カテゴリー: 官能的
体験版・sf小説・未来の出来事60
尼野影子は日曜までに身の回りのものや衣服も処分して、身一つで尼僧院に向かった。
尼僧院の受付で、
「得度式を受けに来た尼野と申します。」
と影子は話すと尼僧は静かな微笑を、たたえて、
「お待ちしておりました。院長は準備を整えております。私が案内しますから、ついて来てください。」
と答えると立ち上がった。
広い境内と長い廊下。枯山水の庭園。尼僧が案内したのは大きな金色の仏像のある部屋だった。床は板張りで仏像の股間には何と大きな男性器が露出している。
それを見た尼野影子は眼を、ひそめた。女院長は影子の視線を捉えて微笑み、
「仏像に性器があるのを奇異に思ったのですね。」
と立ち止まっている影子に聞いた。
「はい・・。変わった仏像なのでは・・・。」
尼僧院長は誇らしげに、
「もちろん、とても変わっています。いえ、ほとんどの尼僧院だけでなく僧院にしても男性器のある仏像は日本には、ないでしょう。でもチベットなどでは昔からある僧院もあります。いずれにしても尼僧として貴女も男との縁を切って生きて行くのですから、男性器にも無感覚とならなければ、なりません。」
「はい、院長様。そのように、いたします。」
と影子は、しおらしく答えた。
「よろしい、それでは得度式を行います。その前に尼野さん、あなたの豊かな黒髪を総て切り落としますよ。いいですね?」
「はい、分かっております。」
と素直に答える影子。
部屋には数人の尼僧が入ってきて影子の服を白装束に着替えさせた。それから影子を正座させると、一人の尼僧が電動バリカンを影子の頭に構える。尼僧はバリカンを持つ右手を離した。空中に浮いた電動バリカンは、とても巧みに影子の長い黒髪を刈り落としていったのだ!
全自動・電動バリカンである。
バリカンの中に人工知能が埋め込まれていて、カメラアイで影子の黒髪の頭を捉えて、人の手を借りずに刈り上げて行く。
影子は、それに気づく事もなく彼女の頭の長い黒髪は全て刈り落とされた。
剃髪を終了した全自動バリカンは影子の丸坊主の頭の斜め上に静止した。尼僧は、それを掴むと尼僧院長に向かい、
「院長様。終了しました。」
「よろしい。それでは授戒、法名を授けます。その前に大仏様を礼拝して、読経をするのです。」
という事で影子は金色の大きな仏像の前に正座させられた。さっき見た時より、仏像のスグ目の前に座っている影子は仏像の股間の露出した男性器をアリアリと見てしまった。
半勃起しているかのような男性器で、ある。
近くに立っている尼僧院長は影子の横に座ると、
「このように礼拝しなさい。」
院長は正座のまま深く頭を下げると両手を前に伸ばして床に付ける。それから上体を上げて元の姿勢に戻った。
影子は、それを見ると同じように上体を深く前に倒して両手を伸ばして床に付けて金色仏像を礼拝した。
横にいる院長は経本を手に持ち、読経した。そのあとで経本を影子に渡すと、
「それを私のように声を出して読むのです。」
影子は読経した。
尼僧院長は、
「よく出来ました。」
と話すと立ち上がり、影子の前に立つと、
「五つの戒を授けます。不妄語、不偸盗、不邪淫、不飲酒、不殺生。意味が分からなければ、後で教えます。アナタの法名は春恵(しゅんけい)。さあ、春恵、立ち上がって大仏様の前に進みなさい。」
指示された通り、春恵は立ち上がり、金色仏像の前に進んだ。尼僧院長は、
「大仏様の前に座り、股間の珍棒を口に含むのです。」
金色の仏像だけに股間の半勃起棒も金色だった。
春恵は、(え!?)と思ったが言われた通りに金色仏像の前に座った。金色の半勃起棒が近くに見える。
院長は、
「どうしました、春恵、早く大仏様の金色棒を口に。」
春恵としては尼僧になって、そのような事をしていいのかと思ったが院長の指示だから、と顔を近づけて金色半勃起棒を口に含んだ。すると、その大仏の股間棒は膨張を始めて勃起した。
春恵の口の中で固く勃起した大仏の股間棒だ。影子としては今までフェラチオというものを、した事がなかった。
尼僧に出家して、まず、この金色の大仏の股間勃起物を口に咥えるとは・・・。その硬さが影子、今は春恵の口の中では人間の男の男根を感じさせ、膣内に入っている時を思い出させた。それで春恵はオマンコに入れられている感覚を少し味わったのだ。
男との関係を断ち切っても大仏様が存在した。ここは普通の尼僧院では、ないと思うが、こうなったのも何かの縁だと春恵は思った。
金色仏像の股間棒を口に含んでいるとオマンコが少し濡れたのを感じた。そこに尼僧院長が、
「はい、そこで停めて。口から大仏様の珍棒を外すのです。」
と命じたので春恵は言われた通りにした。
こうして尼野影子の得度式は終わった。
尼僧院長の法名は春珍(しゅんちん)と言う。年齢は30才と若い。実家は古くからの寺院で、小さい頃から父親に仏教を学び、仏教系大学で仏教学修士号を取得したのちにチベットの僧院に入ったのは24才の年だ。ゲルク派のチベット密教寺院のためか性に寛容な場所であった。
六年間も、そこで修業を積んで日本に帰り、この尼僧院、金仏寺の住職、すなわち尼僧院長になった。すでに、その尼寺には数人の尼僧が、いた。が春珍が僧院長となってから急速に尼僧に出家する事を希望する女性が増えたのだ。
従来の尼寺では男との縁切りとして尼僧になる場合が、ほとんどである。が、しかし、そこはチベット密教の尼寺のため、永久に男を絶つわけではない。
院長の春珍も三十歳にして男を知った。チベットの寺院での修行を終えた後で、そこの寺院の男性僧侶と大仏像の前で交わった。相手の男性僧も三十路男で独身である。
その大仏像も対面座位で裸身の女と性交している姿なのだ。
春珍は何度も快楽の極楽に昇りつめた。チベット密教を修行してきて良かったと思ったのだ。
相手の男性僧にしても同様な思いで独身で僧侶の為に女との接触は一切ないため、有り余る精力を保持していた。という事で春珍尼僧院長も男を知っているのである。
尼寺に駆け込んでくる女性は男性との縁を絶ちたいという事が理由の最大である。という事は既に男性と関係していて、その関係を絶つのが尼僧になる理由だ。
そういう事からも尼僧院長が処女である事は尼寺の運営にも喜ばしい事では、ない。
春珍が院長になってから尼僧院も円滑に運営された。厳しい修行も男性との縁を絶つためと思い、修行に明け暮れる尼僧達だったが、或る日、春珍の部屋に一人の尼僧が来て、
「院長様。同室の永聴についてですが。」
と困ったように報告する。
春珍は机の上から目を上げて、
「どうしたの?永夏。」
と応じた。永夏という若い尼僧は、
「この頃、毎晩、永聴はオナニーするんです。布団に入ってからですけど。声を抑えていますけど、聞こえます。時に、大きな声で感じた通りに悶えるんです。院長様、どうしたらいいのでしょうか?」
と訊くと春恵はフ、と笑みを浮かべて、
「永聴も、まだ25歳。尼僧になるには早すぎたわ。させておきなさい、永夏。永夏も26歳なら、男が欲しくなるかもよ。」
と諭した。永夏は口を尖らせて、
「いいえ、わたしは。院長様、別れた旦那はセクシー男優でしたから朝、昼、晩、求められました。
もう、ああいうものは、いいんです。」
「別れた原因は、なんだったの?」
「旦那が本番の撮影の毎日で、しかも、その日は相手のセクシー女優の部屋に泊まり込んで帰らなくなったんです。そのうち、そのセクシー女優が旦那の子を妊娠したからなんですけど・・・。」
「永夏は子供は、いないのね?」
「いません。旦那とはコンドームつきの交わりでした。それというのも射精を、こらえて次の日の撮影に備えるためというんですから改めて腹が立ちます。」
と話すと怒りに肩を震わせた。
春珍は宥め顔で、
「もう過去の事は忘れなさい。それも仏様の導きです。厳しい修行の後には再び、いい男性と巡り合えるかもしれない。そこが他の尼僧院とウチが違う所です。」
「再び、いい男性と・・・ですか?」
「ええ、そうです。修行の成果次第で再び、男と出会えるようになります。ウチはチベット密教ですから男女の交わりを拒否しません。」
と春珍院長はキッパリと宣言した。永夏は目を丸くして、
「チベット密教は、そういうものなんですね。私は尼寺は何処でも同じだと思っていました。」
「かなり違うと思うわよ。男との縁を切るためなのが日本の尼寺ですけどね。ウチは違います。
チベット密教の秘法、処女に戻る法もあるの。永夏の修行次第で、その法を教えられる。」
「処女に戻れるんですか?」
「処女膜も含めてね。精神とかだけ戻っても意味ないですよ。仏教には女体に男性器を発生させる法もあるから、処女に戻るなんて、それほど難しくは、ないけど簡単でもないわね。修行の成果次第だわ。」
永夏は更に目を丸くして、
「凄いと思います。チベット密教は。」
「でしょう?それでは就寝前の瞑想も熱心にする事です。」
「はい、院長様。失礼します。」
永夏は尼僧院長室を出た。
院長の部屋にはチベット密教の様々な仏、菩薩の像が置いてある。それは観賞するためでなく、礼拝するためのものだ。
歓喜天の結合姿の像もある。
春珍はチベット密教寺院で処女を捨てた。ここの尼僧院の院長になる前に処女膜を再生させた。それは無論、医学によるものではない。
観想と体操、そして特殊な食事が必要だ。そして或る菩薩に祈る事である。
すると一週間後に春珍の処女膜は再生していた。
そこの尼僧院では同性愛は禁じられている。それは邪淫であるからである。それは春珍も厳重に指導した。
今日も寝床に入ってから尼僧、永聴はオナニーに耽っている。彼女は元々、バスガイドだった。長距離旅行のバスのバスガイドで、よく同じバスに乗る運転手と恋愛になり、結婚した。結婚前から肉体関係が出来たが、いつも同じバスに乗る訳ではないために、長い間、会えない日も続いた。
そんな時の夜は女子寮の部屋で、交際相手のバスの運転手を思い浮かべてはオナニーに耽ったものである。
恋人の勃起物と同じ長さのバイブレーターをネット通販で購入して使用する。バス会社の女子寮だが個室なのでバイブレーターを使ってのオナニーも誰にも気づかれないものだった。
その恋人のバスの運転手は別のバスガイドと共に富士山の方へ観光バスを運転して移動していた。
法名、永聴、俗世での名前は永子、という。
その恋人のバスの運転手は別のバスガイドとホテルに泊まっていた。もちろん別々の部屋だったが、運転手の部屋に美人バスガイドがドアを開けて、
「春埼さん、入っても、いい?」
と聞いた。
「ああ、いいよ。どうぞ。」
美人バスガイドは部屋に入り、運転手の春埼の近くに座ると、
「永子と、付き合っているんでしょ?いいの?わたしを部屋に入れて?」
「ああ、いいんだ。永子とは軽い付き合いだから。」
「そうなんだ、真剣交際かと思ってた。」
「いやー、永子より君の方が美人だよ。」
「まあ、嬉しい。わたしも、そうだと思っていたけど。」
二人は抱き合い、キスをした。
美人バスガイドは、
「こんな事、してもいいのかしら?永子に悪いわ。」
「いいんだよ。永子とは別れようと思っていた。ちょうど、その時、君が現れたんだ。」
「グッドタイミングって奴ね。今からセックスして、それを撮影して永子に贈るの。そうしたら永子はアナタと別れるわ。」
「グッドアイデアだね。スマートフォンで自撮りするかな。」
「そうね。わたしのスマートフォンは最新のカメラ付きよ。立体映像を撮れるの。録画再生するとスマホの画面から映像が立体的に飛び出してくるわ。」
「ほー、すごいな。じゃ、この部屋でセックスして、それを最新式カメラで自撮りして、永子の奴に送ればいい。」
「そうね。さっそく脱ぎますわ。」
「僕も脱ぐよ。」
二人は昼は観光地をバスで巡り、美人バスガイドが乗客に観光ガイドした。
「みなさま。左手に見えますのが富士五湖で、ございます。」
美人にして美声の観光案内だった。
運転手は時々、横目で美人バスガイドの尻を眺めては少し勃起しつつ観光バスの運転を続けた。
それで午後四時ごろに大きなホテルに到着して観光客はチェックインして解散した。
二人は同時に全裸になる。運転手は惚れ惚れと美人バスガイドの裸体を見て、
「姫子。すんごい乳房だね。白桃のような乳房だ。」
「ウフ。前の彼氏にも、よく言われたの。その彼とは一晩に五回はセックスした事もある。」
「同じ会社の運転手?」
「そう、けど彼は別のバス会社に行ったから、わたしと会わなくなったの。」
「そうだったのか。」
運転手の股間のモノは半勃起した。美人バスガイドの股間の黒い部分を見たからである。
「田空さん、半分勃起したわ。」
「姫子に見られて恥ずかしいけど、君のアンダーヘアが悩ましくて。催したんだ。」
「田空さん、おっぱい触って。」
観光バス運転手、田空は美人バスガイド姫子の白い乳房を触り、揉んだ。
「あはっ・・気持ちいい・・。」
姫子は目を細めて言う。
田空は、
「最新カメラで自撮りするのは、どうする?」
「あ、忘れてた。今、用意するから。」
姫子は全裸のまま、自分の脱ぎ捨てた服からスマートフォンを取り出してカメラに切り替えるとベッドサイドテーブルに置いた。それから撮影開始ボタンをタップする。
「これで撮影開始よ。」
姫子は高らかに宣言した。
観光バス運転手と観光バス美人ガイドとのセックスは撮影されていく。
昼間に乗客に見せていた姿からは想像も出来ないほどの荒々しいセックスを繰り広げて行く二人。
姫子は口を大きく開けて赤い舌を出した。
コンドームなしの性交だけに通常のアダルトビデオより生々しい。
正常位セックスの後で後ろからハメる座位に移行した後で運転手の田空は連続放出した。
それらはスマートフォンの最新式カメラに逐一記録されたのだ。
二人は翌日、何事もなかったように観光バスの仕事をした。
観光ツアーは三泊四日なので、まだまだ続く。
仕事が終わり、夜が来て、運転手の田空の部屋に美人バスガイドの姫子が来た。
そして又、カメラに交接の記録を取る。次の日の夜も同じ事を繰り返した。それが三泊目で性交を終わらせた田空と姫子はカメラが気になる。田空はベッドに寝そべってタバコを吸いながら、
「うまく撮影できているかな?」
と問いかけると全裸の姫子はスマホカメラを停止させて、
「撮影したものはスグに見れるわよ。」
録画再生を、した。
平凡なアングルとはいえ男女の生々しい交接が記録されていた。田空は、
「よく録画されているな。立体映像になるのでは?」
「ええ、ボタン一つで。」
姫子はスマホを操作した。スマホの画面から飛び出した映像は立体的に見えた。姫子は、
「この機種じゃないと立体的に映像が飛び出さないの。永子のスマホの機種、知ってる?」
「いや知らないけど古いものらしかったね。立体映像は無理かもね。」
「このデータを永子のスマホに送るのよ。メールに添付して。」
「ああ、面白いな。永子、驚くだろうな、きっと。」
「永子のメールアドレス、分かる?」
「分かるよ。ぼくのスマホに永子のアドレス、載ってるから。」
「じゃあ、それをワタシのスマホに送って。」
「ああ、送る。」
それで姫子のスマホに永子のメールアドレスが送られた。
姫子はカメラで交接を記録したスマートフォンを手にして、
「あ、来たわ。それでは送るわよ、永子のメールアドレスに。」
彼らの性交映像はメールに添付されて送信された。
バスガイド永子は長距離旅行の観光バスには乗らない方だ。これはバスガイドの希望によって決められる。
だから永子はバスガイドの仕事で外泊した事がない。
その日も早く女子寮に帰っていた。個室で冷暖房完備、風呂付、冷蔵庫、洗濯機付きの申し分のない環境だ。
東京郊外にある女子寮で、永子は外食して帰って来た。
それから暇なのでスマートフォンを、いじってネットサーフィンなど、していたがメールボックスに添付ファイルつきのメールが届いている。
お元気?
お幸せそうね、永子。彼とは、うまくいってる?田空さんと。
ビデオを添付ファイルで送ったから、すぐに見た方が、いいわよ。
という内容だ。
永子は添付ファイルをタップしてビデオを再生した。それを見た永子は顔色を変えて、
「ああー、こんな事ー、してたのねー、二人でー。」
と思わず口走った。
それは永子の恋人、田空と美人バスガイドの同僚、希世姫子とのセックスの連続だったのだ。
永子は見たくないと思いながら見続けてしまった。三時間も見続けると疲れたので辞めた。ビデオは六時間もある。
(田空さんとは別れるわ・姫子の方が美人だし。)
それで春珍の尼僧院に入った永子だった。法名は永聴。厳しい修行が待っていた。滝に打たれて山を歩く。
瞑想の日々。田空とは結婚していなかったから良かったのかもしれない。
修行が一段落すると女としての欲望が漲ってきた。
寝床でオナニーを始める。同室の永夏に、それを聞かれたかもしれないと思う。
永夏としても男が欲しくなくなった訳ではない。それだけにオナニーに耽る永聴が、わずらわしかった。永夏などはアダルト男優と結婚していた位だ。
話して聞くと永聴は結婚していなかったらしい。
それでも男が欲しくなる、結婚していた永夏は、それ以上に男が欲しくなった。
ついに我慢しきれなくなってネット通販でアダルト雑誌を購入した。そこには色々なアダルト男優の顔が載っている。
その中で気に入ったアダルト男優の顔をハサミで切り取る。
それを観想、礼拝用に持っている仏の肖像画の顔に張り付けると、晩にトイレに入り、それを見てオナニーに耽ったのだ。
同室とはいえ、一人は布団の中で、一人は厠の中でオナニーに耽る。これも通常の尼僧院なら咎められる所を、この春珍の尼僧院「快楽解脱院」では咎められる事は、なかった。それは、ここ快楽解脱院がチベット密教の寺院であるからだ。
修行さえキッチリとすれば時間外は院長の春珍は問わない方針だ。ただ尼僧同士のレズ行為は禁止とした。
ある講義の場で春珍は、
「修行がソレナリに進めば男を求め、結婚する事も許可します。しかし同性愛に進んだ場合は当尼僧院を破門とし、再び、この門をクグルことを許しません。」
と厳しく戒めた。
「サイバーモーメントの黒沢です。え?ナニナニ、そうですか。いえ珍しいので、はい。はい。お任せください。作れますよ。それでは当社へ一度、お越しくださいね。」
サイバーモーメント株式会社・代表取締役社長・黒沢金雄は、おもむろに電話を切った。
その日の午後に黒沢が電話対応していた人物が現れた。和服に頭は頭巾をかぶり、お茶の先生みたいな雰囲気を持つ女性でサイバーモーメント株式会社の受付で、
「社長の黒沢さんに、お会いしたいのです。」
と話した。
「お待ちください。お名前を、よろしいですか。」
「中千家(なか・せんけ)と申します。」
「社長、中千家様が、お見えになっています。・・あ、はい。」
受付女性は社内電話機を切ると、
「あちらのエレベーターで最上階の社長室へ、お上りください。」
高速エレベーターだった。扉が開くと黒沢が立ち上がり、
「中千家様。お待ちしておりました。」
と揉み手をして出迎えた。
応接室では秘書の美月美姫が、冷たい抹茶を出した。
黒沢は、
「さあ、どうぞ。お茶の先生の、お口に合うかどうか分かりませんが。」
と笑顔で勧める。中千家は頭巾をかぶったまま、
「それでは頂きます。」
と答えて、お茶の作法らしい手つきで抹茶を飲むと、
「おいしいですわ。これ、高級抹茶です。」
黒沢は満足げに、
「中千家先生の為に御用意させて、頂きました。入手に少し苦労しましたけど、おほめ頂き、光栄です。」
「早速ですけれど、わたしの弟子に未亡人の方が、おりまして・・・。という事は電話で、お話しましたね?」
「はい。その方が性的な不満を抱えていて男性器の付いた男子ロボットを制作してほしい、という事でしたね。」
「はい、さようで、ございます。お茶の新名門、中千家としましても弟子の希望を叶えたく存じております。」
「ぜひとも叶えられるよう頑張らせて頂きます。男子ロボットの外観についての御希望など、ありますでしょうか?」
中千家婦人は頭巾を右手で撫でると、
「仏像のようなものを希望しています。」
黒沢は少しビックリして、
「仏像!?で御座いますか?」
「ええ色んな仏像が御座いますけど日本や中国、タイにあるような仏像ではなくてチベットにあるような仏像が希望です。その仏像は女人と座ったまま結合している仏像など沢山あります。」
黒沢は得心した顔で、
「いや、これは初耳でした。なにせ仏像なんて見る趣味もなく、女性と無縁な感じの仏像の外観を持つロボット制作なんてと思ってしまいましたからね。チベットの仏像・・・で御座いますね?」
中千家は静かな微笑みと共に、
「はい。チベットの仏像、しかも女体と結合する仏を御覧ください。それから男子ロボットの制作を、お願いします。」
それで中千家は帰って行った。
黒沢は社長室に戻ると大型パソコンでチベットの仏像を検索して調べる。
「なななな、なんと、こういう仏像もあるんだな。初めて見たな、美月、ちょっと、おいで。」
近くにいた秘書の美月美姫を呼ぶ黒沢に、
「はーい。なんでしょう?」
と氷の上を滑るように移動してきた美月に、
「この仏像を見たまえ。」
「きゃっ、交合する仏様・・・。」
「そうなんだよ。チベットの仏像らしい。」
「チベットって、とても変わってますね。」
「変わっているらしい。こういう仏像みたいな男子ロボットを作ってほしいんだとさ。」
「あの中千家さんが、ですか?」
「そうなんだ。作れると思うね。仏像ロボットを。」
その日の夜、黒沢は千手観音菩薩の夢を見た。しかも、その周りには千人の裸の美女がいるのだ。
文字通り、千本の手を持つ観音菩薩は、それぞれの美女の乳房を揉んでいく。
その一本、一本の手が伸縮自在に伸びて、遠くで待機している女の全裸の乳房にも届くのだ。
そして、その手は全裸美女の左右の乳房を位置を変えて揉み愛撫する。
その場所は極楽らしく、広大な温泉地帯らしい。ともかく地球ではないようだ。美女たちは大地に寝そべり、ある者たちは温泉に入った。千手観音菩薩の千本の手は乳房から、彼女たちの股間の秘部へと移っていく。
乳房を揉まれるより感じる部分を千本の手が千のマンコを触り、愛撫し始める。
「ああっ、ははっ。」
「ああーん、いい。」
「あっ、あっ、ああー。」
まさに極楽とは、その場所ではないか。
黒沢は夢だと知りながら見ていて自分も千手観音菩薩になりたいと思った。
目が覚めた当日から黒沢は仏像型男子ロボットの制作に取り掛かる。優秀な技術者数人を指揮した黒沢は、数日でロボットを完成させた。こぶしを握った右手を上げて黒沢は、
「完成したぞー。人工知能も組み込んでいる。さあ、納品だ。」
中千家に完成した旨をメールで伝えると、黒沢は発送したのだった。
体験版・sf小説・未来の出来事59
マトモは相談員に言われた通りに椅子に座ったまま股間を開いた。それを覗き込んだ相談員は、
「おお。これはマトモですよ。取り付け型男性器を取り付けられるようにコンセントがありますね。少量生産なので取り付け型男性器は安くは、ないけどクレジットカードでも買えます。」
と得々と説明した。マトモは目をキョロキョロさせて、
「僕自体は、お金というものを持っていません。ですので御主人様に聞いてきます。」
「ああ、そうした方が、いいでしょう。」
と相談員は頷く。
豪華な邸宅に戻ったマトモは主人の富瓦保に、
「御主人様。わたくしめ、は取り付け型男性器を取り付けたいのであります。どうでしょうか?」
ソファに腰かけている富瓦保は少し驚いて、
「何を言うかと思ったら、その事か。いいよ。取り付けても。費用はワシが持とう。といっても、マトモ、おまえには長い間、給与も払わなかったね。よし、新車一台買える金を渡すから使ってきて買えるように。」
と語ると、テーブルの上に置いてある札束の一つをマトモに渡して、
「財布が要るな。はい、これが財布。この中に札束を入れなさい。」
と黒の本革の長財布も渡した。
外に出たマトモはタクシーを呼び止めて乗る。運転手も男子ロボットだった。運転手は、
「お客さん、ドチラまで行かれますか?」
「うん、女と遊べる所がいい。」
「分かりました。新中洲に行きましょう。」
タクシーは発車した。
富瓦保の屋敷は福岡市の郊外にあり、新中洲までは移動に時間が掛かる。故に絶対的に安全運転するロボットタクシーはノンビリと移動して行き、運転手は、
「お客さん、ワタシもロボットですけど、お客さんもロボットでしょ?」
「え?ああ、そうだよ。よく分かるね。」
「それは、もう、ワタシの人工知能に識別機能が埋め込まれているんでさあ。人目見ただけで気づきました。」
「ふうん。ロボットには悩みは、ないんだけど最新のバージョンの僕なんかには悩みという機能が、ついている。」
「へええ、そうなんですか。もしかして、女に対する悩みとか?ですか?」
「その通りだよ。美人と性交したくなってね。」
「おおお。それは、それは。新中洲に行く人間のお客さんは女と遊びに行く人が、ほとんどですよ。ワタシ、女と遊ぶって何だか分からないけど電子書籍で学習すると、女の股間のマンコが、その対象らしいんですね、お客さん。」
「そうだな。ウチの美人ロボットは私の御主人様の股間の長くなった肉棒を股間に入れられて喜んでいたんだ。だから僕も美人ロボットに、そうしてやりたくなった。」
「ああ成程ね。ワタシは、まだ、そのセックスとやらを、した事ないんでさ。頑張ってくださいよ。」
マトモはハッとして、
「そうだ!僕は股間に何にも、まだ、ついていない。ロボットにペニスを付けてくれる所を知らないかい?」
「ああ知ってますよ。格安でペニスを付けてくれる所。」
「そこに行ってくれよ。」
「はいはい、行きます。」
タクシーは方向を変えて走った。
静かな町の一角に大きな病院があった。その敷地内の駐車場にタクシーは停車して運転手は、
「ここですよ。入り口から入って受付で聞いてみると、いいです。」
と案内してくれた。
マトモは財布の中から現金を取り出して運賃を払うとタクシーを降りて病院に向かう。白い大きな建物に入ると大勢の人間の待ち人が座っている。受付に行き、マトモは、
「人工ペニスを付けて欲しいんですけど。」
と白衣の受付の若い女性に告げると、
「はい。ロボット様は健康保険は使えませんので全額負担して、いただきます。泌尿器科に行ってください。今なら待つことは必要ないです。」
と泌尿器科への順路を教えてくれた。
マトモは急ぎ足で歩くと泌尿器科のドアを開く。中には眼鏡を掛けた中年の医師が白衣で座っていたがニッコリして、
「やあ、どうぞ。そこに座って。」
と医師の前の椅子を手で示す。
マトモが座ると医師は、
「今日は、もしかして人工ペニスの移植かな?」
「ええ、そうなんです。僕もペニスが欲しいです。」
「うんうん、分かった。しかし君はオシッコもしなくていいだろ。」
「ええ、そうですねえ。そのためじゃなくて。」
「ああ。勃起するペニスが要るのかね?」
「そうです、先生、お願いします。」
「おお、よし。来るとは思っていたが、君が初めてだ。初めての手術なので安くしておくよ。フランス料理のフルコースの値段でいい。」
「それなら払えます。」
「よし。それでは、あの白いベッドに行って下半身はズボンを脱いで寝るように。」
「はい、そうします。」
マトモは手術台であるベッドに行きズボンを脱いで寝た。パンツなどは履いていないのだ。
医師はバイブレーターに似たものを左手に、ぶら下げて現れると、
「それでは、コレを取り付けるから。」
マトモの股間にバイブレーターのようなものが取り付けられた。そして医師は、
「君の意志で勃起は出来ない。それは人間の男だって自在に勃起できる人は稀だろう。バイブレーターには人工睾丸も付いている。右の金玉を握ると勃起して左の金玉を握ると勃起は萎える。便利だろう?やってみて。」
マトモは医師に言われた通りに右の金玉を握った。すると勢いよくバイブレーターは勃起した。勃起角度も若者のソレだ。
マトモは自分の股間を見て、
「おおスゴイ!見事に勃起してます。」
医師はニヤリとして、
「勃起チン長は19センチ。日本人の女なら一番満足する長さだよ。ただ電力消費も凄いから、十分間を目安に左の金玉を握って萎えさせる。やってみて。」
マトモは医師に言われた通りに左の金玉を握る。すると急速にバイブレーターは萎えてマトモの股間にダラリと垂れ下がった。医師は、
「よし、手術成功だ。受付で手術代を払いなさい。では又、何かあったら来るように。」
と満足げに語った。
股間に少しの重みを感じるマトモは立ち上がると手術室を出て行った。
病院を出るとマトモはタクシーを拾った。今度は初老の男性運転手だった。マトモが、
「新中洲に走って下さい。」
と告げると、
「はい了解しました。」
車は動き出す。
運転手は終始無言のまま、タクシーは新中洲に到着した。
マトモは財布から札束を取り出すと料金を払う。
道は歩行者天国となっていて両側に風俗の店が建ち並んでいる。ここは知られざる観光名所となっている。
人口大減少のため、九州各地、本州の中国地方の風俗店が倒産多数となった。そのために福岡市の風俗地帯に、その地域からの客が訪れる。南は鹿児島のならず、沖縄から本州からは岡山からも客が殺到する。
新中洲も福岡市中央区の埋め立て地にあるが、大駐車場は常に満車となった。そこから各地からの客も新中洲の風俗店に足を運ぶ。だから昼でも歩行者は多い。
マトモには風俗店の見別けも付かないので取り敢えず目に付いた店に入る。ファッションマッサージ「スペース・スチュワーデス」という店名で店内に入ると宇宙服を着た男の支配人が、
「いらっしゃいませ。ようこそスペース・スチュワーデスへ。只今、割引で御利用できます。指名なされますか?」
「いや、いいです。美人なら、誰でも。」
「かしこまりました。当店は美人ぞろいです。それでは、こちらの部屋へ、どうぞ。」
案内された部屋へマトモが入ると宇宙服を着た女性が頭を下げた。豊かな胸は隠せない美女だ。さっそく美女はマトモの股間に手を遣るとズボンのジッパーを降ろし、パンツの中からマトモのモノを取り出した。美女は目を見張ると、
「立派なものです。」
と話して右手でシゴキ始める。
五分しごいても何の変化も現れないので美女は、
「お客さん、今日は体調が悪いんですか?」
「そんな事ないよ。僕の右の金玉を握ってごらん。」
美女は言われた通りにした。
するとマトモの肉竿は勃起して19センチになる。
「きゃあ!すごく太くて長いんですね。わたし脱ぎます。」
彼女は宇宙服を脱いだ。
下着も付けていない美女は瓜のような乳房を顕わし、股間は黒の密林で覆われている。彼女は膝を曲げてマトモの勃起棒を口に含むと巧みにフェラチオしていく。マトモは、
「おお・・ああ・・。」
と感じた声を出した。
人工ペニスなのにマトモは感じてしまった。感じるとは思わなかったのだ。マトモの人口脳内に刺激を伝達する優れものなのだろう。人工神経が張り巡らされているロボットのマトモだ。美女の口内感覚と舌の動きはマトモを狂わせそうになる。が射精までは出来ない。二十分フェラチオをしても出さないので美女は壁の時計を見て、
「お客さん。時間です。強いワー。」
「うん、ありがとう。」
マトモは自分の左の金玉を握った。すると肉竿は急速に萎えた。
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宝山水子は動画が終わったのでパソコンをスリープにすると、
(なんだか凄い話だわ。あんなロボットは、いないわよねー。)と思うと眠くなったのでベッドに行き服を脱いで下着姿になるとパジャマを着て寝た。
不動産セミナーは午前10時から始まる。水子は遅れないように会場に入った。小さな会議室みたいな場所で聴衆は十人程度だ。10時になった。背広姿の司会の男が、
「それでは富瓦保氏による不動産投資セミナーを始めます。富瓦先生、よろしく、お願いします。」
ホワイトボードの前に座っていた初老の男性が立ち上がると、
「みなさん、本日は、お集まりいただき、ありがとうございます。」
水子はアッと叫びたくなるのを抑えた。ホワイトボードの前にいるのはアダルト動画で見た大富豪の富瓦保とソックリそのままなのだ。背広姿の富瓦は、
「誠に急速な展開では、ありますが本日は新しい時代のラブホテル経営という事で、お話をさせていただきます。」
「日本の人口は大減少しましたが、その大半は老人であります。老人にラブホテルは、ほぼ不要なのでありまして、したがってラブホテルは、これから儲かる産業となります。結婚できない若者もラブホテルで欲望を満たすのであるのです。
かくいう私も数軒ほどラブホテルを所有しています。
毎日、ほぼ満室ですから収益も、かなりなものとなっていますよ。特に東京に持つラブホテルは盛大なものです。
ラブホテルは一般客の他、アダルトビデオの撮影にも使われますからね。とても需要が、あるんです。」
そこで富瓦はニヤリとすると、
「やはり東京のアパート、マンションは小さいものが多く特にアパートは隣との壁も薄い。異性との関係を持つ行為は声を出す事になりますから。車を持たない人も多いのが東京ですからタクシーは盛況です。
ラブホテルへはタクシーでないとバスや電車では不便ですから。ラブホテルオーナー多くがアロナワクチンで死にました。後継者である子息もラブホテル経営する気が無くて売りに出しています。売りに出されて閉鎖しているラブホテルも多いのです。
東京だけでなく全国的に、そういう状況です。ですから、そういうラブホテルを皆さんから集めた投資金で買い取り、複数の方にラブホテルオーナーになっていただこう、というファンドも計画中です。」
そこで富瓦保は聴衆を見渡した。聴衆は、いずれも富裕層な人ばかりだ。一人の男性は椅子に座ったまま、
「いいですね。富瓦先生、僕、出資しますよ。」
と話した。
他の数人も、
「私も出します。」
「私も参加します。」
という声が上がった。富瓦は笑顔で、
「ありがとう、ございます。それでは、このラブホテル投資ファンドについて説明します。」
ラブホテル投資ファンドへは新車一台購入分位の費用で投資できるというものだ。宝山水子はファンドに投資する事を決めた。
説明会が終わりファンドに参加する人は個別に別室で対応するという事で水子は順番待ちで椅子に座って待った。やがて呼ばれたので別室に入ると富瓦保がテーブルの向こうに座って待っていた。富瓦は、
「ようこそ。椅子に座ってください。」
と楽しそうだ。水子を見ると、
「お名前を、どうぞ。」
「宝山水子と申します。」
「水子さん。もしかして水子の霊の水子ですか?」
「ええ、そうなんです。」
「気にされる必要は、ないと思いますよ。水のように流動的に投資をする事が大切です。そういう意味で、いい名前ですよ。」
「有難うございます。富瓦さん、わたし、あなたとソックリな人を見ました。」
「ほ、そうなんですか?世の中には自分似た人は何人かいる、と言いますからね。」
「アダルトビデオで見たんです。」
「ああ、それね。実は僕の弟が俳優なんですよ。だから兄さんの役でアダルトに出ると言ってました。」
「なるほど、わかりましたわ。」
「あれは僕も見ていますよ。実の弟だから兄の真似は、しやすい。」
「ビデオの中のような豪邸に、お住まいなんですね。」
富瓦は西洋人のように肩をすくめて、
「いや、あんなに大きくは、ないですよ。必要もないし。」
「美人ロボットを購入されたとか。」
「それも、ないですね。ま、僕は独身ですけどね。あのビデオは飽くまでも作り物ですからね。」
「なーんだ。そうだったんですね。死別された奥さんが、いらっしゃるんですか。」
「いえ。ずっと独身なんです。僕は不動産で財を作りましたがケチなんでね。妻を養うなんて金の要る事は出来なかった。ラブホテルにしても、男女の情事に興味があるとかの理由ではなくて、儲かるからなんです。不倫目的の利用もあるし、女遊びのためにあります。
倫理なんて考えていたら金儲けは出来ませんよ。僕は聖人君子では、ないです。宝山水子さん、貴女もそう思いませんか?」
富瓦保は真面目な目をして水子を見た。水子は、
「わたしも倫理なんて考えませんし、わたしも独身ですわ。」
「おお、そうなんですか。あなたのような美人が珍しいですね。今までも独身?」
「そうです。」
「ならば財テクは必要ですね。」
「不動産を幾つか持っていて、それで暮らせますもの。」
「うーん、既に大家さんですか。ラブホテル投資ファンドは小額から投資できますが上限は、ないですよ。集まれば集まるほどラブホテルを買えます。今が最低の人口の日本ですから、これから若者は増えますし、ラブホテル利用は増えるばかりなんです。」
と富瓦保は断言した。水子は、
「可能な限り投資します。」
「有難う。それでは見積もり案内書をメールでお渡ししますので、電子契約書として了解していただき、可能な投資金を弊社の銀行口座に、お振り込みください。」
「スマートフォンからでも出来ますか?」
「はい出来ますよ。」
「富瓦さん。セミナー終了後に、お会いしたいんですけど。」
「え?いいですよ。あと数名の方で終わりますから会場で待っていて下さい。」
水子は個別案内の部屋を出て会場に戻る。残りの二名が、それぞれ間を置いて呼ばれ個室に入り、出てくる。会場には水子一人になった。
そこへ富瓦保が現れると水子に近づいてきて、
「お待たせしました。行きましょうか。」
宝山水子は立ち上がると、
「はい。お供します。」
二人は会場を出てエレベーターに乗り一階へ降りてビルを出た。歩道を歩きながら富瓦保は、
「丁度昼食の時間ですね。私が御馳走するから、ついて来てください。」
「はい。いただきます。」
彼らの左手に激安食堂が、あった。中に入ると人で、ごった返していた。カウンター席は満席、奥の二人掛けのテーブルが空いていたので富瓦保は、そこへ行き腰かける。それに向かい合わせて水子も座る。昼のランチは確かに安いものだった。並んで待っている人達は、外では行列を作っているらしい。富瓦は、
「なるべく急いで食べてください。」
と語ってから激安ランチを食べ始める、水子も急いで食べた。
外に出ると行列が出来ていた。
富瓦はタクシーを呼び留めた。
車内の後部座席で、
「糟屋郡のラブホテルまで。どこでもいいから見つかり次第停車してほしい。」
と指示した。若い男の運転手はバックミラーで後部座席の水子を見るとニヤニヤしながら、
「了解です。発車します、行きます、出ます、駆け抜けますー、」
と言わなくていいような言葉を発すると車は動き出した。
福岡市の東が糟屋郡だ。
昔から車道沿いにラブホテルが建っている場所もある。
水子はドキリとしたが、富瓦となら経験してもいいと思った。
タクシーが糟屋郡に入ると車道の幅が狭くなる。そのまま北九州市に向かうと車道は段々と広くなり、道路の脇の樹木はヤシの木のような樹が並んでいる。
左手の方には海岸が見える。その近くにラブホテルは、あった。運転手は、
「左に見えます、あの建物はラブホテルで、ございます。あそこに、なさいますか?」
富瓦は、
「うん、あそこに回してくれ。」
タクシーは幹線道路を左に外れて、横幅の広い建物に近づいて行く。建物の前面に温泉マーク♨が見えた。
その建物の前のロータリーにタクシーは停車して富瓦がスマートフォンで運賃を決裁した。運転手は、
「この度は御利用、誠に有難うございました。又の御利用を心より、お待ちしております。」
と普通のタクシー運転手とは、まるで違う言葉で礼を言った。
タクシーを降りて二分で温泉付きラブホテルに富瓦と水子は入った。温泉の持つ硫黄の匂いがする。
富瓦はスイートルームらしき部屋へ水子を先に入れた。
天井からは豪華なシャンデリアが部屋を贅沢に見せている。
富瓦の顔つきは変わらず、
「ここのラブホテルも買収予定なんですよ。こんなところに連れこんで何でしたね。でも実物を見るのが一番いいから。」
と、さりげなく話す。
水子はホットした顔で、
「富瓦さんと経験するのかと思いましたわ。」
「いや、顧客と関係を持つなんて私には出来ませんね。ビジネスとは、そんなものです。」
「ビデオのように富瓦さんは美女ロボットを所有しているのですか。」
「いいえ。私はロボットは苦手なんですよ。女性も苦手なんですが弟は違う。富瓦守っていうのが本名ですが、俳優名は幾つか持っています。アダルトに出る時も名前は変えています。人相さえ変えますから同じ人物とは気が付かれないらしいですよ。本人が話していましたから。」
「そうなんですか。」
「私より少し下で63歳です、弟は。実生活でも女が3人います。東京に住んでいるんですよ。出身は私と同じ福岡市です。父は幅広く不動産業を営んでいました。
それで私も早くから宅地建物取引主任者の資格を取り、父の不動産会社に入社しました。去年、父は亡くなりましたが弟は別の世界に東京に行き、飛び込んだんです。それは役者の世界です。」
富瓦はダブルベッドの片隅に腰かけると、
「宝山さんも、そこにソファがありますから、腰かけてください。」
「はい、失礼します。」
水子は深い座り心地の水色のソファに座る。富瓦は、
「弟もラブホテル・ファンドに金を出したいと言っています。神奈川県のラブホテルも買収予定で、実際に弟にも、そのラブホテルに行かせていますが、三人の女を日替わりで抱くそうですよ。それで実際のラブホテルの泊まりやすさとかを報告してくれます。それに給料は出してあげていますけどね。
ウチの会社の社外取締役にしています。やはり父譲りなのか不動産に対する目利きは持っていますよ。不動産屋の役を弟がやると本物みたいです、宅建の資格は弟は持っていないけど・・・。」
「素晴らしい弟さんですね。」
「うん、まあね。それが奴も独身なんですよ。子供も、いないし、それは私と、おんなじだ。結婚しろよ、と言っているんですが、
「兄貴だって独身じゃないか。」
と反論されると何も言えません。」
「わたしだって独身ですもの。」
「あなたは若いし、これからですよ。でも弟は歳だからね。誰か、いい女性を知りませんか。」
「知りませんわ。」
「うーん。そうですかー。そうですねー。」
水子は親友の弓島篠江を思い出した。それで、
「わたしは知らなくても友達は知っているかも知れません。ちょっと聞いて見ます。」
富瓦保の顔に希望が差し込んで、
「それは是非、お願いしますね。」
と言い頭を下げる。
「まあ、頭を下げて、いただかなくても。恐縮ですわ。電話してみます。」
と水子は云うとスマートフォンを取り出して通話する。
「あ、篠江?水子よ。今、あなた暇?」
「うん、今日は休みになってしまったの。水子は?」
「わたしも休みみたいなものよ。今、ラブホテルに居るの。」
「ラブホテル?一人で居るんじゃないでしょ。」
「もちろんよ。お金持ちの叔父様と一緒にいるワ。」
「うわあー、いいわね。パパ活でも、してる訳?」
「そうじゃないわよ。篠江、貴女も来て欲しいのよ、ここのラブホテルに。」
「ええーっ?3Pでも、するのかしら?」
「そんな事じゃないから安心して来てね。」
「場所は何処なの?」
水子は富瓦保を見ると、
「ここの住所とか分かります?」
「糟屋郡波高町のスグニキテホテルです。スマートフォン検索でも出るし、タクシーの運転手に言えば分かりますな。」
水子は、
「糟屋郡波高町のスグニキテホテルですって。」
と又、富瓦を見ると、
「何号室ですか?」
「1010です。」
「篠江、1010ですって。」
「それならタクシーを拾って行くわ。」
「うん、待ってる。」
通話を切ると水子は、
「弓島篠江という私の友人が来ます。彼女もモデルとかコンパニオンも、しています。」
「それは、ありがたい。楽しみですね。」
と富瓦保はニコヤカな顔になる。
弓島篠江はフレッシュアイランドの路上でタクシーを拾った。「糟屋郡のスグニキテホテルまで。って分かります?」
中年の運転手は帽子を被りなおすと、
「わかりますよー。よく行きますので。」
と答えて車を発進させた。
運転手はバックミラーで篠江の顔を見ると、
「お客さん、あそこはラブホテルですよ、スグニキテホテルは。」
「ええ、そうらしいですね。」
「お。それなら、お楽しみですか。いーですねー。」
「フフ。そうでもないらしいのね。」
「ええっ?そうなんですかー。仕事。とか。」
「じゃないかなー、と思うの。」
運転手はバックミラーで篠江を、もう一度見る。顔は美人だし胸は豊かだ。ゴクリと生唾を飲みこむと運転手は、
「お客さん。運賃を四分の一に出来ますよ。ある事を了解して頂くと。」
「そうなの?ある事って・・・。」
「いやね、お客さんの姿を赤外線カメラで見る事が出来るんですけど、勝手にすると犯罪になりますから。お客さんの了解を得て、それで運賃は四分の一に出来ます。」
「えっ?そんなことが出来るの?」
「ええ、これ私の個人タクシーです。」
「ああー、そうなのね。赤外線カメラで見ると私の洋服が透けて見えるの?」
「ええ、そうです。」
涎を垂らしそうな運転手の顔だがハンドル捌きはシッカリしている。篠江は心配そうに、
「私の裸を見て運転は大丈夫なのかしら。」
「はい、自動運転に切り替えてから赤外線カメラを作動させますので。」
「そうなの、それなら赤外線カメラで見ていいわよ。」
篠江は後部座席に深く座って胸を張り、股間を広げてみる。
運転手は自動運転にして赤外線カメラを作動させた。
運転席のモニター画面に篠江の洋服が透けて豊満な胸はブラジャーも透けさせた。股間にカメラレンズを合わせると、篠江の白のショーツも透けて見えて黒の陰毛が黒々と茂みをなしているのは性欲を強力に誘発した。
運転手はスグに半勃起した。そして、
「お客さん、わたしゃ立ちかかっています。でも自動運転だから大丈夫ですよ。」
「うふふ。立ちが速いのね。わたしのオマンコの割れ目も写っている?」
「はい、見えます。あ、全勃起です。」
「運賃は四分の一で、いいのね。」
「あ、はい。もうタダでいいです。」
「そう、嬉しいな。」
篠江は股間を大胆に広げた。運転手は、
「おほっ。オマンコの割れ目が丸見えです。」
「いいのよ。そうなるように、したんだから。」
「すっごい、もう出そうです。」
「出したらいいのに。」
「でも仕事中ですし、我慢します。」
篠江は股間を更に開いてショーツの上から二本の右手の指で陰唇を開いた。
運転手の目はモニター画面に釘差しとなった。モニター画面には篠江の女陰唇がハッキリと映し出されているからだ。
「すんません、出していいですか。」
「ええ、いいわよ。車内を汚さない方がいいと思う。」
「ええ、それは準備していますから。」
運転手はティッシュペーパーを取り出すとズボンのファスナーを下げてパンツの中から雄々しく隆起したモノを取り出すとモニター画面に映った篠江の全陰唇を見て射精する。左手のティッシュに上手く収めたらしい。
タクシーは停車した。
スグニキテホテルの前のロータリーに到着したからだ。運転手は後部ドアを開けると、
「お客さん、ありがとう。運賃はタダにします。」
「ほんとう?嬉しいな。それじゃあね。」
篠江はタクシーを降りた。
体験版・sf小説・未来の出来事58
島尻は天絵の問いに、
「ああ、今でも置いているよ。」
天絵は包丁を置くと、
「それなら、いいワ。」
と楽しそうに答えた。
朝から天絵が料理で作ったのは牛焼き肉にアボカド入りサラダ、ご飯にアサリ貝入り味噌汁だ。
島尻はテーブルに座ると、
「おおっ。豪勢だね。いただこうか。」
「いただいてくださいな。」
レストラン並みの味がする料理だった。
島尻は、
「とても美味い。料理が得意なんだね、君は。」
「わたしファミリーレストランで働いていた事があるの。そこでは配膳がロボットだけでなく皿洗いもロボットが、していたわ。料理だけは人間が担当だけど、キャベツの千切りもロボットだと乱れなくしていたの。
店長までロボット。だったのには驚いたけど。」
島尻は牛肉を食べ終わると、
「ふーん。警備員はロボットを使ってないよ。」
「そうですか。ファミリーレストランの給料はやすいから、というのも激安なファミリーレストランだったから。
わたし中洲の風俗で夜は働いたわ。
そのうちアダルトビデオのスカウトに出会ってAVデビュー。」
「ふむふむ、なるほどね。」
「あの花束の中に隠しカメラが仕掛けてあるの。」
「おお、そうだったのか。でも、あれからレンタルロボットとは何も出来なかったと思うけど。」
「うん。うちのメーカーにカメラからの動画は電波で飛んでいくから昨日の撮影は売り物にならないって社長さんから連絡が、あったのよ。」
島尻は全部食べ終わると、
「すごいな、僕は一か月後に撮影してもらうメーカーだろ、君の所属する。」
「そう。昨日の撮影が、よかったら社長は島尻さんにギャラを払うという事だったけど。だめだったから今日は私と、あの花束のあるベッドでセックスしましょ。」
「そうしよう。でも、もう出勤だからね。」
「それなら私も出る。何時頃に来たら、いいかしら。」
「夕方、六時には戻っているから。」
「それなら、その位に来るわ。」
外は豪雪だった。
華野矢天絵はタクシーを拾っていた。
警備の仕事はフレッシュアイランドに出来る建築物の工事のそばでの交通警備だった。豪雪を払いのけながら島尻は仕事した。
休憩時間に仲間の一人の男が、
「あの建物はラブホテルらしいね。」
と話した。
島尻は、
「そんな感じの建物だねー。」
と答えて置いた。
島尻のマンションは中央区中浜なので仕事は歩いて行ける場所なのだがバイクでの移動が認められているので原付バイクで通勤した。
一日中凄い雪だった。終わって中浜にバイクで戻ると中浜ラーメンの店で大盛ラーメンを島尻は食べる。
マンションに戻るとスマートフォンで、
「わたし。天絵よ。今、近くのラーメン屋にいます。今から行ってもいい?」
ドアの鍵を取り出すところだが、指紋認証パネルに指を当ててドアを開くと中に入り、
「ああ、今、帰った所だから。」
とスマホに答えて置いた。
中に入って十分もすると天絵が来た。
「お持ち帰りラーメン持ってきたの。食べてね。」
「ありがとう、いただくよ。」
台所で島尻は天絵が持参したラーメンを食べる。
なんだか股間がムクムクしてきた。
天絵が傍に来て、
「それ精力ラーメンという裏メニューなのよ。トンカットアリとかスッポン、マカ、なんかが入っているのね。うふふ。」
と、ほくそ笑む。
「そうなんだろうな。少し勃起している。」
「それではベッドへ行こうー。」
天絵は島尻の腕を取ると立ち上がらせた。
天絵はベッドにハンドバッグを持って入って来る。
それから彼女は素早く全裸になる。
島尻も全裸になった。天絵はハンドバッグの中から靴を取り出すと、
「島尻さん、この靴を履いて。」
と靴を差し出す。
「靴を履いてセックスするというのか。」
「そうよ。わたしも靴を履くわ。」
天絵は率先して裸身で靴を履いた。
少し天絵の背が高く見える。
身長を高く見せるための靴か。渋々、島尻も靴を履くと、
「なにか軽い靴だな。」
「ええ、もっと軽くなるわ。
「???」
「靴の上の方にあるボタンを押すのよ、こうやって。」
天絵は、しゃがむと左右の靴の先端にあるボタンを押した。
すると!
彼女は上へと浮かび始めたのだ。
空中浮揚したのである。島尻は驚いて、
「無重力状態に、なっているね、天絵さん。」
「そうなの。気持ちいいわよ。無重力状態って。」
「そんなら僕もボタンを押そう。」
島尻も屈んで靴のボタンを押した。すると体がフワフワと浮き出したではないか。島尻は、
「凄い発明品だ。どうして手に入れたんだい。」
「これはね。宇宙人から貰ったのよ。」
「ううん。そうだろうねー。」
「それで、その御礼に、その宇宙人、男性だけど、がここに来るのよ、もうすぐ。」
「えっ、ココに来るって・・・・。」
その時、玄関チャイムが鳴る。島尻は床のパンツを取ると宙に浮いたまま、パンツを履いた。それから泳ぐように玄関に行くと、外を映すモニターカメラに色の白い男が立っている。
島尻は、
「今、取り込み中なんですが。」
「いえいえ構いません。僕は貴方方のセックスを見たいから来ました。華野矢天絵さんに宇宙靴をプレゼントした、お礼に見せて貰えるという事で。」
島尻はベッドの方を振り向いて、
「天絵さん、本当かい。」
天絵は全裸で宙に浮いたまま、
「本当よ。わたしも行く。」
天絵も泳ぐように全裸で玄関に来た。
モニターカメラに写っている男は、
「ああ華野矢天絵さん。全裸ですね。中に入れてくださいよ。」
「ええ。島尻さん、玄関ドアを開けて。」
「うん。」
肌の白い背の低い男が入って来た。歳は二十代前半というところか。彼は、
「華野矢天絵さんに話したけど僕の星の宇宙靴を差し上げたので、お礼に貴方方のセックスを見れるという事ですね。僕は座って見ているから、さあ、始めて。」
と言うなり床に座った。
ベッドの前で特等席だ。
天絵はベッドに登った。そしてジャンプする。無重力状態が彼女を空中に浮かせた。天絵は誘う目つきで、
「島尻さんもベッドに登って飛んでね。」
島尻は、
「よし、そうする。」
ベッドに登って跳躍した。やはり天絵と同じように無重力状態になった島尻は宙に浮いている。パンツ姿の島尻に天絵は島尻を指さすと、
「島尻さん。パンツ履いたままだわ。」
「ああ、ごめん。そうだったね。」
と答えてベッドの上に浮かんだままでパンツを脱いだ。
ダラリと垂れた島尻の股間棒は天絵が浮いたまま近づいてくると即勃起した。
天絵は驚きの目で、
「島尻さんスグに勃起したわ。」
「ああ。無重力状態だから勃起するのは早いんだろう、きっと。」
「無重力状態のセックスって楽しみ。ウフフ。入って来て。島尻さん。」
天絵は宙に浮いたまま両手と両脚を大きく広げた。
島尻は平泳ぎのような手つきで天絵の裸身に近づくと、空中浮揚立位性交を敢行した。
「あああ。重力のないセックスって気持ちいい。」
天絵は島尻の背中に両腕を回して両脚は折り曲げて島尻の尻に当てる。
天絵の女壺に埋め込まれた島尻の肉道具は勃起の維持は容易だった。島尻は尻を無重力状態で前後させた。
天絵はスグにアクメに達する。
島尻も天絵も楽な気持ちで性交に励んでいる。重力がないので性器の結合だけでなく身体を筋肉を使って支えることが無いからだ。
小柄な宇宙人男は興味ありありの顔で二人の交わりを見ている。いつの間にか彼は伊達メガネを掛けていた。
二人は一時間も空中浮揚性交を続けたのだ。
遂に島尻は頂点に達して股間棒を縮小させた。天絵から離れると、まだ空中に二人は浮いている。
小柄な宇宙人は、
「よかったですね。僕は満足です。この眼鏡は撮影出来ました。自分の惑星に持って帰ってアダルト動画として販売します。」
空中の二人は納得した。天絵は、
「ええ構いませんわ。わたしは。島尻さんは?」
「僕も同じく同意します。」
宇宙人は、
「アリガトウ。疲れたでしょう。靴の先のボタンで無重力状態から解放されますよ。」
二人は靴先のボタンを押す。
するとユックリと二人はベッドに軟着陸した。
二人にドッと疲れが襲ってきた。
重力の重さが戻ってたからだ。
宇宙人男は、
「ああ、うん、疲れたんでしょう。ゆっくり休んでね。」
天絵は、
「体は疲れていますけど頭は疲れていませんわ。宇宙人さんは何処の星から来たんですか。」
「ああ、そう遠くない星ですよ。でも地球からは、まだ発見さていませんけどね。」
島尻は、
「その星にも重力は、あるんでしょ。」
「ありますよ。地球と同じ位の重力は。」
宇宙人男はスマートフォンのようなものを取り出すと、
「これは地球のスマートフォンと似てますが、未来映像を見れるんです。」
ベッドで寝ている二人は驚く。天絵は、
「未来映像ですか。」
「そうだよ。この機器から壁に投影して、その映像を映すから。」
宇宙人男は機器を操作した。
部屋の壁にスクリーンが現れる。そこに映し出されたのは・・・。
アメリカ大陸だが自由の女神が映し出された。
自由の女神が手にしているのはアメリカの国旗だが赤色の背景に中国の国旗とインドの国旗が混ざり合ったものだ。
世界地図が映し出された。
そこにあるのはアメリカの国名がチャイインドと記されている。チャイインド合衆国。それが旧アメリカの国名だ。
ホワイトハウスはチャイインドハウスと呼ばれている。ペンタゴンはチャイインドゴン。
チャイインド大統領は中国人とインド人の四年ごと交代で選ばれる。人口の大半が中国移民とインド移民で締めらているチャイインドだから自然と、そうなったのだ。
またアメリカ議会の議員も中国人とインド人以外には、いない。
ニューヨークなどの大都市が映される。そこにも大半は中国人とインド人が通行人として映し出された。
中国の人口は20億人、インドも20億人。アメリカに移民したのは、それぞれの国で4億人と言われている。
アメリカの人口は11億人にも、なった。
アメリカもワクチンで大半の白人が死んでいったのだ。
世界各地からアメリカに移民して中国とインド以外は2億人以上。
日本は現在、三千数百万人である。不動産価格は大暴落した。それでも買われない不動産は売れない。
時流太郎は藁束のような価格の不動産を買いまくってみる。専務の本池釣次郎も漁村を丸ごと買ったりしている。
会社で釣次郎は社長の流太郎に、
「悲惨な人口ですけど漁村を買えるようになれるとは思ってもみなかったんです。」
「それでも中洲なんて価値が下がらないね。風俗街は買えないよ。」
「それは、そうですけどね。我が社には、まだまだ不動産を買える資金がありますよ。」
「うむ。とは言っても田舎の水田を買っても、しょうがないよ。」
人口が四分の一になった日本では顧客を失った大企業が中小企業になっていた。流太郎の会社などは元々、顧客が少なかったために受けた打撃も少ない。
ワクチンによる人口消滅なので若者の多い国には、なっている。
流太郎はノートパソコンでサイトを調べつつ、
「安い風俗を作ろう。」
と釣次郎に話した。
釣次郎は、
「風俗って高くないと成り立たないのでは?」
「デリバリーヘルスを少しだけ安くするのさ。」
「それなら・・・といっても、どうやって。」
「女ロボットデリバリーヘルスだ。」
「ああ、なるほど。」
「今はボロカスのように家賃が安い事務所は、いくらでもある。博多駅周辺は若い男性が多い。この前に買った北九州の牧場は安定した利益を取れているし、会社として買った賃貸マンションも十を超えた。中洲のビルを買えたらビルごと風俗にするけど中洲のビルは、やはり高い。」
「中洲の風俗も料金を下げませんしね。」
「ああ、そうだ。そこで無店舗販売のデリヘルを始めれば、いい。」
そこで開業届を行政書士に依頼して、それを警察署に届け出た。それから流太郎は電話を掛ける。
「あ、もしもし。お久しぶりです。時です。」
「ああ、時君か。今日は、どうした?」
「女性ロボットを購入したいと思いまして。」
「そうか、ありがとう。今から来てくれれば、いい。」
「それでは今から参ります。」
「うん、待っている。」
二十分後にサイバーモーメント株式会社に到着した流太郎は受付に社長室に行く事を伝えた。
受付も美女ロボットだった。
車内電話で美女ロボットは連絡を取ると、ニッコリして、
「黒沢社長が、お待ちです。」
と答えてくれた。
人間ソックリなのは驚くばかりだ。
最上階の社長室では昔のように美人秘書の美月美姫が出迎えてくれた。
「時さん、お久しぶりですね。」
と美月が話すと流太郎は、
「お久しぶりです。お元気そうですね。」
「ええ、おかげさまで。」
そこで美月は振り返ると、
「社長、時さんです。」
「おうおう、時君。待ちかねたよ。」
椅子を立ち上がって黒沢は時の前に来た。
「黒沢さん。美女ロボットを購入したいんです。」
「まあ、あそこのテーブルに行こう。」
それで二人は応接セットに腰かけた。黒沢は、
「どういう目的で使うのかな。使用目的を知りたい。」
「デリバリーヘルス用の美女ロボットです。」
「うん、そう来るのではと思っていたよ。そういう依頼は初めてなので開発には時間が掛かる。一か月、数か月かな。」
「あまり高性能でなくても構いません。」
「そうかね。では数週間で作ろう。」
流太郎は頭を下げると、
「よろしく、お願いします。」
「ああ、引き受けたよ。」
美月美姫がマンゴー紅茶を二人に運んできた。
流太郎は自社に戻ると釣次郎に、
「数週間は、かかるそうだ。」
「それでも早いと思いますよ。」
「それまで何とか、してみる事もあるかと思う。デリヘルの開業は許可されたのでね。」
釣次郎は楽しそうに、
「それでは女の子ですね。もちろんインターネットで応募しましょう。」
「スマホ用のサイトを作ってくれ。」
「はい。すぐ出来ますよ。年齢制限は、どうしましょうか。」
「上限は24歳だ。」
「うわ、そこまでで。」
「それ以上は要らないと思う。」
「はい、それでは。」
本池釣次郎は机の上のノートパソコンでサイト作りを始めた。カチャカチャ、と動かしている指を止めて釣次郎は、
「店名は何にしますか?」
「そうだな。愛の秘宝。で行こう。」
「秘密の宝ですね。」
「そうだよ。そのうちに美女ロボットも完成する。初期投資は掛かるけど、それは回収できるさ。それまでは牧場の収入、不動産の収入がある。人口削減計画でアロナワクチンは作られたのかもしれないけど、お互いに俺たちはワクチンを受けてないから死を免れた。」
「黒沢社長たちもワクチンは受けてないんでしょう?」
「ああ、受けていないと話してたよ。全社員に受けさせなかたらしい。」
「社長の恋人だった城川さんは、ワクチンは・・・。」
「冬眠中だろう。受けるはずは、ないと思うよ。」
「全世界で人口が減りましたものね。」
「ヨーロッパが一番減っただろう。過疎化した国ばかりだ。」
「あ、サイト作りを続けます。」
三十分位で大体サイトは完成した。
流太郎は斜め横の席の釣次郎の真後ろに立つと、
「あとは写真画像が必要だね。何人か採用して写真を撮る。動画も取る。福岡市は昔から若い女性が他の地方から来るから人口回復も割と早いし、SNSで募集してみよう。」
「わかりました。水着SNSなんてのも、ありますからね。」
パソコンで釣次郎は検索すると、ミズギーヌなるSNSが見つかった。
釣次郎は福岡市の水着美人を探した。ビキニの美人が出てくる。それにイイね!を押して行く。そうするとイイねを押された女性にイイねが押されたのが届く。
釣次郎も顔出して登録しているのでイイねを押された女性も安心感を持つのだ。
ホンツリさん、イイねを、ありがとう。
というメッセージが来た。
ホンツリとは本池釣次郎のハンドルネームだ。
いいえ、どういたしまして。
貴女の水着姿が眩しい。
と釣次郎は送信した。
その水着美女のハンドルネームはアカリだった。
褒めてくれて有難う。
と又、釣次郎にメッセージが到達した。
どんな、お仕事されていますか?
と釣次郎はメッセージを送った。
モデルとかコンパニオンしています。
と返信が届いた。
収入の方は、どうですか?
と釣次郎が送信。
ーあまり、よくないですけど。
-だったらウチで働きませんか。収入のいい仕事ですよ。
ーそれなら、やってみたいです。
-それでは一度、来社ください。当社のサイトアドレスを送ります。
釣次郎は愛の秘宝のサイトアドレスを送った。最初から、どういう仕事か分かるというものだ。それで来ないのなら、それでいい。清楚で可愛い顔の女の子だが水着の体は成熟していた。胸はビキニから、はみ出そうで股間の部分は縦スジがクッキリしている。盛り上がった股間の美女だ。
しばらくして返信が来た。
ーやってみたい仕事なので面接に行きます。
_よかった。即採用と思います。是非、御来社ください。
ーはい。今からでも、いいですか。
-ええ、場所は分かりますか。
ーサイトにアクセスの地図があるので分かりますよ。
-それでは、お待ちしています。
という事で水着美女が来る事となった。
真冬の季節だ。
軽装では来ないだろう。三十分後に現れた水着美女は分厚いオーバーコートを着ていた。
「こんにちわ。面接に来ました。弓島篠江と申します。」
明るい声で自己紹介した若い美人は立ち姿もイイ。
釣次郎は立ち上がって、
「ようこそ。そこの椅子に、掛けてください。」
弓島篠江は椅子に座る。
釣次郎は、
「デリバリーヘルスの仕事の経験は、ありますか?」
「ありませんけど興味は、ありましたわ。」
「サイトに顔出しは、マズいでしょうね。」
「それは目線を隠してもらえれば出来ると思います。」
「ああ、なるほど。では、そうしましょう。運転手を雇うまでは僕が運転します。」
「ええ、お願いします。」
「本番などは、しないでくださいね。念のため、ですけど。」
「ええ。分かっていますわ。」
「年齢は、おいくつですか。」
「二十二歳。」
「若いな。とても、いいですね。彼氏は?いますか。」
「いません。」
「どのくらい、いないの?」
「一年くらいかな。」
「うん、アイドルっぽい容姿ですね。」
「よく言われますよ。でもアイドルになる気なんて、ないんですけど。」
「うーん。貴女なら高級デリヘルでウチもスタートできます。」
「嬉しいな。」
そこへ社長の流太郎が、
「初めまして。社長の時です。貴女には他にも仕事をしてもらおうと思います。今、構想中ですが、その仕事からも高収入は得られると思いますよ。」
「社長様、初めまして弓島篠江です。モデルとかキャンペーンの仕事って福岡では安い収入ですの。初めての風俗だけど男性経験は少しありますので頑張りますわ。」
と篠江は宣言した。
「ありがとう。まずはデリバリーヘルスの仕事を、お願いします。」
「はい、頑張りますわ。」
という事で弓島篠江の目隠し画像をサイトに載せる事になった。
二十分後に電話が鳴った。釣次郎が電話を取る。
「はい、愛の秘宝です。」
「あ、サイトに出ているシノンさんに来てもらいたいんだが。」
老人男の声がした。
「はい、送ります。場所は、どちらですか。」
「福岡市南区豊山(ゆたかやま)一丁目・・・。」
と番地まで話した。
自宅らしい。豊山とは文字通り、小さな山になっている場所の地名である。
「はい、それではシノンを送り届けます。お待ちください。」
「ああ、待っているよ。」
電話は切れた。釣次郎は立ち上がると、
「弓島さん。最初の顧客だ。年寄みたいだね。」
篠江も立ち上がり、
「年齢は気になりませんわ。」
と話す。
流太郎も立ち上がって、
「頑張ってくださいね。」
と篠江を激励した。
釣次郎が運転する会社の車で二人は南区豊山に向かった。
フレッシュアイランドから豊山に辿り着くまでには三十分は必要だ。かなりの部分を緑地地帯として残しているため、邸宅を建設すると土地代は福岡市でも有数の高値となる。
二人の眼に大邸宅が映った。電話で老人が話した場所が、その大邸宅だ。釣次郎は自動運転なので気楽に、
「凄い大きな家だね。」
と後部座席の弓島篠江に話しかける。
「本当です。こんなに大きな家が福岡市に、あったんですね。」
その大邸宅の大きな門の前にはロボット男性警備員が立っていた。
車を停車させて降りた釣次郎は、
「デリバリーヘルス愛の秘宝です。」
と話すと、
「門を開けますので、通って下さい。」
とロボット警備員は答えた。
開いた門から釣次郎は車を進める。
数十台は駐車できる広さがあった。石段を登っていくと広い玄関に行くと扉が開き、男の老人が顔を出した。釣次郎は車で待っている。弓島篠江は、
「愛の秘宝から来ました。シノンです。」
老人は笑顔で、
「ようこそ。入って下さい。」
と簡潔に言う。
長い廊下の奥の部屋が寝室だった。
老人は、
「実はインポテンツになってしまってね。色々とデリヘルを頼んだけど、全部失敗した。それでも勿論、金は払った。あんたの場合、上手く行きそうだね。」
と弱弱しく話したのだ。
篠江は、
「何とか頑張ります。」
老人はベッドに腰かけて、
「まず、あんたの手で、やってみて。」
と股間を開く。
篠江は老人の股間のズボンの上から右手で触れてみた。
「おうっ。」
と老人は声を上げる。
少し股間が膨らんだのだ。老人は立ち上がるとズボンを脱いでパンツも脱いだ。
かなりの巨根だった。篠江は右手で老人の巨根を優しく握り上下に動かす。すると巨根は膨らみ始めて半立ちとなる。老人は、
「十年ぶりだね、シノンさん。半立ちでも満足だよ、私は。」
篠江は上半身の服を脱いだ。
盛り上がった二つの丘が白のブラジャーで覆われている。
老人のモノは少し上向く。
篠江は、ためらわずにブラジャーを外した。
なおも上向く老人の肉棒、篠江は、
「ベッドに腰かけてください。」
と要望した。
「ああ。いいともさ。どっこらせっ。」
腰かけた老人の前で篠江は跪くと新鮮な果物のような彼女の弾力性のある白い乳房で老人のモノを、はさんだ。老人は、
「おおっ、気持ちいいっ、」
と叫ぶと彼のモノは勢いよく反りかえったのだ。
全立ちとなったのである。
老人の顔は満喜色となり、
「ううん、立った。勃起したのは十年ぶりだ。」
篠江も嬉しそうに、
「パイズリしますわ。」
と話して自分で両乳を上下に揺らす。
三十分も篠江の乳房に、はさまれて揺らされた老人の勃起棒は射精せずに持ちこたえた。
篠江は腕時計を操作してデジタル表示を腕時計の上部から二十センチの空間に浮き出させていたので、それを見ると、
「お客様。時間です。」
と話して桃乳を外す。老人は、
「そうか。ありがとう。デジタル画面が空中に浮いていたね。新製品なのかな。」
「はい、サイバーモーメント株式会社の新しい腕時計です。」
「そうかね。知らなかった。わしも買おうと思うよ。股間ムスコは発射しなかったがワシは満足だ。今は半立ちになりおったけど。」
ブラジャーと上着を付けると篠江は、
「ありがとう、ございます。初出勤なので至らなかったと思います。」
「そんな事、ないよ。又、来て欲しいな。金は海に捨てたいほど、ある。が老化は止められないな。だがね、最新の若返り薬を今朝、服用したのだよ。もうそろそろ、効果が出るらしいけど。」
と老男が話すと、男の顔は変化を始めた。
なんと老男の顔は若返っていくでは、ないか。
顔のしわが取れて行く。白髪交じりの毛髪が真っ黒になる。
おまけに、どちらかといえばブ男の顔が青春の輝きを持つ美男に変貌した。篠江は驚きで動きも出来ない。
「お客様の顔は完全に若返りましたよ。」
と指摘した。
嬉しそうな顔をした老人、いや若者は声まで若々しく、
「そうかい。嬉しいね。あそこの鏡で見てみよう。」
と下半身は裸のまま、大きな姿見鏡の前に行くと、
「おおお。本当に。若返ったよ。ワシは若い頃、美男子だったのだ。女遊びも相当に、やった。けれども金儲けに熱中してからは女と縁を切っていた。気が付くと老人になっていたのだ。このまま、死ぬのも惜しいと思ってスマホサーフィンをしてデリヘルを探していたら愛の秘宝のアンタを見つけた。
朝に飲んだカプセル剤が効き目を顕わした。実は、さっきの勃起も若返り薬の効果かもしれん。いや、あんたは月並みな言葉でなんだが絶世の美人と思うけど。」
篠江は謙遜顔で、
「そんなに美人では、ないと思っています。」
若返った男は足取りも軽く篠江の前に戻ってくると、
「お、パンツを履こう。」
と云うと、床に置いたパンツを取り上げて履く。そして、
「いやいや、謙遜せんでもいい。ワシの秘書になれば今の収入の倍は払う・・・という事では、ダメだろうな。甘やかされては女の美しさも消えるというものだ。
辛い仕事は女性の美を輝かせるものだからな。」
「ええ。厳しい環境にばかり、いました。」
「そうだろう。だから頑張りなさい。ワシは東京で頑張っていたが、沿岸部が大津波で海没するという予言を信じて福岡市の、ここの山を丸ごと買ったのだよ。
あと数か月後に東京湾岸部は壊滅、首都機能は混乱する。」
篠江は驚いて、
「そうなんですかー。わたしの友人は東京でモデルをしています。」
若返り男はズボンも履くと、
「それは大変だ。すぐに知らせた方が、いいよ。」
体験版・sf小説・未来の出来事57
美神は立ったまま、
「ソープランドの中とは思えないね。ん?あの細長い浴槽がソープランドらしいな。」
和室の部屋の中に洋式の浴槽があるのが目立っていた。
着物姿の撫子は立ち上がり、美神に最接近して、
「お召し物を、お脱がせ致します。」
と云うと、素早い手つきで美神の服を全て脱がせた。下着も脱がせた撫子は又も振袖を上げて口を隠すと、
「大きな男性自身ですわ、お客様の股間のモノ。それに上半身の筋肉美。ボディビルダーみたい。」
とロボットとは思えない知識を見せる。美神は頭に右手を当てると、
「照れるな。まだ勃起していないけど。」
「そうですわ。勃起したら凄いサイズに・・・。」
黒髪に、かんざしを差して顔には、おしろいを塗っている撫子の顔はロボットとは思えない顔だ。美神は、
「君も早く脱げよ。」
「あい。脱ぎまする。」
なでしこは着物の帯を解いた。それだけで彼女は全裸になったのだ。その裸もロボットとは思えない姿だった。
白い肌に乳房が大きく盛り上がり、濃いピンク色の乳首に下半身の股間は闇の深さのような黒い陰毛で覆われている。
美神は触れれば届く距離に居るので即、半勃起する。
女ロボットとの性交は初めての美神だ。
なでしこの髪型は崩れていなくて、かんざしをハメたままだ。美神は前に進むと撫子の尻を抱いて自分の腰を落とすと又、上げて肉巨砲を彼女の女秘部に突入させた。
並の人間の女よりも快感を与えてくれる女ロボットなでしこの女性器だ。ただ彼女は声も出さず、顔の表情も変わらない。美神は腰を振りながら、
「やはり君はロボットなので何も感じないんだな。」
と尋ねると、ふふ、撫子は笑い、
「わたし、反応が遅いんです。それに私の快感に、あえぐ顔を見たら、お客さんはスグにイってしまうんですもの。」
「なるほどね。で、そういう風に作られているんだなあ。」
「ええ。製造過程で実験されて数人の男とセックスしました。私の快楽の表情を見た男は即射精したんです。」
確かに撫子の膣は気持ちいい。美神も射精を耐えている。
「それは、そうだろうな。二度目の勃起までは時間が掛かるのが普通だ。体位変換しよう。後ろに君は体を倒して逆立ちしてくれ。」
「あい。やりまする。」
女ロボット撫子は後ろへ体を倒した。
美神は撫子の両方の太ももを両手で抱えて支えてやる。
美神の眼下には二人の結合した部分が丸見えだ。
撫子は両手を畳の床に付いて逆立ちしている。美神は、
「君はロボットだから頭に血が昇る事は、ないだろ。」
「ええ、セックス中に逆立ちしたのは初めてですわ。そもそも私、オマンコが感じる事なんてないんです。女性器の感覚が脳内で感じられる事が、ないからね。」
「ああー、そうだねー。では僕もロボットのように、感じなくてヤリ続けたら、いいんだが・・・。君の膣内は動き続けていて、いや、もー出そうだ。
そもそも最初から君の膣内はゼリー状の液体が塗られているんだろ。」
逆立ちしたまま撫子は、
「ええ、そうです。一週間に一度はメインテナンス、保守のためメーカーでゼリー状の液体を補充して、もらうの。」
「それにも費用が、かかるな。機械って電気代だけで済むものでは、ないな。」
「わたしが快感の表情になるまでは三十分、男のモノが挿入されている事が必要です。そういう設定になっています。」
「あと少しで三十分だろう。お?」
撫子の逆立ちした顔が快楽を感じている顔になる。三十分が経過したのだ。
美神は彼女の両脚の付け根にある衝門というツボを押してみたが撫子は、それには感じない。さすがはロボットだ。美神は、
「君はツボを押しても感じないね。」
「ツボですか?何の事でしょう。」
「それは学習させられていないんだな。」
「ええ、知りません。」
「説明が難しい。要するに神経が、つながっていて・・君の女性器が反応する場所。だが人間の女のみ、ツボがある。」
「そうなんですか。何の事やらサッパリ、アッパリ、ロンドンパリ。デモ気持ちいいワー。アアん。」
いくら高機能のロボットとは言え神経やツボは作られていないのだ。
そこで美神はツボを押すのを辞めた。膝頭下の足三里のツボを押しても意味がない訳だ。
それから十分程経過しても逆立ちしている撫子の快感の表情には、それほど変化はないし人間なら顔が充血してくるはずだが撫子は、それはないのだ。
撫子の太ももも人間ソックリな感触なのだが美神は、
(あー俺はロボットと、やっているんだ)と思うと射精は抑えられる。
つまり冷静になると美神は、
「なでしこ。気持ちいいか。」
と聞いて見ると逆立ちしたまま彼女は、
「気持ちよすぎるー。こんなの初めてー、アッハン。」
と応対した。
実際には人工知能が反応しているだけだ。そう美神は思い、冷静さを保った。
冷静でいられても、やはり撫子の美壺の中は気持ちいい。美神は、
「その態勢から上半身を起こして、僕に抱きついてキスできるか。」
と誘ってみた。撫子は目を見開くと、
「出来ますわよーん。」
と答えて、逆立ちから上半身を起き上がらせて美神に抱きつくと熱湯のようなキスをした。
二人の唇は十五分は結ばれて口と性器の二か所は結合している。その二重の快感に遂に美神は美人機械に男の象徴液を解き放った。
撫子も疑似子宮に白精液を感じて、
「ううーん、いくっ。」
と美声を放ち、首をのけ反らせた。
その店を出た美神は機械と初めて性交した事を福岡市の時流太郎に人の少ない喫茶店でスマートフォンで報告した。
流太郎は、
「それは、いい経験だね。実はサイバーモーメントで美人ロボットを製作中なんだが、テストのために人材が必要なんだ。君、福岡市に戻って美人ロボットとセックスして見る気は、あるかい?」
と美神の耳にスマートフォンから問いかける。
「ええ、あります。自衛隊の方は、大丈夫ですか。」
人のいる喫茶店内なので陸上自衛隊情報第三部隊とは、言えない。
「ああ、七谷一尉は了承済みだよ。中国の女スパイも君は征服したらしいので、サイバーモーメントのモニターになる事は君の全身を前進させる、いい機会らしい。相手は機械だけど東京にあるロボットソープランドの女ロボット、君が今さっき遊んだ女ロボットより高性能らしいんだ。」
「そうなんですか!それでは福岡市に戻ります。」
「うん待っているよ。」
通話は途切れた。
羽田空港から超音速旅客機に乗った美神は福岡の板付空港まで凄い速さで移動できた。
そこから地下に降りて地下鉄に乗ればフレッシュアイランドまで行ける。
流太郎の会社のドアを美神が開けると、中には流太郎一人で美神を見ると立ち上がり、
「やあ!待っていたよ。超音速旅客機で来ると思っていた。」
と話すとドアの中に立っている美神に近づいて行き、
「今からスグにサイバーさんに行こう。もう電話しているんだ。サイバーモーメントに。黒沢社長は待っている。」
と伝えた。
二人はビルの外に出るとタクシーで博多区東那珂のサイバーモーメント株式会社の自社ビルへと向かった。
広大な敷地のサイバーモーメント株式会社の実験棟とも呼ぶべき建物に入ると、そこの主任らしき人物が、
「時さんですね。社長に連絡します。」
と作業着姿で社内電話した。
「黒沢社長、時さんと、もう一人の方が来られています。・・・はい、分かりました。」
と電話を置くと、
「五分以内に黒沢は来ますので、そこの待合室に入って、お待ち下さい。」
白壁の簡素な待合室だった。二人が座ると、しばらくしてドアが開いた。
鼻髭顔の黒沢が背広姿で現れて、
「いよう、時君。それに貴方は美神さんですね?」
と時と美神を見渡して云う。
美神と流太郎は立ち上がり、美神は、
「はい。美神です。」
と答えた。
黒沢は微笑すると、
「実験室に行きましょう。美人ロボットは完成寸前で色々と試験をしていますよ。さあ、行こう。」
実験室は小さな図書室位の広さだった。
手術台のような所に完成した女ロボットが仰向けに寝ていた。黒沢社長は、
「完成したのだが後一つ、やる事があってね。それが他社は全く、やらない事なんだよ。」
と説明した。
その時、ドアが開いて一人の僧侶らしき男が入って来た。
日本人では、ないらしい。黒沢は丁重な姿勢で、
「おまちしておりました。チェンチェン・パラポロ老師。」
と話すと頭を深く下げる。
老師という割には五十代の若さに見えるパラポロ師は濃い赤色の僧衣を身に着けているから日本の仏教僧では、ないらしい。
パラポロ師の傍らには助手らしき青年が同じ赤色の僧衣を身に着けて持ち運んできた密教法具を手術台に置く。
パラポロ師は黒沢に頷くと、
「それでは始めます。」
と挨拶した。
それからパラポロ師は手に法具を持ち、読経を開始した。
それは長く続き、三十分は経過した。
読経が終わるとパラポロ師は法具で空中に何かの印を描くと、その法具を女性ロボットに向けた。
それで儀式は終了したらしく、
「これで入魂の儀は終わりました。この女性ロボットには魂が宿ったのです。」
それは何か感動的なものを実験室にいる人々に、もたらした。黒沢は深く頭を下げると、
「有難う御座いました。」
と謝意を述べる。
チェンチェン・パラポロ師は同じく頭を下げると、
「それでは失礼します。」
と助手と共に退室した。
黒沢社長は、
「今の入魂の儀で女ロボットに魂が宿ったんだ。只のロボットではなく人間の女と同じく魂が宿っている。そこで美神君。
この女ロボットとセックスしてもらいたい。」
と話す。
美神は驚いて、
「ええっ?この場でですか?」
黒沢は、
「ああ、この手術台を今、ベッドに変える。」
と云うと手術台に近づき、一つのボタンを押した。すると女ロボットの下からベッドが繰り上がってきてダブルベッドになってしまった。
流太郎と美神は驚きの眼差しで、ダブルベッドを見つめる。
黒沢は、
「これでダブルベッドになった。美神君。靴を脱いでベッドに上がり、女ロボットの服を脱がせて、いい。」
「はい、それでは。」
と美神は応答すると靴を脱いでベッドに上がった。黒沢は同時に女ロボットのヘソにある電源ボタンを押した。
途端に美人ロボットは明るい目を開いて、
「まあ、アナタは私の服を脱がせている。」
と美神を見て言う。
美神は手を止めると、
「やあ、こんにちわ。あなたはソープランドに出荷されるんですよ。テストとして僕と性交するんです。あなたを全裸にします。僕もスグ脱ぎますから。」
と中腰で答えた。
「そうなのね。でもワタシ、自分の名前も知らないわ。」
黒沢が、
「君の名前は四季美折(しき・みおり)と私が命名したよ、今。」
と通告した。
美人ロボットは、
「ありがとう。脱がせてくださいな・・あなたの名前は何ですか。」
脱がせる手を再開した美神は、
「美神美男と言います。お、見事な乳房だ。」
素早く服を脱がせたと言っても女ロボットは下着は、つけていない。それで下半身もスグに露わとなった四季美折の股間は黒く荒々しい陰毛で覆われている。
四季美折は、
「ロボットだから恥ずかしくないなー。でもワタシ、前は人間の女性だったような気がします。あ、美神さんって服を着ている時より逞しすぎます。それにパンツを脱いだら、もう半立ち、まるでバナナみたい。」
とベッドに寝そべったまま話した。
美神は本当の意味での自然体に、なっている。黒沢は、
「美折。君は、このロボットに魂を入れられた元はというと人間だった女性だ。だから前世は人間だったんだ。君の思いは正しいんだよ。」
と言ってくれる。
美神は美折の美裸身に自分の裸体を重ねて、
「キスをするよ、美折。」
四季美折は両眼を、
「さあ、どうぞ。」
美神は深く唇を美折に重ねる。と同時に全勃起したモノを美折の美秘部に全挿入した。
「ああっ。わたしの魂は今、このロボットに宿っているんだわ。でも前世では人間・・・。」
美神美男は腰を振り始める。
黒沢は美神が滑らかに彼のバナナ棒を美折に入れたのを見て満足して、
「そうだ。人間にも魂がある。機械に宿った魂は君が初めてかもしれない。どうだね、美神君のチンコは。」
と問いかけると美折は、
「あああーん。気持ちよすぎます。イクいくチンコで・・びかチンコですぅ。」
と黒沢に答える。黒沢は、
「略してビカチンだな。君の出荷先は新中洲のソープランドになる予定だよ。」
「あがとうございます、ってロボットとしてのワタシが答えてしまいました。新中洲っていうのなら中洲って、あるんでしょう。」
黒沢は、
「そうだよ。フレッシュアイランドの一区画が売れ残っているので、そこを風俗業の許可地にする事が福岡市議会で可決された。そこに日本一、いや世界一のソープランドを作るのさ。資本は我がサイバーモーメント株式会社が出してオーナーとなる。
細かい所は、これから決めて行くけどね。なにしろ我が社は防衛産業で、かなりの儲けを出しているし、公社ではないにしても売れ行きは安定している。金おお余り会社だから。」
と解説してくれた。
美折は、それを聞くと、
「初体験が美神さんで今、チンコ入れてくれています。あっ、あっ。激しいチンコ摩擦だわ。あー、イキそうですっ。」
美神としても人間の美女とヤッテいるような感覚がしている。
美折は美神の背中に両手を回して、
「オマンコ破裂しそうに気持ちいいワっ。ああーん。」
とセックスに没入し始めたようだ。
それを流太郎と黒沢は静観していたが五分後に美神は夢のように果ててしまった。
魂は人間の女でも体はロボットの四季美折はセックスは五分程度と学習したようだ。それに反して女性経験が豊富な美神美男は本業はAV男優ではなくボディビルのトレーナーなので知人とはいえ二人の男性にセックスを公開した事と五分でイッタ事への羞恥心は、ある。
美神は四季美折の体から離れると座って、
「黒沢社長。早や過ぎました。」
と詫びる。黒沢は右手を左右に振ると、
「いやいや。長く持った方だと思うよ。四季美折の膣内感覚は有名なアダルト女優の名器を徹底的に調べて複合的に、それを再現したモノなんだ。
普通の男なら一分は持たないと思う。」
と説明する。
美神は流太郎の意見を求めるように視線を向けたので、流太郎は、
「僕でも二分は持つかどうかだと思う。」
と意見を開陳した。
黒沢は流太郎に振り向いて、
「時君。君も美折とセックスしてみないか。」
と誘うと流太郎は、
「いえいえ。今、性的状態が不良なんです。」
「そうか。それなら今は、いい。美神君。テストは、これで終了だ。よく頑張ってくれたね。」
と大いに黒沢は美神に労を、ねぎらったのだった。
フレッシュアイランドの自衛隊近くのマンションに帰った美神美男にスマートフォンが鳴り響いた。
「はい、もしもし。」
「美神さん。李豹豹です。」
「ああ、こんにちわ。」
「青砥のマンションは留守なんですね。」
「ああ、今、福岡にいる。」
「福岡って福岡市?」
「そうさ。」
「青砥には帰らないのですか。」
「いつになるか分からないね。」
「わたしをホッテ置く積もり?」
「そんな事、ないよ。」
「それなら、わたし福岡市に行きます。」
「え?今から?」
「ええ超音速旅客機で行くから迎えに来てください。」
「分かった。迎えに行くよ。」
「お仕事は大丈夫ですか。」
「今日の仕事は終わったから。」
「それでは一時間以内には福岡空港に着きますから。」
「ああ、そうだね。」
「それでは。では。」
李豹豹は美神と結婚するつもりなのだ。
通話を切ると美神は、
(空腹も超音速旅客機なみに来たな)と思い、台所でカップラーメンふたつに熱湯を注いだ。
一分で出来るカップラーメンが新発売なので、早速、ドラッグストアで買って置いていたのだ。
フレッシュアイランドにはドラッグストアとコンビニエンスストアがあるがスーパーマーケットは、ない。
福岡市内ではスーパーマーケットは消滅している。
映画館も随分昔に絶滅した。
ボディビルダーらしく出来上がったカップラーメン二個を悠々と食べ終わると美神は立ち上がり外出した。
地下鉄で福岡空港へ行く。国内線のゲートで待っていると目立たない服装の美人、李豹豹が現れた。待っている美神を見つけると李豹豹は駆け寄るように美神に近づき、
「お待たせしましたか、美神さん。」
美神は変装用の眼鏡を掛けている。眼鏡を外していたら李豹豹は美神に気づかなかったかもしれない。
美神は冷静沈着な顔で、
「全然、待たなかった。」
「それは、よかったわ。」
「この近くにラブホールがあるんだ。」
「ええ?行きたいな。そこ。」
「よし。タクシーで行く。」
美神はスカイタクシー乗り場に李豹豹を連れて行く。
福岡空港の近くにはヘリポートとスカイタクシー乗り場がある。
ヘリコプターに乗る人達は少ないがスカイタクシーに乗る人達は、そこそこの人数だ。
でも順番待ちは少ないので美神と李豹豹は、すぐにスカイタクシーに乗れた。
垂直離陸で飛び上がるタクシーの後部座席の美神美男と李豹豹は窓から下を見降ろして絶景を楽しんだ。
福岡空港が眼下に見えて離発着する旅客機も見える。
空港に出入りする人達が蟻のように見えるとヘリタクシーは北東方向に進んだ。
道観のような建物、つまり道教の寺院のような赤い建物が見えた。美神はヘリタクシーの運転手に、
「あの赤い建物の上に着陸してください。」
「あ、あれですね。新しいラブホテル、悦楽院。」
「そう、ヘリタクシーやヘリコプターが着陸できるとネットで紹介されていました。」
「はい、私も初めてですが広いヘリポートなので簡単に着陸出来ます。」
男性運転手は安全に赤い道教寺院の最上部のヘリポートに着陸した。
ヘリタクシーを降りた美神美男と李豹豹は屋根のある受付に行くと志那服というか赤い中国服を着ている中年女性が宝くじの売り場たいな窓口に居る。
そこが、そのラブホテルのフロントだ。
美神は、
「二人で休憩します。クレジット決済で、いいですね。」
と申し込むと、
受付オバサンは明るい笑顔で、
「はい。今は最上階が空いていますので、お薦めです。下に行くほど安くなりますけど、最上階は窓からの眺めもステキですから。」
と勧めた。美神は、
「それでは、その最上階の部屋を。」
「はい、クレジット決済します。」
美神がクレジットカードを出すと、オバサンが受け取り、端末で決済した。そして、
「鍵はコレ。そこのドアを開けて下に降りるとスグの部屋です。」
二人はドアを開けると目の前のエレベーターで下の最上階へ降りた。
壁は白くて床の絨毯は赤い。目の前の部屋が二人の入る所だ。美神は鍵を入れてドアを開けた。二人が入ると広い窓から遠くに福岡空港が見える。
壁に赤い道教の祭服が掛かっている。李豹豹は、
「あの赤い服を着ましょう。わたし道教の道士になろうかという夢もあったの。」
と云うと壁の赤い服を取り、身に着けた。その際、上着とスカートを脱いだので白い下着が美神の目に入り、美神は少し勃起して、
「僕も着るよ、赤い服。」
と云うと急いで身に着ける。
二人の道士が誕生したようだ。
李豹豹は両手を美神を迎え入れるように広げると、
「この服を着たままアナタと交わりたい。」
美神は彼女に近づいて抱きしめると、
「下着も脱いで服を着れば良かったな。」
「あ、そうね。もう一度、やりなおしましょう。」
「そうだ。僕も下着を脱いで服を着る。」
二人は全裸になったが、そこで交わるのを我慢して赤い服を着た。
もう一度抱き合うと美神は李豹豹の赤い服を腰の辺りから捲り上げて彼女の股間を露出させる。
赤と黒の色の対比に美神は即全勃起した。李豹豹は両脚の間隔を広げて立ったのでズッポリと美神のバナナ砲を受け入れる。
サイドテーブルに何故かヘッドフォンが二つ並べてある。その後ろに説明書きが見えた。
このヘッドフォンを装着すると道教道士に脳内は変化します。
李豹豹は、それを目に留めて、
「ああん。あのヘッドフォンを付けて、しましょう。」
と極色っぽく誘った。
「ああ、あれか。脳内が変化する・・よし、このまま歩くよ。」
「いやーん。いきます。」
二人は立ったまま交わった姿勢でサイドテーブルまで移動するとヘッドフォンを頭に着けた。
途端に二人の脳内は変化していき、二人は道教道士の脳になった。
二人の目に見えるものはラブホテルの室内ではなくて自分達は道教寺院内にいると錯覚した。
美神は、
「李豹豹。寺院内でセックスするなんて思わなかったな。」
と云いつつ腰を振る。
「ああん、そうね。導師様に見つかったら、どうしよう。」
「導師様は今、外出中さ。」
「それなら思いっきり突いてっ。」
潤んだ瞳で李豹豹は美神を見つめる。
「ああ。行くぞー。」
猛烈に腰を前後に振る美神に李豹豹は激しく乱れ始める。
美神脳内は道教の道士になった気分だ。
ここはラブホテルだが、もしかして道教寺院ではないかという気もしてくる。李豹豹も女道士の顔になっていて、それが快感を感じた顔なので美神は一層、興奮してくる。
壁からスピーカーでの音声が、
「動画撮影させてくれたら休憩料金は無料にします。」
と機械音が喋った。
立ちセックスのまま美神は、
「どうする?撮影を許可したら無料で休憩だよ。」
「あああ・・いい。と思うわ。目隠ししてくれたらね。」
美神は壁に向かって、
「動画撮影してもいいけど編集して目隠ししてくれるか。」
壁からは、
「はい、お二人の目隠しは編集時に、します。」
と機械音が答えた。
美神は、
「それなら撮影してもいいよ。」
と壁に話すと、天井から大型カメラが降りて来て二人の近くで静止した。撮影が始まったらしい。
カメラの前でセックスするのは二人とも初めてだった。というより大部分の人間はカメラの前でセックスは、しないだろう。
赤い道士服を着た二人の立ちセックスは激しくなっていく。
李豹豹は、
「道士服を着たままなので撮影されても、やりやすいわね。ああっ、あん。撮影されながら、するのは初めてだけどかんじちゃうわん。」
と云う。美神は、
「そろそろ体位を変えよう。ダブルベッドに移動だ。」
「分かったわ。交わったまま移動しましょう。」
二人は交接したままベッドへ。
ダブルベッドに二人で登ると美神は、
「君は片足を高く上げて体を反転させてほしい。そうすると立ち後背位になる。」
「分かった。わたし中国で体操も、習ったから体は柔軟なの。やるわ。あん。」
と答えると右足を高く上げて美神の頭の上を超えさせた、都同時に体をひねって美神に背中を向ける。
これを交わったまま行ったので李豹豹は凄い快感を膣内に感じたらしく、
「ああっ。物凄い刺激で快感だったわ。今の体位変換。あ、いい。」
「オレにしても、そうだったな。服を着ているから性交も長持ちできるよ。君が裸なら、もう果てていると思う。」
「道士の服って便利なものね。セックスを長引かせられるのね。あっ、すっごーい快感。」
後ろからズンズコと貫かれる赤い道士服の李豹豹は息を激しく喘がせ始めた。
天井からのカメラは二人に接近したり離れたりしている。
恐らく、それは自動ではなくて他の部屋で操作している何者かが、いるはずだ。
美神は写されていると思うとヤル気が出てくる。
立ち後背位から美神は李豹豹の耳元に、
「四つん這いになって尻を高く突き上げろ。」
と命じた。
李豹豹は、
「うん、あん、わかった。」
と答えると即座に四つん這いになり、めくれ上がった赤い道士服の尻を高く持ち上げた。
その態勢の李豹豹に、かぶさるように美神も四つん這いになり彼女の耳の穴に自分の舌を入れて舐め回す。
李豹豹は、
「ああーん、感じるーっ。」
と叫ぶと尻を落としそうなほど脱力した。
耳には聴宮というツボがあるのだ。
恋人同士というより二人は夫婦のように、なってきた。
美神は李豹豹を横向きに寝かせて自分も横になる。彼女の耳を舐めながら尻の道士服を捲り上げて左手を李豹豹のクリトリスに当てて愛撫してやる。
「ああーっ、はあーっ、いやーん。」
と李豹豹は甘く泣くような声を上げた。
すかさず美神は李豹豹の顔を後ろに向けて深く口づけると彼女の唇の中に自分の舌を入れて李豹豹の上の歯茎の中心にある齦交(ぎんこう)というツボを舌で押した。
これで李豹豹は子宮まで感じて身悶えしたのだ。
そのために美神は快楽の果てに果てたのだった。
そうすると壁のスピーカーが男の機械音の声で、
「素晴らしかったですよ。今度は風呂で、やってください。もちろん道士服は脱いで。」
と指示してきた。
美神は、
「分かったよ。少しは休憩させてくれ。」
と云うと肉息子を李豹豹の肉娘から外した。
スピーカーは、
「分かりました。焦らないでください。休憩時間は延長していいですから。料金は無料です。」
と楽しそうに云う。
美神はホッとした。李豹豹の顔は快感の余韻がある。美神は、
「休憩したら浴室に行こう。」
李豹豹は目を閉じたまま、
「ええ。行きます。わたしイってしまったけど。うふふ。」
と答える。
美神の脳内に記憶が蘇って来る。
それは彼が中国の道士であったという記憶だ。
同じ寺院に李豹豹の顔の女道士が、いたのだ。
ある祭事で二人は出会う。女道士は男道士の補佐的な存在だ。女道士は美神に、
「わたし李風風(り・ふうふう)です。」
と名乗った、
美神は、
「美・顔顔(び・がんがん)です。」
李風風は美顔顔の鐘を鳴らす手伝いをした。
二人の手が触れ合う。
体験版・sf小説・未来の出来事56
市民党の議員である官房長官はスイートルームの部屋に入って来た娘子を見ると、
「いい体じゃないか。高級デリバリーヘルス所属なだけの値打ちは、ある。」
と好色そうな視線を向けて話す。
少し距離を置いて立つ娘子。この時、中国人の彼女は日本人女性に変顔していた。
無言の彼女に官房長官は、
「こっちに、おいで。少し勃起している。君の右手で握ってくれたら、すぐに垂直勃起という整合性が取れるよ。」
六十代の男らしい話し声で娘子を呼ぶ。
娘子は飛ぶように官房長官に近づくと、
「初めまして。それでは握ります。」
「ああ、握りずしは大好きなんだ。」
と涎を垂らしそうな顔になった。
娘子は服を着たまま、パンツの上から少し膨れ上がった股間のモノを右手で握った。
すると官房長官のソレは勢いよく垂直的にビンビンとなったのだ。
「うん、勃起した。遠慮は要らないよ。おれは毎日、数十万円から数百万円の官房機密費を使っているんだ。
君への謝礼も官房機密費から出す。
だから俺のパンツを脱がせてくれ。上の下着は自分で脱ぐ。」
言われた通り、娘子は官房長官のパンツを脱がせた。
ドポン、という感じで官房長官の勃起棒が出現した。
マスコミにはニコヤカに応対する官房長官で少しは人気のある官房長官だ。その息子棒は逞しくて娘子の股間に射程を定めているようだ。
人気さえあれば選挙に勝てる。それが市民党の党是であり、この官房長官も、そう思っている。
娘子は立ったまま官房長官の淫茎をシコシコし始めた。官房長官は、
「おいおい、おれは全裸なんだから君も全裸にならないと整合性が取れんじゃないか。」
と呼びかける。
娘子は右手を官房長官の勃起陰茎から手放して、服を脱いだ。ノーブラ、ノーショーツで彼女の白い全裸が現れる。
それを見た官房長官は立ち上がると娘子を抱きしめた。
官房長官の勃起棒は娘子の股間の陰毛に当たる。官房長官は、
「オプションで新車一台の金を出すと本番できるんだろう?」
娘子は黙って頷く。最初から大物を捕まえたのだ。スパイは国家のために自分の身体を投げ出さなければ、いけない。娘子はダブルベッドの上で官房長官に両脚を開いて処女を捧げた。
官房長官は二分で放出して、
「おおっ、すまんな。あまりにも気持ちよくてね。でも、これで今日は、いいよ。」
「ありがとうございます。わたしハンドバッグの中に精力剤の粉薬を持って来ています。それなら二回戦も取れて整合性が取れると思いますわ。」
「そうか。ぜひ飲んでみたいな。」
「ええ、持ってきます。」
全裸の娘子はベッドを離れると丸い尻を振りながらサイドテーブルの自分のハンドバッグの中から精力剤の子袋を取り出して冷蔵庫の近くにあるコップに入れると水道の蛇口をひねって水を、そそいだ。
それをベッドに腰かけている全裸の官房長官に手渡した。
「ありがと。うーん、上手い味だな・・・。」
と話すと官房長官はベッドに仰向けになった。
彼は睡眠薬を飲まされたのだ。
娘子は自分のハンドバッグのある所へ行き、バッグからデジタルカメラを取り出した。
官房長官は大きなバッグをスイートルームに持って来ていた。それを娘子は開けると中に入っている重要書類を取り出して全てデジタルカメラに撮影した。
それはパソコンに接続すると中国外交部対日工作課長宛てにインターネットで送信できる。
官房長官位では大した秘密書類も持っていないが、とにかく首相の女房役とも言われる地位なので、それなりに面白い内容もあると思われる。
とにかく最初から娘子はスパイとして上々出来な仕事をしたのである。その代償としては処女を喪ったのであるが。
官房長官が目を覚ました時には部屋の中に娘子は居なかった。デリバリーヘルスのオプション付き代金はスマートフォンのクレジットカード決済で前払いで済ませている。
「あー、よく寝たなあ。百分は過ぎている。あの女は帰っても仕方ないな。精力剤って眠くなるんだろう。」
と呑気なことを一人で呟いた官房長官である。
娘子は都内にスパイ仲間と暮らしていて、その仲間も女スパイなのだ。彼女は娘子より二歳年上なので二十六歳、容姿端麗で都内を歩くとスカウトマンから声を掛けられるのでサングラスを掛けて帽子を目深に、かぶって歩かなければ、ならなかった。その彼女は李豹豹(り・ひょうひょう)と言う。
李豹豹に娘子、本名は陳万子は、
「李姉さん。官房長官の重要書類はデジタルカメラに全部撮った。あと他のもあるの。」
「おめでとう。わたしも閣僚を狙っているけど、まだ成功していない。他のモノって?」
「今から手渡すわ。」
「ああ、これね。これで私も仕事できる。シェーシェー(謝謝)。」
翌日、官房長官にメールが届いた。
拝啓 官房長官殿
昨日のスイートルームに於ける貴殿の性的活動に就きましては逐一、隠しカメラにて記録させていただきました。
つきましては官房機密書類を当方に提出して戴きます。
それに応じられない場合はインターネットにて貴殿のスイートルームでの性的活動を動画形式で公開いたします。
海外のサーバーなのでモザイクやボカシは入れておりません。又、その無修正の状態にて一般的に閲覧できる海外動画共有サイトで公開します。
公開されると後悔しますよ。それを不可とするならば、速やかに当方に内閣官房機密書類を当方に電子メールで圧縮添付して送信しなさい。
返信メールに添付するだけで送信できます。
かしこ
という内容だ。それを見た官房長官は震えあがった。
(昨日のデリヘルとのものだな。まさか盗撮されているとは思わなかった・・・。)
官房長官は返信メールで
件名 お断りします
内閣官房機密書類を送信する事は断じて、ありません。
と記載して返信した。
それをスグに受け取った中国外交部の李豹豹は、
「陳さん、官房長官とのセックス動画を公開するわよ。」
「ええ、いいですわ。日本人の今の顔は取りかえれば、いいんですもの。」
と気軽に答えた。
陳万子がホテルのスイートルームのテーブルの上に置いたハンドバッグには隠しカメラが装備されていた。ハンドバッグから盗撮していたのである。
李豹豹は海外の動画共有サイトに陳万子と官房長官のセックス動画をアップロードした。
日本の官房長官とホテルのスイートルームでセックス
と題された短い動画が公開された。
反響は物凄くてスグに数千万回は再生された。
ネットニュースにも取り上げられて国会でも官房長官は追及されたのである。
市民党の議員である官房長官は辞任した。
それを知った中国外交部対日工作課の李豹豹と陳万子は快哉を叫ぶ。
官房長官の機密資料は大したものでは、なかったのだ。陳万子の顔は別人の顔に変わっていた。
そんな彼女も今は日本のスパイとなり、日本紅党の桜見世子を諜報活動する事に、なっている。
美神美男との交合を満喫するのも諜報活動への促進剤となった。
日本紅党は国会議員は桜見世子だけで衆議院議員である。
三十路の彼女は男なしの生活を送っていた。紅党本部に男性職員は居たのだが、女子職員が増えるに従って男性職員は退職していったのだ。遂に紅党本部には男性職員は皆無となった。
ひとつの理由は給与の安さに、ある。新共産主義に関心を無くしていったのも男性職員の退職の理由だ。
現在はシングルマザーや高学歴の故に仕事のない女性が紅党本部で働いている。
陳万子は偽名の谷下澄子を名乗り、ネット雑誌記者だという触れ込みで日本紅党の桜見世子を取材した。
党首室で桜見世子は、
「ようこそ、谷下さん。」
「初めまして。わたし日本に帰化した中国女性です。中国共産党の国を離れました。もう共産主義は時代遅れだと思いますが桜党首は、その点は、どうなのでしょう?」
桜見は少し顔を、こわばらせると、
「確かに日本には共産主義は根付きませんでした。それは海外の共産主義が日本に合わなかったからなのです。
しかしシングルマザーが日本に増えました。彼女達は今の政治に絶望しています。
我が党の職員も男子職員はゼロとなりましたが、女性党員は増大しています。収入の5パーセントを党費に払っていただくのですが、滞納する党員は一人も、いません。
もう一つは風俗産業に従事する女性党員が増加しました。
我が党では売春防止法の廃絶を公約の一つにしています。ソープで働く女性も党員の中に大勢いますよ。」
「なるほど、そうなのですか。中国にはソープランドは、ありません。その代り、床屋が風俗を兼ねている場合が、あります。」
桜見世子は目を光らせると、
「それね。それ日本でも、やったらいいのになと思うわ。うちの党員で美容師さんも、いるから提案してみるわよ。うん、ありがとう。」
「美容師の人って高収入なんですよね?」
「そうね、大体、そうみたいよ。」
「それで今の政治に不満でも、あるんですか。」
「市民党の時は誰でも不満だったんじゃないのかしら。今は民民党だから紅党への入党者は減りました。
それでも女性のための社会づくりというスローガンだから今の入党者は女性だけです。」
「わたしも入党したくなりました。」
「乳頭が気になるのは女性だけね。」
「え?」
「いえいえ冗談です。入党はネットからでも出来ますよ。スマートフォンから、いつでも、どうぞ。」
「はい検討します。そういえば日本は人口減少しましたね。アロナワクチンで。」
「そうなんですよ、ウチの党員も、それで減りました。その代り、高収入の女性が多く入党したので党費の歳入は増えたんです。
風俗産業の人達は例外なく高収入ですからね。」
「女性のための政党ですね、日本紅党は。」
「その通りです。谷下澄子さん、入党を待っていますわ。」
桜見世子は谷下澄子が帰るとスグに党員の美容師に電話する。
「あ、穴野さん、桜見です。穴野さんの美容院は男性も歓迎でしたね。」
三十路女性らしい穴野美容院の店主は、
「ええ、他店との競合が厳しいので格安のカットで男性も来店して、いただいています。」
「それなのよ、穴野さん。美容院の奥に部屋は、ある?」
「ええ、ありますよ。うちは母の自宅と美容室が続いていますから、空き部屋は三つも、ありますね。結構広い家なんですが母は老人ホームに入りまして、父とは離婚しましたので、元々母の相続した母の実家ですから。」
という話だ。
経済評論家にして経済コンサルタントもしている桜見世子は、
「その空き部屋を活用するのよ。従業員の女性は美人でしょ?」
「ええ、二人いますけど美人ですね。」
「その人たち、お金に困っていないかしら?」
「ええ、美容師だけの給与では不満らしいですね?」
「それなら、その人たちにスペシャル・サービスを提供させれば、いいわ。」
「スペシャル・サービスですかあ?」
「そう、性的サービスをさせてあげるのよ。」
「ああ、そういう事ですね。でも大丈夫かしら、党首。」
「スペシャル・サービスA、マッサージ、スペシャル・サービスB、ファッションヘルス、スペシャル・サービスC、本番。
というようにサービスを分ける、ただしファッションヘルスとか本番という用語は使っては駄目ね。それだと風俗営業の届け出が必要になるから。」
「分かりました。上手くやりますよ、桜党首。収入の5パーセントは党費に献金ですもの。」
と美人美容師の店主は全満面の笑顔になった。
美容室「美へア」では、その日の営業が終わると美人美容師二人を呼んで店主は、
「素晴らしい、お知らせがあります。あなた達は金銭的困難な状態に、なっていますね?」
二人は異唇同語で、
「はい、困っています。」
と答えた。
「それを解決する方法が見つかりました。それは男性客にスペシャル・サービスを提供すれば、いいんです!」
又しても彼女二人は異唇同時に、
「スペシャル・サービスですか?」
と双子の姉妹のように答えた。
二人とも胸と尻が大きくて日本人女性の平均身長よりも少し背が高い。美人店主は微笑むと、
「この店は奥の方で、わたしの家に繋がっています。そこに空き部屋があるので男性客が望むのならスペシャル・サービスを提供してください。
A,B,Cのコースを準備します。性的サービスです。」
ここで美人美容師二人は顔色を変えなかった。一人は、
「それなら副業で、やっています。」
もう一人も、
「わたしも、です。」
と答えた。
美人美容師店主は、
「そうなの。それならコース料金は、わたしが決めるからサービス内容は任意で、お任せします。」
と提案したのだった。
次の日から美容室「美へア」では男性客は格安カットの他にスペシャル・サービスが、あるのを知った。
金がないので、その店に来ていた男は椅子に座ったまま、
「スペシャル・サービスって何ですか?」
と聞くと美人美容師は、
「性的にサービスさせていただきます。ここではなくて、奥の方にありますよ。」
チョキチョキと男の髪を切りながら答える。
男の目は輝き、
「クレジットカード決済は出来るんでしょ、お姉さん。」
「出来ますよー。今、お金が無くても大丈夫です。」
「それならスペシャル・サービスを、お願いします。」
「ありがとう。カットが終わったら奥に行きましょう。」
という事で三十路程度の男のカットが終わった。
二人の内の一人の美人美容師は男客を案内する。奥のドアを開けると長い廊下が続いている。その廊下の右側に洋室のドアが見えた。
美人美容師がドアを開けると中はベッドルームだったのだ。
白いシーツのダブルベッドが二人を待っていたかのように姿を見せている。美人美容師は、
「コースはA,B,Cと別れています。Cは私と本番できますわ。」
「それって高額なんでしょうね、美容室は格安カットなのに。」
と部屋に入った男は立ったまま聞く。
「普通のソープランドの倍額で構いません。わたし、体に自信あるし。」
部屋の中には何と大浴槽まで設置されていた。ただ、まだ湯水は浴槽に入っていない。
金のなさそうな男は、
「Aは格安ですか?」
と聞いた。
「Aはマッサージだけなのでファミリーレストランのランチ代で出来ます。」
「それなら、それを今日は頼みますよ。美人の貴女が素手でマッサージしてくれるんですね。」
「ええ、やりますわ。ベッドに仰向けになって寝てください。」
「はいはい、すぐに。」
男は服のまま、ダブルベッドに横たわる。男の肩から揉み始めた美人美容師だったが、男の股間に素手を持ってくると丹念に執拗にズボンの上から男の棒を揉み続けたので、遂に三十路男は勃起した。
美人美容師は、
「あら、硬く太く長くなりましたね。」
とズボンの上から男の勃起棒を握ったまま聞いた。
「うん、勃起しましたよ。貴女の素手が柔らかくて気持ちいいから。」
「ふふふ。地球人の硬直したモノを握ったのは初めてヨ。」
「え?なんですか?地球人と聞こえましたけど。」
「あら御免なさい。日本人の間違いでしたね。」
「ははーん、やはり貴女は海外の人なんだ。美貌が日本人離れしていますものね。」
「ありがとう。ヨーロッパから来たんです。国名は日本では、あまり知られていない国ですよ。」
男は焦ったように、
「このまま僕の勃起したモノを握り続けるだけですか?」
「一番重要なモノなんでしょう?地球・・・いえ、日本人男性の。」
「世界中の男性にとって、みんな同じように重要でしょうね。」
「そろそろマッサージは終わりにしようかな。」
「えっ、もう終わりなんですか?」
「Aコースは、こんなものですよ。次に進むためにはBコースの料金が必要です。」
「幾らくらいですか?」
「普通のファッションヘルスの料金の二倍ですねえ。」
「分かりました、払います。クレジット払いで、いいですか。」
「もちろんよ。」
男は股間棒を美人美容師に握られたまま、ズボンのポケットからスマートフォンを取り出して、
「払います、バーコードは何処に、ありますか。」
「わたしの左の胸に貼ってあるでしょ?」
確かに彼女の上着の左胸の上に店のバーコードが貼ってあった。それを決済サイトのカメラで読みとり、金額を美人美容師に聞いて入力、そして見せる。
「はい、それでいいです。決済してください。」
GOODGOODというスマホ決済サイトだ。
性風俗の決済に良く使われている。
決済手数料の安さは業界一だ。
これでBコースに進む。
まず美人美容師は全裸に、なってくれた。白い裸身は白人女性より白く、形の良い乳房、クビレた腰の下には大きな幅の臀部、股間は黒い恥毛が豊穣として広がっている。
それに彼女の若い女性のフェロモンが寝そべった男の股間棒を限界まで立身させたのだ。
男は、
「素晴らしすぎる、貴女の裸。これほどまでに美しい裸は見た事がない。僕も脱ぎたいです。」
美人美容師は右手の平を男に押し出して、
「同時に裸になると、あなたはCコースに進みますよ。」
「そうですね。それではBコースで、お願いします。」
美人美容師は男の直立棒をズボンから出すと口に含んであげた。
それから彼女の舌で男の鬼頭を舐め回したので、あえなく男は放出して即、萎えた。
彼女は男の液体を口から出してティッシュペーパーで拭くと、
「回復は、どの位で?しますか?」
「最低でも数時間、かかりますよ。」
「Bコースは十分です。でも満足したでしょ。あと五分で終了よ。」
「え?もう、そんなに時間が・・・。美人と居たら時間が経つのが早いな。」
「そうみたいですね。キスして上げるわ。」
全裸美人美容師は尻を、かがめて寝ている男に接吻した。
五分も彼女の唇と舌の絡め合いで男は半勃起する。
全裸美人美容師は壁の時計を見て唇を外した。
それでBコースは終わりだった。
半勃起している男は、
「もっと続けたいけど、さすがにクレジットでも、お金は払えません。派遣の仕事だと来月は未定のようなものですから。」
「そうなの。いや実はね、わたし・・・服を着ます。」
美人美容師は手早く下着と上着とスカートを身に着けた。
そして再び口を開いて、
「実は、わたし地球外生命体なの。」
「ええーっ、やっぱり。地球人、とかいう言葉を聞きましたから。」
「つい口が転倒したのよ。ヨーロッパに葉巻型宇宙船で行って、そこでヨーロッパの女性に成りすましたわ。その国は小さな国で公用語は英語だった。そして日本に来て美容師の資格を取ったのですの。」
「素晴らしいですね。貴女の星に行ってみたい。」
「お金がないと地球では不自由するでしょ。」
「ええ、とても不自由です。」
「わたしたちの宇宙船内でも地球の国の紙幣は模造できます。日本の現行紙幣も。」
「それじゃ偽札ですよー。」
「いえ。本物と同じものを作れますから贋札では、ないのよ。本物の日本の紙幣と同じものが作れるから。」
「なるほどー。そういう見方もありますね。」
「だからワタシタチは地球で、お金に不自由しません。ヨーロッパの小さな国の紙幣を葉巻型宇宙船内で発行してね、大量に。
それで、その国の富豪より紙幣を作ったから、富裕な暮らしだったし、ドルに換えて日本に来たんです。葉巻型宇宙船で来たのでは、ないです。」
「わー、いいなー。大富豪なんでしょ、それなら。」
「でも大半は株と仮想通貨に変えたから、現金は普通の生活が出来る程度ヨ。それで美容師になって働いているんだけど、店主の穴野阿袈子(あなの・あけこ)さんが特別サービスを提案した時はスグに賛成したの。
体を張って金稼ぐのも、いいものね。」
「ふーん、そうですか。」
「そうなのよ。地球人じゃなくても体は動かさないと退化するのは同じなの。オマンコも使わないと、いけない。」
「ははー、納得しました。それでCコースも、できる訳ですね。」
「そういう事ね。貴方も稼げば、わたしとCコース出来るから、ね?」
「ソープランドの倍額ですね、Cコースは。」
「あ、言い間違えていたわ。高級ソープの倍額の間違いよ。」「倍額!僕は高級ソープにも行った事が無いんです。」
「それなら、とにかく働こうよ、君。わたし、メテローヌっていう名なの。君は?寝てないで立ち上がって。」
男はベッドから降りて立って、
「僕、灰谷本意太(はいや・ほいた)と言います。」
「よろしい。ここから出て中庭に行くと、珍しいものが待っているから。」
とメテローヌは話した。
廊下の左はガラス戸で、それをメテローヌが開けて降りると、灰谷も続く。
おおーっ!!!そこには葉巻型宇宙船が着陸していたのだ!
メテローヌの服は、いつのまにか宇宙服に変わっていた。
彼女は振り返ると、
「灰谷君、私達の宇宙船に乗って。銀河系を旅して別の太陽系へ行くわ、さあ。」
と呼びかけた。
灰谷本意太は遅れじと葉巻型UFOに乗りこんだ。
メテローヌは、
「運転は船長さんが、してくれます。椅子に座りましょう。」
無重力の状態で椅子が浮かんでいる。
二人は向かい合って宙に浮いた椅子に座った。
メテローヌは、
「私達の星は地球と、よく似ています。KEPLER-1649Cという地球によく似た星と、よく似ています。でも、その星とは別の方角にありますが、地球上では、まだ発見されていません。
だけども私達の星から地球は見えるんです。それで日本が人口が三分の一になった事も分かりました。」
「それは凄い。無重力状態を僕は初めて体験しました。人口的に作り出しているんですね、これは。」
「いいえ違うのよ。もう地球の大気圏外に出ているから無重力状態なんです。」
灰谷は驚きまくった。
「動いたように見えませんでしたけど。」
メテローヌは右手の人差し指を立てて前に出すと、
「この指には指輪がハメてあるけど、そこからアナタにパワーが行きます。眠くなるわよー。」
と宣告した。
光りのモヤのようなものが指輪から出て来て灰谷は眠ってしまった。
灰谷が意識を取り戻した時に見たのは病室に自分がいると思える光景だった。
そこへ自分の目の前に立ったメテローヌの顔が見えると彼女は、
「おはよう。私達の星へ、ようこそ。実は私達の星では男が少なくなってしまったの。それは女が強いから、というのもあるけどね。女の子ばかり生まれて来ても、そうなるわよね。」
「ハイ、そう思います。」
「だから、自然と一夫多妻制になりました。私達の星は地球と違い、一つの大陸しかなくて他は海なんです。」
「それなら一つの国しか・・・。」
「そうなんです。それで建国以来、戦争なんてないんです。だって戦う相手国が、ないんですから。」
「それは平和ですね。」
「そう。だから、この星には軍隊もないし、兵器もない。その分、宇宙船の開発に総力を傾けました。
それで葉巻型宇宙船や円盤型宇宙船も作りました。地球の太陽に立ち寄ってエネルギー補給をしてから地球に行きます。」
「なにか凄いです。」
「それとね、女が多いだけに男の性器を強靭にする医学的手術も可能です。
今、アナタは男性器手術を受けています。自分の股間のモノを見てくださいな。」
「えっ、そんな・・・。」
と絶句しつつ灰谷本意太は自分の股間を見た。
すんごく大きくなっている、まだ平常時なのに。
「本当ですね。これで勃起したら・・・。」
「三十センチだと思うわ。わたしは小柄な方ですから。この星の女性の平均身長は二メートルですので。」
看護師が入って来た。
やはり二メートルある身長だ。灰谷は自分がヘッドフォンを装着していることに気づく。
看護師は灰谷に、
「気分は、どうですか?」
と聞いた。その声はヘッドフォンから聞こえる。
看護師もヘッドフォンたいなものを頭に装着している。
灰谷は、
「え、全くいいです。」
「それは、よかった。手術は十時間も必要でした。灰谷さんも十時間寝ていたんですけど点滴で栄養と男性器増大液を送っていたので、さっき取り外したんです。」
と説明してくれた。
それからメテローヌの方を見ると、
「メテローヌ様。これで灰谷さんには仕事が舞い込みますわ。」
と話すとニッコリとした。看護師の肌は白い。メテローヌは、
「立派な性器は高収入をもたらす、これは地球でも同じなのに気づいている人は少ないみたいね、地球では。」
「そうなんですか。わたしも地球に行ってみたい気がします。」
「地球の女性は身長が低いので、貴女なら目立ちすぎると思う。」
「そうなんですね。地球外生命体だとバレそうです。」
「地球にワタシが行けるのも低身長のためよ。だけど地球の日本では私は高身長なんだけどさ。」
「ええ、分かりました。地球人が来たのは、この灰谷さんが初めてですね。」
「そうなのよ。おかげで地球探査省の大臣から誉められました。おかげで一か月の休暇を貰ったけど、灰谷君を連れて回るとか仕事をさせるとか色々あるし。遊んでいる時間は、ないのよね。」
「この灰谷さんの件は地球探査省が内密にしているし、ワタシも口外を禁じられています。でも時が来れば地球探査省も公開するらしいので、それまでの秘密らしいです。」
「前々から地球の男性に対する需要というものは起こっていましたしね。第十夫人なんて夫とのセックスは年に一度位らしいです。」
看護師は口に手を当てて笑った。
「オホホ。結婚するなら第二夫人までが、いいという話ですね。これは昔かららしいですけど。」
「そうね。わたし、まだ独身よ。看護師さんは?」
「わたしも独身です。ここの院長の第十夫人にならないか、と言われているんですけど、わたしも、まだ若いし。院長は富裕ですけど、それだけでは、と思いますし。」
「そうね。金だけが全てでないのは地球も同じなんだけど。中東以外は地球では重婚を認めていないの。」
「それは・・・あ、お喋りし過ぎました。次の患者を見に行きます。」
体験版・sf小説・未来の出来事55
フレッシュアイランドの自衛隊情報第三部隊から地上に出て、警衛門を出た流太郎はタクシーが近づいてくるのを見た。さっき乗ったタクシーだ。窓を開けた運転手は、
「さっきのタクシーです。乗りませんか?」
「いや、歩いて帰るよ。」
「そんな事、言わずに乗って下さい。運賃はタダでいいので。」
流太郎が歩行を停止したのでタクシーは彼の横に停車した。流太郎は、
「タダでいいって、本当ですか?」
「ええ、ええ。タダです。その代り北九州に行きます。帰りもタダで送りますから。」
後部ドアが開いた。流太郎は、
「これから人をスカウトするんです。」
「どんな人をですか?」
「なんというか、女たらしの達人の男。」
「さすがはネットニュースの運営者ですね。北九州にいますよ、女たらしの達人が。」
「え、そうなんですか。」
「私が知っていますから、その男にも引き合わせますし、その前に驚く場所に連れて行きます。」
それを聞いた流太郎は後部座席に乗りこんだ。ドアが閉まり、タクシーは発車した。流太郎は、
「北九州も人口は減ったでしょう。」
「日本全国、同じですよ。老人が、かなり減りましたね。それで儲かる職業がありますから。」
「葬儀屋ですか。」
「その通り。葬儀屋の上場企業の株価は空前絶後、という奴でさ。あたしゃ葬儀屋の株に全財産、突っ込んでいます。悲惨の影に繁栄あり、ですね。三十倍には、なっていますよ、葬儀屋の株は。」
「そうでしたねー。誰かの不幸は誰かの儲け、という事ですか。」
「私の仕事は、ずっとタクシーじゃないんですよ。」
窓の外は福岡市の東区の風景となった。
流太郎は、
「それでは前職は?」
「ええ。おいおい話します。とある北九州の大学講師でした、私は。それが、ある事で大学を追われましたんですよ。私を追放した人たちはアロナ・ワクチン接種のために全員死にました。」
「それは、どうも。聞かなかった方が良かったみたいですね。」
「いいえ、気にしないで下さい。アロナ・ワクチン接種のために日本人の三分の二が死んだから、私の夢は実現するといってもいいんですから。」
なんとも奇怪至極な話である。一体、どういう事なのだろうか。
「そうですか。夢は実現できると言いますよ。」
と流太郎は適当に合いの手を打つ。
「ははは。そうかもしれませんね。株で儲けたから、僕は牧場を買いました。そこに行きましょう。驚きますよ。」
「ええ。それは魅力的ですね。株で儲けても、それだけでは只の紙幣ですからね。」
「そう思います。」
「牧場の経営が夢だったんですか?」
「うん、そう云えるかどうか・・・。人口が減ると土地の価格はガクン、と下がります。僕なんかは、それで格安の土地を手に入れました。北九州も南に行くほど人が、いなくなります。福岡市に移り住んだ人たちも多いんです。
タクシー稼業も福岡市で、やる方が客も多いですから。」
「それで北九州市の人口は今、どれくらいですか?」
「三十万人位ですね。」
「驚きました。福岡市は七十万人位で、そこそこの人口は保っていますね。確かに福岡市も老人は消えましたよ。三分の二の人口は要らない人口だったのかもしれませんね。」
「それは北九州市では減り過ぎですから、当てはまらないかもしれないんですけど、私としては牧場が買えたので満足です。自宅を、もう一つとかは考えていませんね。」
福岡市東区を抜けた。
海に近い国道を個人タクシーは走っている。流太郎の昔の恋人の城川康美は北九州市の出身だったが連絡が取れなくなって久しい。そういえば時流太郎は恋人のいない期間が長すぎる気がしたが、安定した職業に就いていないから結婚も難しい。それに若者も若干はアロナ・ワクチン接種によって死んでいる。
福岡市を出ると別の県に来たような雰囲気となる。そういえば車も多くなかった。流太郎は、
「牧場というと牛を多数、飼っているんでしょう?」
「ええ、飼っています。人を雇っても儲かりますよ。牛乳市場に参入出来て、福岡市にも出荷しています。大手牛乳メーカーは人手不足で混乱していますから。」
「それでタクシーの運転手を継続しているんですね?」
「ええ。牛の飼育などは専門家に頼んでいますし。経営は一日、十分もあれば充分ですから。人件費は必要で出費も多いけど自分一人で、やったら朝から晩まで仕事になりますし、酪農を一から勉強しないと、いけませんからね。」
タクシーは東南に走っている。やがて広い牧場が見えてきた。流太郎は窓の外を見て、
「あの広大な牧場ですか?」
「ええ、あれです。すぐに入れますよ、牧場に。」
タクシーは牧場の正面玄関の近くの入り口から中に入った。
建物の近くにタクシーを停めると運転手は、
「降りてください。」
と云い、後部ドアを開ける。
二人はタクシーを出た。運転手は流太郎の前に来て、
「申し遅れました。私、牛野放一(うしの・ほういち)と申します。」
「時流太郎です。よろしく、頼みます。」
二人は同時に軽く頭を下げた。
牛野は、
「それでは牧場を案内しますよ。ついて来て下さいネ。」
と気さくに話すと歩き始めた。
北海道にあるような広い牧場だ。
数十頭は放牧されている。飼育係の人達が乳牛の周辺に数人は立っていた。
牧草地を踏みしめながら流太郎は、
「本格的に酪農事業が出来ますね。」
と横で歩いている牛野放一に話すと牛野は、
「ええ、今は小さなスーパーに出せるくらいです。まあ、株の収入が、いいものですから・・・そうだ、上場企業に・・・でも投資して貰っても事業拡大の自身が無いんです。もともと僕は大学の講師で専門は考古学だった。祖父が相場師だったので幼少の頃から株を教えてくれたんです。それで中学生から株投資していたから大学を出た時には、ひと財産持っていました。それでもケチが趣味なくらいだから恋人も出来ず、結婚もせずに現在に至っています。
こんなになった日本のためにも結婚は、ともかく、子供ぐらい作らないと日本の為にならないんでは、と思いますね。」
草の匂いがしている中を歩き続ける二人、流太郎は、
「それでは・・・女と縁のない暮らしで、どうして女たらしの男を知っているんですか!?」
牛野放一はニヤリとすると、
「結婚していないだけで、女と縁のない暮らしはしている訳では、ないですよ。それで小倉の夜の街は誰よりもよく知っている程です。その時に知り合いになった男はソープ嬢千人斬りを達成しています。数千万円はソープ嬢に消えたわけです。」
「すんごい金を使っていますね。金持ちだなあ。」
「うん、ですが彼はヒモでした。女に貢がせた金を使ってソープに行っていたんです。セックステクニックを磨くのに一番いい場所はソープランドですよ。」
「それなら牛野さんも、ソープへ?」
「ああ、行きましたよ。小倉の船頭町にはソープランドが多いんです。最低月に一度。多くても毎週一度、だから、やはりケチですね。(笑)。」
「ふーむ。僕は数年に一度、ですかね。」
「そんなに。行かないんですか、時さん。あなただって、まだ三十代でしょう?」
「ええ、そうです。恋人と生き別れになって性欲が消えたようです。」
「いかんなー、それは、いかん。僕は四十代に、なりました。約束したように、その女たらしの達人に会わせますから。あの建物の中に見せたいものが、います。」
平屋建ての鉄筋のビルが間近に迫っていた。牛野は建物のドアにカギをかざした。それでドアは開いた。牛野は、
「時さん、ここは私しか入れない建物でしてね。さあ、入って下さい。」
流太郎は牛野に続いて建物に入る。自動空調設備なのか残暑も感じさせない室温だ。室温28度位だろう。
廊下は広かった。
牛野は、
「地下室に驚くべきものが、います。」
と振り向いて流太郎に話す。
廊下の突き当りは階段があり、それを降りると地下室になった。
あるドアの前に立った牛野は又しても鍵をドアに、かざした。
ドアが開いて見えたのは体育館のような広さの部屋で、中には恐竜が、いたのだ!
ステゴザウルス、に似ているが専門的な事は流太郎には分からない。腰が抜けそうになるのを、こらえるしかない流太郎。気を取り直して流太郎は牛野に、
「あれは作り物ですか、本物の恐竜に見えますけど。」
「本物です。まだ子供なんですよ。だから小さいんです。あれはステゴザウルスですから成長すると体長9メートルになります。今は3メートルです。草食ですから凶暴ではなく、飼い主の私には、なついています。」
と牛野は体育館のような部屋の中央にいるステゴザウルスに近づいて行った。
ステゴザウルスは牛野を見ると子供が親に対する様子で牛野に顔を近づけていく。牛野はステゴザウルスの頭を撫でてやった。
流太郎は部屋のドアの近くで動かないで立っている。遠くにいる牛野は流太郎の位置に気づくと、
「おおーい。時サン、安全だから、こっちに来なさいよ。」
と話して手招きした。
流太郎は恐る恐る歩き始めた。やがて牛野の近くに行ってもステゴザウルスは動かなかった。牛野は、
「もともと牛みたいに、おとなしいんです。あなたは私の知り合いだと思っているから、安心してください。」
背中に縦に並んでいるステゴサウルスの突起は敵と戦うためのモノらしい。
流太郎は、
「恐竜は絶滅したはずですけど・・・。」
と疑念を口にした。
牛野は笑顔になると、
「僕は考古学者でした。地層を深く掘って何かないかと探していたんです。ジュラ紀の地層で僕は卵を見つけました。
それが、このステゴサウルスの卵だったんです。気温の低い場所で乾燥していました。それでステゴサウルスの卵は孵化しなかった。孵化しても氷河期だったので死んでしまっていたでしょう。それが、どういう偶然かは知りませんが地層の中に完全保存されていたんです。
ぼくは、それを持ち帰り、一連の設備を購入して卵を孵化させました。そして目出度くステゴサウルスは、ここ日本の北九州市で誕生しました。
外敵も存在しないのでスクスクと育ってくれましたよ。」
「ステゴサウルスの寿命は?どの位ですか。」
「うん、長ければ70才くらいまで生きます。恐竜というと恐怖のイメージを持つ人が多いですけど、恐竜と人類は共存していた、という話もある位で。蜂を怖がる人と同じですね。蜂程、人になつく虫は、いません。
恐竜も実は蜂と同じなんです。」
流太郎は安心して、
「そうだったんですか。でも肉食の恐竜は恐ろしいのでは?」
「今のところ私には分かりません。肉食の恐竜が人間を食べたか、どうか。なんとも言えないですね。私が発見した恐竜の卵はステゴサウルスだったので。」
と牛野は話した。
ステゴザウルスはチラチラと流太郎を見たが、動こうとは、しなかった。流太郎は、
「これは世界初、なのでは、ないのでしょうか。現代に恐竜が蘇ったのは。」
「そうなると思います。この部屋の隅に小さなプールに満杯の水と、その横に牧場の草を山のように積んでいます。トイレも作ってやったんです。そこで排泄するように教えたら、ステゴサウルスは前脚でドアを開いて中に入り、そこで排泄するようになりました。
便や尿が残らないような便器を設置しています。巨大な便器を特別注文しました。
メーカーでは、
「どうして、そんなに大きなモノが必要なんですか。」
と聞いたので、
「象を飼育するんです。」
と答えてやりましたよ。」
と痛快そうに話す牛野放一だった。彼はスマートフォンを取り出すと、
「ラーメンでも取り寄せましょう。時サンは何ラーメンが、いいですか。」
「北九州のラーメンで、いいものは、ありますか。」
「そうですね、玄海ラーメンが有名です。」
「それでは、それを、お願いします。」
「ええ、私も玄海ラーメンに、しよう。」
彼はスマホアプリで玄海ラーメンを注文した、そして、
「ここでラーメンは食べられません。一階に食堂が、あります。エレベーターで昇れますから。」
と壁の方にあるエレベーターに向かい、歩くと紅色のエレベーターが、あった。二人は、それで一階に着くと、そこが食堂だった。十人は座れそうな食卓に牛野は座ると、
「時サン、何処でもイイから座ってね。」
と促したので流太郎は牛野の斜め前に座った。
牛野は、
「あのステゴサウルスについてはニュースサイトで噂の形で報道してもらいたいんですよ。あなたは実物を見ましたけどね。」
「ああ、そうします。そのまま流したら・・・まず信じてもらえないでしょう。」
「そんなもんです、世の中は。私も大学を追われたのは恐竜の卵を発見した、という主張からです。無難に生きて居たいんですよ、学者という奴らは。」
「そうらしいですね。」
ピンピロリン♬玄関チャイムが鳴った。牛野放一は立ち上がると、
「玄海ラーメンが来たようです。取りに行ってきます。」
台所を出た牛野はラーメン丼を二つ抱えて戻ると、テーブルに置いた、そして、
「割りばしはテーブルの、そこにあります。それでは食べましょう。」
ラーメンの上に大海老、いか、たこ、わかめ、メンマ、キクラゲなどが載っていた。
麺は二玉、入っていた。二人とも食べ終わり、牛野は自分の腹を手で擦り、
「満腹になりましたね。さて、女たらしの達人に会いに行きましょう。スマートフォンで連絡取ります。・・・・あ、僕だ。牛野。今から人を連れて会いに行くからね。・・・それでは。」
連絡が完了したらしい。
流太郎が乗りこんだのでタクシーは発車した。北へ向かうらしい。牛野は自動運転に切り替えてハンドルから両手を離すと、
「彼は小倉北区に住んでいます。それというのも・・・行けば分かりますよ。」
と笑顔で語った。
その牧場があるのは北九州市小倉南区らしい。タクシーが北上し始めたのを流太郎は携帯方位磁石で確かめた。後部座席は、ゆったりとした座り心地のいいシートだ。流太郎は、
「牛野さん、改めていい座席シートですね。」
と誉めると、
「うん、特注品なんですよ。最初から車に装備されていたものではないものに変えたんです。座り心地の良さを、お客さんに味わって欲しくて。」
「牧場で成功してからですか?」
「そうですね、先行投資という奴ですよ。」
道行く人は、ほとんどいない。
熱中症アラートが出ている日であるからなのか。小倉北区で熱波が発生し、かなりの人が死んだ。平空内閣に要求されているのは温暖化対策である。
タクシーの中はエアコンで涼しいが午後の小倉南区は陽炎が立つような暑さなのだ。
日本中で熱波が発生するようになったのは八月の話で今は九月だが、時々熱波が発生している。
小倉でも北区は熱中症で倒れる人も多い。八幡駅近くになると工場の煤煙は止まることを知らないように発生を続け、この辺りで突如、熱波が発生するので八幡駅前に噴水広場を作ったほどだ。
それでも焼け石に水なのかもしれない。人口が減っても製鉄所は稼働しているのだ。平空内閣としては化石燃料の使用停止を検討しているところである。
まだ流太郎の乗っているタクシーは小倉南区を走っている。 流太郎は窓の外を見て、
「結構、田舎なんですね。この辺は。」
「そうなんです。それに、なお人口が減りました。小倉北区よりも発展していない場所なんですよ。もうすぐ小倉北区です。」
確かに小倉北区に入ると賑やかな街となる。とはいえ人口は三分の一なのだ。
更に進むと潮風を感じた流太郎は、
「女たらしの達人には早めに会った方が、いいんですか。」
「午後五時過ぎが、いいな。同棲している風俗嬢が帰ってくるのは深夜の十二時過ぎらしい。それまでなら会えるね。もう彼には連絡を取っている。午後五時過ぎに来る、とね。」
「有難うございます。福岡市にもヒモの人は、いると思うんですが調べるより募集してみないといけないし、牛野さんが知り合いに居るというので助かりました。」
「あー、それは良かったですね。僕も小倉北区の船頭町のソープランドで彼と知り合いになったので、五時まで少し時間があるから船頭町でも、このタクシーで通ってみましょう。」
昼過ぎなので人も見かけない船頭町のソープランドが並んでいる場所に牛野のタクシーは入った。三階建てのビルが多い中に、日本の寺院風の建物やキリスト教の修道会の建物が見えた。流太郎は、
「こんな場所に寺院とか修道院があるとは!」
「いえいえ、あれもソープランドなんです。」
「やはり、そうなんですね。変わったソープランドだなあ。」
「それぞれ入った事があるけどさ。寺院ソープランドでは尼さんの頭の女性が泡まみれにしてくれてプレイできるし、修道院では女子修道女の衣服を着た若い女性がマットプレイしてくれるし、服を着たまま四つん這いになってくれるから修道女とセックスしている気分になるんだ。」
「詳しいですね、牛野さん。」
「ああ。独身生活しかしていないとソープ通いは増えるばかりなんだ。福岡市の中洲にも時々、遠征しているよ。」
タクシーは船頭町のソープ地帯の一角を通り過ぎる。
海岸は砂浜でなくて船着き場のように多くの漁船が並んでいる。漁師の人達が通いやすいのが船頭町のソープランドなのだろう。
長い船の時間は女なしの時間でもある漁業だ。独身の漁師は港に着くと、まずソープへ向かいたくなるだろう。
結婚している漁師も時にはソープランドへ行きたくなる。
港に着き二人の漁師が陸に上がった。既婚者らしい若い男は、相棒に、
「おれのカアチャン妊娠五か月だから、ちょっくらソープに今から行くよ。君も行くか、独身なんだろ、まだ。」
「うん、行こう。大漁だったし特別に金を貰えるっちゃ。」
と同意した。
それを窓の外に見た流太郎は二人の会話までは聞き取れなかったようだ。
牛野は近くの有料駐車場にタクシーを停めると、
「その男が住んでいるマンションは、この近くだけど駐車場が、ないからね。彼の女は職場まで歩いて一分さ。」
午後五時を少し過ぎていた。
その男の部屋の玄関に二人は立っていた。牛野はチャイムを押す代わりにスマートフォンで連絡する。
ドアが開くと端正な顔の美男が出てきた。牛野は、
「こんにちわ。君を必要としている人を連れてきたヨ。」
と話す。
美男は牛野と、その後ろにいる流太郎を見て、
「どうぞ。上がって下さい。」
と答えた。
九月だけど残暑は続いているから美男の服も上は半袖、下は短パンだった。筋肉質の男、しかし背は高くない。
優雅にも3LDKの部屋で、リビングは30畳の部屋だった。これがヒモ男の部屋か、と流太郎は思いながら観察するとリビングには巨大なディスプレイがあり、それはパソコンかられるものだった。
十人は座れる円形のソファに、それぞれ座る。牛野は、
「紹介します。女たらしの達人を必要とする時流太郎さん。」
と横に座った流太郎を右手で示すと、
「女たらしの達人の美神美男(みかみ・よしお)君です。」
流太郎は頭を下げて、
「初めまして。よろしく願います。」
美神美男は、
「こちらこそ、よろしくですね。」
と明るく答える。
筋肉質な美神美男の体だ。女でなくても惚れ惚れとする肉体の持ち主。流太郎は、
「筋肉がありますね。ボディビルダーですか。」
美神美男は上半身を反らせて、
「ええ。ミスター九州のタイトルを貰いました。上半身や胸の筋肉を随意に動かせるだけでなく、実は股間の肉棒も随意に勃起させられます。」
流太郎は驚き、
「そうなんですか。それは重宝ですね。」
「ええ、今、お見せしますよ。」
と云うと美神美男は短パンの股間を広げた。
それから力を入れたのか彼の股間の部分は明らかに盛り上がった。中に巨大なキノコが突き出したかのように。
流太郎は激驚して、
「ほんと、ですねー。男性器を随意筋にしてしまった・・・。」
「そういう事です。女に見せると自分の体を見て勃起したと思いますからね。それでは元に戻します。」
と美神美男は宣言するかのように云うと、彼の股間は平たくなった。牛野放一は、
「素晴らしい特技だね。ボディビルを、やったからといって誰しも出来る技では、ないし。」
と感心する。北九州市小倉北区に、こんな男がいると流太郎は驚く。流太郎は、
「これこそ我々に必要な人物の特技です。ぜひ僕らの仕事を手伝って欲しい。」
美神美男は片方の眉毛を上げて、
「仕事?ですか。僕は金に困っていません。ヒモみたく牛野さんは思っているらしいけど、ボディビルのトレーナーをしているんで収入は、あります。女は貢いでくれますけど貯金していますしね。」
と反論した。流太郎は、
「ボディビルのトレーナーの仕事は休止してもらえませんか。その何倍もの報酬は出しますから。」
と提案すると、
「え?僕に出来る仕事って何か、ありますか?」
「ここでは話せませんけど福岡市に来て下さい。」
「福岡市?にですか。家賃も北九州市より高いでしょう。」
「家賃補助は出ますよ。」
「不定期な仕事ですか。」
「そうなりますけど、ボディビルのトレーナーに戻れるでしょう?」
「うん、それは出来ると思うけど、女に会いにココまで戻れそうもないようですね。」
「女には不自由しない仕事ですよ。」
「そんな仕事・・・ああ、ホストとか。」
「いいえ。違います。詳しくは福岡市で話します。牛野さんに聞かれるとマズい話です。」
「それなら行きます。でも今は夕方の五時過ぎだし、明日がいいのでは。」
「そうしましょう。車で福岡市まで二時間くらいかな。」
牛野は、それを聞いて、
「明日、ぼくが君達二人を福岡市に送ってあげるよ。運賃タダでね。」
と申し出る。流太郎は、
「そうしましょう。牛野さん、ありがとう。」
「どういたしまして、です。」
「美神さんは、これから、どうしますか?」
と流太郎は聞いて、見る。
美神美男は筋肉質の両肩を上げ下げして、
「これからボディビルのトレーナーの仕事に出ますから、帰るのは三時間後ですね。夜の十二時に女が帰って来るんで、それから翌日の午後五時までは女とセックスして寝て、朝は十時か十一時に起きて朝飯を食べて又、女とセックスします。昼飯は午後二時ごろですけど、それから又、女とセックスして、だから午後三時ごろから五時まで女とセックスして、午後五時に女が出勤します。
明日も僕が空くのは午後五時からなんですよ。」
と、これからの予定を話した。
牛野放一は感心した顔だ。流太郎も驚きつつ、
「それではセックス三昧ですね。」
美神美男は、さり気なく、
「使う器官は強大になります。坊主とかセックスは弱いんですよ。ボディビルでは男性器を鍛えられませんからね。」
と話すと笑った。
壁の時計は午後六時だ。美神美男は、それを見ると、
「ボディビルのジムは、歩いて二分だけど、今から出ますから。」
と云うと立ち上がったので牛野と流太郎も立ち上がった。
牛野のタクシーに戻った流太郎と牛野はタクシー車内で、のんびりとした。流太郎は後部座席から、
「成果ありありでしたよ。九時に美神君は戻って来るらしいですけど。」
運転席で牛野は、
「ああ、九時に又、行ってみよう。それまで何か食べに行きますか。」
「それが、いいですね。いい店、ありますか?」
「行ってみようと思う。小倉北区も、そんなに来なかった。美神と会ったのも半年ぶりだしね。」
タクシーは発車している。
小倉名店街という商店街の近くにタクシーを有料駐車場に停めて牛野と流太郎は名店街に歩いて入ったが。
なんと三分の一の店しか残っていなかった。
飲食店なども三分の一、になったみたいだ。その中の大衆レストランに入って格安料理を食べた二人は店を出る。
レジでは割り勘という事でクレジット決済した二人だった。流太郎は、
「結構、満腹になりましたよ、牛野さん。」
「うん、小倉は物価が安いんだ。人口が三分の一になると物価も三分の一に向かうからね。北九州市は福岡市より活気が無くて人は金を使わないから、なおの事、物価は下がるんだ。
その点は生活が楽になるね。」
と解説してくれた牛野。
「福岡市は、それほど物価が下がっていないんです。若者は食費に金を掛けますし、部屋も新しい部屋とかを選びますからね。」
「うん、若者の都市、福岡市だな。北九州市は年寄りが多かったからだろう。人口減少が著しい。」
タクシーはドライブしている。
若戸大橋の近くまで牛野のタクシーは進んだ。その大橋の下の海に恐竜らしき姿が発見され「ワカトー」と呼ばれている。
秘密裡に恐竜を飼育している牛野放一にとっては訪問を辞められない場所だ。牛野は自動運転を停めてハンドルを握っている。海が見えた。牛野は、
「ここはワカトーの出現場所なんだ。あの海はね。」
と楽しそうに流太郎に話した。
「ああ、そうでしたね。観光客が増えたらしいですね。」
「福岡市には前から愛高島なんていう空に浮かんだ島が、あるけど北九州市は新名所としてワカトーが目撃された、この付近が全国的に有名になった。」
「もともと若戸大橋は東洋一の吊り橋として知る人には有名でしたけど・・・。」
「それだけじゃ観光に来ない。有料だった時期も長かったしね。北九州市は福岡市に比べて人を呼び込む力がない。最初は工業都市として福岡市より栄えて人口も多かったのに、二十一世紀には福岡市に倍以上の人口の差を付けられた。
体験版・女子校生と派面ライダー
ビルの谷間でセーラー服を着たピチピチの若い娘が、目の前に立っている痴漢風の若者を嫌悪の眼で見ると、
「助けて!派面ライダー!」
と叫んだ。彼女は右手に握り締めた、小さなリモコンのようなものをスカートのポケットの中に戻す。セーラー服の上着の胸は、未成年者とは思えない程、豊かな曲線を描いている。彼女の前の痴漢らしい男は、大声を上げられて驚いたが誰も来ないので、彼女に数歩近づき胸に触ろうと右手をあげた瞬間、
「とおおおおっ!」
という男の掛け声が聞こえて、痴漢らしき若者は右手を蹴られていた。
「うわっ。」
痴漢のような青年は声をあげた。彼の眼には、白のアイマスクのようなもの目の辺りにつけた中年の男性、服装は白バイの警官に似たものだが、白バイの警官の服装の白い部分が赤色になっている、その男が連続的に右足を上げたのが見えた瞬間、頭のこめかみを蹴られてドウ、とアスファルトの地面に痴漢未遂のその男は倒れた。
顔はどう見ても二十歳のセーラー服の女は、そこそこのいい女だ。彼女は両手を胸の前に握り締めて祈りのようなポーズを取ると、
「ありがとう、派面ライダー。」
と感謝の言葉を口にした。
白バイの警官に似たその中年男は、
「いえ、どういたしまして。ここらを通りかかっていたものですからね。今日は水曜日で、ぼくの休みの日ですよ。リモコンの無線で呼ばれたのに気づきました。」
と照れながら自分の行動を説明した。ビルの谷間で人は通るのが少なく、道の先は行き止まりでビルの壁だ。大人二人が横に並べば道は塞がる。人の通っている道からは五メートルは離れている。派面ライダーと呼ばれた男のバイクは、谷間の入り口近くに停めてあった。
「派面ライダー、お礼に抱いてください。」
セーラー服の二十歳の女はビルの壁を背に、声を中年の背は中背で白いアイマスクの男にかけた。
「ええっ?いいのかなー、そんな事して。」
「ここなら、人も気づきません。あんな勃起もしない若い奴に触られるより、中年のあなたの方が好き。」
百五十六センチの彼女は、大きな胸を自分で両手で掴むと、
あはん、と悶えた。それを見るなり派面ライダーは白バイの警官の服装に似た格好で女子校生に近寄ると、
「ごっつあんしようかな。いただきますよ、あなたを。」
と言うと、彼女を抱きしめた。大きな胸が派面ライダーの腹の上あたりで潰れる。派面ライダーの右手は女子校生のスカートの尻を撫で擦った。尻を触られて彼女は、喘ぎ始める。
派面ライダーは、そこで顔を下に向けていって彼女にキスをした。彼女は派面ライダーの中年の唇が触れると、唇を開いて舌を出し派面ライダーの唇を舐める。中年男の派面ライダーも唇を開き、女子校生の唇の中の赤い舌に自分の舌を絡めた。
派面ライダーは女子校生のスカートの前を擦ると、彼女の股の間はスカートの上から触っても濡れていた。女子校生は唇を離すと、
「派面ライダー、早く入れてよ。」
と、おねだりした。
「ああ、わかったよ。」
すでに勃起していた彼の股間のモノは、ズボンの膨らんだところが女子校生の臍の下あたりに当たっていたのだ。
派面ライダーは女子校生のスカートの中に手を突っ込むと、ショーツを下げて彼女の膝の辺りまで下ろした。それから自分のズボンのジッパーを降ろすと、容易に大きなキノコのようなモノはパンツの切れ目から突き出てくる。
派面ライダーは膝を屈めて、少し上げると彼女の濡れた裂け目にスルリと淫欲棒を入れた。女子校生は、
「はああああーっん。こんなところでするのは、初めて。」
と悶え始める。彼女のピンクの内部は、ざらついていて自分の淫欲棒が刺激されて気持ちいい。太陽は南中していた。真上から照りつける太陽の光は、女子校生の淫欲裂から派面ライダーの淫欲棒が出ては入るのを照らしつけている。そのうち中年の派面ライダーは膝が痛くなってきた。ので、淫欲棒を一旦抜いて、
「バックからしようよ。膝が痛くてね。」
と女子校生に話す。
「いいよ。後ろから突いてくれた方が、もっと気持ちいいかも。」
女子校生はクルリと向きを変えると、ビルの壁に両手を突いて大きな尻を突き出すとスカートを右手で上げた。
すいかのような彼女の尻肉の下の中央には、もっこりとふくらんだ肉の中心に淫欲の裂け目が派面ライダーの眼についた。彼は、まだ天を向いている自分の欲棒のかたまりをズーン、とスムーズにズームインさせたのだ。
「ああん、大きいのを感じるわ、派面ライダー。」
女子校生は、黄色い声を上げる。派面ライダーは、赤い手袋をしたまま彼女の尻を抱えて思う存分、突きまくった。ずんずん、ずいっずいっ、と。「ああん、もう、こわれてしまいそうだわっ、いい、天国にいきそうっ。」
十分もすると、女子校生の内部の締め付けが強まってきて派面ライダーは、
「ああ、おっ。」
と声を上げると、どくっ、どくっと女子校生の淫穴の中に出しきれるものは全て出した。
波山飛苧(なみやま・とぶお)四十歳は、うだつのあがらないサラリーマンだった。福岡市内の不動産会社に勤めているが、不動産会社を転々としていた。主に賃貸住宅の仲介をしている不動産屋を流れ歩いている彼は、いつでもヒラの社員だ。
福岡県福岡市は人口百五十万人を越えて、マンションやビルも増える一方、不動産会社も増えているので競争は厳しい。
東京からの不動産会社も参入してくる。福岡市の都心部は東京さながらの人口密集地帯で、いつの日か二百万を超える人口になるに違いない。
波山飛苧の父は福岡県庁に勤めとおした役人で、長男の飛苧に波の山を越えて飛ぶ飛び魚のような人間になってほしいという思いから飛苧と名づけたのだ。
高校を出た飛苧はバイク便のライダーとなって、重要書類を届けて回っていたが、働きながら学べる不動産の専門学校に通い宅地建物取引主任者の資格を取り、不動産会社に転職した。
しかしながら不動産物件の案内などは自動車で回るのが常だ。飛苧は自動車運転免許も持っているので、顧客の案内も会社の車で行っていたが、好きなバイクに乗れないので不満が、つのっていた。
飛苧は三十にしてワンルームの中古分譲マンションを買い、そこで暮らしている。福岡市の中心に近いワンルームマンションだ。三十五歳の時に変装趣味を覚えて、白バイ警官の服装を購入した。白い部分を赤く染めると、250ccのバイクに乗り、サングラスを掛けて車道を走った。
道行く車の運転手やバイクの運転者は彼を白バイの警官と間違えた。よく見ると赤い色の部分がある服装なので、気がつくはずだが気がつかない。飛苧は爽快になった。
彼はマンションの七階にある自分の部屋に戻ると、アイマスクに似た、目の部分は穴の開いたものを両目に当てて後頭部にゴムひもを掛けると、
「変チン、」
と声を出しながら、両腕をまっすぐにして肩の上に上げた。万歳の格好に似ているが両手のひらは前にではなく、横を向いている。互いの手の平が向き合っている形だ。
「おおっ。」
と飛苧は次に声を出すと、両手を降ろして股間に持っていく。両手でズボンの上から自分のモノを触ると、すでにそれは固く太くなっていた。
(いけるじゃないか。これで、変チンすれば即、勃起している。どんな女とも、すぐにやれるだろう。とはいっても、若い女となら、だが。)
飛苧は高級物件を案内したキャバクラの女性と、その部屋に行った時に、二十三歳のその可愛い女は、
「誰も居ないしさ。ここでセックスしようよ。」
と玄関のドアを飛苧が閉めた時に誘った。
「え、まさか、そんなこと、できるわけないでしょう。」
飛苧は一応、否定した。キャバクラの可愛い女は、ふんと笑って、
「勇気ないのねー。わたし、お客さんから毎晩誘われているけど、五人に一人としかセックスしないのよ。今は二月で客が少ないから、マンコに入れる本数が減ってるからさ、あんたのモノ入れてくれたら、ここの部屋に決めるよ。」
と話して、スカートを自分の胸まで引き上げた。
彼女の股間は真っ赤なショーツだった。まるで闘牛が闘牛士の赤い布キレに誘われるように飛苧は興奮して勃起した。
「お客さん、いいんですね。会社には内緒ですよ。」
と灰色のズボンの前を膨らませて、飛苧は聞いた。
「そんな事、誰にも言わないわよ。立っているじゃない。ちんこ出したら?」
とキャバ嬢は挑発した。
「出しますよ。そーれ。それから、こうする。立ちシックスナイン。」
飛苧は瞬時に自分の肉棒をジッパーから引っ張り出すと、キャバ嬢の前で逆立ちをして、手を交互に動かして逆立ちのまま、身を反転させた。
立っているキャバ嬢の目の前に、飛苧の勃起肉棒が床を向いて硬直していた。
「ええー、凄いわ。しゃぶるね、ちん棒。」
細い白い指でキャバ嬢は飛苧の血管の浮き出たモノを握って、亀頭から口に入れると、
ふぐ、ふぐ、と音をたてながら自分の頭を長い髪を振って上下に揺らせた。飛苧の目の前にキャバ嬢の股間はなかった。
「泉沢さん、あなたのオマンコは見えませーん。」
と逆立ちして太くさせた肉棒をしゃぶられながら飛苧は、わめいた。キャバ嬢は口から太い肉棒を抜くと、
「ごめん。しゃがむわね。ショーツは、わたしがおろすよ。」
彼女はしゃがんでショーツを膝まで降ろすと、そのまま自分の割れ目が飛苧の顔の前に見えるように近づけた。ああ、かわいいキャバ嬢の男の棒を咥えたくてしょうがない膨らみと少し開いたピンクの縦の裂け目が飛苧の眼にうつったのだ、彼は逆立ちの手を交互に少し進めると、キャバ嬢泉沢のマンコの縦の淫裂に口をつけて、舌を出して舐め捲くると、
「ああー、いいわー。逆立ちしている男にアソコを舐められるのは初めてよ。」
と悶えて自分の乳房を両手で持って飛苧の床に向いて硬直している肉を乳房にはさんだ。上着の上からではあるが、気持ちいい、と飛苧は感じると
ピュッ、ピュッ
泉沢の上着の胸に射精してしまった。彼女は慌てて、
「ちょっとー、何するのよー、この上着、高いんだから。カシミヤなのよ、五万するの。」
文句を言う。萎えたチンコは、やはり逆立ちしているので床を向いている。その姿勢で飛苧は、
「すみません。ここの家賃七万円でしたね。手数料は一か月分なので、五万円ぼくが払いますから。」
と話す。キャバ嬢は、にこりとして、
「そうしてね。わたしの福岡銀行の口座に入れといてよ。もし振り込まなかったら、この件は、あんたの会社にばらすわよ。」
「わかりました。なるべく早急に・・・。」
「いつまで逆立ちして小さなチンコをぶらさげてるのよ。」
「すみません。戻ります。」
飛苧は手を動かすと、背中を泉沢に向けて足は彼女の目の先の床面に下ろした。着地して慌てて小さくなったモノをズボンに仕舞い込んだ。
というような過去もあった。紹介した部屋で水商売や風俗の女は誘ってくる場合もあったが、思うように挿入した事はない。それは追々、彼の追想で出てくるかと思う。
さて、彼の変チンポーズだが、飛苧は変チンと叫んで両腕を真っ直ぐに天に上げた時に、頭の中でAV女優の裸体を思い浮かべる事にしている。旬の女優がいい。数年前に人気があったAV女優も、いつのまにか消えてしまうことが多いものだ。
「変チン、」
でAV女優の裸の股間に頭の中の視線を合わせると、むずむずと肉棒に血液が流れ込み、
「おおっ。」
で完全に勃起している。
最初に暴漢に追い詰められた女性はキャバ嬢だ。彼女は中洲のキャバクラ、「女子校生」に勤めている。波山飛苧も時々、遊びに行くキャバクラである。彼は、
「おれ、変身ポーズでチンコ立てられるんだ。」
と接待している女子高のセーラー服を着た二十歳のキャバ嬢に話した。
「きゃっ、チンコなんて露骨だわ。でも、すごいのね。」
と持ち上げてくる。
「ここで、して見せようか。」
「いいわ、やってよ。」
飛苧は立ち上がると、
「変チン、」
と叫び、両手を手のひらを内側に向けて真っ直ぐに挙げた。その時、彼の頭の中にはAV女優の裸が浮かんでいる。
「おおっ。」
と叫んで、股間に手を回すと、完全に勃起しているのが、目の前にいるキャバ嬢にも分かった。その二十歳のキャバ嬢は手を叩いて、
「すごいなー。ちんこ、立ってるわ。変チンのポーズ、ここのみんなに伝えておくから。」
と話した。
体験版・ファンタジー 性神世界の秘密
どこでもAV
AV学部の授業は一応、密室で行われている。この学部の授業のために、帝都箱崎大学は地下に講義室を作ったのだ。何せ実践的な授業を行うための、AV女優を招いての講義のため、生徒はAV女優と絡みができる。広い校舎とはいえ、大学外の関係者も出入りするため、そこまでの配慮が必要だったのだ。赤木恵一は汁男優・養成講座に出席した。
「以上で汁男優とは、何かが、わかったと思う。どうだね?」
講師は一同を、ずらーっと見渡した。ここは、三十人程のクラスである。みんなは、理解を示した顔をした。
「わかったようだな。わかっただけでは、駄目なんだ。実践できなければ、いけない。そこで、今日は東京からAV女優を呼んである。冬野プリンちゃんだ。」
講師は携帯電話を取り出すと、
「もしもし、プリンちゃん?今から授業だよ。地下室だ。おいで。」
と通話した。それから五分もしないうちに、講義室の扉が開いて、AV女優・冬野プリンが現れた。ロングヘアーで長身だ。胸も大きいのは、彼女が服を着ていても、わかる。彼女が教壇に講師と一緒に立つと、
「よろしくー。」
と言って、指でVサインを作った。あー、というような、どよめきが生徒から起こった。これから実践、大丈夫かな、という気持ちの表れだろう。講師は、
「それじゃあ、みんな準備してな。脱ぐんだよ。」
と説明すると、真っ先に冬野プリンが服を脱いでいった。彼女の下着姿、そして豊満な胸が出て、パンティを脱ぐと濃い目のアンダーヘアが現れた。生徒は恥ずかしそうに彼女を眺めている。
「ぼうっとせずに、さあ、準備しなさい。」
講師が命ずると、生徒も服を脱ぎ始めた。パンツ姿になった生徒の大半は、テントを張った姿である。講師は、それを見ると、
「おおーっ。元気いいな。パンツも、おろしてな。」
と言うと、腰に両手を当てた。生徒達は少し恥ずかしそうに、パンツを降ろしていった。若い茸が、にょきにょき、と立っている風景である。教壇の冬野プリンの前に、生徒のみんなは立って、あそこも勃てていた。
「よし、じゃあ、赤木から、いくか。」
すでに勃起した赤木は、冬野プリンの全裸を見ながらペニスを、しごき始めた。講師は、それを見ると、うなずいて、
「諸君らも、始めなさい。プリンちゃんを囲むのだよ。」
生徒みんなは教壇に立ったプリンを、半円形に取り囲むと、赤木と歩調を合わせてペニスを、しごき始めた。プリンの真正面に赤木は立っている。もちろん、ペニスも勃っている。プリンは教壇に座り込むと、両脚を大きく開いた。それを見た赤木は、
「うっ。」
と声を漏らすと、勢いよく射精した。その精液はプリンの顔の上を越えて、講師のズボンのチャックのところに、べっとりと、かかったのである。
「うえっ、元気よすぎだ。」
講師は情けなさそうな顔をして、ポケットからハンカチを出して、赤木のザーメンを拭き取った。教壇に座って、脚を広げたプリンは、さらに脚を拡げて寝そべった。彼女の割れ目は丸見えとなった。
「あっ、ああー。」
生徒は口々に声をあげると、次々とプリンの腹や胸に向けて、射精して果てていったのである。
「よしよし、上出来だ。」
講師は言うと、プリンにタオルを渡した。プリンは、にこりと笑うと、
「みんな。元気、いいのねー。」
と言って、タオルで、かかった精液を拭き取った。
「諸君。服を着たまえ。今日の授業は、ここまで。」
「赤木君って言うの?」
愛野郁子は、妹の部屋で彼女の同級生の名前を聞くと繰り返した。
「そう。あたしに告白したの、彼。でもー、もう、あたし、彼、いるから。お姉ちゃんを紹介するって、言ったのよ。」
君代は、満面に笑みを浮かべて話した。
「そうなの?でも、私、別に男に・・・(いくらでも金玉は、味わえるわね)困っているのね。え、日本語では、これは、おかしな表現だわ。あ、君代が言うんだもの。会いたいな。」
郁子は、無理に笑ったような顔をした。(街で男を漁った方が、手っ取り早いけどな。それに妹の紹介じゃ、悪い事できないかも。)
「よかったわ、お姉ちゃん。今度の日曜日で、どう?」
「ここで?」
「いえ、東公園が、いいんじゃないかしら。」
「ん?私、知らないわ。その公園。」
「連れてって、あげるわよ。広い公園だから。」
東公園とは福岡県庁が隣接した、かなり広大な公園で緑地帯である。ホモ、というかゲイの男性のたまり場という場合もあるし、浮浪者が、たむろしたり、家族で便所の近くにテントを張って生活している人間もいる。樹木が多いため、くつろげる場では、あるのだが。君代は森田健一と一緒に日曜日、東公園に遊びに来た事がある。人通りも、そんなにない場所もあるので野外セックスを楽しめるか、と思ったのだ。もちろん、君代が、そう考えたのだが。
森田健一は、木陰のベンチに腰掛けて隣の君代に話しかけた。
「こーんなに広い、公園があるんだね。町田の芹が谷公園より、いい感じになってるなー。」
「そうねー、あっ。」
「どうした?」
「あれ。」
少し先の公園のテントから、女のあえぎ声が聞こえてきたのだ。浮浪者カップルだか夫婦がセックスをしているのだろう。
「昼間だぜ。よくやるな。」
「あたしたちも、しない?」
「テントもないし、やめとこうよ。」
「健ちゃんは、テント張ってないの?」
「いや、まだだよ。」
「じゃあ、あたしが。」
君代は森田のズボンの股間に手を当てた。すると、みるみる森田のあそこは膨らんできたのだ。
「健ちゃん、元気いい。」
「まあなー。」
「いますぐ、始めない?」
テントの中から聞こえてくる喘ぎ声は、悶え声となっていた。森田は、
「よし、やろう。」
と言うより早く、ズボンのベルトを緩めた時、向こうの方から人影が歩いて来た。
「おい、森田!」
赤木恵一だった。赤木は森田にだけ、先に気づいて声をかけたのだが、すぐに隣にいる愛野君代に気づくと、(あ)と思った。
「あ、愛野さんも一緒か。邪魔したな。」
と近づくのをやめて、赤木は五メートル位先から声を出した。森田のペニスは赤木の顔を見た途端、萎えた。
「おい、赤木!」
森田はズボンのベルトを締めて立ち上がったが、赤木は脱兎の様に、その場を駆け出していた。近くのテントの中からは、
「あ!」
「ああー!」
という男女の絶頂に達した叫びが聞こえた。それから、
「もっと面白いの借りてこいよ。」
と男の声がした。
「そうだなー。このメーカーのも、もう古いよな。」
と、同じ中年の年代の男が答えた声がした。テントの中でAVの鑑賞をしていたのだ。電源は、すぐ近くの便所から引いているらしい。君代は、
「あ、あれ。」
と言うと、便所の近くの木陰を指差した。森田が見ると、その樹にもたれて一組の男同士が抱き合っていた。まだ二十代らしい。森田は、
「福岡って、こんな、ものなのかな?」
と君代に漏らした。
「こんな、ものなのよ。東京とは違うんだから。」
と君代は答えると、右手で森田の尻をポンと叩いた。
東公園の東側には日蓮宗の寺があって、日蓮上人の像も建っている。この日蓮だが、神秘学的な方面からは、死んでから地獄に落ちたという話は、よくされている。
霊界の地獄に行き、日蓮に会ったという話もある。
これらの話は、かなり興味深いものではある。それは、さておき、君代と森田は東公園を出る事にして歩き始めた。
樹木の並んだ道を歩いていると、通りから見えない木陰の辺りから、二つの坊主頭が、にゅっと姿を現しては又、木陰に入った。
何と、その二つの坊主頭は抱き合っている位置にあり、首から下は僧服らしきものに見えたのである。
その時、寺の鐘がこーん!と鳴った。
すると、さっきの木陰から抱き合っていたらしい二人の若い僧侶は駆け出して、東公園を出て行ったのである。
ちなみに、福岡市におけるゲイの人口は、かなりなものと言われてもいる。
福岡市出身の芸人は大概ゲイという話も、ある位だ。さて、芸能界でも、やはりゲイはかなりの数でいるらしい。
お笑い界の大御所は両刀遣いらしいし、芸能人の男は、かなり両刀遣いらしい。最近カミングアウトした歌手もいるが、あれなど氷山の一角であろう。
特に若い男性芸能人は女みたいに華奢な人間も多いわけだから、先輩芸能人に狙われるわけだ。芸能界は福岡出身者も多いため、ゲイも芸も伝播していっているのかもしれない。
実は日本の芸能界は入るのには、ゲイの先輩が、いるのを覚悟する必要があるのは、ご存じない人も多いと思う。
プロダクションによっては、ダメ押しされる事もあるくらいだ。
女性のアイドルである男性芸能人も、渋谷のラブホテルで先輩の男性芸能人と、ベッドにいるという事も又、事実なのである。
某プロダクションでも問題になっていたとはいえ、最終的には、うやむやになってしまうのは、まさか自分の尻の穴を掘られました、とは、いえないところが事実だろう。
帝都・箱崎大学でもAV学部を作った時、最近、流行のゲイ映画の部門、つまりゲイ学科を作ろうかという話もあったのだが、ルシファー様のご託宣によって、とりやめとなった。
「ゲイは公序良俗に反する。」
というのが、ジェイムズ・クラウンの祈りに答えたルシファー様のお告げであった。
君代と森田は東公園を出た。
隣接したところには体育館もあり、広い道路もある。
パート引越しセンターのトラックが、よく通っている。
この会社はフリーダイヤルのCMでも有名である。荷造りは、もちろん、引越し先の賃貸住宅の紹介までするという事で、業界ナンバーワンに、のしあがった会社だ。
大阪で起業して、現在は箱崎に福岡支社を置いているため、この辺の引越しはパート引越しセンターが一手に引き受けている。
従業員の半分を正社員ではなく、パートでまかなうという業界でも他の会社が、しない事で成長した会社である。
これが派遣などで人員を確保する、他の会社とは違ったやり方のため、派遣が禁止になっていっている現在でも急成長中の原因となっている。
♪あなたーのうちのー0120、パート引越しセンターえー
という歌のフレーズはネットを見た事のある人なら、一度は眼にしているという、あの会社だ。
このCMの福岡版には、ミス福岡が出ていた。その女性が、東公園に犬を連れて散歩に来ていたのを、赤木恵一は、そこを出る前に見た。
赤木も君代が森田といた事にショックだったし、博多美人なるものを見て心を癒そうと思ったので、そのミス・福岡の後を追ったのだ。
その女性はドーベルマンみたいな犬を連れている。
その位、用心しないとな、と赤木は思った。ミス福岡は、ゆっくりと木立の中を歩くと、通り道から見えないところに、ドーベルマンと消えた。
(どうなったんだ?)
赤木は思うと、しばらく、その場に立ち尽くした。やがて、ミス福岡がいるであろう高い生垣の中から、女のあえぎ声が聞こえてきた。
赤木は素早く、しかし、そっと、ボクシングのフットワークで、生垣を回り込んで中に入ると、何と、ミス福岡が四つんばいになり、スカートをめくってパンティを下ろしたその上に、連れていたドーベルマンが乗っかって、ふくれあがったオス犬の性器をミス福岡の、もろ見えの膣に挿入して腰を蠢かせているではないか。
その犬も舌をだらりと出しているが、ミス福岡も快感に顔を歪めて舌を出している。(なんてこった!)
赤木は慌てて、素早く動こうとした時、がさっ、と枯れ木の塊を脚で蹴ってしまった。その時、その音に気づいて、横を見たミス福岡は赤木と眼が合った。
「ケリー、きょうは、もう、いいとよー(いいのよー)。」
と博多言葉で女は言うと、尻をひねって、ドーベルマンのものを外すと、赤木の前に立って上着を脱ぎ、ブラジャーを外した。
それから、スカートもパチンと留め金を外すと、赤木の目には、ミス福岡の黒々とした茂みが見えたのだ。
それを見た赤木は、我知らず勃起していた。すかさず、ミス福岡は赤木に近づくと、ズボンの上から赤木の勃起しているものを、ぐっ、とつかんだのである。
ミス福岡は赤木に抱きつくと、後ろに倒れかかった。そのまま赤木は、地面に横たわった女の上にかぶさった。
(い、いいのか?)
赤木は思ったが、ズボンのチャックを下げて、すでに膨らんだペニスをパンツの中から出すと、ミス福岡の膣に挿入したのだ。さっきまで、ドーベルマンのものが突き刺さっていたところに。
「あっ、いー。」
ミス福岡が声を出すと、赤木は激しく腰を動かしていった。
授業で習った汁男優の仕事。本当に、この女性の中にかけて、いいのか?
ミス福岡の手が、赤木の首筋に触れると同時に赤木は射精していた。
その日から、赤木はミス福岡の愛人となった。大っぴらに、男を作れない立場にあるミス福岡は、彼氏もなく、だから、ついには愛犬に性のご奉仕をさせるようにもなっていたのだ。
この立場にも辛いものは、あるだろう。この場合に限らず、日本の芸能人の女性、アイドルとか女優は男を作れないために、事務所の方で性処理の男性を用意するという事は、意外と知られていない事実である。
ミス福岡のように愛犬で、という段階の芸能人は、まず、いないとしても芸能事務所のトイレか何処かで、セックスしているのは事実であるらしいのだ。
それが、時々、流出してアダルトサイトなどに出てくるが、中々、大物のものは出てこない。
事務所も、そういう盗撮はしないのが普通だろう。赤木は東公園でラッキーな出会いだったのだ。
ともかく、日本のアイドルと称する人物は男性経験、五人は下らない場合も多くあるという事は記憶しておけば、インターネットの掲示板で青春を裏切られた、などと文句を書く必要もなくなるし、企業も後で、その人物がAVなどに出て企業イメージを悪くされる心配もない。
言い換えれば、アイドルは清純さを装っているだけ。蓋を開ければ同棲していて、毎晩、男のペニスを貪っている事も、よくある話なのだ。パート引越しセンターに出ていたミス福岡も仰天スクープものだが、この程度の人間は、東京から写真雑誌記者も追ってこないし、分かり様もない。
パート引越しセンターの創業者も、落ちぶれかけの芸能事務所から十七歳の新人を紹介され、東京の新橋のマンションの一室で性交に類似した行為をし、おこずかい十万円を渡したため、警視庁に書類送検された。
これがマスコミに報道されるや、パート引越しセンターの危機か、と思われたが創業者が引退して、相談役に退くことで社会的責任は取った、と世間的に認識されたようである。一代で、巨大産業にまで成長させた、パート引越しセンターの創業者には同情の声も聞かれた。つまり、はめられた、というわけだが、実際は、はめているのは創業者だったわけだが。
殺し方は色々
東公園で又、睾丸を噛み切られた男の死体が発見
インターネットのニュース、新聞、その他テレビ、ラジオは大騒ぎとなっている。
何せ、昨日は二体も若い男性が死体となっていたのだから、大騒ぎだった。何しろ上着はつけたまま、パンツを下ろしている格好から、睾丸よりの出血多量で死んでいる。
とはいえ、その場に出ている血よりも本来は、その二人の若者の体内にあるであろう量の血液が、どうも足りない事が検死の結果、判明した。
何故、どうしてかは理由は不明である。
君代は、学生会館で東公園の男の変死体が、持ちきりの話題となっているのを聞いた。ラウンジで何人かが、自動販売機でカップコーヒーを片手に話しているのを聞いたのだ。
「連続殺人事件として、福岡県警も捜査に乗り出したんだって。」
「犯人は変態だね。」
「女じゃないかな。」
「ゲイも多いってよ、東公園。」
「金玉を噛み切る趣味の男も、いるかもよ。」
「そうだな。福岡だから。」
君代は、少し福岡が恐ろしくなったが、自分には森田や姉がいる。それに何より、ルシファー様の、ご加護があるではないか。
ジェイムズ・クラウンは、その朝、ルシファー様との対話の中で、福岡の人間のいくつかを、おもちゃにする事を提案された。
「仰せの通りです。どうも私も福岡などは、やはり馬鹿の多いところであると感じていました。」
クラウンが答えて空中を見上げると、紫色の光とともに、輝かしい表情の美青年が現れた。ルシファーだ。神は微笑むと、
「手当り次第ではなく、少しずつ、やりなさい。余が教えた方法で。」
「かしこまりました。」
ジェイムズ・クラウンは恭しく跪いた。福岡市に限らず、何処でもバカップルというやつらはいるが、井尻という福岡市南区にあるところにも、結構いるものである。夏のくそ暑い日の夜に、腕を組んで歩く馬鹿蔵、いや若造がいる。その前に現れた、浮浪者風の四十代の中年が立ちふさがると、
「どけっ、馬鹿蔵!」
と叫んで、話始めた女の口を殴った。バキッ!と音がすると、その女の歯は三本折れて
「ぐえっ。」
とわめくと、口を押さえて前のめりになった。そこを中年男は右足で、女の顔を思い切り蹴り飛ばしたのである。
「がっ。」
と呻くと、女は仰向けに倒れた。女の前歯は、ほとんど折れていた。連れの男は、その場に立って、ぶるぶる、震えている。中年男が、その若造を見ると、男はズボンの前の辺りが、見る見るうちに濡れてきた。小便を垂れ流しているのだ。
バルキョウというスーパーマーケットの前の通りである。夜の八時過ぎで、人通りはそう多くはないが、近くを通っていた通行人は、いっせいに逃げ出した。
「福岡の馬鹿どもを、やってやれ。」
中年男の頭の中で、声がした。おーとも、やらいでかと男は、うなずくと、自動販売機を蹴り飛ばして、出てきた缶ビールを手にすると、キャップを外して、ごくごく、と飲み干した。
「うめー。」
少し、口からこぼれた液体を、右手で拭うと男は悠々と歩き出した。西鉄大牟田線の井尻駅の近くには、居酒屋などが多くある。そのうちの一軒から出てきた、ばばあに男は近づくと、缶ビールの残りをぶっかけた。
「ひゃー、なんするとね。(何をするの)」
と、そのばばあが抗議したところを、男は思い切り、その六十代の老女の鼻筋を殴り飛ばした。
「びえっ。」
とわめくと、老女は横倒しに倒れた。
「福岡の田舎ものが。」
男は叫ぶと、そのばばあの顔に唾を吐きかけた。それから、そいつの顔面を靴の裏で、ごしごし、と擦った。老女は当然、意識を失っている。最後に男は老女の顔面を思い切り踏み潰した。ぐにゃっ、と音がして、眼球が右目から飛び出した。
「福岡の田舎もの、福岡の田舎もの♪。」
男は中年のだみ声で、ハミングするように声を出すと、通りから闇の中に消えて行った。
翌朝のニュースには、これらの出来事は当然、出た。帝都箱崎大学の理事長室でジェイムズ・クラウンは、
「やったな。」
と牧田学長に語りかけた。牧田は、にこにこ、して、
「理事長の仰るとおり、東公園の浮浪者をゴーレムというか、ゾンビみたいなものにしたのが、うまく、いきましたね。」
「あとは、他にも襲わせる所は、あると思うよ。」
ジェイムズ・クラウンは顎に手をやって、にやにや、した。
「天神辺りは、目立ちすぎますかねー。」
牧田は、にやり、としながら聞いた。
「最後は、そこが、いいだろうけどね。」
クラウンは片頬に手を当てて、思案に耽った。
天神、それは現在、福岡市の最大の繁華街である。
この一番、人通りの多いところで、路上演奏などしていて、オーディションを受けてプロデビューし、有名になった歌手もいる。
又、ジャンボ宝くじの高額当選が、よく出るのも天神駅前の路上の売り場であるのだ。2011年に博多駅に九州新幹線が開通し、JR博多シティのような大型ショッピングモールが開店すれば、福岡市の様相も変わるだろうが、今現在は天神の方が、あらゆる意味で押している、と言ってもいいだろう。
ひとつは、夏になっての冷房の度合いは、天神駅周辺は博多駅周辺より強く行われている感がある。
天神地下街という商店街も、博多駅周辺の地下街より大きいため、地下街の地上出入り口から、夏になると天神は冷房の冷気が吹き上げてきて、何とも心地よいものとなる場所があるのだ。
人工の力とは、自然に勝るものであろう。本来的には博多駅の方が、若干、涼しいのかもしれないのだが、地下街やデパートなどの冷房が、よく外まで出てきているのは天神の方なのだ。
天神の中心に近いところに、菅原道真を祭った小さな神社があるが、これが天神の地名の由来かと思われる。
ここに東京から出店したデパートも、ある。西鉄大牟田線天神駅は、三越と直通している。これは大掛かりな工事が必要であったのだが、三越がオープンして、しばらくすると、そこから北に百メートルも行かない所にあった岩田屋という老舗の福岡の地場のデパートが閉店することには、なったのである。
この岩田屋は天神四つ角の一角にあり、福岡市で最も地価が高いところだ、といわれていた。
そのため、岩田屋は地価税を二億円払わなければ、いけなかった。これも閉店へと繋がる要因では、あったのだろう。その岩田屋の建物に、今は渋谷のパルコが出店している。岩田屋の二の舞となるか、どうかは楽しみではあるのだが。
この天神四つ角には、気温をデジタルで表示している場所があるが、それはそのパルコの東側の、道路を渡ったところにある。丁度、道路を渡ったところは、三菱東京UFJ銀行の福岡支店がある。少し丸いビルである。
この通りを、五月の連休には、博多どんたくが、どんたく行列をするところで有名だ。もちろん、その時は、通りは車は入れない。どんたくの人出は、百万人とも言われている。帝都箱崎大学の学生も、来年は、どんたくに出場する予定だ。ルシファー像-美青年の神像を担いで行進する予定だ。ジェイムズ・クラウンは、
「どんたく、いいですね。」
と、顔を上げると牧田に言った。牧田は、うなずくと、
「ええ、ええ。人通りは、ものすごい。私の実家も、明太の会社の社員全員が、どんたくに出るんですよ。」
「楽しみは、色々だね。」
「ええ。そうです、本当に。」
牧田は答えると、思案深げな顔をした。福岡の日没は遅い。これは、明石標準時に比べて二十分の誤差が、あるからである。
逆に東京は日没が、明石標準時より二十分早い、事は事実である。箱崎のルーベンドルフ・アーネストの住居の近くに、ワーケンスタインは住んでいる。
朝の日課として、帝都箱崎大学の付近を散歩していると、愛野郁子が歩いている。ワーケンスタインは、(何だ、郁子さんじゃないか。あっ。)と思った。彼女の身に漂っている妖気のようなものを、感じ取ったのである。
「愛野さーん。」
ワーケンスタインは郁子に声をかけると、手を振った。
「あ、ワーケンスタインさん、でしたね。」
「そうです。今日は日曜日、あなたは何処へ行くのですか?」
「ちょっと、妹の住んでいるところまで、用事があって。」
「妹さんですか。」
「帝都箱崎大学の学生なんです。」
(帝都箱崎大学?)
ワーケンスタインは、まだ、帝都箱崎大学の存在を知らなかった。というより、その名前だけでは、あるが。何故なら、今、彼らが歩いているのは帝都箱崎大学の、すぐそば、だからである。
「あら、知らないんですか。そこに見えているのが、帝都箱崎大学ですよ。」
郁子は九州大学とは、まったく違った趣の近未来型の大学の建物を指差した。
「あ、あれですか。アメリカ的な建物ですな。ドイツには、ないと思います。」
「日本一、いえ、ハーバード大学も抜いて、世界一にするという学長の意気込みが、あるんだそうですよ。」
「おー、そーですか。」
ワーケンスタインは、話している郁子の口から見える、糸切り歯が鋭く光っているのに気づいた。その日の朝も、東公園には若い男の死体が転がっていたのだが。郁子の糸切り歯は、右の方が赤く見えた。ワーケンスタインとしては、そんな大学など、どうでもいいのだ。彼は、マダム・ブーランベール達を追っているのである。
ワーケンスタインは聞く、
「で、トマトジュースでも、今朝は飲んでます?」
郁子の顔が、少し、こわばった。
「え、ええ、飲みましたよ、今朝。」
東公園で、とは言えなかっただろう。
「健康には、いいです、らしいですね。あなた、前より、生き生き、としてますし。」
「そうですか。気づきませんけど、すみません、これで。」
郁子は軽く、会釈した。
「あ、引き止めて、すみません。」
ワーケンスタインは肩を、すくめた。
(何だか変だなー)
と思いながら、歩き去る郁子の後ろに写る影を見ると、三分の一が、ないではないか。(な、な、な)
ワーケンスタインは心の中で叫んでいた。
大変だ、彼女は吸血鬼になってしまったのではないか。
その時、いきなり、帝都箱崎大学の建物から鋭い光が飛んできて、ワーケンスタインの眼を射た。
うわっ、と彼は、のけ反ると、その場に屈み込んだ。
そして、三分ほど動けなくなった。
体験版・sf小説・未来の出来事54
課長の陰茎はキュウリのように太くなっている。それは美人部下の秘洞窟の中に没入した。上司と美人部下は性器により合体した。二人は激しい波に浮いているように裸体を動かす。アモーリンは次第に自分もセックスへの情熱が沸き起こって来るのを感じた。すぐ隣には玉金硬一郎がツナギの服を着て座っている。アモーリンは右手で玉金の股間を触ると少し大きくなった玉金の淫棒に触れてしまったのだ。
アモーリンは欲情に溢れた瞳で、
「玉金サン、ワタシを抱いてください。」
と懇願した。
「え?ここで、いいの?」
「ええ。わたしにキスして。」
と白い顔を近づけて両目を閉じたアモーリンを玉金は両手で抱くと唇を重ねた。
それだけで全勃起した玉金は唇を外すと、
「服を脱ごうよ。」
とアモーリンに声を掛けて自分のツナギ服を簡単に脱ぐ。玉金の陰茎はバナナのようだった。アモーリンはトロンとした瞳で玉金の陰茎を見ると、自分の上着とスカートを脱ぐ。彼女は下着を着ていなかったので白い裸身を玉金はスグに見てしまった。二人は全裸で立ったまま抱き合い、アモーリンがスクリーンの上司と美人部下の痴態が見れる位置で玉金は勃起棒をアモーリンの秘部に挿入した。
「あーん、いい。」
と涎を流しそうな声でアモーリンは気持ちよさそうな媚声を出した。その声を聴いた玉金は全力で腰を連続的に前後させ続ける。白人と同じ肌を持つアモーリンとの性交に玉金は我を忘れていった。
アモーリンは赤い唇を開けて赤い舌を出しながら恍惚とした表情に、なりつつ玉金の背中の上で両手を組んで何かを祈っている表情になった。すると玉金の脳内にインドの古い時代の光景が浮かんできた。
玉金もバラモン階級で小さな王国の国王だった。妻は数人いる。王宮に帰ると三人の妻が玉金を出迎えてくれた。第二夫人がアモーリンの顔と同じ顔の妻、恐らくは前世のアモーリン、玉金も前世は国王だったのだ。
どうやら出張から帰って来たらしい玉金に第一夫人が、
「お帰りなさい、あなた。」
とインドの言葉で話した。
「只今、帰ったよ。」
と玉金もインドの言葉で答える。
二人はスグに第一夫人の寝室に行き、二人とも全裸となって抱き合い、キスをした後で第一夫人はベッドの上で四つん這いになり大きく白い尻を高く上げた。彼女の股間から女性器が丸見えとなり、玉金は第一妻の尻を抱えて雄々しく反り返った、おのれの男性器を妻の女性器に、ぶち込んだ。二週間ほど没交渉だった二人は二時間は交わり続けた。
それが終わると玉金は第一夫人の寝室を出た。
従者が外でバナナを持って立っていて、王の玉金にバナナを一房、差し出した。玉金は一人で数本食べるとバナナの皮を床に捨てる。それを若い男の従者が拾い上げた。
玉金は第二夫人の寝室に行く。第一夫人の寝室の隣の部屋が第二夫人の寝室だ。そこに入るとアモーリンの顔の第二夫人が既に白い全裸姿で両手を広げて玉金を待っていた。
玉金はアモーリンを横抱きに抱くとベッドに横たえて正常位から騎乗位、そして後背位と体位を変えて三時間は性交に励んだ。第二夫人のアモーリンの中に三発は男の白液を放出した玉金だった。
それが終わっても玉金は、そこを出て行こうとせずにアモーリンの全身を舐め回していく。アモーリンは快楽の喜悦の表情を浮かべた。
その一連の光景がアモーリンと立ったまま交わっている玉金の脳内に浮かんだのだ。(おれは前世ではインドの小国の王様だったのか・・・)と思ったとたんにアモーリンの膣内に解き放って放出した。
アモーリンとビデオルームのソファに腰かけた玉金は、
「今、頭の中で不思議な光景が見えた。古い時代のインドの小国の王様の俺は第二夫人の君と第一夫人より長い性交をしていた・・・。」
アモーリンは嬉しそうに、
「今さっきヴィシュヌ神に祈ったの。あなたとの関係が上手く行きますように、って。」
「そうだったのか。それなら幻想って事かな。本当の前世が見えるはずもないし。」
「それは分からないわ。ヴィシュヌ神が玉金サンに見せてくれたのかもしれない。」
「うーむ。そうかな?」
「そうなのよ。前世で私たちは夫婦。今世でも、そうありたいわ。」
と夢見る瞳のアモーリンは云う。玉金は照れて、
「ぼくたち結婚した方が、いいのかなー。」
「した方が、いいわ。」
「考えさせてくれ、よ。」
「ええ。でも即断が、おすすめです。」
と話すとウフフ、とアモーリンは笑った。
そこへキャスレーヌが入って来ると二人の全裸を見て、
「まあ!あなたたちは交わったのね。」
と尋ねたのでアモーリンは悪びれずに、
「ええ。わたしたち前世で夫婦だったのです。」
「そうなの?そんな事が、どうして分かるのよ。」
「玉金サンが前世の記憶を取り戻したんです。わたし、ヴィシュヌ神に祈ったんです。だから間違いないと思います。」
キャスレーヌは両眼を最大限に開くと、
「そうなのね。そしたら、その話、有り得る事だわ。あんた達、結婚した方が、いいわよ。」
という事になった。
上司と女の美人部下はホテルの部屋を出ていた。玉金としては二度目の結婚。それだけに慎重にならざるを・・得なくていいと玉金は思った。アモーリンと玉金は、まだ全裸だ。玉金はキャスレーヌに、
「アモーリンと結婚します。僕も一応は国会議員です。秘書も欲しかった。アモーリンには僕の第一秘書に、なってもらいたい。」
と宣言した。キャスレーヌは喜んで、
「それなら結婚式を、しなければ。日本の結婚式しましょう。」
玉金も喜んで、
「東京に朝霧神社が、あります。党本部も朝霧町にありますから、手配してみます。」
そういうとスマートフォンを取り出して通話した。
「え・・そうですか・・。それでは、もう一度検討してみます・・・。」
と言うと通話を切った。キャスレーヌは、
「どうしました、のですか。」
「いえね、朝霧神社では結婚式の予約が三か月も続いて埋まっていると言うんですよ。そこで結婚式をするのなら三か月後になるから・・・。」
キャスレーヌは、
「それは大変ですね。他の方法を・・アモーリンの実家は大富豪ですよ。そうだ、ヒンズー教の結婚式をすればいいんです。アモーリン、実家と連絡とりなさい。」
全裸のアモーリンは服を急いで着ると、
「いくら実家と話をすると言っても裸じゃ、まずいんです。では、」
と話をするとスマートフォンを取り出すと、インドの言葉で会話を始めたので玉金には全く分からなかった。
しばらく話したアモーリンは通話を切ると、
「母は賛成しました。それなら父も賛成です。結婚式は日本のモノでは三か月後になるというと、ヒンズー教の導師を呼ぶと言うんです。インドに来ても今はインドも夏。この季節に結婚式を挙げる人達は、あまりいないんです。
それで母と父、それにヒンズー教のグルだけで日本で結婚式を挙げようかという話でした。
詳しい事は、これから決めて又、連絡すると母は言っていましたよ。」
と話した。玉金硬一郎は、
「東京では結婚式費用も高くなるから福岡市で結婚した方が、いいと思うんだ。式場なども安いと思うし・・。」
と話すとアモーリンは、
「そうね。式場は、ここでも、いいですよね、キャスレーヌ様。」
とキャスレーヌに聞くと鷹揚な顔でキャスレーヌは、
「ああ、いいよ。式場の費用なんて取らないから、ここを使ったらいい。ここは録画が見れる部屋だけど、空いている広い部屋もあるからね。そこが式場として使えるから。」
と答えるとアモーリンは、
「よかった。助かります。ここには空き部屋が幾つもあるとキャスレーヌ様が話していたから。」
と安堵の顔になる。
玉金は顎を自分の指で、なぞると、
「インドの結婚式って日本のものとは違うんでしょう。」
キャスレーヌは立ったまま、
「違いますよ。全然、違う。第一にインドの結婚式は最低でも一週間は続きます。
それに結婚式に掛ける費用は年収の四倍で、これは男性が出すんですよ。」
と告げる。玉金は、
「年収の四倍ですか!なんとか貯金は、ありますから・・・。」
キャスレーヌはニコリとして、
「後はアモーリンの家族が日本に来た時に、話し合いましょう。インドの家柄によっては、これだけで決められないのです。本人同士が会って、お互いにいいと思う事など問題外なんですよ。インドは、お見合いの国で日本と違って本人たちが会って決めるのでは、ありません。
九割は、会う間前に決まります。あなたたちは、もう性的にも結ばれていますが、本来、そういう事は決め手にならないインドの家もあるので・・・。ワタシだってアモーリンの実家の人達を詳しくは知りません。
場合によっては破談になる事も覚悟して置いてください、玉金サン。」
と話したので玉金はビックリした。玉金は口を開くと、
「そんな場合も、あるんですね。なにを基準にして、そんな破談とかに・・・。」
キャスレーヌは穏やかな表情で、
「それはアモーリンの実家の人が日本に来てから分かります。又、連絡しますよ。ツナギの服は差し上げますから。ここにいると玉金サンはアモーリンと又、セックスするし、そうなると私も止められない。だけど次は結婚式の後で毎日、できますよ。少しの辛抱かな。それとも破談?どちらにしても今は、これ以上のアモーリンとの性交は許されません。
ですので、お帰り下さい。
タクシーはスマホアプリで呼んであげますから。」
という事に、なった。
志賀島のキャスレーヌが所有するラブホテルからフレッシュアイランドの新進民主党の福岡本部まで玉金硬一郎はタクシーで移動した。タクシーは自動運転で運転手は若い男のロボット。運賃は目的地に到着後、キャッシュレス決済が出来る。
ロボット運転手と会話する事もなく、フレッシュアイランドの党本部がある雑居ビルの前で停車したので玉金がスマホアプリで決済するとロボット運転手は機械音で、
「アリガトウゴザイマシタ。」
と礼を言った。
玉金が福岡本部に入ると男子職員が、
「党首。連絡なしに、しかもツナギの服なんて、どうされました?」
「誘拐されたんだ。」
と笑みを浮かべて玉金が答えると男子職員は、
「それは大変ですね。警察に・・・。」
「いや冗談だよ。とんでもないハプニングの連続だった。自分の意志で決められないね、人生なんて。」
「そうですか。今後、なにか起こるのでは?党首。」
「それは僕個人として結婚の可能性が、ある。」
ノートパソコンに向かっていた女子職員も顔を玉金に向けた。男子職員は、
「それは、おめでとう、ございます!僕らも出席させて、いただきますよ。」
「ああ、そうだな。まだ日取りも決まっていないし、結婚しない可能性もあるんだ。」
女子職員が、
「そんな話って珍しいですね。お相手の方は、そうとう変わっています。」
玉金は、
「いや、その相手の実家が変わっているんだ。それで正式に決まったら話そうと思う。」
男子職員は、
「そういう場合もありますね。党首、これからは?」
「ああ、外に出て来るよ。回ってみようか、と思う所もあるし。」
「それでは、行ってらっしゃい玉金党首。」
玉金は右手を挙げると福岡本部を出た。
タクシーを拾うと、
「中洲まで。」
と伝える。中年の女性運転手だった。
フレッシュアイランドから天神に南下すれば東に左折で中洲へ。タクシーを降りると玉金は、ソープの店が集中する通りへ向かった。
激安ソープも少なくない。その中にはインド人女性が多数在籍する激安ソープのニューカマーという店がある。玉金は気楽に店に入ると、
「新進民主党の党首、玉金硬一郎です。社会視察のために来店しました。新進民主党は風俗業界を応援します。政治献金も受け付けております。フレッシュアイランドに福岡県本部があります。スマートフォンなどで我が党の福岡県本部を御覧ください。」
と挨拶した。
店の支配人は肌の黒いインド人男性で黒い服を着ているが、その服の色と同じ黒さの首から上の頭部を持っていて玉金に笑顔で、
「あー政治家の方ですね。ウチは全部、インド人の女です。留学生とか日本に働きに来た階級的にはヴァイシャの女ばかりですけど、オマンコの締りとかが良くてリピートしてくれる、お客さん多いです。
ソープも商売だからチョット安くすれば、お客さん増えます。ウチのソープ嬢は肌の色は黒くて、インド人女性らしいですよ。特に留学生は時間ありなので店に多く出ています。
今、国立大学の留学生の女の子、出勤していますよ。午前割で三割引き、各種カード使用可能ですね。
知的美人、オマンコも自信のある若い子です。どーですか、えっとー党首さん?」
玉金は即断した、
「ええ、その娘に頼みます。」
「ありがとう。一号室に、お入りください。」
部屋の中もインド風の作りになっていた。
全裸の若いインド人女性が正座して、
「ようこそ、お越しになりました。ハランと申します。」
と玉金に挨拶する。
玉金はツナギの服を脱いで全裸になると、
「正座はキツイだろ。一緒に風呂に入ろう。」
と誘うとハランは立ち上がり、
「空中遊泳、というプレイがあります。どうですか、お客さん。」
「いいね。やってみたい。」
と玉金が同意すると天井から四つの輪が降りてきて玉金の両手首と両脚をガッチリと、はさんだ。
玉金がオヤ?と思うまもなく玉金は上に引き上げられた四つの輪によって空中に釣りあげられたのである。
腹ばいの姿勢になって部屋の中に浮いている玉金は、
「男子体操みたいだな。一メートルは浮いている。」
半立ちとなった玉金の肉茎も宙に浮いている。
その肉茎にハランはシャワーを当てた。それに玉金の陰嚢にも熱湯を浴びせる。
その後で彼女はシャワーを玉金の肛門に噴出させた。アナル攻めだ。玉金は思わず、
「あああ。尻の穴に・・でも、気持ちいい。」
と呟いてしまう。
ハランは備え付けの棚からリモコンを手にすると玉金を吊り下げている四つの輪を移動させた。
二人は入れる巨大な浴槽の真上に全裸の玉金は移動する。
ハランは心地よい香りのボディソープを玉金の全裸身に塗った。特に丁寧に半立ちの肉茎に彼女がボディソープを塗ると遂に玉金の性欲の象徴は金剛棒のように全勃起する。
ハランは、それを見て、
「お客さんのモノってバナナみたいに見える。食べたくなってきたわ。」
「口に入れてみてね。」
「うん、そうします。」
「君は留学生なのかい?」
「ええ国立大学に留学していますよ。今は夏休み。」
ハランの口の中に入れられた玉金の肉息子は彼女の柔らかな舌で舐められていく。玉金は
「うーん、気持ちいい。」
口の中からハランは玉金の全勃起棒を外すと、
「お客さん、足の輪から外しますよ、それっ。」
と話し、リモコンを操作した。
玉金の両足は湯舟の中へバシャン!と音を立てて墜落する。玉金の両手は体操選手のように上に挙げている状態だ。玉金は、
「脚だけ楽になった。全勃起は維持しているよ。維持の神はヴィシュヌ・・・か。」
ハランは驚いて、
「ヴィシュヌ神を知っているなんて・・・。お客さん、すごいです。特別サービスしますよ。」
「いや、なに・・。インド人の婚約者がヴィシュヌ神派らしくてね。」
「そうなんですか、じゃあ結婚する前に、わたしとタップリと楽しみましょう。」
と、より大胆になるハランである。
腕輪を付けられて体操の選手みたいに立っている玉金の股間は元気横溢していた。その状態でハランに立ちセックスされた玉金である。
それからハランはリモコンを操作して玉金の腕輪も外した。ハランから外れた玉金は浴槽に腰を付く。ハランは玉金に騎乗位となり自由自在に尻を振った。
遂に玉金は大放出した。
ハランは喜悦の表情で玉金を見下ろした。
その店を出る時に玉金は新進民主党の応援を取り付けたのである。支配人は、
「支持する政党は、ありませんでしたけど、次は新進民主党に入れますヨ。」
と言ってくれたのだ。もちろんソープ嬢ハランも、
「わたしは新進民主党に投票出来ませんけど日本人の友達に言ってます。」
と言ってくれた。支配人は今月、日本に帰化した。
ソープの梯子をする予定だった玉金もハランに二発、抜かれたので元気を無くした。
アモーリンとの結婚は破談になる可能性もあるとキャスレーヌは言っていた。どういう理由で破談になるのだろうか。
それも玉金には思いつかなかった。
夏の酷暑のために玉金は戸外を長く歩けなかった。中洲地下街に降りて成人のみの区画に入る。そこには成人向けの本屋があった。
その中には本だけでなく映像、つまりDVDも売っていた。玉金は映像が好きだ。父親はアダルトビデオの会社を経営している。政治がダメになった時は親父の会社で働けば、いい。
そういう打開策があるから玉金硬一郎は気楽なのだ。落選した事はなくても、もしも落選した時は・・・と考える必要は、ない。
午後からの人妻
というDVDを見つけた玉金は手に取ってみる。なんと!別れた妻が出演しているではないか!
それをレジに持って行って玉金硬一郎は購入した。今日はホテルで一泊する予定だったが、このDVDを見るために新進民主党の福岡県本部で泊まる事にした。
党首室に簡易ベッドがあり、そこにDVDを見れる設備がある。夏の福岡の日没は遅いが、今は五時過ぎで職員たちも帰宅しているはずだ。玉金は地下鉄でフレッシュアイランドに向かった。
思惑通り新進民主党の福岡本部は閉じられていたので玉金は鍵を出してドアを開けて中に入る。誰も居ない室内を歩き、党首室に入った。
DVDプレイヤーもある装置に妻が出演しているアダルトDVDを挿入すると椅子に座った。
玉金硬一郎の元妻が洋服姿で椅子に座っている。目隠しもない。そこへ男優が現れて元妻の唇を奪う。二人は十分もキスを続けて男優が元妻のスカートを、めくりあげて股間が映されると白のショーツは丸く濡れている。その濡れた部分に男優が指で触れると玉金の元妻は、
「ああんっ、いやっ。」
と声を上げたが立ち上がり、今度は自分から男優を抱きしめてキスしていく。そして元妻が右手で男優の股間を触ると巨大に膨らんでいるものを確認した。元妻は男優のズボンを降ろして、せっかちにパンツも降ろした。その男優の股間には巨大なバナナが、反り返って立ち上がっている。
元妻は服を自分で脱ぎ、下着姿になると自分の尻を踵に着けて、しゃがみこむと男優のバナナ肉を口に頬張って、おいしそうにフェラチオした。そのうちにブラジャーの上かに自分の豊満乳を揉み抜くと、立ち上がり男優の首に両手を回して、
「早く入れてーっ。」
と甘えるように云う。男優は玉金の元妻のブラジャーとショーツを脱がせると自分も上着を脱いで二人とも全裸となった。男優は元妻を抱きかかえるとスイートルームの三人は寝れるトリプルベッドに寝かせると正常位で深く挿入した。
玉金の元妻は頭を、のけ反らせて、
「ああーんっ。別れた夫のモノより太くて気持ちいいーっ。もっと奥に入れてええっ。」
と大きな声を上げる。それを映像として見ている元夫の玉金硬一郎は、(おれとシテいた時よりも気持ちよさそうだ・・・さすがはプロの男優だ。おれもセミプロ男優だけど。もっと経験を積むか・・・)と敗北を認めた新進民主党の党首。画面の元妻は、
男優と交わりつつ舌を絡めてのキス、その後に両乳房の乳首を執拗に舐め回されて赤色の乳首を全硬直させた。
政治家の妻らしく清楚にしていた頃とは、うって変わって乱れた積極的な淫乱な姿を余すところなく撮影されている。
その姿にカメラマンも全勃起していたという。
次に体位転換して豪華なベッドの上に四つん這いになった玉金硬一郎の元妻は桃色尻を高く上げた。
男優は元妻の尻の方に回ると彼女の両膝を抱えて更に高く尻を突き出させるとズブリと深く挿入する。三深九浅の肉茎の挿入技法により元妻の感覚を惑乱させていった・・・。
パタ、と玉金硬一郎は映像を停止させた。夫として連続的に、これ以上妻の性の快楽裸身を続けて居られなかったのだ。東京・本郷での学生時代のデート。そして夜の公園での初キス。その時、元妻は下を、ちょっとだけ絡めさせてくれた。
今の映像では惜しげもなく赤い舌を出して男優の男舌と絡め合っている。玉金は、あの男優のように妻の両乳房を吸った事は、ない。だから、あのように妻の乳首が硬直する事は一度も、なかった。妻を満足させられなかった自分を恥ずかしくも思った。学生時代は東大を卒業する事に力を傾けていた。
それで財務官僚になり、一応満足していたが・・・。
でも買ったdvdだから全部見よう。
妻のエッチな裸身の動きに小勃起している自分に気づく。別れたとはいえ、まだ三十代の妻だ。再開したら抱けるはずだ。しかし、今はインド人の白い美女、アモーリンとの結婚へと進んでいる。
それでも破談の可能性は、あるという。その時は自分の元妻とヤリたい、と玉金硬一郎は思った。
いつの間にか簡易ベッドで眠っていた玉金硬一郎はスマートフォンの呼び出し音で目を覚ました。時刻は午前八時。
「もしもし、玉金です。」
「おはよ、ございます。アモーリンです。今日の午後に私の家族が福岡に来ます。インドから日本まで飛行機で八時間です。福岡空港に直行便が一時、着陸しますから成田まで行かなくていいです。午後三時頃、福岡空港着陸です。」
「それは、よかった。それで志賀島の、あのラブホテルに行くんですね。」
「行きますよー。キャスレーヌ様には、もう連絡していますから。玉金サンも福岡空港に来て下さい。午後三時に。」
「はい、そうしますよ。では。」
午後三時までは、まだ間があるというものだ。ともかくも現時点で破談には、なっていない。
アモーリンには自分の生年月日時を聞かれた。幸いにも玉金は誕生時間も覚えていたので話しておいた。
それも参考にされるはずだ。そうなんだろうか。まだ四十代には、ならない自分とアモーリンは二十代らしいので年齢差は、それほどない。
職員が出勤するまでに外へ出よう。遂にフレッシュアイランドにも地下街が出来た。それでも小規模なものであるし、天神地下街までの通路は完成しても、その両側に店舗は、まだないのだ。
洗面所で自動歯ブラシを使い玉金は歯を磨いた。それから顔を洗い、冷蔵庫からペットボトルの午前の紅茶を飲んだ後でフレッシュアイランド地下街へと降りて行った。
独創的な店舗が出店を始めている。ビッグ・タコ焼きは一個の大きさが蜜柑ほどある。それを焼き売りして、お持ち帰りも店内で食べる事もできる店が開店していた。
玉金は、その店の中でビッグタコ焼き五個とレモンライム紅茶セットを注文して店の片隅で食べる。
大きなタコが美味だ。
東京には、まだない店だ。それで元気になった玉金は地下街を歩き始める。外は酷暑の夏。地上に出るより地下鉄で福岡空港まで移動できる。
地下鉄の駅も近くなった。人の流れも加速する。出勤してくる会社員ばかりが見える。フレッシュアイランドの地上への出口は何か所もある。フレッシュアイランドの面積の半分は企業ビルが占めている。
玉金は福岡空港までの地下鉄の切符を電子なもので買った。つまり電子切符だ。スマートフォンを使って買える。
切符売り場で買えるが切符売り場に行かなくても買える。管理上、有効期限がある。
福岡地下鉄のウェブサイトでもスマートフォンから買える。後は自動改札機にスマートフォンを、かざせばよい。
玉金は紙の切符なしにスマートフォンを自動改札口で、かざして地下鉄駅構内に入った。
地下鉄の福岡空港駅の出口でも玉金はスマートフォンをかざして出る。それで、その電子切符の役割は終わった。あとは削除するだけだ。二回は使えないからだ。
便利な電子切符はクレジットカードで電子決済すれば、いい。
始まったばかりの電子切符だが急速に普及し始めた。
福岡空港までは順調に地下鉄は進んだ。それで到着しても時間を持て余すことになった玉金硬一郎だ。
空港地下街も新しく出来ていた。その中にはホテルもある。福岡空港からホテルのある地帯まではバスか地下鉄を利用して移動しなければ、ならなかった。
その不便さを解消するべく福岡空港地下街が建設されている。
その地下街に降りた玉金硬一郎は飲食店の多さに気づく。しかし空腹を感じない玉金は時間つぶしには喫茶店がいいと思い、喫茶店を探し始める。
そうするとネット喫茶が見つかった。玉金は、そこに入ると個室に入った。テーブルの上にはノートパソコンが置いてある。個室のドアには一時間当たりの個室使用料が加算されることが表示されている。それを見てドアの中に入った玉金硬一郎なのでタブレットパネルにある喫茶店のメニューの中から早く注文しないといけない。
パイナップル紅茶というものが目に付いたので、それを注文する。五分以内に運ばれてきたパイナップル紅茶は若い女性ロボット・ウェイトレスによって玉金の前にあるテーブルに置かれた。女性ロボットは、
「ごゆっくりと、どうぞ。」
と機械音で話すと個室を出る。










