魔法で性交したら4 お試し

竹島を知らない人が、いなくなるように
 その老人たちは、まだ喧々諤々というように話していたが、町田に着いたので、浜野と那美子は電車を降りた。竹島が日本の領土であるという事は、ネットでも最近盛んなので、二人はその事を知っていた、とはいえ、自分たちでは、どうしようもないと思うしかなかった。それで那美子は
「これからの若い人達に、しっかり竹島が日本のものであり、韓国に不法占拠されている事を伝えていくしか、ないのかしら。」
「うーむ。大きな人の波が日本を変えるんだろう。竹島なんて知らない人も、多かったわけだから。あー、絵にしても、いいかもしれんね。」
「わたしもヨガの生徒や、カレーの店の人達に伝えるわ。あ、もう、お別れの場所よ。」
JR町田駅前の立体歩道橋のところで、下りる場所は二人はそれぞれ、違っている。浜野は右手を上げて、
「じゃあ、また会おうよ。」
那美子も、同じように右手を上げて、
「またねぇ。携帯で、け、遺体が。なんて事は、もう、ないわよ。」
暗い青の夜空は、日本の悲しみを表しているようだ、竹島を取り戻したい、そう日本列島が思っているように。那美子はスイスイと人混みの中に見えなくなっていった。浜野は少し寂しさを感じた。そういえば異性の知り合いは最近、与我那美子だけ、みたいだからだ。あの写真を撮ってくれた女性とは、会っていないから縁もないのだろう。
 
ミンクレディ
部屋に帰った浜野の楽しみはパソコンで動画を見る事だった。動画共有サイトを、よく見ている。その他にも動画を無料で見れるところもあるが、動画共有サイトが、やはり一番いい。チャンネル数も一番多いし、プロ、アマが関係ないのも、いいのだった。そんな中、イギリスのスーザン・ボイルの日本版かといえる歌手が登場している。彼女達は二人でグループ名をミンクレディとしている。歳も五十近いが健康食品のバナーに出てくる女性のように若々しい。ミニスカートで踊りながら歌う、その二人は人気絶頂。最初に登場する時はミンクのコートを羽織っているが、歌う前に、それを脱ぐとビキニ風の衣装で、ミニスカートになる。そこで挨拶して、
「ユーです。」「カイです。」
「二人合わせてユー、」「カイ。」
彼女達は静岡の出身で信用組合に勤めているが、子供の頃に見たピンクレディが忘れられなくて、この度、結成したらしい。デビュー曲となったのが「けったいな警部」次が、信組の職員らしい「ユーオウ」だ。YOU OWEのOWEは金銭の借りがあるという意味がある。過去に借金の経験がある人に、特に受けているらしい。結構、反響が大きいので某インスタント食品メーカーも自社のCMにミンクレディを使おう、という話も進んでいるという。「ポスター」という曲も発表され、子供たちにも大人気だ。まさにパソコンの前が、お茶の間というものになりつつある、きっかけは、このミンクレディが最初だと、いってもいい。
 那美子の容貌を要望?
浜野はミンクレディの「ユーオウ」を聞きながら、そういえば、那美子にはアイスクリーム位では、返せていない借りが、あるような気も、しだした。頭の中に、ぼんやりと浮かぶ那美子の顔は、最近、次第にOL風でも、なくなっていた。
絵を学んでいるだけあって、浜野は明確に思い描けるが、彼女の顔は日本人離れしている。というのも、父親はインド人だからであるからだが、それが昔、子供の遊びであった「インド人の黒んぼ」というのではなく、色も白いし、では何故かというと、那美子の父親はカースト制度の中ではバラモンであり、祖先はゲルマン人、つまり外国人なのだ。それで那美子の顔も、外国人女性の血が半分入っているような顔立ちとなっている。最初に見たときよりも、次第に外国人女性のような顔になってきている、と浜野は思っていた。日本でも人気のあるタレントなどは、よく外国人の血が入っている事もある。四分の一位が人気が出やすいようだ。で、那美子はハーフだから、かなり日本人離れしてくる。そうなると、取り付きにくい雰囲気も出てきやすいのである。那美子の父親は、日本での金儲けの方をインドのバラモンより、いいものと思い日本に帰化も予定している。彼女のヨガへの傾倒は、父親という精神的背景が、あるのは、言うまでもないだろう。あの心霊写真の頃には、まだ、今より日本人女性らしい顔では、あったのだ。那美子の父親は北インドの出身で、北インドから来たインド人なのですよ。アーリヤ人ということに、なります。
ユナの白昼夢
 人生とは、夢のようなもの、かもしれない。もし、この人生から覚めることがあったら、その時、人は、この世には、いないのだろう。人生が夢だったら、あなたは真面目に生きる気が、するだろうか。出世したい、金儲けがしたい、そんな気持ちの中で生きている事が実は夢だったとしたら。醒めた時、それは多分死後の世界でだろうけど、なんたる茶番劇であったのかと思い出す事も、あるだろう。鳥越敦司の小説でも読んでいた方が、よかったと思う人もいるかも、しれないね。そんなわけで、思うように、ならない人生で人は夢を見る。それが悪夢だったりすると、どうしようもないわけだが、悪夢を見るという事は予知夢であるか、そうでないなら、その人は本当は、その悪夢のような人生を望んでいるのかもしれない。と、すると、ものすごいマゾヒストと思われるのだが、そういう人も少なくないのかもしれない。人生が夢なら預金通帳の残高も夢の又、夢だ。ユナも、お小遣いは、すごくもらっているけれど、思うようには、いかないのが浜野という男なのだ。それで、日曜の午後に自室でウトウトとしていると、白昼夢を見始めた。それが美少女ユナの章に描かれているものなのだが、浜野がユナの父親の田宮真一郎と、会えると希望に輝いた眼を、したところから先のところを見ようとすると、
「その人のねえ、父親は本当は田宮真一郎じゃないのよ。」
と浜野の後ろに立った若い女が言った。剣上エリだ。浜野は、後ろを振り向くと、
「誰ですか、あなたは。」
「わたし?剣上エリって、いうのです。田宮真一郎の本当の娘は、わ・た・し・なのです。」
ユナは思った。いやーーーーーーーーーーっ。と、そこで眼が覚めたのだ。ああ、そうか。まだ、わたし、あの青年に父の事も言っていなかったわね。
 
福岡へ出張
 銀座の画廊、「金月」は、ますます盛況と、なってきたので人手を必要としたが、それは、すぐに見つかった。早手三五郎という町田の美術大学の学生を、時々、金月に絵を出してくれる早手三四郎が紹介してくれたのだ。
「私の甥ですけど、使えると思いますよ。」
と三四郎は電話で話していた。とりあえず、土日祝日は長時間、平日は夕方から、というスケジュールで交通費支給、夕食費別途支給という待遇で時給二千円で、話は決まった。彼なりの知識を顧客に披露する事も条件ではある。
「ま、学生ですけど美大ですから、ある程度、説明は、できると思いますよ。」
早手三五郎はニヤニヤしながら、控え室で説明した。
「そうね、それで、お願いします。では、美野さん、福岡へ出張を、お願いしますわね。」
と画廊の女経営者、緑川鈴代に命じられて美野は、
「ええ、喜んで。何せ故郷ですから。全部、福岡は庭みたいなもんですよ。いい場所に店を出せるようにします。」
と請け負うとニンマリとした。それから、思い出したように、
「あ、私の留守中は、うちのセガレでも、よかったですよ、使ってもらえれば。」
鈴代は、ニコニコとして、
「今回は、もう、この早手三五郎君に、お願いしましたので、この次にでも、お願いしますわ。」
 
上福
 上京という言葉は、今では東京に行く言葉として知られているわけだが、本来は京都に行く場合を上京というのでは、ないだろうか。正確には上東京と言うべきなのではないかと思われるのだが、そうでないと京都に行く場合は上京という言葉は使えなくなるようにも思うのだが。美野一生は時折、福岡に帰る事もあったが、彼の実家は早良区なので、あまり長くいたくはない気持ちを感じて、いつもいた。早良区は埋立地が観光スポットとはいえ、そのかなり近くには拘置所も、あったりして、あまりよい場所とは、いえないのである。今回、美野は出張費を、たんまりと貰っているため、博多駅近くのビジネスホテルに泊まって、金月の福岡店選びに奔走しようと思っている。新幹線が関門海峡を越えた時、九州に入ったわけだが、何と言っても感じられるのは、水に囲まれた島、という感じを美野も感じつつ、北九州の小倉を過ぎて、いよいよ博多駅に到着しても、東京の人混みに比べれば少ない、と思うものだが、ホテルに泊まった、あくる日に天神に行くとドーンという人の多さを感じるのである。博多駅近辺はショッピング街では、ないので人はそんなに多くはいない。博多駅近辺はオフィス街なのだ。買い物は天神で、というのが相場となっているために、ここ天神一点に多くの買い物客は集まるのである。
(これは、やっぱり金月の福岡店は、天神周辺に、せな、いかんなあ。)
美野は天神駅から降りて、そう思った。さて、上福という言葉にしても、福井とか、福島などが、あるので、本当は上福岡とすべきかもしれないが、そうすると埼玉県にある上福岡という地名がクローズアップされるために、使いにくく、なるものなのだ。
 
 福岡市の埋め立て地、近辺
美野は福岡市の西の埋め立て地、近辺をタクシーで走ってみたのだ。運転手は、
「お客さん、東京の人ですねー。」
「ああ、でも出身は福岡市ですよ。」
道路からは韓国風の建築物が見えるのは韓国領事館であり、警察官が数人警備に立っている。
美野が見たのは、風雲、急を告げつつある国の領事館である。
「野球のドーム球場まで、行きますか。」
「いや、百道浜(ももちはま)へ、行ってくれないか。」
「ああ、わかりました。そんなに珍しいところじゃ、ありませんよ。」
タクシーは橋を渡り、百道浜へ走ったが、企業のビルと公団の団地ばかりで、美術館と図書館が、ある以外は福岡タワーが、そびえている。ドーム球場のあるところは、地行浜(じぎょうはま)というところで百道浜と同じく埋立地であるが、樋井川(ひいがわ)という、小さな川で別れている。
 暗号名「タケシマノキムチツブセ」
 美野一生が福岡に出張している時、日韓関係は厚い雲に覆われ始めたようだ。ついに韓国外相までが日本に侮蔑的な言辞を口にした。野田首相としては野田ラインを主張する気もなく、ただ報復外交を展開している有様だが、海上自衛隊では竹島を洋上から攻撃する際の暗号として「タケシマノキムチツブセ」というものを考えているという噂もあり、冗談であるらしいのだが、憲法改正しなければ動けないとしたら情けない話である。この暗号名はキムチが竹島にある韓国の施設を指すものであるだろう。大日本帝国なら、すぐに攻撃態勢に入れたはずなのに、現在は、である。それなりに緊張感も少しでてきた日韓関係で、福岡の韓国領事館も少しは緊張している中、美野は美術一辺倒で政治に興味が無い、ノー天気な人物である。福岡でも、キムチの不買運動が起こっているわけでもないようだが。こういう時に福岡のスーパーでビビンバ丼なるものを売っていたが、日韓情勢を知らないのか、非国民なのか、詳しい事は、そういうものを出しているスーパーの人間を問詰しなければ、わからないのではあろう。
又、陸上自衛隊の基地は福岡市にないために、美野に限らず、ノー天気なのが、福岡市の人間では、あるのだろう。海上自衛隊では、もしかしたら、竹島攻撃作戦の計画に余念が無いのかもしれないが、それは遠い福岡市には伝わらないものだろう。福岡市には海上自衛隊の基地も、ないのであるから。
 
反韓に反感はない
 結局、日韓は友好など持てる国では、ない事は歴史が既に証明している。そういう中で、在日韓国人が生きる道とは、ある特定の職業に限られたのだろう。福岡市在住の薔薇の星メンバー、文・学男も職業を転々とした。日本人の父親が母と離婚しても、彼ら母子は日本国籍だったにも関わらず、学男の中学の友人が家に遊びに来た時、母親が韓国の民族衣装チマ・チョゴリを来て、その友人に菓子とジュースを持って来た為、学校で「文は朝鮮人だ。」という言葉が伝播されていったのだった。その時、文は、いわれもない屈辱感を持ったのだが、それは、(朝鮮人の何が悪いのか)というものではあった。が、しかし。彼は歴史関係を知るにつれて、日本人が韓国人を忌み嫌う理由も、わかったのだ。それは、まず第一に日本の伊藤博文を暗殺した事である。しかも、その行為を国の英雄的な行為として式典まで現在にいたるも続けている事など、ハーフである彼にも許しておけなく感じられるものもある。それで文はマンションの居宅で母に、
「お母さん。ぼくは日本人として生きたいんだ。」
「ああ、そうだよ。おまえも母さんも、日本人さ。」
「じゃあ、ぼくが反韓でも、いいのか。」
「反韓で生きた方が、得のようだね。母さんもチマ・チョゴリは捨てて、しまったよ。キムチも食べるの、やめた。」
学男は笑うと、
「そういえば、最近は辛子明太だね、母さん。」
「そう。わたしたち親子は、福岡の人間に、ならんと、いかんとよ。」
「そうたい。ぼくも韓国は行った事、ないけん、ぼくは別に福岡の人間と、思いよーよ。」
「明太の他にも、「おきゅうと」も食べようね。」
「ああ、あれは、うまかー。」
 
最近は細菌兵器は作られていない
  インターネットにあまり接しなかった美野も、ホテルで退屈したから、何と、そのビジネスホテルは部屋にパソコンが備え付けてあったので、見てみると、ニュースでは尖閣問題が大きく取り上げられている。現在は個人所有の島では、あるけれど、日本人の所有なら日本の領土となるのだ。それを香港あたりの金の亡者が海底に眠っているかもしれない石油資源欲しさに、ワーワー騒ぎ始めているのだ。というのは、そういう事に疎い美野でも、わかった。が、大真面目に日中海上戦争など、アメリカの方でも考えているに到っては事、穏やかではない。そこでもし日中戦争が再び起こってもアメリカはベトナムで使ったであろう細菌兵器は使わないのでは、という事だ。
「最近は、細菌兵器の開発は、していません。」
とアメリカ国防省の話が、あったかもしれない。それにしても福岡の日没は遅い。七時頃まで明るい八月だ。動画共有サイトにアクセスすると、おすすめ動画として、ミンクレディの動画が並んでいた。(へえー、最近はミンクレディか。昔はピンクレディだったけど。)閲覧回数も、すでに50万回は突破している。「ユーオウ」の動画が、今のところ、一番見られているようだ。借金経験のある人も多いせい、かもしれない。
 イージス艦 「あたご」 舞鶴地方隊より出航
  竹島に向けてイージス艦 「あたご」が京都の舞鶴より竹島に出航した。この一隻で竹島の韓国人を追い払おう、というわけだ。インターネットのニュースでは憲法が改正されて、海上自衛隊の発動が可能となった、とアナウンサーが発言しているのを、美野は、ぼんやりと聴いていた。それで美野は海上自衛隊のホームページを検索して見ると、なんと・・・
日本の海上自衛隊の艦船の数は、韓国よりも少ないのだ。
韓国 190隻18.0万t
に対して
日本 149隻44.9万t
しか、ないのだ。これでは単純に考えると、勝てそうもない、という事になる。
戦闘用の航空機に、したところで
韓国 530機に対して
日本 430機しかない。これでは、もしかしたら・・・という事を、美野でも考えないでも、なかった。韓国の大統領の態度の理由は、ここにあるのではないか。日本の軍備が世界第三位というのは、いつの頃の話なのだろうか。これでは日本政府が、弱腰外交を続けるのも当たり前だ、と美野は思った。軍事大国日本は、もはや遠い夢のような昔の話ではないか。戦争放棄しているからといって、このお粗末さは、なんだ。そして日本人の多くは平和ボケ、海上自衛隊の事など考えもしない日々を送っている。
 
日本の海軍力は、数の上では韓国、中国より下 なめられるのは当たり前
  2012年8月24日、美野が見ている海上自衛隊のホームページには、日本とその周辺諸国の軍事力が、数の上だけではあるが載っている。それによると韓国、中国より艦船の数が少ないのは、もちろんの事だが、なんと台湾よりも少ないのには仰天した。こんな馬鹿な・・・おれは美術一筋に生きてきたけど、こんな情けない軍事力の国に、生きてきたなんて・・・安保反対なんて、そんな事が成立していれば、もっと早く日本は周辺諸国の、いずれかにやられたんだろうな。これは日米安保のアメリカの軍事力のおかげ、ではないんだろうか。ただ、おれは個人的にも強くなりたい。どうにかしたい。それは、あの画廊「金月」の経営者、緑川鈴代のためでもあるんだ。でも、どうすりゃいいのか。それにイージス艦 「あたご」だけで大丈夫なのか・・・・と思った時、美野一生は眼を醒ました。夢だったのだ、そもそも竹島問題から海上自衛隊のホームページを見ているうちに眠ってしまったようだ。現実は相変わらずの弱腰外交の日本政府の動きや口先だけのネットの掲示板への書き込みが続いていた。でも、海上自衛隊のホームページを見ると、夢で見たのと同じ軍事力が堂々と載っている。これを知ったら先手攻撃は、しかけられないと一般の人間なら考えるだろうな、おれでも、そうだけど、と美野は思う。
 
弱軍備、日本 ついに竹島から対馬に韓国の手が 平和憲法はそんなに大事なのか 
  美野にとっては、遠い、といっても九州の福岡からだが、竹島より対馬の方が心配になる。で竹島に味を占めた韓国は、次の標的として対馬を狙うんじゃないかと思った。それにしても今年あたり、つまり2012年8月24日あたりに、はっきりしてきた事だ、今までの日本は、この事を、ほとんど国民に知らせようとは、してこなかった。まさか数の上で軍備の力が韓国より劣っていたなんて・・・それは美術一筋の美野一生にとっても、とっても衝撃だったのだ。(学校教育も、なっとらん。今は、どうかしらんけど。)おれも知らんかった。こんなに弱い国だったとは・・・・。美野の頭の中に対馬に韓国旗を翻す若者の姿が思い描かれた。そう、ロンドン・オリンピックでもやった韓国人選手がいたが。それにしても最近の韓流ブームとは何だったのだろう。自国の領土を踏みにじられて、その無法三昧の国の俳優に血道をあげた日本の、ある人々には美野は腹が立って、しょうがなかった。そんなに韓国がいいなら、韓国に消えうせろ、日本の〇〇様ばばあ。そう、美野は思うと、握りこぶしを、ぐいぐいと握り締めた。韓流スターの名を連呼する、ばばあの顎の骨をへし折って、歯を全部、叩き落してくれる、そう思うと美野は博多の町に出て、韓流ばばあ狩り、をしたくなったのだ。
 国民の生活より国益が第一
  全く、と美野は考える。富国強兵は、いつの時代も大事では、ないか、と。自国の軍備力なしに国の発展など、ない。あの憲法など日本が独立国家として認められた時から、不用だったのだ。それを怠けて何十年、ついに隣国に見下されるように、なっていたとは。思うに、韓国のドラマも軍備を数の上では日本より持っている国のドラマだ。これに憧れを持った韓流ばばあ、も無知すぎた。とはいえ、力強いものに魅せられるのは人の常だろう。で、竹島を知った韓流ばばあ、は意見を変えないなら日本人ではない。その辺も知った上で、韓流ばばあ狩り、をしなければならないだろう。少なくとも、その上で韓流ばばあ狩りをするのなら愛国精神の発露である。日本女性なら男子の意見に従うべきだ。それが嫌なら韓国へ行け。まあ、美野の周りには韓流ファンもいないし、画廊「金月」も韓国人の絵はない。緑川鈴代店主も韓国に、ついては何も言った事は、なかった。行った事も、なかったのだろう。美野も韓国には行った事が、ないが、まずそうな韓国料理を食べたいとは思わないし、それも韓国に行かない理由かもしれない。
(おれも五十過ぎだが、日本のために何か、したい。そうしないと、戦没者の英霊は、泣きよるたい。)
美野一生は、日本の現状に男泣きに涙をにじませた。
 石原莞爾中将の霊を呼び出す
  オカルト団体であった「薔薇の星」も、今は宗教法人として認可され、町田市、原町田に拠点を構えているのだが、前と違ってエジプト人、ムハンマド・ガリガーリが入団して、ほどなく代表になるべく、活動中、というところだ。彼はデーモンという精霊を使って、故人の霊を呼びだす事に成功した。領土問題が取り沙汰される日本において、薔薇の星でも、こういう日本の事を探求しようという事になったが、絵山は、
「昔、日本には天才的ともいわれた、陸軍の英才がいました。彼の名前は石原莞爾です。第二次大戦中のサイパンを要塞化するなど、卓抜な見識を持ちながらも、上司である東條英機と折りが合わずに最終的には予備役に、させられた人ですが、この人は満州事変の当初、破竹の勢いで帝国陸軍を進撃させた素晴らしい方です。この石原莞爾中将の霊を、ムハンマド君に呼び出してもらいたいのですが。」
ムハンマド・ガリガーリはニヤリとした。それから、
「おー、やりますよ。簡単です。」
と気軽に、うなずくと、頭にターバンを巻いたエジプトの衣装で、胡坐をかいて床に座ると、手にした香料に火をつけて、小さな炉に投げ込んだ。エキゾチックな香りが漂う。シャンメルも好奇の眼差しで、それを見ている。
「おー、来ました。デーモンに連れられてミスター、いえ、ジェネラル石原が。」
ガリガーリは、白い歯を見せた。
 自衛隊の軍備拡大こそ内需の拡大だ
 目の前の空間を見上げるようにして、ガリガーリは絵山の方を向くと、
「今、いらっしゃっていますよ。質問は、ないですか。」
と片目を、つぶって尋ねる。絵山は、うなずくと、
「石原中将。今の日本の自衛隊は、どんなものでしょう。」
ガリガーリは何かを聞くように耳を傾けている。それから、
「すべてが中途半端だ、と仰っています。」
「やはり、そうでしたか。周辺諸国に比べれば、どうですか。」
「それは勝率五割から六割、だそうです。」
「あ、ガリガーリ君。中将の、お言葉だけで、いいけど。だそうです、は言わなくて、いい。」
「そうします。はい。」
「このまま行けば、日本は軍事的に危ないのでしょうか。」
「その可能性は、ある。なんとなれば、陸軍の数の不足である。いかに精鋭たる人間でも、数には負ける。」
下手な鉄砲も数打てば当たる、という事だろう。最短の結論は日本は軍備を極端に、していない。これは軍需産業の成長という事をも阻害しているのだ。アメリカが戦争に、ちょくちょく行くのは世界の平和のためではない。まあ、表向きは世界の警察のように主張するかもしれないが、実は自国の軍需産業を栄えさせるためなのだ。戦争の動機は、そういうものが、あるので、要は経済が関係している。今の日本の株価などアメリカに比べて、どうだ。アメリカの株には紛れもなく軍需産業の陰がチラついている。そこに全世界の投資家は魅力を感じるのである。
 日本の若者の失業率の霊的原因はこれだ
  なるほど、と絵山も思うのだった。既に日本は平和憲法を盾にしているつもりか、陸上の軍備など無いに等しいような気さえする。海上自衛隊が、もし負けたら・・・と思うと絵山は、背筋が粟立つ思いをした。どうにか、これまで他国の侵攻が第二次世界大戦後になかったから・・・いや、ある。それは竹島に、すでに侵攻されている状態だ。それでも、自衛隊は動かないのである。これをきっかけに、韓国と戦争するのが、いやだ、としか、いいようがない。韓国の大統領の最近のパフォーマンスは日本と戦争をしたいという意思表示なのだ。それを文書で抗議するなど物笑いの種であろう。絵山は、再び尋ねる。
「それでは、軍備増強が必要なのですね。」
「然り。それは最も急を要する。私は霊界にいるのだが、私と同じところに多数の帝国陸軍の軍人は、いて、日本に又、生まれ変わる予定なのだが、すでに今の時代にも元帝国陸軍の軍人は生まれ変わっておるのだ。彼らの望みは祖国を守る軍人になる事が、生きる第一の道だ。しかるに、現在の日本の陸上自衛隊の定員数は、それをはるかに下回るものである。今、平成24年8月27日現在でも、完全失業者の数は288万人である。この中の男子の、ほとんどは帝国陸軍の軍人の生まれ変わりであるから、他の職業を魂は望んでいないのだ。」
 自衛隊の軍備拡大こそ、雇用の創出だ
 その場の一同は、大いに共感した。こと日本の失業問題は、かような霊的背景が原因となっている。思えば明治より富国強兵に勤め、相当な数の帝国軍人を擁していた日本は、二次大戦後、経済一筋のセールスマンになるべく勤めてきたのであるが、そうはいかない霊的事情もある。又、明治以前は武士の時代、このような人達が、もっとも望む職業は軍人であろう。軍人たるべき人達に商業をやるように勧めるのは酷というものである。シャンメルは、
「なるほど、外国では日本の武士の時代は、なかったものね。日本は特殊ですね。石原さんは、外国は、お好きですか。」
「ああ、外国の戦法は役に立ちましたよ。日本は今も外国を手本にすべき事は、多々あるようですね。」
絵山は、
「そういえば、ドイツが世界一の経常黒字国となっていました。日本は最近、どうしようもないです。」
「どんなに不景気の時代でも、金持ちは、いるものだよ。だから高級車やBMWは売れるわけだな。」
「日本も見習わないと、いけませんね。」
「その通りだな。結局、わしは軍事の専門家だが経済は知らんので、この辺で、よいかな。」
「はい。ありがとうございました。」
ムハンマド・ガリガーリの表情も、厳しいものから穏やかな顔へ戻った。それから笑顔で、
「石原莞爾中将は、天国に戻られましたよ。」
 
外国の消費税は19パーセント
 シャンメルは、穏やかな顔で、
「わたしには、戦争の事など、わかりませんが、日本の経済不振は消費税の低さにあります、と思いますよ。」
と語った。絵山の顔は呆然とした後で、
「やはり、日本人は間違っているのは軍備だけではない、という事ですか。」
「エエ、そうですね。日本も、ちゃんと税金は取っていましたけど、それらの、もろもろの税を獲るのを、やめて消費税にしたのに、それは、いつまでも低いままでは税金は取れません。欧州危機というのはギリシャの破綻の予想ですが、ドイツのように収益の上げられる国に破綻は無いわけですからね。そのドイツは消費税は今の日本より高くても国民は誰も何も言わないのです。日本の人の中には、しつこく消費税を上げるのを反対している人達もいるようですが、国が滅んだら日本人も、いなくなります。つまり、亡国への道を進みたい人達が多い、というわけでしょう。」
「なるほど、軍備の弱さと税金の取れない国では、いつか簡単に滅びそうですね。」
シャンメルは、うなずくと、
「そう、ドイツ人は愛国精神が強く、今の日本人には、あまりない人が多い、という事に、なりますか。」
ムハンマド・ガリガーリが右手を上げると、
「エジプトにも消費税は、ありましたし、日本より高かったです。でも、消費税安いから、日本に来たのでは、ないですよ。」
 ドイツは戦争を放棄していない
 シャンメルは小さく笑うと、
「ガリガーリさんが、そういう人でない事は、わかっています。まあ、ジョークでしたでしょうけど。さっきの石原莞爾さんの、お話を聞いて思い出すのは、ドイツでは戦争を放棄していない、という事です。侵略は、しない、としていますが。」
絵山は、憤然として、
「それでは、日本は、いつまで、あの腰抜け第九条とかを持ち続けるつもりなのか、と思いますね。それは日本人の精神の弱体化にもつながり、ひいては経済力にも影響を及ぼすと思います。最近、はやりの言葉に草食系男子なるものが、ありますけど、ぼくは、むしろ草食系国家と言いたいくらいです。」
シャンメルは決然として、
「ホルス神の恩寵を受けるためにも、力強い国づくりが必要です。この国の背景には神道が、あるけれども、その神道が今の戦争放棄憲法を支持するものとするならば、それは、なんという情けないもの、なのでしょうかね。」
「そうですね。そういえば、エジプトも軍事力の無さで・・・。」
と絵山は言いながら、ガリガーリを見ると、彼は、
「ああ、そうです。クレオパトラで終わりです。情けないですが・・・。ホルス神への信仰も、なくなっていき、ローマとの共存だけを考えていたから。何か今の日本みたいですね・・・アメリカとの関係のためには・・というものですか。そのうち女帝なんかになったら日本もエジプトと同じですよ。」
シャンメルは毅然として、
「だから、まず軍備増強は必要なのです。消費税増税も、そのために行われるべきでしょう。二次大戦下の同盟国であったドイツ国の国民としては日本にも又、本当の復活を遂げて欲しいのではないか、と。いや、どうもドイツは日本を冷たい目で見ている、という感じがします。今は、イギリス、フランス、オーストラリア、そしてカナダの人たちの方が日本には暖かいようですけど。カナダに移住希望の日本の富裕な人たちも、います。無論、アメリカもね。ホルス神様は、ドイツより日本に注目されて、おられるのですから。」
 油山の山中で
  美野一生は天神西通りに一つの店舗の空室が、あったのを見つけて交渉したところ、話は決まり、そこに画廊「金月」の支店を出す事に決めようと携帯電話で緑川鈴代に連絡すると、
「美野さんの故郷ですもの。お任せするわ。」
と言われたので、契約金の一部を払って手付けとした。その日、時間が余ったので美野は又、タクシーで福岡市の西南にある油山の麓まで行き、そこで降りて山を登った。かなり登ると福岡市が一望できる。絵に描いたよう、というより写真に撮ったよう、とでもいいたくなる景色が、そこにはある。山道は舗装されていないものも、あり、滝の音が、したので、そちらの方へ足を踏み入れ、樹木の陰になって涼しいところに、何か塚のようなものが、あった。よく見ると、そこには猪神様と祭られている大石が置いてあり、文字は、その石に刻まれていた。その前には、猪の好物であろうと思われるものが並べてあった。美野は立ち止まると、その塚の前で手を合わせた。すると、
(わしは、この山の神じゃ。この猪は、わしの手先となった。眷属である。今、そなたの猪神に対する気持ちは通じた。そなたの思いは強くなりたいのであろう。そこでだ、何かの時にはこう、心の中で呼びなさい。油山の猪神様、とな。)
美野は、はっ、として辺りを見渡したが、誰も居ない。
(わしの姿は、そなたの目には見えんのだよ。今わしが言った事を、忘れるでないぞ。強くならねば、という時には、あの言葉を唱えるのだ。『油山の猪神様』。わかったな。)
(はい、わかりました。)と美野は心の中で答えた。それからは滝の涼しい響きしか、彼の耳には聞こえてこなかった。
 犬神とは違うのか
 
美野は犬神様というものは知っていたが、猪神様とは又、と思った。犬神様に祀るのには残酷な儀式が必要だ。
犬を首から上だけ出して、土の中に生き埋めにする。そして餓死する、一歩、手前のところで、ご馳走の載った皿を犬の前に出す。犬は喜んで、それを食べている時に、その犬の首を刎ねるのだ。
その犬の霊は神となって、ご馳走を差し出した人を守護する、とかいう一つの伝説かもしれないし、実話であったのかもしれない。
 だが、猪に対して、それが、できたか、どうかは疑問ではあるし、麻酔銃のようなものが必要ともいえるものだから、単なる猟師が、そういうものを持っているかは、何ともいえないところではある。  
 美野も福岡市の山中に、このようなものが、あるのは初めて知った。とにかく、さっき聞いた言葉を忘れないようにしよう、と彼は元来た道に戻りながら考えた。緑に覆われた油山には、かつて多くの僧房が、あったのだが、今は、ほとんど、なくなっている。これは一時期的に仏教が日本で流行した時代が、あったというもので、やはり、それは長続きは、しなかったという事である。しかし、場の空気というものは長く残るせいか、美野も出家したい気持ちに、とらわれたから、不思議だ。この近くでは油山観音というものがあり、寺としては、そこぐらいだろう。美野も子供の頃から遠足でもよく登った事のある山だけに、今日のさっきの出来事は、今までになかったものだったから、山道を降りながらも、心の中で、何度もあの時の山の神という声を思い出していた。
 
油山の麓近くのカレーショップ
 油山を降りて、しばらく歩き続けた美野一生は、大きな道路沿いに
カレーショップ 与我
と看板が出ていて、インド風な建物が、あるのを見たので信号を渡って、その店を見に行った。玄関前には、カレーのメニューが並べてある。ナン、ラッシー付きランチというのが、写真に、うまそうな料理が写っていたので、美野は、その店に入って見る事にした。木製のドアを開けると、そこにはインドの音楽が流れていて、
「いらっしゃいませー。ようこそー。」
と挨拶したのは、インドの衣装を着た日本人の若い美人女性だった。店内には、シバ神の肖像画やら、女神の彫刻が、置いてあったりする。美野は異国情緒に体の芯までタップリと包まれながら、まだ、人のいない午前中の空いた椅子に座った。て注文を聞きに来たのは痩せた美人のインド人女性だったが、彼女は学生アルバイトのようだ。美野は、
「ランチをお願いするよ、いいかな。」
「はい、わかりましたー。ありがと、ございまーす。」
と、その女性は答えて、すすすーっと調理場へ歩いていく。磁場の違う人間に感じられるのが、そのウェイトレスだが、インド人は磁場が日本と違った場所に住んでいるためかもしれない。椅子に座って店内を眺めていると、与我那美子のヨガ教室は講師を変えて、おこなっております、という張り紙が見える。(与我、那美子ね)と美野は思った。(この店の名前も、与我だけど)
 
福岡市は乱気流 カワイイ区だって?福お菓子のお菓子も、うまいのだ
 
「はあーい。お待たせ、しましたあ。」
 さっきのインド美人ウェイトレスが、美野のランチを手軽に持って来た。ナンとはパンに似たもので、ラッシーとはオレンジジュースみたいなものだった。美野は、このナンをカレーにつけて食べたが、なかなかに、うまい。ナンは砂糖を入れているのか、ほんのりと甘味がある。店内は音楽だけでなく、インド風だ。こういうところに来ると、美野はビジネスホテルで味わえなかった、福岡市の雰囲気を感じた。ビジネスホテルのフロントにせよ、標準語で話すから特に福岡市という感じでは、ないのだが、異国人の店と思われるここが、一つの福岡市なのである。大陸からの文化を受け入れやすいのかもしれない。日韓で、もめているが、アジア太平洋博覧会なんかもやった都市だ。その頃は、まだ竹島も一般の国民は知らなかったわけだが。東京は平穏無事な空気を持っている。何せ江戸ではあるからだ。それに比べれば、福岡市には東京の空気と違った乱気流のようなものがある。それを美野は感じた。東京の画廊の支店の店長もいいけど、どうするか。ま、取りあえずは帰京しようとするか。そう思いつつ、美野が食べ終わると、
「いらっしゃーい。福岡市にカワイイ区が、できたらしいよー。」
と言う声がしたので、すぐ近くを見上げると、背の高い中年の端正な顔立ちをした、白人のようなインド人が立って、白い整った歯を見せている。 
美野は興味を持って、
「カワイイ区って、それは何処に、あるのですか。」
「あー、それはねー、インターネットの中に、あるんだってね、パソコンでニュース見たし、区長は人気歌手グループの一人だよ。」
「なるほど。(やるな、福岡市。)」
「あなたも、区民になれるよ。」
「いや、ぼくは、今回は出張で福岡に来ていてね。ぼくの住所は、東京です。」
なーるほど、と、そのインド人は、うなずいた。そして、
「東京には娘が、行っているよ。カレーショップを町田で開いている。よかったら、そこにも、おねがいしまーす。」
「ああ、町田か。ぼくは亀有だから、遠いな。町田に行って見る事もあるか、と思うけど。」
「東京は特に今、反韓が、でてきているのでしょ?」
「そうだな、あなたは韓流ドラマとか見る?」
「うーん、私は、ぜーんぜん、みないけどねー。」
日本人の死因のトップは癌だ。これは自己の体内で自分を滅ぼす細胞を作り上げるものといえる、それが癌だろう。昨今の韓流ブームとやらも、この癌と同じなのである。何故なら韓国人は反日、それも随分古い世代は、そうではなかったが、今の韓国の若手などは特に反日教育を受けて育っている。そいつらに酔いしれる日本人の一部の人達は、お気の毒ながら自分の国を攻撃している相手を喜んで見ている事になるのである。これらの人達は日本国という大きな体にとっては、癌細胞といえるのかもしれない。やがて、それが増殖して、日本国自体が韓流癌に侵されないように、しなければいけないのだ。 
興味のなさそうなインド人の店主の顔を見て美野は、ほっとした。店主は続けて楽しそうに話す、
「今、日本のあちこちで、やってるねー。ペプシゴキブリマットを踏んだりとか動画共有サイトで、やってたよ。」
「それは、みなければ、いかんなー。」
と美野は答えると、そのペプシゴキブリマットという言葉を記憶した。それから、食べ終わった皿を見ると、
「まさか、韓国の、ものなんか、入っていないだろうなあ。」
「いやいや、全部日本のものよ。香辛料はインドのも、あるけどね。」
「あなたは、インド人よりもドイツ人みたいですね。」
「そうね。私、インドのカーストではバラモンだったんだ。娘にはヨガを習わせたけど。」
「じゃあ、そういう名門の出、ですね。」
「そうね。インドでも、上流階級は日本の電化製品を買うよ。韓国のは安いけど、買わない。」
「安物買いの銭失い、なんていうのは昔から日本にも、ある言葉だけど。」
「韓流なんて、日本人には癌かもさ。」
「韓流癌。初期で治さないと、治らなくなるとしたら大変だ。東京に帰って、まわりに言うよ。インドの事情とかね。」
「私の名刺、あげとくから、私の娘の店に行ったら、これを見せたら、いいよ。」
ドイツ的インド人の店主は、カウンターへ行って、名刺を取ってくると、美野にすっと渡した。
 
性こそ絵の源流
 
田宮真一郎は、もはや、可奈を妻とは思わないのだが、しがらみというものは、中々断ち切れない。それに彼には、コンプレックスが付きまとっていた。それは、あの魔女シャンメルが、渡してくれた魔法の筆や魔術儀式によって自分は有名になれたのだ、という気持ちだ。
 だが、彼は本役英子をハメ描きすることによって又、人気画家とは、なってきた。(おれは、やはりできた。でも、この先、おれがいつかインポになった時、その時が、画家生命の終わりなのだろうか。)と考えもするのだ。だから、それは本役英子との結婚に結びつかない理由だった。あるハメ描き行為の後、真一郎が絵を描き終わると、本役英子は下着をつけながら話しかけた。
「田宮先生、次はコンドームなしで、いいんです。わたし、田宮先生が結婚など、してくださらなくても、いいと思っていますから。」
「い、いや君が、よくても、ぼくとしてはね、子供が生まれたら責任が、あるよ。実を言うと、ぼくはね、今の妻の他にも、子供を産ませた女性がいる。」
「それは・・・偉大な画家としては、必要な条件かも、しれませんわね。ピカソだって、何人もの女性が、いましたわ。」
「あれほどの資産と技量は、ぼくには、ないから、君が妊娠すると、とても面倒は見きれない、ということだ。」
「あら、わたし田宮先生に、面倒を見て欲しいなんて、思っていませんわ。わたし、こう見えても翻訳も、しています。それで、ペンネームで翻訳したんですけど、その作品が日本でも結構、売れて、その印税が入ってきたんです。」
真一郎は感心した顔に、なった。感心は震撼の逆なのかもしれない。
 避妊具なしで
 その後で、真一郎の顔には、ためらいが戻った。しわが少し寄った額に、右手を当てると、
「でも、責任を取れないなんて、それは男らしくないし・・・。」
服をすべて身に纏っても、ふくよかな乳房は、彼女の服の上から見える英子は、
「そんな考え、明治時代の考えですわ。シングルマザーも結構、世の中には多いし、最近は、です。」
「ああ、本当に、いいのかい。それは君と生で、やると性交の感じは違うだろうし、はめ描きで出来た絵も、全く変わってくると思う。」
「そこですわよ、先生。今の絵は、本番といっても、コンドームをつけているアダルトDVDなのかもしれません。」
真一郎は、真昼の空から隕石が落ちたのを、感じたような顔をして、
「あ、それは、すごく的確な表現かも、しれないね。それに男性も歳を取ると、女性を妊娠させにくくなる、とも言えるんだろうけど、・・・。」
「それは、人によって、色々と違うと、わたしは思います。先生は経済の事は、心配なさらなくて、いいんです。わたし、今月中に、ひと財産できて、いますからね。それから、わたしの実家も宝くじが、一等前後賞含めて当たった、と携帯電話で連絡してきました。とても、こういうのって、不思議ですけど。」
真一郎は冥王星を、裸眼で見ようとするように、遠くを見ていたが、
「それじゃ、次回は、そうするよ。子供は娘二人なんだけど、実はこの家にいる娘は、私の子では、ない気もするんでね・・・。」
「あら、それじゃ男の子が、いりますわね。でも、疑惑って、気になっていけませんわ。それは本業にも影響します。」
「ううむ、でも、妻は、もちろん否定は、するけどな。」
 相続人は男の方が
 「もう一人の娘さんって、誰ですか。」
「それはね、・・・あるキャバクラ嬢に、産ませた子供なんだ。時々、会いに行っては、いるけど。」
英子の心の中に、夏の空の入道雲のような羨望が、ムクムクと生まれた。それは、海面に浮きあがった潜水艦の潜望鏡でも、はっきりと見えただろう、というような。
「わたしも、先生の子供が欲しいな。」
「それは次回に回そう。今日は、もう射精は、できないし、写生はできそうだけど、やめとこうかな。」
「デッサンは、できる、ということですのね。画家としては、射精すれば、写生できなく、なるのかしら。」
「語呂合わせとして、それは、とても、うまい!」
ポンと真一郎は感心して、手を打った。
「英子さん、あなたとの子供が、男の子だったら、自分の相続人にしたいよ。」
真一郎は、人差し指を鼻にピタと当てた。そして、英子を、にやにや、しながら眺める。
「それは。嬉しいです、先生。何か男の子が、できる方法が、あるとか、わたし、何処かで知ったような気もしますし。楽しみですね、これからのハメ描き、です。」
「ああ、張り切るとしようよ。張り形のように、張り切ろう。君との子供で、離婚の成立かもね。」
「嬉しいわ。こんな人生って、普通じゃないけど。」
英子は真一郎に飛びつくと、彼の両肩に両手をクロスして回した。最近大きく膨れてきた彼女の乳房が、真一郎の胸から下のところに押し当てられた。
 真一郎は英子のスカートを外し、降ろすと彼女のショーツは薄く、英子の陰毛が黒く鮮明に映っていて、それは真面目な翻訳者としての顔とは正反対の淫らな気持ちを男にそそるような形を見せ、英子のショーツは上に強く引っ張っていたので、彼女の膨らんだ淫唇が割れ目を見せて食い込んでいた。
その割れ目に沿って下から上に真一郎は、舌を這い回らせた。すると、彼女のクリトリスは隆起する。それを舌で感じた真一郎は上目で英子を見ると、彼女は目を閉じて赤い舌を少し出していた。
英子の淫唇は潤みを帯びてきたので、真一郎は彼女のとても薄いショーツを、それは真一郎とハメ描きする時だけに履いてくる、ネット通販で購入した特製のショーツなのだが、それを下にスッと降ろすと英子の淫美な黒い花園と、その下の彼女の性の果実が真一郎に、彼の男性器に突入してもらいたくて、たまらないような顔をして少し淫裂を開いているのだ。
真一郎も同じように自分のズボンとパンツを脱ぎ、下半身は裸となり、立ち上がる前に既に立っていたムスコと共に膝を伸ばすと、英子にキスをして舌を入れ、絡め、右手は英子のマンコを深く愛撫しつつ、少し指先を入れると彼女の熱い液が真一郎の指を濡らした。
細い肩と大きな尻、それを彼の指は、なぞって感じ取った。
英子は背中を撫でられても、
「はっ、あん。」
と声を出す。服の上から見たら英子の乳房はリンゴのような形で、右手で揉むと、
「あ、ふっ。ああん。」
と黒髪を乱して感じる。その時、真一郎の舌は英子の耳たぶを舐めていた。乳房を揉みつつ、耳たぶを舐めるという事が、彼女の息遣いを荒くしていき、英子自らが白い両方の脚を開いて、オマンコも更に開いて、
「真一郎さん、速くっ、英子のオマンコに生のチンポ、入れてっ。」
と耳たぶを赤らめながら恥ずかしそうに誘う。
真一郎は避妊具を、かぶせないナマチンポを野太い亀の頭から、竿の元まで、心地よく差し込んでいった。英子は、滑るような声を上げて、
「はぁぁぁぁっ、ああああん、真一郎さんの生のオチンポって、こんなに素敵なんですねっ、やっぱり、ああっ、生が一番ですっ、英子のオマンコ、突いてっ。一晩中、二十四時間オマンコ、して欲しいっ。はぁん、朝まで生チンポでツキまくられたいぃぃっ。
ああっ、英子のオマンコ宮殿の奥深くまで入ってっ。そう、そこがオマンコ、ナンデス、ああっ、は、あんっ。いくっ、いきはじめましたわん、やあん、いやあっ、いいっ、真一郎先生の愛の勃起チンコは英子を救うっ、二十四時間、朝まで昼でも、生チンポで貫いて、突き上げてぇっ。」
英子は、自分の大きな尻を真一郎の腰と同じ動きで、揺らされつつ、生のチンポをマンコに嵌められたまま、上着を脱ぎ、ブラジャーのホックを頬を赤くさせて外す。
チンコを嵌められた女がブラジャーを外すのを真一郎は、チンコを嵌めたまま見ていたが、ブラジャーを外した時、英子のオマンコに自分のチンコは吸い付かれるような感触がして、ぬくもりと締め付けを、それから感じた。
それから英子は、メロンのような乳房を真一郎に押し付けて、両手を彼の首の後ろに回して、自分から真一郎に唇を重ねると、両脚も彼に密着させ、立ったまま一つになった二人は、同じ生き物のように激しく尻を振らせていた。
  真一郎は、右手の指先で英子の尻の割れ目の上の方から、英子の背中まで、なぞると、そこは英子の性感帯で、彼女はオマンコ、乳房、乳首、唇の次が背中が感じると話していたからだ。
それと同時に、真一郎は突き上げのスピードを速める。英子は目を閉じて、唇を開くと、
「ぁ、ん。は、ん。ああっ、はあっ、」
と甘い性夢に耽るような表情をしているが、それは真一郎の肩の上で、彼には見えない痴女的な彼女の顔だ。
 真一郎は英子の顔が見たくて、姿見の大きな鏡の方に英子の顔が映るように向きを変えた。
それで真一郎は口を開けて、赤い舌を出している英子の顔を見てしまった。正常位のセックスの時も、部屋の照明は落としているので薄暗く、英子の顔はハッキリとは見えなかったが、今は明るいので明確な顔の表情が見える。画家の彼としては、この英子の性的な顔をこそ描きたいのだが、そのまま描くのは出来にくい。
それに今は、英子のオマンコの締め付けが心地よく、真一郎も陶然としてくるのは抑えられない。
英子は目を閉じているから、等身大で映る大きな鏡に投影された自分の顔を見ることは、今は、していないのだ。それで真一郎は、自分の尻の動きを停めた。すると英子は目を開くと、
「先生、止めないで。あっ、鏡に、私の顔が映っています。恥ずかしい・・・。」
鏡には真一郎の後ろ姿、その尻の割れ目と英子の細い両手、白い両脚も映っている。
 真一郎は、英子の尻を抱えると両膝を曲げていって、床に尻もちをつく。それから仰向けに寝そべると、二人の姿勢は英子が真一郎に跨っている姿となり、尻餅をついたときの衝撃が英子のオマンコの中に広がって、その快感も英子の全身に増幅された。
「はっあーん、今度は英子、先生の上に馬乗りになっていますわ。あ、先生の太いものが英子のマンコに入っているのが、ハッキリと鏡に見えるの。すごーい。すごーいわっ。
あっ、先生、いいっ、いいいっ、はーっん。」
英子は荒馬に跨っているように乱れた姿で動く、それは自分で動いているので、馬が飛び跳ねているのとは違うから、英子の性的自発行動としての尻の動かし方だ。
「先生、英子、自分で動いて、お尻を振ってしまいますぅ。淫らな英子。先生、こんな事、してもいいんですかぁ?うあん、はあっ、はあっ、はあっ。」
「いいとも、さ。むしろ、この方が英子君が自分で快感をコントロールできるし、オナニーのように自分で出来て、しかも今は生チンコが入っているし、本当のナマだからだよ。」
「そうですねぇ、英子、本生、好きです。それに何だかドライな、この気持ち、はっ、あっ、感じてます。」
「スーパーにドライな気持ちかね、うん?英子?」
「ええっ、ああっ、マンコ感じて、い、やーーーんっ。」
真一郎は両手で英子の硬くなった乳首を、つまんでムニュッと揉む。
「はぁん、あぁぁぁっ。英子、乳首、感じるぅぅぅ。やあだっ。」
英子の乳首は黒いラベルのように見える真一郎は、酔っているような感覚になっている。結局のところ、それでも愛撫している黒乳首、に見えても英子の乳首は、まだ、濃いピンク色だ。
さっぱりー、したいけど、つまり、射精して、でも、英子はまだ、欲しいのではないか、おれの硬直チンコを。で、聞く。
「英子、出そうだよ、精液。」
「待ってください、先生っ、」
「生徒は先生の言う事を、聞くものだ。」
「いやっ、英子、あんっ、反抗します。あぁぁぁぁっ。」
「鏡を見なさい、英子君。」
「え?あっ、い、や、んっっっっ。は、あーーーーーーーっ。」
その時、真一郎は英子の中に自分の分身液をしたのだ。
英子は、びくっ、びくっと美脚を大きく広げて真一郎に、跨った美裸身を、断続的に快感の波に耐えられないように震わせた。
それは全て、鏡は映しているが、英子は目を閉じ、真一郎は英子の顔を見ているから、二人とも鏡は見ていないのだ。

融資を勧める彼の姿は勇士のよう
  美野が、いない時に、又南関東銀行の郷が来た。緑川鈴代は美野から電話で、福岡市の天神の西通りに、いい物件が見つかった、と連絡を受けて、彼に緊急に郵便局を通して、その資金を振り込む必要があったのだが、百万円ほど足りなかった。来月の末には入る予定だったが、来月を待つわけにも、いかない。渡りに船、とは、よく言ったもの、今なら乗るならタクシー、というところだろうか。郷冠太は、
「それは担保が必要に、なります。百万円とはいえ、無担保融資は、できかねます。ただし、・・・。」
融資を勧め始めた彼の姿は、勇士のような雄姿だった。
「個人的には、私が、なんとか都合を、つけても、よろしいのですが。」
鈴代の眼はキラッと輝いた。大きな胸も、その融資の希望で揺れ動いた。
「本当ですのかしら。それなら、今すぐにでも、融資して欲しく思います・・・。」
「わかりました、ありがとうございます。それでは、今から、さっそく、御融資の手続きは取らせていただきます。まずは、この書面に、ご記入、ご捺印ください。」
 郷は銀行の融資書面を拡げた。鈴代は、よく見もせずに、それにサインをし、印鑑を細い指で押した。、カーンと音を立てるくらいに強く押した。
「ありがとう、ございます。それでは、今から当行に戻りまして、それでは、さっそく、ご指定の口座に、お振込みをいたします。」
郷は、そう告げると深々と頭を下げた。それから一時間後に、希望の百万円は、鈴代の郵便局の口座に振り込まれた。
 担保は色々
鈴代は携帯電話して、
 「あ、美野さん?郵便局に行って、お金を確かめて。そして、おろして、不動産業者に、それを持っていって頂戴。」
鈴代は、パソコンで郵便局の口座の残高を見れる。画廊も一応、客人が、あまりいない時間に控えの部屋で、百万円の入金を確かめたのだ。
「わかりました。不動産は天神の業者です。ぼくが、急いで持っていきましょう。」
美野の自信に満ちた声が鈴代の耳に、ファンファーレのように響いた。
 その日は画廊の閉店まで、あっという間もなく、終わったと鈴代には感じられた。早手三五郎と本役英子は終わりまで、いてくれたが、田宮真一郎の絵は早々と売り切れたので、途中から客は画廊にに入っても、すぐ出て行く事が多かった。早手三五郎は、軽く手を上げると、
「それでは、緑川さん、これで失礼します。又、明日に。明日は、すぐに来る気が、しますけど。」
本役英子は静かに、控えめな感じで、
「お先に失礼します、店長。」
と店長の前のところで、黒髪の頭を下げた。二人が画廊から出て行って、二分程すると、がらっとドアが開き、
「こんにちわ。融資は、うまくいきましたね。」
と笑顔の声がした。それは、郷冠太、であるが彼は、私服だった。
「まあ、ありがとうございます。無担保なのに、どう、お礼をしたらいいかと、考えて思いますのよ。」
「お礼は、ですね、いいですけどね。これから、夜の街は、どうですか。夜の街へ郷とゴー、なんて、」
「いいですわねえ。それでは、高級レストランにでも、行きません?わたしのおごりですわ、もちろん。」
「ありがたく、ご馳走に、なりましょう。」
 利息は私が払います
 町田駅から歩いて、五分のところに「クイーン・メアリー」という高級ホテルがある。経営者は英国人なのだが、そのためイギリス人らしいサービスにれている。一階はホテルの受付と、誰でも入れるレストランがあるが、高級レストランだから、それなりの人達しか入らない。ランチは二千円、ディナーは三千円、である。このレストランに入ったら、時間帯によって、そのいずれかを選ばないといけない。外の入り口にも、そのような張り紙が、してある。ただ、経営者の母国の料理は世界一まずい、という評判のイギリス料理になるため、そこは他の日本の高級ホテルから高給で引き抜いた腕利きの料理人を揃えてはいる。郷のおすすめ、という事で、銀座よりも町田の、このレストランが、いいという話から鈴代も興味を持った。中に入ると、デラックスムードだ。テーブルに着くと真っ白なテーブルクロスが、かかっていて、若い男性ウェイターも上下、白の制服を着て現われる。鈴代は、ゆっくりと寛ぎながら、
「ディナーふたつね。」
「かしこまりました。ドン・ペリニオンも、ご用意いたして、おりますが。」
郷は、ごうごうと眼を輝かせて、
「緑川さん、代金は私のおごりですよ。君、ディナーを二つ持って来て。」
「はい、ありがとうございます。それでは、お待ちくださいませ。」
鈴代と郷は、向かい合って座っていた。郷は、
「ここは、時々、お客様と、ご一緒するんです。お医者様や、中小企業の経営者の方たちが多いですけど。」
「それは、とても羽振りのいい方たちね。わたしも、これから、そうなりたいな。」
「緑川さん、緑川さんなら、楽勝で、なれますよ。融資の利息は、ぼくが払ってもいい。」
「え、え、え?本当に、ですか。それは冗談でしょ、郷さん。」
「いえ、冗談なんて、銀行員のぼくには職務的にも言えません、今日、これからの展開仕第では、という事です。」
鈴代は郷の眼を、深く覗き込んだ。そこには、真面目な銀行員の眼しか存在しなかったが。
 お食事の後には
 日本式ディナーが整然と並べられると、鈴代は、
「全部、今日は、わたしのおごりです。わたし、別に人として驕った人間じゃないと思いますけど、この場は喜んで、おごりますわよ。」
「そうですか。お酒は、ぼくの振るまい酒ですよ。緑川さんは、もしかして、このお酒を毎日飲んでいるとか。」
「ドン・ペリニオンでしょ。まさか、反対からなら笠間。わたし笠間さんじゃありません。」
「そうでしょう、安心しました。まあ、私も融資の労を取れて、光栄です。」
「ええ、ええ、乾杯しましょう。我々の明日に対して。」
鈴代は右手で優美なグラスを高くかかげた。郷も無骨な右手で持ち上げると、
「乾杯です。我々の今夜に、そして、それから、に。」
そう語ると、鈴代のグラスに自分のグラスをチャンと音を立てて、乾杯した。それから鈴代は、とても、おいしそうにドンペリをゴクゴクと飲み続けた。そうすると、ふらりと彼女の体は左右に揺れた。郷は、四角な顔を丸くしたような表情で、
「緑川さん、なんだか、大丈夫じゃないようですね。深い酔いが、もうきてますか。」
「きてますわね。もちろん、わたし、服きてます、なんて。」
「あはははは。食事の方を続けて、されてください。これから夜は、ずっと長いんです。」
郷は中肉中背の四角い顔で、手は長くて足は短い。で、その手で鈴代の料理の皿を彼女に近づけた。
「ええ。食べ、ます、わっと。ワットって何かの発明をした人だったのかな。うん、うまいな。わたしも料理は、うまくなりたいんだけど。」
鈴代は、それから一気にディナーを食べ終わった。郷は一口、以上先に食べ終わって鈴代が食事を終えるのを待っていた。そう、ドン・ペリニオンは少しも飲まずに、自分の分は全て鈴代のグラスに注いでいた。
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 鈴代が意識を取り戻して、ハッと気がつくと、ここは?
 「あら。郷さん。遅れて、すみません。」
酔眼の鈴代は、それでも、自分の方が食べるのは遅かった事に気づいていた。郷は笑顔で、
「いえ、何、そんな事は、気にしないでください。私の方が空腹だったと思います。でも、空腹でも服は食べませんけど。食う服、なんて、あまり面白くないですね。」
「おほほほほ。面白いですわよ。今のわたしにはドン・ペリニオンが倒れたって、おかしいくらい。」
「ああ、ドン・ペリニオンが、まだ残っていますよ、緑川さん。」
「あら、ほんと、もったいないわ、高価な豪華な飲み物ですもの。」
鈴代は、それをに、まるで火星に行くように、堪能した顔で飲み干した。鈴代の目の前は、まるでメリーゴーランドに乗っているようにグルグル、クルクルと回り始めた。郷は、
「大丈夫ですか、安心して、立てますか、緑川さん。」
「ええ、ただね、頭の中が回っているだけ。」
と答えながら鈴代は、そろりと立ち上がったが、すこしフラリとした。郷は急いで、彼女の横に来ると、
「私に、どうか、つかまってください。」
「そうするわね。ちょっと肩を片方、失礼します。」
郷の左肩に、もたれかかりながら、鈴代はレジまでのように歩いた。そこで財布を出そうとすると、郷は、
「あ、いいえ。私が、これは、払います。緑川さん、手つきも危なっかしいですよ。後から、この代金は、いただいても、いいですし。」
そう申し出るが早く、ポケットから黒い財布を出して、大枚をレジに置いた。それから強く、胸を張ると、
「つり、は、いいよ。釣り、は、いい夜(よ)にすれば、最高の夜釣り、だってさ。今も夜。つりは、いいよーに、して。」
レジの若い女性は、じっと笑いを、こらえた顔で、
「今晩は、どうも、夜の、おつりも、ありがとうございます。又、是非、ご来店下さる事を、心の谷底の方から、お待ち、いたしております。」
と謝辞を述べると、深く頭を自分の膝のところまで下げた。千鳥足の鈴代と勇み足の郷は、銀ピカの高級レストラン店を出て行った。そこで、鈴代の意識は途切れていった。・・・・・気がつくと、郷の顔が、自分の目の前にあった。しかも、自分は何故か寝ている。その姿勢で、郷に唇を吸われているのだ、強く。
 性交と成功の法則
  だが、まだ鈴代の意識は、酔いが回ってきたりする。これは夢かもしれない。郷は裸だった。そして自分も全裸なのに気がついた。郷の男くさい匂いが鼻をつく。郷は舌を自分の唇の間に入れてきた。鈴代は、それに自分の舌を絡め合わせる。久し振りの男の感触。浜野貴三郎とは、いつ、性交しただろうか。わたしが成功していってから彼とは性交していない。それは女実業家の成功の法則なのかもしれない。逆援助していたのは、まだ暇が、あった時だ。ホテルに行く暇もない忙しさでは、逆援助遊びも空想の世界のようなものになっていた。それで鈴代は、しばらくぶりの男の感触を楽しんだが、自分の腹の上で郷のペンシルがマジックインキのように変化するのを感じたので、郷を横に組み伏せると、
「郷さん、これ、どういう事?」
「どういうも、こういうも、緑川さんに、『部屋に入って、無理やりのように強姦して』、と言われましたよ。」
「わたしが、そんな事、いつ、言ったのかしら?」
「ええ。部屋に入った途端、緑川さんは、ベッドに倒れこむと、そう言いましたから、だから、こうなったんです。担保は僕が百万円、個人で南関東銀行へ、入れています。ここで、あなたと性交できれば、利息は僕が払いますから。」
「それは、わたしの成功のためにも性交が必要なわけね。」
「ははは。うまい事、おっしゃいますね。ぼく、強姦願望が、あったんで、あなたに言われた時、すぐに勃起してしまいまして、それから、あなたの服を全部脱がせて自分も脱ぐと、一応収まってたんですが、今は又、チンコは元気です。」
郷は反り返ったものを、グイと鈴代に向けた。鈴代は右手で、それをと、
「わたしには被強姦願望が、あったのかも、しれないわね。引き寄せの法則かしら。好きにしていいわ。マンコ。」
「マンコなんて、興奮するなあ、マンコやります。いや、やるぜ、緑川。おとなしく、してろよ、おまえのマンコを貫いてやるぜ。」
と荒々しく口調を変えると、郷は鈴代の口を片手で塞いで、片手で彼女の両脚を大きく引き広げた。
「おう、たまんないな、おまえのマンコ。いくぜ、鈴代。」
彼女は声を立てられない。郷は極限までに膨張したものを、鈴代の足の間のマンコの入り口に突き込んだ。鈴代は酔いと違った快感に裸身を任せた。郷は力強く、立ちチンコの反復運動を続けていった。
 フォトン・ベルトと同じ
  鈴代は思えば、郷はコンドームを、つけていない。しかし、今更この快美感を中断したくもなかった。それで郷が激しく突きまくるのに自分の尻が協調して、大きく揺れ動いているのを楽しんでいたのだ。自分が、あえぎ声を上げると郷は腰の運動を早めた。それと同時に郷は、
「あっ、いきます。いや、いくぞっ!」
と叫ぶと鈴代の中に、たっぷりと白いシャワーを浴びせた。郷の張りつめた肉体の一部は、ゴム風船が、しぼむ様に縮んでいった。郷は、そこで、
「しまった。コンドームをつけて、いませんでしたね。」
と鈴代に冷や汗を浮かべたような顔で聞いた。鈴代は、まだ郷の小さくなったものを自分の中に感じながら、
「妊娠しても心配、ないわ。わたしは、お金は持っています。」
「それじゃあ、融資の件は、どうして・・・。」
「会社の資金と個人資産は違うでしょ。個人資産を新しいお店に注ぎ込まなかった、という事だわ。」
「なるほど。わかります。それは、無論、分かります。」
「その時が来ても、心配は、いらないわよ。フォトン・ベルトと同じ、じゃないかしら。」
「ああ、来てみれば分かる、という事ですね。あ、緑川さん、ぼくの体重は重くないですか。」
「平気だけど、全然、重くないわよ。ニュートンの法則なんて感じないわ。」
「ぼくが体勢的に、なんだか、疲れてきました。」
郷は鈴代からチンコを外して、離れて、仰向けになって、フォトン・ベルトを考えた。
 一晩明ければ
  鈴代は酔いが又、回ってきて眠ってしまい、郷も、よく知らないフォトン・ベルトを考えるうちに意識を失った。翌朝になれば、白い光が入り込んできて、二人は眼を醒ました。二人のいる部屋はホテルの最上階だったので、カーテンも閉めなかったのだ。町田の街並みが、よく見える高さだった。二人は黙って服を着ると、郷から、
「おはようございます。緑川さん。」
「おはようさま。何か、夕べの出来事が、絵に描いた嘘のようね。」
「いえ、利息は、きちんと僕が払いますので、その点は、ご心配なく。」
「そうだったわねー。又、おいで、くださいな。わたしの銀座の画廊の方へ。」
「ええ、もちろんです。又、ぜひ、なんとしても、お伺いします。」
「今日の朝食も、あのレストランで、する?」
「すみませんげと、ぼくは、急ぎますから、銀行の近くででも、早く出す店で、すませますよ。例えば、すき家の朝ごはんの、たまごかけ朝食とか、でも。」
「そしたら、わたしも銀座で食べる事に、するわね。ホテル代ぐらい出しますわよ、それくらい。」
「いえ、それも、全部、僕が持ちますよ。」
二人はピンクの扉のエレベーターで、一階に降りた。フロントで郷が会計を済ませると、レストランの扉が開いて、颯爽と西城秀一が出てきた。西城は郷に気づくと、
「おはよう、郷。この方が、あの、銀座の画廊の経営者の方?」
「あ、西城先輩。おはようございます。そうです。昨夜、商談が長引きましたので、こちらのホテルにお泊まり戴いて、会計は私持ちと、させていただきました。」
「それは、熱心だね。まあ、融資を、ご利用いただいたのだから、やれるだけ、やって。」
と、ここまでは郷の耳にだけ、聞こえるように話すと、緑川鈴代の方を向いて、
「はじめまして。わたくし、南関東銀行、町田支店の副支店長を勤めさせていただいております、西城と申します。この度は、どうも、ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ。これから、お世話になりますわ。」
鈴代は雪が夏に振ったように、涼しげな顔だ。
 ラッシュアワーは
  町田駅で郷と別れてから、すぐに鈴代は電車に乗らなかった。今は、まだ通勤ラッシュだからだ。銀座と違った町田の雰囲気には学生が多い事も、醸し出されるのであろう。その代わり、東京の他の場所のように、芸能人や財界人が町田に住んでいる事は、ほとんどない。鈴代の画廊、「金月」にも芸能人が来たことは、なかったのだが。町田から銀座に行くには、新宿から地下鉄に乗ってもいいし、渋谷から地下鉄でもいい。ただ、それぞれ私鉄は小田急か東急という違いは出る。どちろもラッシュアワーでなくても、人はいつも多く乗っている。鈴代は、すき家では時間を潰しにくい事を知っていたし、牛丼専門店は、ほとんどが男性客のために入りにくくもあった。そこで、モーニングセットをやっている喫茶店を駅近くの通りで見つけたので、そこに入って時間を潰した。少しして、その店に一人の公務員風の若い男性が入ってくると、鈴代の席の近くに座ってモーニングセットを注文すると、手にした電子書籍を見始める。それはパチンコ関係の電子書籍だった。店のマスターは五十歳くらいの髭を生やした男性で、
「どう?あきさん、最近パチンコの方は。」
と右手で、サンドイッチを皿に載せながら、その男性に聞いた。
「ああ、釘さえ読めれば勝てるよ。ただ、駅前は渋いね。まあ、おれは、生活には困っていないから。マスターも、パチンコをマスターしたら?」
「そうだね。マスタード要る?」
「ああ、入れてよ。辛いのが、いいんだ。最大限に、よろしく今日も。」
「あいよ。ここがパチンコ店の近くで、よかったよ。知り合いやら友達の店は、この不況で結構、つぶれたね。ラーメン屋とかも、だけど。」
「おれたちパチプロに、不景気は、ない。万が一の時でも、女が、いるから。」
「伽場(きゃば)ちゃん、だろ、時々、来るよ。あきさんの話を、していくから。」  
情報商材で
「あ、彼女、おれが、ここに来る事を知っているなんて。」
「そうじゃないけどさ、市川朱夫っていえば、あきさんだろ。」
「ああ、名前をネ、出したんだ彼女は。」
「そう、元公務員の夫が、いるって。」
朱夫はニヤついた。彼らは町田市役所に入籍していた。でも、結婚式は挙げなかったのだ。お金が無いからというのではなく、誰かに見られたいわけでも、なかったからだ。その入籍の日に二人でお祝い事をした。宅配ピザの最上等のものを取り寄せて、ロマネ・コンティで乾杯した。伽場倉子(きゃばくらこ)は、その後で、
「あきちゃんが、パチンコで稼いでくるから、嬉しいな、最近。」
と眼を細めて、彼の顔を見る。
「何も、しないわけにもいかない、と思ってパチンコの電子書籍や、インターネットでパチンコの情報商材なんか買って研究したらさ、段々と大当たりになったんだ。」
「情報商材って高いんでしょ。何か、詐欺めいたものも、あるとかいうわよねえ。」
「それは昔の話らしい。ぼくは、運が、よかったんだろう。情報商材も、まともなものしか、残らないって事だ。」
「そうなの。あきちゃん、ネット始めたの、遅かったもんね。」
「そう。何事も、早ければいい、ってものでもないんだな。運がいいのは、君をつかまえたのも、そうだな。」
「うまいこと、言うわね。うん、運が、いい、か。なんて面白かった?」
「まずまず、さ。あのね、情報商材の中にはキャバ嬢でナンバーワンを取る方法、なんてのもあるよ。」
「それ、いいわね。わ・た・し・だってナンバーワンになりたいもの。」
 夫を愛せば
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 「あきさん、ほら、モーニングだよ。ぼんやりとして、彼女の事を考えているのかい、今。」
はっ、と追想から元に戻った朱夫は、目の前のサンドイッチを見ると、手にとって口いっぱいに頬張って、トマトの味を感じると、あの日のパーティのピザのトマトの味を思い出す。
「なんか又、昔の事を思い出そうとしている顔だね、あきさん。」
「いや何、トマトの味が、うまくって印象に残る。これは入籍記念の味だ。」
「最愛の妻との結婚記念の味、でしょう、ね、あきさん。」
「妻を愛せば、妻愛だ。夫を愛せば夫愛(ふあい)なんてあまり言葉には、ならない。あ、夫に愛で。ふにあいだよ。つまり、夫に愛を持つ妻は、ふにあい、つまり不似合い、似合わないという事なのかな。」
マスターは微笑して、皿をタオルで磨きながら、
「そうだね。日本人女性は、夫に愛なんて、持っていないかもしれませんやね。やー、いえね、うちの家内も、私を愛しちゃいないようでさあ。」
緑川鈴代は、それを聞くと、飲んでいたコーヒーカップをカチャリンコン、チャンとソーサーに置いた。そーさー、彼女は反対の意思表明をしてみたわけだ。マスターは鈴代を見ると、
「いえ、お客さん。これは一般論、いや、特殊なケースの日本人女性の話です。うちの家内は、ボディビルを、やっていますから。」
そう弁明すると、店のマスターは、両手で筋肉を盛り上げるようなポーズをした。ボディビルダーが、するようなポーズを。
 日本人女性の特質 
 マスターのポーズを見て、鈴代は吹き出しそうになるのを、うじて、こらえると、
「いえ、今のお話、居間で、されました?」
マスターは顔を困惑の表情にすると、
「居間では、いまだ、かつて、なく、していないですよ。実は私、恐妻家なんですから。」
「わたし、独身だから、よくわかりませんの。日本女性が夫を愛しているか、どうかを個人的経験として言えませんから。」
「はあ。そのうちに、おわかりになると思いますよ。最近は晩婚型になっていますからね、日本女性の一般は。」
「うーん、そう。別にわたしは、結婚願望も全然、なかったんですよ。」
「願望は、なくても昔は結婚していましたね、早めに。日本人女性は、ですね。それは、させられていた、というべきか。」
「ああ、江戸時代なんかは、そうですわね。それが、続いていたのが長いから、日本人女性には自立というか、そういう意識も持ちにくいのかも、しれませんわね。」
「おっしゃる通り、だと思いますよ。それでも、お客さんは経営者のように、お見受けしますが。」
「ま、鋭いですわね、その観察。一応、わたくし、銀座で画廊を、やっておりますの。」
店のマスターは、好奇心を、ありありと、海のように顔に広げると、
「それは、いいですねえー。ウチの店にも、実は、何か絵を飾りたかったんですよ。それも複製じゃないのを、できれば、名作を、ですねー。」
鈴代は機敏な動作で、胸ポケットから名刺入れを取り出して、一枚、マスターに差し出すと、
「画廊は金月、といいます。住所と電話番号は、名刺に書いておりますわ。」
「いや、これは、どうも。だったら、そのうちに行きますよ。絵、一つで店の運も変わる。え、本当かい?なんて。」
淡い微笑を浮かべると、鈴代は、
「それでは、よろしく、お願いします。とりあえずは、お勘定を、お願いしますわ。」
 フリーターなんて
  そうこう、するうちには、日は流れていき、美野は帰ってきたので、又元通りの日々となった画廊「金月」で、あったのだが、やはり美野を福岡市店の店長にする事を鈴代は決めた。
 それで二人で福岡市を訪れ、店を開店させるつもりだ。今度は二人、画廊に穴が開く。それでも鈴代は、お客さんに接する事は外して、いきつつあったため、美野の代わりは今度は美野の息子に来てもらう事にした。美野は頭に手をやると、
「これは恐縮です。息子が卒業したら、こちらに就職するようにさせます、どうですか。」
すると鈴代は、
「それは、とても嬉しいですが、アートの方には進まないわけですか。」
「いやもう、私譲りの才能の無いやつです。画家になろうなんて、平安時代に戻っても、なれそうな、やつじゃありません。それは元学芸員の私には、よくわかります。無謀な夢を追って、苦労するより堅実な道を、行けばいい、と昨日、晩飯の後で説教すると本人は、
『それも、そうだね。学芸員より画廊の方が、金は稼げるんじゃない。』
なんて言いました。まあ、その通りなんですが。多少、むかつきましたけどね。それで、こちらの事を、あいつに昨日、話していたんです。」
「それは、ありがとうございます。早手って子は、まだアートに向かいたい意欲が、ありありでしたから、うちとしてはアルバイトのみ、という風に考えていたものですから。」
「最近の若者はフリーターなんて、やって得意がっているのもいますけど、将来きっと後悔しますよ。芸術家はもちろん、最近は俳優にもなれる人間なんて、わずかなものでしょう?その俳優でさえ、テレビの崩壊で、仕事は、ますます、なくなるわけですから、甘い夢より、しっかりとした生活が大事なはずだけど、そんな夢にしがみついて、俳優とか歌手を目指す若者も多いみたいですね。」