SF小説・未来の出来事42 試し読み

流太郎は灰山田の話に驚いて、
「僕は音楽業界に就いては全く無知なので、驚きました。なるほどAIは音楽にも浸透してきた、という事ですね。」
灰山田は深く頷くと、
「そういう事ですよ。で、それに対抗すべく新しい機器を発明の会社に頼んだんです。それを使ってMP3の音楽を作りました。それが【性歌】なんですね。」
流太郎は思い出そうとする、
「知りませんでした、それは。性歌も知りません。」
と答えるしか流太郎には方法は、なかった。
灰山田は、
「音楽には関心が、ないようですね。その方が却って、いいのかもも知れませんよ。仕事に取り掛かる前に時さんには平安時代の衣装を着てもらいます。」
それを聞いた流太郎は両眼を満月にして、
「平安時代の衣装ですか?ええ、いいですよ。アメリカ・インディアンの衣装だろうと、ロビンフッドの服だろうと何でも着ます。」
と乗り気となった。
灰山田は上機嫌で社長の机に戻ると、机の上のパネルのボタンの一つを押して、
「メイクさん、時さんの衣装を持ってきて。」
と指示した。何処にいたのかドアが一つ開いて中年の女性が流太郎が着る衣服を運んできたのだ。それは所謂(いわゆる)、衣冠束帯というものだ。流太郎は立ち上がると灰山田社長に、
「それでは服を着させてもらいます。」
と話すと灰山田は、
「ええ、どうぞ。メイクさんの所へ行って着せてもらうように、してください。」
とメイクに指示して手伝って、もらった。黒の烏帽子を頭に載せ、手には木製の笏を持たされた流太郎。平安貴族男子らしい流太郎の格好を見て灰山田は目を喜ばせ、
「なかなか似合うよ。では相手役を呼ぶか。冴松さん!入ってきて。」
と大声で呼ぶ。一つのドアが開いて平安時代の女性の衣装である十二単(じゅうにとえ)の、かさばった白い服を着た、しもぶくれで眼は細い色白の女性が現れたのだ。
もちろん白だけでなく赤の服も着ていて、他の色の服も着ている。薄緑色も見えるので色彩豊かな平安時代の女性の服が冴松という、下膨れで目の細い色白の女性を惹き立てている。
 灰山田は二人に向いて、
「それでは、あなた方二人は録音ブースに入って下さい。細かい指示は、それから出すから。」
と命じる。冴松と流太郎は、しずしずと録音ブースに入場した。冴松が先頭だ。裾の長い十二単を静かに引きずり、流太郎は両手で笏を胸の前に立てて録音ブースに入った。
ガラス張りで二人の姿は灰山田やメイク係の中年女性にも、よく見えた。灰山田は、
「それでは性行為に入ります。二人とも股間だけを露出させて準備する。時さんは一旦、笏は床にでも置いてくださいね。」
と滑らかに指示した。
冴松は素早く、股間に両手を当てて女性器を露出させた。十二単は特殊な作りらしく、股間の部分は薄い布一枚だったのだ。鮮やかな冴松の陰毛と女性器は流太郎には即勃起させるほどの形態を持っていた。それで流太郎は両手で持った笏を床面に置き、自分の股間を探ると矢張り、そこもチャックを降ろす仕組みになっていた。パンツも履いていない流太郎には簡易な性器露出となった。
冴松との距離は二メートルほどだが、彼女の持つ若い女性のいい匂いが流太郎の鼻に入り込み、それで流太郎はグイーンと股間銃が天井を向くのを感じる。冴松は、それを見ると、
「すごいわっ。早く入れて。灰山田社長、いいですか?」
と横目でブース外の社長を見て聞く。
灰山田は、うなずくと、
「二人とも体を密着させて。その前に時さんは笏を拾って両手で胸の前に構えなおしてね。時さんは冴松さんと体の前面を密着させたら、一度両膝を曲げて伸ばすと屹立したモノを冴松さんの股間に入れられると思う。さあ!やりなさい!」
二人は近づくと体を密着させた。流太郎と冴松の唇は自然と重なった。大怒張していく流太郎の股間剣を欲しがっているような冴松の女洞窟は股間を広げて立っているので少し以上に開く。流太郎は素早く腰を落として狙いを定めると股間銃を冴松の女洞窟に挿入完了した。冴松は絹の糸を引くように、
「ああああああっ。」
と快美な声を上げた。笏を胸の前に立てたまま腰を振り始める流太郎。灰山田は録音を既に始めている。
 笏を立てたままの姿勢での性交など流太郎には生まれて初めてだった。冴松は快感に耐えるように姿勢と顔を少し後ろに反らせていたが、突如、両手で胸の部分の十二単を広げた。すると、そこも十二単ではなく薄い衣装で下にはブラジャーも当てられていなかったので、冴松の白い大きな乳房が突兀として姿を現したのだ。
下膨れな冴松の顔と琴瑟相和すかのように豊かな乳房だ。流太郎は冴松の乳房を吸いたいと思うのだが両手にした笏が、乳房を吸うのには無理な障壁となる。
それを察したように灰山田は、
「あー、時さん。冴松のオッパイを吸いたいんだろう。分かるよ、その思いは。その笏はタダの笏では、ないんだ。最新の発明品なんだよ。その笏を冴松の乳房に当てて御覧。そうすれば分かるさ。」
と奇妙な指示をした。
流太郎は灰山田に言われた通りに両手で持つ笏を白い上向きの冴松の乳房に当てて見ると、自分の手が冴松の乳房に触れているような感覚を覚えたのだ!(ああ、両手の感覚みたいに笏を通して伝わってくる・・・柔らかな乳房だな・・・)という思いに驚く流太郎である。灰山田は更に、
「笏を冴松さんの色々な場所に当てるといい。彼女の体を楽しむんだ。」
と指示する。流太郎は腰の振りを軽くして、両手で持った笏を右手だけで持ち、十二単を着ている冴松の尻の辺りを笏で触れた。その部分の十二単も何故か薄かった。それに対して大きな柔らかな尻の冴松は流太郎の首筋に両手を絡めて二人の体を密着させる。
二人の性行為は三十分は続いた。
 灰山田は満足げに、
「よーし、上出来だよ。少し休憩しよう。ん?時さん、次は今日は無理みたいだね?」
綿雪のような疲労に包まれている流太郎で、ある。笏を持ちつつの性交なんて生まれて初めてだったのだ。流太郎と冴松は録音ブース内にある椅子に並んで腰かけた。灰山田の問いかけに流太郎は、
「まだ分かりません。出来れば再開したいんですけど。」
と答える。
灰山田は冴松を見て、
「冴松さんは調子は、いいようだね。まだ性交続行で、いいかな?」
と様子を伺う。冴松は下膨れの頬を緩めてニッコリと、
「いつでも、どうぞ。」
と簡潔に即回答する。その時、灰山田のスマートフォンが振動した。座ったまま灰山田はズボンの腰の辺りから金色のスマートフォンを取り出して、
「はい、あ。これは、お久しぶりです。今は仕事中ですが何でも聞きます。え?そうですか、それは絶好といいますか、はい・・・わかりました。喜んで。はい・・・只今。」
と話すと金色スマホをズボンに戻し、
「録音ブースに入るよ。」
とブース内の二人に声を掛けた。流太郎は(まさか?灰山田が自分の代役になるのでは?)と思ったのだ。
ブース内に入って来た灰山田は二人に、
「あそこにエレベーターがある。あれで屋上に行けるから。今から行こうよ。息抜きにも、なるし。」
とブース内の奥の方を指さす。
三人はエレベーターでビルの屋上に出た。録音ブース内の人工的照明の明かりとは違って雲は少しあるけど晴れの空。時刻は昼前の空模様からのキラめく陽光で三人を包む。
突如、雲の中から葉巻のような物体が物質の移動の慣例を破るような動きで斜め下の三人を目がけるかのように飛来した。葉巻が横になったまま、斜め下に移動する様子を思い浮かべて、いただきたい。
 その葉巻型UFOはビルの屋上の上に来ると全長は五十メートルは、あるだろうという巨大なもので、ビルの屋上は五十メートルの幅もないためにUFOは屋上には着地出来ない。
そのため屋上から三メートルの高さで静止しているので三人はUFOの巨大な影に覆われた。
平安時代の男女の服装の二人と黒いコートを着ている灰山田。これだけで三人も絵になるのだが、UFOの基底部が開いて黄色の光線が三人を包む。物体を移動させる光線なのだ。
 三人は葉巻型UFO内へ上昇した。そこは近くに、いくつものUFOが並んでいた。円盤型で小型のものが多い。
三人の近くに小柄な人間が居て、身長は158センチ位で眼は茶色、髪の毛は金色と茶色が混じっている色である。その人物は、継ぎ目のない宇宙服らしきものを身に着けていた。三人に、その人物は、
「ようこそ。歓迎します。私はプロキシマ・ケンタウリの惑星から来ました。」
と快活に自己紹介する。その顔は流太郎が以前見たニミキントという宇宙人に似ている。もしかしたらニミキント?と笏を右手に持っている平安時代の男子の服装の流太郎は考えた。宇宙人は、
「ここでは、寛げませんね。駐車場というより駐UFO場ですからね。でも排気ガスが出る訳でないのもUFOですよ。ともかく、あのドアから別の場所へ行きましょう。」
と三人に明瞭な日本語で話した。
 移動した部屋は大きなガラス?なのか兎に角、外が見える部屋だった。森林公園が見える。それが一瞬にして消えた。地球上空に上昇したらしく、それから地球を離れて宇宙空間へと流星の如く進んでいく。太陽からは急急速に遠ざかって行っているようだ。真の闇など宇宙空間には存在しない。地球から見える星が光を強めていく。それは葉巻型UFOが向かう方向の星々が近くになってくるからだ。太陽系の太陽は遥かに遠くなっていったようだ。地球からの三人は息を股間にまで呑み込んだ気持ちでいる。初めて見る膨大な宇宙空間は圧倒的な驚異を三人に、もたらした。
 灰山田は、
「すごい速度ですね。プロキシマ・ケンタウリに急接近するのですね。」
と、うやうやしく金茶髪の宇宙人に聞く。宇宙人は、
「ええ、プロキシマ・ケンタウリの光が見えてくるはずです。宇宙に同じ太陽なんて存在しません。太陽系の太陽とは少し違っているのがプロキシマ・ケンタウリなのです。それで我々の惑星の文化も少し違います。地球人は井の中の、いや太陽系の中の蛙なのですよ!」
 流太郎にとっては大いに頷ける発言だった。それにしても・・・葉巻型UFO内でも平安時代の服装をしている自分を変におもっては、いる流太郎である。強い光が見えてきた。プロキシマ・ケンタウリからの陽光なのだ。太陽系の太陽とは丸で違う光。彼らは、この光を浴びて毎日を送っている。流太郎だけでなく、十二単の冴松も黒のコートの灰山田も、その光の特異性を感じているようだ。
 宇宙人は三人を、それぞれ眺めて、
「我が星の上空で、これを停空させます。窓ガラスには真下が映り、惑星の様子が明瞭に見えますからね。」
と話す。
 その惑星の上空一キロ辺りに葉巻型宇宙船は停泊した。確かに壁の窓ガラスには惑星の上空が映った。宇宙人は、
「申し遅れました。わたくし、ハニキントと言います。もちろん、わが惑星での発音は日本語のカタカナのハニキントとは違いますが、それを発音したら皆さんが分からなくなるので。」
と自己名紹介し、
「どうですか?お二人さん。この場でセックスしてみたら?ところ変われば何とやら、ところ変われば性欲も変わる、のかも知れませんよ。」
と呆気にとられるような発言をした。平安時代の衣服の冴松と流太郎は驚き、戸惑う。二人の視線は灰山田に向かう。灰山田は落ち着いて、
「ハニキントさんが勧めてくれるんだ。録音ブースもある。ねえ、ハニキントさん?」
と云いつつ灰山田は小柄なハニキントの方を向いた。ハニキントは白い歯を見せてニヤリとすると、
「ええ、ありますよ。あそこです。」
と窓ガラスとは正反対の方向を指さした。なるほど、そこには地球にある録音ブースに似た部屋がガラス越しに見えたのだ。とはいえ流太郎は、
「ちょっと自分の状態が、よろしくないんですよ。あまりにも地球とは違っていますからね。」
と性欲不調な事を打ち明ける。宇宙人の前で性交するなんて気が引けるのは当たり前な反応だ。
 ハニキントは微笑みつつ、うなずくと、
「その衣装を変えるとか、何とか、してみましょう。」
と提案する。
灰山田は録音ブースの二人に、
「望むような服が、あるかな?君達。」
冴松と流太郎は録音ブースには入っていたのだ。録音ブース内の室温は急激に上がり始めた。そのうちにサウナのような暑さとなる。流太郎と冴松の額には汗が浮き出てきた。流太郎は右手で自分の額をぬぐうと、「暑いですね。服装よりもパンツ一枚になりたいですよ。」
と話す。
ハニキントは笑顔を広げて、
「パンツ一枚でも、いいですよ。女性の方?よろしいですね?」
と冴松に聞く。冴松は、
「もちろんですわ。わたしも十二単を脱ぎたいです。」
と答えを返すのでハニキントは、
「ええ、どうぞ。」
と短く返答した。
流太郎は平安時代の男子の服を脱ぎ、冴松は十二単を全て脱ぐ。
 冴松は十二単の下には下着を、つけていなかった。彼女の股間の黒黒とした恥毛が鮮明に現れる。ハニキントは、
「お二人さん。どちらも、いい体ですね。お互いに向き合ってくださいな。」
と発言する。それで二人は録音ブース内で向き合うとブース内は急激に室温が下がり始める。冴松は流太郎に近づき、抱きついて、
「寒いわっ。」
と声を上げた。地球上では既に一度は性交した二人だ。冴松の裸身を直接、自分の裸で受け止めた流太郎は即勃起して、冴松の尻を抱きかかえると持ち上げて即勃起砲身を冴松の黒の茂みの下に少し口を開いた女唇に滑らかに差し込んだ。
ハニキントは灰山田に、
「地球の録音機械と違って、あの録音ブース内では男女が性交を始めると自動的に録音が始まります。カメラで監視しているのです。それですから録画も始まります。男女が裸で抱き合う。男が勃起したモノを挿入する、それが録画。録音の始まりの合図です。そのように人工知能に学習させています。
録音した音から作詞、作曲する機能は地球のものと同じですが、より進化したものです。実は地球の日本の福岡市のサイバーモーメントの黒沢に制作法を教えました。それで売り上げの数十パーセントをクロサワは私に支払います。」
と打ち明ける。
灰山田は小驚愕して、
「ああ、そうだったんですね。地球で発明されたものでは、なかったのですか。時さんの駅弁売りの体位は中々、見事ですね。冴松も夢中で大きな尻を前後に振っています。」
ハニキントは、
「ええ。ですから素晴らしい曲が出来るでしょう。この葉巻型宇宙船に引き入れた意図は彼らを性交させて、その振動から人工知能に楽曲を制作させる事でした。それは上手く行ったので、もう少し先を進めてみたいものもね、あるんですよ。灰山田さん。」
と揺るがぬ自信を見せつつ静かに語る。
 三十分後、流太郎は駅弁売りスタイルのまま冴松に男液を発射して他の惑星の上空での性技を終わらせた。冴松の黒髪は自分の肩より下に長く、大きな巨桃のような白尻に近い長さの先端を乱らせて顔を、のけぞらせて赤い舌を出して目を閉じていた。
ゆっくりと二人の裸身は離れる。ハニキントは録音ブース内の二人に、
「お疲れ様。近くに横長のソファがあるから二人とも座って休むといい。」
冴松の乳房は白くて形が良く、上向きで乳首も上向きの美乳だった。目が細いのが彼女の顔を目立たなくしているが、その裸身は大垂涎ものの形である。

 専務の本池釣次郎は社長の流太郎にスマートフォンを掛けたが、繋がらない。「この電話番号は電波の届かない地球外空間にあります。」という自動音声が流れた。
Az(アーズ)という新しい携帯電話のスマートフォンを釣次郎は使っている。(そうか!社長は又、地球を離れている。そこまで分かるazのスマートフォンは凄い。)と右手で持っている銀色のスマートフォンを見つめる本池釣次郎だ。それなら、いつ帰って来るのか未定の時流太郎社長だ。丹廷臣に依頼が来る件数は鯉の滝登りのように勢いを増しているが電話で本池釣次郎が応じた時に、依頼する主婦から、
「その丹廷臣という探偵以外は、いないのですか?順番待ちで二か月先なんて耐えられなくて待てません。」
と話された。釣次郎は、
「現在は丹廷臣しか弊社には在籍しておりませんが、新たな腕の立つ探偵を所属させる所存です。」
と答えた事も、ある。今日も朝早くから丹廷臣は依頼された調査に会社を出て行った。会社の固定電話は留守番電話に、しておいて本池釣次郎は外出する事にした。
 フレッシュアイランドの春の微風を感じた釣次郎は海を見に行くために歩き続けた。漁師だった自分が海から離れた仕事をしているが、ともかく会社は福岡市第二の人口島に移転している。
フレッシュアイランドの最北端は博多湾に面している。その東側には海の中に細長い突堤が北に伸びていて、灯台が建っている。そこまでは歩いて行けるし、途中の堤防で釣りをする人もいる。そこ以外は憩える場所もなく、海に面した場所は砂浜もない。海水浴には適さない地形だ。それは人口島なので砂浜まで作るユトリは、なかったのだろう。
昼前なので灯台へと続く海の突堤は誰も見えなかった、と最初に一瞥した時の釣次郎の認識は視点を変えると改められて、長い髪の女性が灯台の近くに立っている。突堤から海面までは三メートルは、ある。釣竿を持っているのでもない、その女性は春の服装で海を眺めていた。
釣次郎は、その突堤の海へと伸びる地点へと歩きついた。そこから女性の立っている灯台の方へと歩いて行く釣次郎は、やがて、その女性が若い事に遠くからでも気づいた。釣次郎から、その若い女性までの距離は二十メートルほどに縮まる。そして十五メートル、十メートル、五メートルと近づくと、その若い女性は清楚な美人で独身のような、そうでは、ないような趣きの外見だった。三メートルの距離に近づくと清楚な若い美人は歩いてくる釣次郎に気づき、顔を釣次郎に向けると再び海に顔を向けて、トーンという感じで海に飛び込んだのだ!
釣次郎は慌てて彼女が飛び込んだ地点まで駆け寄ると海面を見る。その若い髪の長い美女は泳げないらしく、浮き上がってきた後に再び海面下に沈む。
釣次郎は(大変だっ。溺れて死にそうだ。)と思うと両手を前に突き出して海に飛び込む。春の海らしく海水は生暖かい。立ち泳ぎをしていた釣次郎は海面に浮かんできた清楚な若い美女を両手で抱きかかえると海面下に彼女が沈まないように抱きとめる。意外にも若い女性は、
「死なせてくださいっ。もう生きていくのも、嫌なんです。」
と抗議するように叫ぶ。
釣次郎は、なだめる様に、
「まだ若いんだし、死ぬには早すぎますよ。それに貴女は美人だから是非とも生きていて欲しいんです。」
と話しかけた。それを聞いた若美女は少し顔を和らげると、
「そう、ですね。ありがとう。わたし少しも泳げないんです。病気がちで体育の水泳の頃になると長い風邪を引いたり、熱が出たりしました。夏に弱い体なんです。だから海に飛び込めば死ねると思って。」
釣次郎は突堤に立ち泳ぎで彼女を抱きかかえて移動しつつ、
「それで飛び込んだんですね。なんにしても自殺は、いけません。」
突堤に泳ぎ着くと、そこは階段が上まで続いていた。釣次郎は彼女を階段の手すりに掴ませると、
「さあ、上がりましょう。又、飛び込んでも僕が追いつきますから。」
と励ますように話しかける。若美女は小微笑すると手すりを使って階段を軽く登って行った。紺色のロングスカートも、びっしょりと濡れていて、それが彼女の丸い大きな尻を浮き上がらせていた。階段の下から続いて登る釣次郎の目に、その若美女の左右に軽く揺れる尻が悩まし気に映った。
突堤に立って待っている若美女の上着も濡れていて、春着なので薄い布地は彼女のブラジャーを浮き立たせるばかりでなく、ピンク色の乳首も浮き出ている様子だった。海中で彼女を抱いていた時には釣次郎には気づかない部位だ。その胸の部分だけでなく紺色のスカートの股間も薄い布地で彼女のパンティに張り付き、パンティラインという形が浮き出ている。若美女は両手を組んで自分の股間に置くと頭を軽く下げて、
「どうも、すみません。やはり生きていた方が、いいみたいですね。あなたの逞しい腕に少し、感じてしまったみたいなの。」
と甘えるように話す。