上げる。ピカッ、と部屋は明るくなった。部屋の明かりとは照明によっても変わる。オールドな日本文学では、その当時の照明器具によって照らし出された灯りを元に空想されている。さて、2014/03/15現在、そんなに古い電燈はすでにメーカーは作らないのだ。
達子たち夫婦の寝室の灯りは、パナソニックのパルックプレミア蛍光灯のナチュラル色のものである。自然に明るい感じで部屋の隅々まで見えるので、古い日本文学に記述される部屋の照明とは進化したものがある。もちろん、このパルックプレミア蛍光灯も、やがて古いものになるだろう。その時は、この時代を表した文献にもなればと思う。
もう昭和の文学でさえ辟易するのは、当時の電気器具などのレベルの低さにも、よるところがあるはずだ。江戸時代の灯りなど原始生活から少し進歩した程度であろう。
現代の我々は進化した電燈を使っている。その電燈で部屋の隅まで自然、というのは昼の光だが、それに近い光線が部屋の中と達子の体を照らした。
男に横抱きに抱かれている達子の体の曲線は、淫らなカーブである。寝室の押入れの中から少しの隙間どころか、ご丁寧にもマジックミラーを襖の上半分にした内部から有池剛二は悠々と二人を見つめた。が、思わず息を呑む剛二だ。
それは妻の体が新鮮に見えるのだ。自分に向けた姿態とは違ういやらしさを部下の田里景一郎に見せている。その妻の体を見て、夫の剛二は久し振りに股間に血が行き始めるのを感じた。
田里は眼を丸めて、
「奥さん、明るいですよ。」
「いいのよ。わたし、見られるのが好きなの。」
田里は達子をダブルベッドに下ろした。緑色の掛け布団が白いベッドシーツの上に掛かっている。田里が、その緑の掛け布団に手を掛けると、達子は、
「いや、布団はかぶらなくてもいいわ。部屋は暖かいでしょ。」
なるほど部屋は夫の剛二がエアコン暖房を入れていた。
「本当ですね。なんか暑いくらいです。脱いで、いいですか。」
「どうぞ。ズボンの股間が破れそうだわ。早く脱いだら?」
達子の目は大学のミスコンテストで優勝した時のものになっている。田里の股間をじっと見た後、彼と同じように服を脱ぎ始めた。形のいい巨乳を包んだブラジャーが見え、それを後ろ手で外すと大きな果実のような乳房が現われる。
若い田里は達子より早く、全裸になっていた。それも男の方が身につけている下着も少ないから当然だ。
上を向いている田里の野太い長いキノコは、達子にとっては夫の他の二本目のものになるわけだが、思わず達子が涎を少し垂らしそうなほどの形状だ。
男が女の性器を見たがるように、実は女も男の性器に興味があるのだが、男の裸体の写真集が少ないことからも、それほどではないと思われるだろう。でもそれは、女性がハーレムを作らないのと同じ心理で、女は本質的に多くの男を求めないようにできている。昨今のアダルトビデオに見られる女一人に男二人以上というプレイは男性の眼から見ても不快きわまりないものだが、実は女の眼から見ても気持ちはよくないものだ。
多くの人間に見られたいアイドルといった女性であれば、多数の男性を受け入れる変態的身体といえるのだが、普通の女性はそうではない。現に今でも中東では、女性は夫以外には顔さえまともに見せない国もある。
達子も美人とはいえ、普通の女性だ。だから夫に命じられて田里との不倫を実行に移しているわけだ。もし、夫の剛二に言われなければ、こんな大胆な、でも最近はありふれた情事を決行しようとは思わなかったに違いない。
そんな慎み深さも達子の顔の美点として現われていたのだ。それが今、田里景一郎の隆々としたペニスを見て、一人の女、それは独身の時のような女の心に彼女を戻らせた。達子もまた、下着を脱ぎ終わると白いふくよかな裸体が田里の眼に映る。田里は彼女に近づくと、
「奥さんの体は天女のように綺麗ですね。」
と低い声で囁くと、
「恥ずかしいなあ。主人以外に裸を見せたのは、これが初めてよ。」
と告白して、顔を両手で覆った。
田里は、その姿勢のままの達子を左手は背中、右手はボリュームのある尻を抱いてベッドに倒した。柔らかい達子の体を感じながら、大学のミスを犯しているような気分になる。達子の白い太ももを右手で左右に大きく開かせると、田里は彼女の秘境に顔を近づけた。密生した黒い陰毛の下に形のいいピンクの割れ目があり、舌を這わせるとプクンと割れ目は口を開いた。その形は男の剛棒を受け入れたくてしょうがないという淫欲を表している。
「あああっ、燃えてきちゃうわっ。」
達子は悶えると、まんこを震わせた。ぷるるんっ、と震える達子のまんこの動きに田里はたまらなくなり、両手で体を上にずらせて、野太いキノコを口を開けた達子の縦の赤い口にズブリと差し込んで腰を沈めた。
「ああん、夫以外は初めてよ、いいっ。」
悶えた達子は口を開くと、赤い舌を出す。二人の裸の上半身と下半身は、みだらにも妖しく絡み合った。それは昼の光の中の光景として二人とも、そして夫の剛二には映った。
十分間、きまじめに田里は腰を浮かして沈めた。達子の膣肉はヒクヒクと動き始め、ついには強く締め付けたのだ。田里は顔色を変えると、
「奥さん、イキますっ。ああー。」
と情けない声を出すと、薄いゴムの中にたっぷりと白い巨液を出した。
小さくなる田里のキノコを達子の縦の淫口はまだ、しっかりと咥えていた。達子の形のいい白い美脚は両方の足首を田里の尻に巻きつけたままだ。
達子は愛おしそうに田里に口づけた。達子に舌を絡められて田里は少しずつキノコにふくらみを感じていく。チュッ、と音を立てて達子が唇を外すと田里は、
「奥さん、代えのコンドームが今はないんです。」
と慨嘆した。
達子は上気して赤い頬の顔を田里の小さいキノコに向けたまま、
「夫のがベッドの、ほら、ここに。」
と白い右腕を伸ばして引き出しの位置を示し、
「入ってるの。それを、つけて。」
と指示する。田里は心配そうに、
「いいんですか。奥さん。ご主人には指定のコンドームで、するように言われています。」
「わたしが許可するのぉ。おちんこ様が大きくなったら、早く入れてね。」
と命令的に話すと自分で形のいい白い乳房を揉む。
マジックミラーの中の夫の剛二は、はらはらとした。さっきは田里のペニスの根元まであるコンドームだったのだ。だから妻の達子の女の一番大事な秘肉は、田里のシンボルの肉の味を本当には知らない。それだから本当の浮気ではないと、剛二は思っている。でも自分の薄い短いコンドームを田里に付けられると、妻は田里のペニスを存分に味わうのだ。そうしたら妻は、田里の淫棒にのめりこむのではないか、という思いが剛二の脳内で炸裂した。
さっきは、妻の思う存分に乱れて、エロ映像も顔負けの恥態を我を忘れて食い入るように見て完全に勃起した時に田里は射精した。次は、どうなるのか・・・。

田里は、あっさりと、
「だめです、奥さん。」
と否定すると、パンツを履き始めた。達子は不満一杯に、
「わたしの体、つまらないかしら?」
ベッドから半身を起こして、聞く。
「いいえ、でも有池課長の指示通りに動かないと、熊本に飛ばされるんです。」
田里は手早く服を着ていった。マジックミラーの中の剛二課長は大満悦である。
ネクタイまで丁寧に締めた田里景一郎は、
「それでは奥さん、失礼します。玄関の鍵を閉めなくて大丈夫ですか?」
「閉じたら自動で閉まるから、気にしないで。」
「はい、さようなら。」
後ろを振り返らずに田里は出て行った。やがてガチャン、と鉄のドアの閉まる音が達子の耳に聞こえた。夫の剛二がマジックミラーの内側から出てくると、
「忠実な奴だな。おまえの乱れ方も、相当なものだ。満足したか?」
「しないわ。まだマンコが求めてるもの。」
剛二は歪んだ顔で笑うと、
「あいつは冷静だったが、おまえの会社の上司は、そうじゃないだろうよ。新薬開発部の部長は、まだ独身だそうだな。」
「何が言いたいのよ。」
「おまえの体なら、その部長を誘惑できるし、新薬の秘密のファイルも見せてくれるだろう。」
「そんな事・・・。」
「できるさ。自信を持てよ、今でも美人なんだよ、おまえは。」
その事は、同僚や後から入って来た新入女子社員も認める事だった。ストップ製薬には真面目な女子が多く、容貌も硬い感じの女性が多い。
「でも、新薬開発部になんて入った事ないんだもの。」
「自分の会社の中だろう。昼休みにでも探してみろよ。」
「そうね、そうする。」
その後にする事は、達子には分かっていた。

熟女の近未来の性生活

近未来の不動産会社OL

美山響子(よしやま・きょうこ)は、三十歳、不動産会社勤務、独身、身長百五十八センチ、88>59>89のサイズで、通勤はフェラーリで通勤している。
満員電車では必ず、痴漢された。美山響子は男性の好みは限定されていたので、多くの男に触られるなど気分のいいものではない。もちろん、大抵の女性なら痴漢は気分が悪いものだが。それで、二千万円クラスの黒のフェラーリを現金で購入した。
インターネット検索で、フェラーリの販売店を探し出したのだ。フェラーリの公式ホームページから探せる。響子は福岡市なので、福岡の販売店を探すと、一つしかなかった。
2013年も一つだったが、2033年の今もフェラーリの販売店は福岡市にしかない。なにせ、トヨタがレクサスなどの高級車の販売に力を入れたため、高級外車は昔ほど売れなくなっていた。

響子は帰宅すると高級マンションの最上階で、宅配ピザを注文する。
「春吉の美山です。」
「毎度ありがとうございます。」
名乗った後に、間を置くのはピザの店の人間がパソコンから美山の情報を呼び出すためで、これはもう随分昔から行われている。
Sサイズのピザを二枚、注文した響子はフカフカのソファに座った。それから向こうの部屋にいる彼の体を思い出す。彼は料理、洗濯なんてやってはくれないばかりか、自分で歩行するのもままならない体だ。
それでも一昔前の彼のタイプの・・・
ピンポーンと、何十年と変化のないチャイムが鳴った。携帯電話の着信音なんて様々なものがあるのに、ドアのチャイムは何処も同じ、およそ建築関係の人間は発展性がないのだ。それが証拠とはいえるかどうか、日本の大手建設会社の起源は江戸時代の頃で、保守一点張りといえるのかもしれない。
玄関ドアを開けると、男子大学生アルバイトらしい青年が顔を出した。背も高く百八十センチはあり、フットボールでもやっていそうだ。響子は(ピザよりも、この青年の方がおいしそうだわ。)と思ったが、学生では面倒な事も多い。
「お待たせしました、ピザビッグです。」
ズボンと上着が繋がっている、いわゆるツナギの白い制服を着た大学生は
ピザビッグ!おいしさ二万倍。
と文字が印刷された白い箱を響子に手渡した。受け取って玄関脇の棚のところに置くと響子は、代金を払った。その宅配員の視線を胸に感じながら響子は、その男の股間を見ると白い制服に大きく張り出した格好になっている。(勃起しているのかしら)
「丁度、いただきました。ありがとうございます。」
深々と頭を下げた青年の股間を響子は注視していたが、ドアが閉まるまで張り出したものは、引っ込まなかった。

ピザビッグはSサイズも他の宅配ピザより、大きかった。響子の好きなメニューの一つがウインナーピザで、長さ二十センチのウインナーを先に手にとって、男性のペニスを頬張るように口に入れる。
このウインナーピザの注文は独身女性からが最も多かったので、ピザビッグの経営者は、含み笑いをしながら、
「裏メニューを開発しよう。簡単だ。ウインナーを男性器の形にするんだ。それをバイブ版、という形でメニューに載せる。メニューには、未成年のお客様は、このバイブ版は御注文できません、と但し書きは入れるようにする。さっそく、取り掛かってくれ。」
という発案に、開発スタッフが取り組み、できたものはバイブというより食べられるだけに松茸という感じの黒い大きなウインナーだった。
今、響子が口に入れたのは、この裏メニューのバイブ版だった。
(まるで、男の大きなアレみたい・・・。)
響子の舌は、その男性器と同じ形に作られた、というより勃起時の男性器と同じに作られたウインナーの亀頭の部分を舐め回していた。亀頭のカリも舐め回していく。
TANNERの第五段階、の男性器をモデルにしている。すなわち、最終的に成熟した男の性器である。
響子は上着を脱ぎ、シャツも脱いでブラジャーを外すと、TANNERの第五段階である自分の乳房を揉みながら、ウインナーをまるで男性の勃起したペニスにするように舌を這わせていった。
広い食卓に一人で座って、響子はウインナーにかぶりつく、のではなく、しゃぶりついている。
響子の白い大きな乳房はTANNERの第五段階のため、乳輪は後退して見えない。
世間的に見られるAVなどでの乳輪の大きな女性は、TANNERの第四段階であり、完全成熟とはなっていないのである。
空腹は、響子の想像を打ち破った。カリカリとウインナーは、響子の口の中で噛み裂かれる。胃袋から伝達される感覚が、彼女を現実に戻したのだ。
(彼は、寝室にいたわね。ダブルベッドで寝てるけど。わたしがピザのウインナーで、こんな事をしているのは知らないでしょう。)
そもそも、その彼との性生活に不満があるから、ウインナーもビッグサイズのものを求めるようになる。でも、それは彼のモノのサイズが小さいからではない。
ウインナーを食べ終わると、ベッドに寝ている彼のビッグなモノを想像して響子は笑顔を浮かべた。

ピザが入っていた紙の容器をゴミ箱に捨てると、響子は寝室に向った。ドアを開けると、ダブルベッドの片隅で全裸の彼が寝そべっている。響子は彼の股間に真っ先に、眼をやる。ビッグ!ただ、それはまだ固くなっていない。
その彼は、同じ不動産会社の同僚だった。年齢も同じで、三年前に結婚した。半年ほどは薔薇色の結婚生活だった。何が楽しいといって、仕事から帰って夕食を食べ、そのあとにすぐするセックス以外にあるだろうか。彼は大学時代、ラグビーをしていたのでタフだった。
響子を手早く全裸にしてくれて、先に全裸になっていた彼は、すでに怒髪天を衝くという言葉を変えて、怒棒天を向くという趣の姿態だ。
お互い立ったままの彼らは、響子が尻を向けて彼に寄り添う。彼は高く突き出した彼女の尻の間に見える大きな割れ目に、太く長いイチモツを突き入れると、響子の両脚を膝の後ろから両手で抱えて、空中に浮かせた。
駅弁体位の女性が、逆を向いた姿勢になる。駅弁体位の場合、女は男の肩に掴まったりするが、響子の今の体位は背中が彼の胸に密着して両手は空いている。
彼が響子の体を高く持ち上げるようにして、おろすという動作は騎上位を空中で行っている気になり、
「あっ、あっ、あっ。」
という悶え声を響子は止められなかった。空中に座ったまま、彼の雄大なペニ棒が出入りしている。それが、新婚生活で響子が最も好きな時間だった。
響子のマンコは締め付けが強く、セックスを終わった後、彼のペニスを観察するとその皮膚が締め付けられて赤くなっていた。
それ位の締め付けだから、彼も五分と持たないことが多かった。
不動産会社も多種あるのだが、響子の勤めているところは主に賃貸物件の仲介だ。福岡市の中心に近いところにあるので、家賃の高い部屋が多く、したがって仲介を頼みに来る人達も少ない。
平日の昼間など、午前中もだが、客は一人も来ないことが多い。高い家賃を払ってまで福岡市の中心に引っ越したい人達は、東は神戸まで見当たらない巨大商業地の天神でビジネスとか店を考えている人達なのだ。
響子は一人で店にいる事も、しばしばだったので、逆駅弁の夫とのセックスを思いながら指はスカートの中に入れて、パンティの上からマンスジを強くなぞって楽しむ事もある。
不動産の仲介店に行けば、どこでも座っている女性の下半身は見えないようになっている。だから、万一、客が入ってきても響子は指を素早くパンティから離せばよい。
大手建設会社の受付も暇なことが多いし、人も通らない時間が多いと受付の女性はオナニーに耽る事もあるらしいが、響子は店のドアが開く瞬間に手を離して来客用笑顔を向けるので、気づかれた事はない。
響子の夫は営業に回されていたので、部屋も違い、顔を会社で合わせる事もなかった。
それでも、二人が付き合っている事は社内では知れ渡っていた。それは狭い世間というところだろう。響子と彼が、会社の休日にラブホテルに入ったのを見た社員がいたらしい。
休みの少ない不動産会社の休日に、二人はホテルで朝から晩までセックスした。
昼の食事も、そこそこのホテルに泊まるようになってからは、部屋に持って来てもらうようにした。その昼食を受け取る時だけ、彼が衣服を身につけた。大抵は若いホテルマンが、台車で昼食の上に布をかけて持ってきた。その時には、一発は響子の尻の中に射精していたし、入り口から見えないベッドで響子は全裸で寝そべっていた。
不動産会社の休日だから、水曜日、響子の会社も水曜日が休みだ。昼食を食べ終わった二人は、再び全裸で抱き合う。窓のカーテンも締め切っているけど、その外の下の空間では忙しそうに白いカッターシャツを着たサラリーマンが、歩き回っていた。
正常位で挿入しようとした彼に響子は、
「昨日のお客さん、案内した部屋の中で、さりげなくだけど、わたしのお尻をむにゅーと掴んだのよ。」
と告白する。彼の勃起したイチモツは、響子の膣口の前で停止した。
「ええーっ、それだけか。」
「うん、それだけ。」
「よーし。おれがもっと、おまえの尻を愛してやる。」
彼は響子を、うつ伏せにした。大きな二つの乳房が、プルンと揺れる。尻を高く上げた響子の股間には、大きな淫裂の線が彼の眼にイヤラシく映った。潤んだその長い割れ目に、彼は長大なモノを根元まで突き入れた。響子は尻を震わせて、顔を横向けにすると、
「あああ、すっごく、いい。マンコ、気持ちいい。こすって!」
と淫らに悶えた。頬が紅色に染まっていた。不動産会社で働いている時の顔とは、別人のようだ。恐らく、AVに出ても分からないのではないかと、思われる。
この頃のAVはマンネリ化して売り上げも落ちてきていたのだが、テレビに出た、もしくは出ていた芸能人を出演させるという企画で、どうにか持ちこたえていた。狙い目は昔、大人数で歌っていたあの数十人単位のメンバーをどれか一人でもAVに出せば、昔のファンが必ず買うという現象がある。メンバーの二人を同時に出演させて、男優四人と絡ませる。そういう企画ものは、四十万枚もの大ヒットとなった。AVは昔からレンタルされるのが普通で、十万枚も売れれば大ヒットだった。
昔のファンには、たまらないシリーズだった。握手をしたファンは、一人で二枚は買った人もいる。
傑作なのが、この元アイドルグループのシリーズものを三十枚買うと、誰か好きなメンバーとホテルで、しかも高級ホテルで一泊できるというものだった。そのシリーズのDVDに付いている応募券を集めて郵送すれば、東京のホテルまでの往復の旅費まで旅行券がついて好きなアイドルとの夜が過ごせた。大抵は三十過ぎになっていたメンバーが多いけど、その高級ホテルの従業員の話では、そのアイドルと泊まっている客の部屋では一晩中、灯りがついていて、その元アイドルの悶え狂う下品な悶え声が四、五時間続いて聞こえた、とか、朝、その元アイドルが蟹股でヨタヨタとホテルの通路を歩く姿が見られるという。
やはり一晩中、大股開きにさせられて、熱くなったファンのモノを受け入れていると股ずれが起きる事もあるらしい。
元メンバーの中には、結婚しているものもいたけど、旦那公認でそのAVに出ている場合もある。その場合も、応募できるのでシリーズ累計二百万枚の売り上げを記録しつつあるAVのミリオンダラー箱である。
オンデマンドという言葉があるけれども、これ以上に客の要求に応えたシリーズは過去には、なかったろう。
これらのシリーズものの売り上げは、低迷しているCD業界などには垂涎の的ではあったが、彼女等の悶え声だけを収録したCDも大した売り上げには、ならなかった。
彼女達が出るAVをAVB24と称していた。アダルトビデオ部隊24の略だった。

結婚が決まるまで部屋に入れてくれなかった響子の彼、だったが、結婚が決まって、
「おれも包み隠さず、部屋を見せる。」
と男らしく公言するように話すと、薬院という福岡市の中心に近い場所の二十階立ての十五階に住む、彼の部屋に響子は連れて行ってもらった。
神戸の人口を抜いて、名古屋に迫ろうという福岡市でも高層マンションの建築はボツボツだ。それは郊外にまだ、土地があるからである。神戸の人口より少ない頃も、高層マンションを多く作るという発想は福岡市内では、あまりなかった。東京のように完売できるかという心配もあったと思われるが、新築のマンションはすぐに満室になったり、分譲マンションは建築中でも完売御礼が出るのが福岡市である。

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「レズしたいっ!」
 白花百合子は、もう二十二歳になる。福岡県福岡市内中央区にある不動産会社に勤めるOLだ。身長160センチ、体重60キロ。スリーサイズは、上から86>58>88という極め付きの体は洋服を着てもハッキリとそのふくらみが見えるものだ。顔はすこぶる美人で、博多美人というおもむきだ。という彼女だが、彼氏はいない。
彼がいない理由の一つは、職業によるものだろう。不動産会社は日曜も仕事がある。
 最近の世相では、女性で二十二歳で独身というのは別に珍しくもなくなっている。
だから、もう二十二歳という表現は当節不自然だが白花百合子としては普通の女性よりも結婚願望が強いので、彼女の気持ちとしては、もう、という気持ちなのだ。
彼がいないもう一つの理由として考えられるのは、彼女は女子中学、女子高と福岡市内にある私立の学校に通わされた事にあるだろう。
おまけに女子中、高と空手部に在籍していたので、これも男がいない理由かもしれない。つまり、白花百合子には隙がないということだ。
以前、二十歳の頃、通勤している地下鉄で朝、彼女は痴漢に会いかかった。彼女の豊満な尻に触ろうとした若者の手をハイヒールを履いた片足で蹴り上げて、その二十代の学生は手にひびが入る怪我を負った。激痛にしゃがみこむ、そのやせた男を見おろすと百合子は、
(わたしは、ちゃんと見てたんだからね。あんたの右手の動きを。)
と心の中で言い捨てた。
さすがにその件は、百合子も幾分気の毒に思えたので彼女は美容院で髪の毛を短くしてもらった。椅子に座ると、
「スポーツ刈っていうのかな、あれにしてください。」
「ええっ、男の子?のようにですか?」
「ええ。その方がいいかと思って。」
「わかりました。」
それで百合子の頭は男子のように、短髪になった。会社に行くと課長が驚いて、
「白花君。びっくりするな。でも、似合うよ。不動産会社勤めには、それでいいと思うよ。」
「ええ。変な男がいましたから。」
「ああ、客の中にはたまにそんなのもいるだろうね。その髪型だったら安全だろうな。」
百合子は詳しくは答えずに、
「そう思います。これでお部屋の案内も、もっと多くできますわ。」

百合子は男性経験は、なかったが処女ではなかった。百合子の処女を奪ったのは、彼女が通う空手道場の女師範、六月(むつき)さね子だった。それは百合子が十八の歳で、女子高の夏休みに夜、いつものようにその道場で稽古を終えた後に六月さね子は寄って来ると、
「女らしくなったわね。わたしが空手の秘儀を教えるのに、ちょうどいいな。」
と耳打ちした。六月は三十歳だ。空手歴も長いし、手には拳ダコがあり肩幅も広い。胸は小さく、しかし尻は大きかった。眼は細長く、鼻は高い。百合子のようにパッチリと開いて、二重まぶたの瞳とは正反対で六月さね子の眼は一重だ。さね子は、その空手道場の館長の六月武郎の一人娘なのだ。まだ、独身である。その時、道場のみんなは既にいなくなっていた。さね子は洋服に着替えると、
「その技を身につける前に、百合子が経験しなければ行けない事があるの。それは、シティホテルでね。」
「おす。わかりました。」
「わたし達、メスだからめす、って言ってもいいわよ。って冗談よ。行きましょうか。」
茶色の服を着た百合子を六月女師範は、促した。
その空手道場は福岡市南区井尻にある。百合子の両親は東区香椎の辺りに住んでいて、百合子も小学校卒業までは東区で育ったのだが、私立の女子中学に通うのは大変なので、その学校に近い駅の井尻のマンションに百合子は一人暮らしだった。その井尻の駅近くにある空手道場、練心館こそ百合子が中学入学と同時に通い始めた道場なのだ。百合子は中学でも空手部に入った。その練習が終わると練心館道場に通う。
おかげで高校三年の夏に百合子は、女子空手日本一になった。
(六月師範も、わたしに期待してるんだわ)百合子は、これから始まる師範の指導に心をときめかせた。
井尻にはホテルはないので、一つ北に行った大橋駅近くのシティホテルに二人は入った。六月女師範は片手に大きな黒いバッグを持っていた。部屋に入ると、そこはシングルでベッドは一つだ。フロントの三十代の男性は変な顔をしていたっけ。と百合子は思い出す。さね子は、
「泊らないし、これでいいのよ。さあ、裸になって。」
と指示する。ええっ?裸にいっ?百合子がそう思ってボンヤリしていると、目の前の女師範はスルスルと洋服から下着まですべて脱いで全裸になった。筋骨逞しいといっていいような体に、小さな胸と黒々とした足の付け根のアンダーヘアが百合子の眼に入った。百合子も急いで裸になる。高校生にしては発育した胸と尻が女師範の眼に入ると、
「百合子、いい体しているわね。これから貴女が習う秘儀は男に使うものだけど、その前にあなたがやらなければいけないことはね。」
師範は飛ぶより早く全裸の百合子、その頃は少し長めの髪の毛の百合子に近づくと彼女の肩を抱いてキスをした。初めて触れる女性のくちびるの甘みに百合子は、ぼーっとなった。そのまま、さね子は百合子の口を自分の舌で開けると十八の百合子の舌にくにょくにょと舌を絡めていく。さね子の左手は百合子の右胸を優しく揉み始めていた。(ああっ、師範はレズだったんだあっ・・)と揉みしだかれる胸からくる快感を感じながら百合子は思った。さね子は自分のアンダーヘアを百合子の同じ部分に当てると、腰を左右に振って擦りつけた。百合子は自分のその部分が濡れてくるのを感じた。さね子は舌を抜くとキスをしたまま、百合子を抱きかかえてベッドの上におろした。閉じたままの百合子の白い両足を、さね子は素早く大きく開かせた。その上にさね子は乗ると、又アンダーヘアを合わせた。今度はさね子の女性器が百合子のものに当たった。ふたつの陰唇が合わさると、さね子は激しく男性のように腰を振り始めた。ぐにょぐにょと割れ目の擦れる音がし始める。百合子の頭の中は透明になっていった。さね子は百合子の両方の乳首を一つずつ、口に含むと舌で愛撫する。百合子は自分の乳首が硬くなっていくのを感じた。次に、さね子の舌は百合子の首筋、耳を舐めまわす。百合子は自分の股間が、じっとりとするのを覚えた。さね子の腰の動きが早まりだした。さね子は、
「百合子、もうわたしイキそうだわ。ああっ、出る!!!」
さね子は、びゅっと出した潮を百合子の柔らかな淫唇にかけてグッタリとした。百合子は自分のアソコが師範の出した液体で濡れたのを感じた。百合子も何か、イクという感覚を覚えたような気がした。
さね子はすぐに立ち上がると、バッグを置いてあるサイドテーブルのところに行き、バッグの中から何かを取り出した。ベッドに白いふっくらとした足を大きく広げて寝ている姿勢から、百合子が見たものは天狗のお面を手に持つ女師範の姿だった。さね子はその天狗の高い鼻のお面から出ている紐で、自分の腰に巻きつけるとそれは師範が勃起したイチモツを現したようだった。その鼻は、さね子の腹部から四十五度の角度をもって上に跳ね上がっていた。(師範、まさかそれで・・・)百合子が思う間もなく、さね子はベッドに戻ると百合子の上に覆いかぶさって、天狗の長い太い鼻を百合子の若いおまんこの中に挿入していった。(ああんっ)百合子は、かすかな痛みと強い快感を挿入の瞬間に覚えた。さね子は天狗の鼻を根元まで百合子のかわいいマンコに入れ終わると最初はゆっくりと、やがて激しく腰を振り始めた。百合子は小さな声で、
「ああんっ。」
とかわいい悶え声を洩らした。さね子は腰を目まぐるしく動かしながら、百合子に顔をくっつけてくちびるを合わせた。天狗の鼻は硬いゴムのようなもので、できていた。さね子は律動を早めていくと、
「ううっ、又、イクわっ。」
そう叫ぶと、ぐったりとなった。天狗の面の中に潮を出したのだ。百合子もその時は、失神しそうな状態になっていた。
やがて身を起こすと、さね子は天狗の面を外して、
「これで百合子も女になったのよ。わたしを女にしたのは父。でも父が自分のものを娘のわたしに入れるわけはないわ。父は自分の体にわたしが今、あなたにしたように天狗のお面をつけてわたしに挿入したの。それは、わたしがやはり貴女と同じように十八の夏だったわ。」
ベッドに腰掛けて、遠い日を思い出すような眼をしながら女師範はそう語った。
(えええっ)と百合子が思うと、さね子は苦笑いして、
「でも父は変態じゃないのよ。わたしに空手の秘儀を教えるためだったの。そのためにわたしの女性器を打ち破ったのよ。それからわたしの修行はまた、始まったのね。」
さね子は又、バッグのところへ行き、天狗の面をしまうと又、中から何か取り出した。今度は黄色いバナナだった。まあ、赤いバナナがあるわけもないけれど。女師範は、バナナを立ったまま皮をむきベッドに戻って腰掛けた。百合子も起き上がってベッドに座った。立膝をして手を膝に置いている。
さね子は柔らかな感じで足を開くと、手に持ったむいたバナナを自分のマンコに入れていった。あ、と息を呑んで百合子が見ていると、さね子は、
「うむっ。」
と小さく声を出した。右手のバナナを上に上げると、そのバナナは半分に切れていた。半分は女師範のマンコの中に入っている。百合子が仰天すると、さね子は、
「これが秘儀、マンコ割りなのよ。最初はバナナなんかの柔らかいもので、練習するの。」
と落ち着いて説明した。
それから再び、さね子はバッグのところに戻り中からキュウリを取り出して百合子を見ると、
「見てて、これを割る。」
直立しているさね子は脚を広げると、右手でキュウリを自分のまんこの中に入れた。
「はっ!」
と気合をかけると、キュウリはペキンと折れて彼女はそれを右手で高く上げてみせる。
「これくらいできるようになれば、マンコ割りは完成半ばってところかな。」
「すごいですね、わたしも練習すればできるようになりますか。」
百合子が賛嘆の面持ちで聞くと、
「ええ、もちろんだわ。あとで男を相手に実演してみせるわね。大橋駅近辺にもナンパ野郎はいるから。」
「わたしも、ナンパ男を相手にするんですか。」
「いえ、あなたはまだいいわ。マンコ割りで男がどうなるか、見てみることね。」
「ええ、見たいです。」
「これは一つの秘儀だから、最終的にそういう状況になった時に使うものなの。指で男のちんこを掴めれば、わたしならね・・・。」
全裸のさね子は、バッグの中から財布を取り出すと百円玉を右手の親指と人差し指でつまんだ。
「エイヤーっ!」
すると百円玉は少し曲がってしまった。又しても唖然とする百合子だった。
(あれじゃ、男の子のものは・・・)
百合子は、まだ見た事のない男のちんこを想像していた。
さね子は百円玉を財布にしまいながら、父以外の初体験の相手を思い出していた。
それは六月さね子が二十歳の歳で、彼女が昼間はコンビニでアルバイトしていた時の店長だった。コンビニのアルバイトといっても接客をしていたわけではなく、さね子は裏で商品の仕分けや搬入などをしていた。その店長は四十過ぎの妻子持ちだったが、奥さんが三つ年上でセックスレスが続いていたようだ。その頃のさね子は、すでに巨尻となっていたのでコンビニの制服は尻のところが破れそうなほど膨らんでいた。黒の眼鏡をかけた店長は、いつもさね子のとなりで仕分けなどを一緒にした。その時に、さね子は自分の尻のあたりに視線を感じるのだったが、それはその店長が度の強い眼鏡でしゃぶるように眺めていたからだ。店長は三宅という名前だった。三宅雄三というのがフルネームだ。
最近、三宅雄三は新しく眼鏡を買った。それは六月さね子の尻をよく見るためである。
昼の十二時頃、客も店内は多くてレジも忙しいが裏で働くのも忙しくなる。その裏では店長とさね子の二人が商品の仕分けをしていたが、ついに店長の手が六月さね子の尻に触れた。さね子は、それを感じたけど何も言わなかった。三宅は彼女により近づいて、
「六月君、ホテルに行かないか。君は四時で終わりだろう。ぼくは外に出る用があると言えば、誰も何も言わないし。」
「いいですよ。」
さね子は、顔を赤らめた。三宅は体格もよく身長は百九十センチはあり、体重も百キロは超えていただろう。プロレスラーのような体なのだった。だから、強い事へ憧れを持つ六月さね子は三宅雄三の露骨な誘いにも抵抗しなかった。それに三宅を独身だと思っていたのだ。
その時、店のほうから若い女性店員の声がした。
「店長、レジをお願いします。」
三宅は慌しいレジを手伝いに行った。袋詰めをしながら三宅は、
「ただいま炭火たこ焼きが、十円引きとなっておりますよ。いかがですかー。」
と声を出したりしているのが、裏で働く六月さね子の耳にも入った。
その店は、井尻駅近辺のコンビニだった。四時になると客は少なくなり、六月さね子は店長の車に乗って竹下駅近くのラブホテルに入った。
三宅は部屋に入ると、
「おれは、これからまだ仕事があるから。早くしないとね。」
と話すと、さね子を抱いてキスをする。口を離すと、さね子は、
「結婚すれば、こんな事、毎日できますね。」
と三宅にもたれかかって口にすると、
「ぼくはもちろん結婚してるよ。でも、もう妻とはセックスもキスもしてないな。」
(なにいっ!)
というのが、さね子の心の中だったが顔には出さずに、
「それは、つまらない結婚生活ですね。」
「そうさ。だから君が必要だ。」
三宅雄三は、さね子の私服を脱がせようとしたが、
「あっ、わたし自分で脱ぎます。」
「それじゃ、ぼくも脱ぐよ。」
二人は、手早く全裸になった。三宅は、さね子を抱え上げて彼女の尻を揉むようにしながらベッドに降ろした。三宅の体は少し脂肪がついていた。正常位で三宅が、さね子に硬くなったちんこを挿入した。さね子は、特に何も感じなかった。思いはあるものに集中していった。三宅が腰を動かし始めた時、さね子は、
「秘儀、マンコ割り。」
と呟いた。上の三宅は、
「えっ?学割、かなんかの事?」
と聞き返したが、次の一瞬で、
「ああああーっ。痛いーっ!」
と狂ったように絶叫した。三宅のちんこは、さね子のまんこから滑り出たが、それはダラリとしていた。
立ち上がった六月さね子は、服を着ると、
「これでもう、奥さんと何もできないんじゃないかしら。」
と冷たく言うと、部屋を出て行った。さね子は、その辺が竹下である事を知っていたので、井尻の家に帰るのは難しくなかった。
それから、さね子はそのコンビニには行かなかった。噂では、その後の三宅雄三はコンビニではナヨナヨとした感じで仕事をしているという。中洲のゲイバーで、夜働いている三宅を見たという人もいた。
実際にあのラブホテルから、三宅は救急車で運び出されたのだった。さね子が出て行って、しばらくしても出てこないのを不審に思った若い男のホテルマンが部屋に見に行くと、三宅雄三は気絶していた。
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六月さね子は服を着ると、全裸の百合子に、
「わたしチョット、外へ出てナンパされてくる、というか連れてくるから待ってて。」
と告げてホテルの部屋を出て行った。
そのホテルから大橋駅西口までは、徒歩二分である。西口前の路上には、金髪の若い男性が一人立って通りかかる女性を物色していた。身長180センチの痩せ型。二十代前半だ。青いジーンズに赤いシャツ、靴はスポーツシューズを履いている。ジーンズのポケットに片手を入れて、その若者は六月さね子に近づいてきた。夜の九時頃だ。サーファータイプのその男は、
「ひまなら、お茶でもどうね。」
と福岡言葉丸出しだ。さね子は、
「いいわね。それよりホテルに行こうよ。もう部屋はとってあるのよ。」
若者は眼を輝かせた。その時、通りかかった若い女性が、
「わたしもホテルに行きたいな。」
と割り込んできた。引き締まった体の二十代後半の中背の女だ。サーファータイプは、
「いいねー。3Pできそうやね。」
と臆面もなく口に出すと、さね子も、
「いいよー。まずは、あんたたちのプレイを見たいな。」
中背の女は、
「絡んだらいいよ。その方が楽しいけん。」
とこれまた福岡言葉で答えた。
三人は、並んで百合子の待つホテルの部屋へ。さね子がまずドアノブを回して入ると、百合子はもう服を着ていた。サーファータイプは百合子を見て、
「こらあいい。4Pできるやない。」
さね子はニヤニヤして、
「まず、あんたたちのプレイを見たいのよ。」
中背の女は、自分でさっさと服を脱ぎ始めた。サーファータイプも、
「おれも脱ぐたい。」
中背とサーファータイプは、ほぼ同じに全裸になった。若い男は中背の女の裸体を見て、するするすると長めのチンコを天井に向けていった。中背の女は、男にすぐにしがみつくと眼を閉じて口を突き出す。男は屈んで女にキスすると、抱えてベッドに置いた。女は自分から四つん這いになり、尻を突き出す。男はその女の尻の間に見えている大きな割れ目に挿入していった。
「あはんっ。いいー、よかとよ。」
と女は短めの髪を振り乱して悶えた。百合子は、その女性の脱ぎ捨てた服の近くに何か手帳のようなものが落ちているのを見つけた。近づいて、手にとって見ると、それは警察手帳だった。中を開けると
巡査 島木園子
の文字の上に、今、ベッドの上でサーファー風の男に後ろから突きまくられている女性の顔が写真に写っている。百合子は、
「お楽しみ中、すみませんけど、島木さん警察手帳を落としてますよ。」
それを聞いたベッドの上の女は、
「今、いいところよ。服の上に置いといて・・・ああっ、いい。」
体をのけ反らせる。男は、
「あんた、警察官か。まあ、アフターファイブは自由だもんな。おれと、こうやるのも犯罪じゃないし。」
ズンズンズン、と男は島木の柔らかい尻を両手で揉みながら突きまくる。
「そうねっ、なにやってもいいのよ。あはん、ストレスたまって、ああん。この前、同僚の婦警と便所の中でレズしてしまったの。でも、あなたの棒がいいわああ。」
島木園子は、悶えながら涎を垂らした。男は、腰のスピードが速まってきた。両手で島木の小ぶりのおっぱいを揉みながら顔を島木の耳に近づけると、
「もう、出そうだ。中に出してもいいのかっ。」
と歯を食いしばって聞く。
「いいわあん、ああ、ピル飲んでるのよ。だから、大丈夫。」
「よし、いくぞー。島木っ。」
「園子って呼んでっ。」
「園子っ。いくいく、出るーっ。」
ドピュピュッ、と男は精子を放出した。
六月さね子は、感心したように、
「よかったよー。まだ婦警さんのアダルトビデオはないみたいだから。近くで見れて、よかったです。」
島木園子は、だらりとなった男のペニスを手にとってペロリと舐めると、
「ああ、おいしいなー。まだ、やりたいけど、あなたもしたいんでしょ。」
と、さね子に顔を向けて言う。さね子は、無言で服を脱ぎ始めた。すぐに全裸になると、
「わたし複数プレイは苦手なのよ。よかったら、そこにいる百合子とレズしたらどうですか。」
島木園子は立ち上がると、百合子に近づきキスをしようとしたが、
「男との余韻を楽しみたいから、ごめん。又、大橋駅近くでナンパされれば楽しめるから。わたしは失礼します。」
そう言うと婦警らしく服を着て、出て行った。サーファー男は、
「あいつのマンコ、締りがよかったなあ。」
と思い出すように語ると、さね子は悪戯っぽく、
「そうかあ。締まりのいいマンコがいいのね。じゃ、わたしの試してみる?」
さね子は裸身をベッドの上に置いて、足を大きく広げた。サーファー男は、さね子の濃い目のヘアを見るとすぐに勃起した。
「試すよー、いく。」
男は、さね子の両脚を高く上げて素早く巨大なソーセージを湖の中に沈めた。男は、
「いいなー。閉まり、いいよ。」
「秘儀、マンコ割り。」
と、さね子は小さく呟いた。その途端、塗炭の苦しみを顔に浮かべた男は、
「ああっ、折れるーっ。」
と絶叫すると、小さくなったソーセージをさね子の鋭利のようなマンコから抜き出した。そのまま、男は気絶していた。男のシンボルは、根元から折れたようになって垂れ下がっていた。さね子は立ち上がって、男を見下ろすと、
「これでも手加減してるんだから。有難く思いなさい。」
と宣言して、百合子の方を向くと、
「百合子、出るわよ。」
「服は着ないのですか。」
「それは、着るわよ。」
素早い動きで六月さね子は、洋服を身につけて、
「行くわよ。この男は、あの女にだけイッタけどさ。」
あはは、とさね子は笑った。ホテルを二人が出ると、大橋駅西口近くであの婦警、島木園子がナンパされてベンツに乗り込むのが二人の目に鮮やかに映った。

その一件で、百合子は自分も秘儀、マンコ割りが早くできるようになりたいと思った。

不動産の仲介といっても、平日は夕方頃になって人が現われる。だから、その頃まではボンヤリしている事もある百合子だが、その日は午後四時に四十歳ぐらいの女性客が来た。全身服は黒ずくめだが、肌の色の白い知的な容貌だった。百合子は営業用の笑顔で、
「いらっしゃいませ。どういうお部屋をお探しですか?」
「ふた部屋欲しいんです。できればロフトつきとか。」
「場所は、どのあたりが、ご希望でしょうか。」
「井尻のあたりが、いいわね。」
「駅からは、近い方がいいですか。」
「そうね。できれば、その方がいいわ。」
「わかりました。お探しします。」
百合子は客と自分の間にあるカウンターの上にあるパソコンを、すばやくはじき出した。
「井尻五丁目に六万五千円の物件があります。」
間取り図が書いてあるパソコンの画面を、百合子は客に向けた。六畳の和室と十畳の洋室と、八畳の台所だ。その女性客は、しばらくそれを眺めていたが、
「これに決めるわ。案内してもらえるかしら。」
「ええ。お車でご案内します。」
百合子の勤める不動産会社は、二店舗で仲介業務を行っているが百合子が今、働いているのは大橋の店で大橋駅東口から徒歩二分という場所だ。その店の裏にある駐車場に停めた白のホンダのインサイトで、二人は井尻の物件に向った。
それは黄色い外観の鉄筋マンションで五階建て、ピンクのエレベーターで最上階に上がると百合子は部屋の鍵を開けた。リフォーム済みといった雰囲気の漂う室内だ。ベランダもあり、そこに出てみると井尻駅が見えた。風のあまり吹かない井尻の空気を感じながら、百合子は、
「どうですか、なかなかいいお部屋でしょう。」
「そうね、気に入ったわ。これにする。」
よかった、と百合子はホッとした。最初の物件で決まるお客さんも珍しい。玄関を出る時に百合子は尻の辺りに女性の手を感じた。このお客さん、レズなのかしら・・・。
店舗に戻って、百合子は平静に、
「お客さんのご職業は?」
「聖花女子短期大学の教授です。」
聖花女子短期大学は、百合子が中学、高校と通った私立の学校と同じ系列で、聖花女子大学もある。
「聖花は、わたしも中学、高校と通いました。」
「まあ、それは奇遇ね。短大は、いかなかったの?」
「いきませんでした。」
「まあ、勿体無いわね。わたし、一般市民向けの講座も受け持っているから、受けに来たらいいわ。
『ギリシャ神話におけるレズビアンの傾向』と題して、先月から開講したの。学校法人・聖花学園が創立してから六十周年になるのを記念して、受講料も半額なのよ。どう?受けてみる気になった?」
百合子は、やはりこの女性はレズなのだと思った。しかし、それに対しての嫌悪感とかは感じるものでもない。また、感じたとしても顔には顕わせない。
「最近、仕事が忙しいもので申し訳ないのですが。」
「そう、無理になんて言わないわよ。レズって偏見があるものね。」
その女性は、きらっと眼を光らせた。
「こちらの用紙に、お名前と住所を記入してください。」
百合子は、賃貸契約に関する書面を差し出した。その女教授は、ボールペンを持つとスラスラと記入した。

堂瀬伊愛
福岡市中央区薬院三丁目・・・
となっている。百合子は、それを見ていたが顔を上げて、
「どうせ・いあい様ですか。」
「そうよ。わたしは、どうせいあいです。」
ぷっ、と百合子は吹き出しそうになったが危うくこらえると、電話をかけた。
「・・・あ、大家さんですか。お世話になります、マンアパ賃貸の白花です。今、お客さんをご案内しましたが、入居されたいそうです。・・・お名前は、どうせいあいさんです。」
大家は六十歳のじじいらしい。
「どうせいあいさんね。いいでしょう。リフォームしますから、少しお時間もらいますけど。」
百合子は、送話口を手で押さえると、
「リフォームするので時間が、かかるそうです。」
「構いませんよ。でも、なるべく早くお願いします。」
「わかりました、」
百合子は送話口の手を外して、受話器を耳に当てると、
「早く入居を希望されています。」
「んじゃあ、早くしますよ。」
百合子は受話器を置くと、
「早くリフォームされるそうです。」
「それなら、いいわね。」
堂瀬は、軽くうなずく。そして、ゆったりとした感じで出て行った。扉が閉まると、客は一人もいなくなったので後ろにいた店長は爆発しそうな笑いをこらえていた。それをなんとか収めると店長は、
「マンアパ賃貸・井尻店始まって以来の変わったお客さんだな。」
と満面の笑顔で百合子に話しかけた。書類を作りながら百合子は、
「わたしの出身校の系列の大学の先生ですよ。」
店長は、
「そうか。それじゃ、やりやすいね。」
と納得した顔をする。が、追いかけるように、
「聞いたけど、レズみたいな人だな。聖花(せいか)学園って上に行くほど、あんな人がいるんじゃないか。今度の案内は貴船にやらせる。白花君は、やらなくていい。君にレズになってもらっても困るからね。」
「あと書類と鍵を渡すだけですよ。」
「部屋まで車で送っていくだろうが。その時、あの先生何するかわからんぞ。」
「・・・・。」
ということで、堂瀬伊愛の鍵の明け渡しは三十歳になった既婚者の貴船信三がする事になった。

 全国に先駆けて福岡市の中洲にレズバーをオープンさせたのは、聖花学園の理事長の堂瀬槍男(どうせやりお)だ。彼は、名前を見てわかるとおり堂瀬伊愛の父親で歳は六十六歳である。彼は福岡市の建設会社・堂瀬建設の会長でもある。社長は長男の堂瀬次男(どうせつぐお)が、やっている。長男なのに次男とは、と思われるだろうが第一子は伊愛だったのだ。それで、できれば長女の伊愛に社長になってほしいという槍男の願いもあって、スパルタ的に厳しく育てた結果、伊愛は男に興味をなくした。
なにせ、小さい頃から建設現場に父親に連れられて行き、荒っぽい男たちと一緒にいさせたので段々と伊愛は男みたいになってしまった。それで男性を異性と見る事もなくなってから、伊愛には女性に興味が湧いてきた。
聖花中学一年の時に、伊愛は女の同級生と初キスを経験した。相手は、鹿波虹子(かなみ・にじこ)という女性らしい女性だった。というか、おとなしくて受け身な女の子だったのだ。放課後、二人きりになった時に伊愛は男らしく虹子のまだ新鮮な唇を奪った。唇を伊愛が離すと、虹子は驚いた顔をして、
「堂瀬さん、まさかレズ・・・。」
「そんなわけじゃ、ないけど、あなたの唇がわたしを誘ったのよ。」
と伊愛は誤魔化すように答えた。
虹子は、おとなしかったので、その事は噂にもならなかった。髪の毛は短髪で男みたいな伊愛には、誰も男は近づかなかった。それに女子中学では、学校にいる間は男はいない。聖花学園では、校長から教師、用務員にいたるまですべて女性しかいない。それは、聖花中学、高校、短大、大学のすべてで、そうなのであるから伊愛は純粋培養の巨大なフラスコの中で育ったように思えるが、夏休みや、冬休みには父親の槍男に連れられて建設現場で働き、収入を得ていた。
建設現場の労働者も女子高生の伊愛に、いくらか感じるものはあったとはいえ、なにせ社長の娘だけに大事に扱った。性欲を感じるものは、一人もいなかったのだ。
 大学に進学した時に、父親の槍男は広い居間で伊愛に優しく、
「大学を出たら、わしの跡を継ぐために堂瀬建設に入ってくれるんだろ。」
と聞くと、
「いやよ。わたし、文学に興味があるの。今までは、お父さんの言う事を聞いて手伝ったけど、建設業界には興味はありません。」
槍男は、がっくりと肩をナイアガラの滝のように落とした。
「そうか。まあ、女の子だもんな。建設会社は無理かな。好きにしなさい。」
それで伊愛は、聖花女子大学文学部を卒業すると同大学院文学部修士課程へと進み、それを履修すると博士課程に進み、終了して同大学の講師になった。
博士論文は、
「日本文学における、かすかな同性愛の萌芽」
だった。博士課程終了時には、伊愛は二十八才で彼氏のないのは書くまでもない。娘の講師就任とともに父の堂瀬槍男は多大な寄付を聖花学園におこなって、理事長になったのだ。それで・・・
聖花女子大学一年生を伊愛が教えていた時に、伊愛が眼をつけた生徒がいた。彼女の名前は、鋤屋品子(すきや・しなこ)という。大学の正門付近で帰りかけている品子は、一人だった。後ろから追いついた伊愛は、
「鋤屋さん、お茶でも飲みにいこう。」
と気さくに話しかけた。振り返った品子は、
「あっ、堂瀬先生。わたし、これから・・・。」
「彼とデートでもするの?それは、この次にしましょう。」
「ええ、何か大事なことですか?」
「そうね。あなたも文学が好きなら、知らなければいけないことがあるわ。」
「なんなんですか、それは。」
「それは、これからわかるわよ。いこう、鋤屋君。」
「すき家にでも連れて行ってくれるのですか。」
「あの店内じゃ、落ち着いて話はできないわよ。長くいちゃ、あの店の人達にも悪いでしょ。喫茶店しかないから、井尻駅近くのいい店に入ろうよ。」
「はい、先生。」

レズへの誘惑

 福岡市の不動産会社に勤める古妻新江(ふるつま・にいえ)は、今年三十歳になるキャリアウーマンだが、結婚はしている。
二十五で結婚した彼女は、夫も宅地建物取り引き主任者の資格を持つ同じ会社での社内恋愛で、夫は一つ年上だ。
古妻新江の容貌は、いかにも不動産業者の女性という感じで、どちらかというと男性的だ。
というのも、そもそも不動産業界とはタフさが要求される。建物の部屋を案内するビルにエレベーターが付いているとは、限らない。
そんな時は、階段を上って部屋を案内したりする。
女性的過ぎてもリスクはあるだろう。それは、顧客を案内した部屋に二人きりとなった場合、男性客なら場合によっては女性仲介者をその場に押し倒して、性行為に及ぶ場合もないとは限らないからだ。
 
この点、新江は眼はパッチリして大きいし、胸も尻も豊かなのだが、どこか男性的な雰囲気があり、それで案内した顧客と問題になった事はなかった。

同僚の秋谷町代は、博多美人で二十二で新江とともにその不動産会社「マンアパ・ナンバーワン」に入社した。秋谷はおしとやかで、おとなしく手の指も細く白かった。実家は呉服屋だという。手の指と同じく顔の色も白い。胸はほどよく膨らんで、尻がいささか大きかった。背は百五十七センチで、尻の肉が多いという他は、普通の体型で声も細々としていた。
ある時、ロッカールームで新江の右の肘が町代の程よい乳房に当たったら、
「いやん。感じちゃう。」
と色っぽい声を出して、のけ反った事があった。新江は、
「ハハハ、町代、おっぱいが感じやすいのね。」
「そうかな。新江の肘が硬かったからよ。」
「そうね。わたし、空手していたのよ。肘で瓦を何枚も割れるわ。」
「すごーい。わたし、茶道部だったの、大学で。」
「それで特に、おしとやかなのかしら。」
「そうかも。」
町代の目は、そんなに大きくはない。細い目の方だろう。唇も薄いし、眉毛も薄い。アンダーヘアも薄いと思われる。
恥毛が濃いと情愛も濃いとか、言われるのだが、では秋谷町代は情が薄いのか。というと、そうかもしれない。
彼女の押し出しの弱さからか、入社して半年の間の成績はあまりよくなかった。
部長の星垣銀一は四十五歳の男性だが、スマートな体系を維持した背の高い紳士風の外見で彼女に、
「こんな成績では、うちとしては苦しいんだよ、秋谷さん。」
とぼやいた。
「すみません。でも、なんとかします。」
町代は薄い眉を引き締めて、きっぱりと答えた。

その日に来た客は五十代の男性で、単身赴任だった。やはり会社近くのマンションを希望していたが、どれも高い家賃ばかり。そのでっぷりと肥った男は、汗をハンカチで拭うと、
「とにかく見に行かないと、わからないね。三十万円でもいいからさ。」
町代はそれらの中で、一番高い家賃の物件をパソコンで拾い出して見せると、
「こちらは、どうですか。」
「ああ、いいね。見に行こう。」
「はい。それでは、ご案内します。」
町代は「マンアパ・ナンバーワン」のロゴの入った白い車を運転して、当該物件の高級マンションに顧客を入れた。客は迷っているようだった。禿げた頭は、汗で光っている。その男の前に立っていた町代は、わざと大きな尻を男にぶつけるように動いた。
男は、
「おっと、」
と声を出すと、町代の肩の辺りに両手を当てて止めた。男のズボンの下にある小さいままのモノを、町代の大きな尻の肉は強く触れていた。
「きんたまつかみ」という言葉もある。町代は、男のそこを攻撃すれば今回の契約は成立すると、見たのだ。
「すみません。」
と謝りながら男を振り返ると、満更でもない表情が浮かんでいた。

町代の大学は女子大だった。でも、彼氏はいた。彼は薬剤師で二十八才。紺の外車で、町代をデートに誘い出した。当然の如く、ラブホテルに入る。でも、町代は、
「わたし、コンドームなんて嫌いなの。生でして。」
と背の高い彼にせがんだ。
「だって君、卒業は二年後じゃないか。それまでに子供ができたら、困るだろう。」
「困らないわ。わたしが育てる。」
町代は、軽装の服を素早く脱ぐと白の下着だけになった。大きな尻と連動しているのか、恥丘のところはプクリと膨れ上がっているのがパンティの上からでも見て取れる。
薬剤師の男との距離は一メートル、彼は彼女のパンティから匂う若い女性の果樹のような匂いを嗅いでいた。
それだけで、チンコを立ててしまったら、町代はそこに視線を向けると、
「あら、神藤さんの股間がふくらんだわ。立ったの?」
と薬剤師の股間を、穴の開くほど見つめている。
「ああ、立ってるよ。」
町代は両手を薬剤師の神藤に差し出すと、
「だったら、抱いて嵌めてよ。」
と要望した。
「うん、嵌められないけど抱くよ。」
神藤は下着だけの町代を抱っこして、ダブルベッドの中央に降ろした。呉服屋の娘らしく、いい下着をつけている。神藤は、町代の膨れて突出したパンティの膨らみに舌を這わせた。
「はああっ、いい。」
町代は伸び上がるようにして、悶える。神藤が続けて町代のパンティの割れ目に沿って舌を動かしていると、彼の唾液とは別に彼女の愛液が滲み出てきた。
神藤は自分の液体を放出させたくて、たまらなくなった。だが、妊娠はさけなければならない。彼女がよくても、自分には駄目だ。そこで、町代の体を百八十度回転させてうつ伏せにした。その頃でも彼女の尻は、大きく幅も広い。パンティを履いてはいるが、尻の割れ目は写っている。その先は、アナル、菊門だ。
神藤は破裂しそうに硬直したモノを、町代のパンティの上から尻の割れ目に突っ込んだ。びくんと震えた彼女は、
「ああ、そこはお尻の方よ。もっと下。」
と声を上げたが、神藤は構わず町代の尻の割れ目の浅いところでビッグになったものを擦りつけていた。
一分ほどで、神藤は放出した。ドック、ドックと町代のパンティの尻の割れ目の部分に飛び散った。
町代は巨大尻を震わせて、
「もう。そんなとこに出して・・・。」
と薄い眉毛をしかめている。神藤は、
「ごめんね。濡れてしまったパンティは、ぼくにくれないか。実はね、ぼくは女性の愛液を研究しているんだよ。
バイアグラとか、シアリスとかアメリカで作られているものとは根本から違った発想で、作りたい。
それで、一体、男の性器を勃起させるものとは、という事を考えてみると今までの医学の説とかは間違っていると思うんだ。
医学の説からする、男性はとにかく精子を製造していって、それが溜まると外へ放出したくなるというアレは、どうも違うと思うんだね。
やはりね、女性というものがあっての勃起だろ?仮に八十のばあさんが近くにいるからといって、勃起するかというと、それはしないんだ。つまり、今の医学の説明ではハッキリ言って、男性の射精原理を物理的にのみ説明していると思う。
ぼくも、今、射精したけど、町代だから射精してしまったんで、四十のおばさんとかなら、尻に突っ込んでも射精しないと思う。
というのもね、この前、風俗に行ったんだけど、ファッションヘルスの。そこで若い女にしゃぶってもらったんだけど、射精できなかったんだ。」
町代は、うつ伏せから起き直ってベッドに腰掛けて神藤の話を聞いていたが、
「えっ。そんなものなの。でも、わたしという人がいるのに風俗に行くなんて。」
「それは悪いと思うけど、実験的に行ったのだよ。結果は、そこでは射精せずに、今、出してしまった。」
「嬉しい。って、なんか変な気もするけど。わたしのパンティ、あげます。ここを出てから家までノーパンで、帰るのかしら。」
「玄関前まで、車で送るよ。心配するな。」
神藤は町代から、自分の精液がついたパンティを受け取った。そ
れを鼻に近づけて、匂いを嗅ぐと、
「やはり、君の分泌した愛液が影響したようだね。ただ、そんなに単純な問題じゃないと思うんだ。つまり、君の愛液が与える影響はぼくにのみ有効なのかもしれない、ということだね。
これが人間の神秘なる不可思議な領域なのだ、といえるのではないだろうか、とね。」
「うん、よくわからないけど。神藤寛吉(しんどう・かんきち)という男性だけを、今のわたしは好きなのかしら。」
神藤は町代を、しげしげと見ると、細い目からはよく彼女の感情は、読み取れなかった。
「それは、そうあって欲しいね。ともかく、この愛液を研究してバイアグラ以上のものが作り出せれば、ぼくは億万長者になれるよ。
最近の日本では、精力剤を買う人も増えているから。
バイアグラは、副作用も言われているし。医師の診断も必要だとか、危険な面もあるらしいからね。
要するにさ、服用しなければいけないんだよ。ぼくが考えるのは、スプレータイプでね、君の愛液みたいなものを振り掛けるというやり方が、今までと違って革新的だと思うんだ。」
町代は何だか、面倒くさくなってきた。それに寛吉は自分の尻の方に出してしまったのだ、それは彼女には不満が残る。
薄い陰毛を露わにしてベッドに腰掛けている町代は、
「好きにしてよ。もう服を着てもいい?ブラだけじゃ寒い気もする。」
神藤は慌てると、
「あ、ああ。もちろん。そのままでいて欲しいとは、言わなかったけど。」
町代は、服をつけ始めた。

学生時代の回想を止めると、町代は今の状況に戻った。五十代の男は、
「いい部屋だね。ここに決めてもいいけど、なんかサービスないの?」
「不動産の仲介の会社としましては、付加サービスはいたしておりませんが。」
「じゃあ、他に頼めばいいわけだ。」
町代は、焦った。
「あ、あの。先ほどは失礼しました。」
と頭を下げる。
「なに、君のお尻は気持ちよかったよ。」
五十の男は、ははは、と笑った。町代はくるりと男に背を向けると、巨大な尻を意図的に男の股間に当てた。二人は、十畳の部屋の真ん中に立っている。町代の柔らかく弾力性のある尻が再び、五十男のちいさな棒を刺激した。
「あ、久し振りの感覚だ。」
と男は言うと、町代の尻に自分の分身を小人から大人へと変身させた。
町代の尻は、ゴムの硬い棒が大きくなっていくような感触を味わった。そのまま尻を当て続けると、五十男は大きく硬くなったモノを擦りつけ始めた。二十秒後、男は、
「あああ。出る。」
と叫ぶと、少し前向きにがっくりとした。自分のパンツの中に射精したらしい。少し決まりの悪そうな顔をして、
「いや、女房とも五年程してなかった。少しの間だけど、気持ちよくしてくれたね。他社にないサービスだよ。この部屋に決めるけど、君にも小遣いを上げよう。」
男は、財布から福沢諭吉の顔を五枚、抜き取って町代に渡した。彼女はそれを受け取ると、
「五万円も。いいのですか?」
「ああ。会社には報告せずに、君の財布に入れてくれよ。」
これで、その高級物件は契約が成立した。

古妻新江は秋谷町代が大きな契約を取ったので、人事でないように喜んだ。
昼休みに休憩室で二人だけになった時、新江は、
「大きな物件だったわね。あんな家賃のところ、どうやって決めたの?町代。」
と興味深深として聞いた。
「そんなに面倒な事は、なかったわ。」
畳の上に座っている二人だが、その間に座卓がある。新江は町代の表情を見て、
「もしかして、性的なことをしたんじゃない?そのお客さんに。」
「いや、そんなことないわ。」
と否定する町代だが、頬が赤くなった。新江はそれを見て、
「わたしたちの仲じゃない。本当の事を言いなさいよ。」
黙っている町代の背後に新江は移動して、座った。彼女の肩に両手を置くと新江は、
「こんな風にされたんじゃないの。それから・・・。」
新江は町代の背中から、右手を伸ばして彼女の右の乳房を掴んだ。町代は、かすかに身をのけ反らせると、
「そんな事してないわ・・。」
と答える。
新江の右手の人差し指は、町代の乳首に触れてしまった。町代はその瞬間、
「あん、いやん。」
と艶かしく動く。新江は女性の悶える様を身近に眼にするのは、初めてだったのだ。新江は左手も伸ばして、町代の左の乳房も掴んだ。
町代は身をくねらすと、
「あん。お客さんと、そんな事・・・。」
新江は、でもそれは嘘だと感じていた。だから、
「こういうのは、してないけど、どういうのをしたの?」
と問いかけながら、ゴムマリみたいな彼女の乳房を揉みまくる。
「あっ、ああっ。新江、感じちゃうわ。本当はしたのよ。わたしのお尻で。」
「そうなのね。」
新江は自分のマンコが、町代の尻に当たるようにした。自分の女性器としての新感覚だった。女性の豊かな尻に、自分の割れ目を当ててみるのは。世の中の大半、いえ、百パーセント近くの女性は毎日、スーパーに行って、だんなとお義理でセックスしているだけなのよ。
同僚の豊満な白い大きな弾力のある尻に、自分の割れ目を当てるのが、こんなに気持ちいいものだなんて知らなかったわ。
新江はもっと、町代の体を知りたくなった。知的にではなく、感覚的に。それに、町代は自分の愛撫で、こんなに感じてくれるなんて思ってもいなかったから。

ぐいぐいと自分のオマンコの割れ目を、町代の大きな形のいい尻肉に擦り付けた。両手は同時に、町代の両の乳房を揉み続けて。町代は、
「はああっ。新江のマンコ、当たってる。ああっ、おっぱいが、とろけそう。」
と喘ぎながら発音した。新江は休憩室の壁に掛かった、おしゃれな時計を見た。十二時四十五分、あと五分は町代の体を楽しめる。休憩室の鍵はかけているし、まあ、他の男子社員は来る事はない。殺風景な休憩室だが、二人の若い女性の熱気でムンムン、そしてムンとしてきた。
新江は右手を町代の乳房から急降下させた。パンティの上から町代の割れ目を指で確かめる。
町代は、
「そこにも触るの?もう、そこ・・・。」
町代が呻くように話すと、新江の指は濡れたパンティを感じた。新江は心置きなく、町代の割れ目を指でなぞっていた。
大きな尻の女性に後ろから絡み付いている、男性的な女性が蠢く様は、何か天女が二人戯れているようにも見えた。
そう、見えたのだ。「マンアパ・ナンバーワン」の薬院本店の休憩室の前をお局的女性、総務、事務の今年三十九になる独身女性が愛用の黒縁の眼鏡を光らせながら、通り過ぎようとすると中から、
「あはん。」
という色っぽい声が聞こえた。お局女性は、綺羅綺羅子(きら・きらこ)という名前だが、
(男子社員が、エッチなビデオでも見ているのかしら。)と考えて、ドアノブを回したが、開かない。鍵穴から見えるのは、なんと、こっちを向いた秋谷町代に馬乗りになっている古妻新江の顔、の二つの顔と姿態だった。
(レズってるのね。外は暑いのに。休憩室は、エアコンつけてるようね。会社のお金でレズできて、いいわね。)
背の高いお局、綺羅綺羅子は、独り身の左腕の肌を擦った。彼女は、貧乳にして貧尻だ。それも災いしてか、今までの男性の経験人数は二人となっている。十九歳から三十九歳までの間に二人なので、十年に一人という割りだ。実際は、そんなに十年ごとに一人という訳でもないのが一般的だろう。綺羅子も正確には、十二年付き合って別れた男と、八年で別れた男がいた。
綺羅子の身長は、百七十センチもある。中学、高校とバレーボール部だったので、背が急に伸びた。
男のいない期間が伸びてきている今、綺羅子にとっても小さな鍵穴から見えるレズの光景は深刻な影響を彼女に与えてしまった。
綺羅子はタイトな紺色のロングスカートの中に、長いカッターシャツの右手を伸ばすと、自分のマンコに触れていた。
(あ、濡れてる・・)
綺羅子は自分の反応に、びっくりしたが腕時計を見て、鍵穴を覗きなおすと、右手でパンティの上からオナニーを始めた。
綺羅子は時計を気にしながら、オナニーしていたので、
(あ、時間だ。もう、事務室に行こう。)
と思うと、その場から急ぎ足で、立ち去る。三十秒後に、新江と町代が慌てて出てきた。

事務室に入ってきた新江と町代を、チラと横目で見た綺羅綺羅子は二人のうちのどちらかと親しくなりたいと思った。そして、レズするのだ。草食系男子とやらには、用はない。自分は男に恵まれなかったが、女には恵まれているのかもしれない。
自分が最初に付き合ったのは、美少女の好きな家に引きこもりがちな二十六歳のフリーターの男だった。背は低く、肥っていて腹も少し出ていた。
綺羅子は眼鏡を外すと、意外にも美少女なのだ。随分昔の事なので、出会い系もなかったが、伝言ダイヤルのようなもので二人は知り合った。
その男、由田金二郎(ゆだ・きんじろう)は、美少女が好きだけど十八歳未満なら条例違反になるので、十九歳以上の女子希望
などと伝言していた。
綺羅子は、毎朝鏡を見て出勤していた。その際に、鏡を見ては自分の顔を美少女だと思うし、通勤の地下鉄の車内にも自分よりいい顔の女性は見当たらなかった。ただ、スタイルにおいては綺羅子は胸も尻も出ていないので、そういうところを見ると電車内にはもっと体のいい女性が多くいた。
地下鉄が満員になると、綺羅子の隣の二十代前半のOL、顔は目立ったところはないが胸と尻の大きな女性が痴漢されているのを見た。痴漢しているのは、三十代のサラリーマン風の男で世間で言うイケメンだ。背もその女性よりも、頭一つ高い。
男の右手は、女性の胸からスカートの中に入っていった。そのOLも触られて気持ちよさそうにしていたので、痴漢といえるかどうかわからない。福岡市では、こういう事が、しょっちゅうあっても女性が痴漢と訴えない事が多いので痴漢の実数は明らかではない。
その男は最後の方ではOLのマンコをパンティの上から愛撫していたが、天神に着いたので乗客のすべては降りた。
綺羅子は降りていく痴漢男の右手の指を見たけど、その指は濡れて光っていた。
綺羅子は、そのOLのように痴漢された事は一度もなかった。触り甲斐が、ないからだろう。
由田金二郎と中央区役所の前で、土曜日に待ち合わせをして綺羅子は会った。眼鏡をかけた綺羅子に、
「眼鏡を外せば、美少女みたいだね。」
と由田は話す。
「人が多いところでは、外さないの。人のいないところに行こう。」
と、果敢にも綺羅子は発言した。由田は眼をグリグリさせると、
「この近くに個室喫茶がある。そこへ行こう。」
「うん。いいよ。」

その個室喫茶はビルの一室で、前には国道が走っている。福岡市中央区役所も国道沿いにある。背の高い綺羅子と背の低い金二郎は、夏の日の午後の日差しを浴びながら個室喫茶に入った。
ひんやりと涼しい冷房が、二人を包んだ。注文を聞いてウェイターが持ってきた後には、ドアに中から鍵を掛けておけばいい。
鍵を掛けて金二郎は、綺羅子を見ると、
「胸もお尻もないのも美少女だねー。」
「あら、もう十九歳なの、わたし。」
「なら。もうここで好きな事ができるわけだ。」
金二郎は綺羅子の席の隣に来た。赤いソファが横長にある、その片隅に綺羅子は腰掛けていた。金二郎の他にもう一人、座れそうだ。
金二郎は、綺羅子の胸を服の上から触った。あるかないかの乳房の盛り上がりだ。彼女は何も感じないらしい。
背伸びするようにして、金二郎は綺羅子にキスした。それからマンコの上の恥毛を触ったが、そこも女性らしい膨らみはない。
綺羅子にとっては初のキスだったが、感じるものはなかった。
金二郎は一人、うなずくと、
「おれ、妹がいるんだ。千冬(ちふゆ)っていうんだけど、君と同じ歳だろう。不動産会社で働いているけど、今日は珍しく休みだったなあ。それで彼氏もいないから、兄のおれと遊びたいらしいからね。
電話して呼んでみるよ。」
金二郎は携帯電話、その頃なのでスマートフォンではない、で妹に電話した。
「あ、千冬か。兄さんだよ。今、中央区役所近くの個室喫茶にいるんだ。遊びにこないか?・・・来るならどの位で・・・・十分か、早いな。待ってるぞ。」
金二郎は、
「妹は、この近くに住んでいるんだ。不動産会社が、この近くだからね。」
「あら、わたしも不動産会社で働いているのよ。」
「ほう、それは奇遇っていうんだろう。妹は、もっとやーる賃貸っていう会社だけど。」
「あ、それなら競合他社ね。うちは、マンアパ・ナンバーワン。」
「ああ、あの千百店舗も全国にあるやつ、か。」
「そう、由田さんも部屋を借りる時は、お願いします。」
由田は綺羅子の隣で、鼻を曲げて笑うと、
「いいよ。でも、おれ、実家に住んでるんだ。南区の山の近くに。」
「通勤が、大変じゃありませんか。」
「そうだなー。今のアルバイトは近くのスーパーで働いているから。」
「今のところ、問題なしなのですね。」
「うん、今のところはね。あ、妹が来るから注文しておこう。あいつの好きなウインナーコーヒーを。」
金二郎は部屋に備え付けの電話で、店に電話して、
「ウインナーコーヒー一つ、持って来て。」
と頼んでいた。
綺羅子は、きょとんとして、
「もう、わたしとしないの?」
と聞く。
「そうねー。今日はあれだけで、いいよ。妹も来るし。」
と平然と答えた由田に向ってドアのノックがした。
「はいはーい。」
金二郎はドアの鍵を外して、ウエイターを中へ入れた。
中央の黄色の丸いテーブルに、ウインナーコーヒーが置かれた。
ウエイターは出て行ったが、由田は、
「妹が来るから、鍵は、かけないでおこう。」
と発言する。
その直後にドアが開いて、
「兄さん、遅れたかしら?」
と鈴を振るような声で聞きながら、眼の醒めるような美人が入ってきた。
薄手のズボンと半袖の上着、肌は小麦色で滑らかだ。顔は、お目目ぱっちりで、付けまつ毛のように長い睫毛と、高い鼻と日本人にしては彫りの深い顔である。赤い唇が色っぽい。
それよりも眼につくのは、シャツが破れそうなくらい張り出した胸と腰周りのために特注されたようなズボンの下にある尻の大きさだ。
背は百五十九センチである。
金二郎は笑顔で、
「いや、ちょうどいいよ。まあ、そこに座って。あ、その前にドアの鍵をかけてね。」
妹の千冬は言われたとおりドアに鍵を掛けると、すらすらと歩いてきてテーブルを挟んで、二人の前に座った。静かな目で綺羅子を見ると千冬は、
「初めまして。由田千冬といいます。」
と挨拶したので、
「初めまして。綺羅綺羅子といいます。」
「あは。珍しいお名前ですね。」
と千冬は感想を述べた。
「ええ、よく言われるんですけど実家は寺なんですよ。住職の名前って、みんな変わってます。わたしの姓だけじゃ、ありません。」
「そうなのですか。わたしの仕事では、まず会わないのが寺の人ですから。」
「まあ、どんな仕事ですか。」
「不動産業です。」
「なるほど。わたしも、そうですけど。」
「あなたも、ですか。気が合いそうだわ。」
千冬は、そう語ると微笑む。兄の金二郎が割り込んできて、
「おい、千冬。おまえ、女の人に犯されたいって、この前おれに話したね。」
千冬は夢見る眼つきで、うなずいた。綺羅子は困惑気味に、
「それ、もしかしてわたしがやる、とかそういう事じゃないでしょう?」
金二郎は、千冬を見た。それを促されたものと思ったのか、千冬は、
「もしかして、なんです。綺羅子さんって、細身で男性的な体に見えます。わたし、男に好かれるのは飽きてしまったんです。
男性的な女性に抱かれたいと思っていました。」
金二郎は今度は綺羅子を見ると、
「綺羅さん、妹のソファの方に行ってあげてくれませんか。」
と勧めた。綺羅子は、
「わたし、レズって興味ないから・・・。」
金二郎は笑うと、
「やれば、興味がでるかもしれませんよ。それに、ぼく、綺羅子さんの裸を見たいし。」
そういえば、こういうところではあるのに綺羅子は脱いでいなかった。懇願するように自分を見ている千冬も、可愛らしく見えた。反射的に膝が動いて、綺羅子は千冬の隣に移動した。彼女の横に座ると、芳香が綺羅子の鼻についた。千冬は、少し脱力気味になる。綺羅子は思わず千冬を抱くと、同性の美しい唇に自分の唇を重ねた。
ほんのりと甘い感覚がしたので、貪るように美人の千冬の真っ赤な唇を吸いまわした。千冬は眼を閉じているので、彼女の長い睫毛が眼についた。
綺羅子は、千冬の豊かな乳房を揉んでみた。
「あん。」
と甘い声を出して、千冬は股を広げた。綺羅子は千冬をソファに押し倒すと、彼女のズボンの上から股の付け根を唇で貪った。千冬は長い髪を揺らせながら、
「もっと感じたいから、ズボンを脱がせて。」
と要求する。その口調は不動産業の女性の話し方を何処かに、とどめている。
「いいわよ。兄さんの前でパンティも取っていい?」
「いいです。兄には、全裸を何度も見せています。わたしのヌードを見ながら、兄はせんずり、するの。」
「オナニーの事?」
「そう、最後は射精しますけど、兄と妹だからAVみたいにわたしの体には、かけません。そこは、注意してくれる兄さんが好き。」
わけがわからない感情になりながらも、綺羅子は夢中で千冬のズボンとパンティを外した。
マンコの割れ目が、くっきりと白の薄いパンティに映っていたので思わず綺羅子は、そのスジに口づけてやった。千冬は身をのけぞらせて、
「ああん、直(じか)にしてください。」
と囁く。綺羅子は急いでパンティを降ろす。すると濃い目の綺麗な逆三角形の縮れた黒毛が濡れた秘部を、しっとりと覆っていた。
綺羅子は千冬の柔らかい両足を広げて、彼女の可愛い形のマンコに口をつけていった。
艶かしく千冬の大きな尻が動くと、愛液が溢れてきた。
「いやん、恥ずかしい。兄さん、見ないでね・・・。」
と千冬は兄に霞んだ眼を向けた。綺羅子もテーブルの先の金二郎を見ると、彼はすでにズボンのファスナーを降ろして、パンツの中からギラギラと硬くなったモノを右手に握っていた。
それを千冬は見ると、
「ああ、やっぱり兄さんのモノ、立ってるのね。じゃあ、わたし、綺羅子さんに抱かれるから、いっぱい、せんずりしてね。」
と、この口調は不動産業者のしゃべりではなく、兄に話す妹のものだ。
金二郎は、うなずくと猛然としたスピードで自分のイチモツをしごきはじめた。妹の下半身だけでも、性的興奮をするようだ。綺羅子は、
(わたしの体に反応しなかったのに?貧尻と豊満尻との違いかしら。じゃあ、妹の豊乳も見たいんだろうね。)
と思うと、荒々しく千冬の上着を脱がせた。ソファに横たわって万歳した格好の千冬のシャツを脱がせると、白のブラジャーは破れそうだった。乳首は浮き出たように映っていた。
綺羅子は女性だから、ブラジャーを外すのは男性よりも上手い。
こんもりと盛り上がった二つの千冬の乳房は、爆弾乳ともいえた。この乳房を吸いながら、何人の男が昇天したことか、と綺羅子は思ったので、
「すごいおっぱいだわ。不動産の契約の時にも使った?」
「ええ、何回かはね。」
やっぱりそうか、と綺羅子は思うと今はあまり関係はないけど、競合他社の美人の乳房をねっとりと口で愛撫した。すると、千冬の乳首が天を突くように硬直してきた。
テーブルの向こうでは、兄の金二郎がシャッ、シャッと手を動かす音が振動している。
綺羅子が口を千冬の乳房から離すと、千冬が不満げに、
「続けてください。乳首、立ってきたのに・・・。」
「ちょっと、ごめん。わたしも全裸になるから。」
綺羅子は、急いで服を脱いだ。わずかな盛り上がりの乳と、ふくらみもない尻が出現する。
乱れたポーズで、ソファから寝転んだまま綺羅子を見た千冬は、
「男性的な体ですね。抱かれたい。」
と挑発した。綺羅子は、男の気分になった気がした。両脚をだらしなく開いた千冬の体に、綺羅子は自分の直線的な体を重ねていった。

綺羅子は千冬のうなじと、髪の毛を抱いた。自分の陰毛と千冬の陰毛を合わせると、リズミカルに腰を動かし始める。千冬は頭を左右に振ると、
「ああっ、陰毛だけじゃなくて、マンコも当たってます。」
と叫ぶ。その声は、物件を説明する女性不動産社員のものだ。
綺羅子は千冬のマンコを自分のマンコで味わいながら、その部分を念入りに擦りつけていった。
じゅるじゅると千冬の愛液は、溢れ始めた。
それを見ながら、オナニーする金二郎は、
「妹の悶える姿は、初めて見たよ。もっと、がんばってくれよ、綺羅さん。」
と励ます。
綺羅子は、自分の乳首が立っている事に気づいた。目の下に見える千冬もピンクの乳首を立てている。綺羅子は、硬い自分の乳首と千冬の愛らしい乳首をくっつけた。
「あん、綺羅さんの乳首が当たって気持ちいいわ。」
千冬は、新たな感覚を覚えたようだ。
綺羅子は千冬の豊潤なデルタ地帯に、自分の右手を伸ばした。大きく広げた両脚の付け根にある、千冬のマンコは少し開いていた。綺羅子は右手の人差し指と中指を一緒にして、千冬の赤貝が開いたような秘部に入れた。
「いやーん。女の人の指は、初めてですー。」
千冬は又、新たな喜びを知ったのだ。若いギラギラしたペニス、黒光りする使用感のある中年男性のイチモツとは違った挿入間に、千冬のオマンコはギュッと綺羅子の二本の指を締めると、ぐりぐりと擦れた。
綺羅子は、
(ミミズが這っている様だわ。わたしの指も、いい感じ。男のアレなら、男はもっといいんでしょうね。)
との思いを持ちながら、自分の指を動かさなくても蠢いてくる千冬のマンコの性能の良さに驚嘆していた。

千冬は高額物件を案内した中年の客と、契約サービスとして物件の部屋で正常位でセックスして、このミミズ千匹といわれているマンコの性能を使ったところ、脂ぎった四十代のその男は、
「おおお。ミミズ千匹どころか、ミミズ万匹だっ、これはー。」
と叫ぶと、千冬の上で腹上死したので、契約は取れなかったという実話もある。
それどころか全裸のその中年男に、服を着せたり救急車を呼んだりと大変だった。もっとも、救急車などは携帯電話で呼べる時代なので、昔のように公衆電話に行く必要はなくなっているが。
綺羅子の二本の指をしっかりと捉えて、心地よく蠢く千冬のマンコの感覚を楽しみながら、綺羅子は次は何か、ぶっといものを彼女に入れてあげたくてしょうがなくなっていた。
でも今はすることは、できないので上体を千冬の方に傾けて、硬くなっているピンクの乳首を両方とも吸ってあげた。
マンコと乳首の両方の快感に、千冬は思い切り背中を反らすと、
「ああっ、だめっ。」
と叫ぶように悶えると、ぐったりとなった。
同時に兄の金二郎も、
「アッ、出るうっ。」
と叫ぶと、大量のヨーグルトのような精液を発射していた。

それから数日して、休みの日の昼に綺羅子は、路上から中の様子が見える「もっとやーる賃貸」大名店の前に立ち、大きなガラスを通して店内を見ると、一番目立つところに由田千冬が座っていた。
その顔は、やはり美人だが、この前、個室喫茶でアクメに達した顔とはまるで違って、平静で落ち着いていて、知的な感じさえある。
千冬は店外に綺羅子の姿を認めても、顔色一つ変えなかった。

古妻新江は、夫の様子が変だと思った。第一、最近セックスしてくれない。
会社の昼休みに古くからの同僚、神藤町代と社内の休憩室で話をする。神藤町代は旧姓、秋谷である。結局、あの薬剤師と長い付き合いの後、結婚した。
新江は、
「うちの旦那が最近、おかしくてね。」
と話しはじめると、古くからの友人、レズ友に町代は、
「やっぱり、浮気か何か?」
と他に誰もいない部屋での気楽さに、対話もしやすい。
「そうかもね。セックスしてくれないんだもん。」
「あら、うちの旦那は週、五回はしてくれることもあるわ。コンドームつけないから、張り合いがあるって。」
「それは、羨ましいわ。あいつ、課長になってからかしらね。
『疲れているんだ。』
の一点張りよ。」
町代は、その事情は理解は出来ない。が、何も答えないわけにもいかないので、
「あなたもさー、浮気したらいいのよ。」
と無責任そうに答えると、
「それができたら、ね。わたしって、古風なのかな。それに三十だから、もうどうでもいいっていうのもあると思う。」
町代は微笑むと、
「じゃあ、わたしとレズしない?レズなら旦那にも悪くないでしょ。だいぶ最近、あなたとレズしてないから。女同士の快感も、たまにはいいかな、なんて思ったりするのよ。」
新江は、
「うーん。でも、あなたたちの夫婦関係は、うまくいってるのでしょ?それなら、それをわたしがぶち壊すようで、悪いなあ。」
「夫に聞いておくわよ。わたしがレズしていいか、どうか。」
「そう?聞いといて。それじゃあ。」

休憩室の外では、綺羅綺羅子が鍵穴に耳を当てて、二人の話を聞いていた。(ホホッ。古妻はレズだったなあ。わたし、古妻を誘ってみようかしら)
と考える。
(千冬という強烈な女性もいる。彼女、今年三十三か。兄さんの金二郎とは別れたけれど、そう、結局、金二郎はわたしの裸にも興奮しなかった。いつも妹の千冬の、グラマラスな裸体に勃起していたわね。変態なのかしら、と思ったから別れたんだけど。古妻を千冬に任せれば、面白いかな。)
綺羅子が見抜いている通り、新江は男役のタイプだ。だから、綺羅綺羅子とは組みにくい。
(神藤の方が、わたしには、おいしそうだけど。)
その時、休憩室のドアが開いた。慌てて耳を鍵穴から離した綺羅子は、平静さを装った。
古妻は綺羅子に気づくと、
「綺羅さん、こんにちは。」
と挨拶した。綺羅も、
「ああ、こんにちは———。」
と言葉を濁した。

町代は自分が不動産会社に勤めているだけあって、福岡市の中心に近く、しかも格安の物件を借りていた。一応、3LDKだ。リビングは十畳もある。夫の寛吉の給料から払っている。寛吉は福岡市内のドラッグストアに勤めていて、今は課長だ。
町代はリビングのソファで夫と向き合うと、
「わたしの会社の同僚が、セックスレスなのよ。」
と打ち明けた。寛吉は驚きもせずに、
「最近、よくあるケースだね。驚くにあたらないよ。実はドラッグストアにも精力剤を置いている。この前来た、三十歳の主婦なんて、もう5年もセックスをしてないらしいよ。」
と答えた。町代は驚いて、
「そんな主婦の人もいるのね。でも、昔からの友達だから、救ってあげたいの。」
「ほほー、どうやって?」
「わたしとレズすれば、いいのよ。」
今度は、寛吉が驚く番であった。
「なんだって?レズ?君たちは、そんな関係を持てるのか?」
「ええ、昔、よくやったんです。わたし、女役ですけどね。」
「そう、そうだろうな。おとなしいお前が、尻の大きなお前が、男役なんてできるはずはないよ。でもなー、今のおまえは、おれが週に五回とか、してやってるじゃないか。もう、女には反応できないかもしれないよ。」
そう、週五回もしている夫婦は今の日本では少ないだろう。大学生だった町代とセックスできなかった寛吉は、随分溜め込んでいた、というのもあるのかもしれない。
町代はそんな夫を誇らしく思ったし、大きな尻の中に薬剤師の夫のモノを迎える日々が、とても楽しかった。
世の中のセックスレス夫婦なんて、相手選びを間違った馬鹿者同士の結婚なのよ。経済大国になってもセックス小国なのかもしれないわ。
でも、あっ、そうそう、新江だけは嘲笑うわけにはいかない。わたしも夫とセックスできない大学生の頃、欲求不満は新江とのレズで解消していたんだもの。今度は、わたしが新江にしてあげる番だわ。
「えっ?なんですって。わたしが新江に反応できるかどうかは、わからないじゃないですか。やってみないと。」
寛吉は、じりじりとした顔つきで、
「それは、そうだな。おまえの昔からの友達だ。」
そう答えた寛吉は、妻の町代がその同僚の女性と裸で抱き合っている姿を想像しながら、
「それだけに、ぼくとしても真剣に考えるよ。一番、いい方法はだね。ぼくが君と一緒にでも、その女性と会ってアドバイスなり、できれば精力剤でも勧められれば、と思うんだけどね。」
町代は、なるほどその方が、もっといいのかもしれないと思った。
「そうね。その方が、よさそうね。わたしもただ、レズをやって回避させようとしていただけなのかな。やっぱり、だんなさんが回復すれば一番だわ。そうしましょ、それがいいわ。」
寛吉は満足気にうなずくと、
「水曜日が休みだったかな。不動産会社。」
「そうね。わたしは、今のところは、ね。」
「ぼくは任意に休みの日の曜日を決められるから、この次の水曜日を休みにしておこう。その日に、その友達とファミリーレストランででも、会うことにしようよ。」
「そうね。それで決まりにしたいわ。」
「それより、今、たまってるよ。」
寛吉は、町代のソファに来て妻の大きな尻を撫でて、揉んだ。町代はすぐに両脚を大きく開いて、膝を立てるとスカートが足の付け根まで下がってパンティが露わになった。寛吉は、妻のパンティをずりあげると、少し開いているマンコに口をつける。
そうしたまま、ズボンのベルトを外し、パンツも簡単におろして、
巨大化した肉の突起を、やわらかな町代の巨大な尻に向けて赤い貝の割れたようなところに差し込んでいった・・・。
今週は第一回目である。

福岡市では毎年、美少女コンテストをやっている。市の条例の関係からも十八歳以上、高校生不可という形だ。
応募してくるのは、短大生、四年生大学生、フリーター、OLなどだが、履歴書に水商売とある女性は却下されていた。
いわゆるキャバクラ、ソープ、ヘルスなどの職業の女性は応募しても参加できなかった。

今年は四年制大学の一年生で芸術学部の蘭東美鈴(らんとう・みすず)が、栄えある第3回の福岡市美少女コンテストの一位に選ばれた。
彼女の身長は百六十五センチ、86>60>86の体型で、着やせするタイプのようだ。
聖花女子大学では、彼女の選出に沸いたものであった。

蘭東美鈴は、一人暮らしだ。聖花女子大学に通うため、西鉄大牟田線という私鉄の鉄道路線の井尻駅近くのマンションに住んでいる。     そのマンションは、複合タイプでワンルームと2DKの二つのタイプが半々というところだ。ワンルームは聖花女子大学の学生が半分、OLが半分で全部、女性で埋まっている。
2DKは、若い夫婦が住んでいる。そのマンションオーナーの考えとしては、なまじなワンルームだけのマンションに女性が入るより、いいというものだ。
それは、ワンルームのみだと男性も入る。それで、そういう部屋は独身男性だけが入るので、独身女性と問題を起こしやすい。
夜のエレベーター内での痴漢行為なども、そうだ。
 既婚男性だと、そういう問題はないと言い切れなくとも、少なくともオーナーの経験の範囲内では、既婚男性が問題を起こしたためしはなかった。
そのマンション内のエレベーターで、朝、神藤寛吉はオヤ、と思った。降下しているエレベーター内にいるのは、福岡市美少女コンテストで優勝した蘭東美鈴では、ないか。
なるほど顔は、美少女だった。穢れを知らぬ乙女の顔。今時、何人が、そういう清純な顔をしているのだろう。眼は澄み切った青空のようだ。
神藤が、じっと彼女の顔を眺めていると、突如、その美少女は、
神藤の顔に振り向いて、
「おはようございます。薬剤師さんですね。」
と挨拶した。

レズニスル夫人

 愛野珠代(あいの・たまよ)は、見てしまった。二十一歳の同僚、相賀好代(あいが・すきよ)が社長室で、社長夫人とキスしているのを。昼の休憩時間だった。社長室のドアは、少し開いていたのだ。
中から、チュッ、チュッという唇がくっついて離れる音がしたので、珠代は思わず足を止めて社長室の中を細い隙間から覗き込んだ。
すると、グラマーだが肩幅も広い背も高い社長夫人に小柄な好代は抱きすくめられ、上を向いて唇を社長夫人に任せていた。
社長夫人は三十代になろうという年齢で、紺の上下の服を着ている。
好代は不動産会社の制服を着ている。オレンジの上下で、スカートの丈は短い。
好代は肩までの髪の毛を揺らせながら、男にされるように社長夫人にキスされ続けていた。
社長夫人の顔は眉毛が太くて、目も大きい。髪の毛はショートカットにしている。胸も尻も張り出しているが、肩幅も広い体型だ。
社長夫人の名前は、レズニスル・丸三という。夫の名前が、丸三商次(まるさん・しょうじ)という会社名みたいな名前だが、そのためだ。
彼女は時々、レズニスル・マルサンと署名していたし、名刺にもそう印字していた。
レズニスル夫人は、母親がフランス人というハーフだ。だから、色は白い。背も高いのも白人らしい。フランス人女性は、背が低いというけれども。髪の毛の色は黒である。アンダーヘアも黒だ。
夫の丸三商次は、フランスに商用で滞在中に父親が日本人の、このレズニスルと出会った。
父親の名前は外国郁夫(そとくに・いくお)といって、フランスのパリでワインや日本酒を取り扱って大成功した億万長者だった。娘のレズニスルは、レズニスル・ソトクニと学校でも記名した。
パリのビジネス専門学校を卒業するとレズニスルは、父親の会社「ソトクニ・トレード」に入社して秘書として働いているところを夫になる丸三に見初められて、短期の交際の後、すぐに結婚して日本に来た。
丸三商次は福岡市で高級洋酒店を天神に持ち、不動産会社も持っていた。その不動産会社の経営を実質は、妻のレズニスルに任せていたのだ。

レズニスルは小柄な好代の体を軽々と抱きかかえると、社長の椅子まで運んで腰を下ろし、好代を自分の膝の上に乗せて今度は、紅い長い舌を出して自分の女子社員の首すじを舐め上げた。好代は、その柔らかく甘い感覚に眼をトロンとさせていた。愛野珠代は好代が自分に気づかないほど、快楽の世界に浸っているのが分かった。珠代は思わず自分の右手の人差し指と中指を自分の股間に持っていくと、制服の上からマンコを指圧してしまった。
(あうん)
珠代は心の中で、悶え声を出して股をキュッとすぼめた。(あ、誰か来る)
向こうから大きくなる靴音に、珠代は姿勢を正していた。社長室を覗くと、二人は社長と社員らしく離れていた。レズニスルは座り、相賀好代は少し離れて不動産会社の女子社員らしく立っている。

靴音の主は、若い女性とその母親らしき女性で、どちらも高級そうな身なりをしていた。どちらも肩からエルメスのバッグを下げている。下の方に点線の円の中にHのマークが入っている有名なブランドものだ。二十万円以上なのは間違いない。
足元を見ると靴はトリー・バーチのぺたんこな靴で、銀色に豹柄だ。四万円近くは、するものらしい。母娘揃って同じデザインの靴も珍しい。愛野珠代はブランド好きだから、それらを判別できた。
長い廊下を歩いて母娘は、社長室に近づいてくる。珠代は何気なく立って、二人を出迎える。娘は二十歳位で、明るくヒマワリのような感じがする。背も珠代より高くて細身だが、彼女の胸と腰は大きく膨らんでいた。その娘は立っている珠代を見ると、
「こんにちは。ビルの売却の件でお邪魔します。社長さんは、いらっしゃいますね?」
「はい、在室しております。どうぞ、こちらへ。」
珠代は社長室のドアを開いた。母親は四十位で、これも高身長で美貌の名残をとどめている。普通のOLだったとは、思えない。その母親の
静けさが壁に染み渡る その美貌
という俳句が浮かびそうだ。季語がないので俳句にはならないが、美貌は春という事にすればいい。
母娘の身長は、ほぼ同じで娘が先に社長室に入った。ドアを開けてから珠代は、小走りにその場を去っていた。

 丸三不動産の社長室は、部屋の主となったレズニスル・マルサンの趣味でフランス風なデザイン、置物、内装となっていた。そこへ入った母娘はフランス人形みたいな女性が机を前に立っているのを眼にした。レズニスル夫人は立ったまま、西洋人らしい笑顔を浮かべて、
「ボン・ジュール。ようこそ、おいでくださいました。わたしどもに、ご相談いただき感謝しています。」
相賀好代が高価そうなフランス製のコーヒーカップを二つ、応接テーブルの上にコトン、カタンと並べた。レズニスルは六人がけ、テーブルを挟んで三人ずつが座れる応接ソファの前に行くと、長身美女母娘に、
「どうぞ、こちらへおかけください。」
長身の娘の方が、
「それでは、失礼します。」
と腰掛けたので、母親もその隣に身を沈めた。レズニスルはミニスカートを、ひるがえして二人の前に座った。レズニスルの白いパンティは二人の母娘にも、はっきりと見えた。

商談は長きに亘るものではなかった。破格な買値をレズニスル夫人が提示したのだ。レズニスルは、
「それに加えて、娘さんに当社のイメージガールになってほしいのですわ。それにつきましても、契約金をお支払いします。」
フランス人の眼でレズニスルに見られると娘は、
「それは、嬉しいな。わたし、大学を出ましてから就職もせずに父の私的なものを売り払う事をしていました。天神のモデル事務所にも登録はしたんですけど、仕事がこないんです。モデルって、やってみたかったから。」
レズニスルは笑顔で、
「それでは、そうしましょう。高根野花(たかね・のはな)さん、丸三不動産も今では福岡市で一番の不動産会社なんです。ローカルテレビにもCMを出してますわ。」
と優しく話しかけた。
丸三不動産は天神の西側にある自社ビルを本店として、福岡市内にいくつかの支店があるが、女子社員が多くて男子社員は一つの店に一人と決まっていた。紅一点の逆で黒一点というべきで、あろうか。
また女子社員のスカートはミニスカートである。賃貸物件で来た客に対して椅子を離れて又、戻ってくる時には顧客にパンティが見えるように座るという社内の規律がある。先ほどは社長のレズニスルが自ら実践したもので、そばにいた相賀好代もそれを見て
自分もしっかり顧客にパンティを見せよう
と心に思った事だった。社長が実践しないで社員にやらせる会社があるとすれば、そんな会社は伸びないはずだ。
丸三不動産で部屋を借りれば、その店で女子社員のパンティが見れると若い男性の間で評判となり、引越し好きな若者はみな丸三不動産で部屋を借りた。
契約が決まって書類作成の時にも女子社員は度々、椅子を立つので何回もパンティを見せる場合もある。
契約書に添えてポケットティッシュを渡すのも、丸三不動産の慣わしである。それで夜、自分の部屋で仲介、契約してくれた丸三不動産の女子社員のパンティを思い浮かべながらオナニーして、もらったティッシュで射精後に拭き取る男も多かった。
おまけに丸三不動産の女子社員はブラジャーをつけない事を義務付けられていたので、夏に白いカッターシャツの上からふくらんだ乳房と赤い乳首がうっすらと見えたりする。
だから夏の方が契約に来る男性客も多くなり、「にっぱち」という二月八月は客が減るという言葉の八月は、丸三不動産では男性客で賑わった状態となる。
特別サービスとして、丸三不動産では個室での接客もしていた。その場合、家賃の二ヶ月を契約の時に不動産手数料として払えば、それに応じたサービスを女子社員がやるというものだ。
女子社員を指名しての仲介となると指名料として一人につき一万円が、かかったが、それに伴って椅子を動く複数の女子社員のパンティが見られるので指名する男性客も多かった。
もちろん個室は完全防音で、中で大抵は上増し一か月分の家賃の手数料で女子社員とセックスしていた。それは手数料そのほか、敷金とか礼金すべて丸三不動産の口座に振り込まれて書類を手渡しする時に行われる。一日で三人くらい指名される女子社員もいるから、三万円の指名料をもらえる女性もいた。
指名料については丸三不動産の方では、そのまま女子社員に渡すのである。

 レズニスル夫人は夫の丸三商次と会社の近くの高級マンションに住んでいるのだが、夫の商次は一年ほど前からそのマンションに帰ってくるのが月に一回ほどになった。
そんな珍しい晩は、レズニスルは夫に全裸でダブルベッドの上に乗って、むしゃぶりつくのだが夫は、
「気分が乗らないんだ、すまない。」
と断りを入れた。夫の商次はパジャマを着たままだ。レズニスルは唖然として、
「あなた、もう半年も私とセックスしてないじゃない。それで、なんともないの?」
「ああ、仕事が忙しくなって元気がないんだ。レズニスル、そこに立って、おまえの綺麗な体を見せてくれ。」
商次は、ダブルベッドの横の地点を指差しながら頼んだ。彼女は夫の言に従って、ベッドの横に立って両手を広げた。
白人のような白い裸身は、足もすらりと長い。胸もロケットのようにふくよかで、ヘアは黒い剛毛だ。実は商次は、この体型には飽きていた。彼は日本人女性の短い足で、尻が外人女性より低い位置にある体に性欲を覚えるようになっていた。だが、しかし、レズニスルの体は美しいので、
「レズニスル、お前の体は私だけのものにしておくのは、勿体無いんだと思うよ。他の男に抱かれてみては、どうかね。」
レズニスルは体を軽く震わせると、
「わたしの家は男女関係に厳しいんです。フランスは大抵、カトリックの家ですから、わたしも男は夫だけ、と教わりました。商次以外の男、だめなの。」
丸三商次は溜息をつくと、
「日本はキリスト教の国じゃないから、いいんだよ。」
「だめです、何処の国でも。」
とキッパリと夫の誘いを彼女は拒否した。
「わかった。やるだけ、やってみよう。」
商次はベッドからレズニスルを手招いた。彼女は爆乳を夫に押し付けて、マンコを夫の太ももに当てた。商次は彼女の大きな尻と、広い肩に両手をそれぞれ置いて、軽くキスをした。
しかし、眠気が強烈になったのか、彼は眠ってしまったのだった。

レズニスルが同僚の相賀好代とキスしていた日の晩、愛野珠代は福岡市近郊のラブホテルで丸三商次に抱かれていた。
珠代は足が短い方で、どっしりとした尻を持っている。胸は小さめだ。アンダーヘアは、トランプのダイヤ型で恥丘の土手は丸くこんもりとしている。
一年ほど前から丸三商次の性欲は、自社の社員の愛野珠代で発散していた。
滅多に行く事のない会社に久し振りに来てみると、女子社員の珠代がミニスカートで応対してくれた。
社長室で応接ソファに座った時、珠代がコーヒーを持って来てテーブルに置いたが、しっかりとパンティを見せてくれた。珠代はパンティを上に持ち上げた形にして履いているので、割れ目がパンティに食い込み、溝ができていた。いわゆるマンスジである。
オレンジの制服に純白のパンティに食い込んだ割れ目は、その場で丸三商次のイチモツを半分ほど奮い立たせた。その時は、レズニエルは不在だったので誘い話は珠代に直ぐに通じた。
その日の内に、丸三不動産の真のオーナーと愛野珠代はラブホテルに行き、濃厚な時間を過ごした。
小ぶりの珠代の乳首は、商次にたっぷりと十分も吸われて硬直していた。仰向けになった珠代は足を大きく広げて、商次にクリトリスを丹念にねぶられて、大きな尻を震わせて快感を覚えていた。珠代の顔は日本女性的で眼も普通の大きさで、唇も普通、髪の毛は肩より少し下の長さのストレートな髪で、クリトリスは少し大きめだろう。
「いやあああっん。」
膨らんだクリトリスを激しく商次に舐め回されて、珠代は大きな悶え声を上げた。彼女の割れ目が潤ってくる。

同じ時刻にレズニスルは市内の高級ホテルのスイートルームで、全裸で相賀好代の同じく全裸の体をすみずみまで舐め回していた。好代の体は百五十四センチでバスト84、ウエスト58、ヒップ85という尻の大きな女性だ。肌は色白で、眼はパッチリとしている。鼻筋も通って高く、白人女性並の鼻の高さだ。レズニスルが彼女に惹かれたのも、この白人のような顔立ちからだった。同種のものは惹きつけ合うというものだろう。
レズニスルは、乳房と乳首を好代の乳房と乳首に合わせた後、両脚を大きく広げて眼を閉じている好代の下半身の方に頭を移動させた。
陰毛の下に好代の若々しくピンクのマン裂が、小さな口を開いていた。レズニスルは、
「トレビエン(とてもいい、というフランス語)。今からあなたにレズのテクニックをするわ。」
と囁くと、右手の人差し指から小指の四本の指を好代のマン裂に挿入した。
「あはん、社長の指って・・感じます。」
好代は声を上げた。レズニスルは、
「秘儀、ピアノマンコ。」
と声を上げると、好代の中に入れた四本の指をピアノを奏でるように動かした。好代は気持ちよさそうに、
「ア、アアア、アッアアアーアアー。」
と色艶かしく悶えた。ふふふ、とレズニスルは満足気に微笑むと、
「今のは、ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌの出だしを弾いたのよ。」
「そうだったのですね。わたしのマンコが感じるままに、声を出してしまいました。」
好代は眼を開いて答えていた。レズニスルは白い歯を見せながら、
「次はね、」
指を又、別の動き方で動かす。何を弾いたのだろうか。好代は、
「ア、ア、アアア、アアアアー。」
と身をくねらせながら悶えた。好代は眼を開けて、
「今のはエリック・サティのジムノペディ第一番でしょ、社長。」
と聞く。
「ええ、そうよ。メロディの最初のところね。よくわかったわね。」
「わたしも、子供の頃、ピアノを習っていましたから。」
「まあ、そうなの。わたしも、そうだったのよ。それで気が合うのね。体も、合っているし。」
レズニスルは好代の顔に身を屈めて、キスをした。半分、フランス人の舌を好代の唇の中に入れていく。好代の舌は自分より少し小さいようだ、とレズニスル夫人は感じた。
好代はレズニスル社長の舌を感じながら、一生懸命自分の舌をレズニスルの舌に絡ませていった。と同時に、家庭教師のように自分の部屋にピアノを教えに来た女教師の事を思い出した。

グランドピアノの前に座って、エリック・サティのあなたが欲しい、という曲を弾いていると、その東京の音楽大学を出た女教師は、
「いいわよ。とても、いい。弾き続けて・・」
と褒めながら、左手を座っている好代の開いた足の間に入れると、白いパンティの上からマンコを触った。
「あ、」
好代は声を小さくあげたが、ピアノを弾き続けた。サティの「あなたが欲しい」は五分半弱の曲だ。女教師の手が入ってきたのは、3分位のところで、彼女の手は滑らかに好代のパンティの上でピアノを弾くように動いた。それは、サティの「あなたが欲しい」を同時に奏でているらしかった。指の動きで好代は、それがわかったのである。(こんな指導法もあるんだわ。)と好代はマンコで感じながら、思っていた。男の人の手じゃないし、マンコの中にも突っ込まないからいいか、と好代は思うと曲を弾き終った。
女教師も自分の左手を好代のマンコの上のパンティから離すと、拍手して、
「よかったわ。わたしの左手の動き、わかったでしょ。ああいう風に弾いて。もう一度。」
それで好代は、エリック・サティのあなたが欲しい、をもう一度、弾いた。すると確かに、うまくなっていたので終わるとすぐ、
「先生、上手く弾けるようになりました。ありがとう。」
と礼を言うと、
「体で覚える。体で教える、とは、この事ね。女のマンコ、百までって言うじゃない。」
「え、三つ子の魂、百までじゃないんですか。」
「そうだったわね。でも、同じようなものよ。女はマンコで考える、というのが真説なのよ。それなのに世間では、女は子宮で考えるなんて言ってるでしょ。みんな、女はマンコで考えてるの。ピアノを弾くのもマンコで考えて弾きなさい。それが上達への早道です。」
きっぱりと女教師は宣言したが、好代はピアノの指導でマンコを触られるのに抵抗感があったため、ピアノをやめてしまった。

そういう過去があったので、レズニスル夫人の「秘儀、ピアノマンコ」は懐かしい感じもした。今度は指を入れられているけど、成人だから構わない、と好代は思いながら、いつのまにかレズニスル夫人の舌が自分のマンコを舐め始めたのに気づいた・・・。

ラブホテルで丸三商次は全裸の愛野珠代の両肩を掴んで、抱き起こすと、
「おれね、古流の柔術てのを叔父さんから習ったけどね。その中に、女とやる時の技っていうのが、あるんだ。そのひとつが、
巴マンコ
って、言うんだけど、いくよ。」
と話し、珠代の体を前に傾けて、寝転んで右足を珠代の腹部に当てた。柔道の巴投げの体勢だ。そこで柔道では右足を上げて、自分の頭の上方に相手を投げるのだが、丸三商次は珠代を自分の体の上方にに珠代を投げた。落ちてくる珠代を抱きとめると、
ずぶり、と荒々しく珠代のマンコに商次のビッグサイズが入ったのだ。自分の体重と落ちてくる重力で、珠代は激しい摩擦感をマンコに感じて失神しそうな快感を覚えた。商次は仰向けに横たわり、珠代はそこに跨った姿勢で、
「あああっ、すっごーい。」
彼女は両手で自分の乳房を揉みながら、大きな声を出した。商次はにやにやして、
「よかっただろう。戦国時代は敵の大名の奥方を、この巴マンコでものにした話もあるんだ。その奥方は、巴マンコの味が忘れられなくて、その藩を抜け出したほどだった。」
珠代は自分で激しく腰を振りながら、
「ああっ、あの巴マンコの感覚が欲しくて、激しく尻を振ってますぅ。いやん。」
と悶えると、揺れる黒髪を右手で搔き揚げた。

好代が満足そうに眠ったのを見て、レズニスルは次はどんな秘儀を教えてやろうか、と思ったが、ふと、初恋の相手を思い出した。
それはパリでのビジネス専門学校一年の時、相手は長身で美男子のアサン・モロンという同級生だった。彼は栗色の眼をして、足が長く痩せていた。何人もの同級生の女の子とデートしていた。それも、パリは20の区があり、それぞれの区の女の子をものにしていっているという評判だ。1999年の頃、パリの人口は212万人と五千人ちょっとで名古屋より少し少ない位だ。
アサン・モロンは色が白く、髪を長くしていた。ちょっと見ると、大人になりかかった美少女という容貌だ。彼は二十の歳にパリの売春婦に声をかけられ、ただでセックスしてもらい童貞を捨てていた。
二十一の歳になると商売でセックスしている売春婦を何度も、天国にセックスで行かせたのだ。最初の売春婦の友人たちだから、タダでしていただけでなく、逆にお金まで貰うようになった。
そのうち、素人童貞である事に嫌気がさして、アサン・モロンは二十二の歳にビジネス専門学校の同級生の女の子を誘って夜の公園の樹木の陰でセックスした。
アサン・モロンは、その娘とは飽き足らずに次の女の同級生とセックスしたため、最初の娘は愛想をつかした。次の娘の次の娘に手を出したので、次の娘も愛想をつかしたのである。
彼は、多くの女を知りたくなっていた。高校生の女とは違う、たっぷりとした胸のふくらみを見るたびに、少しペニスが立ちかける。だから評判の美青年でありながらも、ヤリチンという噂もあり、次第にビジネス専門学校の女生徒は彼を警戒し始めた。
一度やったくらいでは妊娠も確率は低いために、アサン・モロンはコンドームなしでセックスをやりまくっていた。
レズニスルはクラスが違ったので、アサン・モロンを見た事がなかった。そんな或る日、学校の玄関で帰ろうとするレズニスルに、
「ハイ、元気かい?」
と若い男性の声がした。彼女が左横を振り向くと、そこには男性モデルのような背の高い色の白い男が立っていた。レズニスルは、
「元気よ。あなたのアソコも元気なの?」
と冗談を飛ばす。男はそれに少し微笑むと、
「元気さ。君の中で暴れまわりたいね。」
と気障っぽく言うと、近づいてきた。レズニスルは処女を失えると確信して、
「いいわ。やってほしい。」
「おお、オッケーなの。ただ、ぼくはすぐにセックスはしない。愛を育みたいんだ。早くても三日後にしている。それがナンパ野郎とは違うとこだね。」
学生が、ぞろぞろと帰っていく。その玄関からの階段の上で立ち止まっているのはアサン・モロンとレズニスルだけだ。それを見た一人の女生徒は二人に聞こえない距離まで階段を降りると、横の友達に、
「あーあ。あの娘も又、あいつの毒牙にひっかかるのだわ。わたしも、やられたけど。ただ、あいつのチンポって、意外と柔らかいのよ、大きくて太いけどね。それにすぐ、別の女に声かけるから、呆れるのね。」
「そうなの。チンポは太いだけじゃなく固くないとね。わたしも放課後は、チンポの固い男性を探してるわ。」
最初に語った女生徒は青い眼を輝かせて、
「いいわね。見つかったら、わたしにも紹介してね。」
「うん、三人で遊ぼう。」
その二人は、階段を降りるとパリの街へ歩いて行った。エッフェル塔が見える場所に、その学校はある。エッフェル塔とは、324メートルの高さで、エッフェルという人が設計した万国博覧会のためのものだ。近くには噴水のある公園もあり、ここで多くの女をアサン・モロンは口説きまくった。時には夜、エッフェル塔を見ながら公園で後背位セックスに浸ったアサンだった。

レズニスルはアサンから名刺をもらっていた。そこには彼の住所と電話番号が記載されている。アサンは、
「三日後に会おう。」
と両手を広げて肩をすくめて見せた。

レズニスルにとっては、その三日後までが楽しい期待の日々だった。パリには四百も緑地帯があるから、数本の大木の陰で処女を失うというのもいい。16区にあるブローニュの森でアサンとするのも、いい。レズニスルは、ブローニュの森を散策している時に、大木の上から女性の声が、
「アハッ、アハハン、シエル、シエル!」
泣き叫ぶのを聞いた。その声のあたりを見上げると、なんと、そこで若い男女のカップルが全裸で後背位で木の枝に跨ってセックスしていた。その樹の根元には、彼らの服が脱ぎ捨ててあったのだ。それは上着だけで、下着は木の枝にでも置いているに違いない。
ポタン、彼らの汗のしずくが落ちてきた。十八のレズニスルは、拳を握って早足で駆け去っていった。

三日後、は案外早く来た。待ち合わせの場所も決めていたのだ。カルチェ・ラタンのとあるブティックの前で、レズニスルが待っているとアサン・モロンが何だか厳しい顔をして近づいてきた。レズニスルは待ちわびた笑顔を浮かべて、
「ハーイ、アサン。これから二人で思いっきり・・・。」
「ノン。セッタンポシーブル(不可能だ。)ぼくはね、神への道を生きる事にしたんだ。」
レズニスルの顔から血の気が全部引いた。処女を捨てるというのは、それなりに大決心して来ていたのだった。だが、アサンは処刑宣告をするような口調で、
「ビジネスの勉強も、やめる。カトリックの神父は、結婚できない。女性とも付き合わない。だから美人の君とも、もうお別れだ。」
「そんな・・・じゃ、マリア様に捧げるの、あなたのペニスを。マリア像でオナニーするのかしら。」
「馬鹿な事を言うな。性欲なんて、肉の欲望だ。神様は、そんなものをお喜びにならないのだ。ぼくは主、イエス・キリストに仕えたいんだよ。」
きっぱりと求道者らしく彼は答えると、踵をめぐらせる前に、
「オーボアール。次に会った時は、信仰の事で話ができるようにね。」
と暖かく話しかけて矢のように彼女から離れて行った。
レズニスルはセーヌ川のほとりまで歩くと、暮れ行く空を見上げて、
(わたしより神様の方が、よかっただなんて。)
と嘆いたのだった。

 アサン・モロンは神学校に入学した。校長のダニエル・レバシは校長室に彼を招いていた。半白の髪の毛をしたレバシは眼鏡を外すと、
「君は入学してくれると思っていたよ。わたしのモノは、君の女性への思いから解放する力があると信じていた。主は、いかなる方法を使ってでも神への道を良き僕(しもべ)に思い出させる。
二日前の君との行為は、素晴らしかっただろう。君の尻の穴は、君のペニスが女の膣で味わうよりいいものを感じたはずだ。」
と青い眼を光らせてアサンに優しく話しかけた。アサンは顔を朱に染めて、
「ええ、二日前の神父様との行為がなければ、私は神への道を忘れていたに違いありません。女性なんて股の穴で男を狂わせる邪淫な生き物です。私は、どうにか、それから逃れられました。校長神父様、どうか私を神の道に進ませてください。それから、時々でも神父様とのあの行為を、つまり私の尻の穴に神父様の固く大きくなった聖なるモノを入れてくださらん事を。」
アサンは椅子に座った校長の前にある机の前の床に跪くと、両手を組み、額に当てた。
レバシ校長は立ち上がると、跪くアサンの後ろに回り、彼のズボンの上から尻の穴のあたりを指でなぞると、
「時々、どころか、定期的にしよう。髪はもっと長くして構わん。私が許可するから。私の部屋には風呂もあるし、ワインをたくさん置いてある棚もある。ワインを飲みながら、風呂で君の尻の穴に入れると、天国を味わえるだろう。楽しみだな。」
「はい、ありがとうございます。校長神父様。」
アサンは、これからの修道生活に天国への期待をするのだった。

 セーヌ河畔を、とぼとぼと歩いて行くうちレズニスルは古びた幅広の建物が眼の前に現れたのを知った。その壁に沿って歩いて行くと中から黒い修道服を着た三十歳ぐらいの修道女が出てきた。
控えめで目立たない彼女の姿は、いかにも神への従順な生活を送る女性にふさわしかった。レズニスルの悩みつかれた顔や姿を見ると、
「どうしました?とても悩んでいるようですね。」
と彼女は、慰めるように声をかけた。レズニスルは、
「ええ、シスター。わたし、とても悩んでいます。実は、心に思っていた男性が立ち去ったものですから。」
修道女は軽くうなずくと、
「よくある事です。あなただけでは、ありませんよ。実は、わたしも二十歳の頃には彼氏がいました。けれども、その彼は、お恥ずかしい話ですけども女たらしだったのです。それだけなら、なんとかできたかもしれません。ところが、或る日、彼は信仰に目覚めて神父になる事になりました。」
レズニスルは自分の場合との相似に驚いて、
「えっ、それは、わたしも・・・。」
シスターは十字を胸の前で切ると、
「こういう話は、外では、しにくいものですね。中に入りましょう。今、休憩時間ですから。」
そう言うと、右手で手招きした。レズニスルはシスターの後に従って、その女子修道院の門をくぐる。道の両脇には薔薇の花が咲いていた。玄関の両脇には白い百合の花が、我こそはと各々、咲き誇っている。玄関を入ってすぐの右側のドアの中が、応接室となっているらしく、レズニスルは古ぼけたソファに座るとシスターは差し向かいに座った。窓際には白い陶器のマリア像が飾ってあった。レースのカーテンの外は真っ黒になってきている。レズニスルは、そのシスターが救いのマリア様のように見えた。シスターは薄い唇を開くと、少し頬もこけている痩せた体を乗り出して青い眼で、
「神父様に、あなたの彼氏もなる事になったのですね。」
と、いたわるように話しかけた。
「ええ、そうです。よくある話ですか、こういうのって。」
身を反り返らせて、シスターは人差し指を右の頬に当てると、
「そうねえ。フランスはカトリックの国ですからね。男性は神父様になるのが一番だと思うのだろうし。」
レズニスルは、ほっ、とため息をついた。それから、うつむいて部屋の床を見つめていると、ススス、とその前に黒い影が動いた。見上げるとシスターが、左の隣に立っている。シスターは、右手をレズニスルの左肩に置いた。骨ばったその手は、しかし柔らかく感じられた。シスターの高い鼻の下の唇が動いて、
「彼が神の道を選び、独身を通すなら、自分たちも神に仕えて独身であらねばなりません。それでも、女の感覚器官は黙っていないけど、彼でなくても。」
シスターはレズニスルの両方の乳房を両手で素早く揉みながら、熱くキスしたのだ。キスを続けながら、シスターの手はレズニスルのスカートの中から黄色いパンティの中に入り、レズニスルのCON(おまんこ)を巧みな指使いで擦った。
ああ、レズニスルのCONは女性の手によって初めて開発されたのである。心の中でレズニスルは、(やめてください)と言おうとしたが、眼を上げるとマリア像が優しく微笑んでいるし、シスターも懸命に自分のCONを愛撫していた。その真剣さと、自分が感じる快感に彼女はソファに背を深くつけて、頭をのけ反らせてしまった。両脚は少し開いてしまう。それを見たシスターは、レズニスルの衣服を素早く剥がしてしまった。十九歳の彼女の白い全裸は、乳房も形よく突き出て股間の草むらは男性が見るとすぐに勃起するような形状をしている。縮れたcheveux pubiens(フランス語で陰毛。発音はシェボー プビエン)の下にはクッキリと割れ目が盛り高い淫丘の下部に顔を出していた。その割れ目にシスターは、すぐに口づけると割れ目の中に長いルージュ(赤)の舌を潜り込ませた。レズニスルは、
「a!han!bon!bon!」
と悶え声を上げたのだ。それは彼女の処女膜が破れた時でもあった。
シスターは少し流れた紅い血を見て、
「おーう、処女だったのですね。神の祝福です。」
と声を上げると、両手はレズニスルの両乳房を掴みながら両手の人差し指で両乳首を愛撫した。と同時に舌でレズニスルのCONを舐め続ける。
レズニスルは、天国に行くような快感を覚えていた。眼にチラチラと入るマリア像の微笑みは、処女懐胎したマリアがレズの喜びは知っていたのではなかろうか、と思わせるものに見えた。本当はマリアも処女で妊娠するものですか、とは心の片隅では思いつつ。
シスターは、ドアに行き鍵を掛けると着ていたものを脱いだ。修道女服の下は下着をつけていなかった。黒々としたシスターの陰毛がレズニスルの眼に鮮烈に焼き映る。シスターの胸は貧乳だった。
レズニスルの視線が自分の貧乳に注がれるのを感じたのか、シスターは、
「わたしの胸、乏しいけど。イエス様も貧しいものは幸いなるかな、天国はその人にあり。と仰ってるわよね。この胸、でも乳首は固く尖るのよ。あなた、吸ってくれないかしら。」
シスターは、レズニスルに覆いかぶさると、貧乳をレズニスルの口に当てた。乳首をレズニスルが吸うと、それはたちまち固く太くなった。口を開くと、
「本当ですね。あ、シスターのヘアが私のヘアにあたってます。」
「あなたも結構、剛毛ね。もう一つの乳首も吸って、A!HAN!セ、ボン。」
「プルクワ(何故)?シスターに、なられたのですか。」
尋ねるとレズニスルはシスターの赤い乳首を吸う。
「AA!HAN!男に、もてなかったからよ。貧乳って事もあると思う。あなたは大きなオッパイだから、これから男はできるわ。わたしの乳首、両方とも立ったから、これをあなたの乳首に当てて終わりにしましょう。」
シスターは、自分の乳首をレズニスルの乳首に当てると擦りつけた。微妙な感覚をレズニスルは感じると、いい気持ちになった。次にシスターに舌まで入れられるキスをされて、マンコをいじられてシスターは、立ち上がると修道女服を手早く身につけた。壁の大きな時計を見ていたらしい。その時、閉じたドアが外からドンドン、と叩かれて、
「シスター・メルネンコ、晩の祈りです。聖堂に来なさい。ついでに今の行いも懺悔するように。」
シスターは気をつけの姿勢で、
「はい、院長様、ただちに参ります。」
と答えると、レズニスルに向いて、
「帰りは、自分で帰ってね。アデメン、じゃなくてオーボワールかな?」
アデメンは又、明日という意味だ。日本語ではアドマと表記されたり聞こえたりする。シスターは、ドアの鍵を外して出て行った。

家に帰ると日本人の中年男性が応接間に来客していた。がっしりとした体格で、アレも太そうだ、と彼女は思ってしまった。父親の外国郁夫は、
「お帰り、レズニスル。私のビジネスの仲間の丸三商次君だ。」
と来客を紹介すると、その男は、
「はじめまして、丸三商次と言います。日本の福岡から来ました。私どもは、フランスのワインを取り扱っておりまして、こちらの「ソトクニ・トレード」さまとも末永く、お付き合いさせていただきたいと思っています。」
彼はレズニスルに頭を下げて、再び彼女を見ると、
「いや、これはお美しい。ビーナスのような美を持っていらっしゃいますね。」
と嘆賞すると父の郁夫が、
「いやなに、まだ学生ですよ。未成年者です。ビジネス専門学校を卒業したら、わしの会社で働かせようと思ってね。」
と先の計画を打ち明けると、丸三商次は眼を銀河系の星星のように輝かせて、
「それは楽しみです。ぜひ、お嬢さんが成人した姿を拝見したいものです。」
と意志を述べると、父親の郁夫は、
「ああ、もちろんです。福岡は私の曽祖父の出身地で、東京で事業を興しましたが、そのおかげで私もフランスに来て商売しとるのです。娘のレズニスルにも関係のない土地では、ないですからな。あははは、おい、レズニスル、丸三さんに挨拶しなさい。」
座っている二人のうち、丸三に顔を向けて、立ったまま彼女は、
「ボンソワール、ムッシュウ。レズニスル・ソトクニです。」
と乳首にむず痒さを感じながら自己紹介した。
こんな出会いで三年後、二人は結婚した。

 新婚旅行は京都にした。福岡市で結婚式を挙げると新幹線で京都へ旅立った。三時間もしないで京都に着く。福岡市に比べれば古い建物も多いし、パリに比べれば街の美感も感じられない。
(古いだけが立派な事なのかしら、古都っていうけど。)
レズニスルは夫の丸三商次と京都を回りながらも、変な失望を覚えていた。どれも、これも古い。福岡市は、新しい。彼女は夫が福岡市の人間でよかったと思った。それに何かしら、
「・・・どす。」「・・・どすえ。」
って、人の話を聞いていると、最後はそう聞こえる。どすはDOSの事かしら、昔のマイクロソフトの製品にあったけど、今はWINDOWSのはずだわ。京都の人は古いのが好きだから、今でもWINDOWSを使わずにMS-DOSを使っているのかしら。それじゃ、
DOSえ、というのは何の意味だろうな、とレズニスルは思った。
 そのうち、
「いいえ。」
という言葉が聞こえたが、これは日本語の「いいえ」なのだろうか。旅館の中年の女中が、
「明日は雨どすさかい、この部屋でゆっくりしてはったほうが、いいえ。」
と夫に話しているのを聞いてしまった。さかい、というのは大阪の堺だろうか、雨DOS堺、というのもよくわからないけど、
ゆっくりして這った方が、NON
というのもわからない。京都言葉はレズニスルには何のことやら、わからなかった。
博多駅で見送りの人が、
「ゆっくり京都ば、見てきんしゃい。」
とか言っていたが、あれもわからない。京都場って、どこにあるのだろう。見て金シャイ、ってシャイは英語なのは分かるけど。
窓の外は夕暮れだ。パリの夕暮れとは違うなあ。湿気っぽい日本の夕べ。夫と本格的に付き合うまで、あの修道院に時々行って、シスター・メルネンコとレズしてた。
シスターは外に出るときも、あの修道女服だから目立つし外ではレズはできなかったけど、女子修道院には長い歴史の中でレズのテクニックが開発されていったという誰も知らない事を教えてもらった。神に処女を捧げるといっても、やはり女の体。我慢できなくなる人達の方が多いらしい。もともと男性とつきあいのない人達ばかりだから、女のほうに興味をもってくる。先輩のシスターが後輩のシスターに対して、男役になるのが普通らしい。
シスター・メルネンコの話では、祭壇の蝋燭でオナニーしていた修道女もいた、とか。若いその修道女は、
「メルネンコ、祭壇の蝋燭は太いから、とてもいいよ。」
と感激していたらしい。
こういった修道院で、わたしは幾つかの秘儀も学んだけど。「ピアノマンコ」なんか使う時が来るかしら。

窓の外の夕闇を見ながら回想に耽っていたレズニスルに夫の丸三は、
「これから、ご馳走を食べて舞妓さんに踊ってもらうから楽しいよ。」
と彼女の肩に手を置いて告げると、
「それが終わったら、・・・でしょ?」
とレズニスルは夫を振り向いて聞く。丸三商次は逞しい自分の胸を叩くと、
「ああ、そうだよ。初めての夜だね。」
と自信ありげに返答した。

豪勢な京都料理が二人の前に並べられた。十二皿の小鉢にお吸い物、茶碗蒸し、それから白味噌雑煮というもの。
二人は、せかせかと料理を食べたが、レズニスルはどうも白味噌雑煮の餅が苦手なようだった。箸で餅をつまんだが、どうも上手く食べられない。夫の商次は、それを見て取ると、
「京都名物の白味噌雑煮はね、こうやって食べるんだ。」
と言いながら妻の傍に来ると、キスをして妻の大きな白い乳房を揉んだ。
「A!A!」
レズニスルは声を出して眼をつぶると、夫は
「眼を開けてご覧。」
と言うのだ。彼女が眼を開けると、丁度口の前に夫の巨大なモノの亀頭の上に白味噌雑煮の餅が乗っているではないか。彼女は、
「セ、ボン。」
と発音すると、夫のモノと餅を同時に口に頬張った。秘伝のだしが、フランス育ちの彼女にも、おいしいものとして口の中に感じられた。夫の亀頭の上の餅を口の中で滑らせて、彼女は口の中に入れた。夫は、
「おお、いいフェラチオテクニックだよ。気持ちよかった。」
と話すと、イチモツを浴衣の中にしまった。レズニスル浴衣なのだ。紫色のお揃いの浴衣を彼らは身にまとい、京料理を堪能した。舌太鼓をドンドンと、鳴らしたのだ。

しばらくすると障子の外から、
「踊り子はん、入れてもよろしおすか?」
という若い女中の声に、丸三商次は大声で、
「いいよー、食べ終わったけん。」
と答えた。レズニスルには、食べ終わった件、と聞こえた。
ガラリと障子が開くと、白い着物に紅い帯をして、顔には白粉を塗り髪は結い上げて、鼈甲のかんざしをつけた若い舞妓と三味線を抱えた着物姿の五十路の女が部屋に入ってきて、二人とも丸三夫婦の前の畳に三つ指をついて、舞妓が
「佳つ百合いいます。よろしゅう、お願い申し上げます。」
と細々と挨拶した。
舞妓は二つの扇子を手に持って三味線の響きに合わせて、踊り始めた。どうもフランスのバレーのような動的なところは、ないようだ。二つの扇子を広げてヒラヒラさせたり、横に少し移動したりと動く空間も狭い。それに、おしろいをつけた舞妓の顔は、どれも同じようなものだ。おしろいをつける事で、表情が均一化されるのだろう。

バレリーナの踊りなどでは、片足を高く上げたり、くるくると体を回転させたりする。それに比べれば舞妓の踊りは消費カロリーも少ないものだ。
佳つ百合の踊りもレズニスルには、物足りないものだった。

舞妓の佳つ百合と三味線五十路が部屋を出たら、レズニスルは夫にしなだれかかった。丸三商次は彼女の浴衣を剥がしにかかる。その時彼は、
「お、コンドームしないといけないな。」
と慌てて呟くと妻は、
「そんなのなしで、いいわよ。」
「いや、だめだ。子供はもう少し、あとにしよう。君の体が崩れるのはもう少し、先がいい。外に出て、買ってくるから。」
と言い残すと、夫は部屋を出て行った。
旅館の中にはコンドームの自動販売機など、あるわけもないので、滑りそうな廊下を歩いて玄関から商次は京都の町へ出てみた。
平日なので、人もそう多くはない。足早にコンドームの自販機を探す商次に近づいてくる男がいた。背は高く、ひょろひょろとした感じの男で歳は三十代後半か。頭は角刈りにしている。男は、
「旦那さん、おんな探してはるのと違いますか?」
と商次に柔らかな調子で話しかけてきた。商次は無視して通り過ぎようとするとガバと商次の腕を取り、
「なんの用か知りまへんけど、旅のお方でっしゃろ。そしたら、二度とない機会かもしれへん。ええ女、おりますのや。へへへ。ホテルで、できまっせ。」
商次は興味を惹かれた。自分の精力には自信がある。その女と一発やってからでも、妻のレズニスルとはセックスできるだろう。商次は顔をその男に向けると、
「いいねえ。いくらで、できる?」
「あ、そら、もう。十万円ですわ。」
「一般的には高いな。でも、おれも社長してるんだ。最近は風俗もデフレだねえ。政府は風俗のインフレを目指すとは、言えないんだろうな。京都て安いものだけが売りかと思っていた。ふーん、そんな女がいるのか。京美人なんだろう。」
伊達な角刈り男は揉み手をしながら関西弁で、
「そらーもう。最近は舞妓では、贅沢な暮らしがでけへんもんやさかい、夜はアルバイトしてますんや。そやけど夜のアルバイトの方が稼ぎ、ええらしいですわ。昨日は三人と寝て、三十万。手取りは七割やから二十一万、稼いだ子です。」
「淫乱じゃないのか。」
「いえいえ、まるで静かな湖のような、ええ女だっせ。みんなに長いコンドームさせますからな、ちんこの肉は彼女のオソソの中に当たらんのです。そやから、処女のような美さえあるんですわ。」
角刈り男は、商次の腕を取って歩き始めた。平安時代か、と思うような建物をいくつも過ぎると、高級めいたホテルについた。パリにあるような白の外観の様相は商次にフランスを思い出させた。
角刈りは、
「ここだんがな。待ってますわ、あの娘。あ、宿泊代はタダにさせてもらいます。」
それは手数料の三万円から負担するのだろう、と商次は思いながら角刈りと中に入ると、フロントは京美人が和服で立っていた。彼女は、えくぼを浮かべて、
「ようこそ、おこしやす。あちらに待ってはりますよ、彼女。」
と右手で待合場所のような空間を示した。ホテルもグルかと思いつつ商次が、そこを見ると、なんとレズニスルが・・・と思ったが、よく見ると日本的な面立ちは妻とは違った。彼女は明るく笑うと、黒の洋装で立ち上がった。舞妓には見えない感じだ。商次の方に淑やかに近づいてくると、
「行きましょ。」
鈴を振ると出るような音声で話しかけた。美声というのも、引っ張られるものだ。レズニスルの声と似ているから不思議で、自分のタイプは決まっているのかと彼は思った。逆三角形の体格で、外に出るときは黒縁の眼鏡をかけている商次は彼女の揺れる尻を見ながら、ついていった。
突き当たりの部屋に商次が後から入ると、彼女はドアを閉めて、
「先にお金の方をお願いします。」
と右手を出した。はいはい、十万円ね、と商次は三十万円入れている財布から十枚抜き出して彼女に渡した。それを受け取ると嬉しそうに、
「おおきに。うち、金持ちの方としかしませんの、あれ。」
と語り、自分のブランド物らしい白の財布にしまうと、肩にかけていたバッグに入れて、ベッドの頭の板に置いた。しかし、よくレズニスルに似ているものだと商次が思っていると、いきなり元気よく彼女は服を脱ぎ始めた。肌もレズニスルほどではないが、白い。彼女は黒のパンティとブラジャーだったが、それも外すと商次に駆け寄って彼の股間の膨らんだものをズボンの上から握り締めて、関西弁で、
「元気ええな。もう、こんなに立ってはるわ。特製のコンドーム渡しますよって、それしてね。薄いのやから、コンドームの感じしないと思いますよ。」
商次も脱いでいると、細長いコンドームを手渡された。彼女は、うふと笑うと、
「ちんちんの根元まで嵌めてくださいね。うちの純潔、守るため、しもらってます。」
とスラスラと説明する。十万で客とって何が純潔だ、と商次は思ったが、
「わかったよ。君のような美しい女性は、そうでないと。」
「あら、嬉しいこと言わはるのね。そんなら、コンドームせんといてもいいですよ。」
半立ちのチンコに長いコンドームを、かぶせかけていた彼は驚いて、
「本当か。」
「うちと結婚してくれはりますか?」
真顔になって彼女は、聞いた。
「いや、それはね。実は今日、結婚式して京都に新婚旅行で来てるんだ。重婚なんて犯罪になるしな。」
ふん、という顔を彼女はすると、
「そうなのやね。よく奥さん残して出てきはったわ。」
ぐい、とコンドームで覆われた商次のロングサイズを握り締めて柔らかな指でツーと根元から亀頭までをなぞった。気持ちよさに商次は、
「あー、柔らかいね。それに君は、ぼくの妻に似てるんだ。」
「そうやの。そしたら、奥さん思うて私を抱いて。」
「よし、そうしよう。」
ベッドに寝そべった彼女は、両脚を彼女の体に対して逆Tの字になるまで開くと両手を前に出した。黒いヘアは逆立っていた。ぱっくりと開いた彼女の膨らんだ切れ目に商次は完全包装されたロングなモノをズーンと埋め込んでいった。彼女は静かにゆらめくと、
「ええわー、ええですぅ、ちんこ最高。」
と透き通るような声を出した。商次は腰を振りながら、
「そうか、いいか、最高か。」
と彼女に顔を近づけて聞くと、
「うち、ミス京都なったんやけど、ああん、つきあってた五人の彼が選考委員にうちのセックス写真送ってしもて。あん、もっと擦ってええよー。」
と昔の事情を語ってくれた。彼女の大事な部分意外は、商次は自分の舌で舐め回った。一度抜いてから、彼女の足を片方ずつ持ち上げて足も指まで、しゃぶってみた。その粘着するような肌は二回目の勃起を彼にさせてしまったので、
「もう一発、いいかな、入れてしても。」
と彼女のオソソを舐め狂いながら聞くと、
「ええよ。夜の十二時までなら、何度やっても、かましません。そのための十万円どす。五回出した人もいたけど、あんさんのチンコが最高な気がする。」
商次は感激して、柔らかな彼女を抱くと二回目の挿入に腰を動かした。キスをしてやると、うっとりとした眼で、
「体の相性が、ええみたいや。あん、ええわっ。」
悶えると自分でも彼女は腰を振り始めて、
「ああーん、あん。」
とそれから連続的に悶えの美声を商次が二回目に果てるまで、あげつづけた。眼までレズニスルに似ていた。
(本当は、おれはレズニスルを抱きたいから、この女まで彼女にみえるんだろうか。)彼はそう思いながら腰の辺りが、こらえきれなくなって、大量に発射していくのを感じていた。

 待っても待っても夫は帰ってこない。レズニスルは外に出てみようと思い、旅館の部屋を出た。廊下を歩くと、ばったりと突然先ほどの舞妓と出会ってしまった。佳つ百合は、おしろいを落としていたがレズニスルには彼女だとすぐに分かったので、
「佳つ百合さんですね。」
と彼女に声をかけると、着物を着た細い肩の彼女は嬉しそうに、
「ええ、そうどす。今日は、ここのお呼びが多いから、ここに泊まってますの。」
おしろいを落とした彼女は、矢張り白い肌で眉毛は細くて眼はパッチリとしていて、胸のふくらみは着物だから特に見えない。脱げば、わかるだろうけど。背は百五十六ぐらいで、レズニスルより小さい。レズニスルは百六十八センチは、ある。
「そうだったんですか。わたし、夫が今、いないから探しに行こうとしてたの。よかったら、部屋に来ない。わたし、フランスから来たばかりで不安なのよ。」
佳つ百合は可愛そうに、という顔をするとスススススと流れ滑るようにレズニスルに近づいて、
「よろしおすえ。」
「?」
よろし、オスえ、なのか、よろし、お酢え、なのか。そこで、
「お酢は、あまり好きじゃないのね。ノン、ノン。」
と言ってみると佳つ百合は、ぽかんとして、
「お酢なんて言ってませんよ。あなたの部屋に行っても、いいわ、と言ったんですけど。」
レズニスルは喜悦満面になると、
「アロール、行くわよ。佳つ百合サン。」
「ウイ、マドモワゼル、いや、マダーム。やってんかな、わからしませんけど。」
フランス人と日本人のハーフ、レズニスルについて佳つ百合は、しずしずと歩くのだった。

夫が帰ってこない部屋に男を連れ込むならともかくも、女の舞妓なら構うものかとレズニスルは思っていた。が、しかし女らしい佳つ百合は夫の代役にはならない。障子の外から女中の声が関西のイントネーションで、
「こんばんは。」
と聞こえた。
「ハーイ。ドウゾ。」
とレズニスルは気軽に応答すると、ガラリと障子が開いて着物を着た若い女中が現れると、
「お布団敷きます、ごめんやっしゃ。」
と断って押入れの中からフカフカそうな布団を二組、手際よく敷くと、
「高級な羽毛布団ですよって、気持ちええですよ。」
にっこりと白すぎる歯を見せて笑い、
「ほな、失礼します。」
部屋の中にいる佳つ百合をチラと眺めて、若女中は部屋を出る時に、
「もう朝まで来ませんさかい、部屋の鍵、閉めてください。」
と注意した。レズニスルは、
「ジュ、コンプラン(わかりました)。」
と答えて、女中が出てからドアに鍵を掛けた。

部屋に戻ってきたレズニスルに佳つ百合は、
「旦那さん、この中にいらはるんですか?」
と真顔で聞くと、いらはる、ってなんなのかわからないけど、ああ、夫ね、
「夫は出て帰ってこないの。遅すぎるし、どうなったのか分からないけど、でも、これからの時間は鍵をかけないと不用心でしょ。彼が帰ってくれば、わかるわよ。」
「そうどすなあ。それなら、心配あらしませんね。」
レズニスルには、佳つ百合のその言葉もよくわからなかったが、佳つ百合の膨らんだ胸を分かるのに言語は不要だった。レズニスルは立っている佳つ百合に近づくと抱きしめた。佳つ百合は驚いて、
「あっ、なにされますのん。」
と声を出したが、その言葉もレズニスルには分からないし、無視して構わないものだから、慌てる佳つ百合の赤い唇に自分の薄型の唇を重ねた。それで佳つ百合は眼を閉じた。佳つ百合の薄緑の上着はレズニスルの白い上着と密着した。
レズニスルは舌を佳つ百合の唇の中に差し入れながら、佳つ百合の長い髪を右手でもてあそぶ。髪から、乳房、オマンコへとレズニスルの右手は動いた。マンコをいじられると佳つ百合は眉根を寄せた。レズニスルは右手で佳つ百合の膝の裏あたりを抱き上げ、左手で佳つ百合の肩を抱いて寝室の羽毛布団に持ち込んだ。ゆっくりと佳つ百合をフワフワとした感触の布団に寝かせると、彼女の服を脱がせていった。佳つ百合は抵抗せずに眼を閉じている。やがて、中背の彼女の白い裸体がレズニスルの眼に映った。
レズニスルは浴衣の下は何も着ていなかったので、浴衣を脱げば、すぐに全裸だ。全裸のレズニスルは全裸の若い舞妓の佳つ百合を羽毛布団の上で、上からかぶさるようにして抱いた。
レズニスルは自分の多い陰毛が、佳つ百合の少な目の陰毛にピタリとくっつけると、豊かなスイカのような尻を動かしてお互いの陰毛を擦り合わせる。そのうち互いのクリトリスもくっついて、擦られるので佳つ百合は口を開けて、
「ああはっ、こんなの初めてどすー。」
と頭を長い髪の毛と共に左右に振って乱れる。レズニスルは動きを止めて、
「これは、秘儀、クリトリス合わせ、よ。」
と佳つ百合の紅くなった耳元に囁いた。肥大したレズニスルのクリトリスが佳つ百合の小さなクリトリスを刺激すると、佳つ百合は快感に眼を細めて、
「うち、時々、男の人のちんちんが自分のここに当たったりすると、ええ気持ちやねけど、口に出してよう言うことできへんから、いつもオソソにすぐ入れられてしまうのどす。そやけど、こんなにも長くクリちゃんを擦られるんは初めてや。うち、天国にいきそうな気分ですねん、今。」
レズニスルは佳つ百合の言葉はよく分からなかったが、
「ケスク「オソソ」?」
と聞くと、え、という顔を佳つ百合はしたので、
「あ、フランス語で言ってしまった。オソソって、どういう意味、って聞いたのよ。」
「いややわ。おまんこの事どす。」
「ウイ、そうも思ったけど。」
「フランスの女の人の毛って、滑らかですね。」
「そーお?カタツムリを食べるからかしら。」
平然と話せるのも佳つ百合には、それが最後だった。巧みなレズニスルのクリトリス攻撃に彼女は、身を反らせると、
「ああっ、いくう、いくのえー。」
と叫ぶと、がっくりと頭をうなだれた。両脚は大きく開いていた。レズニスルもそれに誘われるように絶頂感を覚えていた。

商次はホテルの部屋の時計の針が十二時に近づくのを見ると、射精後に休んでいたがベッドの上に起きて、
「もう、終わりだね。今日は、よかった。」
と女に言うと、
「そうね、わたし、父親はいないのよ、ていうかね、私生児なの。その代わり、戸籍はないけど本当の父が大金を仕送りしてるから、生活は楽なのよ。贅沢し放題。」
と女は告白する。げっ、と思った商次は、
「じゃあ、なぜ、こんな事、してるんだい。」
「それは、父への復讐かもね。母は祇園の舞妓だったの。そんなに目立たなかったけど、それが却って父の気を引いたのかもね。父はフランスに行ってしまって、それから東京に帰って結婚したらしいの。事業も東京で始めて大成功したらしくて、母は毎月莫大な送金をしてもらっているわ。愛情の代りに、お金で埋めようとしているみたい。あなたも、そうなりそうなタイプね。」
商次は眼鏡を鼻の上に押し上げると、
「おれは、そうはなりたくないな。おれもフランスに行ったけど、事業は福岡市に帰ってするし、今のところ、君みたいな女性もいないけどね。」
「そうだと、いいけど。わたし、本名は真利亜っていうの。利と言う字は、利益の利で、父がその利益を真にもたらす娘という気持ちを込めて、つけたそうよ。」
商次は時計の針が十二時を回ったのに気づいたから、
「もう、十二時過ぎたよ。帰らなくっちゃ。」
「あら、あなたシンデレラなの?こんな雑談で、追加料金は取らないわよ。」
商次はモソモソと体を動かすと、
「そうかあ。いい子だね、君。」
と誉めそやすと、真利亜は照れ臭そうに笑って、
「わたしさ、学校の成績は高校の時は一番だったから大学に行くように勧められてたけどね。父から莫大な金が送られてきて、母はそれをわたしに多く渡すし、学問なんて馬鹿らしくなったのよ。それで、そのお金で高校三年生の時は遊びまわってた。煙草も吸ったし、葉巻もね。酒はワインの高い奴まで、ロマネ・コンティも。」
「ロマネ・コンティは750mlで三百六十万円するのもあるな。実は、おれがフランスに行ったのもワインを取り扱うためだった。750mlでベンツが買える値段だからなあ。ベンツは何キロか知らないけど、結構重いはずだ。」
「お金の値段のつき方って、不思議ね。ベンツ買った方が、よさそうだけどな。」
「それがなー、今の日本じゃ駐車場借りてまでベンツというのも、何だろう。」
「そうね、それは確かにそうだわ。でもベンツかどうかは、わからないけど3ナンバーで牛丼屋の駐車場に停めてあるのを見たわあ。恥ずかしくないのかしら、安物の牛丼なんか食べて。」
知らない方のために、車のナンバープレートで3から始まるものは、外国産の車なのです。
「まあ、カップラーメンで車には拘りを持っている奴もいるしね。一点豪華主義なんて言葉が、あるだろう。せめて車だけでも、という奴もいるよ。それにさ、外車で街を流せば引っかかる女もいる。それで、そういう馬鹿な女と牛丼屋へゴーだ。最近、男と牛丼屋に来ている若い女も増えてるけど、外車でナンパされたのか、男に財布の中身がないのかのどちらかだろう。」
時刻は深夜、十二時半を回った。真利亜は部屋の赤い色の時計を見やると、
「遅くまで、いいの?奥さんが、いるんじゃないの?もう、帰らないと疑われるわ。」
とレズニスルによく似た眼で話す。
「そうだーっ。そう、おれ新婚なんだよ。早く帰らないとな。」
「なんで、外をうろうろしていたの?」
商次は気恥ずかしそうに、
「コンドームを探してたんだ。」
「コンドームなら、ここにたくさんあるわ。」
真利亜はベッドの頭の台のところから、ブランドものらしいバッグを引き寄せると気軽に何本かの縦長のコンドームを取って、商次に渡した。彼女はニッコリと笑うと、
「これは、サービスよ。」
と艶かしく言う。商次は、それを受け取ると、
「ありがとう。買わなくて、すんだよ。フランスのワインは好きなのかな。」
「ええ、そうね。好きなのかもね。」
商次は服を着ると、上着の胸ポケットから名刺を出して真利亜に渡した。
「もし、よかったら、福岡市に来た時に立ち寄ってみてよ。おれは、その店にはいないけど、高級ワインはたくさん揃えている。」
「ビジネスがお上手ね。いいわ。もらったお金で買いに行くかも。」
真利亜は裸のまま、横たわっている。室内の空調は強くて彼女の恥毛は、そよそよと人口の風に揺れていた。足は閉じているけど、ヘアの下に割れたものは眼に見える。商次は、それを見ると勃起しそうになったので顔を背けて、
「じゃあね。又、いつか。今日は君は?」
「ここで寝るの。」
商次はうなずくと、オートロックのホテルの部屋を出た。

もらったコンドームは、ズボンのポケットに入れて旅館に帰り着いた商次は、すぐに妻のレズニスルの待つ部屋の前まで辿り着いた。ドアノブを回すが、締っている。当たり前だろう。
コンコン、と商次はノックした。だが、反応はない。部屋の奥の羽毛布団の中で、全裸のレズニスルと佳つ百合はピッタリと体を寄せて熟睡していた。商次が帰ってくる数分前まではレズ行為にふけっていたけれども、二人とも何回目かのエクスタシーに達すると眠り込んでしまったのだった。
廊下は薄暗くて誰も通らない。女中なども寝てしまったようだ。開けてもらえないなら、このドアの前で寝ようかとも思ったが、板敷きなので痛そうだ。
その時、廊下を歩いてくる足音がした。振り向くと、中年の髪はボサボサのむさ苦しいデブだったが、近くに来た時に商次はすがるようにして、
「部屋が開かないんですけど、どうしたらいいでしょうか。」
すると、そのデブ男は細い目で、
「もう、この近くのネットカフェでも行かんとあかんな。女中も出てけーへんし、中の人、寝てるのとちがいますか。ほな、失礼します。」
ドシドシという感じで、その男は歩き去った。ネットカフェか。それなら二十四時間開いているだろう、と商次は判断して旅館の外に再び出たのだった。

雑居ビルの二階にエレベーターで上がり、ネットカフェに入ると色々な部屋があり、選べる。横にパソコンが並んだ多人数が座るところより、個室空間がいいと商次は考えて、料金は高いがマッサージチェアのある部屋を選んだ。
扉を開けると中に若い女性が座っていた。長い髪の毛は背中の半分のところまであり、下着姿でマッサージチェアに寝そべるように、ゆったりと座っていた。商次は部屋を間違えたと思い、
「すみません。間違えました。」
と詫びた。でも、何故鍵が掛かっていないのだろう。まん丸い眼をしたその女性はウフフと笑うと、
「中に来なさいよ。」
と誘って手招きする。白いブラジャーに黄色いパンティのその姿は長身に見える。商次は思わず、ドアノブを掴み戸を閉めていた。裸体に近い彼女の姿は、ふくよかとは言えず、胸の膨らみも少なかった。それもあってか、商次は性欲を彼女には感じずにいた。さっき、真利亜という女とやりたい放題のセックスをしていたせいもあるのかな、と商次は考えたが。
よく見ると、その女の両肩は筋肉で盛り上がり、ボディビルダーのような外観だった。女は問いかける。
「わたしの体を見て、どう感じる?」
「見事ですね。筋肉はついているし。」
「やっぱりなー。誰か男の人が入ってくると思って、下着姿になって座っていたのやけど、うち、男にはもてへんわ、思う。」
「それは、わからないと思いますよ。色々な男が、いますから。」
女はパッと眼を輝かせて、
「そうや。あんた、ええ事言うなあ。そう言うたらね、そうどすわ。わたしの長い髪、」
女は立ち上がると、髪の毛の中に手を突っ込んでスポンと引き抜いた。商次は、(あ、かつら)と心の中で声を上げた。女の頭は角刈りだった。その頭を撫でながら、女は、
「うちな、建設現場で働いてますの。そっちの人手不足とか、あるからね。長い髪では、やっていけん仕事やからね。これ、あんたかぶりーな。」
女は鬘を商次に渡す。何かわからないけど、彼は頭にそれをかぶった。角刈り女は、それを見て、
「あんた、似合うわ。眼鏡も外して。」
商次は黒縁眼鏡を外して、デスクの上に置く。
霞眼の彼の眼は弱弱しそうで、長い髪の毛とマッチした。角刈りは自分の股間に手をやると、
「あ、立ってもうた。」
と声を出した。商次が、そこを見ると何と角刈りの股間は大きく発展していた。商次は呆れたように、
「つまり、あんた、男ってわけなのね、いや、わけなんだな。」
「せや。胸もパッド入れてたのや。」
角刈りはブラジャーの中から半分に切った、ゆで卵のようなものを取り出して机の上に置く。その角刈りの胸は筋肉で少し盛り上がっては、いた。
危険を感じた商次はドアノブを握りに行こうとすると、ドシッとその角刈りに手を掴まれて逆に捻られた。
「あいたたた・・別の部屋に行きたいんだ。放してくれ。」
「行かせるものか。久し振りや、男の体を味わえるんわ。なんかあんた、なよなよしてて、うちの宝刀を味わうとええわ。」
角刈りはパンティを下に下げた。股間からは立派なものが、背伸びするように天を向いていた。でも、それを見るのに商次は頭を下に下げて逆立ちをして見るような位置からでないと見えない。背中を曲げて商次はそれを見ると、
「立派だけど、おれは要らないよ。」
と抵抗するが、
「あんた、この土地の人間とは、ちゃうなー。旅のついでに経験していっておくれやす。」
角刈りは商次のズボンのベルトを外して、脱がせるとパンツも降ろす。足を少し開いて立っている商次の股間の穴は、角刈りの大きな勃起物に侵入された。商次は、
「くくっ、痛いなー。」
と声を出すと、
「最初は誰でも、そんなもんや。そのうち、よくなってくるからな。どうせ、夜を明かしに来たんやろ。うちも、そうどす。」
角刈りに荒々しく尻の穴を襲われた商次は、鬘をつけたまま朝まで女になっていなければならなかったのであった。

そんな新婚旅行だったが、その一泊だけで彼らは福岡に帰る事にした。商次はホモ経験は、あれだけでいいと思ったからだ。
初夜は、彼らは交合していなかったので、レズニスルは商次のマンションの部屋での二日目の夜に期待したが、仕事から帰ってきた商次に、
「あなた、ごはんは外で済ましたのですね。」
「ああ、仕事のつきあいでね。すまないね、君の手料理を食べたいな。」
「明日は、食べられるのではないの?」
「いや、ここ一週間くらいは外で済ませないといけないよ。」
「そうなの。」
レズニスルは、がっかりした溜息をつく。自分の手製の料理を食べて夫を勃起させるのだ、と張り切っていたから。

でも、夫が元気ならそれでいい。ふかふかのダブルベッドで全裸になった二人だったが、商次はレズニスルにキスをすると、
「やはり、だめだな。どうも立たない。しばらく、様子を見よう。」
と提案した。レズニスルは急いで夫のフニャフニャのチンコを手で持つと口に含んだが、何の変化も起こらなかった。彼女は、
「ああ、どうしてなの。」
と呟くと寝室の天井を見上げるのだった。

商次はその頃、女子社員の愛野珠代とラブホテル通いを続けていた。高級なレストランで豪華なディナーを食べると、二人は自動車で、もちろんドイツの車でラブホテルを回っていたのだった。

だから珠代は社長室でレズニスル夫人が、同僚の相賀好代とレズ行為に浸っているのを見て、
(奥さんがレズなら社長も、わたしと関係を持つのは仕方ない事なのね。)
と丸三商次に同情した。

レズニスル夫人は、新入社員の面接もしている。今日は、本店で入社希望の二十二歳の女子大生を相手にしているが、彼女が採用も当然決める。夫の丸三商次は、もはや不動産事業からは手を引いていた。面接に来たのは百五十六センチの胸の小さな、腰もそれほどない髪は短めの女子だ。髪には軽くパーマをかけている。
レズニスルは他に誰もいないその部屋で、
「当社は不動産の案内などは大抵、女子社員が行います。相手は男性の場合も多いですが、それでも大丈夫ですか。」
と決意の程を確かめるのだ。その入社希望の女子は両膝に両手を揃えて置いたまま、
「はい。わたしは、男性に興味はないので大丈夫だと思います。」
と答えた。レズニスルは、ほう、という眼つきになり、
「それでは、あなたは女性の方に興味があるということですか。」
「ええ。恥ずかしいかどうか、わからないのですが、男子と付き合った事もなければ、好きになった事もありません。こちらに入社させていただくからには、結婚までの腰掛ではなく、一生を捧げる位の決意を持っていますので、どうか、やらせてください。」
と淀みなく述べた。レズニスルは収穫があったと思い、
「丈野実世理(たけの・みぜり)さん、ふーん、学生時代は新体操をされていたのですか。」
「ええ、全国大学選手権で二位になったのが四年の時ですけど、スポーツの世界って一位とか優勝者とか金メダルじゃないと、注目されません。一位との僅差でもです。」
実世理は、その大会での実技中に前日の夜、後輩部員と徹夜でレズに耽っていたために今ひとつ、調子が出なかった。レズニスル夫人は、フム、フムとうなずくと、
「そうね。うちはチームプレイも必要だけど、最後は契約は一人でやってもらいますし、直営店も数店舗ありますから、あちこちに行ってもらいますが、それは大丈夫ですね、、、、、、、。」
「ええ、わたし、福岡市の生まれ育ちですから地理は、すぐに呑みこめるはずです。」
「セ、ボン。あ、ごめんなさい。わたしね、フランスで生まれ育ったから、つい。」
「まあ、素敵です。フランス語も知りたいです。」
ふふふ、よしよし、とレズニスルは思った。ベッドでタップリと教えてあげるわよ。
「そう、ですか。ウイ、よろしいわよ。教えてあげましょう、そのうちにね。でも、まずは仕事を覚えなければね、いけないの。あ、それなら実世理さんは体も柔らかいんですか、もちろんよね。」
「はい、柔らかいと思います。足も百八十度、開きますから。」
「まっ、それは見たいわね。やってくれますか、そこで。」
「はい、丈野、やります!」
彼女は立ち上がると、短めのスカートの下の左足を高く上げた。その足が天井を向いて、右足と左足は一直線になった。白いパンティも丸見えだが、女社長なので恥ずかしくもないようだ。マンスジは、くっきりと出ている。彼女は左足を左手で抱いて、その姿勢を続けている。二十秒は続けて大開脚パンティマンスジ見えの状態だったが、レズニスルは、
「よかったわよ。もう、おろしなさい。」
丈野実世理は、その姿勢で微笑むと左足を下ろした。着席して、
「どうでした?今のポーズ。」
あの姿勢のまま、丈野のおまんこを舐めてやりたいとレズニスルは思ったが、
「すごかったわね。わたしなんか、あまり体が柔らかくないものだから、感心して見ていましたよ。」

奥様もレズ

 見沢栄美奈(みさわ・えみな)は、焦っていた。三十になって、子供もいないのに夫はアメリカに単身赴任したからだ。
2DKの五階建てのマンションには、色々な奥様がいるが、栄美奈と親しい同年齢の夫人はマンションの廊下で、
「見沢さん、ご主人はアメリカに行かれたんですってね。」
と話しかけてきた。見るからに豊満なその婦人は、162センチで90センチの胸と尻。目はパッチリとした、それでも人妻とすぐ分かる顔。
「ええ、三ヶ月になりますのよ、おほほ。」
と栄美奈は上品ぶって答える。栄美奈も159センチ、88センチの胸と92センチのヒップを持っている。
栄美奈の髪は肩まで伸びている。
「三ヶ月ねー、うちは出張でも二日くらいかしら。三日もいないと、大変に思いますの。わたし、三十一だけど、栄美奈さんは三十歳でしたわよね。」
「え、ええ。そうですけど。何か?」
「ふっふっふ。大きな声では言えないけど、やっぱり、夜の生活があるわよね。」
「は、はあ。」
その夫人の名は、島北桃代(しまきた・ももよ)という。
「それで三月もなしでは、辛くないの?」
と明け透けに桃代は聞いてくる。
「それはもう、我慢すれば・・・。」
「それは二十世紀の日本人女性の生き方よ。それに不倫という言葉も該当しない遊びもあるんだから。」
と桃代は話すと、巨乳を揺すって笑顔になる。
「遊び・・・ですか。」
と栄美奈は興味深く尋ねた。
マンションの廊下は広いとはいえ、いつ人が通るか、わからない。桃代は、
「こんなとこじゃ、話せないからウチに上がってよ。それから、話すわ。」
と数歩歩いて自室の玄関前にスーパーのビニール袋を持って、立つ。栄美奈は同じく歩くと、
「それでは、お邪魔します。」
と同意したのだった。

 桃代は六畳の居間の方に栄美奈を通してくれた。
こげ茶色のソファに茶色いテーブル。部屋の壁際にあるのは大きなディスプレイ。横幅が六十センチはある。栄美奈は、それを見て、
「大型テレビですか。」
「パソコンのディスプレイよ。うちは、テレビないの。主人はインターネット関係の会社に勤めているから。」
「あ、うちもないですわ。集金に勝手に来るのを完全に追い返すためにも。」
「テレビにもしまだ拘る人がいたら、パソコンのディスプレイが小さいのが問題よ。インターネットをしてない人ならテレビ見ないと、しょうがないけど。」
栄美奈の大きな目は、そのディスプレイをボンヤリと見ていた。
桃代はDVDをパソコンに入れた。パソコンの大きなディスプレイにDVDが再生され始めた。

レズ一直線
HHC制作
と二人の眼にタイトルが映った。
 女子高に通う主人公、秋庭柔子(あきにわ・やわらこ)は、もう十八歳となった。乳房も膨らんだが、女子高の柔道部は女子だけだ。
日本一、いや、世界一の女子柔道家を目指す彼女は、高校の部活動だけでは物足りない。
福岡市中央区に古くからある道場、柔心館に部活動が終わった後、稽古に通う。
そこは男子がほとんどの荒いところ。館長の車沢矢八は講道館柔道八段にして、追放の身となっている。
それというのも、彼が考案した新しい柔道の技は講道館では認めなかったのだが、五十歳にもなって、東京の新橋の居酒屋の前で五人の若い反社会的な組織のいかつい兄ちゃん達に逆に自分でぶつかって、因縁をつけた。
「おい、どこ見て歩いとるんだ?」
「なにおー、おっさん。あんたが、ぶつかったんだろ。謝れよ。」
「うるさいっ。若造。」
「なんだと、じじい。」
黒のサングラスをかけた体格のいい男が、車沢矢八の胸倉をつかんで、持ち上げた。その瞬間、若者は、
「いたーっ。」
と悲鳴を上げて投げ飛ばされていた。残りの四人は、いっせいに車沢矢八に殴りかかっていったが、全員、空中を舞い、地面に叩きつけられた。
五人とも、股間に手を当てて、気絶している。車沢は、
「見たか。秘儀、ちんこ落としだ。」
と声を掛けると、その場を悠然と立ち去った。

五人のチンコは半分、引き裂かれていたという。五人とも外科手術で陰茎を縫い合わせたらしい。車沢矢八の「ちんこ落とし」とは、相手の陰茎を握り、体勢を崩して投げる投げ技だ。
講道館始まって以来、いや、柔術の時代にもなかった投げ技なのだが、当然のように認められなかった。それで、車沢矢八は自分の技を使うために、新橋で兄ちゃん達に因縁をつけて投げ飛ばしたのだ。
その破壊力はすさまじく、反社会的な組織の兄ちゃんたちが警察に訴えたが取り合ってもらえずに、柔道の投げ技だったと講道館に出向くと、車沢矢八の「ちんこ落とし」と分かったために、車沢を破門にしたのであった。
その時、車沢矢八は故郷の福岡市に飛行機で帰るという早業を見せていた。

秋庭柔子は皆帰った夜の九時ごろの道場で、師匠の車沢に、
「秋庭は十八になったのう。ちんこ落とし、でも教えてやろうか。」
と言われた。柔子は顔を赤らめて、
「ちんこ、落としですか。はい、習いたいです。」
「よし、教えてやる。見栄理、来なさい。」
大声で隣の部屋に声をかけた車沢は、娘の見栄理、二十歳が柔道着を来て股間に何かを身につけて入って来たので、
「さ、見栄理、秋庭に「ちんこ落とし」の練習をさせてやれ。」
と言いつける。見栄理は身長百八十センチの大女で、柔子は百五十五センチだ。
「はい、お父様。柔子、わたしの股間にあるものをチンコだと思ってね。」
見栄理の股間に装着されていたのは、大きなバイブレーターだったのだ。
父の矢八は、
「こうするのだ。そーれ。」
娘の股間のバイブレーターを右手で握ると、下に引きつつ、左手は娘の右手を握って自分の体を反転させる。
ポーン、という感じで見栄理の体は空中に飛び、畳の上に落下した。
矢八は柔子に、
「わかったかな?ここを握られて抵抗する男は、おらん。よって、最強の技なのだが、講道館は認めてくれなかった。おれは福岡で、これを広める。娘には、もう伝授してあるから。次は柔子だよ。暴漢撃退にも役立つしな。」
四角い顔に鼻の下に髭を生やした車沢矢八は、炯炯と光る眼球に笑みを見せる。
柔子は素直に、
「少し、わかりました。とにかく、やってみます。」
と返答すると、立ち上がって自分の前に来た見栄理の股間のバイブレーターを握って、師の真似をして投げると、見栄理の体はヨロヨロと倒れた。矢八は、
「よし。初めにしては上出来だ。よく練習しなさい。」
と柔子を激励する。
見栄理は父の方を向くと、
「でも、お父様。この技は男性にしか、使えませんね。女性には、わたし、まんこ落としがいいのではと思います。」
「ほっほう。まんこ落としか。それは、いい。これからは女性の社会進出とかで、入用になるかもなあ。でさ、見栄理、それはもう技として、できとるのか?」
「はい、お父様。柔子にかけますわ。」
と言うが早く、見栄理の右手は柔子の股間に伸び、彼女の柔道着の上からマンコを掴んだ、と思ったらチンコ落としと同じ体の動きで柔子は投げ飛ばされていた。

 なかなか起き上がれない柔子に見栄理は近づいて、
「マンコ、大丈夫?柔子。」
と呼びかける。柔子はマンコを両手で押さえて、
「少し、痛いです。抵抗していたら、もっと痛くなっていたと思います。」
見栄理は少し安心して、
「その位ならね、大丈夫よ。それにマンコって、もともと裂けているわけだから、割れ目が伸びても問題ないし。男の人のチンコみたいに、ちぎれたら大変なわけでもないからね。
お父様、わたし、この技を中洲で若いチンピラ女に使ってしまったんだけど、よかったのかな?」
「いいだろう。で、どんなだったのかね、それは。」
大女の見栄理は中洲の飲み屋街を夜、歩いて茶髪でサングラスをかけた中年の巨体の女にわざと肩を当てた。
グダッ、と音が出るほどのぶつかり方だ。
茶髪中年女は、
「痛い。何するんだ、謝れ。」
と見栄理にどなりつけて、近づいてきた。見栄理は立ち止まって平然と、
「あんたの肩が、よけないからよ。」
と、うそぶく。
茶髪女はポケットから剃刀を取り出すと、
「顔で覚えろよ、ガキ。」
と見栄理の顔に斬りつけてきた。見栄理は身を沈めると、茶髪大女の股間に右手を伸ばし、スカートの上からブクブクのマンコを掴み、左手は茶髪の右手を掴んでいた。
見栄理が体を反転させると、茶髪大女は空を舞い、コンクリートの地面に叩きつけられて気絶した。
スカートは捲れて、股間を押さえたまま失神しているのであった。

という話を娘から聞くと車沢矢八は、
「でかしたぞ、わが娘よ。その技、まんこ落としを道場の男性に伝えなさい。」
「はい、お父上。」
と武家の娘のように見栄理はバイブレーターを装着したまま、頼もしく答えるのだった。

ここまでは劇みたいだが、AVなだけに次は秋庭柔子が柔道着を着てスタジオのマットの上で、全裸のAV女優十人を、まんこ落としで投げ飛ばしているシーンになった。

次々にマットの上に投げられてAV女優は股間に両手を当てて、
「ああん、痛い。まんこ、伸びそう。」
とか、
「オマンコ、切れそう。」
とか悲鳴を上げている。

島北桃代は見沢栄美奈に、
「すごいでしょ、まんこ落とし。」
と画面を見ながら話しかける。
「すごいですね。秋庭柔子さんって、オリンピックには出ないのかしら。」
「車沢さんの道場はJOCに認められてないんですって。それと全世界柔道選手権とか全日本とかにも出れないそうね。」
「それじゃあ、本当に日本の秘密兵器ですね。」
と残念そうに栄美奈は嘆く。
「でもね、本当に福岡市にあの道場、柔心館はあるのよ。渡辺通りらしいけど。だから、見に行ったりできるわ。」
と桃代は言う。
「ほんとですか。まんこ落としや、ちんこ落としも習えるわけですね。」
「それは、かなり年月を経ってないと駄目らしいわ。」
「やっぱり、ですね。ひまな主婦ですけど、今から柔道を習うのは無理ですね。」
「そうね、柔道は無理でもレズなら、いいかもよ。」
と桃代は悪戯っぽく話す。
「え、レズ?でも、相手が・・・。」
と戸惑う栄美奈に桃代は、
「わたしが、いるでしょ。目の前に。」
と声を掛けると、桃代は栄美奈の肩を抱いて唇を素早く重ねた。ねっとりとしたキスだが、男の唇とは違って柔らかく、栄美奈にも今まで未経験な感覚だった。
唇を重ねつつ、桃代は栄美奈の豊かな乳房を上着の上から優しく揉んだ。
その指先は細く柔らかで、男の指とは違った。栄美奈は夫の指しか知らなかったので、自分の乳房が女性の指を知る事になるとは思っていなかったのだ。
夫の指が自分の胸を揉んだのは、もう大分前の事だろう。
三ヶ月前に赴任したとはいえ、夫婦間の性交渉は途切れがちになっていた。栄美奈の夫は仕事に忙しく、他の女性と浮気などはしていなかったのだが、それでも彼女の性的不満が収まるわけではなかった。
それにしても桃代の指使いは、マッサージ師のように心地よい。
二人の前のディスプレイは黒の画面に戻っていた。
夫は浮気をした事がない。でも、その力は仕事に取られていくのだった。そういった場合、他の男に走るという事が彼女にはできなかったのだ。
では、桃代は、どうだろう?彼女の夫は浮気などしないのだろうか?
桃代が唇を離した時、栄美奈は乳房を揉まれながら聞いてみる。
「島北さんのご主人は、お仕事の方はどうですか?」
桃代は不思議な微笑を浮かべると、
「ああ、仕事ね。実は主人の仕事、おかまバーの経営なの。」
と口にしたのだ。
「おかまバー、ですか。」
桃代の手は休まずにせっせと栄美奈の乳房を揉みながら、
「そうよ。中洲にあるけど。それでね、主人、性転換手術をしたのよ。だから・・・女との浮気なんてありえないけど、男とはやってるかもね。その辺は聞いたことはないけどさ。だからもう、形だけの夫婦。夫は外で稼いでくるけど、実際はオカマバーの経営者だからね。」
「最近、はやっているみたいですね。草食系とか世間で言いますし。」
「そうよ。おかま予備軍には困らないの。加えて就職難でしょ。うちの主人は求人広告をした事がないのよ。口コミで来るし。大学出の新卒がね。会社で働くより未来があると思うな。四十でリストラなんて行き場はないでしょ。お釜バーで働いて、将来は独立って手もあるから。大学出の新人は希望に燃えた目で働いているらしいわよ。」
そう言いながらも、いつの間にか桃代の指は栄美奈のスカートの股間に降りていた。栄美奈は乳房よりも膣周辺の方が感じるのだ。
十八になった時は女子高だったので、同級生ですでに十八のクラスメイトと学校のトイレでセーラー服のまま抱き合った。その時、股間が触れ合ったのが気持ちよくて今も忘れられないのだ。
栄美奈は女子高までが自宅から歩いて五分の距離だったので、通学中に男子校の生徒を見る事もなかった。
便所で抱き合った同級生は栗崎合歓子(くりさき・ねむこ)という、髪を三つ編みにして両肩に垂らした美少女だった。彼女も女子高の近くに住んでいた。福岡市は女子高が意外と多い。
栗崎合歓子は絶世の美少女だった。が、両親が厳しくて門限は夕方六時。彼女は五時過ぎて家の外にいる事はなかった。
合歓子の肌は白磁のように白くて、すべすべしていた。栄美奈は自分の肌も白いけど、彼女の白さほどでないと思っていたし、思い切ってトイレで彼女を抱きしめた時も合歓子は抵抗しなかった。
その合歓子のスカートと自分のスカートが強く合わさって、ショーツが触れあい、陰毛がくっつきあうのを感じた。それが気持ちよくて、栄美奈はさらに合歓子を強く抱き、マンコの一番上の方の割れ目が重なるのを感じた。頬をくっつけあっていたが、合歓子の白い頬は赤く火照り、その熱が栄美奈の頬に伝わってくる。合歓子と栄美奈の身長は全く同じだったので、栄美奈は顔を一旦離すと合歓子の黒い透明な瞳を見つめた。すると合歓子の黒い部分が大きな瞳は長い睫毛で閉じられたので、合歓子のピンクよりも赤い唇に栄美奈は自分の唇を舌で舐めてから重ねていく。
二人の唇が重なった時、瞬間接着剤でくっつけたように強く結ばれるのを感じたのだ。
驚いた事に合歓子は自分の舌を栄美奈の唇の間から入れてきた。自分より美少女の合歓子の舌は柔らかく自分の舌に絡みつくと、栄美奈は股間の割れ目がジワリと濡れるのを感じた。
その時、トイレに他の女子生徒が入って来たのを感じて二人は口と体を慌てて離した。
入って来たのは同じ学年の普通の容姿、平木乃真子だ。彼女は二人に気づくと、
「栗崎さんと見沢さん、おあつそうね。なんかレズしてたんじゃないの?」
と発言する。栄美奈は、
「違うわよ。ちょっと熱はあるけれども。」
と誤魔化す。合歓子は口の両端を少し上げて、
「あったりー。平木さんもレズしない?」
と誘いかけたのだ。
平木乃真子は、そうハッキリ言われると照れ臭そうに、
「わたしは男に興味あるんだ。」
と否定してみせた。乃真子は女子トイレのドアノブを握ると開けて中に入った。
合歓子と栄美奈は便所を出て行かず、平木が入ったドアの近くに立っていた。合歓子はスカートのポケットに右手を入れて、ヒューッと口笛を鳴らした。
じょろじょろじょろ、と平木乃真子が小便をする音が聞こえてくる。
合歓子は悪戯っぽく声を出さずに笑うと、栄美奈も何だろうという気になった。やがてドアを開けて出てきた平木は二人を見て、
「なんだ、まだいたの。レズには興味ないんだけど。」
と発言して、手洗い場に歩くと、手をかざすと水が出てくる自動の蛇口で平木は手を洗う。福岡の女子高というのは私立なので、なかにはこんな先端のトイレにしてしまっている学校もある。とはいえ、おそらく、ここの水百合女子学園くらいかと思われるのだが。
栗崎合歓子はスカートのポケットに入れた手を高々とあげた。そこにはスマートフォンが握られていたのだ。合歓子は勝ち誇るように、
「平木さんの小水の音、よく録れていると思う。聞いてみようか、平木さん。」
合歓子は左手のスマートフォンを胸の辺りに下ろし、
右手で再生ボタンを押した。
じょろじょろじょろ、という平木乃真子の放尿の音が鮮やかに録音されていた。
唖然として平木は栗崎合歓子につかみかかるが、合歓子はそんな平木の顔を又、スマートフォンで撮影していた。平木の右手が合歓子の右手を押さえた、と栄美奈が見た時には平木の右手は合歓子に左手で捻り上げられていた。
「痛いな、放してっ。」
頭を下に向けてしまった平木は、痛そうな顔をしている。合歓子は、
「わたしね、合気道を習っているの。だから、わたしの手を取ろうなんて、今度から思わないでね。それで、どうするの?わたしたちと3Pレズする?それとも、この録音とあなたの顔写真をインターネットで公開した方が、いいかしら?」
と楽しそうに平木を説き伏せる。平木は、
「いいわよ、3Pレズして。わたしだって、彼氏がいるけど女同士のつきあいなら、許してくれるわ。」
合歓子は平木の右手を離した。
栄美奈は平木に、
「わたしたちみたいな女子高で彼氏がいるなんて、珍しいわね。」
と感想を話すと、
「福岡西都高校の生徒だけど、コンビ二でアルバイトしてるんだから。」
と自慢気だ。合歓子は、
「で、その人ともう何かしたの?手を握るとかキスするとか。」
と、おもむろに聞いた。
「いえ、プラトニックだわ。でも、彼もわたしの顔と声くらい覚えている。コンビ二に行くからね。」
合歓子は微笑んで、
「いい関係ね。彼を知るより先に、わたしたちを知るのよ。今日は平日だから、ラブホテルも人が少ないわ。放課後、いこう。あんたは、お金払わなくていいよ。ホテル代は、わたしが持つから。」
と話す。平木は、
「栗崎さんの家、お金持ちなのね。」
と感心した。
「ふふ、大した事ないんだけど、五百坪しかない家で、四台のドイツ車しかないし。だから父は、
『すまないな、こんな狭い家で、合歓子。父さんは、これから頑張って千坪の家にするよ。だから、お小遣いは月に五万円で我慢してくれ。』
って。」
平木と栄美奈は多少は動転した。だが、お嬢様高校ともいわれる水百合女子学園に平木も通っているのだから、ある程度の金持ちの子女ではあるのだけれども。

放課後、三人はセーラー服のまま福岡市内の無人のラブホテルに入って行った。
そこで三人は裸になり、陰毛を絡めあって抱き合った。合歓子が男役とでもいうのか、積極的に動いて同級生を人差し指と中指で犯していった。
白いベットの上で全裸の平木と栄美奈が四つん這いになり、尻を合歓子に向けている。その姿勢から見える二人の女子高生のオマンコに合歓子は左右の手の中指と人差し指を挿入していった。
「ああっ。」
と平木が声を出すと、
「あっ、いや。」
と栄美奈は声を出す。
二人の処女膜は破られたのだった。

今、島北桃代にマンコを触られながら栄美奈は、そんな昔を思い出していた。栗崎さん、どうしているのかな、と思うと桃代の右手の人差し指がマンコの中に入ってきたのを感じる。
桃代は、
「いいオマンコね。わたしの指にピッタリとくっついてくるし、わたしまで気持ちいいわ。気持ちイイといえば、シャワーを浴びれば気持ちいいかも。行きましょう。浴室はシャワーが出るしね。」
二人は浴室の前で服を脱いで全裸になり、中に入った。
栄美奈は裸で、
「まあ、広いですね。六畳もありそう。」
と語ると、
桃代は、
「そうよ。このマンション、これがウリの一つなの。分譲だから。」
半分の三畳が浴槽という贅沢な作りだった。大人三人が入っても、ゆとりがあっただろう。
桃代はシャワーヘッドを手に取ると、
「いくわよ。」
と声をかけて、お湯を噴出させた。そのジェット気流のような湯の水は、栄美奈の陰毛の下のマンコの裂け目に勢いよく、かかった。
「あぁん、感じますぅ、島北さん。」
栄美奈は乳房も感じたくて自分で両方の巨乳を、つかみしめた。
桃代は栄美奈が感じたのを見て満足すると、次にお湯を栄美奈の下腹から乳房へと向ける。栄美奈は両方の乳首にシャワーがかかり、
「気持ちぃぃ、あー、素敵です。」
と髪を左右に揺らせて声を出す。シャワーは栄美奈の首すじ、耳たぶへと移動した。
栄美奈は心地よくて、眼を閉じる。するとシャワーは止まり、栄美奈は桃代に抱きしめられていた。桃代の肌は濡れていなかったので、それも感じ方に影響した。
栄美奈はキスされて、それから桃代の唇は栄美奈の首すじから耳たぶに這っていった。かたつむりが歩いているような感触に栄美奈は快美感を感じた。
栄美奈は自分の乳首と桃代の乳首がくっつくのを覚えた。桃代の乳首は、やがて固くなる。それにつれて栄美奈の乳首も固くなり、二人の固い乳首は先端をくっつけて、快感の電流を二人の脳に送っている。
これも男とはできない性行為なのだ。男の乳首は立たないのである。
乳首だけでなく、二人の陰毛もくっつきあっていた。桃代の剛毛は栄美奈の柔らかい陰毛を刺激する。桃代は陰毛を強く擦りつけ始めると、栄美奈の淫核に少し触れた。
「ああっ、奥様の毛がわたしのクリちゃんに当たったわ。」
と思わず栄美奈は声を上げる。
「うふ、わたしのお豆も立ってきてるからね。」
桃代は自分のクリトリスを栄美奈のクリトリスに当てた。
びくん、とした感覚が栄美奈の脳内に走った。全く、今まで味わったことのない感覚だ。
女性の敏感なところを全く同じ物で刺激される。その行為は女同士で味わえる別世界の快感だ。
二人は雲の上で移動しているような快感を味わっていた。
桃代は腰を振って栄美奈と自分のクリトリスを刺激した。
栄美奈は、
「あああ、はーっん。」
と声を出し、桃代も、
「ああん、いい。」
と思わず、よがった。
同じ分譲マンションにレズの奥様がいた。それも、ここの風呂は広いし、5LDKだという。
桃代は男性的な行動力があって、今しているレズも桃代が栄美奈を愛撫する形だ。
クリトリスを当てあったまま、桃代は栄美奈の二つの乳房を男みたいに荒々しく吸った。栄美奈はクリトリスを感じつつ乳房も感じるという贅沢な快感を覚える。なかなか、男との性交では得られない快感といえよう。
桃代は自分の快感のツボを知っていて、そこを攻めてくるのだ。やはり女に大差はないために、栄美奈の体は思わず大きく股を開いていた。
それは夫にする時よりも自然な開脚だったのだ。おまんこ丸見えで、パックリと口を開いているのを見て桃代は、
「奥さんのマンコ、おいしそうだわ。こんな綺麗なマンコにハメられるご主人って、羨ましいな。」
と羨望の響きで栄美奈に自分の気持ちを伝える。栄美奈は、
「恥ずかしいです、奥さま。奥様の、おまんこも品があります。」
自分の開脚した太ももの間に膝をついている桃代の陰毛の下のまんこの切れ目を見ながら、栄美奈は感想を述べる。それを聞いた桃代は、
「主人とセックスしなくてもう、どのくらいかしら。三日もいないと大変っていうのはね、主人は料理がうまいから、なのよ。セックスレスっていう意味じゃなくてね。でさ、夫婦って世間には言えるし、区役所にも届け出ているけど、夫は性転換手術しているし、毎晩違った男に抱かれているわ。それは分かっているけど、夫の仕事でもあるから仕方ないでしょ?今の時代、仕事は多種多様化しているのだから、おかまバーだって存在できるし、高収入ではあるのよ、主人は。それは、何故かというと社会の需要を捉えているからでしょ。
それで、主人はここに帰ってきても仕事の性格を引きずっていて、女性的なのね。だから、わたしの方が男性的になってきたの。あなたとのレズでも男のように動いて、おっぱいを吸ってしまう。さあ、これからよね、あたしたちのレズ。
特製バイブが、あるのよ。」
桃代は風呂の壁面にかかっていたものを取ると、それは茶色のバイブレーターであった。一見、男の巨根と間違うほど精巧に作られていた。長さは二十センチほどだ。それは長いゴムバンドが左右に出ていて、それを桃代は自分の腰に回すと、ぱちりと、とめた。
まるで桃代の股間から生えているような男根である。栄美奈は、
「太くて長いですね。どの位、あるんですか?」
「二十センチね。長いでしょ、平均的日本人男性のペニスより長いのよ。」
「そんなに・・・。主人のは十四センチです。」
「ふふっ。あの方の顔は、知ってるわ。このマンションで一番長いのが十八センチだったかな。奥様の井戸端会議に見沢さん出てないでしょ。もっぱら、最近はその話ね。」
「ほんとなんですか。よく、そんな事が話せますね。」
「分譲マンションだからかな。開け広げな奥様が集まってしまったみたい。それでね、その十八センチのご主人の職業は中洲のホストなんだって。」
「やっぱり、ですね。女泣かせです、そんなチンチン。」
「ほほほ。年収五千万円だそうよ。このマンションでも一番いい最上階を全部買っているからね。それで、自宅も仕事部屋にしたりして。」
「そうなのですか。奥さんは、なんともないのかしら。」
「隣の部屋から見てるのですって。マジックミラーで向こうから見れないらしいし。『主人の十八センチは、わたしのものだけでなくていいんです。』と話していたわ、彼女。」
「すごいなー。やっぱり、男はペニス、なんですわね。」
「そうよ。だから主人は、男じゃないし、他に男を作る事も考えたけど、まじめに?お金はもってくるし、それに女と浮気するわけないし。でね、レズに走ったの、わたし。」
桃代は男根型バイブレーターの根元にあるボタンを押した。たちまちビーンという低音がして、そのバイブレーターは振動する。亀頭部分を栄美奈の開いたオマンコに、ぐぐっと挿入した。
「ああん、太いわーっ。」
と声を上げると、栄美奈は口を開いて舌を出した。桃代は男みたいに栄美奈に乗って、尻を激しく前後させたのだ。
「いいっ、いいーっ、ああーっ。」
と間断なく栄美奈は声を出した。桃代の肩幅は少し広いので、栄美奈は男に乗られているようにも後ろから見たら見える。
栄美奈のマンコは二十センチのゴム製のペニスに満たされて、今まで感じたことのない喜びを感じてしまっていた。女性が愛がなければセックスは、などというのは妊娠後を想定しての事に過ぎない。それは性の喜びを追求するのを否定した女性の言葉で、短小の夫に満足するしなければいけない女性の言い訳だったのかもしれない、と栄美奈は太く長いゴムのバイブレーターを体の中心、その深い奥で感じながら思うのだった。
「あ、いく、イクーっ。」
と両脚を桃代の尻にはさみつけて、栄美奈は叫ぶと脱力してしまった。絶頂を迎えてしまったのだ。
桃代はバイブを抜くと、裸のまま浴室の外に出た。栄美奈は足をM字に開いたまま、ぐったりとしている。
桃代が手に何か黄色いものを持って、再び入って来た。
その黄色い物はバナナだった。桃代はバナナの皮をむくと、
「まんこ、広がったでしょう。バナナを少し入れてみるわ。」
と語りかけ、屈むと開いた栄美奈のマンコにバナナを入れる。
「あうん。」
と栄美奈は声を上げる。桃代はバナナを五センチほど、入れて引き抜き、自分の口に持っていくとパクリと食べて、
「おいしい。あなたのマンコの愛液がついているものね。」
と感想を話した。先が少しなくなったバナナを今度は自分のおまんこに桃代は入れて、やはり五センチくらいで抜くと、栄美奈の口に持っていき、
「食べてね。おいしいよ。」
と誘う。仰向けになったまま、栄美奈はそのバナナを食べた。
「おーいしいです。奥様のおまんこの味がして、おいしいな。」
と栄美奈も感想を話したのだ。

その日はそれで、レズは終わった。栄美奈は満足して自宅に戻る。

 近所のスーパーで買い物をして、帰り、パソコンを起動させてネットサーフィンをする。それが栄美奈の日課でもあるのだが、レズで満足したかに思えた肉体も次の刺激を欲していた。
長く太いバイブレーターを堪能した後で、本物が見れないかと海外のサイトを見て回っていると、
JAPANESE BIG COCK
というのがあった。どこかで見た事のある形、・・・もしかしたら、夫のだ!ただし、顔は載ってはいない。その夫のコックは様々な女性のVAGINAに入っていたのだ。
(なんという事かしら!真面目な商社マンと思っていたのに・・・)
レズで満足しようと思っていた栄美奈だったが、アメリカで女とやりまくっている夫のチンコをインターネットで見て、憤然としたので、レズだけでない浮気をしようと思い始めた。
同じ分譲マンションの中では、浮気はまずい。なんにしても、外へ出なければいけない。
私鉄の駅は歩いて五分のところにある。その駅の近くに立ち飲みのバーがある。椅子はないので、カウンターで立ち飲みをする。立ち食いそば、にヒントを得た物だろう。
そこへ行けば浮気相手は見つかる、と同じ分譲マンションの他の奥様が噂していた。
手で押すタイプの自動扉を開けると、
「らっしゃい。」
と威勢のいい若い男の声。カウンターには五人の男性が並んでいた。二十人は並べるので、栄美奈は一番右端の男性の横に立って、メニュー表を手に取り見ると、どれも安かった。とりあえずビールを頼む。
「はいビール、お待たせ。」
ジョッキに満杯に注がれて、泡立つものを栄美奈は口に含むと、黒い服を着た背の高い隣の男性に話しかける。
「まだ夕方ですけど、お仕事は何をされているんですか?」
その人物は右横の栄美奈を横目で見ると、
「保育園で先生をしてるんですよ。それで、早くから飲めるしね。」
と柔らかい声で説明する。ビールの酔いは、早くから栄美奈には回り始めた。
「保母さん?いえ、保父さんですね。素敵だわ。」
「ははは。そうですかねー。ひまはあっても、給料は安いし、児童はいたずら好きだし、そんなにいいものでもありませんよー。」
と、しかし楽しそうに話す。
「児童の扱いがうまいと、女性の扱いもうまいんでしょ?」
と大胆にも栄美奈は切り出した。
「は、そうかもね。ぼくも男より女が好きだから、そうかもしれないね。」
「それは男の方なら、女性が好きなのは当たり前でしょう。」
「そうだろうねー。でも日本は厳しいからなー。」
「何がですか?自由恋愛?」
「そう。そうだよ、自由恋愛だねー。」
「男女の自由恋愛は、そんなに厳しくないんじゃないですか?」
「うん、そうだ。いやに意見をしてくれるじゃないか。ここは立ち飲みだから、長くはいられない。場所を変えようよ。」
その人物は紳士のように申し出た。栄美奈は酔眼で、
「そうですね。場所を変えて飲みましょうよ、ね。」
と受け入れたのだった。

なんでも揃っている井尻の駅前だ。今度は、ゆったりと座れるソファにテーブルを挟んで、二人は向かい合って座った。
グラスを手に取る紳士らしきその人物の左手の薬指に、ダイヤモンドが、きらめいているのに栄美奈は気づく。
「結婚してらっしゃるんですね。わたしも既婚者ですけど。」
とウイスキーやワインを立て続けに飲んでから、栄美奈は口を開いた。
「ああ、これだね。そうだけど、夫は女装趣味のある男性で、最近、うまくいってないんだ。」
と照れたように短い髪のその人は言う。
「ええ?夫?そしたら、あなたは女の人ですか、信じられない。」
「ふふっ、そうだよ。主人が女装するから、わたしは男装して町に出るんだ。言葉遣いも変えてね。あなたは、今まで私が男だと思ってたんだろう。男装、成功じゃないの。」
「すっごーい。まるで、男だわ。見た目は、あなた。」
「まあね、空手も習っているし。男便所に入って、大便用の個室に入って、小用を足すのも私の趣味の一つさ。」
ダンディそうにその女性は話す。
店内はそろそろ、客が増えてきたが二人の周りの席は空いていた。
「では、今日もご主人は女装とかですのね。」
と栄美奈は水を差し向けてみる。
「そお、だね。今頃は男とホテルに入っているだろうな。ぼくの名前はね、水滝瞭子っていうのさ。主人は水滝桃雄だけどね。ももおって、いい間違ったら、ほもお、だったりになりそうだけど。」
栄美奈は仰天して、
「男とホテル?アナルでしょう、やっぱり。」
「そうよ、大抵。主人の尻の穴は大きく開いているから、まったく、もう。」

 水滝桃雄は髪をポニーテールにして、福岡市の埋立地、百道浜(ももちはま)を歩いていた。彼は中背で肩幅も狭く、尻の骨盤が横に広くて、後ろから見たら女みたいだ。
目は大きい桃雄は、つけまつげを着ければ猶の事、女に見える。黄色い帽子をかぶった彼、いや彼女と言うべきか、はその場所では目立ちすぎた。
桃雄は百道浜にある会社に勤めている。五時半には終わる会社で、終業したら桃雄はトイレに行って女装するのだ。警備員もいない会社なので、誰にも見咎められなくてすむ。
潮風が軽く吹く百道浜を西の方に聳え立つ福岡タワーに向って桃雄は歩くと、右の方の車道に一台の大型トラックが停まった。

ブルジョワ気分でセックスしたいっ!

 照山秋絵は福岡県福岡市南区井尻に住む、二十八才の主婦だ。人口百五十万人を突破した福岡市は、全国で六番目に人口が多いところ。照山秋絵は福岡市の生まれ育ち、夫の照山幸次郎も同じだ。
照山秋絵の身長は158センチ、B86 W59 H89となかなかの身体であるけれど、顔は美人と言うより知的な印象を与える。
それもそのはず、秋絵は九州大学文学部国文学科を出た才媛で福岡市内の不動産会社に勤務した後、夫の幸次郎と結婚した。
夫の幸次郎は身長178センチと高く、やせ型で出身大学も秋絵と同じ九州大学で経済学部の卒業、二人は同い歳で学生時代には同棲していた。
秋絵の実家は福岡市内にあるけれども、東区にある九州大学には遠いため、大学のある箱崎という町に1LDKの広い部屋を娘に借りてやった。
大型冷蔵庫まで備え付けてやった父親の配慮は、幸次郎との生活に大いに役立った。大学四年の夏に同凄を始めた。出会いは、その年の春に大学正門を抜け出た秋絵に後ろから幸次郎が声をかけたのだ。幸次郎は秋絵の大きな尻がぷるんぷるんと左右に揺れるのを見て、胸に込み上げるものを感じた、追いすがると幸次郎は、
「ちょっと、君。いいかな?」
「えっ、なんですか。」
振り返って立ち止まった秋絵の顔は美人ではなかったけども、幸次郎の視線は秋絵の胸に移動すると、その豊かな膨らみを認めて合格点を心の中で与えた。
「この近くで、お茶でも飲もうよ。」
「いいわよ。」
幸次郎の実直そうな顔はハンサムでなかったため、秋絵は安心したのである。つまり軽いナンパではないと、値踏みした。
秋絵のような知的レベルが高い女性に限らず、ハンサムな男性は女性は敬遠する。結婚するのにいやな男性の一番目は
女癖の悪い男
だそうだ。幸次郎は、
「じゃあ、連れて行くよ。」
と秋絵を誘導した。個室喫茶みたいなその店は、周囲を気にせずに話せるのがいい。
幸次郎は目の前に座った秋絵が大きく足を開いたので、白いパンティが眼に留まったが、すぐに秋絵は足を戻した。
幸次郎の口の中に唾液が出てきた。二十一歳の女性が持つ香りみたいなものを彼は、鼻一杯吸い込んだ。すると、股間のイチモツが少し反応してしまった。でもまず、会話をしなければ・・・
「君、頭がよさそうだね。」
と口火を切ると、秋絵は平然と、
「そうかなあ。文学部だから想像力の方が優先されると思う。」
「文学部ねー。ぼくは経済学部だよ。」
「それじゃあ、違いがありすぎるかもね。」
「男女の差ほどは、ないと思うよ。」
秋絵はくちびるの左右を両方上に上げた。目じりも笑って、
「気障な表現ね。それ。」
「文学的かな、と思って、言ってみたんだけど。」
すてきな人だわ、と秋絵は思った。この歳になるも男性経験ゼロの彼女は、男に声をかけられたのは、これが初めてではない。やはり、喫茶店に連れられていって、さて話を聞いてみると英会話教材のセールスだったり、あやしげな新興宗教へのお誘いだったりした。
それというのも秋絵は二十歳までは貧乳だったし、貧尻だったのだ。ここ一年ちょっとで、大きく女としては発育したのだが、秋絵の身体を見て好色な視線を注ぐ男も、彼女の顔を見るとまともな顔に戻った。つまりは、秋絵を軽い女と見ないということで、これは正解だろう。
目の前の男は過去の男性とは違う、と秋絵は直感したので、
「文学も好きなのかしら。」
と、弱弱しく尋ねると、
「ああ。ぼく、文学部に入ろうと思ったんだ。そしたら、高校の担任の先生が反対してね。男は、経済だっていうものだから。」
「なるほど、そうね。わたし、兄がいるけど、やはり経済学部に通わせられたのよ。兄も文学好きだけど、うちは明太の会社ですから。兄は社長にならないといけないし、父が、
『文学部にどうしても入りたいのなら、学費は新聞奨学生にでもなって稼ぎなさい。』
と言うと、素直に経済学部に入ったのよ。京都大学のね。」
「京都大学になぜ?」
「うちは、もともと京都なのよ。でも京都も博多も美人の産地だから同じね。わたしは美人じゃないけど。」
「そんな事ないよ。君は綺麗だ。というとお世辞めくから、本当のところは知的美人だな。」
秋絵は、うなずいた。その日は、それから携帯電話の番号を教えあって別れた。

それから数ヶ月後のある夏の朝、秋絵は幸次郎の荒々しい、いつものセックスを堪能していた。学生同凄である。鉄筋マンションの六畳の部屋で朝と晩、幸次郎に抱かれて九州大学に通った。
避妊具なしの性交は、幸次郎も覚悟の上だ。妊娠しても、出産は卒業後になる見込みで、秋絵が見込んだとおり幸次郎は真面目に二人の関係を考えていた。
勉強もあるし、週二回のペースでセックスに朝晩、一時間ほど励む。若いのに少ないと思う奥さん方は、セックスレス夫婦も世の中には多いという事を考えるべきだ。
初めて知った男のちんぽを、秋絵のまんこは離さなかった。文字通り秋絵の膣は幸次郎の竹のような男根を力強く締め付けた。幸次郎は外は暑くてもエアコンの効いた秋絵の部屋で下の布団一枚で、秋絵の上に乗り高速度で腰を前後に振りながら、
「おおー、秋絵―っ、ちんこがしまっていいー。あっ、出るっ。」
と叫ぶと、男の精密エキスを心置きなく放出すると、柔らかく大きな白い尻を若々しく震わせながら秋絵は、
「おまんこ、いいーっわっ。」
と叫んで、幸次郎の尻を両手で掴んで自分の方に引き寄せた。二十分の前戯と二十分の性交、二十分の後戯で朝晩のセックスは構成されたが、この時間はそれぞれ短くなる事も多かった。
九大生でもあるし、試験前にはセックスを控えておいた。試験が終わると徹夜でセックスに励む二人だった。
一晩最高、三回というのが幸次郎の記録である。秋絵の上で果てた後、幸次郎は、
「三回が限度だろう。度を超して射精すると下手したら死ぬかもしれないらしいよ。」
彼の顔を十センチ前で布団の上に横になって眺めながら、秋絵は、
「本当なの、それ?」
幸次郎は秋絵の大きな尻を優しくつかんで揉みほぐすようにすると、秋絵は、アアン、と眉を寄せて呻いた。幸次郎は、
「豊臣秀吉の本当の死因は、女とやりすぎたかららしい。三百人以上の女性とセックスしたあと、秀吉は死んだんだって。」
秋絵は幸次郎の小さくなった肉欲棒を右手で掴んでみた。すると、それは少し膨らんだ。
「そうなの。わたし、あなたに早く死なれたら困るわ。まだ学生だしなー。本当のセックスは、結婚してからね?」
「今でも世間のセックスレス夫婦よりは、セックスしているよ。そんな夫婦、奥さんが可哀想だよ。中には・・・・。」
と秋絵の硬さの残った乳首にキスすると幸次郎は、話し出した。

関東の方の主婦でさー、カリスマ主婦っているんだよ。アフィリエイトですごく稼いでいてね。アフィリエイトってインターネットで、企業やお店の商品やサービスを紹介して儲けるんだけど。
その主婦のアフィリエイトへのきっかけが、だんなのボーナスが出なかった事らしい。
こどもの教育費だけでもと、その主婦は考えたらしいね。
――――――――――――――――――――――――――――――
「登喜子、すまない。おれ、今年の夏のボーナスはなしだ。」
敬二は妻に話した。
「しかたないわよ。社会的な不景気ですもの。でも、いいわ。夜のお勤めだけでもしてくれれば。」
三十後半の登喜子は、色っぽい眼をして夫を見た。敬二は、
「ああ。ボーナスがないぶんだけ、夜のボーナスを出すとするか。」
と食卓で子供の寝静まった頃に、妻に答える。
いそいそと、食器を片付ける登喜子に敬二は後ろから襲うように抱きつくと、彼女の首筋を舐めまわした。登喜子は身をくねらせながら、
「ここじゃ、やめて。子供に聞こえるかもしれないから。」
「いいさー、聞かれても。おれたちの子供だろ。」
敬二は固くなったモノを妻の尻に擦り付ける。じわーっと、まんこが濡れるのを登喜子は感じたが、
「あなたみたいなスケベに、なってほしくないもの。」
と笑うように答えると、ふっと敬二は登喜子から離れて、
「大体、子供の教育で疲れたとか言って、ここしばらくご無沙汰だっただろう。だから、ボーナスないんだよ。」
「そんな・・そんな事が、ボーナスと関係あるの?」
「いや・・・言いすぎだな。関係はない。不景気が原因だろう。でも、おれの性欲は好景気なんだよ。」
敬二は自分の方を振り向いて立ったエプロン姿の妻の両肩を捉えて、キスをした。すぐに敬二は舌を差し込んだ。妻は柔らかく、それに応える。ぐんぐんと敬二の肉欲棒は大きくなっていった。エプロンとスカートをしたままの登喜子のパンティを身をかがめて、ずり降ろした敬二は妻のエプロンとスカートを上に上げた。豊かな陰毛が丸見えだ。敬二は妻を抱えて、台所の食卓の上に乗せると足を広げさせた。妻が腰掛けている食卓の部分は、いつも子供が食器に顔を向けているところだ。
登喜子は愛汁が溢れてきたので、声を出さなかった。敬二は妻の両足を抱えるようにして、いつの間にかズボンのチャックから出している金剛のような棒を妻の開いた穴の中に挿入していった。
夫の首にぶら下がるようにして、声を出すまいと頑張った妻の登喜子は夫が割りと早く放出した時に、
「あ、はーんっ。」
と艶かしく悶えると、食卓の上で腰を震わせた。

銀座のキャバクラに立ち寄った敬二は、ナンバーワンのあゆみに、
「今月から愛人やめても、いいのね?」
とトイレの前で聞かれた。
「すまない。夏のボーナスの後払いにしてくれた君には悪いけど、次のボーナスは確かじゃないし・・・。」
あゆみは冷たい眼をすると、
「いいわよ。お金に予定立ったら又、声かけてね。」
すぐに背を見せて歩いて行くあゆみの尻を見て、半分ちんこを勃起させた敬二ではあった。
数ヶ月、あゆみは敬二の愛人として都内某所にある彼女の自宅の高級、高層マンションの最上階まで敬二は、退社後、訪れていてはセックスレスとなった妻の代りにしていたのだ。
手付金というか前金をいくらか払っただけで、あゆみは敬二との愛人関係を了承していた。
敬二の今夏のボーナスは、あゆみへの銀行振り込みで跡形もなくなくなっていたのだ。やせていても胸と尻の大きなあゆみの身体は、敬二のちんこを捕らえて放さなかったのだが、昨夜の妻との台所でのセックスは、続けて夫婦の寝室での二回目にも持ち込めたので、妻は三十代後半とはいえ自分専用の女で、そういうまんこも持っている事がわかった。
なんとも、嵌め心地がいい。若いが、あゆみのまんこは遊び馴れているらしく、締まりのないようにも感じられると思い出す敬二だ。

次の日、敬二は又、台所で妻の身体を求めたが、
「ごめん。今からわたし、仕事なの。」
と拒否された。
「仕事?どこへ行くんだ、今頃から。」
「パソコンで、できるのよ。アフィリエイトって言うんだけど。」
「・・・・。」
「少し稼げば、セックスできると思う。」
登喜子は、すぐに台所から消えた。
次の日、敬二は食事後、トイレに入った妻にドアの前で、
「もう、終わったか?」
中から、
「終わったわよ。今はパンツはいてるところ。」
ガタッと勢いよくドアを開けると敬二は、パンティをあげようとしている妻に襲いかかった。登喜子は、
「やめてっ、こんなところで。」
と声を出したが、その唇は夫にふさがれた。それでも、口を外した夫に、
「アフィリエイトやってると、儲かるのが分るのよ。お願い、ここでのプレイはいつかするから。」
と両手を合わせた。夫は、たてていたモノが萎んでいくのを感じた。

幸次郎は寝そべったまま、
「それからしばらくして、その主婦はカリスマ主婦として有名になったし、という話。」
と秋絵に語った。秋絵は、びっくりしたような顔で、
「カリスマ主婦って、本当は大変なのね。実情は。」
「ああ、その夫の裏話もネット界のパパラッチが探り出したらしいよ。」
「ふーん。そうなのね。」
それから二人は朝陽の光が射してきたので、起きて服を着て大学に行く準備をした。
ドアを開けない玄関の中で、立ったまま二人はキスをしてから外へ出る。
九州大学は国道三号線沿いにある。その車道の大学側の歩道に沿って白い壁が延々と続き、中の様子は見えない。2013年の今は、かなりな部分が西区にできた新しい九州大学用地に移転しつつあり、2019年には完全に西区元岡という福岡市西の郊外に完全に移ってしまう。秋絵と幸次郎の頃には、第一ステージとして移転が始まっていた。最初のステージでは理系の学部だったので、幸次郎と秋絵は関係なかった。
 二人とも授業は真面目に出て、それが終わっても一緒に帰る事もなかった。近年よくあるカップルが手を繋いで並んで歩く、というような事もする事はなかった。むしろ、二人はそうするのを避けた。
なぜか、というと秋絵の手を握っただけで幸次郎は勃起したからだ。
東京でも福岡でも見られる手を握って歩くなどというカップルは、セックスレスなものと思って間違いない。ちんこを立てつつ街を歩くなんて事は、いくら男でもなかなかできないからだ。
また、その接触から即座にセックスに移行できないというのも、その男のインポ体質を表している。
手を繋いで歩けるのは、小学生までである。
大抵は幸次郎が先に部屋に帰っている。秋絵はもちろん、合鍵を彼に渡した。夕食の食材をコンビニで買って、秋絵が戻ってくる。
前に一度、二人で外食した。箱崎商店街の中にあるイタリア料理店は、小さな店で顔を合わせて食事をするにはもってこいのところだが、その頃、二人は週二度のセックスという慣習に馴染んでいて、その日が、やる日だったのだ。前菜に続いてパスタが運ばれた。幸次郎はフォークを取ろうと、まとめておいてある小さな細長いかごに手を伸ばすと秋絵も同じところに手を伸ばしていた。
二人の手は触れ合った。幸次郎は、右手の指先から女の色香が電流のように腕を伝い、喉から下腹部へと流れていくのを感じた。彼は、
「あっ。先にいいよ。」
と慌てて右手をどける。
「うん。お先に。」
秋絵は幸次郎より先に銀色のフォークを掴んだ。そのフォークは、クリストフルシルバーの大きなものだ。40ミクロンで銀メッキされているが、銀そのもののフォークは中々、作られるものではない。カトラリー(スプーン、フォーク、テーブルナイフなどの食器類)も贅沢にというのがそのイタリアレストランの趣旨だった。店主は時々、イタリアに今でも行って本場のイタリア料理を食べてくる。のみならず、昔修行したレストランに戻って手伝う事もある。
CUTLERYのクリストフルは、バターナイフその他もある。日本人のシェフにも人気がある。秋絵が手にしたものは、13650円のものだ。続いて幸次郎も同じ渋い銀色の優美に曲がったフォークを手にした。その時、そのフォークにも秋絵の色気が感染していたらしく、なぜならまとまったフォークを取る時は、他のものにも触るから、
だめ押しの形で幸次郎の小さなものを大きくしていった。
彼がフォークを小麦色のパスタに突き入れた時に、秋絵が口を丸めた後、
「おいしいね、このパスタ。」
と話しかけて来た時は、すでに幸次郎のイチモツは秋絵の股間より少し高めのところに向けて勃起していた。秋絵は幸次郎の前に座っている事もあって、白い太ももをダランと広げて座っている。純白のパンティは、そのテーブルの下に屈めば見えるはずだ。
秋絵の問いかけに幸次郎は、ハッとなり、
「う、うん。」
とまだ食べてないパスタについての感想を答えた。全勃起させているので、小さな声しか出せない。他のテーブル席には、横に三メートル離れたところに老夫婦が座っているだけだった。その老夫婦の頭の色は、どちらも半分白くなっていた。黙々とフルコースを食べているらしく、幸次郎には眼もくれない。
パスタの上に小さな肉が載っていたので、幸次郎は食器かごから15120円のテーブルナイフを取り出して切り始めた時に、テーブルにあったおしぼりを床に落としてしまった。拾うために屈んだ幸次郎の眼に飛び込んできたのは、むにむにとした白い太ももを広げている秋絵の姿態で、パンティが丸見えな上にぴっちりとはりついた布地に真っ直ぐな縦の線が入っているし、それが少しぷるぷると揺れて甘い匂いが幸次郎の鼻に侵入する。
両膝を床に着くと幸次郎は、秋絵のパンティに顔を近づけて割れ目がくっきりと浮き出ているところにキスをした。
テーブルの上の秋絵の顔は、感じているところを押し殺した表情だ。幸次郎は秋絵の顔が見たくなって、おしぼりを拾うと席に戻る。秋絵の顔は甘く歪んでいたが、非難の色はない。いつもは、後数時間もすれば布団の中で、ちんことまんこを擦り合わせている時間帯だ。幸次郎は、もう一度屈んでテーブルの下に潜ると、秋絵の白い布で覆われた縦のスジを見てみた。その部分は、じわりと水分に変色している。
座りなおした幸次郎は小さな声で、
「トイレに行こうよ。」
と秋絵の眼を見て囁いた。すぐに彼女は前髪を下に揺らした。そのついでに彼女の豊かな胸も小さく揺れた。
連れ立ってトイレに入った二人は、上は服を着たまま、ズボンとスカートをおろして、秋絵はパンティも膝まで下げて、幸次郎はブリーフの切れ目の中から出した肉体の巨棒を逆三角形の秋絵の陰毛の下にある濡れた柔らかなもう一つの口に、もどかしく挿入させた。
秋絵は頭を後ろに、のけぞらせると、
「ああーん。すてきだわあー。」
と声を高らかに出した。その時、幸次郎の両手は秋絵の白い大きな二つの尻肉をたっぷりと、掴んでいる。柔らかな尻の肉は幸次郎の指をのめりこませた。

もう一つのテーブル席にいた老夫婦の片方、奥方の方が手にしていたフォークを止めて、
「あなた、今、若い女性の声が聞こえませんでした?」
と口をもぐもぐさせている夫に問うと、
「ばかだな、おまえももうボケ始めているよ。声なんか、なんにも聞こえはしない。このおいしいイタリア料理に集中できないなんて、どうかしてるよ。まったく。何と言うか・・・。」
老婦人は顔を赤らめると、
「そうですね。そう言えば、そうですわ。長い間の欲望が声になって、外から聞こえてきたのかもしれませんわね。」
老夫は苦く笑うと、
「なんの欲望だ?もしかして、あれか?」
と声に出す前に店主の方をチラと見た。店主は彼等とは別の方を向いて、距離も十メートルはある。イタリア人みたいな日本人の中年店主だ。聞いている風には見えなかった。
老婦人は、ますます顔を赤くすると、
「そうです。あなた。あれなんです。」
「へへえー。帰って、するか?あれ。」
「いいですわねー。三十年ぶりになるのですかね。」
老夫は笑いをこらえた顔になり、
「は。よく覚えているよ。おれは、十年前に・・その・・・。」
老婦人の顔は、きっ、となると、
「浮気ですね。あ・な・た。」
「いや、そのね、勃起したのは十年前が最後だったかなー、と。」
「うまい、言い訳ですこと。」
「まあまあ、食べてから帰ろうよ。帰りに精力剤の店に寄るからさ。それで、大丈夫だと思う。」
老婦人の顔は、嬉しそうになった。首を二回もタテに振ると、
「さっきの声は、わたしの気持ちだったのですよ。やっぱり。」

赤い壁紙で内装されているトイレの中で、腰を逞しく振りながら幸次郎は右手で秋絵の口を押さえた。彼は小声で、
「おれも、いいんだ。腰がとろけそうだ。けど、秋、我慢しろよ。」
と彼女の耳たぶの近くで囁く。
自分の頭の左側で秋絵の顔がうなずいたのを感じると、彼は囁いた彼女の耳たぶを舐めまわして軽く噛んだ。彼女は、彼の手の中の口で、
うふん、いやっ
と悶えた。その感じられた声が幸次郎を昂ぶらせる。彼は、彼女の細い首すじにも自分の舌を長くして這い回らせた。秋絵の首の周りは、幸次郎の唾液でいっぱいになる。彼女の尻の肉から左手だけ離して、彼は彼女の右胸を揉みまくり続けた。知的な秋絵の目は、すでにトロンとなっている。
幸次郎は次にその左手を秋絵の右足の膝の裏に持っていくと、彼女の右足を高く上に持ち上げた。バレリーナがするようなポーズに楽々と、秋絵の乱れている豊満な身体はなった。その足を高く垂直に上げたままの姿勢で、二人はお互いの腰を密着させて振動を続けた。
幸次郎は、
「柔らかいね、秋、足も。おまんこも。答えは小さな声で。」
彼は右手を彼女の口から離す。
「いやっ、福岡じゃ、ぼぼとか言うわよねっ、あっ。」
秋絵は悶えそうな声を押し殺す。
「そうだなあーっ。あっ、いくっ。」
幸次郎の身体、特に腰の辺りが痙攣した。秋絵の尻もその動きに合わせて震えていた。

まず幸次郎が先にトイレから出て、少し間を置いて秋絵が現われる。店内にいた三人の大人は、彼等に眼を向けなかった。
レジで会計、三万円也を秋絵はエルメスのシチズンツイルという濃い灰色のコンパクト財布から軽く取り出して店主のご機嫌な顔の前に差し出した。
イタリア人みたいな店主は、腰をかがめると、
「どうもありがとうございます。シニョリーナ。」
と丁重なお礼を述べた。店主は幸次郎をチラと見たが、すぐに眼を離した。
外に出た二人は、時々眼に見えるカップルと違って秋絵を先頭に一メートル後を幸次郎が歩くというスタイルだ。同級生でありながら、二人は姉と弟のように見えた。
マンションに帰りつくと、部屋の玄関前で秋絵に幸次郎は急に近づく。部屋に入ると、まず閉めたドアの前でキス。くちびるをプチュッと離すと秋絵は幸次郎の股間のものをズボンの上から握った。幸次郎は、
「あっ、秋ちゃん。今日は、もうだめかもよ。」
と言いながらも、息子は半分起立していた。秋絵は、
「あれ?これ以上にならないの?さっきのアレで消耗した?」
「そうみたいだね。栄養が吸収されるのは、結構時間が掛かるらしいよ。」
「九州でも?」
「え、なんのこと?」
「あ、こちらの話。」
気づかないのなら、しょうがないと秋絵は思い、幸次郎のズボンに隠れたペニスを解放した。幸次郎はホッとしたような顔で、
「さっきの九州って。この九州のことかな。九州の福岡。」
「なんだ、わかってたのね。」
「ちんこ 触られ 秋の風。」
「変な句ねー。」
「いや動転していたんだ。」
「ああー、そういうものなのね。」
「そういうものです。明日はケインズの経済学だから、おやすみ。」
幸次郎は押入れから布団を取り出して二つ敷くと、古そうな方に先にもぐりこんだ。秋絵も下着姿になると、布団に入る。白のパンティとブラジャーは幸次郎の眼にちらっと入っただけで、中心部の肉の塊に血液を脳が指令して送り始めたが、彼は布団を被って視界からなまめく秋絵のしとやかに柔らかな白い曲線美を消した。それでも男根は半分以上勃起せんとしていた。

茶立春菜子(ちゃたつ・はるなこ)は、秋絵と九州大学文学部の同級生で講義はしばしば机を近くに聞いたりする。
視力はかなり悪いが、コンタクトレンズをしているので眼の悪さは人には中々知られていない。
身長百七十センチの長身痩躯でも、胸と尻には豊かに膨らむものがついている。レースクイーンのような外見であるけれども、コスチュームをしているわけではないので、普通のまじめな九大生といった見栄えだ。
春菜子の髪は長くて、尻の上の辺りまである。ジーンズを履くと、ぴっちりと締った大きな尻に道行く男性の視線を強烈に感じたので、それからは長めのスカートを履く様にしている。眼は丸く大きく二重目蓋で、まつ毛は長い。彼女も秋絵と同じく二十一歳だ。緑のシャツの上には大きな乳房が浮き出ていた。
箱崎の公園のベンチで一人、日曜日に腰掛けていた午後、太陽は雲に隠れて季節は秋だった。雨が降りそうなので、公園には春菜子しかいないように見えた。彼女の座っているベンチの後ろには、巨木が緑の葉をいっぱいに並べていた。
しゅっ、しゅっ、しゅっ、と彼女の耳に後ろの方から音がした。振り返ると、巨木の陰に若い男の顔が隠れた。しかし、
男は顔だけを隠したので右手と全身は隠れていなかった。その男、肉体労働者風の男はよれよれの灰色のズボンから自分の大きくなったちんこを取り出して右手に握っていた。
春菜子は、それを見ると丸い眼をもっと丸くした。男の右手は硬くそり返ったものを擦り続けている。春菜子はベンチから長髪をひるがえして立ち上がり、その労働者に近づいていった。彼女は巨木を回り込んで、男の顔を見ると、
「なにをしてるんですか?」
とドキドキしながら聞く。男は、
「ああっ。」
と叫ぶと白い液を噴水のように放出してしまった。さっと飛びのく春菜子の胸と尻が艶かしく揺れた。男は春菜子の股間から顔に視線を移すと、
「すいません。あなたの後姿を見ていると、その・・・立ってしまったんで擦っていたんです。」
「まあ、たった私の後姿だけで・・・。」
春菜子は試みに、立ったまま両脚を少し広げた。こんもりと膨らんだスカートの部分が、ゆらんと色っぽく動く。それを見た男のイチモツはたちまち大きく膨らんだ。春菜子はそれを見ると、
「これは、どう?」
と言いながら、細い足の上にある大きな尻を前後に揺すった。
男はたまらない眼つきで、
「もう、たまりません。又、出そうです。」
と情けない声を出す。春菜子は、
「ちらっ。」
と声を出すと、スカートをまくってすぐに降ろした。一瞬ではあるが、ピンクの色をした薄い布が彼女の股間の膨らみを隠していたけど、黒い陰毛はうっすらと見えていた。その位、薄いパンティだったのだ。縮れた春菜子のアンダーヘアは、それを見た男の中から又、男の特性エキスを発射させていた。
春菜子は満足そうに、
「フフフ。」
と笑うと、静かにその場を豊かな色っぽい大きな尻を蠢かせながら立ち去った。
その揺れる彼女の尻を後ろから見て、男は又、ペニスに血が流れるのを感じていた。がばっと、胸ポケットからデジタルカメラを取り出すと録画モードにして、歩き去る彼女の尻をクローズアップで撮り続けた。

春菜子はそれから商店街の通りまで歩いて、眼にしたビールの自動販売機に五百円玉を入れると一番高いビールを買った。ガラガラガラと出てきたビールの缶のプルトップをつまんで開けて、赤い柔らかな唇の間に当てるとぐいぐいと泡立つ苦くてきれのある日本のビールを飲んだ。それは五百ミリリットルだったので、大柄の彼女が飲み干すのにも少々の時間は必要だった。
日曜なので人通りも多く、若い外人男性はビールを飲む春菜子を眺めると、
「ファックユー。」
と呟きながら通り過ぎる。でも、英語の苦手な彼女には何を言っているのかは、わからなかった。
平然と対応できたけど、やはりさっきの公園でのあれには少し参っていた春菜子だった。それで酒でも飲みたい気分だったのだ。彼女は男のオナニーを生で初めて見た。そんなものを見たい女性も稀であろう。
浮気をする亭主に気づく主婦はいても、夫のオナニーさえ一生見ない女性の方が今の日本では、まだ多いはずだ。今の日本と言うより、これからの日本もそれは変わらないであろうけど。
でも、と春菜子は考える。

夫のオナニーを見た、と管轄の自治体に届ければ税金の一割は免除するなんて政策が出てきたら、と。
これこそ、今の首相にも考え付かない事かもしれない。これからもそういう事を公約する政治家は絶対にいないだろうけど。

東区役所に未来の春菜子は、主婦として届出に行った。戸籍謄本を取るところに顔を出すと、
「あの、昨日夫のオナニーを見ました。」
と申告した。係りの男性は初老の男性で定年も間近に見える。表情を変えずにその係は、
「ああ、税金免除の件ですね。えーっと、この用紙に記入してください。それと、デジタルカメラとかで撮影したものがあれば東区役所のホームページからアップロードできますよ。それを受理して確認できたら、二割、税金が還付されます。」
と丁寧に説明してくれた。用紙に記入し終わった春菜子に、
「忘れずに印鑑を押してください。いくらデジタルな時代になっても、役所の手続きには印鑑が必要ですから。」
「はい、持って来てます。」
主婦じみた手つきで春菜子は、象牙の印鑑を区役所の届出用紙にしっかりと押した。
茶立ではなく今は、産野康市の妻だから産野春菜子だ。家に帰ったら夫のオナニー姿を東区役所のホームページにアップロードしよう、夫の写真は・・・と春菜子は思い出す。なんとあれじゃないかあ、あの公園のせんずり男がわたしの未来の夫だったとは・・・
そうだったわね、あれからわたしたち、数奇な巡り合いをして今は東区役所の上の公団住宅に住んでいるから、区役所を出てすぐに自宅に戻れる・・・・
とここまで思った春菜子は、中年の男性の声が耳元でした。
「もしもし、こんなところで寝ていたら風邪を引きますよ。」
はっ、と眼を醒ますと春菜子は人工島に掛かる長い橋、四百三十メートルもある橋の中間にある腰掛けられる横長の石の上で、眠っていたのだ。
その橋の名前は、「あいたか橋」という。市からの公募で決まった名称だけど、
あいたかー
というのは、福岡市の方言としては、
会いたいよー
という意味になる。

眼を開けた春菜子の瞳孔の中に青い海が写った。声をかけた中年の男性は、笑顔を浮かべると人工島の方へ歩いて行く。ビールの酔いがいくらか春菜子の頭の中に残っていた。
午後の日差しは雲が覆い隠すと、福岡でも柔らかなものとなる。あいたか橋というのも当初は人も集まっていたが、今は遠くから人が見にくるという事もないようだ。
潮風が春菜子の開いた足の付け根に当たると、彼女はむずむずとしたものをその部分に感じた。(おまんこを風に触られているみたい。)と春菜子は消えていくビールの酔いを頭の隅に感じながら、思った。
心地よい潮風は、やや強風になった。春菜子は足をもう少し広げてみる。彼女の割れ目に当たる風は、その面積を増大させた。
潮風の塩が春菜子のおまんこの中に染み入るような感覚を、彼女は感じて、周りを見渡し誰もいなかったので、
はあん
と若く甘い悶え声を軽く洩らした。

熟女に優しい管理人

 いきなり玄関に入ってきた見慣れた顔に、主婦の美貴子は驚いた。美貴子は三十歳の福岡市の分譲マンションに住む、美人妻だ。口を尖らせると、
「チャイムくらい押してもらえませんか。」
と抗議すると、
「うっかりしてすみません。だけど防犯上、玄関に鍵を掛けておくのは当たり前ですよ。マンションの玄関はオートロックですけどね。それを確認する意味でも突然ですが、開けさせてもらいました。」
とその四十代のだらしなさそうな男は発言した。美貴子は納得して、
「そうでしたね。わたしが不用心でしたわ。でも、お向かいの北山さんも玄関に鍵をかけないとか言ってましたけど。」
フンフンと鼻を鳴らしながらその男は聞いていたが、背が高く肥満体の中年男性だ。
「北山さんにも注意しておきましょう。ただ、北山さんにではなく藤村さんに言わなければならないことがあります。おわかりでしょう。」
藤村美貴子は、そしらぬ顔をすると、
「なんですか。わたしには何の事か・・・。」
「ふん、わかっているくせに。先月の管理費を振り込んで欲しいんですがね。」
美貴子はあわてて、
「あと十日、待ってください。必ず振り込みます。」
そう言い訳をしながら、藤村美貴子は腰を動かした。主婦にしては短いスカートが揺れた。足を開いて立っているのでパンティの下のほうが中年男の眼に入った。男はごくりと生唾を飲み込むと、
「十日もすれば来月の分を振り込む日になります。オーナーの方から今日取り立てるように言われましてね。」
パンティの色は黄色だった、と男は思い返していた。美貴子は愛想笑いを浮かべると、
「まあ、上がってお茶でも飲んでいってくださいな。コーヒーを出しますから。」
「あまり時間はありません。この後、巡回にも回りますからね。」
「お手間は取らせません。お上がりください。」
美貴子は後ろをその男に見せると、屈んで豊かな尻を突き出すと台所に入ったようだ。男は、しぶしぶと玄関を上がった。台所からトレイにのせてコーヒーカップを運んできた美貴子はカーデガンを脱いで白の上着になっていた。メロンが二つ付いている様に胸は大きく膨らんで、ゆさゆさと揺れていた。豪華な応接セットのガラスのテーブルに美貴子はマイセンのコーヒーカップを置いた。立っている男に、
「どうぞ、お座りください。お粗末なソファですけど。」
男はそれに腰掛けた。すわり心地はとてもいい。マイセンはドイツの陶器で古い歴史を持ち、コーヒーカップには剣のマークがついている。二本の剣を交えた形が青色で描かれている。高価な代物で、ドイツのものは大抵なんでも高い。ベンツにしてもそうだ。カップ一個なら一万円と消費税といったところだ。これは2013年一月現在の値段で、アベノミクスという政策では値上がりするのかどうかは誰も何ともいえない。男はマイセンのカップを手に取ると、ぐいとコーヒーを飲んだ。カチャ、とカップを置いて、
「コーヒーぐらいでは待って一日ですね。奥さんが外出して、いなかった事にしておきましょうか。」
美貴子は喜びで眼を輝かせると、
「明日までには何とかします。」
男はマイセンのコーヒーカップの受け皿にも剣のマークが付いているのを見て、
「なんか高級そうなカップですね。管理費なんて一万千円ですよ。こんなものを買えるのだったら・・・。」
「いえ、これは結婚した時に友人に貰ったものなんです。」
そう言いながら美貴子は男に見えるように両脚を大きく開いた。世界最大の下着のメーカー、トリンプのパンティが大きく現われた。トリンプも又、ドイツの会社だ。美貴子はパンティを上に引き上げているのか、割れ目がくっきりと写っている。美貴子が素早く足を広げたので男は釣られてその部分を見てしまった。美貴子は足を広げたままである。そこから眼を外すと男は、
「そういえば奥さん。奥さんを前にぼく、昔だけどテレビで見た事ありますよ。アイドルグループだったかなー、たしかアフタヌーン少女とかいうグループ名だと思いますけど・・・。」
藤村美貴子は照れたように微笑むと、両脚を心持ち少し更に広げた。割れ目の形も左右に広がる。
「そう、でしたけど。結婚して夫の転勤で福岡市に来たんです。もう5年も前になるかしら。今では福岡市の街を歩いても誰もわたしに気づかないんですよ。」
男はニヤリとして、
「それなら貯金もたくさんあるんじゃありませんか。管理費くらいまとめて払ってもいいと思うけどな。ぼく、アフタヌーン少女のCDは結構、買ったんだけどね。」
「それは、ありがとうございます。でも、わたしの貯金も主人と一つにしてまして、主人が管理してますから。」
そう言いながら美貴子は両脚を開いて元に戻す動作を数回した。その度に割れ目のあたりがピクンピクンと動く。中年男はそこを見ると眼をそらせた。思わず見てしまったのだ、元アイドル歌手の股の付け根を。その価値は一万千円なのか、と男は考えたが、
「それでは、ご主人に連絡させていただきます。私の勤務時間は五時半までなので、ご主人の会社の方に電話しますが・・・。」
美貴子は狼狽すると、
「それは困りますわ。このマンションの管理費はわたしが毎月振り込んでいますから。修繕積立金もですけど。」
「修繕積立金は問題なく振り込まれています。実際の問題として、わたしの給料は修繕積立金からは出ないのですけどね。会社の方からは今月の私の給料から減額するつもりらしいですが、奥さんのとこだけなんですよ。」
男の顔は真剣味を帯びた。美貴子は関心なさそうに、
「それなら少し遅れても会社の方はいいという事なのですね。」
「そうではないと思いますけど。私としても安い給料の少しでも減ると大変なんですよ。」
美貴子は頭を深く下げて、
「すみません。明日までになんとかしますから。」
と言い訳した時に上着の上から胸の谷間が見えた。ブラジャーはしている。意識的に見せてくれたようにも見えた。男は立ち上がると、
「それでは明日、又来ますよ。」
と苦々しく吐き捨てると長身の肥満体を玄関まで移動させた。

男の名前は三船敏行という。福岡市の県立高校を卒業後、上京して不動産会社に就職した。バブルの時は羽振りがよかったが、バブルが弾けてその会社は倒産。別の不動産会社も採用してくれなかった。アルバイトから派遣に登録して働いたが政権交代で派遣の禁止により、仕事を失う。都営住宅も五十歳以上でなければ入居できず、都の住宅補助金を受けようかとも考えたが仕事に目途がつかないので故郷に帰ったのだ。そんな故郷でなんとか分譲マンションの管理人の仕事にありついた。福岡市の中央区大名に本社を構える繁売住宅という会社は主に分譲マンションの販売管理を行う大きな会社だ。元は早良区(さわらく)で賃貸住宅の仲介をしていたが、小さな分譲マンションから始めて成功すると、福岡市のあちこちにお城のような巨大な分譲マンションを建設していった。福岡市はかなり前から一戸建て住宅を建てる土地は中心に近い場所はなくなっていた。近郊の筑紫野市などが建売住宅が販売されてはいるものの、通勤には時間がかかるため、市内の中心になるべく近いところに住みたい人が多いために分譲マンションがすぐに完売する現況で、繁売住宅も大いに儲かっている。他には東京からの分譲マンション会社のものも少なくはない。ライオンズマンションやダイアパレス、東急、三井パークホームなどが眼につく分譲マンションだ。
三船敏行も四十歳になる。管理人になるには早い年齢だが、他に仕事は見つからなかった。彼の担当している博多区の博多駅から南の巨大な分譲マンションは建築されて新しい。とはいえ分譲マンションなので主婦の年齢は三十代後半が主で、藤村美貴子は若い方だ。三船は美貴子の部屋を出てからも彼女の黄色いパンティが目の前にチラつくのを意志の力で振り切りつつ、管理人室に戻った。
 藤村美貴子はエリート会社員の男性と結婚して芸能界をやめた。結婚生活は五年になるが子供はまだいない。そのせいもあってか、貯蓄するより浪費する事がなかなかやめられないでいた。歌手だった頃より少し太ったので、博多駅近くのエステサロンに行ったりアマゾンでダイエットサプリメントを購入したりしていた。その購入も一時にかなりのものを買ってしまう。芸能人の多い無料ブログでブログも作ってみたが、文章を書くのが面倒になって閉鎖した。ひとつはアクセス数が少なかったのも原因で、今は彼女が属していたグループより別の四十人以上いるグループに注目がいっているためのようだ。ステルスマーケティングを頼まれる事もなかったので幸いだとは言えるのだが。
 夫の拓郎は深夜に帰宅する。エリートな彼には仕事が山ほど押し付けられる。
「ただいまあー。」
疲れきった夫の声を玄関で聞いた美貴子は、
「お帰りなさい。今日も晩御飯は外でだったのね。」
「ああ、取引先との接待でご馳走を食べたよ。」
「そーお。なら、ベッドの中でのご馳走はまだ食べれるわよね?」
美貴子は豊乳を拓郎の背中に擦り付ける。
「今日はいいよ。土曜の夜ならできるかもな。」
美貴子は失望をあらわにすると、
「はやく食べないと腐っちゃうわよー。」
と投げかける。ハンサムな拓郎はにこりともせずに、
「風呂に入ってくるよ。」
と言うなり美貴子から遠ざかった。先にベッドで寝ていた美貴子の隣に拓郎がパジャマ姿で入ってくると、
「おやすみ。」
と言うが早いか眠ってしまった。美貴子は夫のモノにパジャマの上から触ってみたが、そちらもすぐに眠ってしまったらしい。

安い家賃の木造アパートに帰った三船敏行は万年雪のような布団に入ると眠ろうとしたが、昼間見た藤村美貴子の黄色いパンティを思い出すと股間に血液が集まってくるのを感じた。少しの時間で、敏行のモノはカチンカチンになった。
(今頃、藤村のやつ、旦那とセックスに励んでるんだろうな。あの時見えた割れ目に突っ込んでなー。)美貴子の上で腰を激しく振っている男の姿を敏行はボンヤリと想像してみた。

次の日、三船は藤村の部屋へ朝から集金に行った。ドアノブを回したが、鍵が掛かっていた。チャイムを鳴らすと、
「はーい。」
「管理人です、おはようございます。藤村さん。」
「今あけますね。ちょっと待ってください。」
昨日より若やいだ声がした。ガチャと音がしてドアが開く。取っ手を握って中に入った三船は、下着姿の美貴子を見てしまった。思わず股間にエネルギーが集まりかけるのを制して、
「奥さん。着替えの最中なら開けなくてもいいですよ。待ちますから。」
扉の外に出かかる三船に美貴子は近づくと、管理人の制服に右手をかけた。
「ドアを閉めてくださいな。通りかかった人に見られますから。」
三船は慌ててドアを閉めた。美貴子は三船の肩を引くと、
「あがってください。」
と言いながら左手で軽く三船の股間に触れた。美貴子は嬉しそうに、
「元気がいいですね。朝から。」
三船は答えようがなかった。美貴子の甘い匂いが鼻にかかってきた。ボンヤリする頭を左右に軽く振ると、
「すみません。あの管理料をお願いします。」
美貴子は今度は右手でぐうっと三船の股間を握ると、それはますます膨らんだ。
「奥さん、やめてください。これ以上、触られたらぼくは、もう・・・。」
「うふふ。主人はとっくに出勤しているわ。わたしたち最近、セックスレスなの。だから、管理人さんにストレスを解消してほしいのよ。」
美貴子は三船の腰に左手を回す。右手は三船のモノを握ったまま、
「靴を脱いであがってよ。管理人さん。」
三船はそのままの姿勢で靴を脱ぐと、部屋に上がった。美貴子の右手にペニスを握られたまま三船は歩かされた。美貴子は止まると、左手でドアを開けた。そこは夫婦の寝室だった。甘酸っぱい香水の匂いが三船の鼻の穴から入ってくる。三船の股間は管理人の制服のズボンを破りそうだった。美貴子は、
「ズボンを脱がせてあげる。」
両手でベルトを掴むと外して、フックも外し、チャックを下げた。三船の黒いパンツが出てきた。小さなバナナが中に入っているようだ。美貴子はそのパンツも降ろすと、ついに管理人の天空に向かった肉根を眺める。
「まあ、主人のより大きいわ。食べたくなっちゃった。」
彼女は三船のフランクフルトソーセージに、しゃぶりついたのだ。管理人は、
「あっ、だめです。奥さん、イキそうです。」
と声を出すと、腰を震わせた。美貴子の甘い舌を自分のモノに感じて三船は、
(これが藤村美貴子の舌なのか。なんという滑らかな動きだろう。ああっ、おれはこんな事をしていいのだろうか。)窓の方を見るとカーテンが、かかったままだ。部屋には灯りがついている。あまりに明るいため、朝の太陽光と思っていたのだ。美貴子は舌を這わせながら、三船のきんたまを右手で撫でた。その瞬間、三船は、
「あああっ、奥さん!藤村さん!」
と小さく叫ぶと、生ぬるい液体を勢いよく美貴子の口の中に発射していた。それは美貴子の口の中にビシャッとかかった。美貴子はだらんとした顔で、その液体を飲み干している。
「おいしいな。管理人さんも気持ちよかったでしょ。」
「はい。あ、あの藤村さんの舌って滑らかですね。」
「歌手だったからじゃないかな。ボイストレーニングの時、男の先生のペニスをよく口に含まされたわ。そのまま、メロディを口ずさんだ事もあるの。女性歌手って結構、そんな訓練してるみたいよ。アフタヌーン少女のメンバーもみんな作曲家の先生のちんこをしゃぶってるし。そうしないと曲を提供してやらないぞ、なんて言われたりしてね。わたしたちも若かったし、作曲家の先生のアソコにも興味があったから、進んでしゃぶってみたんだ。なかなかの味がしたわ。そうするうちに、アフタヌーンも売れ出したっていう事なのよ。」
美貴子はその頃を回想する。

初老のその作曲家は自宅のマンションの防音設備が整った部屋でピアノを弾きながら美貴子を指導していた。美貴子が誤った音を歌うと、
「だめだめ。そんなノドじゃ、素人だ。今から、プロの歌手としてデビューする。そのためにはな、特訓が必要だ。」
部屋の中には美貴子とその作曲家だけだ。白髪が少し混じったその男は、
「特訓についてくる勇気はあるか。」
と美貴子に聞いた。美貴子は有名な歌手になれるのなら、と思い、
「はい、がんばりますのでお願いしますっ。」
と元気よく答えた。男はうなずくと、ピアノの椅子に座ったまま美貴子に姿勢を向けると、右手でズボンのチャックを引き下げ中からダラリとしたモノを出した。それはまだちいさなソーセージのようなものだった。美貴子はハッとしたが、平静を顔に装った。作曲家は美貴子の眼を見ると、
「どうしてるんだ。咥えなさい、私のちんこを。」
と促してくる。美貴子は、きゃっ、恥ずかしいなどという反応はせずに思い切りよくそのソーセージを跪いて口に入れた。アンモニアの匂いが少ししたが、ソレは少しずつ大きくなってくる。やがてそれは美貴子の口の中に広がった。男は満足そうに、
「君は舌の動かし方がうまいようだね。いい歌手になれるよ。そのまま続けていい。そうだな、今練習している曲をハミングしてみなさい。」
美貴子は新曲を作曲家のモノを咥えたまま、ハミングした。男は、
「よーし。なかなかいいよ。こういった訓練はいずれ役に立つ。テレビ局のプロデューサーやディレクター、それから業界の大物に求められた時もためらってはいかんよ。スターダムにのし上がるには、こういった接待が必要なのだからね。それを知らん若造はアイドルになればキャーキャーと騒いでくれるが、それが君たちのビジネスだ。うっ、おおー、もう久し振りだなー。出すよ、出る出る、打ち出の小槌。」
作曲家は身をのけ反らせると美貴子の口の中に緩やかに放出した。美貴子は吐き出すとまずいかな、と考えて全部それを飲み込んだ。それを見た作曲家は大満足のようだった。後年、その作曲家は美貴子のソロアルバムの曲を全部作ってくれた。

ハッと我に返った美貴子の前で、管理人がズボンのベルトを締めているのが見えた。三船は、
「藤村さん。今月の管理費はいいですよ。ぼくが出しておきますから。」
と提案すると、美貴子はしめしめという顔をして、
「そうしてもらえると助かります。これ位でいいのかしら。」
「もちろんですよ。デリヘルはもう少しするし、て、それと比較してはいけないと思います。ただ、風俗の女性は中洲でも三十歳未満が常識です。」
「あら、それならわたしは失格ね。もう三十だもの。」
「普通の三十歳とは違いますよ、藤村さんは。」
「嬉しいな。ああ、カーテン開けますね。どこからも見えないし。」
「失礼します。藤村さん。」
そそくさと、三船は玄関に移動した。その日は五時半にいつものように管理業務は終了したが、それから中央区大名にある繁売住宅の本社に藤村家の管理費を三船は届けに行った。というより、近くのゆうちょのATMで自分の口座から一万千円を卸して持っていったのだ。
本社一階の業務部で三船は、
「サンパール博多駅南の藤村さんの管理費ですが、奥さんに直接預かってきました。奥さんが忙しくて振り込めないとの事でしたので。」
業務部の若い女性が三船に近づいてくると、三船が差し出したお札を受け取り、
「社長が三船さんが来たら、社長室に来るようにとの事です。」
と事務的に話す。三船が戸惑うとその女性は続けて、
「社長室は最上階の十階です。エレベーターで行けます。」
三船は踵を返すと、エレベーターで社長室に駆けつけた。社長室のドアの横にパナソニックのテレビドアフォンがあった。それを押すと、
「三船さんですね。お入りください。」
秘書らしい女性の声がする。管理人服の三船の姿は社長室の秘書の机の上にあるテレビパネルに写っていた。三船が中に入ると、秘書の席のすぐ後ろにある大きなデスクに座った人物が社長だった。六十代に見えるその姿は、でっぷりと太って血色がいい。まん丸顔の社長は立ち上がると、
「やあ、三船君。集金、ご苦労さん。君に話しておく事がある。応接室に行こう。」
社長は部屋を出ると、三船を手招きして隣の応接室に入った。三船もその部屋に入ると、ドアを閉める。自動的に外のドアの上のほうにあるランプがついて、
「来客中」
の表示が出た。社長は背広姿にネクタイでソファに座ると、
「まあ、かけたまえ。」
「はい。」
三船が社長の真向かいに座ると、社長は上着のポケットからハバナの葉巻を出して火をつけた。一本を三船に手渡し、
「ライターは持っているか。」
「はい、百円ライターを持っています。」
社長はにや、と笑うと、
「私がつけてやろう。ダンヒルの金だ。」
テーブルの上に置いた豪華なライターで三船に葉巻の火をつけてやった。三船は恐縮して、
「恐れ入ります。こんなライターは初めて見ました。」
社長は得意そうに、
「そうだろう。65400円もする。君もいつか持ちたまえ、な。」
「わたしなど、とても・・・。」
「まあ、まあ。夢は持つものだよ。私もね、小さな場所でやっていた不動産の仲介業者だったけど、倹約して分譲マンションを建てていった。最初のうちはただ、次のマンションを建てるために資金を残すので精一杯だったし、ダンヒルどころか、もらいもののマッチで「わかば」を吸っていた事もある。何十年も経つと、どうにかここまできたのさ。君が自分の金で藤村さんの管理料を持ってきたのも分っているよ。」
三船は驚愕の顔つきで、
「どうして、ご存知なのですか。」
「いやね、藤村さんから電話があったんだ。十日もすれば返すという事だった。それからね、藤村さんのたっての希望で、藤村さんの修繕積立金は半額になったからね。」
「はあ、それは了解しましたが、でもお得ですね。」
「そう。あるプランを提案したんだよ。管理量も払うのに困っているのなら、と思ってね。」
三船は好奇心がムクムクと起こり、
「そのプランってどんなものなんですか。」
「今のところは、まだ君には秘密だ。そのうち話す事もあると思うよ。ご主人も了解済みだそうでね。」
謎のプラン、なんなのだろうと三船は思ったが、他人事でもあり社内秘でもあるのなら自分のような一管理人が知るべき事ではないだろうと思い、
「その件も覚えておきます。ただ、入金チェックは私がする事ではありませんし。」
「そうだな。本社でやっている。今日は、君の管理人としては稀な行為に私から礼を言おうと思ってね。」
柔和な笑みを浮かべた社長の顔は、いい人柄が滲み出ていると三船は思った。社長は葉巻を吸うと、オニックスの灰皿に置き、-そのオニックスの灰皿は縞目模様の天然石だ、
「今日はゆっくりと葉巻を吸って帰りなさい。」
「はい、有難く頂戴いたします。」
「ふむ。君は管理人には勿体無いな。私は管理人さんをすべて知っているわけではないから。」
「いえ、私などは人生の落ちこぼれですから。」
「なにを悲観的な事を。君はまだ四十歳なのだろう。これからだよ、本社の仕事もやってもらうように考えておく。」
三船は葉巻を吸うのを止めて、
「本当ですか、社長。そんなにいい話、夢みたいです。」
「私がウソをついて、どうなるかね。しばらくはもう少し管理人業務に励んでくれたまえよ。」
「はいっ、社長。」
その日はアパートのぼろい部屋も気品が現れたような気に三船敏行は思ったのであった。

 次の日も三船はサンパール博多駅南の管理人室で掃除の後の午前中をボンヤリと管理人室に座って、過ごしていた。目の前を住人の一人が通り過ぎるかと思うと、三船に気づいて、その三十代前半の女性は声をかけてきた。中背だが肉感的なスタイルの二重まぶたの色気漂う雰囲気で、
「管理人さん、今日仕事が終わったらヒマですか?」
「ええ、ヒマではありますがね。」
「五時半に終わるの?ここの仕事。」
「ええ、大抵はそうですよ。」
「じゃあ、迎えに来るから待っててよ。」
「え?ええ?」
三船が何か言おうとすると、その女性はオートロックを開けてマンション内に入った。(どういう事だろう。でも、待ってないといけないかな。)三船の頭の中に社長の-業務に励むように、という声が聞こえた。(これも業務かあ)と思ってみたのだ。それから集合ポストの前に行き、大きなゴミ箱に捨ててあるチラシを更に大きな収納箱に入れる。たまったら廃品回収業者を呼んでトイレットペーパーに交換してもらう。そのトイレットペーパーは管理人室の便所で使う。この集合ポストのチラシを住民が捨てるのを嫌って、つまり何もしたくないからだが、チラシを禁止している分譲マンションが多いのはご存知だろうか。こういった事もしないマンション管理会社や管理人は究極の怠け者である。が、かなりあるのは事実。こんな分譲マンションに入居している住民はチラシを拒否しているために情報弱者となっていくのは必定なのだ。三船の勤める繁売住宅では、サンパールマンションのすべてにこのゴミ箱を設置している。こういった良心的な分譲マンションは実は少ない。であるからして、チラシ禁止の分譲マンションに入居したら出世は望めないものと思ってよいだろう。チラシ一枚も情報なのだ。今の社会で何が流行っているのか、売れているのかさえ掴めない様では、この社会で成功することなどあり得るはずもない。
それが終わると、マンション前の緑地に水をやって、マンション内に入ると全部の通路を歩いて行くのだ。
「今日も異常はなかった。」
管理室に戻って三船敏行は呟く。それからズボンのポケットに手を入れて、さっきゴミ箱の中から見つけた一つのチラシが入っているのを確かめた。それは、風俗のチラシだ。実はこれは、福岡市の条例で配るために持つ事さえ不法であるとされている。デリヘルのチラシである。三十分、一万二千円からある。そのコースはフェラチオして終わりだが、オプションもついている。ディープキスだのアナルセックスとか追加を頼めば料金も上がる。敏行はこのマンションの近くの古い木造アパートに住んでいるので持ってかえって、ジックリと眺めるつもりだ。彼は独身なので風俗には精通している。アフター5:30にはマンションの住民は敏行を見る事もない。が、今日の五時半にはあの女性が迎えに来るという。で、五時半になった。敏行は管理人室のカーテンを閉める。マンションの玄関外で待っていると、
「お待ちになったかしら。」
と問いかけるのは、あの女性だ。
「いえ、待ちません。」
「そう、それなら大通りに出ましょう。」
二人は車が常に通る四車線の道路に歩いて行った。その女性は、車道に近づくとタクシーを止めた。黄色いタクシーは、すぐに止まった。その女性は後部座席に先に乗ると、
「乗ってくださいよ。」
と笑顔で誘うので、敏行も乗り込んだ。女性は、
「宗像のホテルまでね。」
運転手は、
「宗像のホテルって、いっぱいありますよ。」
「宗像に着いたら、わたしが道を言うわよ。発進してね。」
「わかりました。」
宗像とは福岡市の北東にある人口九万六千人ほどのベッドタウンだ。住宅がある以外は水田ばかりの所と言えば分りやすい。タクシーはまずは福岡市東区へ向かう。敏行の右に座った女性は、
「自己紹介もしてなかったわね。神具瑠真子(しんぐ・るまこ)って言います。シングルマザーなのよ。中洲でキャバ嬢してるからー、あのマンションもパトロンにキャッシュで買ってもらったのね。福岡市の財界のおじいさんだけど、月に二回訪ねてきてセックスして帰っていくのよ。」
敏行は前の運転手が聞いていたら、と思ってバックミラーに映る運転手の顔を見たが表情を変えない。それならと答えて、
「月に二回って・・・そんなもんでしょうね。」
「他に二回は別の女のところに行ってるみたいよ。だから、毎週一回はイタシテイルのよ。」
「へええ。なかなかの方ですね。管理人室からはお見かけしませんが。」
「六時過ぎに来るから、見ないでしょうね。奥さんはもう、おばあさんらしいわ。奥さん公認だから、気楽みたいよ。」
敏行は自分の股間に瑠真子の左手が置かれるのを感じた。爪にはマニキュアで、色は黄緑色だ。ネイルサロンで手入れしているのだろう。瑠真子は左手に力を入れると、
「でも、わたしも月に二回じゃあ物足りなくってさ。管理人さんは普通の管理人より若いようだけど、と思って。独身なんでしょ?」
「そうです、よくわかりましたねー。あうっ。」
瑠真子の左手が敏行のモノを掴んで左右に動かしたのだ。
「水商売ならそれくらい見抜かないと、やっていけないわよ。わたしナンバーワンなのよ、指名でね。あら、もう硬くなってるのね。たまりに溜まった山奥のダムってところなのかなー。」
敏行は半年前に中洲のピンサロで連続三回抜いてもらってから、射精していなかった。それを答えるわけにもいかないので黙っていると、
「わたしも、この前じいさんが来てから十日たってるし、中年のあなたの方が魅力的だわ。おっぱい触ってよ。」
「い、いや、こんな場所では・・・。」
瑠真子は左手で敏行の右手を掴むと、自分の左胸に当てた。見た目より豊満な感触だ。特につかまずに当てていると、
「握ってみてよ、あ、はーん。もっと強く。あなたのモノも力強くなってる。ホテルまで我慢してね。」
外は箱崎から名島に向かう道路で歩道の人は多くはない。国道に沿って歩く人はそういないのだ。敏行はゴムマリを掴んで遊ぶように瑠真子の左の乳房を揉んでみた。はあはあ、と瑠真子の息遣いが荒くなる。彼女は敏行のズボンのチャックを降ろすと巨根を取り出した。そのコーラの瓶のようなものを見て、
「すっごいなー。これなら、ホテルに着く前に一発出しても大丈夫だわね。」
瑠真子はポンっと飛び上がると、敏行の膝の上に乗った。それから足をタクシーの床につけてスカートの中からパンティをずり下げると素早く自分の秘密の部分に敏行の瓶を当てると自分で腰を沈めて貫通させた。
「あああん、いいっ、すごい、すごーい。」
瑠真子は大声で悶えまくった。運転手の耳に届かないはずはない。しかし、運転手は安全運転を続けている。敏行の左の目には窓ガラスを通して流れる香椎の町が見える。香椎神宮は右手に数百メートルのあたりにある。古く大きな有名神社だ。瑠真子の左目はそちらの方を向いていた。
「ああ、香椎神社の近くねえっ、おまんこいいわっ、まんこ、いい。もっと突いていいのようっ!神社で、ああ・・・わたしのマンコ、締まってる?」
敏行は右目で窓ガラスの外を思わず見ながら、
「はいっ、締まってます。香椎神社も閉まってますよ、もう。ううーん。」
瑠真子が激しく腰を振り始めたのだ。敏行はすぐにイキそうになるのをこらえていると、タクシーの車内は瑠真子の愛液の匂いが充満した。バックミラーに見える運転手の顔の唇は笑っているように歪んでいる。信号が赤になってタクシーが停止すると、歩道の人は車内の様子には気づかないようだ。瑠真子は動きを止めている。青になって発車すると彼女は腰を動かし始めた。瑠真子は断片的に喘ぎ声を洩らしている。今まで黙っていた運転手が口を開いた。
「白バイが走ってきてますよ。捕まっても知りませんからね。」
瑠真子の耳には聞こえなかったようだが、敏行の耳には聞こえた。それで、
「瑠真子さん、一旦、ああ、やめませんか?」
「いい、時にやめられないわよ。公然な行為じゃないでしょ、だから白バイも気づかないわっ。」
白バイはタクシーの左側を通過していった。前方のバイクのスピード違反を追いかけていたらしい。そのバイクが白バイに呼び止められ停車したところをタクシーは楽に通過していった。それを左眼で見て安堵した敏行は熱い液体を瑠真子の体内に放出してしまった。ビクッと体を震わせると瑠真子は腰の動きを止めて、敏行にキスをすると体を離して後部右側の座席に戻る。パンティを元に戻すと、
「運転手さん、すみませんでしたね。わたし、欲求不満で場所も弁えずに。」
「あはは。いいんですよ。最近はよくある事です。昨日なんか、三人のお客さんが乗ったんですが、後ろに男女一名ずつと、助手席に女のお客さんです。やっぱり長距離だったんですけど、後ろの方達がやりはじめたのは気にしなかったんですが、私の隣の女性のお客さんが私の・・・その、股間に手を伸ばしたんで、びっくりしました。それだけは、やめてもらいましたけどね。短大生とかいう長髪のおとなしそうな人だったから、人は見かけによりませんね。私は熊本出身ですけど、福岡市の乗客って・・と熊本の同業者に携帯電話で話したんですけど、そしたら来月に私のタクシー会社に転職するって言うんです。」
後部座席の二人は黙って聞いていた。
「そういう事って、最近よくありますよ。初めてじゃないからもう動転はしないとですよ。熊本でタクシーを運転していた時は流石に、いませんでしたけど。そういうお客さん。福岡ってすごいなあ、と思いますたい。」
敏行は質問してみた。
「その後ろの方も学生さんでしたか。」
「いや、その二人の人達は若い会社員の男女でしたね。男性は背広にネクタイだったし。あ、福岡市を出ましたよ。」
古賀市に入ったのだ、突然に田舎めいた雰囲気の景色となる。田畑が見えるわけではないし、町らしい建物は続いているのだけども何処となく福岡市とは違う感じがある。この古賀市に山崎パンの工場がある。国道から見えるような所にはないのだが。宗像市に入ってからは瑠真子が道を運転手に指示して一軒のラブホテルに到着した。瑠真子はラブホテルの入り口で、
「休憩にしておきましょう。」
と話しかけると敏行の右肩を叩いた。首を素直に振って敏行は同意した。宗像のような小人口の場所でもラブホテルは四、五軒はある。宗像市内にも不倫カップルはいるだろうし、それ以外の場合にも使われるために存続しているという状況である。今の社会は不景気であると言われる。が、しかし宗像にラブホテルがあるという事は本当の意味で不景気なのか、と問いたいものではあろう。というのも休憩だけでも三千円から四千円位はするものだからだ。不景気を嘆くのは職業の選択を誤っているのではないだろうか。滅び行く産業というのはいつの時代にもあるものである。
 宗像のそのラブホテルは広々とした部屋であった。潰れないのもサービスの良さなのか、フロントでドリンクを二本、二人はもらったが部屋に入って瑠真子が、
「これ、精力ドリンクよ。さすがにいいサービスしてるわねっ。」
と笑顔の波を漂わせる。敏行もうなずくと、それの栓を開けて一気に飲む。途端にムズムズと股間の辺りがしてきた。瑠真子もうまそうに飲んでいる。顔を紅潮させると、
「女のわたしには、こういうの効くのかな。初めて飲んだけど。」
ベットサイドのテーブルには小型の機械がある。それに気づいた瑠真子は、
「これ、美顔器だわ。使ってみるか。」
手にとって顔にローラーを当てて、
「なかなか、いい感じだわ。もう一つあるけど、これは・・・。」
「バイブですね。中々大きいものです。」
敏行が続けて発言した。彼は瑠真子の隣に立っている。瑠真子はクスっと笑うと、
「あなたのモノの方がこれより大きいわ。これを使う必要はないでしょ?」
「えへへへへ。」
ベッドに座ると目の前に大きなビデオ再生の画面がある。瑠真子は、それに近づくと、
「お金入れなくてもいいみたいよ。見放題だって。有名メーカー目白押し、SODクリエイト、プレステージ、ベイビーエンターテイメント、h.m.p、ラハイナ東海、Waap、桃太郎映像出版、オフィスケイズ、MAX-Aらしいわよ。」
「AVのメーカーは三百社以上ありますよ。もっとあるはずですが。」
「ここのは表示されてるのは、これだけだけど。一度アダルトビデオ見ながらやりたかったんだあ。パトロンは嫌がって、してくれなかったけどね。」
「ぼくは、構いませんよ。新鮮味はあると思いますよ。」
「よかった。つけてみるから。」
瑠真子はSODクリエイトのチャンネルを選んだ。素人ものが映し出される。出演している女性が裸になるのと合わせて瑠真子も裸になり、セックスを始めると瑠真子も敏行にしがみついてくる。映像の中の体位と同じ体位で敏行と瑠真子もセックスして、男優が顔射の体勢に入ると瑠真子は、
「あなたは中に出していいわようっ!」
と声を上げたので敏行は、
「ああっ。」
と抜かずに二発、中出ししてしまった。それでもチンコは中々小さくなるのには時間が、かかった。

帰りのタクシーでは瑠真子は前の助手席に座り、十分位して運転手の股間に右手を当てたが運転手は何も言わない。瑠真子はズボンの上から運転手のナニをこすり始めると、
「海に突っ込みかけた事がありましてね。彼女とドライブしていると、海ノ中道海浜公園に行ってたんですけど。彼女がズボンのチャック開けて、ぼくのパンツの上から握ったんです。止めさせたから、海に落ちなかったんですけど。」
と静かに語ったので、瑠真子も手を離したのだった。タクシーは静かに走行して、博多駅を通過した。帰りは早く感じられるのは、夜になったので夜景のために眼が追う対象が少ないせいかもしれない。瑠真子は自宅のマンションの少し前にタクシーが来ると、
「ここで停めて。管理人さんも、ここでいいでしょ。」
そこは三船敏行のアパートの近くだったので好都合だ、
「あ、この辺が助かります。」
タクシーは停まり、瑠真子は料金を払った。二人が降りるとタクシーの運転手は笑顔を浮かべて、ハンドルの近くの冷蔵庫らしきボックスからキリンの一番搾りを取り出すと窓ガラスを開けて、
「お客さん、ビールでも飲んでください。おつりもらったのが多すぎるから。」
瑠真子に呼びかけて、彼女はその冷えた缶ビールを受け取ると、
「これは結構なものね。わたしいつも仕事で飲んでるから、管理人さんにあげる。」
敏行に渡した。のどが渇いていた敏行は、その缶ビールを開けて飲み始めた。瑠真子は敏行に、
「これから時々行きましょうよ、長距離ドライブに。今日みたいに費用はすべてわたし持ちでいいから。泊まりはできないの、わたしシングルマザーだから。じゃあ。」
そういえば、そんな感じだと酔いが回り始めた敏行は瑠真子の黒い服を後ろから見ながら思っていた。部屋に帰ると六畳の部屋でポケットからマンションのゴミ箱の中にあった風俗のチラシを見ると、(今日はもちろん、一週間は持ちそうだな、性欲は。)と思い、それを部屋の片隅に放り投げた。敏行は福岡に帰ってから未だデリヘルを呼んだ事がない。自宅に来られるのも何かと都合がいいとは思えない。2005年頃に風俗のチラシ、主にデリヘルだが福岡市は市の条例でこれを禁止してからというものデリヘル業者はインターネットでホームページを作って宣伝するしか手がなくなったのである。敏行のアパートは木造ではあるがインターネットは光ファイバーを無料で見れるタイプなので、福岡 デリヘルで検索すれば四百十六万件も出てくる。もちろん四百十六万もデリヘル業者がいるわけはないので、いかに多く紹介されているかという事になる。
 ネット上でも福岡のデリヘルは評判がよく、出張で福岡に来たビジネスマンも利用しているらしい。だが、これからの敏行にデリヘルが必要かというと、もしかしたら瑠真子の誘いの回数によっては不要となるに違いない。勤務時間外にマンションの住民とナニをしようが問題ないではないか。何をしようが、というのが普通の場合ではあるが。敏行はナニを瑠真子とするわけである。そういえば、あの元アフタヌーン少女の藤村美貴子とも今後又、何かあるのかもしれないし。思えば金に恵まれない敏行ではあるが、サンパールマンション博多駅南に勤め始めてから女に不自由しなくなるみたいだ。確かに自分は仕事に恵まれないから金にも恵まれない。だけども・・・敏行はパソコンを立ち上げてポータルサイトのニュースを見ると、資産家の夫婦が惨殺された事件が出ていた。五十代の夫と年下の妻で高級車を二台も乗り回していたお金持ちだったが、首を絞められて埼玉に埋められていたという。それを見て敏行はお金持ちでも、こうなったら一巻の終わりだと思った。自分は東京で派遣の仕事を失ったが命までは失ってはいない。分譲マンションの管理人の仕事も一般サラリーマンよりは、性的に欲求不満の女性、熟女と関係を持つことができるし遣り甲斐のある仕事だと思った。ヤリ甲斐のある仕事である。
 さすれば、自分もそうであったが夢か幻のような大金など考えずにこれから生きていけばいいではないかと敏行は思う。先の事件を考えるにあの資産家は犯人にとっては唯の札束に過ぎなかったのだ。殺せば使える大金が、という思いしかなかったから犯行に及んだ。金持ちにまつわる犯罪はよくある話だから、敏行は自分の金欠は幸運ではないかとも思う。だから管理人になって、熟女と色々な性の関係を持てる状況になったのだ。これを天に感謝せずにおれようか。自分は独身だが、先の資産家夫婦みたいに殺される事はまずない。ビールの酔いが回ってきた。がビールだから軽いものだ。すぐに醒めていく。(えーい。もっと飲んでやれい。)敏行は西鉄バスで中洲に行った。福岡市にはこの西鉄バスというバスしかない。バス会社としてはバスの保有台数が日本一で、東京のバス会社が日本一ではない。西鉄は日本一どころか世界一のバスの保有台数を誇るらしい。
 中洲のとあるバーに入ると、一人の女性がカウンターに座っていた。敏行の小学校の頃の同級生で福岡市のローカルテレビ局のアナウンサーになった福美伸子(ふくみのぶこ)だ。彼女の姿はネットの動画でも見れる。一時期の女子アナブームの時は三十代だったが、どうも独身を通したらしい。というのはローカルなフリーペーパーに福美伸子のインタビューをしている記事が載っていて、彼女の経歴が書いてあったからだ。小さい頃の顔の感じはやはり残っている。(あのおとなしかった福美がアナウンサーなんて。)敏行は東京に就職していたから知らなかったのだ。敏行は思い切って彼女に近づき、声をかけてみた。
「福美さん。実に久し振り。おれを覚えているか。」
福美伸子は三船敏行を振り仰ぐと、
「まあ、三船君やろ。覚えとーよ。」
とアナウンサーらしき声で答えた。この声が職業的に鍛えられて子供の頃とは違ったものになっている。三船は自分を覚えてくれていた嬉しさに、
「となりに座ってもいい?」
「いいよー、もちろん。」
三船は巨体を福美のとなりの席に乗せると、伸子は顔を敏行に向けて聞いてくる。
「三船君は仕事は何をしてるのかなあ。」
吐く息が酒臭い。照れたように敏行は、
「分譲マンションの管理人をやってるよ。」
「あら、そういうのはもっと歳を取った人の仕事じゃないかな。」
「うーん、でも他に仕事がなくてね。東京で仕事がなくなったから戻ってきたけど。」
「ふーん。わたしもね、フリーのアナウンサーになったけど、今、テレビって予算がないからギャラは減ったわ。結婚しとけばよかったなあ、て思う。」
「そうねえ、福美はおとなしかったから、まさかアナウンサーになるとは思わなかったよ、ほんと。」
「大学の先輩に好きな人がいて、その人が入社したテレビ局に後を追って入社試験を受けたら合格できたんだけど。その先輩はわたしの事は好きではなかったらしくて、わたしの同期のアナウンサーと結婚してしまったのよ。」
福美は少し涙目になった。敏行は哀れに思って、
「そういう事は結構あるかもしれないし、気にしなくてもいいよ。」
「うん。もう気にはしてない。その同期とは親友だったからショックはあったけど。彼女のだんなさんとは話はしないけど、彼女とは携帯電話で話をすることもあるのね。」
「それは、そんなものかな。」
「彼女の住んでいるマンションは分譲マンションで博多駅の南にあるのよ。確かサンパール博多駅南とかいったかしら。」
(そこのマンションの管理人をしている)と敏行は言おうかと思ったが、何か間に立つような感じがして言わない方がいいと黙っていると、
「三船君の勤めている分譲マンションって何処?」
と鋭く福美は聞いてきた。
「そのサンパール博多駅南だよ。」
福実は大きく眼を開くと、
「まあ。奇遇ってこういう時に使う言葉だわね。そしたら、わたしの同期のアナウンサーと顔を合わせてるかもよ。」
「うーん。どうかな、住民の人の名前までは全部知らないからね。」
「矢張(やはり)っていうのよ、彼女の姓は。旧姓は一時(いちとき)って言うんだけど。」
一時アナウンサーは福美伸子より遥かに美人だった。福美はおとなしくて目立たないアナウンサーだったが、一時美歌(いちときみか)が寿退社してから少しずつ頭角を現していったのだ。
「矢張さんなら、やはり知らないよ。管理人と親しく話をする人はあまりいないから。」
「そういうものなのね。美歌もわたしと同い年だから四十歳。三船君も同じでしょ。昔若い頃は美人でも、今は歳相応の顔になってるわ。」
「元美人アナウンサーらしき人は、記憶にもないよ。普通はよく見ても横顔だからね。」
そういえば福美の横顔も、もう若くはなかった。三船は、さっきシングルマザーとセックスプレイに励んでいたのが夢のように思われた。福美は三船の頭の上を見ると驚いて、
「矢張さん、でしょう?お久し振りです。」
と声を出した。敏行がそちらを見ると、背広姿の中年男性がゆったりと立っている。その男は形式的に微笑むと、
「お久し振り。福美君、いやもう退社したから福美さん、かな。酒は控えめにした方がいいよ。肝臓を悪くするのは知ってるだろうけどね。」
矢張の顔は普通だが苦味のあるのが魅力的だ。彼はテレビの画面には顔を出さない部署で働いている。福美は少し頬を膨らますと、
「もう上司でもない矢張さんの意見なんか聞きませんよ。奥さんは、お元気ですか。」
「元気ですよ。たまには家内もいるし、うちのマンションに遊びに来たらいい。家内は、お茶とか習ってますから。」
敏行は、この男性の顔も今まで見た事はなかった。苦味はあるが、平凡な妻帯者って感じで別に女性にもモテはしなさそうだ。いかにも愛する妻がいます、という顔であるから。こんな男性を福美伸子は好きになったのか。そういえば福美伸子の人相は幸薄いような気もする。福美は矢張の提案には答えないでいると、矢張は店の奥に立ち去ってしまった。福美は下を向くと、
「どうでもいいや、あんなやつ。」
と呟いた。敏行は福美のグラスを見ると、
「確かにすごいペースだなあ。女性の深酒なんて様にならない、かもね。」
福美伸子は、それに逆らうようにグラスの残りを飲み干すと、
「マスター。おかわり、注いでねー。」
店主はうなずくと、カクテルをシェイクし始める。福美は酔いが回ってきた顔で敏行を見ると、
「矢張に失恋したあと、わたしにも何人か彼氏はできたんだけどね、みんな深酒で逃げられたのよ。それというのもね、矢張に去られた日、いや一時美歌の結婚式の後で深酒をしたけど、それが習慣になっていったんだわ。それからの彼とデートをして飲みに行くと、わたしの方が余計に飲んでしまって呆れられて、連絡が絶えるのよ。」
福美は右耳に掛かった髪の毛を掻きあげると、
「それでも酔いが醒めるのは早いのよ。四十って女としては女でなくなっていく歳だと思っていたけど、今のわたしがその歳になったから。」
「ぼくも四十になった自分なんて考えられなかったけど、マンションの管理人をしているなんてもっと考えられなかった。」
福美伸子は、あはは、と笑うと、
「ニュースをやることもあるけど、最近市内の分譲マンションで六十歳の男性管理人がマンションの敷地内の立ち木に立小便をしているところを住民に見られてクビになった原稿が来たけど、その時、緊急で他のニュースが入ってきたから読まなかったことがあったけどな。三船君は大丈夫よねえ、そういうのは、ね。」
「ああ、でも福美さんがアナウンサーでよかったよ。芸能人なら、こんなところでも写真に撮られる可能性もあるでしょ。」
「そうねー、わたしが芸能人?アナウンサーになるのも迷ったのよ。人気のある職業ではない頃に入社して、他になり手がいなかったから仕方なくやってたら女子アナブームとかになって、結構わたしも祭り上げられたわよ。なんでブームになったのかは、あの頃、いいニュースが多かったからと思うのよ。」
「あー、ベルリンの壁を崩すとか、ソ連の終わりとか、かなー。」
「そうね。最近はいいニュースはないし。ここ三年は沈んだものばかり。東北の大震災はそれの最たるものだわ。でも、政権も本来のものになったから、これからは明るいニュースも増えるのかな、って。」
敏行は、そうあって欲しいと思った。いや、自身については明るい話題は女性とのセックスがすでにある。だから、
「福美さん。男ヒデリは長いのかな。ぼくでよかったら、ぼくも独身だから。」
福美伸子は流し目で小学校の同級生を見ると笑顔で、
「小学校の同級生って、いつまでも子供の時のままみたいな気持ちがするのよ。わたしたち、今日会ってしまったけど普通は顔も見なくなる場合が多いと思うな。三船君も巨体で顔も大人だけど、なぜかわたしには小学校の時の三船君に思っていた感情しか湧かないのね。小学生の時って、性的なものって男女間にも感じないでしょ。三船君は、わたしにとってはいつまでも小学校の同級生なのかもね。」
敏行は酔ってはいたが、意識はあった。そのまま福美の意見を受け入れていいのだろうか。自分には魅力がないのを福美は遠まわしにそんな言い方で、諭しているのではないだろうか。
「福美さん、ぼくに魅力がないって事かな。それならそう言ってもいいよ。同級生じゃないか、遠慮しないで言ってくれないか。」
福美はいたずらっぽい顔をすると、
「逆にわたしに魅力があるの?四十になった女なのよ。」
そう言われて三船敏行は福美の顔から下をゆっくりと酔いながら眺めてみた。胸は膨らんでいるし、ヒップも大きい。敏行は一息つくと、
「福美さん。いい体しているよ。四十なんてもんじゃない。三十だなー、この体は。」
「あら、ありがとう。そう言われれば、三船君の体も素敵に見えてくる・・・。」
「アナウンサーで、しかも福岡地方だからゴシップにもなんにもならないよ。今からでも、ホテルへ行こう。」
「ええ、いいわよ。」
二人は店を出て歩いて近くのシティホテルに入った。部屋に入ると、三船敏行は福美伸子をお互い服を着たままで抱いた。福美は眼を閉じた。それと同時に敏行も眼を閉じると、ドウと後ろのベッドに倒れこんだ。そして、そのまま眠ってしまったのだった。
翌朝、三船が起きるとベッドの枕元にメモが置いてあった。

楽しい思い出をありがとう 何もしなかった三船君はステキです 

わたしは泊まらずに帰ります

福美伸子

(そういえば、あのシングルマザーで出し尽くしていたのかもなあ)

翌日は日曜日で三船敏行は管理人の仕事は休みだ。他に祭日も休みだし、盆と年末年始も休みがある。休みの日が来ると、実にホッとする気がした。管理人の仕事は気が楽そうに見えるが、じっと座っているのも年寄りならいざ知らず、四十歳の敏行には退屈に感じられるのも苦痛だ。それで休みの日は昼近くまで寝ている事になる。休みの前日はアダルトビデオをパソコンで見る。DVDのディスクはビデオテープより小さいとはいえ、ある程度買うと積み重ねた上下の高さも高くなってくる。人は滅多に来ないが、万が一のために眼につくところには置けないものである。それで最近はHDDの容量が150GBのノートパソコンを買って、アダルトビデオをダウンロードして見るのだ。一本の作品が1GB前後なので旧型のパソコンではすぐにHDDは一杯になる。フリーズしてしまう事も多かったのだ。又、早くダウンロードするために光ファイバーにする必要があった。こういった動画を見るためには光ファイバーで見なければスムーズに画面が流れなくなる事もある。
が、しかし、だ。アダルトビデオに出ている女性はほとんどは東京か、その近くの女性が多いので福岡市で見る女とは少し違う気がした。それに画面の中の女は取り出してみるわけにもいかない。素人の女性も簡単に出演してしまうけど、あれは画面に交渉のところを大抵写さないが、一万円札を何枚も見せて出演交渉をするのは敏行も知っていた。それなら自分にはできない事だと敏行は思う。休日の町を歩いても、女性は敏行をろくに見もせずに通り過ぎる。
昼前に起きた敏行は、菓子パンをコーヒーで胃に流し込むとネットサーフィンで福岡市の風俗店を見てみた。その数何と驚くなかれ、福岡市全部で2700以上もあるのだ。各区ごとに数百単位である。それだけ需要がある、という事は敏行みたいな彼女のいない男性は多いのだ。(彼女がなかなかできない人は多いなあ。福美伸子は彼氏が、というより旦那を見つけられなかったが、おれもキスもできずに終わってしまった。あいつには何か男を寄せ付けない何かがあるのかもしれん。)
ついでに敏行は北九州市の風俗店も調べてみた。すると、全部で500程度だ。福岡市となんという差だろう!北九州市の男性は真面目なのか、すぐに彼女を見つけるかのどちらかではないか。
敏行は出会い系にも入っているが、風俗店はこんなに多いのに女性からメールが来る事は、ほとんどない。年齢も正直に分類しているせいもあるのかもしれない。
考えてみると福岡市には出張でビジネスマンが来る事が北九州市より多いために、風俗店の数も多いという事も考えられる。福岡市に出張というビジネスマンはネット検索で簡単に風俗店やデリヘルを見つけ出せる。そんな事も数多くある都市であるとは、町を歩いても感じられない敏行ではあった。昼過ぎに自宅近くを散歩してみる。性的なものを感じられないのは当たり前だ、博多駅南という土地にはラブホテルもないのだ。博多駅前に一軒のラブホテルはある。
その事を敏行は知らないが、南に向かって歩いていると竹下というアサヒビールの工場がある土地に来た。そのビール工場の手前辺りにあるラブホテルの近くに敏行は歩いて来てしまっていた。駐車場完備らしい。紺色のベンツが悠々と出てきたではないか。敏行は思わず運転席を見てしまった。あっ、あれは・・・
矢張だ。この前、中洲のバーで会ったから覚えている。助手席には若い女性が乗っていた。奥さんか?そんな事はないだろう。福美伸子と同い年なら四十のはず、第一奥さんとラブホテルに入る男性はまず、いないぞ。と思っていると、その大型のベンツは次第にスピードを上げて走り去った。浮気、不倫、男性の・・・敏行の頭に言葉が浮かぶ。福美は、あんな男と結婚しなくてよかったのだ。福美伸子は幸せには、なってないかもしれないが不幸にもならないですんだ。三船敏行は小学校の頃の福美を思い出していた。(よかったな、福美。おれは同級生として安心した。この事は、福美に伝えてやろう。)

熟女の近未来の性生活

近未来の不動産会社OL

美山響子(よしやま・きょうこ)は、三十歳、不動産会社勤務、独身、身長百五十八センチ、88>59>89のサイズで、通勤はフェラーリで通勤している。
満員電車では必ず、痴漢された。美山響子は男性の好みは限定されていたので、多くの男に触られるなど気分のいいものではない。もちろん、大抵の女性なら痴漢は気分が悪いものだが。それで、二千万円クラスの黒のフェラーリを現金で購入した。
インターネット検索で、フェラーリの販売店を探し出したのだ。フェラーリの公式ホームページから探せる。響子は福岡市なので、福岡の販売店を探すと、一つしかなかった。
2013年も一つだったが、2033年の今もフェラーリの販売店は福岡市にしかない。なにせ、トヨタがレクサスなどの高級車の販売に力を入れたため、高級外車は昔ほど売れなくなっていた。

響子は帰宅すると高級マンションの最上階で、宅配ピザを注文する。
「春吉の美山です。」
「毎度ありがとうございます。」
名乗った後に、間を置くのはピザの店の人間がパソコンから美山の情報を呼び出すためで、これはもう随分昔から行われている。
Sサイズのピザを二枚、注文した響子はフカフカのソファに座った。それから向こうの部屋にいる彼の体を思い出す。彼は料理、洗濯なんてやってはくれないばかりか、自分で歩行するのもままならない体だ。
それでも一昔前の彼のタイプの・・・
ピンポーンと、何十年と変化のないチャイムが鳴った。携帯電話の着信音なんて様々なものがあるのに、ドアのチャイムは何処も同じ、およそ建築関係の人間は発展性がないのだ。それが証拠とはいえるかどうか、日本の大手建設会社の起源は江戸時代の頃で、保守一点張りといえるのかもしれない。
玄関ドアを開けると、男子大学生アルバイトらしい青年が顔を出した。背も高く百八十センチはあり、フットボールでもやっていそうだ。響子は(ピザよりも、この青年の方がおいしそうだわ。)と思ったが、学生では面倒な事も多い。
「お待たせしました、ピザビッグです。」
ズボンと上着が繋がっている、いわゆるツナギの白い制服を着た大学生は
ピザビッグ!おいしさ二万倍。
と文字が印刷された白い箱を響子に手渡した。受け取って玄関脇の棚のところに置くと響子は、代金を払った。その宅配員の視線を胸に感じながら響子は、その男の股間を見ると白い制服に大きく張り出した格好になっている。(勃起しているのかしら)
「丁度、いただきました。ありがとうございます。」
深々と頭を下げた青年の股間を響子は注視していたが、ドアが閉まるまで張り出したものは、引っ込まなかった。

ピザビッグはSサイズも他の宅配ピザより、大きかった。響子の好きなメニューの一つがウインナーピザで、長さ二十センチのウインナーを先に手にとって、男性のペニスを頬張るように口に入れる。
このウインナーピザの注文は独身女性からが最も多かったので、ピザビッグの経営者は、含み笑いをしながら、
「裏メニューを開発しよう。簡単だ。ウインナーを男性器の形にするんだ。それをバイブ版、という形でメニューに載せる。メニューには、未成年のお客様は、このバイブ版は御注文できません、と但し書きは入れるようにする。さっそく、取り掛かってくれ。」
という発案に、開発スタッフが取り組み、できたものはバイブというより食べられるだけに松茸という感じの黒い大きなウインナーだった。
今、響子が口に入れたのは、この裏メニューのバイブ版だった。
(まるで、男の大きなアレみたい・・・。)
響子の舌は、その男性器と同じ形に作られた、というより勃起時の男性器と同じに作られたウインナーの亀頭の部分を舐め回していた。亀頭のカリも舐め回していく。
TANNERの第五段階、の男性器をモデルにしている。すなわち、最終的に成熟した男の性器である。
響子は上着を脱ぎ、シャツも脱いでブラジャーを外すと、TANNERの第五段階である自分の乳房を揉みながら、ウインナーをまるで男性の勃起したペニスにするように舌を這わせていった。
広い食卓に一人で座って、響子はウインナーにかぶりつく、のではなく、しゃぶりついている。
響子の白い大きな乳房はTANNERの第五段階のため、乳輪は後退して見えない。
世間的に見られるAVなどでの乳輪の大きな女性は、TANNERの第四段階であり、完全成熟とはなっていないのである。
空腹は、響子の想像を打ち破った。カリカリとウインナーは、響子の口の中で噛み裂かれる。胃袋から伝達される感覚が、彼女を現実に戻したのだ。
(彼は、寝室にいたわね。ダブルベッドで寝てるけど。わたしがピザのウインナーで、こんな事をしているのは知らないでしょう。)
そもそも、その彼との性生活に不満があるから、ウインナーもビッグサイズのものを求めるようになる。でも、それは彼のモノのサイズが小さいからではない。
ウインナーを食べ終わると、ベッドに寝ている彼のビッグなモノを想像して響子は笑顔を浮かべた。

ピザが入っていた紙の容器をゴミ箱に捨てると、響子は寝室に向った。ドアを開けると、ダブルベッドの片隅で全裸の彼が寝そべっている。響子は彼の股間に真っ先に、眼をやる。ビッグ!ただ、それはまだ固くなっていない。
その彼は、同じ不動産会社の同僚だった。年齢も同じで、三年前に結婚した。半年ほどは薔薇色の結婚生活だった。何が楽しいといって、仕事から帰って夕食を食べ、そのあとにすぐするセックス以外にあるだろうか。彼は大学時代、ラグビーをしていたのでタフだった。
響子を手早く全裸にしてくれて、先に全裸になっていた彼は、すでに怒髪天を衝くという言葉を変えて、怒棒天を向くという趣の姿態だ。
お互い立ったままの彼らは、響子が尻を向けて彼に寄り添う。彼は高く突き出した彼女の尻の間に見える大きな割れ目に、太く長いイチモツを突き入れると、響子の両脚を膝の後ろから両手で抱えて、空中に浮かせた。
駅弁体位の女性が、逆を向いた姿勢になる。駅弁体位の場合、女は男の肩に掴まったりするが、響子の今の体位は背中が彼の胸に密着して両手は空いている。
彼が響子の体を高く持ち上げるようにして、おろすという動作は騎上位を空中で行っている気になり、
「あっ、あっ、あっ。」
という悶え声を響子は止められなかった。空中に座ったまま、彼の雄大なペニ棒が出入りしている。それが、新婚生活で響子が最も好きな時間だった。
響子のマンコは締め付けが強く、セックスを終わった後、彼のペニスを観察するとその皮膚が締め付けられて赤くなっていた。
それ位の締め付けだから、彼も五分と持たないことが多かった。
不動産会社も多種あるのだが、響子の勤めているところは主に賃貸物件の仲介だ。福岡市の中心に近いところにあるので、家賃の高い部屋が多く、したがって仲介を頼みに来る人達も少ない。
平日の昼間など、午前中もだが、客は一人も来ないことが多い。高い家賃を払ってまで福岡市の中心に引っ越したい人達は、東は神戸まで見当たらない巨大商業地の天神でビジネスとか店を考えている人達なのだ。
響子は一人で店にいる事も、しばしばだったので、逆駅弁の夫とのセックスを思いながら指はスカートの中に入れて、パンティの上からマンスジを強くなぞって楽しむ事もある。
不動産の仲介店に行けば、どこでも座っている女性の下半身は見えないようになっている。だから、万一、客が入ってきても響子は指を素早くパンティから離せばよい。
大手建設会社の受付も暇なことが多いし、人も通らない時間が多いと受付の女性はオナニーに耽る事もあるらしいが、響子は店のドアが開く瞬間に手を離して来客用笑顔を向けるので、気づかれた事はない。
響子の夫は営業に回されていたので、部屋も違い、顔を会社で合わせる事もなかった。
それでも、二人が付き合っている事は社内では知れ渡っていた。それは狭い世間というところだろう。響子と彼が、会社の休日にラブホテルに入ったのを見た社員がいたらしい。
休みの少ない不動産会社の休日に、二人はホテルで朝から晩までセックスした。
昼の食事も、そこそこのホテルに泊まるようになってからは、部屋に持って来てもらうようにした。その昼食を受け取る時だけ、彼が衣服を身につけた。大抵は若いホテルマンが、台車で昼食の上に布をかけて持ってきた。その時には、一発は響子の尻の中に射精していたし、入り口から見えないベッドで響子は全裸で寝そべっていた。
不動産会社の休日だから、水曜日、響子の会社も水曜日が休みだ。昼食を食べ終わった二人は、再び全裸で抱き合う。窓のカーテンも締め切っているけど、その外の下の空間では忙しそうに白いカッターシャツを着たサラリーマンが、歩き回っていた。
正常位で挿入しようとした彼に響子は、
「昨日のお客さん、案内した部屋の中で、さりげなくだけど、わたしのお尻をむにゅーと掴んだのよ。」
と告白する。彼の勃起したイチモツは、響子の膣口の前で停止した。
「ええーっ、それだけか。」
「うん、それだけ。」
「よーし。おれがもっと、おまえの尻を愛してやる。」
彼は響子を、うつ伏せにした。大きな二つの乳房が、プルンと揺れる。尻を高く上げた響子の股間には、大きな淫裂の線が彼の眼にイヤラシく映った。潤んだその長い割れ目に、彼は長大なモノを根元まで突き入れた。響子は尻を震わせて、顔を横向けにすると、
「あああ、すっごく、いい。マンコ、気持ちいい。こすって!」
と淫らに悶えた。頬が紅色に染まっていた。不動産会社で働いている時の顔とは、別人のようだ。恐らく、AVに出ても分からないのではないかと、思われる。
この頃のAVはマンネリ化して売り上げも落ちてきていたのだが、テレビに出た、もしくは出ていた芸能人を出演させるという企画で、どうにか持ちこたえていた。狙い目は昔、大人数で歌っていたあの数十人単位のメンバーをどれか一人でもAVに出せば、昔のファンが必ず買うという現象がある。メンバーの二人を同時に出演させて、男優四人と絡ませる。そういう企画ものは、四十万枚もの大ヒットとなった。AVは昔からレンタルされるのが普通で、十万枚も売れれば大ヒットだった。
昔のファンには、たまらないシリーズだった。握手をしたファンは、一人で二枚は買った人もいる。
傑作なのが、この元アイドルグループのシリーズものを三十枚買うと、誰か好きなメンバーとホテルで、しかも高級ホテルで一泊できるというものだった。そのシリーズのDVDに付いている応募券を集めて郵送すれば、東京のホテルまでの往復の旅費まで旅行券がついて好きなアイドルとの夜が過ごせた。大抵は三十過ぎになっていたメンバーが多いけど、その高級ホテルの従業員の話では、そのアイドルと泊まっている客の部屋では一晩中、灯りがついていて、その元アイドルの悶え狂う下品な悶え声が四、五時間続いて聞こえた、とか、朝、その元アイドルが蟹股でヨタヨタとホテルの通路を歩く姿が見られるという。
やはり一晩中、大股開きにさせられて、熱くなったファンのモノを受け入れていると股ずれが起きる事もあるらしい。
元メンバーの中には、結婚しているものもいたけど、旦那公認でそのAVに出ている場合もある。その場合も、応募できるのでシリーズ累計二百万枚の売り上げを記録しつつあるAVのミリオンダラー箱である。
オンデマンドという言葉があるけれども、これ以上に客の要求に応えたシリーズは過去には、なかったろう。
これらのシリーズものの売り上げは、低迷しているCD業界などには垂涎の的ではあったが、彼女等の悶え声だけを収録したCDも大した売り上げには、ならなかった。
彼女達が出るAVをAVB24と称していた。アダルトビデオ部隊24の略だった。

結婚が決まるまで部屋に入れてくれなかった響子の彼、だったが、結婚が決まって、
「おれも包み隠さず、部屋を見せる。」
と男らしく公言するように話すと、薬院という福岡市の中心に近い場所の二十階立ての十五階に住む、彼の部屋に響子は連れて行ってもらった。
神戸の人口を抜いて、名古屋に迫ろうという福岡市でも高層マンションの建築はボツボツだ。それは郊外にまだ、土地があるからである。神戸の人口より少ない頃も、高層マンションを多く作るという発想は福岡市内では、あまりなかった。東京のように完売できるかという心配もあったと思われるが、新築のマンションはすぐに満室になったり、分譲マンションは建築中でも完売御礼が出るのが福岡市である。

M男三二郎

 背が小柄な三二郎(さんじろう)は、長身の女性が好きだった。友花三二郎は三十歳で、地方都市の公務員だ。身長は百五十八センチ、体重六十三キロの小太りな体型は、女にもてるわけがない。
きっちりと五時には終わる職場にも女性はいるが、必要以上に彼は見向きもされなかった。
だが、彼にも性欲はたまっていった。それに引きずられて行動したら、いつの間にか出会い系サイトに入ってしまっていた。
プロフィールに顔写真も載せられないし、職業も素直には書きにくい。それで、フリーの写真家と偽って職業を記入するとメールが来た。

撮られる事が好きなモデル、二十一歳です。ひまだから、遊んでください。

やったー、と三二郎は心の中で叫んだ。今まで、女からメールさえもらった事がないのだった。しかもモデル、背は高いのが普通だ。その女性のハンドルネームはリリ、だった。
三二郎のハンドルネームは撮太郎だ。

 さっそく返信する。
ぼくもひまだから、遊びましょう。どこで会いますか?

午後六時頃に出したが、夜の十一時、寝る前に携帯電話をチェックするとリリから返信が来ていた。

美術館前が、いいな。わたし、背は百六十五センチで、赤のハンドバッグを肩にさげています。

三二郎は寝るのを伸ばして、携帯電話に打ち込む。

わかりました。ぼくは茶色の上着に黒のズボン、背は百五十八です。

と書いて、送信した後で(身長は書かなかった方が、よかったかもしれない)と思ってしまった。

 翌朝、起きた時すぐに携帯電話をチェックしたが、画面には新着のメールは来ていなかった。
(もしかしたら、身長の低さに呆れてリリからの返信はなくなるのかも、しれない。)
と思いに沈みつつ、テーブルの上の置時計を見ると部屋を出る時間に近づきつつあった。三二郎は福岡市の中心部に近いところのマンションに入居している。1LDKで、一人暮らしなのも公務員なら先行きの心配もないから、入居の際も問題はなかった。近年、福岡市でも、_九州の福岡県福岡市_、家賃未納が続くために大家が困るという事態がかなりあるらしく部屋を借りる際も入居のための人物審査は厳しくなっていたりするのだ。

 リリは背が百六十五なので、それほど高くはないが痩せていて、しかも豊満な乳房と尻を持っていた。髪は長く、肩まで垂れて三二郎とシティホテルに入ってくれた。
モデルなので均整が取れていて、白い肌はすべすべとしていた。三二郎は立って抱き合っても、自分の眼は彼女の唇のところにくる。自分の唇はリリの首の辺りだから、彼は彼女の首筋を舐めまわした。
リリは眼を閉じて、頭をのけ反らせると長い髪が三二郎の肩にかかった。
膝を曲げて彼女の胸に顔を近づけると、巨乳の乳首はピンク色で硬直している。三二郎は左手でリリの尻を抱き、彼女の右の乳房の乳首をしゃぶり、右手は彼女の左の乳房の乳首を指でつまんで、いじった。
「いいわ。」
という彼女の色っぽい声が三二郎の頭の上で聞こえた・・・・

(今のは夢か。)
三二郎は通勤電車の中で立っていた。自分の息子も立っていたのだ。大勢降車する駅で人に押されて、眼を醒ましたのだった。彼が降りるのは、あと一駅先だ。ゆるゆると自分の息子が小さくなっていくのを三二郎は感じた。
それにしても鮮明な夢で、美人モデルの白い裸体、しかも巨乳と横幅のある尻には思い出しただけで勃起しそうだ。彼女の陰毛は濃かった。しかも逆毛のように波打って縮れていた。その陰毛を思い出すと彼の息子は硬直してしまった。
もうすぐ降りる駅だ。ズボンは膨らんでいる。だけど忙しいサラリーマンなど彼を見もしないだろう。ましてや背の低い彼の股間などは。
でも、元に戻さなくては、と三二郎は思い同僚の男性、丸目徳雄の四角い顔を思い出した。彼は、その顔の割には女にモテル。背は百六十五だが筋肉質で眼は細く、唇が厚い。髪は角刈りにしている。福岡市環境衛生課の主任だ。あまりに男臭い顔ともいえよう。
歳は同じだが、丸目徳雄は主任、三二郎はヒラだ。
時々、仕事で一緒に行動しなければいけない。丸目も独身では、あった。
(ほ、なんとかチンコが元に戻った。)
三二郎は、降りる駅で電車が停車して透明なガラスが開いた時に、そう思った。
(リリのマンコを早く見たい。)
とも思ったのだ。夢の中では濃い陰毛に隠れていたからである。

 勤めは面白くなくても、真面目に三二郎は、やった。帰りの満員の電車は井尻駅に着き、彼は人混みと共に駅を出ると五分位歩いて帰宅する。それまでにコンビ二に寄り道して弁当を買った。部屋でそれを食べると眠くなり、うとうととした。
いつの間にか、三二郎は風呂にいた。リリも、すぐ近くにいる。彼女も全裸だ。上から彼女の声がした。
「浴槽に腰掛けて。」
三二郎は、彼女の方を向いて腰掛ける。足はすぐに閉じてしまった。
「だめよ。足は開いて。おちんちんが見えるようにしてよ。」
叱るような甘えるような声で、リリは言う。
三二郎は恥ずかしながらも、足を広げて半分立っているモノを彼女に見せた。リリは、いきなり跪くと彼女の顔は三二郎の半立ちのペニスをじっと見る。三二郎は気恥ずかしくて上を向いていると、きゅっきゅっという感覚と共に自分のモノが縛られているのを感じた。
驚いて下を見ると、リリは自分の長い髪で三二郎の半立ちペニスを縛っていたのだ。
リリは、ふふふ、と含み笑いをすると上体を後ろにそらした。三二郎は、ああっ、と小さく叫んで浴槽から降りた。そうしないとチンコが引きちぎられそうだったからだ。
リリの裸の柔らかい両肩に三二郎は両手をつくと、
「ひどいなー。こんなことして。」
「だってあなたはM男なんでしょ?軽くいじめたのよ。嬉しくないかしら?」
そういえば、三二郎の身体の中に今までと違った刺激の感覚が芽生えているのに彼は気づいた。リリリリー、と携帯電話が鳴った。
気がつくと、眼が醒めた。白夜夢とでもいうべきもの、だったのだ。
テーブルの上の茶色の携帯電話を三二郎は手に取ると、
「もしもし。」
「よう、友花。」
丸目徳雄からだった。丸目は続ける。
「明日、日曜はひまなんだろう。」
「いや、明日ちょっと用事があるから、お付き合いはできないです。」
「ふうん。女か。」
「いやその、まだ会ったことない女性ですよ。」
「まあ、頑張れよ。」
「はい、それでは。」
三二郎は急いで携帯電話を切った。丸目は一緒にソープランドに行こう、とか過去に誘ってきた事がある。その時は、一緒につきあったのだが。福岡市の中心部に近いところに中洲という地名がある、そこにというか、その中洲の一部にソープランドは密集している。福岡市のソープランドは、そこだけしか許可されていない。福岡市へ出張、宿泊するビジネスマンも行っているかどうかは、わからないが参考までに。

 返信がないかと思ったリリからは、一日置いて、

遅くなってごめんなさい。東京に仕事に行ってたの。あなたを見つけるのは簡単なようだわ。わたし、男の人の背の高さは気にしません。
それでは、日曜日がいいわ。

三二郎は、トントントンと返信した。

日曜の午後一時に県立美術館前で。

すると、すぐ返信が来た。

県立美術館は、いいけど、お昼ご飯も一緒にしましょう。

三二郎は、それを見てニヤついた。携帯電話から返信するのは面倒なのでパソコンから出会い系サイトにログインして、返信した。

では、十二時にしましょう。待ってます。

すると、またすぐに返信が来た。

待ってますわ。わたし、派手だから目立ちます。すぐ、わかると思います。

 県立美術館の北側には福岡ボートがあるという環境だ。ただし、車道を渡る必要はある。隣接はしていない。
福岡ボートは、もちろんギャンブルのモーターボートのレース場だ。
三二郎は南側から来るので、ボート場の方は通らない。赤のハンドバッグを肩から下げた女性が一人だけ、美術館の前に立っていた。

三二郎は近づいて、
「リリさんですか?」
「ええ、そうよ。撮太郎さん、よね。」
「そうです。」
彼女の顔は夢で見たものとは違っていた。当然かもしれない。肌の色は薄い黄色で、眼は丸くて睫毛は長い。眉毛も濃い。顔の中で目の面積が広い。
いかにもモデルの顔だ。
髪の毛が長いのは夢で見たとおりだった。すらりとした姿態はコートを着ているので、胸と尻の厚みは分からなかった。
紅色の唇を開いてリリが話しかけた。
「お食事に連れて行って、くださいませんか。」
「いいですよ。どんな所がいいですか。」
「三風蘭(さんぷうらん)に行ってみたいと、思ってました。」
「三風蘭って、聞いた事あるけど行った事ないな。」
リリは微笑むと、人差し指で方向を示した。
「この近くなんです。ラーメン屋ですけど、個室があるのね。」
「個室が、いいですか。」
三二郎は、喜ぶ気持ちを抑えて聞いた。
「個室に入ると、したい放題何でもできるのよ。」
リリは髪をなびかせて、答えた。
「じゃあ、連れて行ってください。当然、ぼくのおごりでいいですから。」
美しきモデル、リリはうなずくと、
「いらっしゃいよ。連れて行くわ。」
と鈴を振る音の声で誘うと、三二郎の先に歩き出した。目立つリリは通行人が見て行く位だ。
意外にも歩いて五分、福岡税務署の近くに三風蘭は、あった。赤の下地に紫の文字で「三風蘭」と店の入り口の上に看板が出ている。リリが自動扉の触れて開くところを軽く触ると、スーと店の入り口は開いた。
若い男女の声が、
「いらっしゃいませ。」
と出迎える。紫の服を着た男女の若い店員だ。

 リリは、
「個室にしたいの。ある?」
と、さりげなく聞くと、ねじり鉢巻をした男子店員が、
「ありますよ。ご案内します。」
と答えて、二階に上りだした。鉄筋の建物だ。床も壁も白い。ドアを開けて通された部屋も壁は防音されているようだ。
椅子も二つずつ、テーブルをはさんで全部で四つある。窓はない。
窓があるべき場所の下側に広めの長いソファがあった。そこが、男女が腰掛けられるし、寝れる広さ。しかも色はピンクときている。二人が椅子に座ると、男子店員は、
「ご注文は、インターホンで、どうぞ。」
と言うが早いか、部屋の外に出て防音扉を閉めていった。

なるほどテーブルの端にインターホンがあった。リリは分厚いメニュー表を取り上げると、パラパラとめくり、
「ジャンボラーメンにしましょう。いいわね。」
「ああ、それにしよう。」
三二郎は、もじもじしながら答えた。女性と食事するなど、三二郎は生まれて初めてだ。天井を見上げると巨大な扇風機みたいな羽がゆっくりと回っていた。
リリは細長い指でインターホンを押すと、
「ジャンボラーメン、ふたつ。」
と注文した。

リリは、まじまじと三二郎を見た。二分ほど無言の状態で丸い大きな眼で三二郎を観察していたが、
「撮太郎さんって、お固そうね。職業は真面目な仕事?」
と柔らかな声で尋ねた。
「ええ、そうですね。」
公務員とは、言いにくい。
「だけど、そんな人に限って裏の顔があるのよね。マゾだったりとかね。」
三二郎はドキリとした。そういえば、そう思われるところもあるのかもしれない。

 三二郎は初恋が大学三年生で、同じクラスの泉森武子(いずみもり・たけこ)という自分より背の高い快活な女の子を好きになった。
思い切って三二郎は授業が終わって、校門を出る時に武子に告白した。
「泉森さん、一緒に帰ろう。好きなんだ。」
三二郎より五センチは背が高い武子は顔を赤らめながらも、
「いいよ。帰りましょ。」
と答えた。
二人は同じ道を歩いていた。三二郎は、
「泉森さん、空手できるらしいね。」
人の噂で聞いたのだ。
「ええ、三歳の時から始めたの。」
二人の歩くすぐ横に、広い公園があった。高い木が立ち並んでいる。緑の多い公園だ。ベンチには大学生と思われる男女が横並びに座って、キスをしていた。二人の絡めあう舌が武子の目にも入った。やがて男子学生は女子学生の豊かな胸を、服の上から揉みしだき始める。男の右手は女子大生の開いた足の間からショーツ(パンティ)に届き、ぷっくりと膨らんだ女子大生の縦スジをなぞっているようだ。彼女は、
「いやん。」
と声を出すと、男子学生のジーパンの股間をたまらなさそうに掴んだ。
「うっ。」
と男は、声を出す。
三二郎と武子は並んで歩道から、そのカップルの痴態を見ていた。二人の視線に気がつかないのか、大学生男女は互いの性器に手を伸ばして、弄り回し、キスをし続けて舌をねっとりと絡ませあう。
それでも公園は広い。三二郎は、
「公園の中で空手を見せてほしいな。」
と武子に話すと、
「いいよ。すごいね、あの二人。」
カップルから三二郎たちまで、十メートルはあった。女子大生の股間は大きく開き、男がなぞるマンコのすじのところはショーツにも染みができていた。
「あー。ぼくたちもやりたいな。」
三二郎が言うと、武子は
「まだ、早いわ、わたし達。」
「ここじゃなくて、公園に入ろう。」
「ええ。いいわよ。」
二人は幅広い入り口から土を踏みしめた。やりまくっているカップルまで七メートルほどだ。
武子は仁王立ちになると、
「女の子は、簡単に男の人のちんちんを入れてはいけないって、お父さんが言ったの。」
「そういうことか。じゃあ、あのベンチの人はちんちんを入れるのかな。」
武子は二人の方を向くと、
「たぶんね。それに、あの男の人のちんちんは立っているのよ。」
「立っているのか。ちんこって、あんな場所で立つのかな。」
「友花君のちんこは、こんな場所では大きくならないんでしょ。ここで立つって、ちんちんが立派なのよ。」
「ふーん。」
三二郎は男子大学生の股間を見たが、やはりそこは盛り上がっていた。武子に眼を戻すと、
「泉森さん。空手見せてよ。」
二人を見ていた武子は三二郎に振り向くと、
「え、空手ね。いいわ。型があるから。」
と話して、両拳を握り締め腰を落とした。武子はスカートを履いていた。
「ナイハンチ」
彼女は声に出して型の名前を言った。素早く左右を見ると、足を踏み出した。その時に、男子大学生は女子大生を抱き上げてベンチから立ち上がっていた。彼の右手は人差し指から小指までを女子大生の尻の上のショーツに当てて、親指は彼女のマンコの入り口からズブリと中へめりこませていた。
そういう細部は武子には見えなかったが、女子大生の尻は男に抱き上げられても淫らに前後に揺れていた。
「アッ、感じる。生垣の影なら見えないわ。そこで、ちんこ入れてよ。」
と尻を振りながら女子大生が言うと、
「よし、いこうか。」
男のジーンズの股間は破れそうなほど、張り切っていた。
武子の左目は、その光景を見てしまった。
ふらり、とふらつく武子。
三二郎は、
「大丈夫かあ。」
と声を上げると、武子に近づいた。体勢を取り直した武子は前のめりになりそうになると、右足を上げて体勢を整えようとする。
がし、と音を立てて武子の右足の甲は三二郎の股間、きんたまに直撃していた。
「うおーっ。」
と、突然、雄たけびを三二郎はあげて、きんたまを両手で押さえつつ、そのへんを飛び跳ねて回った。
お椀を伏せた形の半円形の緑の生垣の近くまで飛び跳ねていった三二郎は、その緑の内側から、
「ああっ、すっごく太いわ。」
「昨日、ペニス増大器を使ってトレーニングしたからな。うひひ、おまえのマンコも締りがいいぜ。」
三二郎は、きんたまの痛みをこらえつつ、男女の大学生の青姦を見ていた。男の尻は日に焼けて黒く、尻の割れ目は眼につきにくい。それが、くいくいと浮き沈みして、女の白いすねが男の腰の動きに合わせて揺れていた。
「わたしもマンコのトレーニングしてるの。就職活動のとき、担当の人とシティホテルに行けば採用されたって、先輩から聞いたわ。ああーん、まんこが、とろけそうよー。」
「おまえも担当者とするのか。おれと結婚するって、この前、会った時、言ったじゃないか。」
男は腰の動きを早めた。
「あああ、まんこ、よすぎて気持ちいいわっ。セックスと結婚は別よ。あなたと結婚してからは、あなただけ。それで、いいでしょ。あっ、あああ。」
「しょうがないか。それまでは、おれが食わせてやってるわけでも、ないしな。おまえも就職したら貯金するよな。おっ、締めるね、グッドマンコだ。いい。」
「八百万円は最低でもする。子供の大学費は、わたしが払うわ。気持ちいい、でしょ。」
「あおう、締るよ。すごいな。結婚したら、朝と晩にしてやれる自信あるよ。」
「うれしい。草食じゃないのね。」
「あれは、関東の男の話らしいさ。おれは雑食系。」
「ああっ、いい。ちんこ、子宮まで、ね。」
女子大生は肩までの髪を揺らせて、喘いでいる。

 三二郎には何の話か分からなかったが、きんたまの痛みは少しずつ引いていった。武子が近寄ってきて、
「友花君、大丈夫?」
と心配そうに声をかけて、三二郎の股間に眼をやる。
「ああ、もう痛みは、なんとかなった。」
「男の子って、股の間を蹴られると痛いのね。睾丸ってあるのは、知ってるけど。」
「それそれ。きんたま、だよ。丸い玉が、ふたつ袋に入っている。」
「ふ―ん。面白いね。そういえば、空手でも危ない男から身を守るためには股間を蹴る事を習ったなー。でも、さっきのは偶然。ごめんね。」
「いいよ。気にしないから。」
三二郎は、好きな女の子にきんたまを蹴られて、それが精神的にも快感をもたらすものだと気づいたのだった。
だから、

今、目の前にいるリリにも何とかして欲しい、と思っていた。リリは空手はしていないようだけど。
ドアが開いて、
「ジャンボラーメン、お待たせしました。」
ラーメン屋が出前に持っていく木箱から、男子店員が二つの大きな丼のような鉢を取り出した。
普通のラーメン三人前、だそうだ。

店員はドアを閉める前に、
「よろしかったら、中から鍵をかけてください。ドアを閉めるだけで在室中の表示は出ますけど。」
と注意していった。

リリは目の前の巨大なラーメンを見ると、
「おいしそうね。いただきまーす。」
箸も長い割り箸が上等な紙の袋に包まれて、それぞれ一膳ずつ置いてあった。三二郎はリリの胸元に眼が吸い寄せられた。ノーブラらしく、くっきりと二つの乳房の境が見えている。

リリは三二郎より早く箸を置いた。コートを脱いだリリは意外と豊かな胸だった。
リリはラーメン一人前は、残していた。
「多くて食べられなかったから、撮太郎さん、食べてくださいな。」
リリはドアとは反対の位置にDVDプレーヤーと百枚ほどのDVDが並べてあるのに気づいて、
「DVD、見てもいい?」
「ああ、いいんだろう。」
もぐもぐと口を動かしながら三二郎は答えた。リリは一枚のDVDを手にすると、
「現役女性空手家、上京してAV初出演、か。アダルトみたいだけど。」
悪戯っぽい眼をしてリリは聞く。膝を突いた姿の尻のラインが、色っぽい。大きな尻らしい。三二郎は彼女の尻を見ながら、
「別に大丈夫だから、かけてみてごらん。」
「うん、そうする。」
彼女はディスクをプレーヤーに入れて、回した。

画面に現れたのは、ネットカフェの部屋だ。そこで、男女がラーメンを食べている。女の顔が大写しにされた。

「あっ」
三二郎は小さく叫んだ。その女性は泉森武子だ。彼女とは高校まで同じだった。十八の武子の顔と違いはない。ただ、三十路の顔になっているけれども。
「どうしたのよ?」
リリが聞いてくる。
「ぼくの同級生の女の子だ、多分ね。」
リリは黙って、うなずいた。

泉森武子で出るわけはない。許斐色々(このみ・いろいろ)という女優名だ。画面の二人も大盛りのラーメンを食べている。
相手の男も体格のいい身体で、許斐色々も肩幅が広い。
三二郎は彼女とキスもできなかった。高校生だったというのもある。清い交際はしていたが、空手の練習を大事にする彼女だった。

高校三年生の夏休みに三二郎は、
「映画にでも行こう。」
と誘ったが、
「今度、ムエタイの道場ができたの。空手とムエタイの二つの練習で忙しいから。」
と断られてしまった。そんな彼女がアダルトビデオに出ているなんて。

許斐色々はラーメンを大きく口に頬張ると、男の顔に顔を近づけていく。男は口を大きく開いた。その中に許斐は口の中のラーメンを吐き出した。男の口の中にラーメンが流れ込み、男はうまそうに口を動かした。
 二人のいる部屋は個室なので誰からも見られない。許斐は男の股間に手を伸ばすと、そこは少し硬くなっていた。彼女は、
「もっと大きくしてあげるわ。」
と破廉恥な笑みを浮かべつつ喋ると、ジッパーを下げてパンツの中から男のシンボルをひねくり出した。
当然、モザイクだが薄いものだ。出てきたものに許斐は顔を近づけていった。

(やめろ、泉森!)
三二郎は心の中で叫んだ。が、その叫びは届くはずもないのだ。

右手の長い指で許斐は男のシンボルを、柔らかくしごきはじめた。ぐい、ぐいと。するとモザイク越しにもそれは、大きくなっていくのが分かる。硬直したそれは許斐の顔の前に向って立っていた。
許斐は口を開けると、ムシャ、という感じでそれを頬張る。それから自分の頭を上下に振るのだ。

(あー、キスさえしてくれなかった泉森武子が・・・)
情けない思いで、三二郎は画面を見つめる。

今や男優のモノは完全勃起したらしい。許斐は口からそれを外すと、
「おいしかったわ。今度は、これをわたしの下にある口に入れてね。」
と云うと、自分で服を脱ぎだす。
さすがは空手家、全裸になるのに時間はかからなかった。見事なプロポーション、丸い大きな胸、横に張った尻、長い足。股間にはモザイクが、かかっている。それでも、三二郎は泉森武子の全裸を見た。
お、と三二郎は感じると、自分の息子は充実してきている。
(あー、こんな形で武子のヌードを見るなんて。完全勃起しそうだ・・・)
男優は許斐の豊満な乳房を吸い始めた。彼女は顔を反らせて、
「あはん、いい。」
と悶え声を上げる。男優は激しく舌を動かして彼女の乳首を攻めると、ピンクの乳首は硬く尖り始めていった。椅子に座った男優に跨る格好で、許斐色々は座ると右手で男優の勃起ちんこを握り、自分の秘密のトンネルへと、いざないだ。男優のモノは、許斐のトンネルへ入っていく。
「ああっ、大きいのね。こわれるー。」
嬉しそうな声で、許斐は叫ぶと、白い大きな尻をぶるんぶるんと色っぽく前後に振った。

 三二郎のモノは、はちきれんばかりになっている。(武子の尻は、あんなに色っぽかったのか。といっても、おれは高校生までの彼女しか知らないから・・・)
仕事とはいえ、おいしそうに武子の乳房を吸っている男優に三二郎は、成り代わりたかった。公務員よりAV男優になっていれば、武子とセックスできたのだ。そのためには、
上京しなければいけないという状況もある。

 だけど・・・と三二郎は考える。職業は今の方がいい。武子は、あきらめればいい。というより自分の中で武子は行方不明だったのだ。そう思いながらも、三二郎の眼は男優とディープキスをし、舌を出して絡めあう武子の姿を見ている。
 次第に許斐色々の腰を前後に振る動きが早まっていった。それに応じて男優が眉間にしわを寄せ始める。
男優が、
「ああっ。」
という声を出すと、許斐はチンポをトンネルから抜けさせて、すっと立ち上がると急に屈んで、顔を男優の銃口に向ける。
「おっ、おっ。ああー。」
と男優が声を出す度に、射精された白い液体は許斐色々の顔面に浴びせられた。

 三二郎は、
(うーわー、こういう顔射も初めて見た。)と思う。公務員でもAVは見る。中には勤務中に見て、減給などの処分を受ける人もいる。

 顔に沢山の精液を浴びたまま、許斐色々はカメラに向って、
「今日はどうも、許斐色々の映像を見てくれて、ありがとう。次回の作品を少しだけ、放映します。」
画面は次回作の予告になった。
 林の中の小さな遊歩道を歩く許斐色々に後ろから小柄な男が近づいてきて、抱きつくと、薄着の上着の上に見事に半円を描いている許斐のたわわな乳房を両手で両方掴み、満足そうに揉み始めた。
男の顔がクローズアップされる。それは、なんと、三二郎の顔ではないか。

三二郎は、右手は許斐の乳房から外してミニスカートの中に忍び込ませた。許斐のショーツの上から縦の溝を右手の人差し指が感じた時、許斐は、
「助けてー、誰かー。」
と叫んだ。
すると、許斐の後ろ数メートルのところで若い男の声が、
「やめろ、ちびでぶ男。」
と鋭い声で言い放った。
三二郎の顔をしたその痴漢男は、
「やめられるかい。この女は、おれと幼馴染だ。」
と声を出して、許斐のショーツに浮かんでいる見れば勃起しそうな縦スジを愛撫し始めた。
許斐は顔を真っ赤にして、
「いやん、濡れちゃうわ。ああっ、ショーツの上から指がのめり込んでいく・・。公然わいせつ罪よ、やめて。」
と身悶えしながら口に出した。
若い男は背が高くスラリとして、ハンサムだった。三二郎に近づくと、軽く足を上げて三二郎の股間のキンタマを蹴り上げた。三二郎は、
「ごえっ。」
と声を上げて、その場に崩れこむ。

 悶え狂っていた許斐は自由になり、後ろを振り向くとハンサムな青年が立っていた。背も自分と同じ位だ。
爽やかに成年は口を開くと、
「大丈夫ですか。」
と尋ねる。
「ええ、彼の指は第二関節まで、わたしのマンコ、いえ、大事なところに入りましたけど、心配はいりませんわ。」
「それは、よかった。それじゃ、失礼します。」
青年は、踵を返して背中を向けた。
「待ってください。お礼もしないで、このままあなたが立ち去っては、わたしの気がすみません。」
青年は背中を向けたまま、
「いや、気になさらずに。ぼくも、大した事はしてません。その男のキンタマを蹴ったくらいですから。」
と声に出す。
「置いていかないでね。」
許斐はハンサム青年に近づくと、後ろから抱きしめた。夏みかんのような乳房が青年の背中で、押しつぶされた。
許斐は右手を前に回して、青年の股間に手を伸ばして、剛直しているものを握ってしまった。
許斐は青年の首の後ろにチュッとキスをすると、
「もう、こんなになってますわ。わたしの今のおっぱいで、感じたのかしら。」
「いや、実はあなたが歩道で悶えている姿を見て・・・立ちました。」
「まあ、じゃあ、あの蹴った時は・・・。」
「ええ、完全勃起したままです。」
「それから、ずっと・・・?」
「ええ、ぼくの身体は正直です。」
「好きよ。」
許斐は青年の正面に回ると、激しいキスをする。すると青年は、
「ああ、もう出そうです。あなたの中に発射したい。」
「いいわ。林の中に低木が沢山ある陰に行けば、誰にも見えないわよ。」
「行きましょう。そこに。」
二人は手を繋いで遊歩道から、低木の陰に入った。そこで青年はズボンを下ろし、パンツから雄大なシンボルを出した。大きな松茸のようなそれは、その辺に生えていそうだった。
許斐もミニスカートとショーツを同時に下ろした。剛毛の密生した彼女の股間は、ふっくらとして剛毛のすぐ下にピンクのスジが見えている。青年は屈むと、許斐の可愛い形のまんこを舐め捲くった。彼女は、足を開いて立つと、
「あああっ、早く入れて。」
と腰を揺らせて促す。青年は巨大な自分のキノコを許斐のピンクの裂け目に焦ったように埋めていった。上は洋服の二人は、しっかりと抱き合って、許斐は、
「こんなに太いのは、初めてよーっ。」
と喜びの声を上げると、
「ああっ、いい。ああっ、ああっ。」
と、よがりながら腰を自分で振り続けた。

遊歩道で倒れている三二郎の顔の男は、
「ああん、ああん。天国にいるのねっ。」
という許斐の声で失神から醒めた。彼は立ち上がると、声のする方へよろよろと歩いて行く。低木のかたまった裏から、
「ああっ、あっ、あっ。」
という許斐の色っぽい喘ぎがするので、裏に顔を入れて三二郎の顔の男が見ると、
あの青年と許斐色々は駅弁ファックしていた。許斐のミニスカートとショーツは膝の下あたりまで、ずり下げられていて、青年が許斐の両膝の上辺りを抱え込んで、二人とも尻を振っているのだ!
  
 許斐の口はダランと開いて、赤い舌が出ている。青年は眉を寄せると、
「もう、出そうです。いきます。」
「いやっ、もっと続けてっ。」
「よし、それなら。」
青年は歯を食いしばって、腰を振った。許斐の淫乱な動く白い臀部は、見ていても男を勃起させるものだった。三二郎の顔をした男も勃起したらしく、ジッパーを降ろして、パンツの切れ目から小さいながらも立ち上がったモノを右手に持つと、たまらないように自分で擦り始めた。

 青年と許斐色々の尻の動きが同時に早くなった。青年は、
「もう、我慢できないっ。それに昼から会社の会議です。」
水瓶座の太陽は中空に昇ろうとしていた。
「何の会社なの、あなたの会社。あん。」
「インターネット関連です。」
「すごいわ。いって!」
「いくー。」
男は射精したらしく、腰の動きは止まった。それを受け入れている許斐の豊満な臀部はびくん、びくんと淫猥に震えた。彼女のマンコは、しっかりとインターネット関連会社社長のペニスを締め上げて、最後の一滴まで受け入れているように見えた。

それを見た三二郎の顔の男も、許斐色々の豊かな臀部の震えを見て射精した。

画面は精液を浴びたままの許斐色々の顔に戻った。
「はい、予告はここまでです。小柄な男性の顔は、モンタージュで作りました。わたしの高校までの同級生に、あんな顔の人がいたからです。わたしが記憶で話した通りに作ってもらったけど、よく似てました。
三ちゃん、よかったら連絡ちょうだいね。会いたいな。」
ここで、そのアダルトDVDは終わった。

 三二郎は武子に三ちゃんと呼ばれて、びっくりしたが、隣のリリは、
「もしかして、三ちゃんって、あなた?」
と聞いてきた。
「違うんじゃないかな。世の中に似た人なんて、いくらでもいるしね。」
「でも、あなたは過剰に反応していたけど。」
「それは、あれだけ自分に似ていると、びっくりするよ。」
「あなたの名前を教えてよ。撮太郎さん。」
「それは、今は云えない。」
「どうして云えないのかしら。わたし、浜風涼子(はまかぜ・りょうこ)っていうの。教えてよね、あなたの名前。」
三二郎は戸惑った。教えていいものか、と。でも、涼子の目は真剣に脅迫してくる。それを味わうのもMな感覚で、よかったが、
「男らしくないわね。自分の名前ぐらい、どうってこと、ないでしょ。」
と眼より強く強要された。
「友花三二郎と、いいます。」
涼子は得心のいった表情になると、
「やっぱり三ちゃん、じゃない。あなた、あの子と同級生だったんでしょう?男らしく、認めたら?」
「あんな子いたかと、記憶を探っているけどね。ぼく、三十歳なんだ。十年以上も前の話だから。」
涼子は三二郎の股間に手を当てた。そこは、著しく盛り上がっていた。涼子はクスリと笑って、
「全勃起してるの?今。」
涼子の手は三二郎のズボンのジッパーを下げていた。
「してるかな、わからない。」
「あの子のセックスで、勃起したのね。わたしが、処理してあげようか。」
三二郎は、答えられなかった。涼子の指はスベスベとして、滑らかで気持ちいい。その指はもう三二郎の全勃起ペニスの竿を握っている。涼子の目は三二郎の瞳を見つめると、
「どうも、あなたはMな人のようね。それなら、それで、やり方はあるわ。それに、あの許斐色々さんと、どの位までやったのかしら。キスくらいしてるんでしょう。そうじゃないと、あんなに映像の中からアピールはしないわよ。どうなのかな。」
「キスも何もしてないんだ。」
涼子は快心の笑みを浮かべた。
「認めたわね、今。やっぱり、三ちゃんは、あなただった。さっきのは、なんだったのかしら。」
「自分でない気もするんだ。百パーセント、そうだとは今でもいえない。」
涼子の右手は三二郎の竿を上下に擦り始めた。
三往復すると、三二郎は顔を強張らせた。
それを見た涼子は、左手で三二郎の睾丸を下に押し下げたのである。すると、三二郎は、
「あれ?出そうだったけど、収まった。不思議だ。」
「わたしね、ファッションヘルスで働いていた事もあるの。それで、その時に男性の射精を引き伸ばす方法を調べて勉強したことが、あったのね。今のも、その方法の一つよ。」
「きんたま、いや睾丸を下に下げること?」
「ええ。伸びたでしょ、又、やるから。」
涼子は再び、手を動かし始めた。

 快感の速度が高まって来た時、涼子は手を止めた。三二郎は眼を剥くと、
「とめないでくれよ、涼子さん。」

2098年のキス!

2098年のキス
2013年の現在、首都・東京などでは特に気軽な男女のキスが一目も憚らずに行われる事が少なからずあるらしい。これは今からもう少し前から見られる現象で、欧米の影響だといえるのだろう。
それと並行するように日本では、少子化が進んでいった。
2098年の現在、日本でそのような行為、すなわち、人前でキスをする事は公然わいせつ罪として逮捕されるようになった。その理由は、おいおい述べていく事とする。
他の現象としては、映画やテレビドラマなどは見る人も極めて稀となっているのだが、キスシーンはアダルトなものとして取り扱われ、テレビからはキスシーンが姿を消すなどしている。
ここまで取り締まられるようになったなどは、2013年に生きているあなたがたには時代の逆行のように思われるに違いない。
さてさて、そういう時代となっているから2098年現在、女性は外出時にはマスク着用が一般となっている。日本政府としても、マスク着用を義務付けようかという検討もしたが、中東の女性とは違う伝統のためにそこまではやらない方がいい、ということになり、法的に規制はされない。
それでも、大抵の女性は外出時、のみならず勤務時間帯もマスクを取らない。
ある平凡なサラリーマン家庭を見てみよう。女性は、その辺を歩いているような、よくみかけて顔も覚えられないようなありきたりの三十代の主婦、凡子は帰宅した夫、沙羅男(さらお)にマスクをしたまま、
「会社の方は、どうなの?」
と聞く。
「ああ、なかなか出世できそうもないよ。」
「じゃあ、わたし、まだパートに出た方がいいのね。」
「うん、すまない。でも、キスぐらい、おまえ・・。」
凡子は目で抵抗して、
「簡単に、させてあげられるもんですか。2000年初期の頃とは、違うんだから。」
沙羅男は、ふーっ、とため息をついた。それから独り言のように、
「あーあ。おれも2013年頃に生まれていればなー。そうしたら、もっと簡単にキスもできたし。」
「そんな、いやらしい事、夫婦だからって気楽に話さないでくださいな。その頃のキス映像は、すべて成人指定のアダルトになってるでしょ。今は。」
「そうだけどね。昔の人達は、気楽だね。」
「ずいぶんと昔だわ。公務員も勤めていれば、給料が上がったそうじゃない。」
「そうだったらしいね。役人天国だったんだろうな。でも、今はそれも違うね。おれの同級生も地方公務員になったけど、リストラされてね。」
「大変ねー。」
「風俗産業に入って、今は安定した生活を送っている。」
凡子は眼をきらめかせると、
「そうだ、あなた。風俗関係の仕事に転職なさいよ。自動車の会社なんているから、だめなのよ。何十社もあるでしょう、車の会社。」

凌辱を救え 派面ライダー

ビルの谷間でセーラー服を着たピチピチの若い娘が、目の前に立っている、痴漢風の若者を嫌悪の眼で見ると、
「助けて!派面ライダー!」
と叫んだ。彼女は右手に握り締めた、小さなリモコンのようなものをスカートのポケットの中に戻す。セーラー服の上着の胸は、未成年者とは思えない程、豊かな曲線を描いている。彼女の前の痴漢らしい男は、大声を上げられて驚いたが、誰も来ないので、彼女に数歩近づき、胸に触ろうと右手をあげた瞬間、
「とおおおおっ!」
という男の掛け声が聞こえて、痴漢らしき若者は右手を蹴られていた。
「うわっ。」
痴漢のような青年は声をあげた。彼の眼には、白のアイマスクのようなものを目の辺りにつけた中年の男性、服装は白バイの警官に似たものだが、白バイの警官の服装の白い部分が赤色になっている、その男が連続的に右足を上げたのが見えた瞬間、頭の、こめかみを蹴られてドウ、とアスファルトの地面に痴漢未遂の、その男は倒れた。
顔は、どう見ても二十歳のセーラー服の女は、そこそこの、いい女だ。彼女は両手を胸の前に握り締めて、祈りのようなポーズを取ると、
「ありがとう、派面ライダー。」
と感謝の言葉を口にした。
白バイの警官に似た、その中年男は、
「いえ、どういたしまして。ここらを通りかかっていた、ものですからね。今日は水曜日で、ぼくの休みの日ですよ。リモコンの無線で呼ばれたのに、気づきました。」
と照れながら、自分の行動を説明した。ビルの谷間で、人は通るのが少なく、道の先は行き止まりで、ビルの壁だ。大人二人が横に並べば、谷間の道は塞がる。人の通っている道からは、そこは五メートルは離れている。派面ライダーと呼ばれた男のバイクは、ビルの谷間の入り口近くに停めてあった。
「派面ライダー、お礼に抱いてください。」
セーラー服の二十歳の女は、ビルの壁を背に、声を、中年の背は中背で、白いアイマスクの男にかけた。
「ええっ?いいのかなー、そんな事して。」
「ここなら、人も気づきません。あんな、勃起もしない若い奴に触られるより、中年の、あなたの方が好き。」
百五十六センチの彼女は、大きな胸を自分で両手で掴むと、
あはん、と悶えた。それを見るなり、派面ライダーは白バイの警官の服装に似た格好で、女子校生に近寄ると、
「ごっつあん、しようかな。いただきますよ、あなたを。」
と言うと、彼女を抱きしめた。大きな胸が派面ライダーの腹の上あたりで潰れる。派面ライダーの右手は、女子校生のスカートの尻を撫で擦った。尻を触られて彼女は、喘ぎ始める。
派面ライダーは、そこで顔を下に向けていって、彼女にキスをした。彼女は派面ライダーの中年の唇が触れると、唇を開いて舌を出し、派面ライダーの唇を舐める。中年男の派面ライダーも唇を開き、女子校生の唇の中の赤い舌に、自分の舌を絡めた。
派面ライダーは女子校生のスカートの前を擦ると、彼女の股の間は、スカートの上から触っても濡れていた。女子校生は唇を離すと、
「派面ライダー、早く入れてよ。」
と、おねだりした。
「ああ、わかったよ。」
すでに勃起していた彼の股間のモノは、ズボンの膨らんだところが女子校生の臍の下あたりに当たっていたのだ。
派面ライダーは女子校生のスカートの中に手を突っ込むと、ショーツを下げて彼女の膝の辺りまで下ろした。それから自分のズボンのジッパーを降ろすと、容易に大きなキノコのようなモノは、パンツの切れ目から突き出てくる。
派面ライダーは膝を屈めて、少し上げると、彼女の濡れた裂け目にスルリと淫欲棒を入れた。女子校生は、
「はああああーっん。こんな、ところで、するのは、初めて。」
と悶え始める。彼女のピンクの内部は、ざらついていて、自分の淫欲棒が刺激されて気持ちいい。太陽は南中していた。真上から照りつける太陽の光は、女子校生の淫欲裂から、派面ライダーの淫欲棒が出ては、入るのを照らしつけている。そのうち中年の派面ライダーは、膝が痛くなってきた。ので、淫欲棒を一旦抜いて、
「バックからしようよ。膝が痛くてね。」
と女子校生に話す。
「いいよ。後ろから突いてくれた方が、もっと気持ち、いいかも。」
女子校生はクルリと向きを変えると、ビルの壁に両手を突いて、大きな尻を突き出すと、スカートを右手で上げた。
すいか、のような彼女の尻肉の下の中央には、もっこり、と、ふくらんだ肉の中心に淫欲の裂け目が派面ライダーの眼についた。彼は、まだ天を向いている自分の欲棒のかたまりをズーン、とスムーズにズームインさせたのだ。
「ああん、大きいのを感じるわ、派面ライダー。」
女子校生は、黄色い声を上げる。派面ライダーは、赤い手袋をしたまま彼女の尻を抱えて思う存分、突きまくった。ずんずん、ずいっずいっ、と。「ああん、もう、こわれて、しまいそうだわっ、いい、天国に、いきそうっ。」
十分もすると、女子校生の内部の締め付けが強まってきて、派面ライダーは、
「ああ、おっ。」
と声を上げると、どくっ、どくっと女子校生の淫穴の中に、出しきれるものは全て出した。
 
 波山飛苧(なみやま・とぶお)四十歳は、うだつの、あがらないサラリーマンだった。福岡市内の不動産会社に勤めているが、不動産会社を転々としていた。主に賃貸住宅の仲介をしている不動産屋を流れ歩いている彼は、いつでもヒラの社員だ。
 福岡県福岡市は人口百五十万人を越えて、マンションやビルも増える一方、不動産会社も増えているので競争は厳しい。
東京からの不動産会社も参入してくる。福岡市の都心部は東京さながらの人口密集地帯で、いつの日か二百万を超える人口になるに違いない。
波山飛苧の父は福岡県庁に勤めとおした役人で、長男の飛苧に波の山を越えて飛ぶ、飛び魚のような人間になってほしい、という思いから飛苧と名づけたのだ。
 高校を出た飛苧はバイク便のライダーとなって、重要書類を届けて回っていたが、働きながら学べる不動産の専門学校に通い、宅地建物取引主任者の資格を取り、不動産会社に転職した。
しかしながら、不動産物件の案内などは自動車で回るのが常だ。飛苧は自動車運転免許も持っているので、顧客の案内も会社の車で行っていたが、好きなバイクに乗れないので、不満が、つのっていた。
 
 飛苧は三十にして、ワンルームの中古分譲マンションを買い、そこで暮らしている。福岡市の中心に近いワンルームマンションだ。三十五歳の時に変装趣味を覚えて、白バイ警官の服装を購入した。白い部分を赤く染めると、250ccのバイクに乗り、サングラスを掛けて車道を走った。
道行く車の運転手や、バイクの運転者は彼を白バイの警官と間違えた。よく見ると、赤い色の部分がある服装なので、気がつくはずだが、気がつかない。飛苧は爽快になった。
彼はマンションの七階にある自分の部屋に戻ると、アイマスクに似た、目の部分は穴の開いたものを、両目に当てて、後頭部にゴムひもを掛けると、
「変チン、」
と声を出しながら、両腕を、まっすぐにして肩の上に上げた。万歳の格好に似ているが、両手のひらは前にではなく、横を向いている。互いの手の平が、向き合っている形だ。
「おおっ。」
と飛苧は次に声を出すと、両手を降ろして、股間に持っていく。両手でズボンの上から自分のモノを触ると、すでに、それは固く太くなっていた。
(いける、じゃないか。これで、変チンすれば即、勃起している。どんな女とも、すぐに、やれるだろう。とは、いっても、若い女となら、だが。)
飛苧は高級物件を案内したキャバクラの女性と、その部屋に行った時に、二十三歳の、その可愛い女は、
「誰も居ないしさ。ここでセックスしようよ。」
と玄関のドアを飛苧が閉めた時に誘った。
「え、まさか、そんなこと、できるわけ、ないでしょう。」
飛苧は一応、否定した。キャバクラの可愛い女は、ふん、と笑って、
「勇気ないのねー。わたし、お客さんから毎晩誘われているけど、五人に一人としかセックスしないのよ。今は二月で客が少ないから、マンコに入れる本数が減ってるからさ、あんたのモノ入れてくれたら、ここの部屋に決めるよ。」
と話して、スカートを自分の胸まで引き上げた。
彼女の股間は、真っ赤なショーツだった。まるで、闘牛が闘牛士の赤い布キレに誘われるように、飛苧は興奮して勃起した。
「お客さん、いいんですね。会社には内緒ですよ。」
と灰色のズボンの前を膨らませて、飛苧は聞いた。
「そんな事、誰にも言わないわよ。立っているじゃない。ちんこ出したら?」
とキャバ嬢は挑発した。
「出しますよ。そーれ。それから、こうする。立ちシックスナイン。」
飛苧は瞬時に自分の肉棒をジッパーから引っ張り出すと、キャバ嬢の前で逆立ちをして、手を交互に動かして逆立ちのまま、身を反転させた。
立っているキャバ嬢の目の前に、飛苧の勃起肉棒が床を向いて硬直していた。
「ええー、凄いわ。しゃぶるね、ちん棒。」
細い白い指で、キャバ嬢は飛苧の血管の浮き出たモノを握って、亀頭から口に入れると、
ふぐ、ふぐ、と音をたてながら、自分の頭を長い髪を振って上下に揺らせた。飛苧の目の前に、キャバ嬢の股間は、なかった。
「泉沢さん、あなたのオマンコは見えませーん。」
と逆立ちして、太くさせた肉棒をしゃぶられながら飛苧は、わめいた。キャバ嬢は口から太い肉棒を抜くと、
「ごめん。しゃがむわね。ショーツは、わたしが、おろすよ。」
彼女は、しゃがんでショーツを膝まで降ろすと、そのまま、自分の割れ目が飛苧の顔の前に見えるように近づけた。ああ、かわいいキャバ嬢の、男の棒を咥えたくて、しょうがない膨らみと、少し開いたピンクの縦の裂け目が飛苧の眼に、うつったのだ、彼は逆立ちの手を交互に少し進めると、キャバ嬢、泉沢のマンコの縦の淫裂に口をつけて、舌を出して舐め捲くると、
「ああー、いいわー。逆立ちしている男に、アソコを舐められるのは初めてよ。」
と悶えて自分の乳房を両手で持って、飛苧の床に向いて硬直している肉を乳房に、はさんだ。上着の上からではあるが、気持ちいい、と飛苧は感じると
ピュッ、ピュッ
泉沢の上着の胸に射精してしまった。彼女は慌てて、
「ちょっとー、何するのよー、この上着、高いんだから。カシミヤなのよ、五万するの。」
文句を言う。萎えたチンコは、やはり逆立ちしているので、床を向いている。その姿勢で飛苧は、
「すみません。ここの家賃七万円でしたね。手数料は一か月分なので、五万円ぼくが払いますから。」
と話す。キャバ嬢は、にこり、として、
「そうしてね。わたしの福岡銀行の口座に、入れといてよ。もし振り込まなかったら、この件は、あんたの会社に、ばらすわよ。」
「わかりました。なるべく早急に・・・。」
「いつまで逆立ちして、小さなチンコを、ぶらさげてるのよ。」
「すみません。戻ります。」
飛苧は手を動かすと、背中を泉沢に向けて、足は彼女の目の先の床面に下ろした。着地して、慌てて小さくなったモノをズボンに仕舞い込んだ。
 
 と、いうような過去もあった。紹介した部屋で、水商売や風俗の女は誘ってくる場合もあったが、思うように挿入した事はない。それは追々、彼の追想で出てくるかと思う。
 
 さて、彼の変チンポーズだが、飛苧は変チンと叫んで、両腕を真っ直ぐに天に上げた時に、頭の中でAV女優の裸体を思い浮かべる事にしている。旬の女優が、いい。数年前に人気があったAV女優も、いつのまにか消えてしまうことが多いものだ。
「変チン、」
で、AV女優の裸の股間に、頭の中の視線を合わせると、むずむず、と肉棒に血液が流れ込み、
「おおっ。」
で完全に勃起している。
最初に暴漢に追い詰められた女性は、キャバ嬢だ。彼女は中洲のキャバクラ、「女子校生」に勤めている。波山飛苧も時々、遊びに行くキャバクラである。彼は、
「おれ、変身ポーズでチンコ立てられるんだ。」
と接待している女子高のセーラー服を着た、二十歳のキャバ嬢に話した。
「きゃっ、チンコなんて露骨だわ。でも、すごいのね。」
と持ち上げてくる。
「ここで、して見せようか。」
「いいわ、やってよ。」
飛苧は立ち上がると、
「変チン、」
と叫び、両手を手のひらを内側に向けて、真っ直ぐに挙げた。その時、彼の頭の中にはAV女優の裸が浮かんでいる。
「おおっ。」
と叫んで、股間に手を回すと、完全に勃起しているのが、目の前にいるキャバ嬢にも分かった。その二十歳のキャバ嬢は手を叩いて、
「すごいなー。ちんこ、立ってるわ。変チンのポーズ、ここの、みんなに伝えておくから。」
と話した。
それから飛苧が、そのキャバクラに行くと大モテとなった。あるキャバ嬢は、
「波山さん、いつが、お休みなのかしら?」
と聞いたので、飛苧は、
「水曜日が休みですよ。不動産屋だから。」
と答えてしまった。
「そうなの。わたし、リモコンみたいな無線連絡機器を持っているから、それで連絡を送るわ。」
その無線の連絡が、あのビルの谷間の危機だったのだ。
 
「ほんの、お遊びのつもりが、身の危機を救ったわ。」
と、あのビルの谷間にいたキャバ嬢は仲間に話す。
「そんなら、わたしにも、その無線機欲しい。」
「わたしも、よー。」
「わたしの美貌なら、二台いるかも。」
とワイワイガヤガヤとキャバ譲達は騒ぎ出し、結局全員が無線機を持つ事になった。
 水曜日、休みの日は波山飛苧はバイクで福岡市内を走っている。最初の呼び出しでは変チンポーズは慌てていて、するのを忘れていた。あとで、あのキャバ嬢に追及されたが、
「ごめん。でもアレは立ったから、いいだろう。」
と飛苧は逃げていた。
 
 波山飛苧の叔父さんが、沖縄に空手留学して帰ってきたのは、飛苧が二十歳の時だった。沖縄にある空手が日本に全部伝わっている、というのは間違いだ。というより沖縄も日本なので、こういう表現は、まずいのだが。日本本土というのも適切ではないとすれば、沖縄県から日本の他地方とするのが正確だろう。
彼の叔父さんは水剣流という、沖縄から出たことのない流派を学んで来たのだ。
 
 この水剣流という流派は、琉球王朝時代に宦官にする男達の陰茎を、切り落とす時に大いに活躍したと云われている。
宦官とは去勢した男性の事だが、彼らは王様のペットのようなものだったろう。尻の穴も貸していたかもしれない。
宦官志願者は、月のない夜に首里城の庭の一角で陰茎だけ出して、膝を曲げて屈む。中腰の姿勢だ。そこへ水剣流の師範が現れると、左手で宦官志望の男の陰茎を握り、
「えいやっ、きえー。」
と掛け声を掛けて、手刀で(手の指を全部くっつけた形)、小指の下の手の側面を鋭く男の陰茎に振り当てた。宦官志願は、
「ああーっ。」
と声を上げる。男の陰茎は、水剣流宗家の手刀で見事に切り落とされていたのだ。
 
 この水剣流の秘儀に子宮殺し、というものがある。女の子宮にペニスが当たっても、ああ、気持ちいい、と声を出されるだけだが、この流派では宗家は若い頃から、巻き藁に自分の勃起した陰茎を突いて鍛える。やがて、
「おおーりゃあーい。」
という掛け声の下、瓦一枚は勃起した肉茎で割れるようになるという。
ここまで鍛えれば、性交中の女性の子宮を自分の勃起肉棒で突き、死に至らしめることも、あるというのだ。
 
恐るべし、水剣流空手である。飛苧は叔父さんに、
「おじさんも、その子宮殺しを身につけたのですか。」
と聞いた。四十代の精悍な鼻の下に、髭を、はやした目の大きなおじさんは、
「ああ、日本というか、福岡から、わざわざ来てくれたというのでね、その秘儀も訓練したよ。ただ、瓦は一枚、自分の勃起したやつで割れたけど、実際の女はね、ためしたこと、ないけど。」
「そうだねー。殺人罪に問われるかもね。」
「いや、それは分からないと思うよ。子宮損傷で出血多量になると、死ぬだろうけど。琉球王朝時代は医学も進んでいなかったから、間に合わなくて死ぬ事もあったろうね。でも、今の医学で病院に運ばれたら、助かるんじゃないかな。」
なるほど、と飛苧は思った。
 叔父さんの名前は、波山正拳(なみやま・ただけん)という変わった名前だ。これは、叔父さんの父、つまり飛苧の祖父が空手好きで、飛苧の父の兄に正拳という名前をつけたのだった。
 叔父さんの波山正拳は福岡市内、南区に道場を構えた。三百坪の敷地に道場を作って、弟子を募集した。道場は、やがて、人が大勢来たが、女子大生も大学の空手部だけで飽き足らずに入門する事もあった。そんな、或る日、
入門したばかりの女子大生が、頬に切り傷を、つけて道場に来た。正拳師範は、
「狭霧君、どうしたのだね、その頬の傷は。」
と道場に上がって空手着を着ている狭霧照子(さぎり・てるこ)に尋ねた。狭霧照子は大学三年生で二十一歳、胸も大きいし、尻も横に張っている。背は百五十五センチだ。
「やられたんです。女のチンピラに。わたし、中洲に飲みに行った時、からんでくる三十位の柄の悪そうな女に、
「しつこいわね。蹴飛ばすわよ。」
と云ったら、
「いい度胸じゃないの。やってみらんね。」
と言われたから、カウンターの椅子に座ったまま、右横の、その女の膝を蹴ったんです。そしたら、どーん、と、その女は椅子から転げ落ちました。軽く蹴ったので、骨に別状は、ないと思いますけど、
「あいたたたたたーっ。骨が痛い、よくも、やったな若造め。」
と言いながら、苦痛に顔をしかめて、そのチンピラ女は立ち上がると、飲んでフラフラしているわたしに、ポケットから何か出して切りつけたんです。それは、剃刀でした。それで頬を切られて・・・。
なおも、切りかかろうとする女を店の用心棒が抑えて、それで終わったんですけど。」
正拳師範は静かに聞く、
「中洲の、なんという店かな。」
「朝まで昼顔、という店です。」
「ようし、必ず仇は取ってやるからな。」
正拳師範は、腕を組んだ。
 
 中洲の「朝まで昼顔」という店を正拳師範は、すぐに見つけた。中に入って、何やら話しをていたが、あのチンピラ女の事が分かったらしく店を出てきた。夕方の四時だ。
 正拳は中洲の橋を渡って、公園のベンチに腰を下ろした。目の前に生命保険会社がある。
期待に胸を、ふくらませたアナタを見たい 福福生命
という看板も出ている。午後五時になった。その生命保険会社のビルから出てきた女の一人を認めると正拳は立ち上がり、すすーっと氷の上を滑るように女に近づく。三十代の女で、大柄だ。しかし、胸も尻も小さい。頭はパンパーマをかけていた。
正拳は、
「ちょっと、待たれい。」
と声を、その女に、かけた。女は立ち止まると、
「何か、御用ですか。生命保険加入の事でしたら、ここでも承ります。」
女は低い鼻を膨らませて答える。
「いいえ、そうでは、ありません。あなたのご乱交について、責任を取っていただく必要が、あります。」
女はキョトンとして、
「なんの事でしょう?何か、よくわかりませんけど。」
と言うと、外交員が、よくする微笑を浮かべた。
「わからないのなら、教えてあげますよ。こちらに、いらっしゃい。」
正拳は女を手招きして、人の通りからは見えない大樹の陰に、女を連れて行った。
 
 大樹に背中を向けた大女は、歩道や車道からは見えないようになった。公園にも寒い日なので、人は一人も、いなかった。川は福岡市の河口に近く、少しの幅がある。四十メートル程の川幅で、ひんやり、とした冷気が公園の中に漂っていた。
大女は再び、
「なんの事ですか。」
と言うと、パンチパーマの髪を右手で撫でた。正拳は、
「秘儀、全髪落とし。」
と声に出すと、大女の髪の毛に両手を当てて素早く髪の毛を大量に引き抜いていった。
「ぐわわわっ。」
女はバッグの中から何か、取り出すと正拳に向けた。正拳は、
「そうは、いかのきんたまだ。それ。」
と足で女の右手を蹴った。剃刀は女の手から飛んで、女の頬に当たり、女の頬からは血が流れ出した。正拳が手を止めると、女の髪の毛は三分の一、両耳の上だけ残っていた。
「なんてこと、するんだー。」
と喚きながら、女は正拳に掴みかかってくる。その女の手の手首に、正拳は手刀で打撃を与えた。女は右手を押さえて、
「いたーい。手が痺れて動けない。どうして、わたしが・・・。」
「おぬしは、わたしの弟子の女子大生の頬を、剃刀で切っただろう。傷害罪で警察に届けない代わりに、こうしておけば、弟子も満足すると思ってな。」
「あの女は保険の勧誘を簡単に断ったんだ。親切に説明したのに・・・。」
「ばかものっ。保険など、今は、いくらでもある。」
「それは知ってるよー。でも、ぶらぶらと旦那は遊んでいるんだ。稼がないと・・・。」
「たわけがっ。」
正拳は、女のスカートを、めくりあげると、ショーツを指で掴んで引き裂いた。股間は、かなりな剛毛だった。
「上の髪の毛も少し、残してやった。下の毛も少しは残してやる。」
正拳は、そう話すと、グイと大女の陰毛を掴み、一気に大量に引き抜いた。
「あわあー、パイパンに、なるう。」
女が叫んだが、女の陰毛は髪の毛と同じく、両脇は生え残っていた。正拳は、
「今後、何か少しでも私の道場生に手を出すと、次回は、これくらいでは、すまさないよ。」
と言い置いて、ゆっくりと緑の芝が生えている公園を出て行った。
 
 波山飛苧には、このような叔父さんがいる。女子校生のキャバ嬢を助けられたのも、水剣流空手を幾分か習得していたためだ。
不動産業界は二月と八月は暇だ。だからといって、店を出るわけにもいかない。八時前には店のシャッターを降ろし、中洲に飲みに繰り出す。行きつけは、キャバクラ「女子校生」だ。セーラー服のキャバ嬢が酒を注いでくれる。そのうちの一人が、暴漢に襲われそうになった何子(なんし)だ。英語の女性名、ナンシーから、つけられている。
何子は他のキャバ嬢達に、
「波山さんに助けられたのよ。危うく、襲われるところだった。」
と話すと、
「よかったわねー、どうやって、助けられたの?」
と聞かれたので、
「無線で呼んだのよ。そしたら、近くをバイクで走っていたらしくて、来てくれて。かっこよく、暴漢を倒したのよー。」
「すっごーい。わたしも無線機、持ちたい。」
「わたしも。」
「わたしもねー。」
「ミー、トゥーです。」
という感じで、そこのキャバ嬢は全員、波山飛苧に連絡のつく無線機を、持つ事になったのだ。
 
 そのキャバクラの経営者、楽田繫栄(らくた・はんえい)は福岡市内の、あるビルで乱交パーティを企画した。インターネットで参加を募ると、意外にも女性は、すぐに集まったが、男性は誰も参加してこなかった。
五十歳の楽田は鼻の下の髭を、右手でいじりながら、
「困ったなあ・・・。普通は逆だと思うのに。」
と独り言を言った。
その場には、数人のキャバ嬢が、いた。事務所みたいな部屋だ。一人のキャバ嬢が、
「波山さんに来てもらえば、いいんじゃないですか。二月の今は、不動産業界は暇らしいですよ。」
楽田は眼を輝かせて、
「そんな人、いたのか。ぜひ、誘ってみてくれ。」
「はい、わかりました。やってみます。」
 
 その日、誰も客が来なかった不動産仲介の店を、出た波山飛苧の携帯電話が鳴った。
「はい、もしもし。」
「波山さんですか。キャバクラ女子校生の、江真(えま)です。」
「ああ、どうも、久し振り。」
「波山さん、困っているんです。助けてください。」
店の前は人通りも少しあるので、近くの小さな公園に駆け込むと、飛苧は、
「どうしたのかな、急に。」
「実は、うちの社長が乱交パーティを企画したんですけど、男性が集まらなくて。」
「そんな事、言ったって、こっちも、そんなものに参加した事ないからね。」
「そこを一つ、よろしく、お願いします。」
「困ったなあ。ぼくも、もう四十だし、何人もの女性とセックスをするのは体が持たない気がする。」
「派面ライダーに変身したら、どうですか。」
「うはははは。そうだね、考えてみるよ。」
「じゃあ、日時は追って連絡しますから。」
「おい、ちょっと・・・。」
プツ、ツー、ツー、ツー。と携帯電話の通話は一方的に切れていた。
 
 一人で部屋に帰った飛苧は、電燈のスイッチの紐を下に引くと、
「乱交パーティと、いったってなー。」
と溜息をついた。それからノートパソコンを起動して、アダルトDVDを入れて見始める。それは乱交パーティのAVだった。四つん這いに、ベッドの上で構えている裸体の女性に中年男が後ろから、挿入した。悶え始める女。男の顔は無表情に仕事をしている感じだ。
「柵城(さくしろ)!こんなところに、出ていたのか。」
飛苧は一人で叫んでしまった。その男は小学校高学年の同級生、柵城・滝輔(さくしろ・たきすけ)だったのだ。
柵城と会わなくなって久しい。が、ネットで調べれば分かるかも、と思い飛苧はパソコンで検索した。
AVでは珍子・出酢蔵(ちんこ・だすぞう)という名前で画面には出ていたが、本名で調べたのだ。
あった、と飛苧は喜びに胸を躍らせた。なんと奴は、無料ブログで実名で書いていたのだ。そのタイトルも、
AV男優の孤独
顔写真はブログには付けていないので、珍子出酢蔵と気づく人は、ほとんど、いない筈だ。
日記風の文を読むと、
 
今日は本番撮影が二本あった。昼と晩。一発ずつ、射精して終わった。監督に、
「二発は出さないと駄目だ。」
と云われて悩んでいる。何か、いい方法ないですか。レビトラ、シアリス、バイアグラとは別のものが知りたい。
いいコメントを、くださった方には、心ばかりのお礼を差し上げます。
 
と書いてある。
本人にメール、も、できるようだ。インターネットとは、かくも素晴らしい。柵城、待ってろよ、おれが今、メールするからと飛苧は心ワクワクさせて、
 
柵城君、ぼくだよ。小学校の頃の波山飛苧だ。もっとも波山は学年でも、おれ一人だったから分かるだろう。暇なとき、福岡に来ないか。できれば、大至急。
いい話が、あるんだ。
 
そうキーボードで打つと、そのブログを通じて柵城滝輔に送信した。
 
次の日、退屈な不動産会社から帰宅した飛苧は、ノートパソコンのメールボックスを真っ先に起動させた。
柵城滝輔からの返信が、あった。湖に太陽が浮かぶような希望が、飛苧の胸に満ちる。
 
 久し振りだな、波山。おれたち小学校四年の頃、商店街の道をチンコ出して歩いた事も、あったよな。おれは、だから今の仕事をしている、といえるけど、君は何をしているんだ?
ひまは今度、三日くらい休めるから、福岡に行けるよ。
 
飛苧は楽しくなって、返信した。
 
おれは不動産屋だけど、今、ひまなんだ。新幹線で来るんだろう。迎えに行くよ。
 
 思ったとおり、柵城は新幹線で来福する、とメールを出してきた。そこには携帯電話の番号もあったので、飛苧は自分の携帯から電話した。
ただ今、留守にしております。発信音の後に・・・
プチ、と飛苧は携帯電話を切ってしまった。AVの撮影中か・・・と思いを巡らせる。柵城は珍子・出酢蔵として、仕事中なのだ。
 
 新幹線から博多駅に降りてきた柵城は、とても疲れた顔をしていた。飛苧は手ぶらの彼に近づくと、
「元気、なさそうだな。」
天井がある新幹線のホームで、再会の言葉を発すると、
「うん。毎日立たせていたからな、ムスコを。」
「よし、それじゃあ、うまいものでも食べに、いこう。」
「そうだね。おごって、くれるのか。」
「無論、おれの、おごりだ。」
飛苧は博多駅に隣接したビルの食堂街に、柵城滝輔を連れて行く。ウェイトレスは二十代前半の巨乳、巨尻で、引き締まったウエストの女性だった。眼は、まん丸で、髪は肩までの黒髪、注文を聞きに来た時も、座っている二人に身をかがめると、彼女の胸と尻は色っぽく弾んだ。
その店はフランス料理の店だった。飛苧はメニューを片手に、
「昼のスペシャルにしよう、いいな?柵城。」
「それに、してくれ。」
と答えた彼の視線は、ウエイトレスの胸と尻を眺めていた。
 
柵城はウエイトレスが向こうに行ったので、飛苧に向き直り、
「昼のスペシャルって、いくらなのかい?」
「三千円だけどな。」
飛苧は、ゆとりを持って答えた。柵城は驚くと、
「随分、高いな。金もちに、なったね。」
「いや、福岡市は他が安いからね。」
とはいえ、フランス料理店は福岡市にも数えるほどしか、ない。そして、それらの店は安いということは、ない。柵城は、うなずくと、
「そうだなあ。福岡市は家賃は安いね。ぼくなんか、東京でも中野に住んでいるから家賃も高いね。AV男優だから、メーカーの事務所に近くないと、大変だから。
一ヶ月住むために、八人の女と、しなければね。」
「八万円、か。」
「そうだね。一万円以上、もらう事も、あるけど、安く多く、やりまくらないと、いけないんだ。」
「ほおう、でも女が好きなら、それで、いいねー。」
「仕事にすると、きついな。常にチンコの先には、ゴムが乗っているものね。」
「時々、コンドームを外したくなるんじゃ、ないか?」
「それを、やれば、即クビだろう。今の時代、他に仕事もないし。AV男優もやっていると、精力剤のキャラクターに使ってもらえるし、本業以外の収入もあるんだ。そのイメージキャラクターには、サングラスかけて出たから、顔は知られなかった。珍子・出酢蔵という名前は出たけど。AVを見ている人は、案外、男優の名前は気にしないもの、だからね。博多駅でも、誰も、ぼくの顔に気づかない。」
「女の体と顔ばかり、見ているからな、AVでは、男は。」
出されたスープを見ると、柵城は、
「遠慮なく、いただくよ。」
「ああ、どうぞ。」
と、うなずいた飛苧に、
「話は変るけど、さ、東京でインターネットで見たけど、福岡に派面ライダーって、出没するそうだな。」
「・・・・・、そうか?知らないけど。」
「アイマスクみたいなのを、つけて、出てきて女を助けるそうだな。目撃証言が、あるよ。」
そう、あれから又、キャバクラ女子校生の一人が、中洲の裏道で暴漢に襲われそうになったのだ。しかも、火曜の夜遅くに。だから近くで飲んでいた波山飛苧はポケットの通信機がバイブレーションしているのに気づいた。
 
 サングラスを掛けた三十半ばで背広、赤いネクタイの長身の男が中洲の裏道で、セーラー服の女性を後ろから抱きすくめていた。男は女性の髪をペロリと舐めて、セーラー服の上着の上から、女性の乳房をムンズと掴んだ。
「あはっ、やめてー。」
いやいや、ながらも少し感じた女は声を上げた。でも、嫌悪感が強く走る。
「おい、おまえ女子高生なんだろ。こんなに遅い時間に、中洲を制服で歩きやがって。おれのする事に文句つけたら、学校に言いつけてやる。」
「わたし、学生じゃないのよ。キャバクラに勤めているの。」
スカートの尻を触られながらも、若い女は、抗議した。
「ふん、うそを言うな。ビルの陰で立ちマンしてやるぜ。セーラー服の女に立ったまま、入れてみるのが、おれの、したい事だったんだ。」
女子校生は右手で、なんとか、リモコンみたいな無線機のボタンを押した。
「助けて!派面ライダー!」
女は声を限りに叫ぶ。男は女子校生の股間を、スカートの上から撫で回して、
「おいしそうな、マンコだな。指に吸い付くような感触。派面ライダー?なんだ、それ。」
その時、軽二輪の走ってくる音が、した。二人は顔を、そこへ向けると、右目にアイマスクをした男が白バイの警官の制服を着て、オートバイに乗っていた。ただ、赤色が、あるのが白バイ警官の制服との違いだ。
セーラー服の成年女性は、彼を見て、
「わーっ、派面ライダー、来てくれたのね。」
と黄色い声をあげる。
バイクは止まると、派面ライダーはジャンプして、男の顔面に蹴りを入れた。
「うがあっ。」
サングラスを落として、男は道に倒れる。そのまま、気絶したようだ。女子校生は派面ライダーに駆け寄り、抱きついた。
「ありがとう、派面ライダー。」
「いいえ、どういたしまして、ね。引越しの時は、・・・いや、さらば、です。」
「いかないで。お礼は、わたしの体で、します。」
「いいですよ、そんなのは。わたしは正義の派面ライダー。」
「ビルの陰で立ったまま、はめて。」
「えっ、いえ、そんな・・・。」
「お礼は、受け取るものよ。派面ライダー。」
「わかりました。ごっつあん、しようかな、いただき、まーす。」
アイマスクをしたまま、派面ライダーと女子校生の姿の成人女性は、ビルの陰に入り、奥まで行くと抱き合い、キスをした。女は派面ライダーの股間を、待ちきれないように探ると、
「あれ?まだ、立ってないわよ。」
と咎めた。
「悪いねー。今、立たせるよ。」
派面ライダーは謝ると、両手を、手のひらを向き合わせた形で、真っ直ぐに上に挙げた。
「変チン、」
「おおーっ。」
派面ライダーが両手を下に降ろすと、彼のモノを握っていた女子校生は、
「きゃあ、立ったわーっ。」
と喜びの声を上げる。
派面ライダーの淫欲の棒は最大限に膨張していたのだ。
 女は彼のジッパーを下げると、太くなったモノを取り出し、自分のショーツを膝まで下げて、自分の股間の淫裂の谷間に、それを自分で埋め込んだ。
「ああん、いいわーっ、派面ライダー・・・・。」
セーラー服を着た成人キャバ嬢は、突き出た尻を激しく前後に揺らせていった。もちのような彼女の膣内の肉が、派面ライダーのチン肉に絡みついて離れない。
彼の両手は、セーラー服の上から乳房を握り、上下に軽く揺すった。
「いやあああん、強い男って素敵!」
女子校生姿の美女は、ビルの壁に手をついて、激しく悶えた。
 
 三十分後、派面ライダーは彼女に、膣内射精して終わった。萎えたモノをズボンにしまうと、
「さらば。又、呼んでね。」
と一言残して、250CCのバイクの轟音を響かせて、ビルの森に消えていったのだ。
 
 柵城・滝輔はポカンとしている波山飛苧に、
「おい、どうしたんだよ。眼が、ガラスの玉みたいだぞ。」
と指摘する。飛苧は頭を軽く振ると、
「あ、なんでもないよ。派面ライダーって、面白いね。」
と作り笑顔を浮かべた。
 
 六千円の会計は、飛苧にとっても痛いものだったが、食後のコーヒーは黒砂糖の丸玉を入れて、飛苧は、
「実はね、福岡市内のビジネスホテルで、乱交パーティの企画が、あるんだよ。女性の方が集まったけど、男性は一人も参加者が、いない。さすが、福岡だね。」
と切り出した。柵城は動じずに、
「そうか、福岡では珍しいんだろうな。そういうのは。東京では、日常的に行われているよ。おれもAV男優だから、呼ばれる。それがね、一般的には募集されない事も、あるんだ。例えば、芸能プロダクションの売り出し中のアイドルだけを集めた、乱交パーティとかも、ある。そんなの、一般に知られたくないだろ?」
「ああ、そうだね。第一、考えられないな。」
柵城はフフ、と笑うとコーヒーを、がぶ飲みして、
「最近アイドルと言っても量産というか、メンバーが多いと言うか、おれも一人で捌けないので、三人くらいのAV男優で、やってるよ。向こうが九人で、おれたちに三人ずつ、列を作って水着で立っている。みんな、プリプリの、おっぱいをビキニで隠しているけど、背中で紐を結んでいるだけだから、両手を回せば、すぐに取れるよ。
アイドルも貧乳の子とかは、こういうのに回って、こないんだ。つまり、彼女達が同業者と熱愛の仲に、なったりしないようにAV男優の、おれたちで、彼女達の性欲を満たしてやるわけだ。テレビとかに出ている可愛い子も、三人くらい、一遍にハメまくったよ。大抵、処女なんて、いないから、その点は安心だ。
中には、おれを仰向けに寝かせて脚を開いて跨り、ロデオの馬に乗っているように、激しく腰を動かすアイドルもいた。
特にね、テレビドラマとかでイケ面俳優と共演が決まると、芸能事務所は毎日のように共演しているアイドルをおれたちにセックスさせて、その俳優に恋をしないように、させているんだ。そんなの、信じられないと思うけど、ドラマは、あくまでも虚構で、あるわけ、なのに主演男優にメロメロになったアイドルが過去にいた。イケ面男優もゴシップを怖れて、共演アイドルには手をつけない。そのアイドルは巨乳だったけど、彼女の事務所はAVにも関係していたから、そこのAV男優三人に、一度に代わる代わる、ハメさせたんだ。
まず最初の男優は正常位、次は後背位、最後の男優は騎乗位だった。それで男優はゴムつけて、中出し、したんだけど、最後のセックスは、巨乳アイドルがリードしていて、三時間も乗られ続けたんだって。
その巨乳アイドルが、そのドラマに出る日の前の晩は、AV男優は忙しかった。とうとう、ぼくのところにも出番が来てね。その巨乳アイドルをビジネスホテルで三時間位、ハメたんだけど、キスするだけで乳首は立つし、眼は潤んで股間のマンコも濡らしているんだ。テレビドラマで、イケ面俳優とのキスシーンの時の事を聞いてみると、
「ああ、あの時、わたし、乳首も立っているし、まんこも濡らしているの。でも、撮影スタッフは気づかないわね。あのイケ面も気づいてないわ。舌を入れてやろうとしても、あいつ、唇を開かないのよ。イケ面の股間にスカートの上からでも、わたしのマンコを押し付けるけど、チンコ立てないのよ。あいつ、インポなのかしら。でも、前の晩、あなたと激しくセックスしているから、それ以上、燃えないで、すむわ。もし、あなたとセックスしていなかったら、あのイケ面のチンコ、握っているかも、しれない。」
と答えてくれて、硬く尖った乳首、それは黒ずんでいるけど、を、おれに吸わせてくれたんだ。
アイドルって淫乱なんだけど、茶の間の人や企業のやつらは気づかないね。しまいにはホテルで窓を開けてセックスしたい、って言うんだ。だから七階の窓を開けて、裸のアイドルを後ろから挿入して、突きまくった事もある。そのアイドルは、それからテレビのコマーシャルに出て、笑顔で写っていたけど。
テレビとかでは、ていねいに落ち着いて喋るけど、おれとのセックスの時は、
「おまんこの奥まで、ずんずん、ズームインしてっ。」
とか、叫ぶんだ。」

男の娘を助け出せ 派面ライダー

 通勤からの、それもOLではない、ある職業からの帰り道で美乃(みの)は後ろから誰か、つけてきているのを感じた。
(誰?誰なのよ?)
だが、振り返ってみると襲われそうな気がして、歩く速度を、もっちり、とした太ももの移動時間を短くして、速めてみた。
すると、後ろの誰かも足音が高く、早くなる。
美乃は155センチの体で、胸は88もあり、尻は88の、肉欲をそそる体、色白で脚は細い。
美乃は近くの広い公園に駆け込んだ。後ろからの追跡者も美乃を追い駆けてくる足音だ。
公園には誰も、いなかった。ああ、と美乃は足を停めて、後ろを振り返った。なんと、そこには大きな男が黒いパンティストッキングをかぶり、右手でズボンの世界の中心点のファスナーを降ろし、
「ピー!男の世界の中心点のチンコの雄たけびを聞け、ピー!」
とくに言葉を口から吐くと、
立ったままの美乃を、がっし、と抱きしめ、彼女の赤い唇に自分の分厚い男の唇を重ねた。
そのまま三分も唇を重ね合い、その間、美乃は尻と乳房を揉まれていた。やがて男の手は美乃の股間の間、スカートの中に男の手が伸び、男の右手の中指が、マンコの辺りを探った。
「おい、クリトリスしか、ないのか、おまえ。」
と唇を外した、黒いパンティーストッキングで顔を覆った男が聞くと、美乃はスカートのポケットから無線機のようなものを取り出すと、
「助けて!派面ライダー!」
と大声を上げた。
その美乃の唇をパンスト男は、美乃の背後に回り、左手で塞ぎ、右手で彼女の豊満な乳房を薄い上着の上から、入念に揉みし始める。
美乃の乳首を探り当てた男は、ズボンから飛び出して既に勃起したモノを美乃の尻に彼女のスカートの上から、ぐん、と押し付けた。
パンスト男は膝をかがめて、伸ばすと、美乃の尻の割れ目の下の方から、上の部分まで、男の張り切った亀頭で強くなぞる。
「おお、いい気持だぜ。男の中心点でチンコを雄たけび、させる。なんて、な。姉ちゃん、おまえも感じているんじゃ、ないのか。」
美乃は右手に無線機を持ったままだ。
その時、バイクの爆音が公園の外に聞こえた。そのバイクは、公園の入り口前で停められ、黒いサングラスをかけた、白バイの警官の制服に似たものを着た男が、バイクから降りると、
「派面ライダー、チン!」
と名乗りを上げ、二人に駆け寄ってくる。白バイの警官の服装との違いは、白の部分が赤になっている事だ。
パンスト男は、
「ピー!又しても、我々、モッカーを邪魔しに来たな。この娘はな・・。」
美乃を自分の前に抱き留めながら話すと、派面ライダーは飛び上がり、
「とぅーっ。」
と叫び、飛び蹴りで、モッカーの黒いパンストに隠れた左耳の辺りを攻撃した。
パンストのモッカーは、
「あわっ、ピー!」
と声を出し、美乃を乱暴に自分の横に押しやると、
「まだまだ、こんなものでは、な。おれのモノを見ろ、派面ライダー。」
とモッカーは勃起チンコ、それはパンツの切れ目から突き出ていた、を見せた。
派面ライダーは、
「ふん。おれと勝負するのか。変チンするから、見ていろよ。」
と答え、両手を、手のひらの方を、十センチほど離して向かい合わせて、自分の頭の上に空高く突き出し、そこで止めると、
「変チン!」
と声をかけると同時に、両手のひらを向かい合わせて離したまま、自分の股間に向けて振り下ろす。
「おおっ!」
両手は股間のあたりで停まっている。すると、派面ライダーの股間が膨れ上がってきたではないか!
派面ライダーは両手でガッツポーズを取ると、
「ぼっきーキック!」
と叫んで再び飛び上がり、今度はモッカーのを蹴った。
「ピー!」
と叫ぶと、パンストモッカーは、その場に倒れて意識を失った。

 嬉しそうな美乃は、派面ライダーに駆け寄ってきて、抱きつき、
「ありがとう、派面ライダー。」
と言葉をかけると、派面ライダーの胸に顔をうずめる。
その時、美乃は自分の下腹のあたりに何か肉の塊のようなものを感じた。それは、派面ライダーの勃起した実在だった。
美乃は顔を赤くしたが、公園内では暗くて、その色は見えない。
派面ライダーも美乃の肩を軽く抱きながら、
「ごっつあん、してしまおうかな。いただきます、してしまおうかな。」
と声をかけると、美乃は、
「いいわよ、してっ。」
と自分から背伸びして、派面ライダーにキスをした。
 美乃の、背中の真ん中まである黒髪がユサユサと揺れる。
派面ライダーも、美味な、もののように美乃の唇を味わい、舌を入れて絡める。
唇を離した派面ライダーの右手は、美乃の股間に触れると、
「おや?君は、もしかして・・・。」
と呟くように聞くと、
「そう、わたし、男の娘、よ。」
と美乃は、にっこりとして答えた。
派面ライダーは、美乃の肩に回した両手を外すと、
「ま、今日は、この辺で。明日、仕事が朝早くあるから。」
と語ると、公園の入り口に止めたバイクに向かって走って行った。

波山飛苧(なみやま・とぶお)は、四十歳になる福岡市の不動産会社の社員だ。昨日の夜、公園で男の娘を派面ライダーとなって救出した。
実は美乃は、キャバクラで働いていたのだ。「キャバクラ女子校生」の新人として、飛苧は彼女と出会い、
「何か困った時には、これで呼ぶといい。ただ、不動産会社の休日と、平日は営業時間外に、してほしいけどね。」
とキャバクラで無線機を渡した。
美乃は信じていない顔をして、
「またー、そんな。波山さんみたいな人、冗談が、こみいってますね。」
と答えると、近くにいたキャバ嬢が、
「それ、ほんとなのよ。わたし達もね。危ない時に、波山さんに助けてもらったんだから。」
すると美乃は、
「えええっ、そうなんですかー。」
と半ば、信じた顔で無線機をスカートのポケットに入れた。

 そんな経緯で美乃は、派面ライダーに助けられたのだ。

 現実に帰れば、飛苧は福岡市にある不動産会社の社員だ。2016年は、日本経済は年末辺りまでダメで、だから不動産を買う人も売る人も少なく、飛苧の会社も支店の一つを閉店した。
不動産会社といっても色色な業容で、飛苧の会社は賃貸物件の仲介も、やっている。これも2016年は不調。
2017年になってから、少し、不動産の仕事も増えてきて、中洲のキャバクラにも時々、行けるようになった。
その行きつけのキャバクラ「女子校生」で知り合ったのが、さっき助けた美乃だった。
は美乃を女性だと思っていたのだ。
男の娘、美乃。でも、さっき軽く抱いた感じは女のものだった。

美乃、本名はという。実家は福岡市郊外にある六百坪の豪華なる邸宅を所有する。父はゲームセンターとパチンコ店を、いくつも経営している。年収は五億円で全国的に見れば、それほどの資産家でもないが、福岡市では、いい暮らしが充分できる。
現実的な話としては、福岡市内には千坪の邸宅は、ほぼ、ないので六百坪は広さは上位の方だ。
邸宅内では若い女性の女中つき、女中は死語みたいなものだからメイド、と表現しよう。実際にメイド喫茶にいるメイドの恰好をした若い女性が、飛切家には仕えている。
美乃の父親は、という。
名前と関係あるか分からないが、自分専用のメイドに、
「おれのモノはね、とびきり、よく立つんだ。」
と話す。
自分の書斎で、そのメイドと二人きりの時に語ったのだ。
メイドは顔をリンゴの色にして、
「そうなんですかあ。すっごーい。」
と褒めてみる。
時刻は昼の一時、妻は四十代で演劇鑑賞に出かけている。書斎は狭くて四畳半だからメイドとの距離も近い。
はズボンを脱いでパンツも取ると、メイドに向けて自分の雄々しい筒先をドビーンと見せた。
メイドは両手を自分の両頬に当てると、
「きゃっ、旦那様。見て、いいのですか。」
と可愛らしく聞く。
「ああ、見ているだけで、いいのかな。」
「いえ、それだけでは、我慢、出来ませーん。」
辰蔵は椅子に座ると、
「では、好きにしていいぞ。」
と男のキノコを直立に近くさせたまま、メイドを促す。
メイドは躊躇して、
「でも、奥様が旦那様には、いらっしゃるのですから・・・。」
「なに、あれはな、今日は演劇鑑賞会だ。男の俳優の股間でも眺めて、満足しておるのだろう。夜は遅くなる。楽屋に入れる、らしいからな。そこで気に入った若い男優の、なるべくチンポの太い奴を選ぶんだ。それで徹夜もあるよ。
だから、今日は君と徹夜で楽しめるかも、な。」
巨乳メイドは主人のの巨大化したキノコに、ぶりついた。口いっぱいに大きくなった肉竿を入れて、フルートを吹くように辰蔵の肉竿に両手の指を当てて動かす。
辰蔵は目をるがくにして、
「ああ、秋葉原のメイドでも、これは、しないから東京のメイド喫茶には、行かなくていい。うおっ、うおっ。」
とメイドに指で演奏されているような感覚を、チンポに辰蔵は覚える。よしっ!
と辰蔵は考えたのだ。この若い可愛い娘にだけ奉仕させては、いけない、おれも、する。
「よしっ、しゃぶりながらでも、いいから、服を脱いで股間にあるショーツと君の大きな胸にせてあるものも、外しなさい。」
メイドは、
「まい、もふひんはま。(はい、ご主人様、と発音したが、肉棒を咥えたままなので、そういう発音になる。) 」
椅子に座った辰蔵は、ゆっくりと立って、もちろんチンコも立てたまま、メイドが服と下着を脱ぎやすくする。
メイドの名前はという。満津実は辰蔵のモノを咥えたまま、中腰でスカートと白いショーツを降ろして両足を外した。
満津実の豊かな下腹部と、びっしり密生した黒い陰毛が辰蔵の下に下げた視線の中に入る。
ピンクの彼女の割れた線も、クッキリと見え、陰唇は肉厚だ。
ぴしゃ、と音を立てて満津実は主人の肉棒を口から離し、素早く上着と下着、それにブラジャーも外して床に落とす。
全裸になったメイドの満津実は、腰のくびれも見事でAVに出れば人気女優になれるだろう。
辰蔵は満津実にんで、彼女の左りの白い巨乳のピンクの乳首を口に含む。辰蔵から見て右の乳房の乳首だが、咥えているうちに満津実の乳首は硬くなり、彼女は黒髪を揺らせて、
「あはん、いいです、ご主人様。」
と乱れた姿勢になる。
辰蔵は激しく満津実の左乳首を舐め回し、右乳首は左手でまんで強弱を咥える。満津実は少し白い両脚を開いて、マンコも少し開いた。
辰蔵は満津実の細い狭い両肩を優しく下に両手で押すと、満津実は膝を曲げていって四畳半の床のに膝まづいた。
次に辰蔵は満津実を仰向けに倒すと、満津実は両脚を開いて床に寝そべる。彼女の男の肉欲を受け入れる門は、今や大きく開いて辰蔵の巨肉を迎え入れたがって、いるかのようだ。
満津実は目を閉じて、
「恥ずかしいです、ご主人様。」
と開いたマンコを両手で隠そうとするのを、辰蔵は頭を、そこに入れて両手で満津実の両手を握って外すと、彼女の口を開いたマンコに唇をつけ、舌を出して強愛撫をした。
「はあっ、ぁふっ、はぁっっっっ。」
と乱れる糸のような喘ぎ声を、満津実は口から出す。
「もう、入れてっ、ください、ご主人様。」
と大開脚する満津実に辰蔵は、
「よし、少し辛抱しなさい。シックスナイン、ちんぽ、まんこ舐めをやろう。AV男優でも、なかなか出来ない、わしの腕力を見るんだ。」
辰蔵は立ち上がり、脚を動かして位置を変え、再び満津実のマンコに顔を着けて、唇と舌で彼女の肉厚マンコを堪能し、自分のチンポは腰を降ろして満津実に咥えさせた。
満津実のマンコを舐め回せば回すほど、満津実は辰蔵のチンポに食らいついてくる。
辰蔵は満津実の黒い逆立つ陰毛も舌で舐めてやると、顔を離し、
「いくぞ、満津実。クンニリングスの立位版だ。」
と宣言して、彼女の白い大きな、むっちりとした尻を両手でえ、ちんぽをしゃぶらせたまま、彼女をさまに抱き上げて口は再び、満津実のマンコを舐める。
大人の彼女を逆さまにして抱いているのだから、辰蔵はヒシと満津実を自分に密着させている。
一分ほどで疲れた辰蔵は彼女を、ゆっくりと床に降ろした。満津実としても、辰蔵のチンポを咥えての逆立ちの状態で一分は限界かもしれない。
辰蔵は又、足を動かして位置を変え、目を閉じている満津実に激しくキスをし、彼女の唇を割って舌を入れると同時に自分の肉竿も満津実の性の洞窟の中に進入させた。
満津実は顔を右側にると、口を開けて赤い舌を出した。
辰蔵は激しく尻を動かし、満津実の白い豊満な裸体は、それにつられてユサユサ、プルプルと乱れて動く。
満津実の両手は辰蔵の尻の辺りに当てられて、ぐいぐいと自分の方に引いている。
辰蔵は尻の動きを止め、
「万歳して、ごらん。両手を挙げて万歳だ。」
と示唆すると満津実は言われた通り、細い両手を自分の頭の上に上げてみた。
「ああん、気持ち、いいっ。」
「これが秘伝、万歳セックスだ。マンコが絞まるだろう?」
「ええ、とっても締まっています。。」
事実、満津実のマンコは辰蔵の屹立チンポを、おいしそうに咥えている形をしている。愛蜜液が少し、辰蔵の屹立チンポを濡らせている。
「よおうし、連続ピストンだあっ。」
辰蔵は激しく腰を振る事、二十分も続け、満津実は絶頂を、
「あああっ、いくううぅぅっ。」
と声を上げ、乳首を硬直させたまま、十回は昇り詰めて大きな白尻を震わせ、乳房も揺らせたのだった。

 その夜の中洲からは辰蔵の家には帰る訳もなく、自分のマンションに徒歩で帰宅していた。那珂川を渡って細い道を歩いていると、夜なのにサングラスをかけた若い男性が現れて、紳士的に、
「様の御嬢様、ですね。」
と声をかけた。
「はい、そうですけど。ま、本当は男です。」
と返答する美乃に、
「お父様からの御依頼で、高級料亭に御案内する事に、なりました。お車は、あれです。」
と男が指さしたのは黒い外車らしき豪華そうな自動車だ。
「本当かしら。父に電話してみるわ。」
美乃は携帯電話を取り出して、父の番号を押す。けれど、
「ただ今、留守にしています・・。」
と音声ガイダンスが流れた。
その時、辰蔵は全裸のメイドの満津実と風呂場で立ったまま、キスをしてマンコに正面から入れていた。
美乃は、
「音信不通だけど、変わった父だから、乗るわ。」
とサングラスの背広の若い男に答える。
「こちらへ、どうぞ。」
美乃は男に導かれるまま、黒い外車の後部座席に乗った。その男も美乃の隣に乗り込む。
車は発車して運転手も黒いサングラスを、掛けていた。

 車は西の方へ走り、海岸沿いの道路は潮風を車内に吹き込む。
美乃は、
「随分、遠いわねえ。西区じゃないの。高級料亭って、西区にあるの?」
と前を向いたまま言った。
隣の背広サングラスは、
「西区より西の糸島市で、ございます。もう、すぐ、ですよ。」
と答えた。
車は海岸沿いから南に向かい、山がある方へと走った。広い水田地帯をスピードを出して突っ切る。
やがて車は山を登り、五百メートルほど走ると、山荘らしい建物の前の広い空き地に停まった。
美乃の横の男は、
「この建物で、ございます。」
なるほど山中亭、という看板は出ている。しかし、シーンとして客のいる気配はない。深夜だし、客はみな帰ったのかもしれない。
玄関を入ると仲居らしき小母さんが着物を着て、
「ようこそ、山中亭へ。」
と三つ指を着いて、お辞儀をした。
美乃達は奥まった六畳の座敷に案内された。運転手は来ないので、背広サングラスと二人きりだ。
二人が入ると仲居のおばさんは襖を閉めて、外へ出た。
高価そうなテーブルと座布団がある和室だ。
男は、いきなり美乃を抱きすくめるとキスをしようとする。
「なにするのよっ、離しなさい。」
と美乃は声を出したが、男の力は強く、美乃の赤い唇を奪った。
ぶちゅうううと男のキスは続く。
サングラスをしたままの男の右手は、美乃の盛り上がった胸を探り、夏着の薄いシャツの上から揉み続けた。
「あ、む。」
と美乃は声を出す。美乃のシャツとスカートは灰色で目立たない。
次に男は美乃のスカートの中に手を入れて、股間をまさぐる。美乃の股間には小さな女のクリトリス大のペニスがある。
それを美乃にキスを続けながら、クリチンコを愛撫した。
すると美乃のクリチンコは大きくなり、小指くらいになっていく。

男は愛撫の手を止め、唇を離し、
「よし、この位で、と。おい闇助、出てこい。」
と部屋の押し入れ(何故か、料亭の部屋に押し入れがある)に向かって呼びかけた。
からっ、と押し入れが開くと身長百九十センチ位の筋肉体質の男、しかも頭はスキンヘッド、つまりはツルツルに剃った頭部の男が海水パンツだけの姿で飛び出してきた。
闇助と呼ばれた、その男は海水パンツの股間に物差しでも入れているのか、と思えるような隆起を見せて立つと、
「へい旦那、御用で?」
とサングラスの男に答える。
「ああ、この男の娘を動かないようにしろ。」
「へい、たまんねえ体だぜ。旦那、いい女だ。」
「男の娘って、言っただろ、ほれ。」
サングラス男は闇助に美乃を放り出す。
逃げる間もなく美乃は、ガッチリと闇助に後ろから抱きすくめられた。
サングラス男は携帯電話をズボンのポケットから取り出して、
「美乃、親父に電話するぞ。」
とニヤツイて話す。
闇助の勃起したモノを尻のかなり上に感じながら美乃は、
「多分、出ないわよ。」
と答える。ところが、
「もしもし、さんですか。お世話になっております、商事の者ですが。」
「おう、亀金か。こんなに遅く、なんだ?」
「ふっふっふ。なんだは、ないでしょう。飛切さんは、お金持ちですよねー?」
「ああ。まあ、な。でも寄付などは、しないが。亀金にはね。」
「そうですかー。いえね、おたくの御嬢様、お綺麗ですよね。」
「おう。それが、どうした?何べんも東京から来た芸能事務所のスカウトマンに女として、声を掛けられてね。」
「それでも、男の娘、でしょう。」
「よく知っておるな。おまえ、誰?」
「だっからよー、亀金の者だよ。おたくの綺麗な男の娘さんを、お預かりしているんだなー、ここに。」
「どこに?」
「ここに。」
「だから、そこは、どこ。」
「糸島の方ですけど、それ以上、いえないね。何故なら、あんた、けーさつに話しそうだから。」
「と、いうことは?おまえ。美乃を誘拐しているんだなっ。」
「そうです、正解です。おめでとう。でも、夢のヨーロッパ旅行は、ありませんよ。綺麗な女とは、やりたくなる男、それが、この、わ・た・し、なんだ。でもね、お金次第では離して、やってもいい。美乃さんをね。どーかなー、この話。」
「身代金の話か。ふん、おまえのようなカスみたいな奴には、一円たりとも渡さんわ。」
「これは、これは。カスか、どうか、よく、お聞きくださいねー。」
男は美乃の顔に、携帯片手に自分の顔を近づけた。
「やめてっ。」
と美乃は今更ながら、身を固くする。
辰蔵の声が携帯電話から、
「美乃っ、大丈夫かっ。」
と飛び出す。
「パピー、大丈夫。でも、キスされて、おっぱい揉まれた。」
「おいおい、大丈夫なもんか。尻の穴は大丈夫なのか。」
「まだ、大丈夫よ。」
そこでサングラス男が、
「やあやあ、パピーさん。あなたが大金を用意しなければ、美乃さんの尻の穴マンコは、私が、いただきますよー。」
「わっ、わかった。出そう、大金を。いくらだ?」
「三百億円、あるでしょう。」
「ないよ、そんなには。」
「うそは破滅の元。探偵事務所に調べてもらってさー、あんた、六百億円の資産が、あるね。」
「うむ、その通りだ。」
「だったらさー、その半分で、いいんだ。娘の尻の穴マンコに、おれのチンポが入るのと、三百億円、どっちが大事かな?」
「それは娘の尻の穴マンコだろう。」
「わかっているよね、辰蔵さん。銀行口座に送金だなんて小学生みたいな要求は、しませんから。生金で持ってきてもらいます。」
「いいだろう。でも、三百億だぞ。」
「ふふ。やっぱり銀行口座かな。海外の口座だけどね。振り込んでもらう。もし、けーさつに言ったら、娘の尻の穴には、おれの怒張したチンポをいれてやる。どうする?」
「考えよう。」
「考える?ロダンの考える人みたいに長い間、考えてもらっても困るよ。」
「勝手にしろ。」
「ようし、それじゃあ。」
男は美乃にキスをして、上着を脱がせ始めた。闇助は巧く美乃が上着を脱げるように両手を動かす。
美乃の白いブラジャーが見えた。ブラジャーから、れ落ちそうな美乃の巨乳は女のものと変わりは、ない。
闇助は美乃の乳房に触れないように、羽交い絞めしている。
白いブラジャーに美乃の乳首が浮き上がっていた。
美乃は、
「やめて!おっぱいに触らないで!」
と声を上げた。
辰蔵の声が、
「おいっ、美乃の胸に触るなっ。」
と止めにかかったが、男は美乃の乳首をブラジャーの上から舐める。
「はっ、いやあっ。」
と美乃は快感を感じつつ、声を出した。
辰蔵は、
「やめろっ。金は出す。銀行口座を教えろっ。」
「ほう、どうせ、うそだろう。まずは美乃の豊満な乳房を、いただく。」
男は美乃の白いブラジャーをり取るように外し、床に捨てた。
ピンクより赤色の乳首が出てきて、若い女の乳房と同じだ。これよりも小さい胸の女性も、いるだろうと思われる。
この胸と美貌で、美乃は仕事をしているのだ。
美乃は顔をらせ、
「いやあーっ。」
と声を上げる。
辰蔵の声が、
「美乃っ、美乃っ。」
と呼ぶ。男の手は美乃の乳房を力強く掴んだ。乳房は形が崩れる。
男は握りをめると、美乃の乳房は元に戻る。
美乃は声を出さないように歯を固く結んでいる。
しかし体は反応して、乳首は少し硬くなっている。
美乃は初体験を思い出していた・・・。

 普通高校を卒業した美乃は、その時、すでに胸は膨らみ、それで、あらゆる企業の面接に落ちた。髪の毛は肩より下まで長い、それが男性とあっては、どういう企業も不採用にするだろう。
クリエイティブ系な企業なら才能が有れば、髪が長くても採用するかもしれない。しかし、美乃にはクリエイティブな才能は、なかったし、そういう企業には面接にも、行かなかった。
父親が美乃の好き放題にさせていた。とはいえ、仕事をしていない美乃を見続けた、ある日、
「美乃。コンビニで働いてこい。最近はな、コンビニなら仕事は、ある。アルバイトで、いいから。」
と厳命したのだ。
それで美乃は近くの二十四時間営業のコンビニに面接に行き、採用され、アルバイトとして働くようになった。
採用した店長は三十代の大学を出て、すぐに、そのコンビニに正社員として入社し、研修として店長をしに来ていた。
体格のいい、真面目そうな店長で、店の裏の控室で美乃を面接して、
「やっぱり、男だったんですね。でも、気にしなくて、いいよ。男の娘を採用しては、いけない、とは当社の人事規定にも、ないから。
他店でも男の娘さんが頑張っている店が、ある。
飛切さんも、その長い髪とスカートのまま、仕事をしていい。」
と気軽に話してくれた。
コンビニは店の裏で、まず働くこととなり、商品の搬入、値札付け、などをやる。
最初の一週間は五時に仕事が終わったが、次の週から店長が、
「今日から、ちょっと深夜十二時まで頑張って欲しい。夕方の六時に出てきたら、いいから。」
「はい、店長。」
と美乃は答えて、一度帰り、夕方の六時から働き始めた。
十時を過ぎると店の裏で、店長と二人きりになった。
紙パックの飲み物を冷蔵庫に入れる仕事が終わると、店長は、
「休憩しよう。控室には誰も、いないし。」
と熱い視線を美乃に向ける。
美乃は店長の後について控室に入った。そこは六畳ほどのコンクリートの壁と床、天井で白一色に、なっている。そこに横長の白いベンチがあり、六人は並んで座れる。
そこに店長は腰かけると、
「飛切さんも、座れば。」
と声をかける。
「はい。座ります。」
と美乃は店長から五十センチは離れて座った。
店長は、
「コンビニの仕事。面白い?」
と聞いた。
「ええ、でも疲れます。」
「それは、そのうち慣れるよ。ぼくも最初は筋肉痛だった。それでも、ここまで、やってきたんだ。飛切さんが応募して来た時は、嬉しかったなあ。」
「そうなんですか。わたし、男ですけど。」
「いや、なに。その位は、わかっている。なにせ、ぼくらの世代、草食系男子、なんて言われていたりして。
出生率も減っているだろう。女に興味のない男性が、多いんだ。」
「そうなんですかねー。店長さんは?」
「ぼく?ぼくはねー、どうかなー。」
「彼女、いないんですか。」
「いないねー、一生懸命勉強して、なんとか上位の成績で大学を卒業して。コンビニの会社に採用されてね。そうしないと格差社会で収入のない非正規雇用者に、なってしまう。
女なんて、どうでも、よかったんだ。」
へえー、という顔をして美乃は店長を眺めた。
店長は美乃を横から見て、その巨乳に気づいた。今までは、そこまで見ていなかったのだ。少し距離があったから、よく巨乳を見る事が、できたのかもしれない。
店長の荒島は、
「美乃さんこそ、彼氏、いるの?」
「いないですよー。わたし、男女共学の高校だったんだけど、女子が多くて。そのクラス、わたし一人が男性でした。高校三年間、それですよ。実は、そうしておく方がいいと学校側も考えたらしくって。わたし、その頃から長髪で、高校一年の時から胸が膨らんできて。お尻も大きくなってきたんです。」
「ほーお。それは珍しい。」
「だから、クラスに女子生徒が多くても、わたしなら安全だろう、と、いうことかな。」
「飛切さんは、女性に興味は、ないの?」
「ありません。だって、高校の時だってクラスで一番、胸の大きいのは、わたし、だったんですもの。
女子生徒の胸を見て、
「ちっちゃいなー。」
と思ったりしました。
そう、二年の夏休み前のある日、学校帰りに不良女子生徒三人が校門の前に待っていて。
その中のリーダーらしい高校三年生女子が、
「おい、飛切。めん、貸せよ。」
と言いました。
「めん、って、なんですか。」
「つら、の事だ。あそこの公園の、大きな木の陰まで来てもらおうか。」
わたしは三人と一緒に、その公園に入り、誰もいない公園の木陰で、
不良女子リーダーに、
「飛切。おまえ、男なんだってな。」
「はい。そうですが。」
「だったら、なんで髪、長くしてんだ?」
「すいません。趣味で。」
「しゅみーい?男の娘に、なりたいわけか。」
後の二人もセーラー服で、わたしに詰め寄ります。わたしは男子生徒の制服です。
リーダーは、
「それに、胸が大きそうだな。」
わたしは、大きめの制服を着ていました。
「それほど、大きくないけど。」
「じゃあ、校服脱げよ。」
「えっ、ここで。」
「上だけで、いい。ちらっとでもな。」
「じゃあ、ちらっと。」
わたしは、上の服をボタンを外して少し脱いで見せました。
すると三人は、
「すっごい、大きい、わたしらより大きいな。」
と感嘆の眼差しです。
わたしが上着を着なおすと、リーダーは、
「どうしたら、そんな胸になれるの、ねえ、教えて。」
と急に女の子らしく、わたしに聞きました。
「特に、何もしていませんが。」
と、わたしが答えると、三人ともガッカリしたようでした。・・・・

 コンビニの店長、荒島は、いつの間にか美乃のすぐ横に来ていた。肩と肩が触れる直前まで。荒島は、
「それで、三人は、どうした?」
「それでガッカリして公園を出ていきましたよ。」
と美乃が答えると、荒島は、
「美乃さん、最初から好きだったんだ。」
と告白して美乃に向きを変えると抱きしめて、キスをした。
長いキスは十分も続き、美乃の乳首は硬くなり、クリトリスチンコは膨らんだ。
荒島は美乃の乳房とクリトリスチンコを手で、ゆっくりと、まさぐり確かめて、
「この部屋は防音で、中から鍵をさっき、かけた。特に緊急な事がない限り、呼びには来ない。おれから先に脱ぎ始めるから、美乃もコンビニの制服は脱いでくれ。」
と話し、二分以内に荒島は裸となる。荒島の股間には巨砲が照準を美乃の美尻マンコに向けて狙いを定めている。
美乃は、それを見て息を呑む。何も脱いでいない美乃のコンビニの制服を荒島は、荒々しく、剥ぎ取っていった。
二分以内に美乃も全裸になる。二人は抱き合い、強く口を吸い合った。荒島は美乃の大きな尻を両手で抱えて、美乃の尻の穴に自分の巨砲を埋め込んでいく。
美乃は頭をのけ反らせて、
「あぅぅぅぅぅ。」
と声をあげる。
完全に荒島の立ったモノが、美乃のマンコ尻穴に収まった時、
美乃は自分で尻を動かしてみた。尻の穴の中が、気持ちいい。
荒島は再び美乃の唇を吸い、舌を入れて絡ませ、美乃のクリトリスチンコを下腹に感じつつ、懸命に腰を振った。
「美乃。ちんこ、気持ちいいよ。ソープの女のマンコより、いい。」
と荒島は囁くように言う。
美乃は自分も荒島の巨砲を尻の穴の中いっぱいに感じながら、
「処女膜は、ないけど、あふ、初体験です・・・。」
と眼を閉じて言い、自分も荒島と一緒に尻を動かした。
五分もすると荒島は、
「おっ、おっ、もう、出てしまううう。」
と小さく叫び、美乃の尻の穴の中に勢いよく白欲液を出し切った。

というのが美乃の初体験だったのだ。

 今、サングラスの男に乳首を吸われながら、美乃は快感に声を出しそうになるのをえた。

 辰蔵は男の娘、美乃が凌辱されているのか、いないのか分からなくなった。慌てて、
「もしもし、もしもし、」
と呼びかけたが、プツーと電話は切れていた。
ダブルベッドの隣で、メイドのは少しも起きずに寝ていた。
休憩を入れてセックスを五時間、したためだろう。妻は帰って来なかった。
妻のは旅回りの劇団俳優とビジネスホテルの一室にいる。
若手の男優で二十代の色男、端正な二枚目、身長も高いがチンポも長い。
辰蔵が電話を切られて慌てている時に、育子は博多駅近くのビジネスホテルの最上階のスイートルームで博多の夜景を見ながら、ベッドの上で四つん這いになり、尻を二枚目俳優に高く突き出して、その尻の割れ目の下に見える女の貝の割れ目に男優の長いチンポを入れさせていた。
育子は四十歳、十代で美乃を出産してから、他の子どもは出来ず、ここ三年ほどは夫の辰蔵のチンポをマンコに受け入れた事もない。

痴漢一発
 東京の山手線の電車内でおれは、前に立っている女の背後に立った。三十代後半のその女は、いかにもキャリアウーマンという雰囲気を全身から漂わせている。時刻は会社から帰る時間のラッシュアワー。東京のラッシュアワーなんて、夜遅くまで続いているよ。
夏だから軽装のその女の尻に、おれは軽く手のひらを当てた。女が感じるか、感じないか位だ。すると、都合よく電車が揺れて人が一方向に倒れ掛かる。
その方向が女の尻のほうだったから、しめたものだ。おれは、むんずと女の尻をつかんでやった。しばらく、おれの後ろから多くの乗客が、おれを押していた。
その女の尻は、柔らかくて心地よかった。だから、痴漢はやめられないのだ。女の髪は短めで、顔も人に命令しているような顔だが、それに反してスカートを履いている。そのスカートも薄い布なので、パンティの感触まで味わえた。
女の身長は平均よりも高め、だが、百七十五センチのおれよりは遥かに低い。
女は、おれが尻をつかんだ瞬間、身をくねらせた。すかさず、おれは女の足の間に右手を入れて、その女のマンコのあたりに指をすべらせて、ぐっとなぞってやった。車内は満員で、女の前に座っているのは眼をほとんど閉じた初老の男性サラリーマンだ。
また、後ろから多くの人がおれを押してきたので、おれは左手で女の左の乳房をムンズとつかんで、そのまま揉みしだいた。
おれの両手は、女のマンコと乳房をそれぞれつかんでいた。そのまま三十秒位、時間が経った。女の顔は見えないが、悔しそうな表情をしているに・・お、電車の窓ガラスに女の顔が見える。さっきまでの威厳のありそうな顔つきから、快感をこらえている女の顔に変わっている。
この女、感じているんだ。だから、痴漢はやめられない。そうとも、世間ではなんといおうと、おれはEことをしているんだ。
その女の乳房と尻は、普通より小さめだったが弾力はある。女は、おれの両手に大事なところを握られて気持ちいいのを我慢している。
電車内で悶え声など、上げられるわけもない。
一分もそのままにしていると、おれの後ろの乗客が元の体勢に戻ったので、おれはすばやく両手を外した。女は窓ガラスに映っているおれを見つめたが、すぐに眼をそらした。
おれはサングラスを掛けて、口にはマスクをしている。平たい帽子をかぶり、鼻の下に付け髭までしている。
まだ、する事があった。おれは、勃起したものをズボンから取り出すとシャコシャコと右手でしごいて、どくっと女のスカートに射精してやった。
この動作は平静な顔や態度をしてやらないと、いけない。物事にはなんでも、慣れというものがある。過去に数十回の体験を持つおれは、顔色一つ変えずに電車内で女に射精することができるのだ。
女のスカートの尻には、おれの放った白い液体が大量に付着していた。
おれの両隣の男性サラリーマンは、携帯電話でネット閲覧でもしているらしく、少しもおれがやった事に気がつかなかった。
 
電車は大森というところに、停まった。おれの精液をスカートにつけた、そのキャリアウーマンは電車を降りた。
 
と話す霧下才一(きりした・さいいち)の話を、私は満足感を持って聞いた。これで、いい。これで、いいんだ。
 
霧下才一は、月に四回から八回は痴漢をしていた。あまり回数を増やすと、捕まってしまうと彼は言う。私は、霧下才一の高校の同級生で、福岡市から東京に出て就職した。霧下君は、最近、上京してくる。というのも、彼は今も福岡市に住んでいるという。
霧下君は、
「痴漢の本場は、やはり東京だね。日本でもっとも、やりやすいよ。福岡市で痴漢の達人になれば、東京は痴漢天国だ。おれは、福岡市の西鉄バス内とかでも鍛えてきたからな。
それともうひとつ、見て見ぬ振りをする東京の人間。これも、やりやすい原因のひとつだろう。」
と都内の喫茶店で堂々と、私に語った。
東京というところは、JRと私鉄が発達したために、バスはそれほど盛んではない。その結果、大分部分の人は、電車で通勤する。その中でも埼京線という路線がもっとも痴漢が多い、といわれているわけだが、これは訴える女性が最も多いと言う事も、できるかもしれない。
霧下君は、金にゆとりのある生活を送っているらしい。が、飛行機ではなく新幹線で東京まで来る。月の半分は、東京で暮らしているらしい。新幹線の車内でも痴漢をするらしい。
彼は、こう語る。
「新幹線の自由席で女の隣に座れば、女が降りるまで痴漢し放題だ。女の到着駅では、とめてやるのがエチケットだけどね。特に女が窓際で、横一列に誰もいない場合は、最高度な状態だ。パンティの上からではなく、直接マンコに指を入れるのは当たり前で、時々、新幹線の女客室乗務員が歩いて通り過ぎる事もあるが、気がつかないよ。」
 
私は普通のサラリーマンを続けて、もう三十歳だし、霧下君も同じ年齢だ。私は、
「霧下君。就職した事はないのか。」
と聞いてみると、
「いや、ないね。又、おれみたいに痴漢の常習者が、万一、捕まったら会社も迷惑するだろう。まあ、おれは今まで一度も捕まってない。痴漢は申告罪なんだ。女が訴えない限り、捕まらないよ。」
と外国煙草の煙を吹かしながら、そう答えてくれた。
「君が痴漢するようになった、動機ってなんなの?」
「ああ、それは色々あるよ。ただね、一つは親父だ。おれの親父は地方公務員だったが、仕事中にアダルトサイトを閲覧してクビになった。母には退職の理由を言わなかったらしいけど、高校を出てアルバイトをしているおれには、
「才一。父さんはな、アダルトサイトを仕事中に見てクビになったんだ。おまえは、そうならないよう注意をしろよ。親子なんて、よく似ているのだから。」
と母のいない時に、おれに語ってくれたよ。」
「そうだったのか。でも、それなら・・・。」
「痴漢とかもしないように気をつけるはずだ、ということだね。でも、おれは親父の敵討ちみたいな気持ちもあるんだ。」
「なるほどね・・・。」
私は、分かったような、よく分からない気持ちになった。それで、次の質問をした。
「君が最初に痴漢した女性は、どんな感じだった?」
霧下才一は、眼をキラキラと輝かせると、
「高校の時の教師だよ。英語の教師だった。おれは、英語が苦手だったから、あやうく落第しかけたけど、その時もその新任の女教師は冷淡だった。私大出で、金持ちの娘だという評判はあったね。
なんかモデルみたいに背が高くて、髪は長いし、それで結構美人顔なんだ。
落第しないための授業に出たから、なんとかなったけど、学年で最低の英語の成績だったらしく、その英語の女教師はおれを馬鹿にしたような態度でその後も接した。
高校を卒業してある日曜の午後、福岡市のある地下鉄の駅でおれは、その女教師を発見した。彼女とおれは視線が合ったが、向こうはおれを無視したよ。その女教師の隣にはハンサムな若い金髪の男性が立っていた。染めているんじゃなくて、白人だよ。
おれと彼等は二メートル位しか、離れていない。電車が来た時は、同じ車両に乗り込んだ。座席は満杯なので、それぞれ吊革につかまって立つ。
おれは、女教師の後ろに立ってしまったんだ。彼女の左側に金髪の白人男性が立っていた。その女教師とおれの身長は同じくらいなんだ。金髪野郎は、おれより、あと五センチは高い。
電車は発車した。おれは下に視線を向けると、女教師の尻に眼が行った。薄手のスカートは、大きくふくらんでいた。意外と、巨尻なんだなとおれは思った。それが時々、ぷるぷる、と左右に揺れた。高校時代の屈辱をおれは、はらしたくなった。
右手を女教師の尻に当たるかあたらないか、という程度に接触させる。電車が揺れた時、おれはグイッっと女教師の巨尻を掴んだ。ピクンと彼女の肩が揺れると、顔だけ振り向けておれを見た。
あっ、という顔をすると女教師は何も言わなかった。自分の教えた生徒に痴漢されるなんて、という思いが顔に現われていた。
おれは再び、彼女の尻をいやらしく撫で回した。柔らかく、ぷるぷるした彼女の尻の肉の感触に、おれは勃起していた。それでズボンの前に布を突っ張らせているモノを、彼女の尻の割れ目の辺りに押し付けた。ズシ、と彼女の尻の肉は、おれのズボンのふくらみを受け入れた。
尻の割れ目のあたりと思っていたが、それは女教師のマンコの割れ目だったのだ。ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトンと電車が揺れる度に女教師の巨尻もおれの勃起物を受けたまま、揺れている。
(空いた手が、もったいない。)
そう思ったおれは、両手を女教師の背中から、たっぷりと盛り上がった乳房に当てて、柔らかく揉んでやった。何かに耐えている感じを彼女の後姿は、表現している。背が高いので、座っている乗客には彼女の胸の位置は高くて見えないのだ。
女教師の隣の白人男性も背が少し高いためか、おれの動きに気がつかなかった。それから十分ほど、おれはズボンの上からだったけど自分の勃起したモノを女教師の後ろから彼女の割れ目に当てていた。おれは自分のイチモツから彼女のマンコの割れ目が、おれのモノを咥える様に動くのも感じた。
(なんだ、おれのチンコを欲しがっているようだな。)
とおれは思ったので、天神駅に着いて車両を降りた女教師に、
「先生。お久し振りです。」
と声をかけた。白人共々、おれを振り向くと、
「あら、霧下君ね。久し振りだわ。」
と顔を赤らめて返事をした。彼女の視線は、おれの股間に走っていた。おれは、まだ勃起させていたのだ。それを女教師、幾野育子(いくの・いくこ)は、おいしそうに眺めて、
「よかったら、お茶でもしない?」
とおれを誘う。
「いいですよ。落第しそうな僕を助けてくれたのは、先生です。」
「まあ。当たり前の事ですよ。教師として。」
と、いかにも教師風の語調で幾野先生は、答えた。となりの白人は、
「ミーは、どうしますか?」
とオズオズと幾野育子に聞く。
「一緒に行きましょう。」
と育子が答えると、
「オー、イエース。」
と納得した。
三人で天神のレストランで食事して、地上に出るとタクシー乗り場に女教師はおれたちを引っ張って行った。
 
タクシーでは、おれと女教師が後部座席で、おれが運転手の後ろ。白人は助手席だった。幾野育子は、
「糸島のラブホテルに。」
と教師らしく命じた。
「糸島のラブホテルって、いくつかありますよ。」
「じゃあ、一番遠いところで、いいわ。」
「わっかりましたー。」
タクシーは、快走し始めた。
すぐに幾野育子は、おれにピッタリと身を寄せると、
「今、就職しているの?」
と、さり気なく聞く。
「いえ、フリーターしてますよ。」
「そうなの。最近は就職が難しいものね。なんなら、父の会社関係で働けるようにしてあげてもいいけど。」
おれは、驚いた。さっき、痴漢をしていたおれに・・・職の世話まで考えてくれるなんて。
「それは、ありがたいですね。ぜひ、お願いします。」
「うん、任せてね。父は四十位、会社を経営しているの。東京支店が三十もあるのよ。」
「ええ、もう、どこでも構いません。」
育子は、おれの耳に両手を当てて前の人間に聞こえないように、
「さっきの、あなたのチンコ、よかったわ。これから行く糸島のラブホテルでナマで挿入してね。」
と囁いた。その手をわざとらしく滑らせると、育子はおれの股間にズボンの上から触った。すぐに、元の位置に女教師は手を戻したが。
 
タクシーは、国道202号線を西に走っていく。今は糸島市となったが、つい最近までは糸島郡だった。JRの前原駅近辺が、そこそこ発達した町ではある。
糸島市に入ると、国道202号線に沿ってレストランなどの店がずらりと並んでいる。途切れるところもあるが、昔はただの空き地だったのだ。やがて、右手に海が見えるようになる。それは博多湾という内湾で、小さな島もところどころに見えてくる。
幾野育子は、おれの右にある窓ガラスから見える海を見ながら、
「海水浴の季節が過ぎたら、楽しめるわ。」
と謎のような事をおれに囁いた。今は八月だけど、盆を過ぎれば海水浴客は少なくなる。
育子は自分の右足の太ももを、おれの左足のふとももに押し付けてきた。柔らかい感触が、おれの脳に股間に血液を送るように指示させる。それで、少し勃起した。
前の助手席で、
「ニホンノ、イナカ、イイデッスネー。」
という声がした。運転手は、
「いいでしょう?でも、だんだん田舎ではなくなっていってますね。」
と話した。
育子の右手が伸びて、おれの股間のふくらみに触ると又、元に戻った。彼女の顔を見ると、満足そうな笑みが浮かんでいる。
タクシーは、ラブホテル「シーピンク」に到着した。国道202号線の右は、海岸、左は小高い丘がある、その丘の上に「シーピンク」がラブホテルらしく立っていた。タクシーを降りると、潮風が鼻にきて、海は丘の上から見晴らせる。深い青色の海だ。
駐車場には車が二台、先客らしく停まっていた。運転手は、
「帰りのご用命も、ぜひ、お願いします。」
と車の中から幾野育子に頼みかけた。
「あら、ひまなんじゃない?この辺で待ってたら。」
と育子は身を少し屈めて答える。
「いえ、なんとか時間を潰します。」
「そう、じゃあ、好きにしてて、いいわ。」
「ありがとうございます。」
深々と、運転手は頭を下げた。
 
おれたち三人は、幾野先生を先頭にラブホテルに入った。受付は農家の青年風の男性が、野良着姿でチェックインの手続きをした。
「すみません、こんな格好で。いつもの人が急用で福岡市に行ったもんだから、畑仕事をしていたオレが呼び出されて、こんな格好しとるとです。」
と言うなり頭を下げた。幾野は、
「いいわよ、気にしなくて。ラブホテルの受付に農家の作業着というのも面白いわ。」
と賛美した。
鍵を幾野が受け取って、先に歩いて行った。受付から最も遠い部屋、その部屋が海がよく見える部屋だったのだ。
育子は、全員部屋に入ると鍵をかけた。それから、おれに歩み寄るとキスを長くした。唇を外すと、
「君が高校生の時に、見下したような態度を取ったと思うけど、本当はもうすこしで大人の男性になりそうな君が気に掛かってたのよ。ほら、女子高生だってコギャルとかいわれて、本当の大人の女性ではないけど、結構発育はしてきてるし、とか思っている男性は多いでしょ。中には、まだ本当は未成熟な女子高生と絡んだりするどうしようもない男性もいて、それが高校教師だったりすることもあるから、大変なんだけど。
でも、わたしは高校生の君には手出ししなかったから、自制心は強いと思うし、教師としては守るべき線は守ったと思っているわ。」
と、おれの首に両手をかけたまま、一気に話した。
近くにいる白人男性が、
「ミー、ツー。ME TOO.」
と発音する。育子は、
「今日はあなたは、見ていてよ。日本人のセックスが見たいって言ったじゃない。」
「ソレハ、ソーデスケド、ボクモ、シタイノデース。イクコ、サント。」
「ふふふ。どうかな。あのね、見ながらオナニーしてもいいよ。」
「オー、イエス。ヤルトオモウ。」
白人はベッドの脇にある椅子に、腰かけた。
 
それから、おれと女教師育子は互いに服を脱がせあって、全裸になると早々にベッドの上で結合した。正常位から座位、育子が体を回転させて後背位になる頃には、育子の喘ぎ声も大きくなっていた。
おれは、見下されていた恨みを腰を振る力に変えて、育子のマンコを攻め抜いた。
連続的に尻を震わせた育子は、
「跳びそう、跳びそうっ。」
と悶え声を上げた。おれはベッドの横で動くものに気づいたので、見ると、あの白人が洋服を着たまま、巨大な白い男性器を取り出して、懸命に右手でシゴイているではないか。
「オー、グッド。コシフルノ、ツヅケテ。ミーモ、イキソウダカラ。」
と、おれに声を向けた。
おれは、おれの元女教師の二つの乳房を揉み上げながら、首すじの左右とうなじに舌をうごめかした。育子は、
「感じすぎるわっ。卒業したら、逞しくなったのねっ。あ、はん。」
と艶のある声で話すと、身をくねらせる。
おれは、腰のあたりに高まりを感じて、
「先生っ、出るぜっ。」
と訴えると、腰の中の白い液をすべて育子のマンコの中にドクッ、ドクッと出し切った。その直後、育子は頭を後方に反らせた。それを見ていたらしい白人も、
「オー、ノー、アウトッ。」
と叫ぶと、白い陰茎の先から勢いよく、同じく白い液を出していた。
 
ちょっと、長くなったかな?という霧下才一に、わたしは、
「そんなことない。まだ、あるなら話してくれ。」
と頼んだ。
 
あるだけの精液を出したらしく、おれのモノは回復しなかった。白人も、あれから立たなかったのだ。育子は仕方なくベッドに裸身を横たえると、
「わたしの全身を舐めて、才一君。」
と呼びかけた。うほーっ、おれの名前を覚えていたのか。もしかしたら、幾野育子はおれを好きだったのかも、な。
勃起させてやりたかったけど、やはりできないので、おれは育子の裸身を隅々まで舐めていった。最後は、のどがカラカラになったので育子とキスして、彼女の唾液を貪った。
育子の股間は、愛液が滲んでいたよ。育子を舐め終えるのに三十分も時間をかけたから、もうチェックアウトになった。
ラブホテルの外に出ると、なんとあのタクシーが停まっている。育子が先頭になってタクシーに近づくと、
「お待たせ、したようね。」
と運転手に声をかけると、
「いえいえ、待ちませんよ。それはね、私もここに女を連れ込んで一回、やったんですよ。」
白髪の混じる髪のその運転手は、答えた。
ドアがそれぞれ開いたので、おれたちは乗り込んだ。座る場所は、行きと同じで助手席の白人が、
「ドンナヒトト、ヤッタノ?」
と聞きます。
「それはですね、前原のあたりを走らせていると若い女子大生みたいなのを見つけたから、歩道の彼女にタクシーを停めて、
「乗っていかないか。」
と誘ったら、尻軽なのか、
「いいよ。料金は払わないけど。」
それで白い歯を出して、笑うんです。
「料金なんか、いらないさ。おれ、今ちょっとヒマなんだ。だから、ドライブしよう。」
助手席を開けてやると、乗り込んできましたよ、その女子大生らしいのが。身長は百五十五センチ位で、ぽちゃっとした体型だった。胸も尻も、まあまあでした。
山の中に車を停めて、その女にハメてやろうと思ったんですが、今日は日曜日だから、登山者が来るかもしれない。仕方ないので、ここに戻ってその女子大生と楽しみましたよ。正確には、三回出したけど。ナニヲって、白人さん、聞くけど精液です。おれの。
女子大生でした。夏休みに、帰省してたんだそうで、東京の大学らしいです。時々は、AVにも出るらしいから、つわものでしたね。
腰の振り方も、プロっぽかったですよ。キスしてもマンコも濡れないし、十分もクンニしてやっと濡れましたけどね。
それで、即、挿入して・・・。顔もマンコも東京の女みたいでした。」
おれは、
「東京の女を知ってるんですか。」
と後ろから聞いてみると、
「ええ。弟が東京の会社で働いて、今、専務とかになってます。それで上京したら、色々と東京の女を紹介してくれますよ。弟の嫁さんも東京の女性だから。あ、嫁さんは外見しか知りませんよ。弟の嫁だからって、裸さえ知るわけじゃないです。」
おれは、納得した。
「なるほど、ね。」
「それで、その女子大生ですが、
『オマンコ、しびれるううっ。』
とか、
『マンコの奥まで入れてえっ。』
とか叫ぶんです。こっちじゃ、ボボとか言う女が多いんだけども。」
タクシーは、福岡市に入った。車道から福岡市の標識が見えるから、わかる。そこから北側に行くと、九州大学の建設中の新キャンパスがある。2019年には、すべて完成らしいので、あと六年ほどだ。
 
という話で、長くなったと霧下才一は私に語った。渋谷にある居酒屋で座敷に上がって二人だけだ。障子戸を閉めると、静寂が訪れる。
私だって、痴漢はしてみたい。でも、人生破滅なのは眼に見えている。だから、痴漢もののアダルトを見たり、痴漢体験記を読んだりして満足するようにしている。
痴漢小説は、少ないようだ。世間一般では、ああいうものを眉をひそめてみる向きもあるが、痴漢モノのジャンルの作品は、実際に痴漢に走るのを押さえてくれる効果はあるのだ。
だから、逆説的に道徳効果があるのである。官能小説も同じだと思う。その割には作者が顔を出したがらない、とかペンネームしか使わないとかが多い。
性犯罪に走りそうな人を、実際にそうさせないようにしているというのは実に社会の秩序のために貢献している官能分野なのだから、顔出し、本名出しはぜひ、すべきだ。
 
「今日も元気に明るく痴漢。」
というのが、最近の霧下君のモットーだそうだ。月に半分は福岡市でアルバイトをしているらしい。
大手出版社に勤める女性、紙出香都子(かみで・かつこ)は、写真週刊誌の一誌をすべて任された。といっても、その出版社には、というかどこでも写真週刊誌は一誌だけだろう。
「コーカイ!」
というのが、その写真週刊誌なのだが、最近部数が減っている。そこで三十になったばかりの紙出に編集長を任せた。
紙出の体は、胸がやたらと大きい。大学在学中に同棲していたらしく、当時の彼女の乳首の回りは男が噛んだ跡が、いっぱいついていた。そのままその男と結婚、と思いきや、その彼は就職するとアメリカに赴任した。日本を離れたくない紙出香都子は、彼と別れてしまったのだ。彼女は大手出版社に入社、現在まで婦人雑誌の編集に携わっていた。
東京都町田市に分譲マンションを買った彼女は、現在も独身だ。彼女の部屋には大きな鏡があり、その鏡を見ながら大きな胸を揉んでオナニーするのが寝る前の日課となっていた。顔は知的な顔立ちねそれに合わせるような髪型、ただ胸だけは、それとはそぐわなさすぎた。
爆乳という言葉もあるけど、爆弾乳と言うべきか。核爆弾と表現すれば最高のようにも思われるが、核爆弾は残念ながら細長い形で、風邪薬とかのカプセルを縦に長くした形なので、紙出香都子の胸を表現できない。アメリカの核爆弾はBとMARKに番号をつけ変えて製造されている。B28とかB90など。
香都子の乳房は、核爆弾で例外的な形のMARK4の胴体の根元側三分の一を削り取ったようなものだ。
これに、むしゃぶりついていた同棲していた男は、アメリカで軍需産業に関わっているというから世の中、よくできている。
彼女の読書量は中々のもので、最初に同棲していた男とセックスしながら雑誌を読んでいたというから驚きだ。
男に跨って交合しながら、なのだ。アダルトビデオでは手には何も持ってない女ばかりだけど、紙出香都子は両手に雑誌を持ち、それを読みながら時々、思い出したように腰を振った。
回を重ねると、ベッドに数札の雑誌を置いて、騎上位で男に跨って交わりながら雑誌を次々に読んでいった。
それに男は呆れた、とも言われている。彼女が日本の生活を好むのも、事実ではあるけれども。
紙出香都子は静岡県の出身で、両親はお茶の製造を営む会社の経営者だ。長女だが、一つ下の長男が跡取りである。彼女が十九になった時、十八の長男が都内の香都子のマンションに来て、
「姉さん、おっぱい大きすぎるよ。もうちょっと、目立たないようにしたら?」
と話した。
「そうかな、でも痴漢にもあったことないし。」
「痴漢にあってからじゃ、遅いんだよ。考えた方が、いいよ。」
「うん。考えよう。」
そう返事したものの、香都子は大きな胸を隠す工夫はしなかった。
 
香都子が痴漢に会わなかったのは、その知的な顔立ちのせいかもしれない。それに彼女は電車内では大抵、本を読んでいた。
 
同棲していた男がアメリカへ去ってから、彼女は大手出版社に就職して仕事に没頭する毎日を送った。婦人雑誌の仕事をしていたためか、男性との出会いもなかった。
二十五になった時に、その婦人雑誌関係の仕事で、ある男性タレントにインタビューしたのがきっかけとなり、交際を始めた。
独身の三十の伊達男で、ハンサムだ。結婚したい男性の一位に、香都子の関わっていた雑誌には投票されていた。
 
最初は深夜のバー、喫茶店などで会い、そのタレント男性は黒いサングラスをしていた。すぐにその方面の記者は発見したが、もっと決定的なものが欲しい。それで二人を泳がせていた。
出会って、一ヵ月後にタレントは香都子のマンションの部屋に来た。玄関を入ると広いリビングに、そのハンサムタレントは、
「いい部屋だね。寝室も見たいな。」
と渋い声で話した。香都子は寝室のドアの前に連れて行くと、
「ここです。入りませんか?」
と聞く。
「ああ、見て見たいね。」
と唇を好色そうに歪めて、ドアを見た。その顔は、決して全国のお茶の間では見れない顔だ。そのタレントは、予備校のコマーシャルにも出ていた。香都子は、
「開けていいですよ。」
「じゃあ、拝見といくか。」
男は、寝室の中に入った。
「おいおい、ダブルベッドだね。君、誰かいるの?男性が。」
とタレントは香都子に振り向いて、聞いた。
「いえ、今はいないんです。昔、大学時代、同棲していましたけど。」
「へーえ、そう。君のおっぱいを吸いたくない男は、いないだろう。」
「まあ。」
香都子は下を向いて、顔を赤らめた。ハンサムタレントは、
「おれ、服脱ぐと性格が変わるんだ。脱いで、いい?」
香都子は、うつむいたまま、
「ええ、どうぞ。」
と応答すると、男は手際よくオールヌードになった。そうなると、香都子は男の股間にぶらさがったモノをじっと見た。意外にも租チン、つまり粗末なチンコだったのだ。
男は両手を肩のところまで水平に横に広げると、
「ブーン。」
と飛行機の真似をしているように声を出した。ブーンと叫び続けながら、寝室の中を走り始めたのだ。租チンはユラユラと揺れている。
あーあ、と香都子は思った。こういうの、なんていうのかな、精神病の一種かも。
香都子の前で男は止まると、
「ねえ、お姉ちゃんも脱いでよ。」
と呼びかけた。
「はいはい、待っててね。」
と答えて香都子は服を脱ぎ始めた。男とセックスしていない期間が長すぎるので、こんな坊やでもしょうがないと思っていた。
巨大なる水蜜桃が二つ、現れた。ハンサムタレントは、
「おいしそうだな。食べるよ。」
と言うと、香都子の右胸に貪りついた。続いて左胸。香都子も全裸だ。ヘアは控えめな密度で、縦のスジはよく見える。
久し振りに吸われる乳房に、快感を覚える香都子だった。だが割りと早く口を外すと男はベッドに飛び乗って、仰向けになった。
勃起していたが、やはり小さなソレは十センチ未満に見える。
「おれにまたがって、結合してくれ。」
と男は呼びかけた。香都子は、ゆっくりとベッドに上がって、男の顔に背中を向けた体勢で腰を沈めていった。ペンシルが入ったのかな、というのが香都子の感想だ。それだけハンサムタレントのモノは小さかった。が、男は、
「あああ。紙出君のマンコ、締りいいよ。おお、すぐ出そう。」
と声を上げた。男は腰を動かそうとしない。香都子はベッドの脇にある新聞を手に取ると、広げて読み始めた。そのために動いた体の揺れが、男のモノに影響を与えた。
「でるうーーーー。」
とテレビでは絶対に発音しない声で、男は果ててしまった。しかも、香都子の中に出たのは、ほんの少量で大半は香都子が腰を浮かせてタレントのペニスを外した時だった。
ベッドに撒き散らされたハンサムタレントの精液を、仕方なさそうに香都子は新聞紙で拭いたのだった。
 
香都子の部屋を出たハンサムタレントを待っていたのは、複数社の社用カメラだった。
パチパチッ、カシャカシャッ、パチパチッ。
盛大なフラッシュと音が、ハンサムタレントを包んだのである。
それらの写真週刊誌には、香都子は一般人だったので、顔も情報も載らなかった。
 
ああいうものを撮る雑誌の編集長になってしまったんだわ、
と香都子は帰宅してマンションの部屋の前に立つと、思った。
 
過去に、ああいう体験を持つ香都子が編集長になってから、写真週刊誌、
「コーカイ!」
の部数は伸びた。独身タレントの異性関係を暴くと、大うけしたのだ。香都子は一夜の遊びに終わったあのタレントとの情事のあと、色々な独身タレントの醜聞を見たり読んだりするのが好きになっていた。それもあって、受け持っている写真週刊誌の部数は伸びたのだろう。
テレビに出ているタレントのほとんどは、虚の顔を人に見せている。数人の男性経験がありながら、処女のように振舞うグラビアアイドルなど枚挙に暇は永遠にない。
素顔を出しているタレントは、皆無だろう。香都子もあの夜、あのハンサムタレントの素顔と租チンを知った。その違いの大きさに人は驚く。ならば、と香都子は考えた。その考えは、これから追々わかっていくだろう。
 
香都子は編集者の新人女性を一人、編集長室に呼んだ。狭い部屋だが、彼女に一部屋与えられている。大学出てすぐの女子社員が、生き生きと部屋に入ってきた。
「編集長、お呼びですか?」
「ええ、まあ、そこに座ってね。」
編集長のデスクの前に木製の椅子がある。新人が腰掛けると、
「正格品子(せいかく・しなこ)さんね。珍しい名前だけど、仕事はうまくいっている?」
「ええ、なんとかやっています。」
「じゃあ、新しい仕事にチャレンジしてもらおうかな。」
「ぜひ、やってみたいです。」
「そう、いい心がけだわ。正格さんは、今まで男の人と付き合ったこと、あるかしら?」
「ないわけでは、ないですけど・・・。」
品子は大学卒業前に働いたレストランで、店長に誘われて車で東京湾沿岸をドライブした事を思い出した。
そのレストランはチェーン店で、店長も若く二十歳と品子より二つ年下だった。
その店も深夜十二時で閉店となってから、後片付けに三十分は、かかる。その日は、品子と店長の二人だけが最後までいた。
店長は中背でスラリとした、おぼっちゃまタイプの男性だった。高校を卒業してすぐにその店に入ったという。埠頭に車を停めると、店長は、
「一年で、この車を買った。でも、忙しくて彼女ができない。正格さんは、今日でバイト終わりだし・・。ついてないのかな、おれ。」
助手席の品子は、
「そんなこと、ないですよ、まだ、若いじゃないですか。わたしなんかより、もっといい子がそのうち、店に来ますよ。」
と励ました。
「そんな・・ぼく、仕事中に品子さんの尻をずーっと見ていて、マンションの部屋に帰ってから二時間くらい、オナニーしました。」
と若店長は告白した。品子は顔を赤くすると、
「そんなに大きくないと思います。わたしのお尻・・。」
「いや、大きさより充実度でしょう。他の女性店員よりも、はるかによく見えたから。」
品子は満更でもなかった。今まで、男性にこういう事を言われた事が、なかったからだ。よく見ると店長はニキビ面だった。
「そんな事、言われたって・・。」
と一応、品子は答えてみる。若店長は顔を近づけてくると、
「ぼく、毎月、吉原のソープに行ってるんです。お金、かかりますよ。でも、今月はまだ行ってなくて今日が、行く日だったんだけど、深夜残業になって、それに今、正格さんと一緒だから・・。」
品子は、東京湾にカモメが飛んでいるのを見ると、
「わたし、降りましょうか。ソープに行った方が、いいなら。」
「いや、降りないで。ぼくと、ここでセックスしましょう。なにか、ご注文は?」
「ええ?こんなところで、ですか。どうせなら、服着たままなら。」
「ありがとうございます。復唱いたします。服を着て、セックス、でよろしいのですね。それでは、さっそくご用意します。」
馬鹿じゃなかろうか、と品子は思ったが若店長は意外にも早く品子のくちびるを奪った。スカートの中に手を入れると、パンティをずり下げる。再び品子のスカートを捲くると、清楚なヘアが彼女の股間に見えていた。それを見た店長は、急いでズボンのチャックから勃起したモノを取り出した。しかし、それは亀頭に包皮が被さっていた。包茎だ。品子は、ソレを見ると、
「真性?仮性?どっちかの包茎ね。」
と呟く。
「あは、立ったら剥けますよ。ほら、」
若店長は亀頭部分にかぶさっている皮をひっぱると、赤色の亀頭が出てきた。品子は思わず両脚を広げた。マンコが、かぱ、と口を開ける。それを見た店長の亀頭から、どぴゅっと精液が放出されて、品子のスカートに、ドドドッと乱れて、かかった。その時、フロントガラスをドンドンと叩く音がしたので、二人がそこを見ると、フロントガラスの外には三人の男の顔があった。その内の一人が、
「よーよー、包茎で早漏、ってなんだか時代劇みたいだな。早漏って候文の候の音と同じだ。おまえよー、そんないい姉ちゃんとやれるんだから、しっかりやれよ。」
と話した。後の二人はニヤニヤしている。三人とも二十代後半のようだ。若店長はチンコを出したまま、ハンドルを握るとアクセルを踏んだ。車は急発進する。
「おいおーい。」
「飛ぶぜ。」
「海の中。」
三人は、声を上げるとフロントガラスから消えた。五十メートルほど走ると、検問が行われていて警察官に止められた。警官は車内の若店長を見ると、
「公然わいせつ罪には、なりにくいけど、一応、あんたのモノはズボンの中にしまいなさいよ。」
と警告した。品子はスカートを降ろして、足を閉じていたので見咎められなかった。若店長は、
「すみません、今、なおします。」
慌ててチンコを、ズボンにしまった。
 
正格品子の初デートは、それだけだった。若店長は車を最寄の地下鉄の駅の前で停めて、
「又、パートででも仕事に来てください。」
と話すと、頭を下げた。車内のティッシュで彼の精液をスカートから拭き取っていた品子は、
「そうね。その時は、よろしくね。」
と言葉を投げつけた。
それ以来、正格品子は、そのレストランチェーン店に行っていなかった。
 
紙出香都子の声がした。
「ぼんやりしてるけど、大丈夫かしら。」
「はい、編集長。大丈夫です。」
「つきあって、どうなったの、その人と。」
「結局、うまくいかなくて・・・一日だけのデートだったんです。」
香都子は、まあ、そんな程度なんて、と思った。わたしの巨乳を思う存分、吸っていった男もいたけど。
「それでも、恋愛経験なのよね。それがあれば、いいの。実はね、この男。」
紙出編集長は、デスクの正格品子がよく見える位置へ写真を置いた。
その写真に写っているのは、二十代前半の男性でゴルフクラブを振っている。場所はゴルフ場だ。
紙出編集長は、続ける。
「カオヒルズ族とかいって、インターネットで大金持ちになったのよ。それを元手に実店舗のレストラン、居酒屋、喫茶店などを始めてすぐに年商十億のグループ売り上げにしたんだそうよ。
今ね、インターネットにはお金が溢れているらしいわね。わたし達の産業は右肩下がりだけど、うちの写真週刊誌はまだ売れているから、ここらでドーンとやらかそうってわけよ。
つまり、こいつのスキャンダルを作れば、いいのさ。って事ね。」
「はあ、なるほど。確かにわたしの女の同級生でも、ブログで十万円は稼いでいましたね。わたし、レストランにアルバイトしに行ったりして損したな、と思った事もあります。」
その場合は、若店長とのドライブもなかっただろうけど、ね。
「ふんふん、そうね。でもね、引きこもってネットで稼ぐより、実際、外で働いたあなたの方が、これからの仕事はやりやすいわよ。あのね、この男、根戸スルオっていうのね。それはネット上で有名な名前で本名は根戸寿司(ねと・じゅし)っていう、これも変わった名前よ。
北海道の資産家の息子で、東京の大学在学中は六本木ヒルズから通学してたんだって。」
「それじゃあ、私大ですか?」
「そう。それも六大学じゃないらしくてね。でも、在学中には結構、稼いでいたらしいわね。ほら、六本木ヒルズってネット関係の人間が結構住んでいて、その人脈もできていたらしいけどね。」
「それじゃあ、稼げるわけですね。」
「そうね。で、昔ならさ、いろいろとこの人物を伝えるのに時間がかかったと思うわ。今なら、」
紙出香都子編集長は、デスクにあるノートパソコンを品子のほうに向けた。その画面には海外の動画共有サイト、YOU TUBEが映っていて、根戸スルオというユーザー名で自分の動画を多くアップロードしていた。
紙出はノートパソコンを指差して、
「どれか根戸の動画を再生してみて。」
と指示した。正格品子は、カオヒルズ族のぼく、という動画を再生した。
えーっ、初めまして。カオヒルズ族の根戸スルオです。今日は、ぼくが二十二歳にして億万長者になり、実際の店舗などに乗り出していくまでの道のりやマインドセットについて、お話したいと思います。
ぼく、六本木ヒルズには大学に入学してから住んでいます。家賃は親の仕送りですね。結構金、かかりますけど、実家は資産家なので息子の将来のために、って最初からヒルズ六本木から大学に通う事を決めてしまいました。
孟母三遷の教え、なんてありますよね。中国人、孟子の母が息子にいい環境を提供する話です。これと同じだと思うんです。六本木ヒルズに住んでいたから、成功も早かったのかな、と思います。
 
それで、地方の人からもよくメールを貰うんですが、
根戸さん、六本木ヒルズに住んでいるなんて、すごいですね。最高級のマンションなんでしょう、東京で。そしたら、日本で一番のマンションでしょう?ぼくも、六本木ヒルズに住みたいなー。
根戸さんの、
あなたも二十五までに六本木ヒルズに住める
という教材を購入しました。ヒルズの部屋から見える夜景と一緒に写っている根戸さんの画像は、プリントアウトして部屋の壁に張ってるんです。
サポートの方、よろしくお願いします。
 
動画の根戸はパソコンの画面のメールを、そのまま読んでいた。
というようなものもね、よく届きますよ。そうだねー、自分の作った情報を商材として売る場合、ヒルズ六本木からだと全く信用度が違うんですよ。
これ、実験してみたんです。ぼくの田舎は、北海道だけど実家は札幌のいいところにあります。そこへ帰って、商材を作り、実家のぼくの部屋から札幌の風景を撮って出したんだけど、全然、売れなかった。同じ内容のものを、ヒルズ六本木からの写真をつけて、
カオヒルズ族のぼくが三日、徹夜して作りました
と紹介文をつけると、爆発的に売れたんですよ。
 
はい。ありがとうございました。次回は、自己ブランディングの方法について詳しくお伝えします。今回の動画でも、少し話していますけどね。
地方に住んでいるあなた、でも有利に商材をセールスする方法なんかも教えちゃいますよー。期待してください。それでは、ぼくの動画を見てくださって、まことにありがとうございました。
 
短い動画は、終わった。紙出編集長は、
「ネットの時代って、便利なものね。これで、根戸って男は、わかったでしょ。」
と正格品子に聞いてくる。品子は、動画で見た背広を着てネクタイも締めた若者の顔を思い出した。どことなくお坊ちゃん風の印象のある顔立ちで、気苦労なく育ったという印象。
眉は太い、けど眼は細かった。髪は短く、七三分け。スリムな体格。
「わかりました。会えば、すぐわかりますね。」
「そう、ネットは便利ね。これだけ自分の顔を出して平気なんだから、幸せ者だわ。さてね、わたしがあなたにして欲しい事は、この男と・・・・。」
紙出香都子は正格品子の耳に口を近づけて、ぼそぼそぼそと長々と説明した。
聞き終わった品子は、
「ええーっ、そんなあ。それじゃあ、まるで・・・。」
「やりたくないの?やったら、売れた部数の5パーセントをあなたに臨時ボーナスとして、あげるわ。これは、社長が決めたことなのよ。やらないのなら、退社してもらいます。」
「退社なんて、今時、大学出ても仕事がないんです。やります、やります。簡単そうだし。」
紙出香都子は、三十路女の微笑を浮かべると、
「どうってこと、ないわよ。読者に受ければ、いいんだから。」
と激励口調で品子に話した。
 
正格品子は平均的女性だ、外見は。ただ、四年生大学卒業という重みはある。そんな彼女が平日の山手線に、超ミニスカートで乗り込んだ。座席に座った男性は、ほとんど一勢に品子の股間を見つめた。ふわり、とそのスカートの先が上がると、パンティは丸見えになる。それも一瞬の事で、スカートの先はパンティが見えないギリギリの位置に落ちている。品子の両脇には、すぐに人が立った。後ろに立ったのは、霧下才一だ。彼は、一瞬だがスカートがまくれて見えた彼女のパンティを正確に見ていた。
霧下才一は、獲物を捕らえるのだろうか。
次の駅まで、霧下才一は何もしなかった。相変わらずサングラスをして、マスクをつけている。
次の駅からカオヒルズ族の根戸スルオが、電車に入ってくる。目立つ超ミニの品子の後ろに、彼は立った。時々、電車が揺れると品子のスカートも揺れた。根戸の視線は、品子のスカートに釘付けだ。
電車が揺れた。根戸が、ふらつく。その瞬間、霧下の手が根戸の右手の手首を掴むと、根戸の手のひらを品子のスカートの尻に導いた。
べっとり、と根戸の手が品子の尻にくっつくと、霧下は自分の手を素早く引っ込めた。
根戸の手は品子の尻に、くっついたままだ。その時、品子は根戸の手首を掴むと、
「痴漢です、この人!」
と大声を上げた。品子の横にいた大きな体格のいい三十過ぎの男が、二人とも根戸を押さえると次の駅に着いた時に根戸を引っ張って降りていった。
根戸はプラットホームでも、可能な限り抵抗していた。
「ぼくは、痴漢ではありません。」
と駅員に繰り返し訴えていた。

巨乳な女探偵・夏海静花の管理ファイル

夏海静花は二十七歳の女探偵だ。身長百五十八センチ、バスト九十一、ヒップ九十二の体は夏になるほど、見えてくる。彼女は高校卒業後、すぐに探偵事務所に入社した。その頃でも、すでに巨乳になる兆候は出ていたのだ。成人になってからは、今の体型に到達した。探偵として、その体は不利になるかというと、それは違う。
世間的に巨乳の女性は頭が悪いと思われている。そこを使えば、捜査もやり易くなるのだ。
探偵社に入社してすぐ、夏海静花は浮気調査の助手をする事になった。男子所員、日名気弓雄(ひなげ・ゆみお)に同行する。日名気は三十歳、長身で痩せ型だが、顔は平凡でハンサムではない。眼は細く、鼻も低い。
夏海静花は丸顔で、目と唇が大きい。鼻は団子のようで、美人といえるかどうか微妙だ。クリクリと動く眼は知性的なので、知能の低いアイドルとは違った雰囲気だからだ。
それより男性なら彼女の胸と尻に視線が、いってしまうだろう。二十七歳の今の彼女の顔の雰囲気は女性検事の顔と同じだが、入社した当時はまだ、女子高生的雰囲気もあった。
日名気と同じ車でターゲットの男性を尾行する。この業界は女性からの依頼の方が多いのだ。夫の浮気を疑っている女性は、多い。しかし、探偵社に頼むとなると結構な費用がかかる。
福岡市のような百五十万人の都市では、月に数百の依頼はある。そこで静花の探偵社も毎日のように浮気調査をしている。
今回の依頼は福岡市会議員の妻からの依頼で、議員は四十五歳の男性で、一見、真面目そうだが、今回以前も疑わしい行動があったという。市会議員といえども、五時過ぎからの行動は自由だろう。とはいえ、その妻にはそうはいかない。

静花は車中でレポートを読み上げる。
「相手はキャバクラ嬢ですね。撮影されたものを見ると、美人に見えますか。」
日名気は冷静に、
「福岡のキャバクラ嬢は、大抵そうだよ。市会議員さんも、色好みだね。」
とハンドルを回しながら助手席の静花に答えた。
夜も十一時だ。福岡市には六十以上のラブホテルがある。東区の志賀島近くにあるラブホテルに市会議員の車は走っている。探偵社二人の尾行する車も、その後を追う。
静花のレポートに写っているキャバ嬢は色白で痩せた、笑顔の美しい女性だ。二十代前半だろう。全身が写っていて、前からだが尻の横に張っているのは、よくわかる。スカートはミニで、胸は上に向いた形のよい美乳だ。顔は真面目そうで、キャバ嬢とはいえ、乱れた感じはなかった。
二人がラブホテルに入るのを写真と動画で撮る。日名気と共に静花も撮った。静花は、
「成功ですね。帰りますか。」
と場を離れたいようだ。
「出てくるのを待つんだ。ぼくたちも入ろう。」
「えっ、まさか・・するんですか。」
「心配するなよ。彼らの隣の部屋が空いていれば、そこに入る。コンクリート・マイクで音も拾えるかもしれん。」
そのラブホテルは無人のフロントなので、気軽に静花たち二人も入れた。市会議員たちの入った部屋の隣の部屋は空いていた。日名気は、
「ラッキーだ。入ろう。」
無言でうなずく夏海静花だ。日名気が先にドアノブを回した。後からの静花がドアを閉める。コンクリートマイクといっても様々だが、探偵社の使うコンクリートマイクは九万円くらいはする高価なものだ。録音機能もある。日名気は、すぐにコンクリートマイクをセットした。耳にレシーバーを当てると、
ちゅっ、ちゅっという男女のキスをする音が聞こえた。それから女の声が、
「奥さんと別れるって、本当なの?」
「そのつもりだ。もう、子供は大学を出て社会人になった。新しい妻が必要なのかもしれない。」
「嬉しいわ。東区のはてまで来て、セックスする必要もなくなるのね。」
「そうだな。これが最後かもしれん。」
ばさばさ、と服を脱ぐ音がする。
「きれいだ。君の胸は白い美乳だよ。」
「恥ずかしい。」
聞いている日名気は、音から二人の場面を想像する。
 市会議員は全裸になったキャバ嬢の乳房を左から右に、それぞれ吸った。全裸の市会議員の股間のイチモツは巨大になっている。
「とても変わった体位で君としたいと考えていたんだ。」
二人は立っている。感じて身をくねらせたキャバ嬢は、
「どんなポーズで、するのかしら。」
「君は体が柔らかいだろう。ブリッジを、ベッドの上でしてくれ。」
「ええ、いいわよ。」
彼女はベッドに乗ると全裸で乳房を揺らせながら、両脚を開き、体を後ろにそらせて両手をベッドについた。豊かな陰毛の下の淫裂がピンクの口をパックリと開いた。
「これで、いいかしら?」
天井を見つめながら、彼女が聞く。議員は、
「上出来だ。すぐ、行く。」
議員は彼女の開いた白い足の間に膝をつくと、大きくなったモノをキャバ嬢の淫穴に挿入していった。
「ああん、こんな体勢だから、とても感じるわ、ああん。」
とブリッジの体勢のまま、彼女は声を上げた。二人は、その体勢のまま結合して三十分は過ぎた。
日名気は退屈そうに、
「長いな。」
と呟く。潮風が室内にも入り込んでくる。波の音がザバーン、ザバーンと窓の外からは小さく聞こえる。日名気は眼を静花に向けると、
「終わったよ。先に出るからな、おれたちは。」
と指示する。日名気の後から静花も部屋を出た。
後は二人がラブホテルから出てくるのを、写真撮影、ついでに動画撮影もすれば終了だ。日名気と車に潜んでいると、市会議員が出てきた。だが、彼ひとりだけだ。日名気は、
「そんなはずは・・・。もしかして、あのキャバ嬢を殺しているかもしれない。」
と口に出す。
「それは大変ですね。あとは警察の仕事でしょう。」
と静花も動揺する。
「とにかく君は、ここにいてくれ。おれは議員の後を追う。」
「はい、わかりました。」
日名気は市会議員の乗り込んだ車を追いかけて、車を発進させた。あとに残された静花は、近くの大木の陰からラブホテルの玄関口を見張った。しばらくすると、一人の尼僧が大きなバックを下げてラブホテルから出てきた。真っ黒な眼鏡をかけて、頭は剃られてツルツルだった。
その尼さんは、十メートルは歩くとタクシーが現われて、それに乗り込んだ。黄色いタクシーは海岸線の道路を福岡市に向って走っていった。
静花は、
「尼さんがラブホテルから出てくるなんて。」
と一人呟いた。
(そうだわ。あの尼さんは、キャバ嬢の変装に違いないわ。)そう思った静花は運よく近くに来たタクシーを停めて、
「あの黄色いタクシーを、追って頂戴。」
と指示する。急発進する静花の乗ったタクシーは、黄色いタクシーが山の中に入っていくのを追った。
キキーッ
と土の上に音を立てて黄色いタクシーは停まった。そこは山寺だったのだ。タクシーから降りた尼僧は寺の山門へ足を運ぶ。
発車した黄色いタクシーの跡に、静花の乗ったタクシーは停まった。降りた静花は石段を登っている尼僧の後を、静かに尾行する。石段の上に辿り着いた尼僧は振り返ると黒いサングラスを外して、
「珍しいわ。こんな夜中に、参詣してくれるなんてね。」
と静花に言葉を投げた。
顔を見るとキャバ嬢ではない。セクシーな尼僧で三十代前半か。静花は、ビクッとして階段を登る足を止めた。尾行は失敗だったのだ。くるりと尼僧に背を向けて降りようとする静花に、
「ちょっと。探偵さん。もう、あの女性はラブホテルを出ているわ。わたしの後ろの方を歩いているのを、振り返って見たから。男と同時にラブホテルを出ないようにしてたわね。あんた、証拠写真でも撮ろうとしてたのね。」
と尼僧は呼びかける。
静花は階段を降りる足を止め、尼僧に振り返ると、
「そうです。すみません。」
「まあ、もうあの女を追っても間に合わないから、今日はうちの山寺で泊まっていきなさいよ。」
「ええ。でも・・・。」
「わたし独りの寺だから、のんびりできるよ。」
静花は日名気に携帯電話する。
「失敗しました。」
「だろうな。今日は直帰で、いいから。」
「すみません。」
「議員は無事に、ご帰宅だ。奥さんは腹の虫がおさまらないだろうけど。」
「キャバ嬢は遅れて出たようですよ。」
「うん、それも考えてはみた。そうだったらしいな。明日になれば、又、やり方を考えるさ。」
ツー、と携帯電話は切れた。

 静花は先ほどの尼僧と同じ部屋にいる。寺の中だから和室の畳の部屋で、仏像が飾られている。その仏像の姿は座っていて、手が六本もあるのだ。顔は恐ろしげな表情である。静花は正座して、それを横目に見ると、
「変わった仏像ですね。」
と素直に感想を洩らした。尼僧は、
「愛染明王といってね。愛欲の仏さんなのよ。足は崩していいよ。この寺の住職は、わたしだから。」
静花は正座の足を崩すと、
「ラブホテルには、どうして・・・。」
と聞く。
「ああ、あれね。あれは檀家の若い男とやりまくるために行ったのよ。最近は、そこまでしないと護寺費を遅らせる檀家があるのね。一応、用心のためにサングラスをして、わたしが先にラブホテルを出ているけど。あんた、この辺の人じゃないみたいだから、教えてあげるけどね。」
「なるほど、分かりました。」
愛染明王の像の前には、赤い蝋燭が二本立てられて火が、ともされていた。ゆらゆらと動く蝋燭の炎が、薄暗い室内をほの明るくする。潮の打ち付けるザバー、という音も聞こえた。
目の大きな女住職は好色そうな顔で、
「AVも色んな分野の女性を出したけど、尼さんは一人も出てないみたいね。わたしが出てもいいけどさ。」
と話すと白い歯を見せた。

そういう過去のあった静花も、今は独立して事務所を構えている。女探偵が何故有利なのかと言うと、相談してくるのは大抵、女性だからだ。だが逆に男性が相談者として依頼もしてくる。それは調査相手が女性のため、男性の探偵より依頼しやすいという事になる。
おかげで夏海静花の事務所は仕事が舞い込んだ。
「忙しいわね。そうだ、助手も女性にしよう。」
静花は一人呟くと、インターネットに募集広告を出したのだ。それも何処かの広告代理店にではなく、自分のブログ、「女探偵の孤独なつぶやき」に
当探偵事務所では、助手を募集しています
とブログの右側面に書くだけでよかった。その日の内に事務所の電話が鳴った。
「はい。夏海探偵事務所です。」
「あの、わたし助手になりたいんです。ブログで見ましたよ。」
と若い女性の声がした。
「ありがとう。さっそくだけど、面接に来てくれないかしら。」
「ブログに載っている住所ですか。」
「そうよ、中央区の薬院ね。電車の駅を降りて、歩いて五分かな。」
「わかりました。今から、いいですか。」
夜の七時だ。外は暗くなっている。
「いいわよ。九時ごろから尾行だから、早く来てね。」
「ええ。風のように飛んできます。」
くす、と静花が笑うと電話は切れた。それから十分もすると、事務所のチャイムが鳴った。
「はい、どうぞ。」
と静花が大声で答えると、ドアが開いて清楚な若い女性が立っていた。髪は肩にかかる位、少し長身であるけど胸の膨らみもそれなりにある。スカートの横幅の広さは豊かな尻を想像させた。眼は、つぶっているように細いが、睫毛が長くて女らしい。茶色のスカートに白い上着で足はスニーカーを履いている。
「よく来てくれたわね。探偵助手って厳しいのよ。その代わり、給料はいいけど。そこに座ってよ。」
静花は応接テーブルのそばにある横長のソファを指差した。面接女性は、ふんわりと腰掛けた。静花も応接テーブルをはさんでソファに腰掛けると、
「履歴書を見せて。ありがとう。霞露子(かすみ・つゆこ)さんね。二十歳。若いわね。短大を出てアルバイト・・・今もしてるの?」
「ええ、深夜のコンビ二とかもしています。」
「それなら探偵の仕事には、入りやすいと思うわ。浮気調査は夜が多いのよ。今夜もわたし、行くけどね。」
「徹夜もできます。」
「それは、いいな。あと、女探偵は体を張る事もあるのよ。」
静花は立ち上がると霞露子の背後に回り、露子の上着の上に突き出した二つの乳房を両手で鷲摑みにした。露子は首をひねると、
「あはっ。感じますぅ。」
と悶えた。その露子の顔に自分の顔を静花は近づけてキスした。ヌル、と静花は自分の舌を露子の唇の間から差し込むと、露子の赤い舌と絡め合わせる。露子は眼を閉じて、じっとしている。静花は露子のスカートの中に手を入れて、ショーツの上から露子の割れているスジを指でなぞる。
「いゃぁん。」
露子は口で抵抗したが、両足は大きく広げた。ショーツの上からでも、露子の突起した淫核が静花の指には感じられる。それを捏ね回すと、
「ああん、ぁぁ、ぁぁーん。」
と露子は悶えて、唇を開いた。忘我の表情を静花は見ると、指を露子の淫核の突起にかふさったショーツから手を離して、
「感度、いいわね。合格よ。いざとなったら、自分の体も武器にするのよ。レズ好みの依頼者も、いるからさ。」
露子は眼を開くと、
「気持ちよかったです。深夜のコンビ二のバイトで暇な時間に、トイレでバイト仲間の女の子と一緒に入ってレズした事はあります。」
と自信を持って露子は告白した。
時々、コンビ二に入ってレジにも店内にも誰もいない時は、レズしていると露子は言う。
女子大生のバイトが多いため、相手を変えてレズしていたそうだ。コンビ二の制服のままトイレに入ると、お互いの唇を貪るように吸って、お互いのマンコを制服のズボンの上から触りあう。割れ目のスジに互いの指が当たると、それだけでも気持ちよくなるそうだ。それから乳首をくっつけあったりもする。露子はそうして二年を過ごしたので、レズテクニックは上達したそうだ。
「所長にもしてあげましょうか。」
いたずらっぽく露子は言う。静花は、
「今度、いつか、してもらうわ。」
「なんといっても、オマンコをくっつけあうのは気持ちいいですから。」
と露子は自信たっぷりに話すのだ。
それには静花の方が、たじろいだ。それでも貴重な助手の登場だ。就職難といっても探偵業界に女性が来るのは珍しい。
(あの依頼は、露子を教育してからにしよう。)静花は露子の全身を眺めて思う。顔は少し可愛いくらいだが、体が成熟して、はち切れそうな露子の身体は女の静花が見ても情欲が動きそうになる。

 福岡市近郊に工場を持つ製薬会社「ストップ」は世間的に知られていないが、抗癌剤「ケストミン」の製造で医学界に知られている。ご存知のように抗癌剤のこれまでのものは危険度も高いものだった。間違えば抗癌剤でなお悪化するケースも発生していたのだが、癌の治療には、やむを得ない療法だ。ケストミンは、その危険性をかなり減らしたものとして医療の現場では重宝され始めた。
ストップは福岡市東区箱崎に本社がある。JR線は博多駅から東に吉塚駅、箱崎駅と延びていって小倉駅や門司駅につながり、関門トンネルを通って本州へと進む。
新幹線は小倉の次は博多駅で停まり、吉塚駅と箱崎駅は通過する。吉塚駅と箱崎駅は小さいとはいえ、外観はモダンな建築になっている。人の出入りは博多駅に近いだけ吉塚駅の方が多い。が、箱崎駅は箱崎神社が駅前からすぐに道路を渡って行けるところにある。西暦921に創建という説が採られている。その他、諸説があるらしい。
でありながら箱崎というところは昔はビルも少なく、今は消えつつあるが銭湯などもあった。2000年以降はビル、マンションで埋まりつつある。この箱崎宮にプロ野球のホークスが祈願に訪れるのは有名だ。
箱崎駅近くに本社ビルのある製薬会社ストップでは、ウェブサイトを通じて人材を募集している。
年齢は二十三歳まで 経験不問
と、なっている。ただ、勤務時間が朝の七時から夕方の六時まで、となっているせいか中途採用でもあるため応募はなかった。
そんな或る日の午後、ストップ総務部の電話が勢いよく鳴った。若い男子社員が受け取ると、
「はい、ストップです。」
すると若い女性の声で、
「中途採用に応募したいのですが・・・。」
と男子社員の耳に聞こえた。
「ああ、募集しておりますよ。いつ、来られますか。」
「今からでは、どうですか。」
「いいですね。お越し下さい。どの位、時間がかかりますか。」
「二十分もあれば、行けると思います。」
「じゃあ、お待ちしています。」

 二十分後、ストップの応接室に現われたのは、二十歳の女性で黒縁の眼鏡をかけている。面接の男性は五十代の白衣を着た白髪交じりの人で、専務だ。応募してきた女性の履歴書を見ると、
「亀山つぐみ、さん。」
と彼女の名前を読み上げて、顔を彼女に向けた。二人とも椅子に座って、間に広い白のテーブルがある。
「はい。そうです。」
「真面目そうな方ですね。よろしい。短大卒業後、現在はアルバイト中・・ね。うちはアルバイトではありませんので、採用後はアルバイトは辞めてもらいますけど、よろしいですか。」
「はい、採用していただけたら、すぐにアルバイトはやめます。」
眼鏡の奥の彼女の目は細いが可愛い印象は、ある。専務はニヤリとして、
「それでは採用としましょう。明日から来てください。」
「はい。頑張って働きます。」
こうしてストップに入社した女子社員は、よく働いた。朝の七時二十分前には会社に来て、待機しているのだ。ストップでは専門の掃除会社に依頼して清掃はさせているため、社員が掃除をする事はない。
亀山つぐみは、白衣を着て雑用から倉庫作業まで言われたとおりに働いた。
 ストップには新薬開発部門がある。そこの責任者は寄手為三(よりて・ためぞう)という三十五歳の独身男子社員だ。もちろん新薬開発部長を務めている。ハンサムな容貌は女子社員の憧れの的だ。それよりも魅力的なのは、彼、寄手為三は株式会社ストップ製薬の創業者の一人息子という事なのである。
為三は薬剤師の免許も持っている。福岡市内の大学の薬学部を卒業後、ストップ製薬に入社。以来、時には土日も平日と同じ勤務もしてきた。あまりにも仕事に追われて、結婚もしてない状況だ。
背も高く、身は引き締まっている。顔は二枚目俳優のそれで、鼻も高い。古株の女子社員は仕事が終わった後、居酒屋などで、
「寄手部長って、まだ独身なんですって。」
とビールジョッキ片手に雑談する。
「聞いたわ。でも、隠している女性がいるんじゃないかしら。あんなハンサムで、女がいない訳はないもの。」
「それが、いないらしいわよ。わたしたち、結婚しても働きに来てるけど、女子社員で独身なのは亀山つぐみ、ぐらいじゃない。あの子、眼鏡外しても細い眼なのかしら。」
「どーだかね。まだ雑用だけど、そのうち新薬開発部に移動になったりするかも。真面目に働いてるから。それに、新薬開発部の小山さん、来週辞めるのよ。もう、五十で旦那の収入もいいからですって。総務部のわたし、知ってるんだ。」
「そーう。うちの旦那、他の製薬会社で働いているの。新薬開発なんか知りたいらしいわ。でも、わたし、業務部だからね。それに会社の秘密をもらせないわ、いくらなんでも。新薬開発部は誰でも入れないしね。」
「うちの会社が抗癌剤でトップなのは、秘密が漏れないからよ。トップを滑り落ちたら、わたしたちの給料も減ると思うわ。」
「こわいねー、それ。でも、わたしの旦那の給料が上がれば、いいわけだけど。」
「達子、裏切るの?会社を。」
「へへへ、心配しないでよ。」
達子と呼ばれた人妻社員は三十二のアダルトビデオの若妻シリーズに出てきそうな顔の女性だ。有池達子である。業務部で事務をしている。夫はストップ製薬のライバル会社、ラクナリン製薬で働いている。新薬開発部、課長で有池剛二という。
やはりラクナリン製薬も抗癌剤を開発しているが、売り上げは今ひとつだ。ストップ製薬と同じく箱崎に本社を構えている。何故、箱崎がいいのかというと、箱崎神社が近いからではなく、箱崎の近く馬出(まいだし)というところに九大病院があるからだ。自社の薬のセールスに真っ先に訪れる病院なのだ。
九大病院、正式には九州大学病院には、がんセンターがある。九大病院によれば、現代日本の男性は二人に一人、女性は三人に一人が癌になるといわれているらしい。
がん情報サイトとしては、
http://cancerinfo.tri-kobe.org/

が有名だ。九州大学病院にはARO次世代医療センター・データセンターなるものもある。平たく言えば、製薬会社にとっては抗癌剤は大いなる利益を生む。九大病院が認めれば、連携している診療病院にも採用されるであろうからだ。
九大病院には、癌の相談窓口もある。外来二階の外来化学療法室の横にあり、気軽に相談も受け付けているらしい。がん相談支援室の窓口へ。
高額療養費制度などで医療費が少し安くなるという。

有池達子は箱崎の2DKのマンションに帰宅すると、食事を作って夫を待った。達子ら既婚社員は朝十時からの出社を認められている。退社も五時半である。
夜九時になると、夫の剛二が帰ってきた。疲れた声で、
「ただいまー。帰ったよ。」
「あら、遅かったのね。ご飯は、どうしますか。」
「食べるよ。いやー新薬は中々できないね。」
達子は台所で、さばの煮付けの載った皿を電子レンジに入れて、
「うちの会社は、がんの新薬はトップよ。」
剛二は食卓の木製の椅子に座り、
「そうだな。できれば、アイディアをもらいたいけど。」
「そんなー。わたし、見つかったらクビになる。」
「おれの給料があがるけん、よかろうが。」
「そうねー。でも、それは犯罪になるのよ。」
「うーん。そうだな。それは、まずい。」
達子が若奥様に見えるのも、彼女の性交回数が少ないからだろう。
チン、と電子レンジが鳴った。達子は、皿を取り出し夫の前に置く。
「おう、さばの煮付けだね。今晩は、やろう。」
「昨日もそういったくせに。」
達子は柳眉をしかめた。さばを口に入れて噛みながら剛二は、
「新しいアイデアを得るには、今までとは違った環境に身を置くといい。と大学で習ったけど、自分への刺激として今晩。」
そこで剛二は息を止め、吐き出すと、
「うちの若いのが、今から来る。そいつとセックスしてくれないか。」
「えっ?何をいうんですか。冗談でしょ、あなた。」
「いや、冗談じゃないよ。三十八にもなって、おれがそんな冗談は言わないよ。部下は、やり手だけどまだ独身でね。おまえが彼に貫かれるのを見てみたいんだ。そうすれば、いいアイデアが湧くかもしれないからね。」
達子は、うつむいた。まるでアダルトビデオみたいだと思う。夫が自分の乳房に触れたのは四ヶ月前だ。その日、夫は勃起したけど一分もたたずに中折れして、縮んだ。一分未満の快楽だったのだ。
達子は食卓のテーブルの下でスカートの上から股間の秘丘、陰毛の生えている辺りを右手で触ると、
「公然の浮気みたいじゃないの。いいの?あなたは、それで。二十代の若い人に、わたしのオマンコが貫かれるのを。」
剛二は肥った腹をさすって、
「コンドームつけて、やらせるよ。妊娠の心配もないし。あいつの精液が、おまえのマンコの中に出されるわけでもない。だから、いいだろう。あいつの陰茎の根元までかぶるゴムをつけさせるし、あいつのきんたまは、おまえの膣の下あたりに当たるだろうけど、おれ以外のキンタマも味わってみろよ。
ミス福岡にも大学の時に、なったんだろう。おまえ。」
眼をぱっちりと開いて達子は、
「そうだけどさ。浮気なんて初めてなの、わたし。」
「え?おれ以外の男とセックスしたことないのか。」
「ええ。血が出たじゃない、初夜で。」
剛二は眼を宙に浮かせて思い出したように、
「そうだったね。あの時は、二発も発射したな。」
達子は白い歯を出して、
「でも、気持ちよかった。男性でも痒いところを指で掻くと、気持ちいいでしょ?あれよりずっと、気持ちいいの。オマンコがね。」
少し顔を赤らめた。
「そうか。大学ではミスコンテストで優勝だろう。自分でも気づいているように、おまえは美人だよ。」
「お世辞、いわないでよ。もう、おばさんだから。」
「そんな事ないよ。」
「だって、あなた立たないじゃないの。」
「それは、仕事疲れからだよ。新薬でいいのができたら、休暇をくれるらしいから。その時は温泉でも行こう。」
「露天風呂で、後ろから入れてよ。」
「ああ、そうするかな。」
ピンポーン、とチャイムが鳴った。剛二は立ち上がると、
「来たよ。おれは寝室の押入れに隠れているから、あいつとセックスするんだぞ。」
「うーん。」
しぶしぶと、しかし眼をパッチリさせて達子は答えた。スカートの尻の割れ目が鮮やかに浮き出た。巨乳でもある達子は玄関に行き、
「はーい。どなたさまですか。」
「こんばんは。ラクナリン製薬の田里(たさと)と申します。ご主人の部下です。」
「はいはい。」
達子がドアを開けると、背は中位で真面目そうな男性がいた。歳は、二十五位だろう。灰色の背広を着ている。ネクタイは紺色だ。眼は細い顔だ。
達子は、
「お上がりになってください。」
と招じる。
「失礼します。」
夫の部下は玄関を上がった。靴下は黒のようだ。居間の方へ達子は案内する。横長のソファがある。達子は、
「おかけになって。」
と勧めた。部下の男は、
「それでは、」
と腰掛ける。台所でコーヒーを注いで来ると、達子は夫の部下に勧める。と、部下は、
「いただきます。申し遅れました。わたし、新薬製造部の田里景一郎(たさと・けいいちろう)と言います。ご主人は、まだ、お帰りにならないのでしょうか。」
「ええ。まだ、ですわ。あまり遅いと外泊みたいですから。今夜も、そうかもしれませんわね。」
「それは、大変でしょう。奥さん。」
真面目な顔して田里はコーヒーを飲んだ。
「最初のうちは辛かったのだけど、今は、慣れましたわ。」
「お子さんは、いらっしゃらないのですか。」
「いません。欲しいとは思いますけど。」
横長のソファの左に達子が、右に少し間を開けて田里景一郎が座っている。田里が横目で達子を見ると、巨大な乳房の大きさが分かる。白いエプロンが前に掛かっているが、横から見たらそのエプロンは薄く見える。張り切った乳房はロケット型だ。
田里は黙り込んだ。達子は膝までのスカートを少し上に両手で上げる。達子の膝から上の十センチ位の太ももが出た。田里はそれをチラと見て、
「実は奥さん。ぼくは貴女のご主人に命じられている事があるんです。」
と話すと、唾をゴクリと飲む。
「なんですの、その命じられた事って。」
「それは、奥さん、ぼくが奥さんとセックスする事です。」
「まあ、そんな事を主人が。」
「本当なんですよ。で、長いコンドームまで貰って、持ってきたんですけど。やはり、実行していいのかな、と。」
達子は色っぽく微笑んだ。
「うふ、わたしも浮気は初めてだから。」
彼女は髪を搔き揚げた。白いうなじが、見える。大学のミスコンテストに優勝した時のような気分に達子は、なった。
田里の右手が達子の右の乳房を掴んだ。はっ、とする達子は髪を振り乱す。田里の右の人差し指は、上着の上から達子の右乳首を優しくいじる。快感の電流が達子の脳内に走った。
「はん。もっと、して。」
彼女は濡れた瞳で背広の田里を見つめた。
「奥さん、もう僕、あそこは破裂しそうです。」
達子の白い右手の指は、田里のズボンの股間に這った。二人は向き合うと顔を寄せてキスする。田里の股間のシンボルは一段と大きくなる。達子の方から滑らかな舌を田里の唇の間にすべり込ませてきた。同時に田里のシンボルを握って達子は上下に擦る。
「あっ、奥さん、そんなにされると出るかもしれない。」
田里は唇を離すと、そう言う。
「わかったわ。寝室に行きましょう。」
二人は立ち上がると、達子は田里に密着する。巨乳の乳房が田里の胸の下あたりで、ぶにゅ、とつぶれる。
「奥さん、マンコしたいです。」
「たっぷり、ハメて。」
恥ずかしそうに達子は田里の耳に小さく囁いた。顔を少し赤くした達子の尻と肩を抱くと田里景一郎は、お姫様だっこをして彼女を軽々と抱き上げた。三十路前半の女の甘い匂いが田里の鼻の穴から侵入してくる。それが彼の股間の突起を維持させた。達子の顔は人妻には見えない。それはセックスレスが続いているためなのだ。
田里はチンコを勃起させたまま、達子夫人を寝室に運ぶ。寝室のドアノブは達子が握って開いたのだ。そこは六畳でピンクのカーテンが下がっていた。ドアの内部付近に電燈のスイッチがあるのを達子は指で押し上げる。ピカッ、と部屋は明るくなった。部屋の明かりとは照明によっても変わる。オールドな日本文学では、その当時の照明器具によって照らし出された灯りを元に空想されている。さて、2014/03/15現在、そんなに古い電燈はすでにメーカーは作らないのだ。
達子たち夫婦の寝室の灯りは、パナソニックのパルックプレミア蛍光灯のナチュラル色のものである。自然に明るい感じで部屋の隅々まで見えるので、古い日本文学に記述される部屋の照明とは進化したものがある。もちろん、このパルックプレミア蛍光灯も、やがて古いものになるだろう。その時は、この時代を表した文献にもなればと思う。
もう昭和の文学でさえ辟易するのは、当時の電気器具などのレベルの低さにも、よるところがあるはずだ。江戸時代の灯りなど原始生活から少し進歩した程度であろう。
現代の我々は進化した電燈を使っている。その電燈で部屋の隅まで自然、というのは昼の光だが、それに近い光線が部屋の中と達子の体を照らした。
男に横抱きに抱かれている達子の体の曲線は、淫らなカーブである。寝室の押入れの中から少しの隙間どころか、ご丁寧にもマジックミラーを襖の上半分にした内部から有池剛二は悠々と二人を見つめた。が、思わず息を呑む剛二だ。
それは妻の体が新鮮に見えるのだ。自分に向けた姿態とは違ういやらしさを部下の田里景一郎に見せている。その妻の体を見て、夫の剛二は久し振りに股間に血が行き始めるのを感じた。
田里は眼を丸めて、
「奥さん、明るいですよ。」
「いいのよ。わたし、見られるのが好きなの。」
田里は達子をダブルベッドに下ろした。緑色の掛け布団が白いベッドシーツの上に掛かっている。田里が、その緑の掛け布団に手を掛けると、達子は、
「いや、布団はかぶらなくてもいいわ。部屋は暖かいでしょ。」
なるほど部屋は夫の剛二がエアコン暖房を入れていた。
「本当ですね。なんか暑いくらいです。脱いで、いいですか。」
「どうぞ。ズボンの股間が破れそうだわ。早く脱いだら?」
達子の目は大学のミスコンテストで優勝した時のものになっている。田里の股間をじっと見た後、彼と同じように服を脱ぎ始めた。形のいい巨乳を包んだブラジャーが見え、それを後ろ手で外すと大きな果実のような乳房が現われる。
若い田里は達子より早く、全裸になっていた。それも男の方が身につけている下着も少ないから当然だ。
上を向いている田里の野太い長いキノコは、達子にとっては夫の他の二本目のものになるわけだが、思わず達子が涎を少し垂らしそうなほどの形状だ。
男が女の性器を見たがるように、実は女も男の性器に興味があるのだが、男の裸体の写真集が少ないことからも、それほどではないと思われるだろう。でもそれは、女性がハーレムを作らないのと同じ心理で、女は本質的に多くの男を求めないようにできている。昨今のアダルトビデオに見られる女一人に男二人以上というプレイは男性の眼から見ても不快きわまりないものだが、実は女の眼から見ても気持ちはよくないものだ。
多くの人間に見られたいアイドルといった女性であれば、多数の男性を受け入れる変態的身体といえるのだが、普通の女性はそうではない。現に今でも中東では、女性は夫以外には顔さえまともに見せない国もある。
達子も美人とはいえ、普通の女性だ。だから夫に命じられて田里との不倫を実行に移しているわけだ。もし、夫の剛二に言われなければ、こんな大胆な、でも最近はありふれた情事を決行しようとは思わなかったに違いない。
そんな慎み深さも達子の顔の美点として現われていたのだ。それが今、田里景一郎の隆々としたペニスを見て、一人の女、それは独身の時のような女の心に彼女を戻らせた。達子もまた、下着を脱ぎ終わると白いふくよかな裸体が田里の眼に映る。田里は彼女に近づくと、
「奥さんの体は天女のように綺麗ですね。」
と低い声で囁くと、
「恥ずかしいなあ。主人以外に裸を見せたのは、これが初めてよ。」
と告白して、顔を両手で覆った。
田里は、その姿勢のままの達子を左手は背中、右手はボリュームのある尻を抱いてベッドに倒した。柔らかい達子の体を感じながら、大学のミスを犯しているような気分になる。達子の白い太ももを右手で左右に大きく開かせると、田里は彼女の秘境に顔を近づけた。密生した黒い陰毛の下に形のいいピンクの割れ目があり、舌を這わせるとプクンと割れ目は口を開いた。その形は男の剛棒を受け入れたくてしょうがないという淫欲を表している。
「あああっ、燃えてきちゃうわっ。」
達子は悶えると、まんこを震わせた。ぷるるんっ、と震える達子のまんこの動きに田里はたまらなくなり、両手で体を上にずらせて、野太いキノコを口を開けた達子の縦の赤い口にズブリと差し込んで腰を沈めた。
「ああん、夫以外は初めてよ、いいっ。」
悶えた達子は口を開くと、赤い舌を出す。二人の裸の上半身と下半身は、みだらにも妖しく絡み合った。それは昼の光の中の光景として二人とも、そして夫の剛二には映った。
十分間、きまじめに田里は腰を浮かして沈めた。達子の膣肉はヒクヒクと動き始め、ついには強く締め付けたのだ。田里は顔色を変えると、
「奥さん、イキますっ。ああー。」
と情けない声を出すと、薄いゴムの中にたっぷりと白い巨液を出した。
小さくなる田里のキノコを達子の縦の淫口はまだ、しっかりと咥えていた。達子の形のいい白い美脚は両方の足首を田里の尻に巻きつけたままだ。
達子は愛おしそうに田里に口づけた。達子に舌を絡められて田里は少しずつキノコにふくらみを感じていく。チュッ、と音を立てて達子が唇を外すと田里は、
「奥さん、代えのコンドームが今はないんです。」
と慨嘆した。
達子は上気して赤い頬の顔を田里の小さいキノコに向けたまま、
「夫のがベッドの、ほら、ここに。」
と白い右腕を伸ばして引き出しの位置を示し、
「入ってるの。それを、つけて。」
と指示する。田里は心配そうに、
「いいんですか。奥さん。ご主人には指定のコンドームで、するように言われています。」
「わたしが許可するのぉ。おちんこ様が大きくなったら、早く入れてね。」
と命令的に話すと自分で形のいい白い乳房を揉む。
マジックミラーの中の夫の剛二は、はらはらとした。さっきは田里のペニスの根元まであるコンドームだったのだ。だから妻の達子の女の一番大事な秘肉は、田里のシンボルの肉の味を本当には知らない。それだから本当の浮気ではないと、剛二は思っている。でも自分の薄い短いコンドームを田里に付けられると、妻は田里のペニスを存分に味わうのだ。そうしたら妻は、田里の淫棒にのめりこむのではないか、という思いが剛二の脳内で炸裂した。
さっきは、妻の思う存分に乱れて、エロ映像も顔負けの恥態を我を忘れて食い入るように見て完全に勃起した時に田里は射精した。次は、どうなるのか・・・。

田里は、あっさりと、
「だめです、奥さん。」
と否定すると、パンツを履き始めた。達子は不満一杯に、
「わたしの体、つまらないかしら?」
ベッドから半身を起こして、聞く。
「いいえ、でも有池課長の指示通りに動かないと、熊本に飛ばされるんです。」
田里は手早く服を着ていった。マジックミラーの中の剛二課長は大満悦である。
ネクタイまで丁寧に締めた田里景一郎は、
「それでは奥さん、失礼します。玄関の鍵を閉めなくて大丈夫ですか?」
「閉じたら自動で閉まるから、気にしないで。」
「はい、さようなら。」
後ろを振り返らずに田里は出て行った。やがてガチャン、と鉄のドアの閉まる音が達子の耳に聞こえた。夫の剛二がマジックミラーの内側から出てくると、
「忠実な奴だな。おまえの乱れ方も、相当なものだ。満足したか?」
「しないわ。まだマンコが求めてるもの。」
剛二は歪んだ顔で笑うと、
「あいつは冷静だったが、おまえの会社の上司は、そうじゃないだろうよ。新薬開発部の部長は、まだ独身だそうだな。」
「何が言いたいのよ。」
「おまえの体なら、その部長を誘惑できるし、新薬の秘密のファイルも見せてくれるだろう。」
「そんな事・・・。」
「できるさ。自信を持てよ、今でも美人なんだよ、おまえは。」
その事は、同僚や後から入って来た新入女子社員も認める事だった。ストップ製薬には真面目な女子が多く、容貌も硬い感じの女性が多い。
「でも、新薬開発部になんて入った事ないんだもの。」
「自分の会社の中だろう。昼休みにでも探してみろよ。」
「そうね、そうする。」
その後にする事は、達子には分かっていた。

ホモ系男子

 二十四歳の青年、菊川浩二は盆休みとして、郷里の福岡市へ帰ってきている。福岡県の福岡市で、人口は、もうすぐ百五十万人だ。中心から西の早良区西新が、彼の実家「菊川酒店」が、ある場所だ。小さな川から西が西新で、一丁目の商店街の、十階建てのビルの一階に菊川酒店は、ある。そのビルは、菊川ビルという名称で菊川浩二の父、有正(ありまさ)が、先祖代々の貯金で建てたものだ。有正は居間で浩二に向かい合って座り、
「東京は、大変そうやね。地震とか、あるし。」
と何気なく聞くと、缶ビールのプルトップを引いて自分の口に当てる。
「ああ、そうだね。地震は、よく揺れるよ。」
この前の東日本大震災の時に、菊川浩二はAVの撮影中だった。それも女優の中に、勃起したものを入れた瞬間、いきなり地震がグラグラと来たのだ。撮影しているカメラマンが倒れたので、そのシーンは撮り直しになったため、公開はされなかった。
「おまえ、俳優やりよるらしいけど(やっているらしいけど)、まだテレビには出とらんのか(出ていないのか)。」
「なかなか、ね。俳優も多いからなー、今は。」
「それじゃあ、生活は、どうする。」
「アルバイトを、しているよ。」
「ふーん。だめになったら、秀行の手伝いば、せえ(手伝いをしろ)。」
秀行とは浩二の兄で、九州大学法学部を出た後、有名なビール会社に入社して、三年の勤務の後に退社後は、菊川酒店を継ぐべく仕事をしている。
「うん。兄さんは?」
「今日はな、商店街の集まりで、帰りは夜遅くなるとよ(夜遅くなるらしいよ)。」
 
博多駅から地下鉄で、西新駅まで、そう時間は、かからないが、渡辺通りの近くを通過する時、浩二は昔、通った空手道場を思い出した。その道場の名前は、研心流・空手総本部という。貸しビルの一階に、五十畳ほどの道場がある。エイヤッ、エイヤッと掛け声が、道行く人の耳にも聞こえてくるほどだ。館長の石垣(いしがき)・(・)島(しま)男(お)は、沖縄県出身で、父親の転勤の関係から小学校の時に福岡市に移り住み、高校卒業後は、ボディビルジムのトレーナーをしていたが、空手の全日本選手権で優勝してからは、そのボディビルのジムのオーナーの出資で、中央区渡辺通りに道場を開いた。石垣・島男の空手は父親からの一子相伝のものであった。その道場は最初、あまりにも過酷な訓練を、させたため、三日と持たずに、やめる者が続出したため、今では、その方法は採らずに、各人各様の稽古をつけている。館長の秘儀の一つに
「天井落とし」
なるものが、ある。これは三角とびを発展させたもので、まず壁にジャンプして両脚をつけると、それを蹴って天井に飛ぶ。天井に足を当てると、そこから真下の対戦相手に飛び込んで、手刀か正拳で一撃を決める。
もちろん、天井が低い場合に有効な技だ。体育館のようなところでは、これは使えない。渡辺通りの道場は天井が低いため、高弟達を集めて、その技を披露した。その時、相手を務めたのが、菊川浩二だ。館長が壁に飛んだのは見えたが、それからは浩二には館長の姿は見えなくなった。
「ここだ!菊川っ。」
と頭上で声が、突然したので見上げると、館長の二本の指は、浩二の両眼の一ミリ前で止まっていた。くるり、と空中で回転すると、床に館長は鮮やかに着地した。
「ああ、館長・・・お見事・・・。」
浩二は、それからは言葉は続かなかった。居合わせた高弟も皆、息を呑んでいた。石垣館長は、
「これも、秘儀の一つに、すぎない。他にも、まだ、あるのだ。」
「それを、見せてください!館長!」
皆は、異口同音に懇願したが、
「そのうちに、見せよう。」
と、静かに言い、館長は石垣島の海のように微笑んだ。
 
そんな、ある日、菊川浩二は館長に、稽古が終わった後、一人だけ呼ばれた。
「菊川くん、今日は別の秘儀を君に教えよう。では、館長室に行くぞ。」
「はいっ。おっす。」
二人は、道場内にドアのある館長室に入った。そこは六畳ほどで、机と椅子くらいしかない。その机の上から、館長はロープを取り出すと、浩二に渡した。そして、
「今から、私が全裸になるから、それで体を縛りなさい。」
と命じた。浩二は戸惑ったが、館長は空手着を上下とも脱ぎ、ブリーフも外すと全裸になった。筋骨逞しい上半身で、腹筋は三段に線が入っている。だらりと下がった男根は、それほど大きくもなかったが。
浩二が、眼を、そらせていると、
「何を、しておるか。早く、縛るのだ。」
「はいっ。おっす。」
浩二は急いで、館長を縛り始めた。館長は、両手を背中に回して、手首を、くっつけている。
「後ろ手に縛ってくれ。」
「おす。」
浩二は館長の手首を、ぐるぐると縛る。
「両脚も、だ。」
「おす。」
浩二が縛り終わると、館長は手足を動かし、
「よく縛れている。さて、」
と呟くと、机の上にある木の板を流し目で見ると、
「菊川、あの板を取って。」
「おす。」
浩二が板を持って来ると、
「こういう状態にすると、敵は必ず近づいてくる。なぶりものに、したい心境でな。そこで。」
そのとたん、館長の、いちもつ、は、ぐぐーん、という感じで、力強く勃起して上を向いた。その膨張率が、すごいものだ。浩二は注視して、しまった。
「このように勃起させれば、敵は、これに近づくし、手に握る奴も、おろう。その時に、だ。だが、おぬしの手は傷物に、したくないので、その板を私のペニスのすぐ横に、立てよ。」
「おす。」
浩二は、館長の勃起したもの、の横に板を当てた。
「それで、よし。手を動かすなよ。きえーいっ!」
怪鳥のような叫び声と共に、館長のペニスは横に振れて、板に当たると、パキンッと音がして、その板は真っ二つに折れた。浩二は、
「おおおおお。」
と感嘆の声を、大きく、あげた。さらに館長は、上半身を前に倒すと、ロープに自分の勃起したペニスを強く当てる、すると、それは、ぶつん、と切れた。
「これで、両脚は自由となった。これだけでも、闘えなければ、いかん。が、手は、ね。」
手首のところのロープに、親指をかけると、ぶちっ、と、それも切ってしまった。館長が、
「ふーーむ。」
と呼吸を整えると、館長のペニスは小さくなっていった。ニヤリ、とすると石垣は、
「これを、ナイフペニスの技といい、我が家系に、代々、伝わったものである。鍛錬法は、そのうち教えようと思う。私の代から秘伝は、なるべく公開していくから、楽しみに、な。」
「おす!」
浩二は思わず、その場に片膝を着いて、いたのだった。
 
その時、浩二の年齢は二十歳だった。先生が、自分を前に勃起させた事について、立膝のままで、
「このような場合、自分は勃起できるか、心配です。」
と、師匠を見上げながら尋ねると、
「なに、女の裸を思い浮かべるのだよ。」
「なるほど。しかし・・・。」
「しかし?」
「自分は空手に強くなりたいために、女と、つきあいませんでした。」
石垣島男は、ブリーフを履くと、
「今の技は勃起しないと、できない。女と、つきあわなくても、アダルトビデオを見れば、よい。」
「は。パソコンは持っています。光ファイバーで、見れます。」
「ならば、ダウンロードも早く、できる。DVDならネット通販で買えば、送料無料で、送ってもらえるぞ。今のパソコンにはDVDプレーヤーは、ついておるからの。実は、私も見ておるのだ。最近では、絵色千佳が、お気に入りだ。さっきは、な、絵色千佳を思い浮かべたのだよ。」
浩二はアダルトは、ちらちら、と見るだけだった。無料サンプル動画だけで、それ以上は見ていない。
「おす。先生、ぼくも勃起のため、DVDを見ます。」
「よろしい。やりなさい。ペニスに自信が、ついたら、報告する事。」
「おす。」
その日は、それで道場は終わりだった。確かに、浩二は中学、高校と空手に明け暮れていた。硬派な男性に女性は近づかない。特に武道関係は、そういえるだろう。最近、法廷で裁かれている柔道の男性も、相手は自分の近くにいる女子柔道部員のみを、相手にしている。浩二だけでなく、同じ空手部員も彼女が、いなかった。浩二の高校には女子空手部も、なかったし、女子柔道部も、なかった。おまけに男子校なので、女子高生を見ることすら、稀だったのだ。学校の空手の部活が終わると、研心流道場に地下鉄で通っていたのは、中学生からで、それで今では石垣館長の高弟の一人に、数えられるように、なっていたのだが、初恋の感情を覚える相手の女性とて、見回しても、いなかった。ただ、一年上の空手部の先輩に、憧れ、とも、つかぬ思いを持っていたのは、浩二は覚えている。その先輩は高校を卒業すると、東京のインターネット関連の会社に就職が決まって、福岡を去った。その先輩の名前を、見川毅(みかわ・つよし)という。その頃の、学校の春休みに、西新商店街で浩二は見川先輩と、ばったり出くわした。
「おす。見川先輩。」
と、挨拶して頭を下げる浩二に、鷹揚に、うなずくと見川は、
「おれ、東京にいくけん(行くから)、お別れかな。菊川。」
「えっ、そうでしたか。ぼく、その事を、知りませんでした。」
「うん。昨日、入社式から帰ってきたとよ(帰って来たんだ)。新宿で、あったったい(あったんだ)。」
「入社、おめでとう、ございます。」
「立ち話も、なんやけん(なんだから)、おれが、おごる。ラーメンを、食いに、いこう。」
「おす。ごちそうに、なります。」
すぐ近くの博多ラーメンの店に入ると、二人はテーブル席で、向かい合って座った。見川は店の主人に
「大盛りラーメンを、二つ。」
と注文すると、浩二の方に向き直り、
「それがくさ(それがね)、インターネット関連の会社よ。売り上げも急進中らしい。」
「すごいですね。ぼくも、その会社に入りたいな。」
「おまえは自分の店が、あるやないか(あるだろうが)。菊川酒店が。」
「でも、ぼくは次男だから、気にしなくても、いいんですよ。」
「そうか。まあ、おれ、メールするたい。おまえのメールアドレスば、教えれ(メールアドレスを教えろ)。」
浩二は携帯電話を取り出すと、メールアドレスを表示させ、見川先輩に見せた。見川は自分も、携帯電話を取り出し、
「なら、ここで送ろう。」
と言うと携帯を操作した。間もなく浩二の携帯に、着信メロディーが鳴った。見川は笑うと、
「見ろよ。メール。」
と促した。浩二がメールボックスを見ると、そこには見川のメールが入っていた。
「確かに、届きました。」
「うーん。便利たい。おれたちの小さい頃は、こげなもん(こんなもの)は、なかったもんね。」
「そうでしたね。」
その時、店主が大盛りラーメンを二つ両手に抱えて二人のテーブルに置いた。見川は、
「沢山、食べろよ、菊川。」
「はい。それでは、いただきます。」
二人は猛烈な勢いで、大盛りラーメンを食べると、見川は、
「替え玉しょうか?」
「はい。お願いします。」
見川は店主に向かって
「替え玉ふたつ。」
と注文した。それも軽く、たいらげると、見川から先に店を出た。外は道行く人も、まだ少なかった。買い物の時間帯では、なかったせいだ。見川は店を出て、少し歩くと立ち止まった。そして浩二の方に姿勢を向けると、右手を差し出して、
「しばし、の別れかな。」
浩二は無言で自分の右手で、見川の手を握った。見川は、握手している手を持ち上げて、自分の顔に近づけると、浩二の右手の甲に口づけた。浩二は、(あっ)と思った。先輩の舌まで、感じてしまったのだ。見川は手を離すと、
「なんか、連絡したい時に連絡くれよ。」
と話すと、浩二の歩いて行く方向とは逆の方へ、軽やかに歩いて行った。浩二より五センチ、背の高い先輩だった。
 
その時から、浩二は二十歳になるまで、見川先輩にメールを出した事は、なかった。又、先輩からメールが来る事も、なかった。浩二は見川先輩の事をホモではないか、と思ってしまったのだ。先輩の事を思い出す日もあったが、自分としては同性愛には興味は、なかったのだ。空手家として、それは、よくない事だ、とも思う。今日、石垣先生は研心流空手の秘儀を教えてくださった。あれを身につけるためには、勃起力が必要だ。そのためには、女の裸が必要なのであって、男の裸ではない。とは、いうものの、自分は石垣館長のヌードを見てしまった。が、やはり特に何も感じるものはなかった。それは自分が全く、正常な証拠だ。先生は絵色千佳が好きだそうだけど、自分は誰にしようかな。前から気になっていた「つぼみ」のDVDをネットで買うことにした。レンタルビデオなど、利用した事がない。借りて返すのが、面倒なのだ。二、三日すると、「つぼみ」のDVDが届いたので、自分の部屋でノートパソコンに入れて見た。つぼみがヌードになっただけで、浩二は、すぐに勃起した。頭の中が、ぼーっ、と、してきて、自分の右手で、ぐいぐい握ってみた。ノートの紙を引きちぎって、自分の勃起したペニスの横に当てて、それに反動をつけて、勃起したもので叩いてみたが、軽い音を、たてるだけで紙は破れなかった。その代わり、パソコンの画面から、つぼみの喘ぎ声が聞こえると浩二は、それに向かって射精してしまったのである。すぐに、浩二のペニスは萎えていった。
 高校を卒業して浩二は、薬局でアルバイトを募集していたので、そこで働く事にした。就職へ面接にも行ったが、面接で、
「君の、お父さんの職業は?」
と聞かれたので、
「酒屋を、やっています。」
と答えると、面接官は顔を顰(しか)めて、
「お店は、繁盛していますか。」
「ええ、西新にあるのですが、最近、店の周りに大型マンションが多くできまして、店に注文が増えています。」
「それは、とても結構です。採用の場合は、ご連絡します。今日は、どうも、お疲れ様でした。」
面接官は、興味のない眼を浩二に向けた。薄々、だめか、と浩二が予想していたように、その会社から連絡は、なかった。その会社、一社しか応募していなかったので、他の会社に応募する事も、できないまま三月の終わりになった。浩二はネットで、「福岡高額アルバイト」で検索すると、渡辺通りにある薬局で、募集していたのを見つけた。携帯で電話して、問い合わせると、
「ええ、まだ募集していますよ。」
との答えが、耳に返ってきた。
「ぼく、やってみたいんです、そちらのアルバイトを。」
「それじゃあ、面接に来てください。場所は渡辺通り・・・・。」
その店は、空手の研心流本部にも近かった。ただ、地下鉄の入り口とは反対のところに、あったため、気が、つかなかったのだ。浩二はその日の午後、西新から地下鉄で渡辺通りに向かった。地上に出てからは、電話で言われた通りに歩いて行くと、その薬局はあった。
漢方・黒光り
と看板には、ある。ピカピカのガラス扉を開けて入ると、五十歳くらいの、でっぷりと太った中背の男性が、
「いらっしゃい。面接に来た人ですね。」
「はい。菊川浩二と申します。」
「それじゃあ、こちらへ、どうぞ。」
店の奥にあるドアを開けて、店主は浩二を手招きした。その中は、接客用の部屋で、丸いガラスのテーブルに、ふかふかのクッションの白い椅子が四つあった。店主が右手で椅子を指して、
「そこに、気楽に腰掛けてね。」
「はい。」
二人は、正面から向き合う形で座った。履歴書をバッグの中から浩二が取り出すと、店主は、
「さあさあ、それを見せてください。」
と、声をかけると受け取り、
「ほう。特技は空手ですか。それは結構。うちはね、薬局といっても、主に精力剤の店なんですよ。貴方みたいな、逞しい男性は店に必要ですから、即、採用という事で。そうしましょう。」
「がんばります。なにも、わかりませんが、どうか、よろしくお願いします。」
「うん。アルバイトといっても、うちでは月に、三十万は出します。そのかわり、夜遅くまでの時も、ありますが、いいですか。」
「かまいません。何時まででも。」
「うん。夜遅くまでの時は、次の日は昼からで、いいからね。」
空手道場は、その時は朝、行けばいい。道場は朝早くから、あいている。という事で、浩二は、その店でアルバイトとして働き、かなり貯金も、してきたのだ。 
 その精力剤の薬局、「黒光り」で、平日の夜十一時頃に来た客は、ひょろりと痩せた老人だった。店内に一人立っていた浩二に、
「何か新しいものは、ないかね?精力剤だがね。」
と、穏やかに聞いた。
「これは、どうでしょう。」
浩二が、新入荷した精力剤の箱を出すと、その老人は、
「いいな。これを貰おうか。今までのものは、最近、効かなくってね。」
浩二は、(いい加減、歳だし、普通は、もう盆栽でも、いじって楽しむ歳だろう)と思いながらも、
「ありがとうございます。」
と礼を言って、白いビニールの袋に、それを入れて老人に手渡した。
「これは、いくらかな?」
「丁度、五万円です。」
驚くか、と思って浩二は、その客を見たが、老人は、些かも動じた所はなく、
「ほう、安いもんだな。はい、五万円。」
と、ポケットから蛇皮の財布を取り出して、ぎっしりと詰まっている一万円札を、五枚抜いて浩二に渡した。
「君は、ここでアルバイトかね。」
「ええ。就職が見つからなかったものですから、でも、ここのバイト料は、なかなか、いいですから。」
「そうだろうな。ここは今日、何時に終わる?」
「十二時までです。」
店の時計は、深夜十二時、五分前だった。老人は、それを見て
「あと五分だ。どうだ、これから、わしが、おごりでね、中洲のバーでも行こう。」
「はあ、・・・しかし・・・。」
「なに、つきあってもらうのだから、いくらか君に、小遣いをあげよう。」
金を貰えると知って、浩二の顔つきは、全く一変した。
「もう、あと二分ですけど、五分前には、帰る準備をしていいんです。あ、白根さん。」
店の奥から白衣を着た、三十代の薬剤師らしい男が出てきて、
「これは、舌川さん、いつも、大変お世話になっております。菊川君、帰っていいよ。」
「はい。お疲れ様です。このお客さんに、今から、おつきあいしますので、着替えたら店にもう一度、来ます。」
「ああ、そうかい。大事な、うちのお客様だから、粗相の、ないようにな。」
店の奥に消えて、少しして浩二は普段着に着替えて出てきた。舌川という老人は、
「それでは行くか。菊川君。」
「はい。喜んで、お供します。」
舌川を先頭に、黒光りを出た二人は、人通りの少ない道を歩き始める。九州最大の歓楽街、中洲は、そこから東へ百メートルほどだ。中洲に着くと、まだ人は大勢歩いていた。スナックなど飲み屋が、ほとんどの雑居ビルが立ち並ぶ、その中の一つのビルの最上階、といっても五階だが、そこに舌川は浩二を連れて行く。エレベーターで到着すると、
「いらっしゃいませ。舌川様。今日は、まあ、若いお客様ですか。」
「ああ、いつもの店の奥は、あいとるかね。(あいているかね)」
「はい。今日当たり、舌川様が、お見えになるのでは、と思い、空けておきました。さあ、どうぞ。」
ちょび髭を生やした、長身の黒服の男が店内に案内する。その店の中は、薄暗い光に照明は、されている。一番奥の、四人掛けのテーブルに舌川と浩二は座った。舌川老人は、
「ジンを持って来てくれ、君は?」
と浩二を見る。
「コーラで、いいですけど。」
「遠慮するなよ。ビールでも飲みなさい。おつまみは、適当にね。」
うやうやしく、バーテンの男は頭を下げた。その男がカウンターへ戻ると、舌川は話し始めた。その席は、周りには声が聞こえない作りになっている。
「君は服の上から見ても、いい体をしているな。何か武道でも、やっているようだが。」
「御目が高いですね。空手を少々やっています。」
「そうだろう、と思ったよ。わしの妻がね、空手をやっとるんだ。目付きが似ているし。その妻との夜の交渉が、最近、うまくいかんのだ。」
舌川は苦笑いした。浩二も苦笑いを浮かべそうになったが、こらえた。この老人の奥さんって・・・。
「三十なんだ、今年ね、うちのやつは。」
えっ、それで、と浩二は思う。
「わたしはね、今七十歳です。五年前に今の妻と結婚しましたけど、ここ何ヶ月か、夜の方は、大変、ご無沙汰となっている。君は、ガチムチ系だなあ。」
舌川は、感嘆の眼差しで浩二を見ている。
「ガチムチって、なんでしょうか。」
「いや、筋肉質という事ですよ。それで、精力剤を黒光りで、ここ最近、買っては試して妻と、その・・・ですけど、どれも、すぐ効かなくなってしまう、のですな。そこで、実はね、私はゲイの方も、いけるたちで・・昔、白人男性に、尻にペニスを入れられた時に、自分も勃起していた事が、あったのですよ。」
浩二は呆れた顔をした。舌川は、浩二の顔を舐めるように見ると、
「いや、呆れるのも、もっともです。でもね、今のわたしには、妻を満足させたい、という思いが、ありますから。どんな事でも、やってみたいという気持ちですよ。妻はフラストレーションを空手で発散していますが、乳首は立っているし、私は立たないし、で情けない思いをしていますな。」
「それで、ぼくに、そのう、何が、できるのですか?」
「まあ、一杯。やりたまえ。」
注文した酒類が、盆に載せられてきたので、舌川は浩二にビールを勧めた。大きな皿に、ピーナッツや枝豆、アーモンドが山盛りになっている。
「それでは、いただきます。」
浩二はジョッキに注がれたビールを、ごくごく、と飲み干す。舌川は手を打って、
「いい飲みっぷりだね、君。おつまみも、やってくださいよ。全部、今日は、私のおごりだから遠慮せずに、ね。」
「それでは、こちらも、いただきます。」
枝豆を、浩二が口に入れると、
「この後ね。私と一緒に春吉(はるよし)のラブホテルに、行ってもらいたい。」
「ええっ!」
浩二は、枝豆を喉に詰まらせた。
「そこで君に、私の尻にペニスを入れてもらいたいのですよ。」
浩二は、軽くはないショックを受けた。まさか、こんな話になるとは。
「まさか、ぼくの尻にも舌川さんの・・・。」
「いや、それは、ないです。私はネコですよ。つまり、受けるだけ。ちなみに私の妻は、おこげ、と呼ばれるんだな。」
「おこげ?」
「ゲイの妻の事です、おこげ、はね。ガチムチ系も、そういう用語だけど、君がゲイなら、私のような者を好きだとしたら、オケ専という。」
「オケ専?ですか。」
「ああ。棺おけに、足を突っ込んでいるような老人を好きな人を、そう、いうよ。他には、ジャニ系、ショタ系、くま系とか色々あるね。」
浩二はナイフペニスの技のためにも、やるか、と思った。酔いも回ってきているし、自分の菊門が犯されなければ、問題ないとも思う。でも、このじいさんで勃起するか、だね。舌川老人はジンを水で割って、ぐびぐび、飲んでいる。浩二の酔いの回った顔を見ると、
「どうですか、春吉?」
「ええ、お供します。」
「ああ、よかった。ただで、とは言いません。黒光りでも話したでしょう。お小遣いをあげる、と。」
浩二の目は爛爛(らんらん)と輝いた。春吉は中洲の近くにある。歩いても行ける距離にあって、ラブホテルも大きなものがある。中世ヨーロッパの城を思わせる建物があって、そこに舌川と浩二は歩いて入って行った。フロントは、二十代の若者二人が立っていたが、老人と若者の二人の姿を見ると、笑いを必死に、こらえた顔で、
「いらっしやいませ。」
と元気に、挨拶した。舌川は、
「おう、部屋は今、空いているかな。」
「はい、一番奥の部屋が空いております。」
「それじゃ、そこね。」
「かしこまりました。」
舌川が鍵を受け取り、その鍵にある部屋番号を見ると、
「菊川君、行こう。」
浩二は黙って、うなずいた。二人がフロントから見えなくなると、受付の一人は、
「ゲイだぜ、うちには初めてだ。」
「ああ。まさか、ハメ撮り、なわけないよね。」
「カメラらしきものは、持っていないようだったけど、最近はライター型のデジタルカメラもあるし、どこかに持っていたかもしれん。」
と小声で話し合っていた。
 
 部屋に入った二人は、その部屋の豪華さに驚いた。まるで、スイートルームみたい、だったのだ。舌川は、さっさと服を脱ぐと、すぐに全裸となった。しょぼん、となったペニスが見える。
「菊川君、君も全部脱ぐのです。」
「はい。」
「あ、忘れていたね。おこづかい。先に、あげとくよ。」
そう舌川は言うと、ソファに投げかけたズボンから、蛇皮の財布を取り出すと、札束を取り出して、浩二のところに来ると、同じく全裸になった浩二に、
「はい。おこづかい。前渡し、しておくよ。あとで忘れても、いけないから。」
裸の浩二は、それを受け取ると、それは五万円だった。
「こんなに、いただいても・・・。」
「何、君の男への筆おろしの謝礼さ。まさか、すでに誰か、男の尻の穴に入れた事が、あるのかね。」
「いえ、ありません。」
「そうか、よかった。男童貞、というべき状態だったのだね。まあ、大抵の男は、そうだろうけど。でも、日本でも戦国時代なんかは今よりも、もっと盛んだったみたいだよ。衆道とか、いってね。戦に女は連れて行けないじゃないか。だから、美少年とかを連れて行く。織田信長も森蘭丸とか、いたようだね。そうそう、ここで、わたしの日本史の独自の見方を君に話しておこう。というより、信長の最後についてだが。信長は明智光秀によって滅ぼされたのだが、この明智光秀は実は信長の、お気に入りだった事は、よく知られている。でも、実は明智光秀は信長の衆道の相手だったのではないか、と私は思っている。それを後年、美少年の森蘭丸に奪われたため、嫉妬に狂った明智光秀は本能寺を襲ったのではないか、というのが私の考えなんだけどね。はくしょん!冷えてきたな、すっぱだか、じゃな。」
成る程、と浩二は舌川の話を思っていたが、
「はくしょん!」
と同じく、クシャミをしてしまったのだ。舌川は、
「ベッドに上がろう。」
と言うと、ベッドに登って両膝を突いた。それから、両手を突いて、四つん這いになった。両膝の間を、ずずーっ、と開く。舌川の肛門が浩二の目に映った。顔を左側に、ずらして舌川は、
「菊川君。あ、そういえば、まだ、君の名前も聞いていなかったね。私の名前は舌川道夫という。君の名前をフルネームで頼む。」
「菊川浩二、といいます。」
「浩二君ね。これで、よし。こうしなければ、行きずりの男性と関係を持ったようでね。そこには愛が、ない。君も、わたしの姓名を知らずにケツの穴に突っ込んだんじゃあ、後味悪いだろ。」
(そうでも、ないですけど。)とは言えるわけもないので、
「ええ、もっともです。」
と答えると、
「早くベッドに上がって来て、わしの尻の穴に挿入してくれ。あ、このわたしの体じゃあ、たたないのも、当たり前だな。」
浩二はav女優の、つぼみ、のヌードを思い出した。すると、すこーんと、いちもつは膨らんで立ち上がった。
「いえ、大丈夫です。アダルトビデオの女優を思い出したら、立ちましたよ。」
「そうか。すまないね。」
「いえ。行きます。」
「おおとも。」
浩二はベッドに上がると、舌川道夫の腰に両手を当て、一気に挿入した。きつく締められる感じが、浩二の逸物(いちもつ)には、した。
「ううむ。すばらしく若々しいペニスだ。うん、感じてきた。よし、私も、たったぞお。」
舌川のモノも勃起していた。浩二は初体験だった。しかも、老人の尻の穴が、それだとは考えもしていなかったのだが。萎えかけそうになるのを、つぼみ、のセックスシーンを思い浮かべて、つぼみ、とセックスしている事を頭に思い浮かべた。つぼみの四つん這いの後背位のシーンを思い出していたのだ。
「よく、もっているね。少し動いてくれないか。」
「はい、やってみます。」
浩二は腰を振って、老人の尻に刺さったイチモツを動かしてみる。舌川は背を、のけぞらせて、
「ああお。いいなー、いい。もっと早く、やってくれよ。」
浩二は前にいるのが、つぼみ、であると思い込んだ。舌川の尻が痙攣すると、
「おおっ。」
という呻き声をあげて、舌川は射精した。浩二は射精せずに萎えていった。それを感じたのか、舌川は、「もういいよ。外して。」
「はい。ちんこ、外します。」
浩二は、萎えてしまったモノを抜いた。老人はベッドに腰掛けて、
「いやあ。実に久し振りだった。又、これを、お願いすると思う。近いうちにね。今度は・・・。いや。それは、その時、話そう。次は十万円あげるから。」
倍の報酬額に浩二の胸は、ときめいて、しまったのである。その日は、それで、そのラブホテルを出た。通りに出ると、舌川はタクシーを停めて、浩二に一万円札を渡すと、
「君の家は、どこかな。これで大抵、足りるはずだが。」
「西新です。こんなには、いらないと思いますけど。」
「いいよ。おつりは返さなくても。」
タクシーのドアが開いたので、浩二は乗り込んだ。舌川は右手を上げて、通りを歩き出した。
 
 研心空手本部にある日、一人の女性が現れた。十歳くらいの娘を連れている。その時間帯は石垣館長ひとりだったので、館長自ら応対に出た。
「やあ、いらっしゃい。うちに、入門ですか。」
「はい、あの。わたしではなく、この子なんですけど。」
と隣にいる目の大きな可愛い少女を、手で石垣に示すと、
「この子を入門させてください。」
「いいですとも。うちは、まだ少年少女が、いないので、わたしが指導します。」
「よろしく、お願いします。」
石垣館長は、その女性を鋭く見つめると、
「奥さんも、空手をされていますね。」
「まあ、おわかりですか。素晴らしい館長様ですわ。」
「御自身で教えられては、いかがかと思いますが。」
「それは、教えますけど、石垣先生のお噂は、よく聞きますから。素手で日本刀を叩き割ったとか、人差し指を氷の塊に突きこんだとか、お聞きしましたわ。」
石垣は、はにかむような表情をすると、
「いや、なに、それしき。秘儀は、もっとあります。例えばナイフペニ・・・いえ、とにかく色々ありまして。また、それがしも、まだ修行中の身では、あります。」
「まあ。ご謙遜ですね。それでは、娘をよろしくお願いします。今日からでは、早いのですか。」
「いえ、今からでも構いません。次からは空手着を娘さんに持たせてください。」
「そうします。わたしは見学させてもらいますけど、よろしいですか。」
「見学自由ですよ。さあ、お嬢ちゃん、上がりなさい。」
さっそく、立ち方から石垣館長は、その子に教えるのだった。
 
 この前の出来事は菊川浩二にとっては、大変ショッキングなものだった。あの日は少し酔っていたので、あまり気にせず帰って寝たのだが、初体験が男だったという男性は、どれほど、いるのだろうか。いや、しかし自分は射精しなかった。男との初体験で射精する男性とは。又、尻の穴を初体験する男性もいるはずだが、その時に射精されてしまうのか。などなどと考えてしまうのだが、実は、どうでもいい事なのかも知れない。何故なら、男性は女性ほど、そのような体験は重要ではないからだ。女性にとって性の初体験が重要であるのは、女性が処女膜というものを持っている事からもわかる。これに対して男性は童貞膜を持っているのでもないし、尻の穴に処女膜が、あるわけでもないのだ。だとしてみれば、全くの遊びだった、という事でもある。
 
 研心道場には浩二と同年齢より少し年上に江室教介(えむろきょうすけ)、という猛者がいる。が、入門は浩二の方が早かったため、あまり年上ぶらず気軽に浩二と話してくれる。それで、ある日、天神地下街の喫茶店で、浩二は江室教介に聞いてみた。因みに江室の蹴り技は、エムキックといわれている。
「江室さん、絵室さんの初体験って、どうだったんですか。」
絵室は、にやつくと、
「おれの、か。高校の保健室で保健室の女性教師と、ね。」
「場所は、その保健室ですか。」
「まさか。ラブホテルに行ったよ。もちろん、空手で怪我をして、その保健室に行ったのが、きっかけ、だったけどさ。」
「それで、その後は、その人とは、どうなっていったんですか。」
「一年ぐらい、月に一回、春吉のラブホテルに行ったけど、その費用は向こう持ちでね。ちゃんとコンドームは、つけさせられたよ。保険の先生だから。(笑)それから、高校卒業して就職した時に、その会社の受付の女性と恋に落ちて、天神をデートしている時に、その保険の先生とすれ違ってからは、連絡がなくなった。その受付の女性とは結婚して今に至る、さ。」
「じゃあ、ノン気ってことですね。」
「菊川、ゲイ用語を知っているのか。いや、おれも高校の時、空手部の部室で、部活終了後に二人きりになった後輩の尻に、入れてみた事は、あったよ。痛がってね、その後輩。あとで切れ痔になったとか、言ったから、それで、やめたけど。」
浩二は自分と同じ初体験を江室が、しているのかと思い、
「では、先輩の初体験も、男性が初めてなんですか。」
「いや、保健の先生が初めてだったよ。初体験も、というと何か、菊川は男が初めてだったのか。」
しまった、と浩二は思ったが、
「いえ、知り合いの人が、そういう話を、していたもんですから。」
「その人は、空手関係者?」
「いえ、違いますけど。」
「そうだろうな。空手をやっているなら、女とやる方が先だよ。そういう機会は自然と、できたね、おれの場合。」
絵室はガラスのテーブルに載ったクリームパフェを、がふがぶ、と食べ始めた。浩二は身を乗り出して、
「その後の、男との関係は、ないんですか。」
絵室は、パフェを口に入れたまま笑った。
「今のとこ、ないけど。最近、ゲイが、はやっているみたいだね。おれの会社の部長もゲイの噂がある。部長が机の上に携帯電話を置いて退社した後、若い女子社員が部長の携帯の、インターネットの方を見てみると、ゲイのサイトが、お気に入りに入れてあったらしい。」
「なるほど。会社の休み時間に見ているとか、かもしれませんねー。」
「そうそう。だから、部長が携帯電話を取り出して見ていると、笑いをこらえている社員が、いるんだ。」
「昔からゲイは身を助けるなんて、いいますけど。」
「それは芸者の芸だろう。」
「あ、そうでしたね。」
わいわい、がやがや、ざわざわ、とした店内では少し大声で喋っても、他の誰も聞くものはいない、天神の地下街の喫茶店だ。絵室は今日の会社での出来事を思い返していた。
 
「おい、絵室。少し営業成績が、落ちているぞ。」
部長は自分の机の前に、絵室教介を呼びつけて激しく叱責した。
「この不景気ですから・・・と、思います。」
「なにいー、いいわけを、するな。枕営業、という言葉を、知っとるか。」
「はあ、なんとなく・・・。」
部長は唇を歪めると、
「うちの取引先の会社の社長にな、筋肉質の男性が好きな方が、いるんだ。絵室君、君が営業部では一番筋骨逞しい、と思うがね。」
絵室は、腋の下に冷や汗を感じると、
「どういう、ことでしょうか。」
「わからんのかね。そういう、枕営業をしてこい、というのだよ。」
「はあ。」
「はあ、ではなくて、はい、だろう。」
「はい。いや、でも・・。」
「デモ、も自衛隊も、ないんだよ。今度の取引を、その社長と、うまくできたら君を係長に昇進させる。君の奥さんも喜ぶだろうな。」
絵室は、引くに引けないものを感じてしまった。
「はい、やらせて、いただきます!」
「そう。それで、よろしい。では、その社長には、すぐに連絡しておこう。」
というのが、今日の会社での話だった。
 
 次の日、絵室は室見川の河畔にある料亭に、その取引先の社長を接待する事になった。その男は五十代後半の、やせて筋張った感じのする、いかにも経営者といった風貌の人物だった。個室のような和風の部屋で、鍋を間に絵室と、その社長は向き合って座布団に座った。絵室は深く頭を下げると、
「営業一課の絵室と申します。よろしく、お願いします。」
と挨拶して、背広のポケットの名刺入れから、自分の名刺を取り出して、両手で持って渡した。

棒イズLOVE

 2012年はシャインニング事務所にとっては、あまりいい年ではなかった。美少年や好青年をプロデュースして有名なこの事務所も、突然の横槍のような大量の女性に仕事を取られていったからだ。それはあのAKBであった。インターネットに企業の広告はテレビから移りつつあり、テレビの視聴率の悪さも相まって制作費のカットが行われている。そのためにシャインニング事務所に入る収入も激減した。渋谷の事務所の一室でスウッチスウイッチのメンバーの一人、ヨウは悩める顔をして、
「おれたちもう、来年当たりは解散しなきゃいけないかもな。」
と呟くように漏らすと、メンバーのもう一人のホウは、
「来年までAKBが持つならという事さ。そのうちあの姉ちゃんたちに飽きれば、番組に穴があく。そうしたら、おれたちの出番さ。」
メンバーを盛り上げるべく話すと、最後のメンバーのケイは、
「今年、深夜番組限定で『日本に三つだけの棒』を歌ったけど、あれ、ゲイの人達に受けたらしいよ。」
 ナンバーワンになりたいな♪貴女だけのものの素敵な棒に♪というフレーズで始まるこの曲も例のAKBに押されてか、十万枚のヒットにとどまった。棒というのが明らかに男性性器を指していると思われるため、テレビ局もためらったのだが、視聴率低迷打破のためにスポンサーに了解を取ると、アダルトビデオ会社もスポンサーだったその番組でのみスウッチスウイッチに歌わせる事を許したのだった。結果として、これを見ていたゲイ方面の人達にウケたので十万は売れたらしい。何故わかるかというと現在はブログ花盛りのために自分はゲイだと公言している人達がブログで、この曲を買ったとか、素敵だとか書いているためである。全く有名でない人たちなのでステルスとかヤラセといった事もなく、当節は有名人より有名でない人の口コミが確かだとは企業の人達も自覚しつつはある2012年ではあるのだ。
 スウッチスウイッチは洋介、方輔、慶介の三人グループで、名前の頭文字を取ってヨウホウケイと呼ばれる事もある。シャイニング事務所の稼ぎ頭ではある。渋谷の街を歩いていると、彼らをよく思ってない若い男性から、
「よう、包茎!三人揃ってらあ。みんな皮かむってんじゃねえの。」
と声を掛けられた事もあった。そんな時でも三人は事務所の社長、シャイニング歌川に教えられている通りに笑顔でその場を行き過ぎるのだった。
事務所に帰ってから、メンバーは口々に、
「おれたちを包茎なんていいやがって。」
「頭くるよな。あいつ、バキバキに殴り倒したかった。」
「でもさ、やっぱ、あたってるかも、っておれ、仮性包茎だから。」
他の二人もうなだれると、
「おれもそうだ。」
「おれもね。」
「でもさ、日本人は結構、仮性包茎多いじゃん。だから、気にしなくてもいいんじゃん。あの野郎も包茎だぜ、きっと。」
他の二人も怒りの収まった顔をした。関西にもシャイニング事務所の手がけるアイドルグループはあって、彼らを関西シャインニングの略で関シャイと呼ばれていた。そのうちの一つが、キンキンモッズだ。彼らも含めてシャイニング事務所のアイドルグループの売り上げは落ちてた。何故かというとテレビに出ることが少なくなったからだ。もともと彼らは歌唱力などあまりない。歌って踊って芝居もする。重要なのはルックス、つまり外見なのだ。そういう美少年をシャイニング事務所の社長、シャイニング歌川は集めるようにスカウトマンにも指示していた。
だから、テレビで顔を見せ、踊らせて歌わせる。すると、それを見た彼氏のいない女が熱狂してファンになるという作戦だったのだ。これまでのテレビ全盛時代にはこの戦法は通用したのだが、最近テレビを見ない若い女性も増えてきたため、スウッチスウイッチさえ知らないギャルもいるようになった。歌川は事務所の社長室でスウッチスウイッチのメンバーを前にして社長の机の椅子に座ったまま、
「ユーたちもね、もっとがんばらないと解散してもらうかもよ。」
と嘆きを込めた声で話す。三人は社長の前に立っている。ヨウは身を前に乗り出すと、
「社長、おれ、がんばりまっす。派遣で働いていたおれを、ここまでにしてくれたのは社長っすから。」
「うーむ。何か手を考えないといけないのよねー。そうしないと・・・。」
歌川は遠い昔の若い頃を追想していた。歌川は十八までアメリカのロサンジェルスで育った。父親は何と僧侶だったのだ。彼は次男に愛無(あいむ)と名前を付けた。仏教では愛のようなものは愛欲であり、それは虚無であると教えている。父の正無(せいむ)は息子に立派な僧侶になってほしかったのだ。歌川正無は奈良県に生まれ、京都に父親が仕事の関係で移転したので小学校三年生から京都で育った。父が仏壇店を開いていたので、店にも自宅にも僧侶が来る事が多かったのだが、そのうちの一人の僧に正無は見そめられて出家した。正無が十八の歳だ。高校卒業するとすぐにその宗派で修行し、戦後間もないアメリカのロサンゼルスに渡り、その密教系の寺院で副住職となった時に住職の勧めで日本からアメリカに留学に来て大学卒業後はロサンゼルスの一流企業で働いていた女性とお見合い結婚した。シャイニング歌川が生まれたのはそれから三年後だった。
 彼は次男とはいえ、仏教で育てられた。それで女への執着を断ち切る事を教えられたのだ。父は、こう語った。
「おまえの兄はな、この歌川家を継ぐ為に子をもうけることになるだろうが、愛無。おまえには、その必要はない。よってもしも女への愛欲、性欲が生じたら男に向けなさい。」
歌川愛無、十八歳の時の事である。愛無は静かに、
「はい、わかりました。」
と答えた。けれど愛無はすでにハイスクールで三年の初めに高校のトイレで白人の同級生、サミュエル、通称サミーの尻の穴に勃起したものを突入させていた。愛無の頭の中には女体を否定する仏教の教えでいっぱいだった。十五の歳には仏教の観法の一つで女の体に対する執着を断ち切る方法を実践させられていた。それは、女の体は汚いものであると認識するために女の体の中、下腹の中には糞がつまっている状態を想像するのだ。それをしばらく実践していると愛無の頭の中にはどんな美人と呼ばれる女性にも、下腹の中を自動的に浮かばせている。すると愛無は嫌悪感でいっぱいとなり、白人女性の天使のような彫りの深い美人の同級生にも不快感を覚えるのだった。
 そのうち愛無は日本に家族と共に奈良へ帰ったが、経済成長を続ける当時の日本の姿に、
「父さん、ぼく金儲けがしたい。このまま、奈良にいてもそんなにお金を手にできないよ。東京に行きたいんだ。」
正無は、おもむろにうなずくと、
「そうだな。おまえは僧侶にならなくていい。ただ、女人不犯だけを守ってくれたらなと思うよ。父さんやおまえの兄さんには、それができなかった。寺を守るために子供を作ってしまったけどね。だから愛無、やれたらやってくれよ。社会人になるのだから無理にとは言わないけど。」
愛無は父の懇願するような希望の目の色を見ると、
「やるよ。父さん、女人不犯だけは守るさ。おれ、自分の周りには男を集めて仕事するよ。あの観法で結構女に嫌悪感を感じ続けているから。」
正無の目が輝きで一杯になって、
「そうか、そうか。それでいい。おまえにはうちの宗派のトップになれる資質があるんだが、でも実業家となって日本に貢献するのもまた、いい事だよ。」
父は愛無の尻に手を回すと、ぐっと尻の肉を掴んで捻った。そして、
「よし、いい尻だ。男の尻の穴こそ、本当の快楽の源だよ。女の膣より締まりもいいしなあ。江戸時代以前の僧侶は大抵、結婚しなかったんだ。それは男の尻の穴のよさを知っていたからかもしらんな。」
 愛無は東京に出て少年たちにサッカーを教えた。その頃はサッカーをやる人間はほとんどいなかったので、初めて覚えるスポーツに集まった少年たちは熱狂した。この少年の中から三人を選んで歌手にさせたのがシャイニング事務所の始まりだった。・・・・・・
 
「社長。踊りの指導をお願いします。」
ホウが長髪を斜め後に払うと声をかけてきた。歌川愛無は、はっと追想から醒めて、
「敬語は使わなくていいって、言ったろ。ユーたちとミーは垣根は作らない。」
「はい。じゃあ、踊り教えてよ。シャイニングさん。」
「よし、と。それじゃあね。まず、みんな裸になって。」
三人は戸惑ったが、すぐに全裸になった。さすがにイチモツを三人とも両手で隠している。歌川はすぐに、
「何もミーの前で恥ずかしがらなくてもいいよ。ユーたち、両手はどけちゃいなよう。」
三人は笑顔で全裸の両手を外した。フランクフルトソーセージみたいなのが三本、三人の股間にぶらさがっている。歌川はその三本をジーっと見ると、おいしそうな顔をした。
「じゃあね、縦一列になって。前の人の肩に両手を置いて。」
三人は、ヨウ、ホウ、ケイの順に縦一列に並び両肩に両手を置いた。最前列のヨウは前がいないので両手を肩の高さまで持ってきて宙に浮かせている。歌川は、
「よし。そのまま、小走りに円を描いていくように動く。」
三人はその姿勢のまま小走りに動いた。ソーセージは、ぶるんぶるんと動いている。
「よし、止まって。止まったら、後ろの二人は前の人の尻にチンコをくっつける。」
三人は同時に、
「ええーっ?」
と驚きの声をあげた。歌川はいらつくように、
「やれといったら、やるんだよ、ユーたち、日本語わかるだろ。」
照れ臭そうにホウとケイは前のメンバーの尻に平常時のチンコを、くっつけた。歌川はそれを見ると満足そうに、
「おや、ヨウ君、立ってるじゃない。」
先頭のヨウのペニスはギンギンに勃起していた。ヨウは顔を真っ赤ににすると、
「社長、恥ずかしいっす。でも、感じちゃって。」
歌川は励ますように、
「恥ずかしい事じゃないさ。あ、ホウもケイも立っちゃったね。ユーたち、反応いいよ。若いんだから。」
それから両手をぐるりと回すと、
「さあ、前の人にチンコ入れちゃいなよう。さあ、すぐ。」
ホウとケイは前の仲間の尻の穴にグイと勃起ちんこを挿入した。
「あっ。」
「ああーっ。」
とヨウとホウは情けないような声を上げた。歌川はノリのいい感じで、
「よし、ホウ、ケイ。腰を振っちゃいなよう。」
絶対的存在である歌川にホウとケイは従った。
「うわああ。」
「げえええ。」
ヨウとホウの顔は快感と苦痛に歪んでいる。社長室のドアが開くと二人の若者が入ってきた。三人の姿を見ると、
「うわあああ。社長、なんですか、これ。いや、なに、これ。」
「おう、キンキンモッズか。スイッチは踊りの練習中だよ。」
「なんや、えらい、おもろいわ。」
キンキンキッズのコウが感心している。歌川は、
「君たちも、そのうちこれをやるんだ。いいね。」
と、さりげなく語るとキンキンモッズのソウイチは、
「河本(こうもと)兄弟っていわれてますけど、本当は兄弟ちゃいますし。芸のためならゲイもやります。」
と関西のイントネーションで、しっかりと答えた。スイッチのメンバーは合体したまま踊っていたが、キンキンモッズに気づくと膨れ上がったモノは小さくなった。歌川は萎えたのを察して、
「キンキンモッズぐらいで小さくなったら駄目だねー。今度の武道館のコンサートで今の踊りをユーたちに、やってもらう。」
ホウは恥ずかしそうに、はにかむと、
「舞台じゃ裸ではしないでしょ?シャイニングさん。」
「ああ、もちろんよ。ただ、ちんこは立てたほうがいい。」
ヨウ、ホウ、ケイの三人は眼を丸くした。ホウ、ケイの二人のちんこは前のメンバーの尻に入ったままだ。歌川は続けて、
「女のファンしかユーたちには、いないよ。彼女たちの目的はユーたちのチンコを見るために来てるんだからさ。これは、ミーが今までのユーたちの公演で女性ファンの視線の動きを観察していて分ったことなのよ。」
歌川は室内にある大きなプロジェクターに繋がっているスイッチを押した。するとスイッチスイッチのメンバーの東京ドームでのコンサート風景が映し出された。これは非公開のものであるらしく、画面がブレたりとか素人っぽい映像だが歌川は、
「ミーが舞台の袖から隠れて撮ったのよ。前列の女性ファンの目の動きを見ちゃいなよう。」
カメラは、かぶりつきの席のあたりの女子の目の動きを捉えた。その方向を追う様にカメラが動くと、そこには三人の股間に焦点が合っていた。フェラチオしたそうな眼つきでズボンの前を見ていた。歌川は誇らしく、
「ファンはね、ユーたちの歌なんか聞いてないよ。踊りを見て股間を見る。そのために高い入場料を払うんだ。CDのジャケットにユーたちの薄着の写真を入れなければ売り上げはゼロになると思う。」
スイッチのメンバーは肩を、いっせいに落とした。その瞬間、二人のちんこは前のメンバーの尻から外れた。
「うん?」
「あっ。」
尻の穴から抜けたペニスの感触で二人は声を上げた。歌川はそのふたつのちんこを見て、
「武道館ではユーたち、ちんこを立てちゃいなよう。ふくらんでたら喜ぶよ、ファンは。」
ケイは裸のままで社長に向くと、
「武道館まで訓練します。でも社長、おれたちインターネットでも、もっとアピールしたらと思いま、いや、思うけど。」
歌川は首を横に振って、
「だめなんだ、それは。インターネットではテレビの画面より小さな画面になるから、ユーたちは魅力を出せないのよ。動画共有サイトでもあまり見られてなかったから、やめたんだ。ユーたちがウケルのはユーたちが独身で彼女がいないから。彼女が出来次第、彼女たちファンは逃げてしまう。だから、これからも彼女禁止ね。守ってる?ユーたち。」
裸の三人とキンキンモッズは気を付けの姿勢になって、
「はい。シャイニングさん、おれたち彼女一人もいません。」
と声を揃えて応答した。歌川は満足気な表情で、
「もし、彼女が欲しくなったらすぐにミーに言うんだ。移動中でも車の中でホモしてあげられるからさ。五人ともみんな女の前にミーに尻の穴を埋められたろ。女が欲しくなったら、今度はミーが尻の穴をあげるからさ。そうすれば、すっきりするよ。」

ゲイ!ゲイ!ゲイ!

 薔薇田迎児(ばらだ・げいじ)は二十四歳の男子だ。身長170で体重が90キロ、胸囲100センチ、見るからに逆三角形のマッチョマンだ。浅黒い肌に鼻の下だけヒゲを生やしている。空手が特技であるけど、福岡市の地方公務員をしている。家が代々、公務員の家系、しかも福岡市の地方公務員なのだ。
薔薇田家の長男で、下には妹が一人。妹はスカイマークの客室乗務員でミニスカートを履いて勤務している。
公務員はキッチリ、五時に帰れるので薔薇田迎児は暇をもてあましていたが、ある遊びに目覚めてからは充実した日々を送っている。
その遊びとは、帰宅している男子高校生、多くは自転車に乗って家に帰っている男子高生に、
「おい、君。」
と呼びかけるのだ。タクシーを呼び止めるように右手を高く上げて、自転車に乗って足を動かせているスポーツのクラブ活動を終わったような男子に声を掛けるのだ。
「は、はい。ぼくですか?」
戸惑ったように高校生は答えた。迎児は、
「そうだ。君だ。自転車など漕いでいるけど、お金、欲しくないか?」
「ほしいですよ、それは。でも、高校三年生で十八になったばっかりだから、バイトはないし。」
と答えた男子に迎児は笑顔で、
「はっ、はっ、はっ。普通は、なかなか、ないよな。だから僕が募集するのだよ。」
「えっ、バイトさせてくれるんですか、うれしいな。」
「よし。やる気だね。場所は、あそこの公園の中だよ。」
「掃除か、なにかですか?」
「そうだねー、綺麗に拭き取ってくれたらいい。」
「なら、やりますよ。自転車、ゆっくり漕ぎます。」
「そうだ。行こうか。」
二人は陽が落ちて暗い夜道を微かに明るい公園に向った。広めの土地だが誰もいないし、便所が男女に分かれてある。
薄暗い中を二人は公園の入り口に到達した。自転車を停めた少年に迎児は、
「便所に行こう。」
と優しく、ゆっくりと誘いかけた。
「あ、もしかして便所掃除ですか?」
暗い空間で少年の目は猫のように光った。迎児は余裕綽々と首を軽く前に振ると、
「まあ、そうだな。出るもの所構わずとか、いうだろ?」
「はあ。ま、お金がもらえれば、いいです。」
少年は迎児より少し先を運動靴も軽やかに滑らせて、結構モダンな公園の便所に歩いて行った。星降るなどという形容詞は、一体何処の田舎を叙述しているのかは今日、解明されるものではないが今日の福岡市でそのような夜など、原始時代に逆戻りしない限り見ることはできない景観であるだろう。やはり、排気ガスは規制しても微量に空間を上昇する。よって人口百五十万人の都市における夜空は、かつての日本でおこなわれた月見などという古雅な催し物など何人たりとも行い得ない状況を現出しているのであり、自然そのものを楽に享楽しえた時代は既に遠く記憶の彼方でさえ見出しえないものとなり、テレビからパソコンの動画へと移行しつつある現代において旧石器時代の人類のようなテレビ人間の夜の行いとしてさえ月見は敢行しようとするものは、いないのである。
それ故に夜の公園など人影は薔薇田迎児と少年だけであった。少年は男子専用の便所をひとわたり眺め渡すと、
「掃除する用具が、ないっすよ。」
と迎児に報告するかのような口調で話しかけた。迎児は筋骨逞しき両腕を組むと、
「馬鹿だなあ。君の体で掃除するんだ。」
「へ?どうやって、ですか?」
迎児は少年に近づくと高校の制服の白いシャツの上半身を抱きしめ、すばやく顔を少し下に下降させ、少年の唇を奪った。その味は、魚肉ソーセージのような味だ。迎児は唇を擦り付けて、男子高校生の口を堪能した。意外にも、その高校生は迎児に抵抗しなかった。迎児はキスを続けながら、右手を高校生の肩から背中、そして黒い長ズボンの尻に到達させた。男の尻とはいえ、まだ高校生なので幾分の柔らかみが残存して、むず、と掴むと高校生は、
あ、よさそうだ
と感じた顔をした。すでに迎児の男根は半分硬直していた。この事実こそ、すべての女性の儚い幻想をあざ笑うものなのである。すなわち、男って自分を愛しているからチンポを立てるんだ、という傑作な夢想の事である。きっと白馬に乗った王子様が夜中にやってきて、自分の寝ている前に立ち、チンコも立ててくれるという夢想もしばしば、しつつ夜毎オナニーに耽っている肉食系女子の諸君、諸君等は現実を見極める必要がある。迎児の初体験は十六の歳にソープランド嬢と、であるからだ。
迎児の右手は高校生の股間に伸び、小さなテントを張っているのを確認した。唇を外すと迎児は、
「おまえ、クラブ活動は何をしている?」
と高校生を少し見下ろしつつ尋ねると、
「剣道です。・・・。」
と俯き加減で答えた。彼の目は迎児の股間を見ていたのだ。そこは、ものすごく膨れ上がっていた。まるで、大きなシャモジがズボンの中に入っているように。
「ほう。剣道とは又、いいな。スポーツというより武道というものだ。そこでだ、ズボンのチャックを降ろして、パンツからチンコを出してみろ。」
「ええっ?恥ずかしいな。」
「恥ずかしいものではない。女にも、いずれ見せるんだ。首相だって、プライベートでは夫人にチンコ見せたり、多分、しゃぶらせたりもするだろう。それでもな、選挙運動の時は、女房に毎晩チンポしゃぶらせてますので、どうか一票お願いします、なんて言うわけがないんだ。だからな、おまえが明日、学校に行ったからといって、同級生の誰にも今の事を話す必要はない。わかるだろ?」
「はい。よくわかります。学校の先生よりも分かりやすい話ですね。」
「なら、すぐにチンポ出せよ。」
「はい、今すぐに出します。」
高校生は制服の黒いズボンから白いパンツの切れ込みより、硬くなりかかった陰茎を出して見せた。それはまだ発育途中のもので、やや黒ずんでいた。迎児は、
「ほう。なかなかだな。それでは、おれのを見せよう。」
迎児の私服のクリーム色のズボンの股間から巨大な陰茎が現れた。キノコかと思うほど、亀頭がデカい。迎児は、そのデカブツを高校生の半立ち陰茎に軽く当てて剣道の鍔迫り合いみたいに陰茎同士を交えた。すると途端に高校生の陰茎は、しなびたのだ。迎児は、
「おや、もう萎えたね。」
「はい。あなたのモノがあまりにも偉大だから。」
「ハッハッハッ。そんな遠慮はしなくていい。チンコ剣道を教えてやろうかと思っていたのに・・・。」
「そのうち、教えてください。でも、今は駅弁で僕を抱いてほしいです。」
と高校生は迎児を見上げて告白する。
「ああ。いいよ。尻の穴は初めてかね?」
「いいえ。剣道部の顧問の先生に犯されました。」
「高校の先生か?」
「はい。ぼくの高校には武道場があるんですが、顧問が或る日、
『剣下(けんした)、今年の新人では、おまえが一番見どころがある。先生が特に稽古をつけてやるから、終わった後も残っていなさい。』
と言いました。先生は四十代で独身の大男で腕は丸太のようなんです。おまけに、その腕には毛がいっぱい生えていて、なにか動物の手のような感じです。先生は、いつも見ているだけで時々、防具をつけずに防具をつけた三年生と稽古します。当たったら竹刀でも相当痛いと思いますが、先生は三年生でも素面、小手なしで一本を取るんです。」
迎児の肉棒はまだ、そそり立っている。夜風が吹いて迎児は自分の陰茎を心地よく感じた。高校生の剣下のモノは、かなり小さくなっていた。迎児は目で話の続きを促した。剣下はパンツからチンコを出したまま、
「先生の言いつけどおり、みんなが帰った後も剣道の防具をつけたまま道場に立っていると、顧問の先生が僕に近づいてきて、
『剣下、防具をつけたまま、四つん這いになって尻を高く突き出せ。』
と命じました。ぼくは、すぐにその場で四つん這いになって尻をできるだけ上に上げたんです。すると先生は袴の中から勃起している巨大なソーセージを右手で掴んで中腰になり、ぼくの目の前に松茸のような亀頭を突き出すと、
『剣下、おれのものをしゃぶれ。』
と悠然と命じました。ぼくは口を開いて先生の肉茎の亀頭を口に含むと、それは男性の匂いに満ちていたし、あまりこんなこと、普通の男子高校生はしないだろうな、と思いました。変態、のように考えられているけど、でも、女のオマンコを舐めるのだって、似たようなものじゃないですか。
ぼくは一週間前、剣道部の三年生の女子の主将のオマンコを舐めさせられましたから。そしたら今度は顧問の先生の匂いの強いチンコでしょう?先生は、
「おお、うん。おまえの舌使いは中々良さそうだな。女のマンコをもう、舐めたような動きが出来るんじゃないのか。おれの亀頭を舌で色々な角度から、舐めろ。」
ぼくは先生の言ったとおりに自分の舌を動かしてみました。先輩の三年生、十八歳女子のマンコを舐めるのを思い出して。すると先生は、
「おおっ、たまらん。いきそうになる。この前、行った中洲のソープの女のオマンコを思い出すな。このままでは、おまえの口の中で射精しそうだよ。引き抜くからな。」
すぽっ、と音を立てて先生は僕の口から大きなフランクフルトソーセージを抜いたんです。それからススッ、と剣道の足捌きで僕の背後に回りました。
後ろから先生の声がします。
「剣下、アナル処女ってあるけどさ。おまえはまだ、アナル童貞、いやアナル処男(しょお)かな、しょだんとも読めるし、これから剣道初段にしてやるけど、上達のコツを教える。」
ぼくは何か嬉しかったです。剣道は好きで入部しましたから。
「剣下、パンツを脱いで袴をまくり、尻を突き出しなさい。そのあとで、又、四つん這いになれ。」
(へ、それが剣道の上達と何の関係があるのか)
とぼくは思いましたけど、なるべく早く言われたとおりにしました。突き出された僕の尻を見て先生は、
「おう、なかなかの尻だ。こうするんだよ、めーん!」
裂ぱくの気合とともに、先生の巨根は面打ちのように僕の尻を打ちました。それは男の肉と肉が、激しく打ち合う音だったのです。ばちん、と。
先生の声が、
「どおーっ。」
と気合をかけると、ぼくの右側の尻が先生の巨根で打たれました。息つく暇もなく、ぱしーっ、と次にぼくの左側の尻が肉の衝撃を感じて、両側の尻が先生に打撃されました。
(次は、あそこにくる!)
ぼくは思ったんですが、先生は四つん這いになって右手を道場の板についているぼくの、その右手に屈みこんで、
「こてーっ!」
と気合をかけて、ぼくの右手首を自分の勃起したチンコで打ちました。ぼくは、その痛さに、
「ああっ、痛い。」
と声をあげてしまいましたが、先生は、
「自分のチンポも、こうやって武器になるんだ。剣聖・宮本武蔵は養子の伊織の尻を使って晩年、剣の練習をしたらしい。それが、今のやり方なのだよ。」
「宮本武蔵って二刀流の武蔵ですか?」
「そう。生涯、試合で負けなかったというが、新たな剣を求めていたのだな。それが、つまるところ自分のチンコが剣になると武蔵は気づいたらしいね。」
「そんな話、初めて聞きました。」
「そうだろうな。何せ、秘伝なのだよ。一子相伝として伝わってきた。たまたま、熊本で教師をしていた時、家庭訪問に行った家が、その天心無一二刀流とう正伝の武蔵の伝えた剣法の家であったということだ。
ぼくもね、大学生剣道日本一とかになって、卒業してすぐの頃だから、その宮本破天斎先生も、僕の事を知っていて、
「あなたには見込みがあるから、武蔵の秘伝を教えましょう。」
と言われた。それで道場に連れて行かれて、今の君みたいに四つん這いになって尻を出したんだ。その最初の教えが、それだ。」
「そんなに貴重なものなのですか。」
「ああ、それは金を取られなかったが、結局秘伝伝授料は一千万円だった。五百万円は親父に出してもらって、あとはローンで払ったけどね。」
「ひえーっ。そんなに高いんですね。」
「そんなものだろう。武蔵は大刀を使うのが得意で、二刀を持てるのも武蔵ぐらいの腕力がないと出来るしろものではないね、二刀流は。
何せ、佐々木小次郎との試合では舟を漕ぐ櫂を削って木刀にしたという逸話の持ち主だ。
その武蔵が晩年、考えたのが、もし、素手の時、敵に襲われたらどうするかということだったのだ。答えは自分のチンコを使う、という結論だった。どうも、晩年の武蔵は巨根に自分のチンコを改造するのに熱中したらしい。そのために熊本城下の少年の尻の穴を利用していたという肥後の密談もある。昔の武士はよく少年の尻の穴を使って満足した。というのも、戦となると女を連れて行けないだろう。だから、殿様の中には、お気に入りの少年、しかも美少年を侍らせていたのは周知の事実なのだよ。
織田信長は森蘭丸の尻の穴を使っていただろうし、豊臣秀吉も一度くらい、自分の尻の穴で主君、信長に奉仕しただろうね。豊臣秀吉には信長の冷たくなった草履を自分の懐で温めていた、という有名な話があるけど、その続きは知られていない。信長は、
「猿、あっぱれなやつじゃ。だが、わしの体も冷えておる。」
「殿、それは何処でござりますか。」
と秀吉は問い返した。信長は笑って、
「わしのチンコじゃよ。最近、いい稚児が見つからんでな。」
「ははーっ。殿、よろしければ秀吉の尻を、お使いくださりませ。」
「よし、顔は猿のおまえじゃが、尻の穴は締るやもしれぬ。次の戦で勝ったら、その国は、そちのものじゃ。寝床に参れ。」
「ははーっ、殿。ありがたき幸せ。」
それから信長は秀吉の尻の穴を使ったらしい。」
「へーっ、そうだったんですね、先生。」
「ああ、そうさ。歴史なんてね、性の部分は隠してしまうけど、色々と面白い実話は子供の教育に悪いからね。」
ぼくは先生のチンコを見ました。すると長話をしていたのに、まだ勃起しているんですよ、先生のチンコ。ぼくの視線に気づいたのか、先生は、
「剣法とは体で体得するものなのだ。つまり、」
そこで先生の姿は見えなくなりました。と同時に僕は、尻の穴に太いソーセージが入った感覚を感じ、
「ひやっ。」
と声をあげたんですが、それは勿論、先生の勃起したものでした。うんこが、はさまったような気もしますし、何か妖しげな感覚で尻の穴って意外に感じるものがありました。先生は、
「突きーっ!」
と気合をかけたのです。そう、突きがまだ、残っていました。腸の方に、うんこが逆流するような感覚はジェットコースターに乗って下に急降下するような気分でした。それは先生の固いチンコが鋭く、ぼくの尻の穴の中で前進したからです。先生は、
「又、戻して突くからな。」
と話すと、ぐーっと勃起肉を引き抜く直前までにして再び、
「突きーっ!」
と気合をかけて、ぼくの尻の穴の中に急速に固いチンコを挿入します。その時に感じる感覚は、次第に快楽のような甘みを覚えるのです。ああ、女の人って男にマンコをチンコで突かれて、こんな風に気持ちいいんだ、と思いましたよ。だから、ついにゲイの男性は相手と結婚するまでになるんでしょうね。」
高校生は夜風に公園の便所でチンコを柔らかく吹かれながら、迎児を見上げた。それは女の目だと言ってもいい。迎児は、
「君の名前はなんていう?」
と問うと、
「剣下政美(けんした・まさみ)って、いいますよ。女の名前みたいでしょう。母が、つけたんですけどね。それで父は、ぼくを男らしくしようと思って剣道を習わせたんですが、剣道部の顧問の先生に尻の穴を犯されてから、そっちの趣味に目覚めましたよ。今、結構、多いんです。高校生のゲイは。だけど、まだネットに潰されるマスコミとか気づいてないんですよ。
何せね、高校生の運動部男子の楽しみは部活後の部員同士のホモにあるといってもいいんです。そうやって、大学でも同じスポーツの部活をして東京ならゲイ動画とかに出演して、お金貰ってます。あれなんかも大学に入ってからゲイになったのではなくて、高校の頃、もっと早いと中学の頃に男に興味を持ち始めるんです。
剣道部でも着替える時に尻の触りあいなんか、普通にやってますもんね。尻の次はチンポを触り、握ります。」
迎児は、いまだチンポを立てたまま、
「そういや、おれの高校の時の友達で、クラスの男子のチンポを握るのが好きな奴がいてね。そいつは卒業して寿司屋に入った。握り寿司を作る時に役に立っている、なんて話をこの前、会ったら話していたよ。
ふーん、ゲイ動画出演発覚なんて、よくあるけど。動画に出ない個人の楽しみで部室で絡んでも、問題はないよな。それより、駅弁で、やってみるか。」
「お願いします。」と剣下政美はズボンとパンツを膝の辺りまで降ろして両脚を開いた。迎児は彼の両膝を両手で抱えると、政美の尻の穴に挿入した。政美は、
「うーん、いい。」
と反り返って声を出す。女にするのとは違うのは、政美のキンタマが迎児の肉茎に触れているというものなのだが、これは女との性交では得られない感触なのだ。キンタマの皮など柔らかいもので、どんな豪腕の男でもキンタマの皮膚は鍛えられない。それを思えば、怒鳴り散らす野郎を見てもキンタマの皮膚は弱いのに、と思えばいいのだ。
政美は女より反り返って迎児の勃起を受け入れていたし、両手は上に挙げて便所の壁についていた。
政美も自分で少し、腰を振り始めた。高校生男子の尻の締りは、いい。迎児は、イキそうになるのをこらえて腰を振り続けた。ふと、迎児が便所の外の夜空を見ると星が幾つも輝いていた。突如に剣下政美の尻の穴の感触が女の膣に感じられたので、
おうっ、と
声をあげて迎児は白濁した液体を思う存分政美の尻の穴の中に放出していた。
 
 
キリスト教信者の告白
 
ぼくは美青年だと言われます。今年、二十歳になったばっかりでコンピューター専門学校を出て就職しました。不景気もなんのその、コンピューター関係は引く手あまたなんです。いい大学を出て、なんて時代は終わったんですね。それというのも、ぼくはキリスト教カトリックの信者で、よく教会に行きます。それだけじゃなくて、司祭の神父様に会って話を聞く事もよくありました。スペイン人の神父様なんです。歳は今、五十六ぐらいかな。
もちろん神父様は童貞ですよ。それも修道会の神父さんだから、生涯童貞の誓いをするんです。青い目の神父さんです。白人で、がっしりとしています。
就職先は某一流企業の福岡支店です。そこにある会計のコンピューターを使って社員の給与を弾き出したり、決算なんかも打ち込ませられます。人手が少ないので深夜の残業も多々ありました。
夜、九時を過ぎると女子社員は帰りますが、その日は決算の日だったので二年先輩の女子社員とコンピュータルームで二人きりになりました。西北美美子(にしきた・みみこ)っていう二十二歳の人ですが、身長は百五十八で、あとは教えてはくれませんけどメロンみたいに膨らんだ胸とスイカみたいな尻は、洋服で隠そうとしても隠し切れません。
コンピューターに向って隣同士に座っていますが、体の距離は五十センチくらいある。でも、ほのかな若い女性の匂いが漂流して僕の鼻の穴の中に侵入してくるのは今までは午後九時までだったけど、今日はいつまで続くのか予想もできず、
予想はよそう、
と馬鹿な駄洒落を頭の隅で考えつつ、西北さんの方をチラと見ると、彼女の指は目まぐるしいスピードで動いているのですが、顔は微笑を浮かべているようでした。ぼくは謂わば西北さんの助手みたいなもので、彼女の与えてくれた仕事を唯々諾々として処理していくのですけど、終わるのも早いんです。だから、仕事が終わったら彼女の顔をボーっと見ているしかない。というのも西北さんは指を動かしているからです。彼女の指、男のチンポをつまんだ事、あるのだろうかって思ったりもします。みなさんも会社員なら、そんな妄想に浸る事もあるのではないかと思いますけどね。だってアフターファイブは会社から離れて、会社からは自由だし男を何人つくろうとも咎められるわけもありません。西北さんって髪が長くて控えめな印象ですが、澄んだ瞳は大きめです。でも美人ともいえないのは知的さが勝っているからでしょう。その顔より視線を下にずらせば豊満な胸に否応なく、ぼくの目は釘付け、それも五寸釘で打ち付けられたような強烈な押し付けられるような感覚を感じて、目が眩むような思いに浸っていると何か彼女の乳首が見えそうな気がしてきて、そしたら僕の股間が平成の世の中なのに平静でいられられなくなりそうなので、視線を外そうと思ったりするのですが、仕事が終わったら、それが分かるように西北さんに意思表示としての姿勢というものを見せ付けておかなければ、彼女は仕事に誰よりも邁進しそうなタイプの女性なので僕の仕事が終わった事に気づかないまま、時折、豊乳を少し揺らせてコンピューターのキーボードを柔らかい指で打ち続けているかもしれないという怖れから、僕は西北先輩の豊満メロンみたいな胸、オレンジ色の上着を膨らませている球体を眺め続けなければならずにいたのでした。そんな僕に気づいて西北美美子さんは、華麗なるタイピングを止めると、
「仕事、終わったのね。じゃあ、少し休憩してて。わたしも、すぐ終わるわ。」
と甘い声で話してくれました。視線は僕を左の目でチラリっと見て、すぐに西北さんの指は十本全部が流麗な動的な展開を滑らかに進行させました。
その白い、といっても黄色に白で薄めた日本人の色の指の下が黄色のスカートで、西北さんのは膝上までの長さなので白い太ももが見えていました。ぼくは、それを凝視しました。その太ももの奥には、柔らかい割れ目のオマンコがあるのだと思うと、唾を飲み込みました。ぼくの頭の中には或る計略が浮かびました。西北さんは、ダンスしているような指を止めると僕のほうを向いて、
「わたしも終わったわ。」
と話してくれた時、椅子は回転するタイプのものだったので、両膝を僕の方に西北さんは向けていたのです。ぼくは、
「あっ、」
と小さく叫んで西北さんのほうに倒れました。右手を彼女の股間の中に思い切り入れて、おまんこまで指よ届け、と念じつつ彼女の秘密の部分に五指を伸ばした。すると、中指に感じられたものはソーセージのようなものだった。
ぼくは、それを膝を着いて前に倒れながら掴んでいました。それは、どう思っても女のものではなかった、そう、それは男の小さい時の陰茎だったのです。
西北さんは、チンポを僕に握られて、
「あぅん。」
と声を小さく出しました。その時の顔は、男のものでした。ぼくは、それには勿論、仰天したので眼を丸くしたまま西北さんのチンポを握っていたのですが、足は膝をコンピュータールームの床について。彼女、いや西北氏は、
「まだね、性転換手術してないのよ。でも、子供のオチンチンに戻っていってます。女性ホルモンのサプリメントを毎日、大量に飲んでいたのね。そしたら胸と尻が膨らんできて。もちろん、女になりたいという願望が短大在学中からあったの。短大って女性が多いじゃない。あたしの場合も、そうだったのね。クラスには男子が三人で、そのうちの一人があたしだったの。そうなると多勢に無勢というやつでね、女性に感化されていくわけよ。紅一点の女子が男っぽいのと同じかな。」
そう語る西北さんの睫毛は、つけ睫毛で長かった。西北さんは両手で僕の頬を挟んでキスしてくれました。その唇も柔らかかったし、しばらくきつく僕の唇と密着していましたが、やがて彼女、いえ西北氏の舌が僕の結ばれた唇を割って中に入ってきました。それは、ねちっこく僕の舌と絡み合ったのです。女とキスしたことのない僕としては、その柔らかさが女の舌と比較してどうだ、とはいえませんが、男の舌もどんな筋肉質の男性だって固いモノではないでしょう、と思います。ましてや西北さんは女性ホルモンを摂取して、体も女みたいですし、切り取っていないチンポを除けば胸と尻は女のものです、見た目は。これから、それを触れるのかと美美子さんとディープキスしながら考えたのですが、彼女は、もう、彼女と形容してもいいかと思います、優しく僕の股間に身を屈めて右手を差し入れました。そして、僕の黒いズボンの股間の部分を撫で回すと、僕は勃起してしまったんです。
初めて他人に勃起させてもらった相手が、肉感的豊満な女性の外見で実はチンポを残した人だったなんて、ぼくとしてはショックはありましたが、でも最近のダイエットブームとかで実際の女性はやせ細ったのが多いですし、ダイエットとか、はやらせている奴等も悪いとは思いますけど、それに乗って痩せる事が若い女の使命だとか自覚している馬鹿な女よりは美美子さんの方が見た目は圧倒的な肉感美女です。もし、美美子さんがチンポを切除した日には、そんじょそこらの女性よりも女性らしいはずです。
ぼくの肉茎の海綿体への血液の大量流入を確認した美美子さんは舌を僕の舌から離して、ぼくの耳たぶにキスしました。そうして顔を急降下爆弾みたいに僕の黒のズボンの股間に近づけると、ズボンを膨らませているその部分に美美子さんはチュッ、とキスしたんです。
いやもう、それで僕の肉欲に比例して膨張拡大する正直な筒は隠すべくもなく強大になって、より一層のズボンの布に対しての抵抗を示し始めましたが、僕の内面の気持ちは飛び出そうな精液へ期待するものもあり、焦りも感じましたが、好きな先輩にキスを布の上からでもされたので夢にも見た事のない現実の進行に、しかもそれが会社の残業中に起こるだなんて思ってもみずに出勤してきたのですから、これからは先輩のされるがままになろうと固く決意したんです。すると、抵抗をしなくて弛緩した僕の態度、一箇所だけは弛緩していませんが、を見た美美子さんは、
「元気がいいわね、新坂王子君。あなたの松茸、おいしそうよ。
食べてもいい?」
と尋ねられました。大きな声で尋ねるもんで、びっくりしましたけど、僕、にいさか・おうじ、っていうんです。変わった名前だけど親父が珍しい名前をつけたくて、つけたんですよ。東京の人って、おとなしいけど荒れ狂う九州の土地では変わったものを求めがちです。ぼくの友人にも白錫(はくしゃく)とか天工(てんこう)とか変な名前の男がいますけどね。
美美子さんの質問に僕はためらいもなく、了承のしるしとして頭蓋骨を前傾して元の位置に復元するという万国共通の身体的サインをしたところ、美美子さんの白魚のような指は、素早く金色のファスナーを降ろしていました。そのズボンのファスナーの色は金色で、普通は銀色だから珍しいものですが、それはどうでもいいことかもしれないけど、あ、と思ったら、ん、という五十音の最初と最後の移動みたいな素早さで僕のビッグになったジュニアは見事に掴まれていました。ビッグサイズ。ビッグになりたい、だなんて猥褻な欲望を口にしているロックスターとかもいたようですけど、すぐに右手で擦ってビッグにして、おれは大物、ビッグ、ビッグなんて叫べば会場のファンも右手で中指を突き出してファックサインをして、
ビッグ!ビッグ!
そう、ビッグなロックスターに熱狂します。おれはビッグになりたかった、というのなら短小の悩みでもあったんですね。でも、僕みたいに苦労せずに大物の肉茎だと今、美美子さんがベロリンコ、ベロー、ベロー、と舐めてグビュッ、と口に含んでは亀頭のとこだけ舌で舐めてくれるんです。どうだ、ロックスター。おれみたいなビッグなチンコを持てば、いいんだよ。
最初からビッグ、な、おれです。電機メーカーだってビッグという言葉が勃起チンコを連想させるためにワイドという言葉にしていますよねー。ビッグでよかった、おれのペニス、いやー、美美子さんに舐められると最高です。憧れの美女にチンポ咥えさせるのって想像するのは楽しいはずです。その美女の美美子さん、いや美美子さんは世間的な美女ではないけど、淑やかな女性という雰囲気でした。まさか、男のチンポを咥えてしゃぶるなんて想像もしていなかったんです、だから僕の股間の上で長い髪を揺らせて肉棒を口で味わっている姿、上から見ると長い睫毛も見える、美美子さんがチンポをまだ持っているとしても外見は肉感的美女だから、感覚的にも、つまり美美子さんの舌は柔らかいし、僕は女のオマンコを想像して、
あああっ、美美子さん、出るーっ、
と脳の中で叫んだんです。ぴっ、ぴっ、どぴゅーっ、と美美子さんの口の中に射精しました。美美子さんは、
「んぐっ、うう、ごくごく、ふあっ。」
と僕のチンコから口を離して、
「おいしいわ、新坂君の精液。一発屋で終わらせないでね。」
とウインクして下からの目線で僕を見上げます。右手で萎えていく僕のフニャチンを持ってくれているんですけど。
そうだ、一発屋って、どの業界もいるだろうけど主に芸人どもに使われてるじゃないよ。一発屋って、次は三ヵ月後とかじゃ女は泣くんだろうね。グルーピーとか追っかけ、とか言って一発屋のゲイノータリン人のちんこ欲しさにウロウロしているわけでしょ。そいつと渋谷のラブホテルで交わって、ああ、いいとか女が快楽の叫びを首都・東京の夜で発したら、
「次は三ヵ月後には出来るかもな、おまえとのマンコ。」
と告白される。それで三ヵ月後には、その野郎は雲隠れ。ああ、あいつは一発屋だったんだあぁ、と女は叫ぶのでした。見た目よくて足も長いしチンポも長いと女は短絡思考で男を見てます。要するにコンサートも音楽が目的じゃなくてチンポ目当てだから、日本武道館でも、そいつらが出てくると一斉にグループの男性のチンポを目で追いまわしているんですよ。それが日本武道館だからね、チンポコンサートとか形容したら、いいと思うけどね、と萎えさせつつ思うんですけど、美美子さんの手って柔らかいんです。ふんわりと女の手みたい、これならもう一度、たつわなーって思います。
日本武道館で若い女が客席で股を開いて男性グループの股間を舌なめずりして凝視して、部屋に帰ったら、その股間、膨らませていたやつもいたかもしれない、それを思い出してオナニーしてるんですよ。
だから若手グループはオナニーのネタですけど、案外気づかずにいる人も多いみたいね。まあ、それはジジイ演歌歌手の股間を思いながらオナニーする女は、まず、いないだろうけどな。国民的美少女の股間でオナニーする男もいたはずだし、メーカーの水着キャンペンガールの股間は何万人かのオナニーネタでもあるよね。それを知ってか知らないのか、カマトトぶる水着キャンペンガールもいるだろうし。
あ、ぼくの小学校の男の先生で、なおれ、というのを、おなれ、と言ってしまった教師、若いのがいたんですけど小学生に対してだったから問題にもなりませんでした。オナれ、というんですからね。
おなれ、いや、なおれ、とは訂正しましたけど。僕は何の事か随分、わからなかったけど。
追想から戻ると美美子先輩の顔が三十センチ位前にありました。美美子さんは、
「少しずつ回復しているようね、あなたの息子。」
と唇の両端を上向きにして話しかけます。
「そうみたいですね。さっきはイってしまって、すみません。」
「いいのよ。逆に嬉しいわ。あたしの舌と口でイってくれたんだから。」
「とても柔らかくて、まるで女のオマンコでしたよ」
「あら、あなた最初の経験は、いつなのかしら。」
「それが、僕は童貞なんです。」
オホホ、と美美子さんは笑うと、でも右手は僕のチンポを揺り動かして、
「それなら初めての人に対する射精が、あたしだったわけね?」
「そうです。最高でした。」
「あたしもね、もちろん女を知らないのよ。美少年で、美青年になる前辺りから意識して女性ホルモンを摂取してね。ここの支店長は、あたしが男性って事は知っているけど会社では西北美美子にしてくれてるのよ。本名は西北美男(にしきた・みお)っていう、やっぱり変わった名前だけど。父親は、やっぱり性転換手術を受けて、あたしが三つの時に家を出て行った。母はね、逆に男になりたいっていう願望はあるけど、子供を育てたいという本能から今でも家、というより分譲マンションにいるのね。福岡市南区のコープ・ホムラっていうんだけど。清水なのよ、そこ。」
清水とは地名です。那珂川の西にあります。コープ・ホムラって知りませんでした。
「西北さんは、結婚は・・・。」
「するわけない、というか。男とならしてみたいのよ。でもね、日本じゃ許されていないでしょ。同性の結婚は。」
「はあ、そうらしいですね、って詳しく知りませんけど。」
「じゃあ、同性結婚できる国を教えてあげるわ。オランダ、イギリス、ベルギー、デンマーク、ポルトガル、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、フランスなのよね。アメリカでも州によっては、認められている州もあってマサチューセッツ、コネチカット、アイオワ、バーモント、メイン、ニューハンプシャー、ワシントンD.C、ニューヨーク、ワシントン、メリーランドはオーケーなのよ。同性結婚法っていう法律があるらしいわ。」
「そ、そんなにあるんですか。ヨーロッパに行って帰化すれば、いいんですね。」
「そうね。でも、イタリアとか認められていないから、ローマで生活ってわけにはいかないし、ドイツもだめだから。
認められている国を再び言うと、アルゼンチン、カナダ、ウルグアイ、南アフリカ共和国、ニュージーランド、らしいの。」
「カナダもゲイは多いんですね。」
「どこでも増えているのよ。ただ、福岡はそうでもないけどね。」
「団体とかないんですか。」
「あるわ。国際レズビアン・ゲイ協会、通称ILGA、

ILGA World: welcome!


がホームページ。
NPO法人のアカー。

top


 
一般社団法人、日本同性愛者協会、
http://jlga.or.jp/
 
特定非営利活動法人SHIP
 
http://www.ship-web.com/
・・・と、結構あるでしょ?」
「あります。入りたいな。それより美美子さんの中に入りたい。」
と、僕は思い切って告白しました。すると美美子さんは顔を赤くして、
「いいわ。その言葉を待ってたの。」
と口に出すと、体勢をクルリと変えて僕の前に尻を突き出して、四つん這いになりました。そして両膝を少し開いたのです。お尻の横幅も広いし、スカートを履いているし、足は細いから女の人がそうしているとしか見えませんでした。しかもミニスカートが捲れて白いショーツが見えている。そこには小さなペニスとキンタマがあるので、少しこんもりとしていますが、まるで女のマン土手の高い盛り上がりのようです。マンコのあたりがショーツを通しても膨れている画像なんか、ありますね。あれを思い出しても美美子さんの盛り上がりの方がエロに見えます。豊臀なんですね。僕は美美子さんの美尻をショーツの上から鼻と口をつけて舐め回しました。美美子さんは尻をくねらせて、
「いやあん、はあっ。」
と女みたいな声を出します。完全に勃起してしまったので、僕は膝を着いたまま起き上がると、ズボンのベルトを緩めて下に下げ、パンツも膝まで降ろし、ニョキッと天井を向いている肉欲の塊を美美子さんのショーツを彼女の膝まで下げて、見えている尻の穴に思い切り挿入しました。
「いいーっ。野太いチンポだわーっ!」
美美子さんは豊臀を揺らせて快感の声を放ちます。美美子さんの尻の穴の中で揺れた僕のチンポも気持ちよくなりました。ああ、女のマンコの中に入れる前に男の尻の穴の中に入れてしまった。そんな事で、いいのだろうか、という思いも頭をよぎりましたが、美美子、本名美男という特別な人の穴の中だからいいや、と思ったし、まるで女と交わっているような気持ち、でも、僕は女のオマンコを知らないのですが、きっと女と経験のある男性なら美美子さんの尻の穴は女の膣内と同じだと感じるはずです。
僕が美美子さんの尻の穴の中に入れたまま、動かずにじっとしていると彼女は、
「新坂王子君。何してるのよ。女のオマンコにするように、ぐちゃぐちゃに突いてっ。」
と催促してきました。
「はいっ、今すぐ。」
と答えると、今までやったこともない抽送をし始めました。
「あんっふうん、うん、あああむ。」
と呻き声を上げる美美子さん。その声で僕は男を刺激され、彼女の背中から乳房、といってもまだ男の胸を鷲摑みにしてやりました。それはメロン乳とでもいうべくチンコのある男性とは思えない完全に女性のおっぱいで、柔らかく弾力性があったのです。美美子さんは、
「ああっ、いやん。おっぱい感じちゃうー。」
と叫んで髪を揺らせました。
僕は完全に美美子さんとの一体感を感じて、亀頭が甘痒くなり、
「おおあっ。」
と声を出して美美子さんの尻の穴の中に二度目の射精をしました。さすがに少し疲れた感じの僕を見て、つまり四つん這いの姿勢から顔、左の方の面を向けて僕を見ると、
「休んだ方が、いいかな。というより休憩は終わったから、あと一時間で残業は終わり。今度は正常位で新坂君とセックスしたいけど、今日は無理みたいだから、今度の休みの日に、しましょうね。」
と提案してきましたので、
「それが、いいと思います。美美子さん、チンコ抜きますよ。」
「いいわよ。抜いて。」
チンコを抜いたら膝まで降ろしたパンツを履いて、黒いズボンを上に引き上げて、美美子さんもショーツを上げて、スカートを元に戻しました。
残業が終わった後、デスクの前に立って美美子さんと唇を重ねました。舌を少し絡めると、美美子さんは、ちょっと応じて僕の舌を押し出しました。唇を離すと、
「今度の休みの日までに体力を取っておいてね。精力というべきかな。」
と諭すように言うので、
「分かりました。その時は荒々しく美美子さんを犯すかもしれませんよ。」
と真面目な顔で僕が答えると、彼女はフフ、と含み笑いをしました。
 
自宅の部屋に帰って僕は、
しまった、キリスト教的には、これは罪じゃないのか、と悩み始めたのです。男と交わっているのだから、いいのではないか。それでも美美子さんの尻の穴は柔らかくて、女のオマンコみたいだったから女淫の罪じゃないかとね。それに僕は感じて二度も射精したのだから、妻以外の女とやった罪かもしれないと思いました。そうなると机に飾っている磔になったイエス様にも申し訳ないと思い、近くにある僕が所属するカトリック教会に電話しましたのです。もちろん、携帯電話でね。
すると先に書いたスペイン人の青い目の五十六の神父さんが出て、
「はい、もしもし放水通り教会です。」
「新坂です。ぼく、罪を犯したようなんです。告解して懺悔しなければ、いけないのではないかと思います。」
「ああ、よろしいよ。夜の十一時だけど、懺悔は早い方がいー、からね。」
との、お言葉に僕は心が休まり、
「それでは今から参ります。」
「はぁい、どぞー。」
とスペイン訛りの日本語が耳に残りました。放水通りは小山の中にあって、緑の多い場所です。車も坂道を登ってまで用もないのに通りには来ません。僕は十分歩いて教会に着きました。玄関のベルを鳴らすと、神父様が現れて、
「よく来たね。まあ、お上がりよ。」
と玄関横の応接室に入れてくれました。神父様は私服でした。黒の修道服は、もう脱いでいました。
白い布の掛かったテーブルを挟んで、僕は神父様と向き合いました。神父様は、
「罪を犯したとは、どういう事、ですか。」
と青い瞳で聞いてきます。赤茶けた顔色で、鼻は高い。
「女の人と、みだらな行為をしてしまいました。」
ぼくは男とセックスしたともいえず、そう告白したのです。神父様は哀れみの眼になると、
「若ければ、よくする罪です。しかし悔い改めればイエス様も、お許しになるでしょう。悔い改めるのです。ひざまづきなさい。」
「はい。それでは、」
と僕は神父様の横にある磔のイエス様の像の前に膝を着いたのです。神父様は立ち上がり、私の前に立ち塞がるように直立しました。それから私を見下ろして、
「両手を組み、胸の前に持ってきなさい。そして眼をつぶり、イエス様に懺悔するのでーす。」
神父様の言われたとおり、私は眼をつぶって懺悔しました。二分も、そうしていたでしょうか。再び、神父様の声が、
「もう、よろしい。眼を開けなさい。」
と指示するので、恐る恐る眼を開けると、なんと・・・・
目の前に神父様の勃起した巨大な肉茎があるでは、ありませんか。
神父様は、
「悔い改めたのだから、私のモノをしゃぶりなさい。」
と言われました。
「ええっ!?そんなことを・・・。」
「女で穢れたあなたの体を清めるには、聖職者の私のモノをしゃぶるしか、ないのでーす。普通の男性のモノと違って、私のモノは女のオマンコを知らないのだから。」
神父の癖にオマンコという言葉は、知っていたようです。
「神父様、オマンコという言葉をよく、ご存知ですね。」
「あー、はい。告解に来る女性の中にはデリヘル、ソープの女性もいます。だから彼女達が使うので覚えたのです。デリヘルの女性は運転手とオマンコしたのを後悔しているのが多いのですね。その女性は、
『神父様とオマンコしたら、わたしの体も清められると思います。』
と言うのです。
『いいえ、私は神に仕える身です。オマンコは、できません。その代わり、私の清いチンポをしゃぶれば、いいんだわ。』
と話してやると、喜んで私のチンポをしゃぶりますよ。デリヘルの女だから尺八は、うまいね。」
と尺八という淫語まで知っている。でも信者にとって神父様は絶対なところが、あるから僕は思い切って神父様のビッグフランクフルトを口に頬張りました。途端、神父様は眼をつぶり、
「オウッフ、オラ、イイ。」
ト叫んだノデシタ。オラハ、スペイン語ダソウデス。神父サマトイルト、ソノ空間ハ異国デアリ、ボクモ、ソレヲ表すニハ片仮名デ書いた方がイイノカナト思うノデスガ、ドウデショウ。
美美子さんの時は僕のモノを咥えてもらいましたが、今度は僕が咥える晩、いや番とはなりました。
頭を振って神父様の肉棒をしゃぶりましたが、3分すると神父様は体を震わせて、
「デル。」
とアメリカのパソコンメーカーの会社名をスペイン人らしい発音で口にしました。もちろん、それは出る、であってデル、ではないのですが、スペイン人の神父様はスラスラと日本語が話せても、スペイン訛りは抜けないのです。
薔薇ッ、と神父様の聖液が僕の口に流れてきました。精液じゃなくて聖液と表現しておきましょう。日本人として初めて、聖液と表現できたのかもしれませんね。他に誰も書いていないのでは、と思うんですが神父様の液体だから聖液と書けるのかも知れませんね。小さくなる神父様の聖棒を感じつつ、耳には、
「全部、飲み干すのでーす。」
という射精の快感を感じたような神父様の声が耳に届きました。その命令には忠実に従いましたよ。苦いのは、蛋白質があるからなのでしょう。それでも、それで自分の身体が女との交わりで穢れたのが清められたら、と思いましたけど、あれ、美美子さんはまだ男ですけど、本当に穢れていたのでしょうか。
 
という書き込みが薔薇田迎児が所有するゲイサイトの掲示板にあった。福岡市に住んでいるのは分かる。それで会う事もできるわけなのだ。ゲイはネットで、すぐに連絡を取り合える。プロフィールに迎児は福岡市在住と書いておいた。サイト内には迎児のブログもある。高校生狩りは、時々やればいい。全国に支店のある企業に勤めているようだが、残業のない時もあるだろう。迎児は掲示板に、その男、新坂王子のメールアドレス、フリーのものがあったので、そこにメールを送ってみた。
 
どうも、はじめまして。ゲイサイト「薔薇の微笑み」を作っている薔薇田と、いいます。穢れているというのは結局、あなたの思い次第でしょう。女との交わりを穢れたものと思われるのなら、性戯の下手な神父様より僕の方が充分にあなたを満足してあげられると思いますよ。
新坂さん、ひまがあったら連絡下さい。福岡市同士なら会うのは時間が、かかりません。
 
SNSが大流行とはいっても、カミングアウトは、しにくいものだ。それでゲイ嗜好の男性はサイト、ブログを見て回る。薔薇田迎児のサイトも全国から見に来る。迎児は顔は出していないけど、腕の筋肉の盛り上がりや股間のアップ、といってもパンツは履いている、をデジタルカメラに撮ってアップロードしている。それを時々、変えるだけでリピーターも増えていった。メールも色々、来る。
 
サイト管理者様、初めまして失礼します。わたくし、とあるアダルトビデオメーカーで企画をしております。ゲイ百人斬り、というのを思いつきましたけれど、それよりもっとすごい事を考えました。それは、世界一でなくても日本一、一日で男とやった男、という企画もので、やらせなしにします。
ポルノ女優ではアメリカのリサ・スパークスが一日に919人の男とポーランドでセックスして世界記録を出していますね。これ、前もって男性も用意されていて、ポーランド人の男性ばかりのようだったのですが、逆に尻の穴を提供してくれる男を集めようとしても、福岡では無理なので東京まで、おいでください。取りあえずは手始めに、一日で三百人の男の釜を掘ってもらいたく存じます。すでに、そのくらいの男性なら手配可能で、両刀を使うAV男優など喜んで尻の穴を差し出します。なお、撮影の際、顔をボカスのも可能であるので、ご希望は何なりとお申し付け下さい。

 真羅山太資(まらやま・ふとし)は、三十歳のAV男優だ。身長は百六十五センチ、体重は七十五キロで小太りな外見だ。AV男優としては中堅だが、逆駅弁ファックを編み出した。AV女優と対面してセックスを行う駅弁に対して、AV女優に背中を向けさせて、後ろからペニスを挿入し、女優の下腹部辺りを抱える。
AV女優は両脚を上げて、宙に浮いた格好になるのだ。これには有名AV女優も、
「ああん、飛んでるーっ。」
と悶えまくったのである。女性器が下付きの女優と行いやすい体位だ。
その体位は真羅山が二十五歳の時、福岡空港のトイレで客室乗務員の女とセックスした時、女はトイレの壁に両手をつけて尻を突き出した。
「このポーズで、したいの。アテンション、プリーズ。」
とハスキーな声で、二十二歳の巨乳の客室乗務員は懇願したのだ。
太資は、
「ようし。このポーズでハメるよ。」
と答えると、女の尻を持ち上げるようにして挿入した。客室乗務員は靴を履いた両足をあげて、
「ああっ、飛行機の中でセックスしてるみたいだわ。」
と乗務員の制帽をかぶった黒髪を乱しながら、太資の野太いモノをぴっちりとマンコで包み込んでいた。ショーツだけ下ろして、彼女は紺色の制服を着たままで、スカートは制服でミニだった。膨らんだ彼女の淫肉の唇は、太資の肉竿をヌメヌメと刺激した。太資は思わず、
「おわっ。」
彼女は、
「アハン、ハアンッ。」
と声を出してしまった。幸い誰も入ってこなかった女便所だった。

 その後で、客室乗務員の彼女、名前は滝上夢代(たきうえ・ゆめよ)は、飛行機に乗るのだ。そのために制服を着ていたのである。夢代のヒップは制服でも隠しきれない大きさで、かなりの男性乗客は彼女の歩いて動く尻を見ていた。その尻の中に少し前、真羅山太資が盛大に白液を注ぎ込んでいる。
そういう後の女性の尻は、淫らな雰囲気を醸し出すものなのだろう。乗客の一人は彼女の尻に手を伸ばしかけたが、自制した。

 この滝上夢代は、それから後、一ヶ月して空港のロビーで真羅山に告白した。
「わたし、結婚する事になったわ。いつまでも客室乗務員なんて、やってられないものね。」
結婚?誰とするんだ、と真羅山の頭の中で思いが彷徨う。
夢代はニカッと白い歯を出すと、
「同じ航空会社のパイロットよ。四十歳だけど、一晩に二回はしてくれるから、太資より多いし、テクニックも上で、わたしのアソコを三十分も舐めてくれたりもするの。
結婚したら毎日するって、言ってくれてるのね。つまり、交渉ね。ここ、ロビーだから、表現は抑えないと。
要するにね、太資よりうまい人だから。」
ガーン、と雷のようなものが太資の頭の中で轟いた。夢代は制服を調えると、
「それじゃ、さよなら。もう、会えないから。」
と言葉を残して、太資の前から立ち去ったのだ。
 正にこの時に太資は、AV男優になる事を決意したのだ。自分は夢代と結婚するつもりだった。それを呆気なくパイロットに持っていかれたのだ。
太資は福岡空港で、航空便の荷物を動かす仕事をしていた。
 その仕事を辞めて上京する事にした。人手の多い今、会社を辞めるのは簡単だった。夢代と結婚していたら、太資はその会社で働き続けただろう。女の影響と言うものは殊の外、大きいものなのだ。
パイロットとセックスを比べられて、別れを通告されるという男にとって屈辱的な場面を経験した太資は、もっとうまくなりたかったし、多くの女とやりたいという気持ちもあった。
そういう思いを秘めつつ、新幹線に乗って東京へ。

 東京についてから昔ならAV男優を募集している事務所を探したりしたのだろうけど、今はインターネットで簡単に探せる。
「AV男優募集」
で検索すれば、いい。
ズラズラと沢山、出てくる。なにしろAVメーカーは、三百社は超える数はあるのだ。
それでも運よく太資は、大手AVメーカーのハメハメカンパニーにサイトのフォームから応募していた。
ハメハメカンパニーは西新宿にあった。高層ビルが立ち並ぶ一角のビルの三階に、AVメーカーとは分からない外観の入り口がある。
ハメハメカンパニーとは通称で、ビルの会社名の表札にはHHCと出ている。
ドアを開けると一人の美形な長身の女性が、受付に座っていた。真羅山太資を見ると、立ち上がって、
「真羅山さんですね。専務が、お待ちかねです。」
と笑顔で個室に案内する。AVメーカーの女子社員は真面目な女性が、ほとんどだ。させ子のような女性は、いなかったりする。
女性がAVメーカーに持つイメージは、男性が持つイメージとは違うという事なのだろう。
ほとんどの場合、女性の体や顔を中心に撮られているのがAVなのだ。
 それにAVメーカーの人達は、優しくて真面目な人が多い。撮影技術もテレビ局に勝るものを持っているのだ。この理由は、こうだ。
映画全盛の時代に優れた人達は映画会社に入った。映画会社に入れなかった人間がテレビ局に入った。
そのうち、テレビが普及すると映画は圧迫され、興行収入も落ちてくる。
普通の映画では生きていけない人達は、アダルトビデオの世界に身を投じるようになり、そこで優れた撮影技術でAVを製作していったのだ。
レンタルビデオ店がAVメーカーの収入源ともいえるだろう。人がお金を払って借りるのがAVであり、タダで見るのがテレビなのだ。
 だからAVメーカーの人達は、優れた映像製作者でもある。
 太資の待つ、すべての壁が白い部屋のドアが開いてHHCの専務、五十代の筋肉質な男性が入って来た。背は高めだった。眼は丸く鋭い眼差しで、
「やあ、初めまして。専務の飯野栄蔵(いいの・えいぞう)と言います。福岡から応募してくれて、ありがとう。最初にね、健康診断があるよ。それ、大体、男優持ちだけど、君は今回はウチで持つからさ。新宿の病院に行って貰います。いい?」
「はい、もちろんです。」
「じゃあさ、今から行ってもらうよ。スタッフに同行してもらう。道川君というアシスタントディレクターと行ってね。」
道川ADが呼ばれて、会社の近くにある病院に性病の有無を検査しに行った。道川は二十代後半の丸く肥った男で背は低い。
「真羅山さんの男優名ですけど、漫湖名眼留(まんこ・なめる)だそうです。」
と細い眼をして道川は、新宿の裏通りで語った。
太資は苦笑いした。これから多くのAV女優のマンコを舐めるのでは、あろうけれども。
 病院では、クラミジア、HIV、淋病、梅毒、そして性病とはいえないが、B型肝炎でないか、どうかを調べられた。
道川は検査結果を貰って、
「陰性でしたよ。つまり、安全でした。これで撮影には入れるな。」
と太資に話した。
このようにAV男優になるにも健康診断が必要だったりと、昔のように簡単には、なれなくなっている。
それでも昔と違ってインターネットで登録はできるし、まるで派遣の登録みたいだが、AV女優とガンガンやれるし、マンコも舐め回せてギャラも貰えるのだ。初回の絡みから、いい仕事をしたと監督に認めてもらえれば五万円は貰える事もあるらしい。それは、メーカーによって違うだろう。

 真羅山太資の場合、汁男優からではなく企画ものの撮影から始まった。
恋人を失った男
というもので、恋人をなくした男性宅をAV女優が訪ねて行って、セックスをするというものだった。撮影は社内にあるスタジオの個室で、おこなわれた。
椅子に座り、落ち込む漫湖名眼留。その時、玄関のチャイムが鳴って、名眼留が開けに行くと、
社長秘書のようなAV女優が立っていた。
「こんにちわー。なんか落ち込んでませんか?わたし、そんな貴方を助けたいんです。
救済AV企画、恋人を失った男というものを、やってるの。わたし、春野桜姫(はるの・さくらひめ)っていう名前でーす。」
白いスーツの上下の桜姫の体は、出るところが出ている他は痩せていた。それで、腰のクビレが凄い。
白々しく思いながらも太資は、
「ええーっ。夢みたいだな。おれ、彼女を失ったんだ。」
夢代の事を思い出しながら、寂しそうな表情をする。なかなかの役者だ。俳優などは現場で監督に指示されて思い出しによる演技もする。太資は自分でやっているから玄人裸足で逃げ出す、というものだろう。
春野桜姫は美巨乳を誇示するかのように、白スーツの上着を脱ぐ。白シャツも脱ぐと白いズボンも降ろした。
立ち上がった太資の目の前に、桜姫のブラジャーに包まれた、たわわな乳房があった。それは乳首の透けてみえるブラジャーだった。ツン、と突き出たピンクの乳首を太資はブラの上から吸う。
「ああっ。うまいのね。」
桜姫は頭を反らせて、気持ち良さそうだ。桜姫の睫毛は長く、股間のショーツの陰毛も長そうだ。
彼女の乳首を吸いつつ、太資は服を脱いでいった。
結果として、太資は全裸、桜姫は下着姿だ。すぐに太資は彼女の下着をブラジャーから外す。
彼女の股間のVゾーンは、黒々とした長い陰毛がその下の閉じた淫唇も隠していた。太資の指は彼女の膨らんだ淫唇の合わさった割れ目を、ゆっくりと辿る。
「ぁー、はぁーん。」
と声を出して彼女はビキニで日焼けしていない尻を揺らせる。太資の肉茎は蛇が鎌首を持ち上げるように上に立ち上がる。
 その時、監督の声が、
「はい、次は真ん中に置いてあるトランポリンに行って、乗る。そこで、跳びながら合体。」
と指示した。
二人は腕を絡ませつつ、トランポリンまで歩くと裸の彼らはトランポリンに乗り、ディープ・キスから太資のモノを立ったままハメて、二人で跳びはねる。
「ぁん、ぁん、ぁぁぁっ、あん、おまんこ、一番気持ちいいのーっ。」
と桜姫は、しまいには両脚を太資の尻に巻きつけ、両腕を彼の首に回して、ぶらさがり、マンコは太資の硬い肉茎を咥え込んでいる。脂肪のついた桜姫のマン肉は気持ちよく太資の肉砲に絡んで締め付けた。
彼は気持ちよくなり、
「あっ、出る。」
と叫ぶと、空中に二人が跳んだ瞬間、精も放っていた。降りた時、彼は膝をついて桜姫の大きな乳房が彼の胸に押し付けられた。
監督が満足気に、
「よし、いいぞ。トランポリン・セックス、うまくいったね。」
と二人を慰労するように声をかけた。

 ハメハメカンパニーでは、マンネリ化したAVを打破するために新企画を考案中だ。企画部の羽目田育造(はめた・いくぞう)は、三十五歳の独身男、だからというのか、今もAVに夢中なのだ。一応、百人斬りは達成している。
ハメタ!イクゾウの新宿ナンパ実録
という企画モノでは自ら主演していた。そのシリーズで、ある大企業の専務の娘を引っ掛けてハメ撮りに成功したのだ。
彼女は二十五歳、あと一ヶ月すると某財閥の長男との結婚式が控えていた。自分の望みというより、親に用意された結婚らしい。
瓜実顔の彼女は大きな眼を開いて、
「乗り気の結婚じゃないけど。」
とインタビューで答える。
羽目田は中背で、痩せ型だ。画面に顔は出ないが、
「じゃあ、好きな人が他にいるのかな?」
と尋ねる。
「いるけど、その人も又、親の勧めている相手と結婚するのよ。」
「なるほどね。それで、このAVに出ようというきっかけというか、動機と言うかな。それは?」
彼女は微笑むと、
「別れる彼はAVが好きなのよ。それでわたしが出ているのを彼が見ることがあったら、面白いなって。」

東京を下に見ながらのセックス、というAV撮影が羽目田育造と、その令嬢、飯名レ美(いいな・れみ)とで行われた。
ヘリコプター二名貸切で、五万七千円弱という料金だ。(2014/04/09現在)
所要時間は二十三分程度である。七日前の予約で、なんとかなった。ヘリコプターの機体価格は五千万円前後なので、お得な料金だろう。
R44という機体で、最高が時速190キロ、航続時間は三時間二十分、航続距離は592キロメートル。
高度限界は4270メートル。というヘリコプターで東京へリポートから羽目田と飯名は空へ舞い上がった。
東京へリポートは江東区新木場四丁目にある。
操縦士は後ろを見ないのだ。二十分の短い時間で、カメラは座席に置き、横からの撮影だ。
バタンバタンバタン、
とヘリコプターの羽が回り始めるとフワッと空へ昇った。レ美は羽目田の膝の上に跨り、羽目田は彼女のスカートの中に手を入れてショーツを膝頭までずらした。擬似セックスなどは昔のAV、それと現在も芸能人専門レーベルでは時々、行われている。が、それでは面白くないので、羽目田はコンドームさえつけずに、やる。
だから、彼がズボンのファスナーを下げて、パンツから長大な陰茎を取り出しても、ゴムはつけなかったのだ。
「レ美ちゃん、いくよ。」
「うん、入れてー。」
大股を開いて羽目田に跨っているレ美のスカートを上げると、彼女のほどよい陰毛とその下のピンクの股間口が開いているのが見えた。モザイクはあとでかけるが、羽目田の眼にはレ美の淫口は男の男根を欲しくてしようがない、という形状をしているように見える。
たまらずに大きなレ美の尻を両手で引き寄せて、合体結合した。高度は一キロ位まであがっている。
レ美の顔を羽目田は横に向けて、眼下の風景を見させる。彼女は、
「ああン、まるで天国ね。羽目田さんの、大きいわ。あっ、ァ、アアッ。」
と令嬢の慎ましやかな悶え声は、それだけでもオナニーで抜けそうだ。レ美は軽く大きな尻を動かしている。
ブルルルル、と羽の旋回音が二人の耳に響く。
レ美の大きな胸を赤の上着の上から羽田は揉んだ。
「アフン、ウン、イイ。」
髪を振り乱してレ美は、のけぞった。ヘリコプターは左に曲がりながら飛行する。
羽目田はレ美の上着を脱がせてブラも外して、お椀型の乳房の硬くなったピンクの乳首を吸ってやると、眼を閉じて眉をしかめたレ美は、
「感じるわ。空の上で、アアーッ、もっと、チンコでこすってぇー。」
と叫ぶと、羽目田の首に手を回した。お嬢様がヘリコプターの座席で男に跨り、白い両足を大きく広げている。その脚は、やがて羽目田の尻に絡まり、強く締め付けた。
「あっ、あっ、オマンコ、とろけそうよぅ。いくっ、いくっ。」
とレ美は顔を赤くして、よがりまくった。口をポカンと開いて、赤い舌を出すと、
「いくわー、あっ。」
と悶えて、だらーんと体を伸ばした。失神したらしい。二十分は早く過ぎる。躾よく育てられた令嬢の乱れた姿は一部の男しか見られなかったわけだが、AVで何人かは撮られてきたとはいうものの、今回の飯名レ美は最高の女性だっただろう。普通、こういう令嬢はAVどころかテレビにも出たがらないのだ。
レ美の彼氏の事情で出演してくれて、青い大空でピンクの乳首を立てて失神したのだった。

 羽目田育造も又、福岡県福岡市の出身だ。それで真羅山太資をもっとメジャーにしたがった。漫湖名眼留の芸名も有名にしてやりたかったのだ。
ハメハメカンパニーでは芸能人などを使う事は、一切しない。女優、タレントなどの知的レベルの低い女のセックスなど今の時代には見られる事もない。そもそも女優などという職業の女は台本を読むのがいいところ、の頭の中身のお粗末な連中だ。
こういったのがテレビなどに出て、企業も自社のCMに出したりしてきたわけだが、おたくの商品って、あの馬鹿女優程度のものなのかね、と識者には見られているわけだが、馬鹿企業はそれにはお構いなく、大勢の消費者にアピールできれば、と思っている次第だろう。
そもそも銀幕だのブラウン管に写ってきた女優など全てオツムのレベルの低い女である。
脚本を読むのが精々の頭であるのに、それ以上の事をさせる奴等が結構多い。
インターネットの時代になり、こういった馬鹿女優を追う人達も大いに減ってきたのだ。

 さて、ひるがえってAV女優とは、そもそもの初めから知性の高い女性が登場していた。国立大学生や国立大学院生という極め付きの女性も出演していたのだ。というのは、ご存知だと思う。
テレビ、映画の馬鹿女優など見るよりもAV女優を見る方が、知性の高い女性を見る事になるので、ためらわずにダウンロードやネット通販でDVDを買うべきだ、といえる。
真羅山太資も又、電子書籍を熱心に読んでいる。
「ちんこ立ちぬ」
という森建夫(もり・たてお)という人の書いた小説だ。

私は恋人を油山という福岡市の南にある療養所に訪ねた。もう二年も彼女は肺の病気で悩んでいるのだ。いい薬はあるのだが、高価なため実家の貧しい彼女は最低の治療費しか出してもらえなかった。もう二十になる彼女は、それでも胸は成長していた。
六人の相部屋に彼女は、いたのだ。みんな、もちろん女性ばかりで彼女の他は、おばさんばかりだった。
看護師に案内されてドアを開けた私を見たのは彼女、そう、郁埜(いくの)だった。
彼女は寝ていたが半身を起こして、
「来てくれたのね。わたし、あなたが来てくれると思ってた。」
と嬉しそうな顔で私に話しかけた。それは自分には意外だったのだ。
「本当かい?君は僕のことなんて軽く見ているのかな、と思っていたよ。」
「そんな、わたし、他の人には興味がないの。どうして、二年も訪ねて来てくれなかったの?」
「それは、ぼくは東京の会社に入社してしまったんだ。だから、福岡に戻る事は出来なかったんだよ。」
「そうなの、それなら来てくれなかったのも仕方ないわね。東京って、ゴホッ、ゴホッ。」
彼女は頭を前に傾けて咳き込む。私は、彼女に駆け寄ると、
「大丈夫かい?」
と声をかけて、彼女の肩に手を置いた。柔らかい気が自分の指に伝わってくる。右手はスルッと滑って彼女の胸に触ってしまった。
「あ、はっ。」
と彼女は声を出した。
「ごめん、手が滑ったんだ。わざとじゃ、ないよ。」
慌てる私に彼女、郁埜は、やつれた、つぶらな瞳を私の眼の中に向けると、
「感じてしまったわ。わたし、肺の病気なんだけど、おっぱいは二年で大きくなっちゃって。」
と照れたように言う。
「そ、そうだね。君とは高校の卒業式の時、以来だから。」
私は病室内を見渡した。今の彼女の反応を聞かれただろう、と。