体験版・sf小説・未来の出来事56

 市民党の議員である官房長官はスイートルームの部屋に入って来た娘子を見ると、
「いい体じゃないか。高級デリバリーヘルス所属なだけの値打ちは、ある。」
と好色そうな視線を向けて話す。
少し距離を置いて立つ娘子。この時、中国人の彼女は日本人女性に変顔していた。
無言の彼女に官房長官は、
「こっちに、おいで。少し勃起している。君の右手で握ってくれたら、すぐに垂直勃起という整合性が取れるよ。」
六十代の男らしい話し声で娘子を呼ぶ。
 娘子は飛ぶように官房長官に近づくと、
「初めまして。それでは握ります。」
「ああ、握りずしは大好きなんだ。」
と涎を垂らしそうな顔になった。
娘子は服を着たまま、パンツの上から少し膨れ上がった股間のモノを右手で握った。
すると官房長官のソレは勢いよく垂直的にビンビンとなったのだ。
「うん、勃起した。遠慮は要らないよ。おれは毎日、数十万円から数百万円の官房機密費を使っているんだ。
君への謝礼も官房機密費から出す。
だから俺のパンツを脱がせてくれ。上の下着は自分で脱ぐ。」
言われた通り、娘子は官房長官のパンツを脱がせた。
ドポン、という感じで官房長官の勃起棒が出現した。
 マスコミにはニコヤカに応対する官房長官で少しは人気のある官房長官だ。その息子棒は逞しくて娘子の股間に射程を定めているようだ。
人気さえあれば選挙に勝てる。それが市民党の党是であり、この官房長官も、そう思っている。
 娘子は立ったまま官房長官の淫茎をシコシコし始めた。官房長官は、
「おいおい、おれは全裸なんだから君も全裸にならないと整合性が取れんじゃないか。」
と呼びかける。
娘子は右手を官房長官の勃起陰茎から手放して、服を脱いだ。ノーブラ、ノーショーツで彼女の白い全裸が現れる。
それを見た官房長官は立ち上がると娘子を抱きしめた。
官房長官の勃起棒は娘子の股間の陰毛に当たる。官房長官は、
「オプションで新車一台の金を出すと本番できるんだろう?」
娘子は黙って頷く。最初から大物を捕まえたのだ。スパイは国家のために自分の身体を投げ出さなければ、いけない。娘子はダブルベッドの上で官房長官に両脚を開いて処女を捧げた。
官房長官は二分で放出して、
「おおっ、すまんな。あまりにも気持ちよくてね。でも、これで今日は、いいよ。」
「ありがとうございます。わたしハンドバッグの中に精力剤の粉薬を持って来ています。それなら二回戦も取れて整合性が取れると思いますわ。」
「そうか。ぜひ飲んでみたいな。」
「ええ、持ってきます。」
全裸の娘子はベッドを離れると丸い尻を振りながらサイドテーブルの自分のハンドバッグの中から精力剤の子袋を取り出して冷蔵庫の近くにあるコップに入れると水道の蛇口をひねって水を、そそいだ。
それをベッドに腰かけている全裸の官房長官に手渡した。
「ありがと。うーん、上手い味だな・・・。」
と話すと官房長官はベッドに仰向けになった。
彼は睡眠薬を飲まされたのだ。
 娘子は自分のハンドバッグのある所へ行き、バッグからデジタルカメラを取り出した。
官房長官は大きなバッグをスイートルームに持って来ていた。それを娘子は開けると中に入っている重要書類を取り出して全てデジタルカメラに撮影した。
それはパソコンに接続すると中国外交部対日工作課長宛てにインターネットで送信できる。
官房長官位では大した秘密書類も持っていないが、とにかく首相の女房役とも言われる地位なので、それなりに面白い内容もあると思われる。
とにかく最初から娘子はスパイとして上々出来な仕事をしたのである。その代償としては処女を喪ったのであるが。
 官房長官が目を覚ました時には部屋の中に娘子は居なかった。デリバリーヘルスのオプション付き代金はスマートフォンのクレジットカード決済で前払いで済ませている。
「あー、よく寝たなあ。百分は過ぎている。あの女は帰っても仕方ないな。精力剤って眠くなるんだろう。」
と呑気なことを一人で呟いた官房長官である。

 娘子は都内にスパイ仲間と暮らしていて、その仲間も女スパイなのだ。彼女は娘子より二歳年上なので二十六歳、容姿端麗で都内を歩くとスカウトマンから声を掛けられるのでサングラスを掛けて帽子を目深に、かぶって歩かなければ、ならなかった。その彼女は李豹豹(り・ひょうひょう)と言う。
 李豹豹に娘子、本名は陳万子は、
「李姉さん。官房長官の重要書類はデジタルカメラに全部撮った。あと他のもあるの。」
「おめでとう。わたしも閣僚を狙っているけど、まだ成功していない。他のモノって?」
「今から手渡すわ。」
「ああ、これね。これで私も仕事できる。シェーシェー(謝謝)。」
翌日、官房長官にメールが届いた。

 拝啓 官房長官殿
昨日のスイートルームに於ける貴殿の性的活動に就きましては逐一、隠しカメラにて記録させていただきました。
つきましては官房機密書類を当方に提出して戴きます。
それに応じられない場合はインターネットにて貴殿のスイートルームでの性的活動を動画形式で公開いたします。
海外のサーバーなのでモザイクやボカシは入れておりません。又、その無修正の状態にて一般的に閲覧できる海外動画共有サイトで公開します。
公開されると後悔しますよ。それを不可とするならば、速やかに当方に内閣官房機密書類を当方に電子メールで圧縮添付して送信しなさい。
返信メールに添付するだけで送信できます。

かしこ

という内容だ。それを見た官房長官は震えあがった。
(昨日のデリヘルとのものだな。まさか盗撮されているとは思わなかった・・・。)
 官房長官は返信メールで
件名 お断りします
 内閣官房機密書類を送信する事は断じて、ありません。

と記載して返信した。

それをスグに受け取った中国外交部の李豹豹は、
「陳さん、官房長官とのセックス動画を公開するわよ。」
「ええ、いいですわ。日本人の今の顔は取りかえれば、いいんですもの。」
と気軽に答えた。
陳万子がホテルのスイートルームのテーブルの上に置いたハンドバッグには隠しカメラが装備されていた。ハンドバッグから盗撮していたのである。
 李豹豹は海外の動画共有サイトに陳万子と官房長官のセックス動画をアップロードした。
 日本の官房長官とホテルのスイートルームでセックス
と題された短い動画が公開された。
反響は物凄くてスグに数千万回は再生された。
ネットニュースにも取り上げられて国会でも官房長官は追及されたのである。
市民党の議員である官房長官は辞任した。

それを知った中国外交部対日工作課の李豹豹と陳万子は快哉を叫ぶ。
官房長官の機密資料は大したものでは、なかったのだ。陳万子の顔は別人の顔に変わっていた。
 そんな彼女も今は日本のスパイとなり、日本紅党の桜見世子を諜報活動する事に、なっている。
 美神美男との交合を満喫するのも諜報活動への促進剤となった。
日本紅党は国会議員は桜見世子だけで衆議院議員である。
 三十路の彼女は男なしの生活を送っていた。紅党本部に男性職員は居たのだが、女子職員が増えるに従って男性職員は退職していったのだ。遂に紅党本部には男性職員は皆無となった。
ひとつの理由は給与の安さに、ある。新共産主義に関心を無くしていったのも男性職員の退職の理由だ。
現在はシングルマザーや高学歴の故に仕事のない女性が紅党本部で働いている。
 陳万子は偽名の谷下澄子を名乗り、ネット雑誌記者だという触れ込みで日本紅党の桜見世子を取材した。
 党首室で桜見世子は、
「ようこそ、谷下さん。」
「初めまして。わたし日本に帰化した中国女性です。中国共産党の国を離れました。もう共産主義は時代遅れだと思いますが桜党首は、その点は、どうなのでしょう?」
桜見は少し顔を、こわばらせると、
「確かに日本には共産主義は根付きませんでした。それは海外の共産主義が日本に合わなかったからなのです。
しかしシングルマザーが日本に増えました。彼女達は今の政治に絶望しています。
我が党の職員も男子職員はゼロとなりましたが、女性党員は増大しています。収入の5パーセントを党費に払っていただくのですが、滞納する党員は一人も、いません。
もう一つは風俗産業に従事する女性党員が増加しました。
 我が党では売春防止法の廃絶を公約の一つにしています。ソープで働く女性も党員の中に大勢いますよ。」
「なるほど、そうなのですか。中国にはソープランドは、ありません。その代り、床屋が風俗を兼ねている場合が、あります。」
桜見世子は目を光らせると、
「それね。それ日本でも、やったらいいのになと思うわ。うちの党員で美容師さんも、いるから提案してみるわよ。うん、ありがとう。」
「美容師の人って高収入なんですよね?」
「そうね、大体、そうみたいよ。」
「それで今の政治に不満でも、あるんですか。」
「市民党の時は誰でも不満だったんじゃないのかしら。今は民民党だから紅党への入党者は減りました。
それでも女性のための社会づくりというスローガンだから今の入党者は女性だけです。」
「わたしも入党したくなりました。」
「乳頭が気になるのは女性だけね。」
「え?」
「いえいえ冗談です。入党はネットからでも出来ますよ。スマートフォンから、いつでも、どうぞ。」
「はい検討します。そういえば日本は人口減少しましたね。アロナワクチンで。」
「そうなんですよ、ウチの党員も、それで減りました。その代り、高収入の女性が多く入党したので党費の歳入は増えたんです。
風俗産業の人達は例外なく高収入ですからね。」
「女性のための政党ですね、日本紅党は。」
「その通りです。谷下澄子さん、入党を待っていますわ。」

 桜見世子は谷下澄子が帰るとスグに党員の美容師に電話する。
「あ、穴野さん、桜見です。穴野さんの美容院は男性も歓迎でしたね。」
三十路女性らしい穴野美容院の店主は、
「ええ、他店との競合が厳しいので格安のカットで男性も来店して、いただいています。」
「それなのよ、穴野さん。美容院の奥に部屋は、ある?」
「ええ、ありますよ。うちは母の自宅と美容室が続いていますから、空き部屋は三つも、ありますね。結構広い家なんですが母は老人ホームに入りまして、父とは離婚しましたので、元々母の相続した母の実家ですから。」
という話だ。
経済評論家にして経済コンサルタントもしている桜見世子は、
「その空き部屋を活用するのよ。従業員の女性は美人でしょ?」
「ええ、二人いますけど美人ですね。」
「その人たち、お金に困っていないかしら?」
「ええ、美容師だけの給与では不満らしいですね?」
「それなら、その人たちにスペシャル・サービスを提供させれば、いいわ。」
「スペシャル・サービスですかあ?」
「そう、性的サービスをさせてあげるのよ。」
「ああ、そういう事ですね。でも大丈夫かしら、党首。」
「スペシャル・サービスA、マッサージ、スペシャル・サービスB、ファッションヘルス、スペシャル・サービスC、本番。
というようにサービスを分ける、ただしファッションヘルスとか本番という用語は使っては駄目ね。それだと風俗営業の届け出が必要になるから。」
「分かりました。上手くやりますよ、桜党首。収入の5パーセントは党費に献金ですもの。」
と美人美容師の店主は全満面の笑顔になった。

 美容室「美へア」では、その日の営業が終わると美人美容師二人を呼んで店主は、
「素晴らしい、お知らせがあります。あなた達は金銭的困難な状態に、なっていますね?」
二人は異唇同語で、
「はい、困っています。」
と答えた。
「それを解決する方法が見つかりました。それは男性客にスペシャル・サービスを提供すれば、いいんです!」
又しても彼女二人は異唇同時に、
「スペシャル・サービスですか?」
と双子の姉妹のように答えた。
二人とも胸と尻が大きくて日本人女性の平均身長よりも少し背が高い。美人店主は微笑むと、
「この店は奥の方で、わたしの家に繋がっています。そこに空き部屋があるので男性客が望むのならスペシャル・サービスを提供してください。
A,B,Cのコースを準備します。性的サービスです。」
ここで美人美容師二人は顔色を変えなかった。一人は、
「それなら副業で、やっています。」
もう一人も、
「わたしも、です。」
と答えた。
美人美容師店主は、
「そうなの。それならコース料金は、わたしが決めるからサービス内容は任意で、お任せします。」
と提案したのだった。

 次の日から美容室「美へア」では男性客は格安カットの他にスペシャル・サービスが、あるのを知った。
金がないので、その店に来ていた男は椅子に座ったまま、
「スペシャル・サービスって何ですか?」
と聞くと美人美容師は、
「性的にサービスさせていただきます。ここではなくて、奥の方にありますよ。」
チョキチョキと男の髪を切りながら答える。
男の目は輝き、
「クレジットカード決済は出来るんでしょ、お姉さん。」
「出来ますよー。今、お金が無くても大丈夫です。」
「それならスペシャル・サービスを、お願いします。」
「ありがとう。カットが終わったら奥に行きましょう。」
という事で三十路程度の男のカットが終わった。
 二人の内の一人の美人美容師は男客を案内する。奥のドアを開けると長い廊下が続いている。その廊下の右側に洋室のドアが見えた。
美人美容師がドアを開けると中はベッドルームだったのだ。  
 白いシーツのダブルベッドが二人を待っていたかのように姿を見せている。美人美容師は、
「コースはA,B,Cと別れています。Cは私と本番できますわ。」
「それって高額なんでしょうね、美容室は格安カットなのに。」
と部屋に入った男は立ったまま聞く。
「普通のソープランドの倍額で構いません。わたし、体に自信あるし。」
部屋の中には何と大浴槽まで設置されていた。ただ、まだ湯水は浴槽に入っていない。
金のなさそうな男は、
「Aは格安ですか?」
と聞いた。
「Aはマッサージだけなのでファミリーレストランのランチ代で出来ます。」
「それなら、それを今日は頼みますよ。美人の貴女が素手でマッサージしてくれるんですね。」
「ええ、やりますわ。ベッドに仰向けになって寝てください。」
「はいはい、すぐに。」
男は服のまま、ダブルベッドに横たわる。男の肩から揉み始めた美人美容師だったが、男の股間に素手を持ってくると丹念に執拗にズボンの上から男の棒を揉み続けたので、遂に三十路男は勃起した。
美人美容師は、
「あら、硬く太く長くなりましたね。」
とズボンの上から男の勃起棒を握ったまま聞いた。
「うん、勃起しましたよ。貴女の素手が柔らかくて気持ちいいから。」
「ふふふ。地球人の硬直したモノを握ったのは初めてヨ。」
「え?なんですか?地球人と聞こえましたけど。」
「あら御免なさい。日本人の間違いでしたね。」
「ははーん、やはり貴女は海外の人なんだ。美貌が日本人離れしていますものね。」
「ありがとう。ヨーロッパから来たんです。国名は日本では、あまり知られていない国ですよ。」
男は焦ったように、
「このまま僕の勃起したモノを握り続けるだけですか?」
「一番重要なモノなんでしょう?地球・・・いえ、日本人男性の。」
「世界中の男性にとって、みんな同じように重要でしょうね。」
「そろそろマッサージは終わりにしようかな。」
「えっ、もう終わりなんですか?」
「Aコースは、こんなものですよ。次に進むためにはBコースの料金が必要です。」
「幾らくらいですか?」
「普通のファッションヘルスの料金の二倍ですねえ。」
「分かりました、払います。クレジット払いで、いいですか。」
「もちろんよ。」
男は股間棒を美人美容師に握られたまま、ズボンのポケットからスマートフォンを取り出して、
「払います、バーコードは何処に、ありますか。」
「わたしの左の胸に貼ってあるでしょ?」
確かに彼女の上着の左胸の上に店のバーコードが貼ってあった。それを決済サイトのカメラで読みとり、金額を美人美容師に聞いて入力、そして見せる。
「はい、それでいいです。決済してください。」
GOODGOODというスマホ決済サイトだ。
 性風俗の決済に良く使われている。
決済手数料の安さは業界一だ。
これでBコースに進む。
まず美人美容師は全裸に、なってくれた。白い裸身は白人女性より白く、形の良い乳房、クビレた腰の下には大きな幅の臀部、股間は黒い恥毛が豊穣として広がっている。
それに彼女の若い女性のフェロモンが寝そべった男の股間棒を限界まで立身させたのだ。
男は、
「素晴らしすぎる、貴女の裸。これほどまでに美しい裸は見た事がない。僕も脱ぎたいです。」
美人美容師は右手の平を男に押し出して、
「同時に裸になると、あなたはCコースに進みますよ。」
「そうですね。それではBコースで、お願いします。」
美人美容師は男の直立棒をズボンから出すと口に含んであげた。
それから彼女の舌で男の鬼頭を舐め回したので、あえなく男は放出して即、萎えた。
彼女は男の液体を口から出してティッシュペーパーで拭くと、
「回復は、どの位で?しますか?」
「最低でも数時間、かかりますよ。」
「Bコースは十分です。でも満足したでしょ。あと五分で終了よ。」
「え?もう、そんなに時間が・・・。美人と居たら時間が経つのが早いな。」
「そうみたいですね。キスして上げるわ。」
全裸美人美容師は尻を、かがめて寝ている男に接吻した。
五分も彼女の唇と舌の絡め合いで男は半勃起する。
 全裸美人美容師は壁の時計を見て唇を外した。
それでBコースは終わりだった。
 半勃起している男は、
「もっと続けたいけど、さすがにクレジットでも、お金は払えません。派遣の仕事だと来月は未定のようなものですから。」
「そうなの。いや実はね、わたし・・・服を着ます。」
美人美容師は手早く下着と上着とスカートを身に着けた。
そして再び口を開いて、
「実は、わたし地球外生命体なの。」
「ええーっ、やっぱり。地球人、とかいう言葉を聞きましたから。」
「つい口が転倒したのよ。ヨーロッパに葉巻型宇宙船で行って、そこでヨーロッパの女性に成りすましたわ。その国は小さな国で公用語は英語だった。そして日本に来て美容師の資格を取ったのですの。」
「素晴らしいですね。貴女の星に行ってみたい。」
「お金がないと地球では不自由するでしょ。」
「ええ、とても不自由です。」
「わたしたちの宇宙船内でも地球の国の紙幣は模造できます。日本の現行紙幣も。」
「それじゃ偽札ですよー。」
「いえ。本物と同じものを作れますから贋札では、ないのよ。本物の日本の紙幣と同じものが作れるから。」
「なるほどー。そういう見方もありますね。」
「だからワタシタチは地球で、お金に不自由しません。ヨーロッパの小さな国の紙幣を葉巻型宇宙船内で発行してね、大量に。
それで、その国の富豪より紙幣を作ったから、富裕な暮らしだったし、ドルに換えて日本に来たんです。葉巻型宇宙船で来たのでは、ないです。」
「わー、いいなー。大富豪なんでしょ、それなら。」
「でも大半は株と仮想通貨に変えたから、現金は普通の生活が出来る程度ヨ。それで美容師になって働いているんだけど、店主の穴野阿袈子(あなの・あけこ)さんが特別サービスを提案した時はスグに賛成したの。
体を張って金稼ぐのも、いいものね。」
「ふーん、そうですか。」
「そうなのよ。地球人じゃなくても体は動かさないと退化するのは同じなの。オマンコも使わないと、いけない。」
「ははー、納得しました。それでCコースも、できる訳ですね。」
「そういう事ね。貴方も稼げば、わたしとCコース出来るから、ね?」
「ソープランドの倍額ですね、Cコースは。」
「あ、言い間違えていたわ。高級ソープの倍額の間違いよ。」「倍額!僕は高級ソープにも行った事が無いんです。」
「それなら、とにかく働こうよ、君。わたし、メテローヌっていう名なの。君は?寝てないで立ち上がって。」
男はベッドから降りて立って、
「僕、灰谷本意太(はいや・ほいた)と言います。」
「よろしい。ここから出て中庭に行くと、珍しいものが待っているから。」
とメテローヌは話した。
廊下の左はガラス戸で、それをメテローヌが開けて降りると、灰谷も続く。
おおーっ!!!そこには葉巻型宇宙船が着陸していたのだ!
メテローヌの服は、いつのまにか宇宙服に変わっていた。
彼女は振り返ると、
「灰谷君、私達の宇宙船に乗って。銀河系を旅して別の太陽系へ行くわ、さあ。」
と呼びかけた。
灰谷本意太は遅れじと葉巻型UFOに乗りこんだ。
メテローヌは、
「運転は船長さんが、してくれます。椅子に座りましょう。」
無重力の状態で椅子が浮かんでいる。
二人は向かい合って宙に浮いた椅子に座った。
メテローヌは、
「私達の星は地球と、よく似ています。KEPLER-1649Cという地球によく似た星と、よく似ています。でも、その星とは別の方角にありますが、地球上では、まだ発見されていません。
だけども私達の星から地球は見えるんです。それで日本が人口が三分の一になった事も分かりました。」
「それは凄い。無重力状態を僕は初めて体験しました。人口的に作り出しているんですね、これは。」
「いいえ違うのよ。もう地球の大気圏外に出ているから無重力状態なんです。」
灰谷は驚きまくった。
「動いたように見えませんでしたけど。」
メテローヌは右手の人差し指を立てて前に出すと、
「この指には指輪がハメてあるけど、そこからアナタにパワーが行きます。眠くなるわよー。」
と宣告した。
光りのモヤのようなものが指輪から出て来て灰谷は眠ってしまった。
灰谷が意識を取り戻した時に見たのは病室に自分がいると思える光景だった。
そこへ自分の目の前に立ったメテローヌの顔が見えると彼女は、
「おはよう。私達の星へ、ようこそ。実は私達の星では男が少なくなってしまったの。それは女が強いから、というのもあるけどね。女の子ばかり生まれて来ても、そうなるわよね。」
「ハイ、そう思います。」
「だから、自然と一夫多妻制になりました。私達の星は地球と違い、一つの大陸しかなくて他は海なんです。」
「それなら一つの国しか・・・。」
「そうなんです。それで建国以来、戦争なんてないんです。だって戦う相手国が、ないんですから。」
「それは平和ですね。」
「そう。だから、この星には軍隊もないし、兵器もない。その分、宇宙船の開発に総力を傾けました。
それで葉巻型宇宙船や円盤型宇宙船も作りました。地球の太陽に立ち寄ってエネルギー補給をしてから地球に行きます。」
「なにか凄いです。」
「それとね、女が多いだけに男の性器を強靭にする医学的手術も可能です。
今、アナタは男性器手術を受けています。自分の股間のモノを見てくださいな。」
「えっ、そんな・・・。」
と絶句しつつ灰谷本意太は自分の股間を見た。
すんごく大きくなっている、まだ平常時なのに。
「本当ですね。これで勃起したら・・・。」
「三十センチだと思うわ。わたしは小柄な方ですから。この星の女性の平均身長は二メートルですので。」
看護師が入って来た。
やはり二メートルある身長だ。灰谷は自分がヘッドフォンを装着していることに気づく。
看護師は灰谷に、
「気分は、どうですか?」
と聞いた。その声はヘッドフォンから聞こえる。
看護師もヘッドフォンたいなものを頭に装着している。
灰谷は、
「え、全くいいです。」
「それは、よかった。手術は十時間も必要でした。灰谷さんも十時間寝ていたんですけど点滴で栄養と男性器増大液を送っていたので、さっき取り外したんです。」
と説明してくれた。
それからメテローヌの方を見ると、
「メテローヌ様。これで灰谷さんには仕事が舞い込みますわ。」
と話すとニッコリとした。看護師の肌は白い。メテローヌは、
「立派な性器は高収入をもたらす、これは地球でも同じなのに気づいている人は少ないみたいね、地球では。」
「そうなんですか。わたしも地球に行ってみたい気がします。」
「地球の女性は身長が低いので、貴女なら目立ちすぎると思う。」
「そうなんですね。地球外生命体だとバレそうです。」
「地球にワタシが行けるのも低身長のためよ。だけど地球の日本では私は高身長なんだけどさ。」
「ええ、分かりました。地球人が来たのは、この灰谷さんが初めてですね。」
「そうなのよ。おかげで地球探査省の大臣から誉められました。おかげで一か月の休暇を貰ったけど、灰谷君を連れて回るとか仕事をさせるとか色々あるし。遊んでいる時間は、ないのよね。」
「この灰谷さんの件は地球探査省が内密にしているし、ワタシも口外を禁じられています。でも時が来れば地球探査省も公開するらしいので、それまでの秘密らしいです。」
「前々から地球の男性に対する需要というものは起こっていましたしね。第十夫人なんて夫とのセックスは年に一度位らしいです。」
看護師は口に手を当てて笑った。
「オホホ。結婚するなら第二夫人までが、いいという話ですね。これは昔かららしいですけど。」
「そうね。わたし、まだ独身よ。看護師さんは?」
「わたしも独身です。ここの院長の第十夫人にならないか、と言われているんですけど、わたしも、まだ若いし。院長は富裕ですけど、それだけでは、と思いますし。」
「そうね。金だけが全てでないのは地球も同じなんだけど。中東以外は地球では重婚を認めていないの。」
「それは・・・あ、お喋りし過ぎました。次の患者を見に行きます。」

体験版・sf小説・未来の出来事55

 フレッシュアイランドの自衛隊情報第三部隊から地上に出て、警衛門を出た流太郎はタクシーが近づいてくるのを見た。さっき乗ったタクシーだ。窓を開けた運転手は、
「さっきのタクシーです。乗りませんか?」
「いや、歩いて帰るよ。」
「そんな事、言わずに乗って下さい。運賃はタダでいいので。」
流太郎が歩行を停止したのでタクシーは彼の横に停車した。流太郎は、
「タダでいいって、本当ですか?」
「ええ、ええ。タダです。その代り北九州に行きます。帰りもタダで送りますから。」
後部ドアが開いた。流太郎は、
「これから人をスカウトするんです。」
「どんな人をですか?」
「なんというか、女たらしの達人の男。」
「さすがはネットニュースの運営者ですね。北九州にいますよ、女たらしの達人が。」
「え、そうなんですか。」
「私が知っていますから、その男にも引き合わせますし、その前に驚く場所に連れて行きます。」
それを聞いた流太郎は後部座席に乗りこんだ。ドアが閉まり、タクシーは発車した。流太郎は、
「北九州も人口は減ったでしょう。」
「日本全国、同じですよ。老人が、かなり減りましたね。それで儲かる職業がありますから。」
「葬儀屋ですか。」
「その通り。葬儀屋の上場企業の株価は空前絶後、という奴でさ。あたしゃ葬儀屋の株に全財産、突っ込んでいます。悲惨の影に繁栄あり、ですね。三十倍には、なっていますよ、葬儀屋の株は。」
「そうでしたねー。誰かの不幸は誰かの儲け、という事ですか。」
「私の仕事は、ずっとタクシーじゃないんですよ。」
窓の外は福岡市の東区の風景となった。
流太郎は、
「それでは前職は?」
「ええ。おいおい話します。とある北九州の大学講師でした、私は。それが、ある事で大学を追われましたんですよ。私を追放した人たちはアロナ・ワクチン接種のために全員死にました。」
「それは、どうも。聞かなかった方が良かったみたいですね。」
「いいえ、気にしないで下さい。アロナ・ワクチン接種のために日本人の三分の二が死んだから、私の夢は実現するといってもいいんですから。」
なんとも奇怪至極な話である。一体、どういう事なのだろうか。
「そうですか。夢は実現できると言いますよ。」
と流太郎は適当に合いの手を打つ。
「ははは。そうかもしれませんね。株で儲けたから、僕は牧場を買いました。そこに行きましょう。驚きますよ。」
「ええ。それは魅力的ですね。株で儲けても、それだけでは只の紙幣ですからね。」
「そう思います。」
「牧場の経営が夢だったんですか?」
「うん、そう云えるかどうか・・・。人口が減ると土地の価格はガクン、と下がります。僕なんかは、それで格安の土地を手に入れました。北九州も南に行くほど人が、いなくなります。福岡市に移り住んだ人たちも多いんです。
タクシー稼業も福岡市で、やる方が客も多いですから。」
「それで北九州市の人口は今、どれくらいですか?」
「三十万人位ですね。」
「驚きました。福岡市は七十万人位で、そこそこの人口は保っていますね。確かに福岡市も老人は消えましたよ。三分の二の人口は要らない人口だったのかもしれませんね。」
「それは北九州市では減り過ぎですから、当てはまらないかもしれないんですけど、私としては牧場が買えたので満足です。自宅を、もう一つとかは考えていませんね。」
福岡市東区を抜けた。
海に近い国道を個人タクシーは走っている。流太郎の昔の恋人の城川康美は北九州市の出身だったが連絡が取れなくなって久しい。そういえば時流太郎は恋人のいない期間が長すぎる気がしたが、安定した職業に就いていないから結婚も難しい。それに若者も若干はアロナ・ワクチン接種によって死んでいる。
福岡市を出ると別の県に来たような雰囲気となる。そういえば車も多くなかった。流太郎は、
「牧場というと牛を多数、飼っているんでしょう?」
「ええ、飼っています。人を雇っても儲かりますよ。牛乳市場に参入出来て、福岡市にも出荷しています。大手牛乳メーカーは人手不足で混乱していますから。」
「それでタクシーの運転手を継続しているんですね?」
「ええ。牛の飼育などは専門家に頼んでいますし。経営は一日、十分もあれば充分ですから。人件費は必要で出費も多いけど自分一人で、やったら朝から晩まで仕事になりますし、酪農を一から勉強しないと、いけませんからね。」

 タクシーは東南に走っている。やがて広い牧場が見えてきた。流太郎は窓の外を見て、
「あの広大な牧場ですか?」
「ええ、あれです。すぐに入れますよ、牧場に。」
タクシーは牧場の正面玄関の近くの入り口から中に入った。
建物の近くにタクシーを停めると運転手は、
「降りてください。」
と云い、後部ドアを開ける。
二人はタクシーを出た。運転手は流太郎の前に来て、
「申し遅れました。私、牛野放一(うしの・ほういち)と申します。」
「時流太郎です。よろしく、頼みます。」
二人は同時に軽く頭を下げた。
牛野は、
「それでは牧場を案内しますよ。ついて来て下さいネ。」
と気さくに話すと歩き始めた。
北海道にあるような広い牧場だ。
数十頭は放牧されている。飼育係の人達が乳牛の周辺に数人は立っていた。
牧草地を踏みしめながら流太郎は、
「本格的に酪農事業が出来ますね。」
と横で歩いている牛野放一に話すと牛野は、
「ええ、今は小さなスーパーに出せるくらいです。まあ、株の収入が、いいものですから・・・そうだ、上場企業に・・・でも投資して貰っても事業拡大の自身が無いんです。もともと僕は大学の講師で専門は考古学だった。祖父が相場師だったので幼少の頃から株を教えてくれたんです。それで中学生から株投資していたから大学を出た時には、ひと財産持っていました。それでもケチが趣味なくらいだから恋人も出来ず、結婚もせずに現在に至っています。
こんなになった日本のためにも結婚は、ともかく、子供ぐらい作らないと日本の為にならないんでは、と思いますね。」
草の匂いがしている中を歩き続ける二人、流太郎は、
「それでは・・・女と縁のない暮らしで、どうして女たらしの男を知っているんですか!?」
牛野放一はニヤリとすると、
「結婚していないだけで、女と縁のない暮らしはしている訳では、ないですよ。それで小倉の夜の街は誰よりもよく知っている程です。その時に知り合いになった男はソープ嬢千人斬りを達成しています。数千万円はソープ嬢に消えたわけです。」
「すんごい金を使っていますね。金持ちだなあ。」
「うん、ですが彼はヒモでした。女に貢がせた金を使ってソープに行っていたんです。セックステクニックを磨くのに一番いい場所はソープランドですよ。」
「それなら牛野さんも、ソープへ?」
「ああ、行きましたよ。小倉の船頭町にはソープランドが多いんです。最低月に一度。多くても毎週一度、だから、やはりケチですね。(笑)。」
「ふーむ。僕は数年に一度、ですかね。」
「そんなに。行かないんですか、時さん。あなただって、まだ三十代でしょう?」
「ええ、そうです。恋人と生き別れになって性欲が消えたようです。」
「いかんなー、それは、いかん。僕は四十代に、なりました。約束したように、その女たらしの達人に会わせますから。あの建物の中に見せたいものが、います。」
平屋建ての鉄筋のビルが間近に迫っていた。牛野は建物のドアにカギをかざした。それでドアは開いた。牛野は、
「時さん、ここは私しか入れない建物でしてね。さあ、入って下さい。」
流太郎は牛野に続いて建物に入る。自動空調設備なのか残暑も感じさせない室温だ。室温28度位だろう。
廊下は広かった。
牛野は、
「地下室に驚くべきものが、います。」
と振り向いて流太郎に話す。
廊下の突き当りは階段があり、それを降りると地下室になった。
あるドアの前に立った牛野は又しても鍵をドアに、かざした。
ドアが開いて見えたのは体育館のような広さの部屋で、中には恐竜が、いたのだ!
ステゴザウルス、に似ているが専門的な事は流太郎には分からない。腰が抜けそうになるのを、こらえるしかない流太郎。気を取り直して流太郎は牛野に、
「あれは作り物ですか、本物の恐竜に見えますけど。」
「本物です。まだ子供なんですよ。だから小さいんです。あれはステゴザウルスですから成長すると体長9メートルになります。今は3メートルです。草食ですから凶暴ではなく、飼い主の私には、なついています。」
と牛野は体育館のような部屋の中央にいるステゴザウルスに近づいて行った。
ステゴザウルスは牛野を見ると子供が親に対する様子で牛野に顔を近づけていく。牛野はステゴザウルスの頭を撫でてやった。
流太郎は部屋のドアの近くで動かないで立っている。遠くにいる牛野は流太郎の位置に気づくと、
「おおーい。時サン、安全だから、こっちに来なさいよ。」
と話して手招きした。
流太郎は恐る恐る歩き始めた。やがて牛野の近くに行ってもステゴザウルスは動かなかった。牛野は、
「もともと牛みたいに、おとなしいんです。あなたは私の知り合いだと思っているから、安心してください。」
背中に縦に並んでいるステゴサウルスの突起は敵と戦うためのモノらしい。
流太郎は、
「恐竜は絶滅したはずですけど・・・。」
と疑念を口にした。
牛野は笑顔になると、
「僕は考古学者でした。地層を深く掘って何かないかと探していたんです。ジュラ紀の地層で僕は卵を見つけました。
それが、このステゴサウルスの卵だったんです。気温の低い場所で乾燥していました。それでステゴサウルスの卵は孵化しなかった。孵化しても氷河期だったので死んでしまっていたでしょう。それが、どういう偶然かは知りませんが地層の中に完全保存されていたんです。
ぼくは、それを持ち帰り、一連の設備を購入して卵を孵化させました。そして目出度くステゴサウルスは、ここ日本の北九州市で誕生しました。
外敵も存在しないのでスクスクと育ってくれましたよ。」
「ステゴサウルスの寿命は?どの位ですか。」
「うん、長ければ70才くらいまで生きます。恐竜というと恐怖のイメージを持つ人が多いですけど、恐竜と人類は共存していた、という話もある位で。蜂を怖がる人と同じですね。蜂程、人になつく虫は、いません。
恐竜も実は蜂と同じなんです。」
流太郎は安心して、
「そうだったんですか。でも肉食の恐竜は恐ろしいのでは?」
「今のところ私には分かりません。肉食の恐竜が人間を食べたか、どうか。なんとも言えないですね。私が発見した恐竜の卵はステゴサウルスだったので。」
と牛野は話した。
ステゴザウルスはチラチラと流太郎を見たが、動こうとは、しなかった。流太郎は、
「これは世界初、なのでは、ないのでしょうか。現代に恐竜が蘇ったのは。」
「そうなると思います。この部屋の隅に小さなプールに満杯の水と、その横に牧場の草を山のように積んでいます。トイレも作ってやったんです。そこで排泄するように教えたら、ステゴサウルスは前脚でドアを開いて中に入り、そこで排泄するようになりました。
便や尿が残らないような便器を設置しています。巨大な便器を特別注文しました。
メーカーでは、
「どうして、そんなに大きなモノが必要なんですか。」
と聞いたので、
「象を飼育するんです。」
と答えてやりましたよ。」
と痛快そうに話す牛野放一だった。彼はスマートフォンを取り出すと、
「ラーメンでも取り寄せましょう。時サンは何ラーメンが、いいですか。」
「北九州のラーメンで、いいものは、ありますか。」
「そうですね、玄海ラーメンが有名です。」
「それでは、それを、お願いします。」
「ええ、私も玄海ラーメンに、しよう。」
彼はスマホアプリで玄海ラーメンを注文した、そして、
「ここでラーメンは食べられません。一階に食堂が、あります。エレベーターで昇れますから。」
と壁の方にあるエレベーターに向かい、歩くと紅色のエレベーターが、あった。二人は、それで一階に着くと、そこが食堂だった。十人は座れそうな食卓に牛野は座ると、
「時サン、何処でもイイから座ってね。」
と促したので流太郎は牛野の斜め前に座った。
牛野は、
「あのステゴサウルスについてはニュースサイトで噂の形で報道してもらいたいんですよ。あなたは実物を見ましたけどね。」
「ああ、そうします。そのまま流したら・・・まず信じてもらえないでしょう。」
「そんなもんです、世の中は。私も大学を追われたのは恐竜の卵を発見した、という主張からです。無難に生きて居たいんですよ、学者という奴らは。」
「そうらしいですね。」
ピンピロリン♬玄関チャイムが鳴った。牛野放一は立ち上がると、
「玄海ラーメンが来たようです。取りに行ってきます。」
台所を出た牛野はラーメン丼を二つ抱えて戻ると、テーブルに置いた、そして、
「割りばしはテーブルの、そこにあります。それでは食べましょう。」
ラーメンの上に大海老、いか、たこ、わかめ、メンマ、キクラゲなどが載っていた。
麺は二玉、入っていた。二人とも食べ終わり、牛野は自分の腹を手で擦り、
「満腹になりましたね。さて、女たらしの達人に会いに行きましょう。スマートフォンで連絡取ります。・・・・あ、僕だ。牛野。今から人を連れて会いに行くからね。・・・それでは。」
連絡が完了したらしい。

流太郎が乗りこんだのでタクシーは発車した。北へ向かうらしい。牛野は自動運転に切り替えてハンドルから両手を離すと、
「彼は小倉北区に住んでいます。それというのも・・・行けば分かりますよ。」
と笑顔で語った。
その牧場があるのは北九州市小倉南区らしい。タクシーが北上し始めたのを流太郎は携帯方位磁石で確かめた。後部座席は、ゆったりとした座り心地のいいシートだ。流太郎は、
「牛野さん、改めていい座席シートですね。」
と誉めると、
「うん、特注品なんですよ。最初から車に装備されていたものではないものに変えたんです。座り心地の良さを、お客さんに味わって欲しくて。」
「牧場で成功してからですか?」
「そうですね、先行投資という奴ですよ。」
道行く人は、ほとんどいない。
熱中症アラートが出ている日であるからなのか。小倉北区で熱波が発生し、かなりの人が死んだ。平空内閣に要求されているのは温暖化対策である。
タクシーの中はエアコンで涼しいが午後の小倉南区は陽炎が立つような暑さなのだ。
日本中で熱波が発生するようになったのは八月の話で今は九月だが、時々熱波が発生している。
 小倉でも北区は熱中症で倒れる人も多い。八幡駅近くになると工場の煤煙は止まることを知らないように発生を続け、この辺りで突如、熱波が発生するので八幡駅前に噴水広場を作ったほどだ。
 それでも焼け石に水なのかもしれない。人口が減っても製鉄所は稼働しているのだ。平空内閣としては化石燃料の使用停止を検討しているところである。
まだ流太郎の乗っているタクシーは小倉南区を走っている。 流太郎は窓の外を見て、
「結構、田舎なんですね。この辺は。」
「そうなんです。それに、なお人口が減りました。小倉北区よりも発展していない場所なんですよ。もうすぐ小倉北区です。」
確かに小倉北区に入ると賑やかな街となる。とはいえ人口は三分の一なのだ。
更に進むと潮風を感じた流太郎は、
「女たらしの達人には早めに会った方が、いいんですか。」
「午後五時過ぎが、いいな。同棲している風俗嬢が帰ってくるのは深夜の十二時過ぎらしい。それまでなら会えるね。もう彼には連絡を取っている。午後五時過ぎに来る、とね。」
「有難うございます。福岡市にもヒモの人は、いると思うんですが調べるより募集してみないといけないし、牛野さんが知り合いに居るというので助かりました。」
「あー、それは良かったですね。僕も小倉北区の船頭町のソープランドで彼と知り合いになったので、五時まで少し時間があるから船頭町でも、このタクシーで通ってみましょう。」

昼過ぎなので人も見かけない船頭町のソープランドが並んでいる場所に牛野のタクシーは入った。三階建てのビルが多い中に、日本の寺院風の建物やキリスト教の修道会の建物が見えた。流太郎は、
「こんな場所に寺院とか修道院があるとは!」
「いえいえ、あれもソープランドなんです。」
「やはり、そうなんですね。変わったソープランドだなあ。」
「それぞれ入った事があるけどさ。寺院ソープランドでは尼さんの頭の女性が泡まみれにしてくれてプレイできるし、修道院では女子修道女の衣服を着た若い女性がマットプレイしてくれるし、服を着たまま四つん這いになってくれるから修道女とセックスしている気分になるんだ。」
「詳しいですね、牛野さん。」
「ああ。独身生活しかしていないとソープ通いは増えるばかりなんだ。福岡市の中洲にも時々、遠征しているよ。」

タクシーは船頭町のソープ地帯の一角を通り過ぎる。
 海岸は砂浜でなくて船着き場のように多くの漁船が並んでいる。漁師の人達が通いやすいのが船頭町のソープランドなのだろう。
長い船の時間は女なしの時間でもある漁業だ。独身の漁師は港に着くと、まずソープへ向かいたくなるだろう。
結婚している漁師も時にはソープランドへ行きたくなる。
港に着き二人の漁師が陸に上がった。既婚者らしい若い男は、相棒に、
「おれのカアチャン妊娠五か月だから、ちょっくらソープに今から行くよ。君も行くか、独身なんだろ、まだ。」
「うん、行こう。大漁だったし特別に金を貰えるっちゃ。」
と同意した。
それを窓の外に見た流太郎は二人の会話までは聞き取れなかったようだ。
牛野は近くの有料駐車場にタクシーを停めると、
「その男が住んでいるマンションは、この近くだけど駐車場が、ないからね。彼の女は職場まで歩いて一分さ。」
午後五時を少し過ぎていた。
 その男の部屋の玄関に二人は立っていた。牛野はチャイムを押す代わりにスマートフォンで連絡する。
ドアが開くと端正な顔の美男が出てきた。牛野は、
「こんにちわ。君を必要としている人を連れてきたヨ。」
と話す。
美男は牛野と、その後ろにいる流太郎を見て、
「どうぞ。上がって下さい。」
と答えた。
九月だけど残暑は続いているから美男の服も上は半袖、下は短パンだった。筋肉質の男、しかし背は高くない。
優雅にも3LDKの部屋で、リビングは30畳の部屋だった。これがヒモ男の部屋か、と流太郎は思いながら観察するとリビングには巨大なディスプレイがあり、それはパソコンかられるものだった。
十人は座れる円形のソファに、それぞれ座る。牛野は、
「紹介します。女たらしの達人を必要とする時流太郎さん。」
と横に座った流太郎を右手で示すと、
「女たらしの達人の美神美男(みかみ・よしお)君です。」
流太郎は頭を下げて、
「初めまして。よろしく願います。」
美神美男は、
「こちらこそ、よろしくですね。」
と明るく答える。
筋肉質な美神美男の体だ。女でなくても惚れ惚れとする肉体の持ち主。流太郎は、
「筋肉がありますね。ボディビルダーですか。」
美神美男は上半身を反らせて、
「ええ。ミスター九州のタイトルを貰いました。上半身や胸の筋肉を随意に動かせるだけでなく、実は股間の肉棒も随意に勃起させられます。」
流太郎は驚き、
「そうなんですか。それは重宝ですね。」
「ええ、今、お見せしますよ。」
と云うと美神美男は短パンの股間を広げた。
それから力を入れたのか彼の股間の部分は明らかに盛り上がった。中に巨大なキノコが突き出したかのように。
流太郎は激驚して、
「ほんと、ですねー。男性器を随意筋にしてしまった・・・。」
「そういう事です。女に見せると自分の体を見て勃起したと思いますからね。それでは元に戻します。」
と美神美男は宣言するかのように云うと、彼の股間は平たくなった。牛野放一は、
「素晴らしい特技だね。ボディビルを、やったからといって誰しも出来る技では、ないし。」
と感心する。北九州市小倉北区に、こんな男がいると流太郎は驚く。流太郎は、
「これこそ我々に必要な人物の特技です。ぜひ僕らの仕事を手伝って欲しい。」
美神美男は片方の眉毛を上げて、
「仕事?ですか。僕は金に困っていません。ヒモみたく牛野さんは思っているらしいけど、ボディビルのトレーナーをしているんで収入は、あります。女は貢いでくれますけど貯金していますしね。」
と反論した。流太郎は、
「ボディビルのトレーナーの仕事は休止してもらえませんか。その何倍もの報酬は出しますから。」
と提案すると、
「え?僕に出来る仕事って何か、ありますか?」
「ここでは話せませんけど福岡市に来て下さい。」
「福岡市?にですか。家賃も北九州市より高いでしょう。」
「家賃補助は出ますよ。」
「不定期な仕事ですか。」
「そうなりますけど、ボディビルのトレーナーに戻れるでしょう?」
「うん、それは出来ると思うけど、女に会いにココまで戻れそうもないようですね。」
「女には不自由しない仕事ですよ。」
「そんな仕事・・・ああ、ホストとか。」
「いいえ。違います。詳しくは福岡市で話します。牛野さんに聞かれるとマズい話です。」
「それなら行きます。でも今は夕方の五時過ぎだし、明日がいいのでは。」
「そうしましょう。車で福岡市まで二時間くらいかな。」
牛野は、それを聞いて、
「明日、ぼくが君達二人を福岡市に送ってあげるよ。運賃タダでね。」
と申し出る。流太郎は、
「そうしましょう。牛野さん、ありがとう。」
「どういたしまして、です。」
「美神さんは、これから、どうしますか?」
と流太郎は聞いて、見る。
美神美男は筋肉質の両肩を上げ下げして、
「これからボディビルのトレーナーの仕事に出ますから、帰るのは三時間後ですね。夜の十二時に女が帰って来るんで、それから翌日の午後五時までは女とセックスして寝て、朝は十時か十一時に起きて朝飯を食べて又、女とセックスします。昼飯は午後二時ごろですけど、それから又、女とセックスして、だから午後三時ごろから五時まで女とセックスして、午後五時に女が出勤します。
明日も僕が空くのは午後五時からなんですよ。」
と、これからの予定を話した。
牛野放一は感心した顔だ。流太郎も驚きつつ、
「それではセックス三昧ですね。」
美神美男は、さり気なく、
「使う器官は強大になります。坊主とかセックスは弱いんですよ。ボディビルでは男性器を鍛えられませんからね。」
と話すと笑った。
壁の時計は午後六時だ。美神美男は、それを見ると、
「ボディビルのジムは、歩いて二分だけど、今から出ますから。」
と云うと立ち上がったので牛野と流太郎も立ち上がった。

 牛野のタクシーに戻った流太郎と牛野はタクシー車内で、のんびりとした。流太郎は後部座席から、
「成果ありありでしたよ。九時に美神君は戻って来るらしいですけど。」
運転席で牛野は、
「ああ、九時に又、行ってみよう。それまで何か食べに行きますか。」
「それが、いいですね。いい店、ありますか?」
「行ってみようと思う。小倉北区も、そんなに来なかった。美神と会ったのも半年ぶりだしね。」
タクシーは発車している。
 小倉名店街という商店街の近くにタクシーを有料駐車場に停めて牛野と流太郎は名店街に歩いて入ったが。
なんと三分の一の店しか残っていなかった。
飲食店なども三分の一、になったみたいだ。その中の大衆レストランに入って格安料理を食べた二人は店を出る。
レジでは割り勘という事でクレジット決済した二人だった。流太郎は、
「結構、満腹になりましたよ、牛野さん。」
「うん、小倉は物価が安いんだ。人口が三分の一になると物価も三分の一に向かうからね。北九州市は福岡市より活気が無くて人は金を使わないから、なおの事、物価は下がるんだ。
その点は生活が楽になるね。」
と解説してくれた牛野。
「福岡市は、それほど物価が下がっていないんです。若者は食費に金を掛けますし、部屋も新しい部屋とかを選びますからね。」
「うん、若者の都市、福岡市だな。北九州市は年寄りが多かったからだろう。人口減少が著しい。」
タクシーはドライブしている。
若戸大橋の近くまで牛野のタクシーは進んだ。その大橋の下の海に恐竜らしき姿が発見され「ワカトー」と呼ばれている。
 秘密裡に恐竜を飼育している牛野放一にとっては訪問を辞められない場所だ。牛野は自動運転を停めてハンドルを握っている。海が見えた。牛野は、
「ここはワカトーの出現場所なんだ。あの海はね。」
と楽しそうに流太郎に話した。
「ああ、そうでしたね。観光客が増えたらしいですね。」
「福岡市には前から愛高島なんていう空に浮かんだ島が、あるけど北九州市は新名所としてワカトーが目撃された、この付近が全国的に有名になった。」
「もともと若戸大橋は東洋一の吊り橋として知る人には有名でしたけど・・・。」
「それだけじゃ観光に来ない。有料だった時期も長かったしね。北九州市は福岡市に比べて人を呼び込む力がない。最初は工業都市として福岡市より栄えて人口も多かったのに、二十一世紀には福岡市に倍以上の人口の差を付けられた。

体験版・女子校生と派面ライダー

ビルの谷間でセーラー服を着たピチピチの若い娘が、目の前に立っている痴漢風の若者を嫌悪の眼で見ると、
「助けて!派面ライダー!」
と叫んだ。彼女は右手に握り締めた、小さなリモコンのようなものをスカートのポケットの中に戻す。セーラー服の上着の胸は、未成年者とは思えない程、豊かな曲線を描いている。彼女の前の痴漢らしい男は、大声を上げられて驚いたが誰も来ないので、彼女に数歩近づき胸に触ろうと右手をあげた瞬間、
「とおおおおっ!」
という男の掛け声が聞こえて、痴漢らしき若者は右手を蹴られていた。
「うわっ。」
痴漢のような青年は声をあげた。彼の眼には、白のアイマスクのようなもの目の辺りにつけた中年の男性、服装は白バイの警官に似たものだが、白バイの警官の服装の白い部分が赤色になっている、その男が連続的に右足を上げたのが見えた瞬間、頭のこめかみを蹴られてドウ、とアスファルトの地面に痴漢未遂のその男は倒れた。
顔はどう見ても二十歳のセーラー服の女は、そこそこのいい女だ。彼女は両手を胸の前に握り締めて祈りのようなポーズを取ると、
「ありがとう、派面ライダー。」
と感謝の言葉を口にした。
白バイの警官に似たその中年男は、
「いえ、どういたしまして。ここらを通りかかっていたものですからね。今日は水曜日で、ぼくの休みの日ですよ。リモコンの無線で呼ばれたのに気づきました。」
と照れながら自分の行動を説明した。ビルの谷間で人は通るのが少なく、道の先は行き止まりでビルの壁だ。大人二人が横に並べば道は塞がる。人の通っている道からは五メートルは離れている。派面ライダーと呼ばれた男のバイクは、谷間の入り口近くに停めてあった。
「派面ライダー、お礼に抱いてください。」
セーラー服の二十歳の女はビルの壁を背に、声を中年の背は中背で白いアイマスクの男にかけた。
「ええっ?いいのかなー、そんな事して。」
「ここなら、人も気づきません。あんな勃起もしない若い奴に触られるより、中年のあなたの方が好き。」
百五十六センチの彼女は、大きな胸を自分で両手で掴むと、
あはん、と悶えた。それを見るなり派面ライダーは白バイの警官の服装に似た格好で女子校生に近寄ると、
「ごっつあんしようかな。いただきますよ、あなたを。」
と言うと、彼女を抱きしめた。大きな胸が派面ライダーの腹の上あたりで潰れる。派面ライダーの右手は女子校生のスカートの尻を撫で擦った。尻を触られて彼女は、喘ぎ始める。
派面ライダーは、そこで顔を下に向けていって彼女にキスをした。彼女は派面ライダーの中年の唇が触れると、唇を開いて舌を出し派面ライダーの唇を舐める。中年男の派面ライダーも唇を開き、女子校生の唇の中の赤い舌に自分の舌を絡めた。
派面ライダーは女子校生のスカートの前を擦ると、彼女の股の間はスカートの上から触っても濡れていた。女子校生は唇を離すと、
「派面ライダー、早く入れてよ。」
と、おねだりした。
「ああ、わかったよ。」
すでに勃起していた彼の股間のモノは、ズボンの膨らんだところが女子校生の臍の下あたりに当たっていたのだ。
派面ライダーは女子校生のスカートの中に手を突っ込むと、ショーツを下げて彼女の膝の辺りまで下ろした。それから自分のズボンのジッパーを降ろすと、容易に大きなキノコのようなモノはパンツの切れ目から突き出てくる。
派面ライダーは膝を屈めて、少し上げると彼女の濡れた裂け目にスルリと淫欲棒を入れた。女子校生は、
「はああああーっん。こんなところでするのは、初めて。」
と悶え始める。彼女のピンクの内部は、ざらついていて自分の淫欲棒が刺激されて気持ちいい。太陽は南中していた。真上から照りつける太陽の光は、女子校生の淫欲裂から派面ライダーの淫欲棒が出ては入るのを照らしつけている。そのうち中年の派面ライダーは膝が痛くなってきた。ので、淫欲棒を一旦抜いて、
「バックからしようよ。膝が痛くてね。」
と女子校生に話す。
「いいよ。後ろから突いてくれた方が、もっと気持ちいいかも。」
女子校生はクルリと向きを変えると、ビルの壁に両手を突いて大きな尻を突き出すとスカートを右手で上げた。
すいかのような彼女の尻肉の下の中央には、もっこりとふくらんだ肉の中心に淫欲の裂け目が派面ライダーの眼についた。彼は、まだ天を向いている自分の欲棒のかたまりをズーン、とスムーズにズームインさせたのだ。
「ああん、大きいのを感じるわ、派面ライダー。」
女子校生は、黄色い声を上げる。派面ライダーは、赤い手袋をしたまま彼女の尻を抱えて思う存分、突きまくった。ずんずん、ずいっずいっ、と。「ああん、もう、こわれてしまいそうだわっ、いい、天国にいきそうっ。」
十分もすると、女子校生の内部の締め付けが強まってきて派面ライダーは、
「ああ、おっ。」
と声を上げると、どくっ、どくっと女子校生の淫穴の中に出しきれるものは全て出した。

 波山飛苧(なみやま・とぶお)四十歳は、うだつのあがらないサラリーマンだった。福岡市内の不動産会社に勤めているが、不動産会社を転々としていた。主に賃貸住宅の仲介をしている不動産屋を流れ歩いている彼は、いつでもヒラの社員だ。
福岡県福岡市は人口百五十万人を越えて、マンションやビルも増える一方、不動産会社も増えているので競争は厳しい。
東京からの不動産会社も参入してくる。福岡市の都心部は東京さながらの人口密集地帯で、いつの日か二百万を超える人口になるに違いない。
波山飛苧の父は福岡県庁に勤めとおした役人で、長男の飛苧に波の山を越えて飛ぶ飛び魚のような人間になってほしいという思いから飛苧と名づけたのだ。
 高校を出た飛苧はバイク便のライダーとなって、重要書類を届けて回っていたが、働きながら学べる不動産の専門学校に通い宅地建物取引主任者の資格を取り、不動産会社に転職した。
しかしながら不動産物件の案内などは自動車で回るのが常だ。飛苧は自動車運転免許も持っているので、顧客の案内も会社の車で行っていたが、好きなバイクに乗れないので不満が、つのっていた。

 飛苧は三十にしてワンルームの中古分譲マンションを買い、そこで暮らしている。福岡市の中心に近いワンルームマンションだ。三十五歳の時に変装趣味を覚えて、白バイ警官の服装を購入した。白い部分を赤く染めると、250ccのバイクに乗り、サングラスを掛けて車道を走った。
道行く車の運転手やバイクの運転者は彼を白バイの警官と間違えた。よく見ると赤い色の部分がある服装なので、気がつくはずだが気がつかない。飛苧は爽快になった。
彼はマンションの七階にある自分の部屋に戻ると、アイマスクに似た、目の部分は穴の開いたものを両目に当てて後頭部にゴムひもを掛けると、
「変チン、」
と声を出しながら、両腕をまっすぐにして肩の上に上げた。万歳の格好に似ているが両手のひらは前にではなく、横を向いている。互いの手の平が向き合っている形だ。
「おおっ。」
と飛苧は次に声を出すと、両手を降ろして股間に持っていく。両手でズボンの上から自分のモノを触ると、すでにそれは固く太くなっていた。
(いけるじゃないか。これで、変チンすれば即、勃起している。どんな女とも、すぐにやれるだろう。とはいっても、若い女となら、だが。)
飛苧は高級物件を案内したキャバクラの女性と、その部屋に行った時に、二十三歳のその可愛い女は、
「誰も居ないしさ。ここでセックスしようよ。」
と玄関のドアを飛苧が閉めた時に誘った。
「え、まさか、そんなこと、できるわけないでしょう。」
飛苧は一応、否定した。キャバクラの可愛い女は、ふんと笑って、
「勇気ないのねー。わたし、お客さんから毎晩誘われているけど、五人に一人としかセックスしないのよ。今は二月で客が少ないから、マンコに入れる本数が減ってるからさ、あんたのモノ入れてくれたら、ここの部屋に決めるよ。」
と話して、スカートを自分の胸まで引き上げた。
彼女の股間は真っ赤なショーツだった。まるで闘牛が闘牛士の赤い布キレに誘われるように飛苧は興奮して勃起した。
「お客さん、いいんですね。会社には内緒ですよ。」
と灰色のズボンの前を膨らませて、飛苧は聞いた。
「そんな事、誰にも言わないわよ。立っているじゃない。ちんこ出したら?」
とキャバ嬢は挑発した。
「出しますよ。そーれ。それから、こうする。立ちシックスナイン。」
飛苧は瞬時に自分の肉棒をジッパーから引っ張り出すと、キャバ嬢の前で逆立ちをして、手を交互に動かして逆立ちのまま、身を反転させた。
立っているキャバ嬢の目の前に、飛苧の勃起肉棒が床を向いて硬直していた。
「ええー、凄いわ。しゃぶるね、ちん棒。」
細い白い指でキャバ嬢は飛苧の血管の浮き出たモノを握って、亀頭から口に入れると、
ふぐ、ふぐ、と音をたてながら自分の頭を長い髪を振って上下に揺らせた。飛苧の目の前にキャバ嬢の股間はなかった。
「泉沢さん、あなたのオマンコは見えませーん。」
と逆立ちして太くさせた肉棒をしゃぶられながら飛苧は、わめいた。キャバ嬢は口から太い肉棒を抜くと、
「ごめん。しゃがむわね。ショーツは、わたしがおろすよ。」
彼女はしゃがんでショーツを膝まで降ろすと、そのまま自分の割れ目が飛苧の顔の前に見えるように近づけた。ああ、かわいいキャバ嬢の男の棒を咥えたくてしょうがない膨らみと少し開いたピンクの縦の裂け目が飛苧の眼にうつったのだ、彼は逆立ちの手を交互に少し進めると、キャバ嬢泉沢のマンコの縦の淫裂に口をつけて、舌を出して舐め捲くると、
「ああー、いいわー。逆立ちしている男にアソコを舐められるのは初めてよ。」
と悶えて自分の乳房を両手で持って飛苧の床に向いて硬直している肉を乳房にはさんだ。上着の上からではあるが、気持ちいい、と飛苧は感じると
ピュッ、ピュッ
泉沢の上着の胸に射精してしまった。彼女は慌てて、
「ちょっとー、何するのよー、この上着、高いんだから。カシミヤなのよ、五万するの。」
文句を言う。萎えたチンコは、やはり逆立ちしているので床を向いている。その姿勢で飛苧は、
「すみません。ここの家賃七万円でしたね。手数料は一か月分なので、五万円ぼくが払いますから。」
と話す。キャバ嬢は、にこりとして、
「そうしてね。わたしの福岡銀行の口座に入れといてよ。もし振り込まなかったら、この件は、あんたの会社にばらすわよ。」
「わかりました。なるべく早急に・・・。」
「いつまで逆立ちして小さなチンコをぶらさげてるのよ。」
「すみません。戻ります。」
飛苧は手を動かすと、背中を泉沢に向けて足は彼女の目の先の床面に下ろした。着地して慌てて小さくなったモノをズボンに仕舞い込んだ。

 というような過去もあった。紹介した部屋で水商売や風俗の女は誘ってくる場合もあったが、思うように挿入した事はない。それは追々、彼の追想で出てくるかと思う。

 さて、彼の変チンポーズだが、飛苧は変チンと叫んで両腕を真っ直ぐに天に上げた時に、頭の中でAV女優の裸体を思い浮かべる事にしている。旬の女優がいい。数年前に人気があったAV女優も、いつのまにか消えてしまうことが多いものだ。
「変チン、」
でAV女優の裸の股間に頭の中の視線を合わせると、むずむずと肉棒に血液が流れ込み、
「おおっ。」
で完全に勃起している。
最初に暴漢に追い詰められた女性はキャバ嬢だ。彼女は中洲のキャバクラ、「女子校生」に勤めている。波山飛苧も時々、遊びに行くキャバクラである。彼は、
「おれ、変身ポーズでチンコ立てられるんだ。」
と接待している女子高のセーラー服を着た二十歳のキャバ嬢に話した。
「きゃっ、チンコなんて露骨だわ。でも、すごいのね。」
と持ち上げてくる。
「ここで、して見せようか。」
「いいわ、やってよ。」
飛苧は立ち上がると、
「変チン、」
と叫び、両手を手のひらを内側に向けて真っ直ぐに挙げた。その時、彼の頭の中にはAV女優の裸が浮かんでいる。
「おおっ。」
と叫んで、股間に手を回すと、完全に勃起しているのが、目の前にいるキャバ嬢にも分かった。その二十歳のキャバ嬢は手を叩いて、
「すごいなー。ちんこ、立ってるわ。変チンのポーズ、ここのみんなに伝えておくから。」
と話した。