二人はすぐに外車に乗った。外車が発進すると、カーステレオから水川マキの新曲「ダンシング・ミッドナイト」が流れて来た。それを耳にした真一郎は、
「いい曲ですね。いつ聞いても中々いい。声が可奈に、どこか似ているような気が、してくるんですが、気のせいかな。」
と言って、再び耳を傾けるのだった。
♪真夜中の二人 サンバとタンゴが二人の間を狂わせた・・・結末は、いいこと、いっぱい、ふたりで、おっぱい、たっぷりと♪
「そうかしらねー。わたしは興味ないけどね。声も似た人って顔より多いんじゃないの。音楽は興味ないから、かしら。」
と言って鈴華は左手の方を見ると、車を左手に寄せて、きいーっと止まらせた。
「この店なのよ。待ちに待ったでしょう。奥さんを治せるんだもの。」
そこには、救体漢方薬店と古びた看板があった。二人は店の中に入り、心臓病に効く薬を鈴華に教えてもらって、すぐに真一郎は、それを、購入した。その店を出て車内に急いで戻ると、真一郎は、
「ぼく、ここなら分かりますよ。今度は自分で行きますから、緑川さんは、これからは来なくてもいいです。」
「あっ、そうね。それが一番だわよ。だって、わたしは所詮、他人ですもの。」
と明るく言うと、鈴華は外車を急発進させた。車内のスピードメーターが、ぐんぐんと上がって来る。真一郎は、
「あれ、緑川さん、方向が違いますよ。僕の自宅へ行く道とは正反対だ。」
「ええ、知っているわよ。実はね、もう一つ教えておきたいところがあってね。田宮さん、お時間、大丈夫ですか?」
「ええ、まあ・・・・・・大丈夫ですけど。何か不安だなあ。て、気もします。」
やがて外車は東京郊外へと抜けていった。小さな山が見えてきたが、鈴華の車は、その山を上に登り始めた。真一郎は、
「ああ、緑川さん、景色の、いいところなんですか?そこは。」
「ええ、もちろんですとも。あなたの芸術のためにも、いいと思ってね。前から考えて、いたの。」
外車は山の中腹に、さしかかった。そこに城のような建物があった。真一郎は、
「ホテル・マウンテンストップか。一体、こんな処に来るやつら、いるんですかねえ?」
と、ずけずけと聞いた。鈴華は、それには答えず、又、アクセルを踏むと、車は、そのホテルにすーっと入って行った。
「緑川さん!そこ、ラブホテルですよ!入っちゃ、いけません。」
真一郎は大声を上げた。鈴華は優しく微笑んで、
「いいじゃないの。ちょっと休んでいくのも。構わなくない?」
そう言いながら、鈴華は足を大きく開いて見せた。鈴華の真っ白な太ももの肌が真一郎を魅惑した。鈴華は外を飛び回っているせいか、顔などは陽に焼けている。いつも、そんな鈴華しか知らなかったので、鈴華の素肌を知った今、真一郎の眠れる性欲が頭を擡げてきた。(いや、だめだ!)鈴華はドアを開けて外へ出る時、真一郎の太股を触っていった。その時、電気のような感覚を真一郎は感じた。(行かなきゃな!)かつてない快美感を触れられるだけで、感じてしまうなんて!素速く助手席のドアを押し開けて、真一郎は鈴華の後に続いた。無人のモーテルだった。鈴華は鍵を取り、中に入る。モーテルの防犯カメラが上の方に見える。もしかしたら、部屋の中に盗撮用カメラが隠してあったりして。と、真一郎は、そんな事を思ったりしたが、どうでもいい気になった。部屋に入ると、十畳はあるケバケバしい例のような感じだが、水槽に金魚が泳いでいるのは、どういう事だろう。鈴華を見ると既にブラとパンティだけになっている。白い裸身に近い姿だ。鈴華は、
「これから先は、あなたが脱がせてね。さあ、どうぞ。」
そう言った時の彼女の顔は、二十三、四才に見えた。真一郎は思わず頷くと、近づいてブラジャーの後ろのホックを外して、パンティをおろした。胸の膨らみといい、眼を狂わすアンダーヘアといい、それも正しく二十三、四才の、しかも処女のようだった。真一郎は、手を鈴華の下着から外すと、
「緑川さん、もしかして、まだ男とは・・・セックスしていないんじゃないですか?」
「あら、そんな事、どうでもいいじゃない。早く来てペニスをはめて!」
鈴華は両腕を大きく広げた。真一郎が彼女を抱くと、肌の感触も二十代そのものだ。口を重ねると、鈴華の舌が、にょろっと入ってくる。その柔らかさにイキそうになったが、彼女は、
「まだ射精したらダメよ!後、三時間は二人で愛し合うのよ!まだ、ちんこも入れていないくせに。」
甘ったるい若い女の声で鈴華が言う。こんな彼女を今まで見た事が、なかった。こんなにも女性は変わるものだろうか。汀の近くの海面に浮かぶボートに乗っているような陶酔の中で、セックスの三時間は過ぎてしまった。それにしても、こんなにいいセックスをしたのは近頃なかった事だった。それはもちろん可奈のせいだが。ぐんぐん真一郎が腰を動かしていると、鈴華は部屋の時計を見て、
「あら、時間が来たわ。おしまいにしてよ。おまんこは、おしまい。」
「あ、ま、まだイっていないのに。じゃあ、おまんこ、やめます。」
真一郎は鈴華の上で残念そうに言うと、彼女は、
「それは、この次にしてよ。い・く・のは。結構、持つのね、あなたって。タフだわ、ちんこも名筆って、ところだわ。」
と、あっさりと言った。真一郎は、まるでイソギンチャクのような鈴華の膣と体から離れた。すると、すぐに彼のペニスは小さくなっていった。真一郎は、
「あれ?もう終わるんですか。もう一回戦は、できますけど。」
「そうね、今日のオマンコは、ここまでよ。次は四十六手に貴方のチンコでチャレンジしましょうよ。まず次のオマンコは、騎上位からね。」
そう言った鈴華の声は再び、三十代の女性の声に戻っていた。急いで服を着ると鈴華は、
「それでは、帰りましょう。あなたは、もう、わたしのものだわ。」
そう言うと、彼女は真一郎の腕とチンコを両手でぐっと掴んだ。モーテルを出て、車は東京郊外から都心の青山へと走っていった。緑深い青山の自宅の高級マンションの前で、真一郎は車を降ろしてもらった。彼は、
「今度は、いつ会えますか?楽しみですね、近い内に。」
と車の外で鈴華に聞いていた。ハンドルに手をかけて鈴華は、
「そうね、来週ぐらいかしらね。それまで、ちんこも、もっと鍛えていてよ。」
と言って微笑むと、手を振って車を発車していった。エレベーターで上がってマンションの玄関のドアを開けると、妻の
「もう、遅かったわね。一体、何処に行っていたの?」
という難詰する声がして、玄関口で可奈は、じーっと真一郎を見つめていた。真一郎は平静を装って、
「漢方薬の店に行ったついでに、仕事の事で、打ち合わせをしていてね。それで遅くなったのさ。」
と彼は、可奈から目を逸らせて答えた。可奈は不審そうに、
「ふーん、そう。いつもと違ってあなたの顔の血色がいいから、どうしたのかなと思ってね。」
「何、仕事が好調なんだよ。それは緑川さんに絵の売れ行きを聞いたから、わかったんだけどね。」
「そうだったの。あたしが、あなたのためを思って、夜の生活を控えて・・・うっ。」
と可奈は突然、呻くと、左胸をしっかり押さえた。
「可奈、おい大丈夫か?!買って来た薬で・・・・・すぐ出すからな。」
真一郎は、手にした紙包みの中から漢方薬を取り出すと、可奈の口に含ませ、台所からコップに水を入れて持って来た。それを可奈は、ゴクンゴクン、フーッと飲み干した。それから、彼女は、いくらか落ち着いた表情をした。真一郎は、
「さあ、無理をしないで、今日は、もう寝ていろよ。心臓に負担がかかるぞ、色々、心配すると。」
彼は可奈の両肩を軽く叩いた。可奈は、こくりとうなずくと、
「ええ、そうね。じゃあ、そうするわ。あたし、何も考えない方が、いいのかもね。」
と呟く様に言って、ベッド・ルームへ一人で歩いていった。それから真一郎は、深夜まで絵を描いていたが、ベッドに入った時、可奈は、もう寝ていた。眼を閉じてから、真一郎が考えたのは鈴華の魅惑的な裸身だった。あの体、日焼けしていない部分が真っ白で、可奈よりも脂肪が、ついていて柔らかくて、しかし、アンダーヘアーは、かなり濃い目だった。いきりたった自分のものを突き入れると、彼女のオマンコは、ぴったりと、くっついて、それは煽動したのだ。ああ又、早く入れたい・・・ちんこを入れたい・・・
と真一郎は思うと、パジャマの股間は既にテントを張っていた。何故か、寝ていた可奈が寝返って、右手で真一郎の勃起したものを上から触れたが、可奈は眠ったままだった。その時、却って真一郎のものは小さくなっていった。(え、逆効果か、可奈の手は・・・)
入会すれば
翌日、可奈には病院に行かせる事にして、真一郎はブラりと街中に出た。折から風の強い日で、枯れ葉が彼の顔に何回も当たった。思い当たって、真一郎は友を訪ねる事にした。
練馬の見慣れた街角も、今日は何処か違って見えた。店の前に立つと、
本日閉店
(何だ、休みか。せっかく来たのに。こんな日に限って。)
真一郎は、店の裏口の方を見た。すると、絵山が出てくるではないか。何か急いでいるようで、彼は真一郎には気付かなかった。(後を追ってみよう)真一郎は、尾行の原則に法って絵山について行った。(あ!)タクシーに絵山は乗ったのだ。そのあと、うまい具合にタクシーは来なかった。十分程、真一郎は、その場に立ち竦んでいたが、バスさえ通らなかった。(しまったなあ)これじゃあ、どうしようもないから、気の向くままに歩く事にした。その時、タクシーが向こうからやって来たので、手を挙げて停めた。黄色のタクシー、注意しなくていいか?乗り込むと、
「お客様、どちらまで参りましょうか?」
「あ?ああ、乃木坂にあるヒルサイド・センターまで。」
ヒルサイド・センターは、様々なイベントを行ったり、貸しホールで企業や団体が使用したりするが、喫茶店や映画館もある巨大ビルで、一九九八年六月に堂々と東京都内に落成したものである。タクシーの運転手のドライブ・テクニックは見事なもので、先行く車をスイスイと追い抜いていき、車の揺れも感じさせない。昼前だから、そう車列もないのでヒルサイド・センターには、程なく着いた。
「ありがとうございました。又の、ご利用を、お待ちしております。」
と礼を言って、深々と頭を下げる運転手を尻目に真一郎は、ヒルサイド・センターの正面玄関から入って行った。広い吹き抜けのエントランス・ロビーだ。中央に噴水があるのは、何か南国を思わせる。(ちょっと、ここで座っていくか)真一郎は、たくさん並んだ椅子の一つに腰掛けた。クッションが快い。何故か、ウトウトしかけてハッと眼を開けると、パリッとした黒のズボンが目の前にあった。ズボンの上の方で、声が急に話した。
「真一郎さん。眼を開けてくださいよ、私です。」
「絵山さん!びっくりしたよ、ここに、いるなんて。」
眼の前には、正装した絵山が立っていた。タキシードである。真一郎も立ち上がって、
「どうして、ここにいるんですか?あなたとは無関係な建物だと思っていました。」
「これから、我々の集まりが、ありましてね。それより真一郎さん、さっき私の店に来たでしょう?」
「なんで、それを知っているんです?」
「気づいていたんですよ。それでも知らないふりをして、タクシーに乗った。それから、タクシーの中で、あなたを呼んだんです。」
「ぼくを呼んだ?どうやって、呼んだんですか。聞こえなかったけど。」
「そうでしょう。ここに来るようにね、呼びました。何か知らないけど、ここに来たくなったでしょう、真一郎さん。」
「そう言えば、そうみたいな・・・・・気もするけどね。」
「じゃあ、成功でしたね、私の呼びかけは。それでは、いきましょうか。」
「何処へ行くんですか、絵山さん?」
「勿論、我々の集まりにですよ。司祭も、私たちを待っていますから。お楽しみに。」
何か疑問と不安と好奇心が心の中で、ない混ぜになった真一郎は、とにかく絵山のあとをついて行った。絵山はサッサと歩いて行く。エレベーターに乗って、十三階で降りて、四つ目の右側の部屋が、そうだった。コンコン。と絵山がノックする。やがて、ドアが開いた。十二、三才位の髪の長い少女が、ドアノブを持っていた。少女は、
「司祭、フラテル絵山と、お客さんです。」
「おー、さあ、早く入りナサイ。中へ。」
と、中で大きな声がした。絵山の後に真一郎が入ると、その少女がドアを閉めた。眼の大きな女の子だ。部屋にいる外国人女性を見ると、真一郎は、
「あっ!あなたは・・・・・。」
と思わず、声を出してしまった。外人女性はにっこり笑って、
「オー、来ましたか。湖の時、以来ですねー。でも、何かとニュースでは知っていますよ、有名になった事もね。」
その部屋の一番奥に座っているのは、シャンメル・フォンフォンだった。真一郎と性魔術を行い、魔法の絵筆を授けた若き美しい魔女、だったのだ。
紫のマントに頭の上には、王冠が載っている。部屋の机の左右に五人ずつ座って向かい合っている。それは机をくっつけたもので、その上には何やら魔術の道具らしきものが置いてある。シャンメルは、威厳のある声で、
「フラテル絵山と、一緒に座りなさい。田宮さん。」
それを聞いた真一郎は、すぐ、絵山と向かい合って座った。シャンメルは立ち上がって、
「それでは、今カラ儀式を行ナイマス。今日ハ天王星ノ日ダカラ、ソノ星ノ神二呼ビカケマショウ。」
と呼びかけると、皆は机の上にある本を取って、朗誦し始めた。
「ホック・マンス・スプレンド・ツーイ・ボール。」
まごつきながらも、真一郎も皆の声に合わせた。
「スプレンド・ツーイ・・・・。」
それが延々と繰り返されていく。何か異様な雰囲気が部屋の中に漂っていった。
「ホック・マンス・スプレンド・ツーイ・・・・・。」
五分程、合唱するようにすると、パン!と机を叩く音がして、皆は一斉に止めた。シャンメルが合図したのだ。それから、彼女は、
「ヨロシイ。ソレでは、今から新入会者の入会式を行ナイたいと思いマスが、皆サン、ドウデスカ?」
「賛成!」「異議なし!」「やりましょう」といった声が、あちこちでした。シャンメルは、立ったままで、
「ソレデハ、田宮サン、アナタハ、コノ会ニ、入会スル気ハ、アリマスカ?」
と真剣に問いかけた。
「あります。お願いします。ぜひ、やってみたいです。」
真一郎も、すぐに立ち上がった。それを見て、絵山が満足そうに肯く。シャンメルは、
「ソレデハ、コチラへ。来るのです。」
言われるまま真一郎は、シャンメルのところへ歩み寄った。シャンメルの後ろには祭壇みたいなものがあったが、アタッシュケースを広げたものであることが分かる。ここは貸しホールで、最近は宗教団体にホールを貸さないところも多い。表のプレートには、「中世外国の詩の研究会」とあった。アンク十字のようなものも見られるが、男神像らしきものが中央に立っている。それは、それだけのものであると真一郎は思ったのだが、次の瞬間、そこから磁力のようなものが流れて来るのを感じた。
「頭ヲ下ゲテ!下げなければ駄目です。」
真一郎は、頭を下げた。その時、物凄い圧迫感が頭にかかってくるのを感じた。
「うわあ、いやだ!やりたくない、こんなの、いやだーっ。」
彼は元の姿勢に戻ると、ドアに向かって一目散に走り出した。
「待チナサイ!田宮サン!何故、やめるのです。あなたには呪いが、かかっているのですよ。それを解くには、あのままの姿勢で・・・」
シャンメルの美声が、彼を追ってきたが、それを振り払うようにドアを開けて、真一郎は外へ出た。(あんな、あんな事、してもらって、どうなるんだ。)(俺は今、幸せじゃないか)(オカルトみたいなものには興味は、ないんだ)真一郎は、ヒルサイド・センターの中を走って出て行った。人々の視線が彼に集まったが、それにも気づかなかった。
とても落胆した表情でシャンメルが、
「逃ゲテ行ッタワネ。もう、呪いは解けないかもしれない。妹の・・・」
と呟いた。さっきの少女が部屋のドアを閉めた。シャンメルは悲嘆にくれた表情で、
「モット、ヨクシテ、アゲタカッタノニ・・・・・これから、地獄が始まるよ、彼に。」
何のDVD?
一目散に青山のマンションに帰った真一郎は、先に可奈が帰って来ているのに気がついた。可奈がソファから立ち上がって、
「あなた、一体どうしたの?青い顔しているわよ。こんな顔、見るのは初めてだわ。」
と驚くように指摘すると、真一郎の顔を、まじまじと覗き込んだ。真一郎は、ごほんと咳払いすると、
「いや、何でもないよ。久し振りに、ちょっと走ったら、急に息切れが、してね。」
「まあ、それは、いけないわ。慣れないことを、急にしないでね。あなただけの体じゃ、ないんですもの。」
「ああ、そうだね。それより病院の方は、どうだったの?検査結果は良かったのか。」
「ええ、別に心配は、ないっていう事ですって。ただ、激しい興奮は、しないようにすれば、だんだん良くなって、いくそうよ。」
「そうか、それは良かったな。刺激や興奮が、ないようにしなきゃ、いけないね。」
だが、これから一週間後に起こる出来事を、今の二人は今、知る由もないのだ。
次の日も真一郎は、鈴華とホテル・マウンテンストップへ車で行った。その日は、とうとう、真一郎はイッてしまった。その後で鈴華は、
「明日も来ない?もっといっぱい、射精できるわ。ちんこ、大丈夫でしょ。」
と二十代の笑顔で淫らに聞いた。
「ええ、もちろん。ちんこ、オッケーですよ。鈴華さん。あなたの、あそこは、とても滑らかだ。」
湧き起こる活力を感じている真一郎は、すぐに即答した。鈴華は艶やかにベッドの上で笑って、
「明日は、もう少しイクのを遅らせられるかなー。もっと、ちんこを味わいたいんですものね。いいかな。」
と聞くとすぐに、真一郎の小さくなったものを右手でさっと触った。
「あっ、もちろんです。頑張ります。意志の力で射精は、伸ばせるはずです。」
「うん、あなたのちんこ、少し硬くなっているわよ。射精を伸ばす事、それも画家の修行の一つだわ。」
「そうですね。今日は、この辺かもしれません。ちんこの筋肉痛もあるんですよ。」
「ええ、そうだわね。湿布薬でも貼れば、いいんじゃない?今度、持って来ておくわ、ちんこの湿布薬。」
右手を名残惜しそうに、真一郎のちんこから離すと、鈴華はショートカットの髪を、ささっと整えた。
その時、一方、ウルフマン佐山は、キャンメルのマンションの部屋を訪れていた。
「オヤ、マア、お変ワリなく。あなた、何か逞しくなったようね。」
椅子に座ったキャンメルは、動かしていた手を止めて、佐山を見上げた。佐山は笑うと、
「いえね、もう、こうなっていまして。これを、ご覧下さい。」
と唐突に言うと、ズボンを、たくし上げて見せた。何と、そこは空間になっていた。アメリカのマジシャン、カッパフィールドのマジックみたいに、ズボン下の向こうの場所が見えたのだ。キャンメルは、もちろん、絶句した。佐山は、
「もう、両足は、ないんですよ。段々、下腹部の方まで、来ましたね。そのうち僕の体は、全部、無くなるでしょう。」
だが、佐山の顔は豪快に笑っていた。そして、
「これで、いいんです。彼女も同じように、なってきているんですから。でも、その前に子供は産もう、と思っているみたいです。」
その時、水川マキはマンションの自室で、赤ちゃんを突如、出産した。
「オギャー!」
それは、女の子だった。自力で一人で出産したのだ。幽霊に難産はない。
キャンメルは、佐山に、
「ソレハ、ソレハ。マキは私の娘ですから。これから霊界に行ッテモ、ヨロシクネ。二人で仲良く暮らすのですよ。」
それからキャンメルは、静かな笑みを浮かべて佐山を見つめた。
真一郎は、それから連日、鈴華とマウンテン・ストップに行っていた。セックスに励んで帰ってくると、可奈は日に日に元気になっているので、彼は良心の咎めは感じなくなっていった。可奈は見るからに元気そうに、
「あなた。あの薬のおかげで、良くなっていってるみたいよ。とても、体の調子がいいの。」
「それは、よかったな。緑川さんに感謝しなくちゃ、いけないよ。おれたち二人の恩人だな。」
そう言って、真一郎は微妙な表情をしたが、可奈は、それに全く気づかず、
「本当よねえ。今度、緑川さんが来たら、よーく、お礼を言っておくわ。あなたからも、よく言っといてね。会うんでしょ、又。」
「ああ、言っとくよ。もちろんだとも、常識だ、そんな事は。」
それは、マウンテン・ストップのベッドの上で、という事になるのかも知れない。そう思うと、真一郎は苦笑しそうになった。そういう風に一週間は流れた。もちろん、真一郎は鈴華にはお礼を言ったが、それはギャラリー銀月の店内で、であった。それを聞いた鈴華は、
「それは、よかったわ。漢方薬でも、いろいろあるらしいけど、専門家が教えてくれたものだから、確かなのね。」
と語ると、親切そのものの笑顔を見せたのだった。
その翌日、青山のマンションで、可奈が今日も薬を飲もうと思った時、玄関のチャイ
ムが鳴った。可奈は、インターフォンのところへ行き、
「どなたですか?」
「あ、緑川です。いつも、お世話になっています。」
「ああ、どうぞ。いらっしゃいませ、今、開けますわ。」
可奈は、鈴華に直接、お礼を言える、何か料理でも作って出そうかしら、と楽しく考えていた。その時、真一郎は遠出していた。可奈は玄関を開けて、緑川鈴華を招じ入れた。鈴華は、大きな赤いバッグを手に持っている。リビングに二人で座ると、可奈は、
「本当に、どうも、ありがとうございます。お陰様で、体の調子は、よくなっていっていますわ。」
鈴華は笑顔で、うなずくと、
「それは、よかったですね。今日はね、奥さん、ちょっと見せたいものが、ありましてね。」
「何ですの?あたしちょっと、お茶を持ってきますわ・・・・・・。」
と言って立ち上がりかけた可奈を鈴華は、両手で制止して、
「いいんですのよ。DVDを見るのが、終わってからの方が、いいと思いますよ。」
そう言って彼女は、バッグからDVDを取り出した。可奈は、
「どんなDVDなんですか?もしかして健康にいい、とか。」
「もちろん、そうですわよ。テープをデッキに入れてもよろしいかしら?」
「あ、私が、やります。その位、させてください。楽しみですね。」
可奈は鈴華からDVDテープを受け取ると、DVDデッキに入れた。黒い画面が、次には、とある一室を映し出した。そこに出てきた二人は全裸だ。やがて二人は抱き合って、ベッドに転がり込む。激しく動く、男の動きの中で、二人の顔が画面に映った。真一郎と鈴華だ!!!可奈の表情が、いきなり、暗黒の雲のように真っ暗になった。そして、
「何よ、これ・・・・あなた達は、こんな事をして、そして、わたしに見せてくれるのね。」
と苦しそうに言うと、可奈は心臓に両手をぴたっと当てた。それから、
「うっ、苦しい。こんなもの見せて、あたしを・・・・許さない・・・・許さないわ・・・・緑川・・・。」
ビクッと可奈の体が動くと、ドタン、とその場に倒れてしまった。鈴華は近寄って、可奈の左胸に右手を当てた。可奈の心臓は、すでに止まっていた。即死である。その時、チェロの陰鬱なメロディーが室内に流れてきた。(何処かで、チェロを弾いているわね)そう思うと、うなずいて赤いバッグを取り、DVDデッキからDVDを取り出してバッグの中に入れると、鈴華は、ゆっくりと歩いて外へ出て行った。
それから三時間後、真一郎が青山のマンションに戻ってきた。リビングに入ると、
「可奈、どうしたんだ?玄関、開いているじゃないか、おい・・・・。」
最後まで言わずに、真一郎は、はっと息を呑んだ。悔しそうな苦悶の表情を浮かべて、可奈は、そこに倒れていた。
「しっかりしろ、おい!生きているんだろう、死ぬんじゃないぞ!」
真一郎は、可奈を、しっかり揺さぶったが、その体は既に冷たくなっていたのだ。
絵はどうなる?
練馬の絵山の店で
「絵山さん、もう妻は死んでしまったよ。やっぱり心臓だった、原因はね。」
ぽつんと、真一郎は語った。絵山は本当に驚いて、
「え、何ですって!?奥さんが、ですか。まだ、お若いのに・・・・・それは残念です。」
「心臓が、とても弱かったんだ。それで、今日の午後に・・・・死にました。明日、妻の葬式を、やるんです。よかったら、来て下さい。」
「じゃあ、今晩は、お通夜じゃありませんか。よかったら、今から参加させて下さいよ。」
「そうですか。それは有難いです。では、お待ちしています、絵山さん。」
「ええ、それは、参りますとも。もしかしたら、いえ、お気を強くしていてください。」
それを聞くと真一郎は、軽くうなずいて店を出て行った。それから真一郎は、銀座のギャラリー銀月へ行った。自社ビル内にある豪華な応接室で、緑川鈴華は真一郎に楽しげに話した。
「まあ、田宮さん。お顔色が悪いわよ。どうしました?」
「実は妻が死にましてね・・・・それで、だと思います。」
「まあ、そうだったの。それは・・・。今日、お会いした時は、でもまだ、お元気そうだったわ。ほんとに、わからないものね。」
「そうですか。妻と、会っていたんですね。でも、とうとう心臓で・・・・妻は冷たくなってしまって。」
真一郎は、しゃくりあげそうになった。鈴華は無表情な顔で、
「それは、お気の毒にね。あたしの漢方薬も無駄だったみたいね。医学も、あてには、ならないし。」
「緑川さん、明日、妻の葬式をします。よかったら・・・・是非、おいでください。」
「ああ、明日はねえ、あたし、パリに発つのよ。それで二、三日、帰って来ないわ。だから、あなたとベッドに入るのも・・・。」
悲しみと性欲の入り混じった表情で、真一郎は、
「パリ、そうですか。では、今晩のお通夜だけでも・・・・少しだけで、いいですから。」
「ごめんなさいね、ほんとに。今日の夜、乗るのですもの。だから、また、そのうち・・・・・に。お悔みは、いたしますわ。」
「そうですか、わかりました。折角、色々と、お世話していただいたのに・・・・こんな事に妻が、なってしまって。」
「いいのよ、そんな事、気にしなくても。わたしこそ、何のお役にも、立てなかったわね。真一郎さん。」
そこで、鈴華は急に明るい顔で、
「元気と精力を出してね。可奈さんが、いなくなっても、あたしが、いるじゃない。激しいセックスには、不自由しないわよ。」
「う、うん。そ、そうですね。そういえば、可奈は、もう、セックスは、だめでしたから・・・」
曖昧に頷くと、真一郎は、その部屋を出て行った。
その夜、7時になると、青山の真一郎のマンションのインターフォンが突然、鳴った。
「はい、どなたですか?」
「ああ、こんばんわ、ぼくは絵山です。」
「ああ、どうぞ。絵山さん、お待ちしていました。」
玄関のドアを開けると、絵山と、その後ろにシャンメルが立っていた。二人とも黒い喪服を着ている。真一郎は、ぎょっとしたが、話す、
「どうぞ、どうぞ。この前は・・・・・お世話になりましたね。おかげて有名には、なれましたが。」
「気ニシナイデ、いいのです。魔術は効くのですよ。当然なのです。」
それから真一郎は、二人を可奈の死体のところへ導いた。棺に入ったその顔は、まだ苦い苦悶の表情を浮かべていた。それを見た途端、シャンメルは、
「マア!コレハ・・・妹ガ、ヤッタンダワ・・・・・なんて、ひどいことを、したのかしら。」
と、ため息をつくと、白い両手を天に向けて上げた。真一郎は顔色を急激に青色に変えた。そして、
「妹ですって? それは、どういうこと、ですか?」
「それは、話セバ長クナルのよ。デモ、大丈夫です。わたしが、可奈ヲ、救ウのですから。」
何故、この美若魔女は、可奈の名前を知っているのだろうと、その時、真一郎は不思議に思ったが、多分、絵山からでも聞いたのだろうと思い直した。その時、黙っていた電話が、急に呼びかけた。ルルルルル・・・・・・・。
「はい。もしもし。今、忙しいんですけどね。」
「あー、田宮さんかね?すまん、まあ、少し時間をワシに、くれないか。」
「はい、僕は田宮ですが。あなたは、どなたですか。」
「ワシは宮谷ですよ。美術評論家のね。」
「ああ、これは、どうも先生。とても、ご無沙汰しております。」
「どうもじゃなくて、大変だよ。あなたから最初に買った絵ね、奥さんの。あの肖像画の顔が変わっているんだよ。前は微笑んでいたろう?それがねえ、今は、とても苦しげな表情になっているんだ。どうしたんだろうねえ。寒気のする怪奇な話だ。」
真一郎は、又、ぎょっとしながら、
「妻は今日、突然、死にましたのですが。」
「それだ!それで、こんなになったんじゃ、ないのかね。こんなオカルトみたいな事は、今までワシは信じなかったが、どうもそれ以外、考えられんからさ。」
「それは、何とも言いかねます。わたしは、オカルトは、わかりません。」
「でも、気味が悪いから、あんた、引き取ってくれんか。肖像画の代金は、返すから。」
「いえ、私は、もう、その絵は、持ちたくないのですが・・・・それは亡き妻を思い出しますので・・・・。」
「そうか。それじゃあ、緑川さんに、引き取ってもらおう。ちょっと、今、電話を、かけてみるよ。待っていてくれ。」
カタリと受話器を置く音がした。別の部屋にでも行ったらしい。やがて、戻ってくる足音がして、
「やあ、お待たせしたね。彼女が絵を引き取ってくれるそうだ。明日、来るってね。」
「それは、よかったですね。安心しました。」
「あんたも銀月に行ったら、見せてもらいなさいよ。凄い顔なんだ。今にも血が出てきそうな・・・・・うっ、うっ、ぐえっ!!!」
その時、バタンと受話器が落ちる音がした。
「宮谷さん!どうなさいました?宮谷さん!!」
そのまま三十秒程、真一郎は電話の応答を待っていた。だが、さっぱり電話は応答がない。
「これは大変だ!よし、電話するぞ。」
真一郎は一旦、受話器を置くと、また取り上げて電話番号を素早く押した。
「もしもし、鈴・・緑川さんですか?こちらは田宮です。宮谷さんが、大変らしいですよ。今からすぐ、宮谷さんのところへ、行ってもらえませんか?」
「もう、これから出るところなのよ。その事は、警察に言っておくわ。」
ガチャン、といきなり電話は切れた。二人の方に眼をやると、魔女シャンメルが可奈の額に手を当てて、何やら呟いていた。
「何をしているんですか?そんな事をして一体・・・」
仁王立ちになって、真一郎は聞いた。
「・・・・・ヨッテ、汝ノ眠リハ、モウスグ解カレン事ヲ。」
そこでシャンメルは手を離し、すらりと立ち上がった。そう厳かに言い終わると、彼女はコックリと頷いて、
「サア、フラテル絵山、行キマショウ。これでいいのです。」
二人は、軽い足取りで出て行った。真一郎は、声をかける間もなく、茫然としていた。
苦悶の肖像画
鈴華から連絡を受けた警察が、宮谷氏の自邸に来ていた。明かりは点いているのに、ベルを押しても全く応答がない。
「宮谷さん!いないのですか。警察です、入りますよ!」
見るからに屈強そうな若い警察官三人が、宮谷家の玄関ドアに思いっきり体当たりした。すると、すぐにドアは呆気なく開いた。そこに血の匂いが、ぷーんと漂ってきた。その匂いのする方へ、警察官全員は急いだ。これは寝室からだ!中に入ると宮谷老人は、どたりと倒れていた。口のところから何かが、飛び出ている。
「ウッ!これは。あれでは。」
最初に近づいた警官が、吐きそうになった口を押さえた。宮谷老人の口から出ていたもの、それは心臓だったのだ。血がどくどくと、その心臓から流れ出ていた。
可奈の葬式も形どおり終わり、時は、すぐに流れていった。真一郎は、依然、人気画家だった。ギャラリー銀月も、ビルをもう一つ、持つようになった。
真一郎と鈴華の肉体関係は、山の上のラブ・ホテルから都内の高級ホテルに移った。マスコミは芸能人は追うが、画家などは、あまり追わない。ただ、真一郎のマンションの前には記者らしいのが、ウロウロしている事もあった。それで、なかなか鈴華も真一郎のマンションに入れなかったのだ。そんな或る日、リビングでパソコンを広げた真一郎はネットニュースの社会面に次のような記事を見た。
エリートサラリーマンと人気歌手が蒸発?
さる二十三日、人気歌手水川マキさん(21)と夫、佐山志郎さんのマンションに近所の人の通報を受けて、警察官数人がマンションのオーナーから鍵を借りて入ったところ、明かりが昼というのに点いたままで、寝室のベッドの上にはペアルックのパジャマが並んで置いてあった。二人には一才にもならない女児がいたが、二十日の日、都内のある施設に預けられていた事が判明した。警察では二人の行方を捜しているが、今のところ手がかりはない。
パソコンを閉じた真一郎は、(何処かで聞いたことのある名だな、佐山って。水川マキは、知っているけど)とボンヤリと思った。
可奈がショックで死んでから、一年経過した日に、緑川鈴華と真一郎は結婚した。魔法の筆で描いた可奈の肖像画は、宮谷氏の遺族が、ギャラリー銀月に売った。鈴華が中々、購買に応じなかったので、絵の値段は捨て値同然だった。宮谷氏が死んだ日、氏から来てくれ、と電話があった時に、鈴華は行くと言った後でパリ行きを思い出したのだが、その時、電話は既に切れていた。 あの絵は、可奈の顔の表情が、あまりにも凄い顔になっているので、画廊にも置けず、鈴華は自宅マンションの押入れの中に入れていた。
真一郎との新婚旅行はヨーロッパ周遊で一ヶ月ほど行っていたが、帰って来てから真一郎のマンションに、鈴華は荷物を運ぶ事になった。無事、荷物を運び終わった鈴華に真一郎は、
「おい、あの絵は、どうした?亡くなった可奈の肖像画だよ。何処にも見えないんだ。」
と聞いた。鈴華は新妻の表情で、
「ああ、可奈さんの、あの絵ね?」
「うん。そうさ、何処か知っているかい。」
「ええ、それはね、ここよ。ここに、あるの。」
そう、どうでもいいように言うと鈴華は、一つのダンボール箱を開けた。そして、
「これよ。気味が悪いので、ここに、しまっておいたのよ。あなたも見たくないはずだわ。こんな顔は。」
「うーん、凄いなあ。初めて見たよ。こんな顔をして死んだんだろうなあ。可哀想に。」
「さあね、どうかしら。あたしが、知るはずは、ないじゃないのよ。もう、あなたも、忘れた方が、いいわよ。」
「でもねえ、これ、おれのアトリエに置いておくよ。だって、いつでも初心に帰りたいから、そのためにね。」
「そうね、そうか。そういうんならね、そうしても、いいわよ。」
(捨てて、しまえば、よかった)と鈴華は苦々しく思った。その晩、いつものように二人はベッドを共にした。
二人のマンションの寝室の窓ガラスに掛かったカーテンを開けて、そこで二人は、おまんこする。部屋は高い階で、窓の外には森が見えて、起業のビルが見えるが、そのビルの照明は落ちていて暗く、誰もいないらしい。
鈴華は、その窓ガラスの前に立って、丸い大きな白い尻と背中を真一郎に向けて、ぐっと尻を突き出すと、肛門の下の長い淫裂が少し開いて真一郎の太い肉欲棒を咥えたがっているように見える。すでに彼女は全裸で、夫の真一郎は遅ればせながら服を脱ぎ、パンツを捨てて立つと同時にムスコも立たせた。
鈴華の尻から見える柔らかなピンクの裂け目に、見た途端、彼は全身の血をムスコに与えたらしい。
真一郎は鈴華に後ろから密着すると、彼女の背中にキスして、乳房を両手で揉み、揉みとリズムをつけてモミながら妻になった彼女の淫膣に男のシンボルマークを突き入れた。
鈴華は頭と背中をのけ反らせると、
「ああっ、ああっ、はぁっ、すごいいっ。」
と息を乱す。信一郎のシンボルマークは彼女のオマンコの中の奥の細道を激しく行ったり、来り、しているのだ。その擦られる感覚、柔らかい自分の膣内を固いもので擦られるという、処女だった真面目な彼女には、これが今までのどんな感覚よりも快感で、しかも、新婚旅行でパリの森の中で真一郎と野外セックスをした時に、夫に背中を向けて、樹木に両手をつくと、お尻を高く上げ、自分のオマンコを差し向けた時、その時はスカートを履いていたけど、夫は、それを、たくし上げて、ズボンの中から自分の太くなったモノを入れてくれた、その快感を思い出して、今、夫婦の寝室で再び、鈴華は行っているのだ。
がしがしっ、と真一郎からマンコを突かれながら彼女は、
「はぁん、はぁん、はぁん、いい、いい、いい。」
と鼻にかかった悶え声を出し続ける。自分で顔を後ろに捻って、キスをおねだりするようにするから、夫は口づけて舌を入れ、絡み合わせて、彼女の両手首を自分の両手で抑える。
鈴華は真一郎の、ものになった気がした。可奈に勝ったのだ。唇を彼が離すと、鈴華は聞く。
「ねえ、あ、はんっ。可奈さんのオマンコと、わたしのオマンコ、どっちが、気持ちいいの?」
「それは、鈴華のオマンコの方かな。みみず万匹っとこだ。それに、そうめんの感覚がして気持ちいい。」
夫のその言葉に鈴華はオマンコを連続的に締め付けた。すると真一郎は、
「ああっ、駄目だ、でるう。」
愛の交歓が終わった後で、鈴華は真一郎に、もたれかかると、
「ねえ、幽霊なんて信じる?あなた。わたしは、信じないけどね。」
「さあ、分からないなあ。今まで、ぼくも見た事もないし、見たら信じるかも。」
「そう、あたしが死んだら、全裸で幽霊になって出てきて、あげようかなあ。それで、あなた、信じたら、どうなの。」
「よせよ、変な話。そんなの、まだ、ずーっと先のことだろう。全裸で幽霊なんて、ヘアヌードの女幽霊か。それは興奮できそうもない事を言うものじゃないよ。」
「あは、そうね。いや、うふん、そうよ。それより、もう一回、ちんこ入れて、これから、セックスできるの?」
「ああ、やれるさ。すぐに、びんびん立ちだよ。ちんこ、見てくれないか。」
「うふふ、どれなの?どんなに、なっているのかしら、あなたのちんこ。」
そう淫らに言うと、鈴華は真一郎の股間に右手を当てた。その途端、それは、みるみる硬くなっていった。鈴華は、ぺろりと舌なめずりして、
「すごーいわ。とっても、元気いいのね。天井に向かって反り返っているわ。あたしのオマンコの中に、早く入れて。」
「よし、いくぞお。たっぷりと、マンコで味わってくれよ。」
真一郎は元気な自分のものを、鈴華の濃い目のヘアーにあてた。
「あっ、感じるわっ。もう、早く入れてよー。そこはヘアーよ。」
可奈の肖像画は、二人が激しくセックスを始めたベッドの上端の台の上に立てかけてあった。
「あっ、オマンコ、あはん、に入ったわ。すごーい、いいっ。」
そう叫ぶように声を上げると、鈴華は炭のような黒髪を振り乱して、淫美に、のけぞった。その時、肖像画の可奈の表情は苦悶の表情から悲しみで溢れた表情になったが、我を忘れてセックスに励む二人は、その奇怪な変化に気づかなかった。
抜け出して
翌日、鈴華の乳房を目の前に見て起き上がった真一郎は、湘南海岸の方まで絵の写生に行った。
海の絵を描くつもりである。鈴華は今日が画廊の休日だったので、マンションの部屋の中を掃除しようと思い立って、まずアトリエに行った。二人のマンションは新宿にある。そこで、まず彼女の眼が、いったのは、あの可奈の絵だった。
「あああああ・・・・・。」
鈴華は思わず声を挙げていた。絵の可奈の顔が苦悶の表情から、穏やかな顔に変わっている。(あなたも、ここに来たら落ち着いたのね)鈴華はそう思った。と鈴華の耳の中で声がした。(そうじゃないわよ)えっ!?鈴華が、きょろきょろしていると、(こっちよ)
突然、絵の方から声がした。鈴華が見ると、何と絵の中の可奈は微笑んでいるではないか。これは一体・・・・・・・・。
(今、わたしが笑っているのはね、あなたを殺せるからなの。驚いた?)
そう言うと、可奈の口唇の両端は、もっと上の方に曲がった。
「いやあっ!こんなのって、あり得ない話だわ。こわいいっ。」
鈴華は大声を出すと、その部屋を出ようとした。
(待って。逃げられると思うの?あなたは罪を償うのよ。私が刑罰をあげるわ。)
その声がすると同時に、鈴華の身動きが、ぴくり、と停まった。
(ね、わたしから逃げられると思うの?それは無理よ。さあ、楽しんでね。)
その声が聞こえると同時に、鈴華の体は金縛りにあったように、びくとも動けなくなっていた。
「く、苦しい。苦しくって死にそうだわ。助けて・・・」
と叫びながら、鈴華は左胸に手を当てた。
「あああ、し、心・・・・・・臓が。破裂しそうだわ。」
(ふふふ、あなたは、わたしを、そんな目にあわせたのよ。一緒じゃないの、これで、おあいこ。)
「う、うぐっ、ぐわっ!!ぐえっ。何かが喉を上がってくるみたいな、あああっ。」
という凄まじい呻き声と共に、鈴華は口から自分の心臓を吐き出して、その場にどしんと倒れた。フーッという風のようなものが、可奈の肖像画から巻き起こった。何か薄青い幽体のようなものが、絵から出て来ると鈴華の体の中に入った。すると、ピクピクッと彼女の体が動いたかと思うと、手を伸ばして自分の血まみれの心臓を掴み、口の中へ入れた。そして、ゆっくりと立ち上がった。それから鈴華は、おほほ、と笑った。すると、その顔が、だんだんと変わっていったのだ。そして、ついに、その顔は元気な可奈の顔になった。と、同時に鈴華の体型も可奈のものになっていた。その時、玄関の方から、
「ただ今。帰ったよ。海の絵は上出来だ、やっほーい。」
と声がして、真一郎が帰って来た。鈴華の返事が、なかったからだろう、鍵を開ける音がした。ドアが開いて、
「何だ、出かけたのか。おーい、鈴華、絵を見てくれよ、今すぐに。」
と真一郎は甘い声で言うと、彼の足は、アトリエへと向かった。見るとアトリエの扉は開いていた。突如、声がした。
「お帰りなさい。あなた。あたし、可奈よ。」
その声を聞いた真一郎は、その場で飛び上がりそうになった。そして、すっくと立っている可奈を見ると、真一郎は自分の眼を疑った。しばし、呆然とすると、それから、
「幽、幽霊なのか、おまえ。この世に未練が、あるのはわかるが・・・」
彼が、やっと、発した言葉がそれだった。
「馬鹿ね、触ってみてよ。あたしの肉体を。胸を揉んでみて。わかるはずだわ。」
その声は、いまだに忘れない、あの明るい可奈の声だ。真一郎は、可奈をぐいと抱き寄せた。ほんのりとした体温を感じた。幽霊ではない。そのまま、
「あの女は何処へ行った?鈴華、いや、旧姓、緑川は。」
「さあ、何処かに出て行ったみたいよ。あたしも、見なかったわ。結婚してたのね。」
そう言うと可奈は、いたずらっぽく笑った。真一郎は、
「もう、戻って来ない方が、いいな。あの女より、可奈の方がいい。」
「ええ、戻って来ないわよ。そんな気がする。」
真一郎は、そこで可奈を、ゆっくりと離した。
「でも、どうやって?・・・・・生き返れたんだ。信じられない、夢なのかな、これは。」
「幽界にね、シャンメルさんが来てくれたのよ。それで、生き返りの術を教えてもらったわ。だから、こうして・・・・・。」
「そうだったのか。もう、心臓は大丈夫だろうね?また、漢方薬が必要になるんじゃないか。」
「ええ、大丈夫よ。全く別人のようになったの。自分の体も変わったから。」
「それは、良かった。では、心置きなくセックスが出来る。楽しみだね。」
その時、ピンポーンとチャイムが鳴った。真一郎は、忌々しそうに玄関に行って、ドアを開けた。絵山の顔が見えると、
「やあ、もう、お戻りですね。可奈さんは。わかって、いますよ。」
と、にこやかに言った。その後ろには、シャンメルが神秘的に立っていた。真一郎の後ろには、可奈が、ぴったりと寄り添っていた。シャンメルは、
「お帰り、可奈。魔術の成功です。わたしも、これを確信していたよ。」
そう言うと、手を振った。可奈は、にっこり笑うと、
「ただ今。シャンメルさん。これで、二度も助けてもらいましたわね。何とお礼をすればいいか、今、考えています。」
真一郎は、絵山に、
「魔術ですか、これは。ぼくは、とても信じられませんけれど。」
と聞いた。絵山は爽快な顔をして、
「ええ、そうなんです。死人を生き返らせる方法は、あるのですよ。バビロニアの魔術です。」
転落と復活
真一郎と可奈はそれから、新宿のマンションを引き払い、郊外の町田市へと引っ越した。何故なら、新宿のマンションは、可奈がとても嫌がったからだ。
町田市とは、具体的には町田市高ヶ坂である。近くに芹ケ谷公園があって、国際版画美術館がある。可奈の実家がある森野にも一キロほどのところである。真一郎は、これからは楽しい生活になると信じていた。が、しかし、折からの世界的大不況のせいか、真一郎の絵は売れなくなっていった。又、美術評論家の宮谷氏の死去も彼の絵を強く推薦する人がいなくなった原因だ。それでも、過去の蓄えで二人は生活していたが、何分にも可奈は大富豪の娘、浪費する事は何とも思っていないし、それに彼女は真一郎の才能を信じていたため、浪費する事も彼の創作のためだと信じてもいたからである。不思議な事に、可奈が生き返ってから、真一郎の絵には前にあった癒しの力が、なくなっていた。それを所有していた人達も、それを実感したのだ。ギャラリー銀月の女主人、緑川鈴華が死んでしまったのも、真一郎の絵が売れなくなった理由の一つである。可奈の浪費癖と真一郎も、これから先も絵は売れるだろうという予測からの一緒になっての浪費は、十億円あった貯金を五千万円にまでしてしまった。そんなある日、真一郎は貯金通帳を見て、
「もう、これだけか。後は、あんまりないな。可奈、贅沢はやめようよ。」
と、相変わらず、高価な買い物をする可奈に忠告して言った。
「そうねえ、でも、あなたの絵、又、売れるわよ。だから楽天的で、いてよ。」
そう言って、可奈は携帯電話を取り出すと、
「いい方法が、あるわ。魔女のシャンメルさんに、頼めば、いいじゃない。あたし、電話をするから。」
「そんな事したってな・・・・・。」
そういう真一郎の声を聞かずに可奈は、シャンメルに携帯電話をかけた。
「もしもし、シャンメルさん?お久し振りです。可奈です。実は、真一郎さんの絵が売れなくなって・・・えっ?本当ですか?やっぱり魔術で!・・・・はい、行きます。は?真一郎さん一人で?わかりました。じゃあ、伝えます。よろしく。」
可奈は、携帯電話を切ると、真一郎を希望に満ちた目で見た。
「シャンメルさんが魔術で、又、絵を売れるように、してくださるんですって!」
「本当かな、でも・・・もう、それしか、ないかもな。もともと、あの魔法の筆のおかげだと思うよ、おれの絵が売れたのは。」
真一郎は、そのアトリエの部屋で、そう呟くと二、三回うなずいた。
町田駅は、JR横浜線と小田急線が一緒になったところだ。駅は二階の高さの通路を通って、乗り換えられる。そこを行きかう人々の数は、新宿駅を思わせるほどだ。シャンメルの屋敷は東小金井にあるため、新宿駅から中央線に乗って、真一郎は電車に乗っていた。車中で、少し遠くにいた、若者達が、真一郎に気づくと、一人の青年が、ひそひそ声で、
「おい、田宮真一郎じゃないか。あいつも、結局は詐欺師だったのかな。」
すると、もう一人の青年が、
「最近、そんなのばっかだよ。もう、売れないさ、あいつの絵。何の面白みも、ないもの。」
真一郎は、それにも気づかず、髭も、かなり生やして、呆然とした感じで座席に座っていた。
やがて東小金井の駅を降りて、真一郎はシャンメルに携帯電話で屋敷の場所を聞きながら、歩いていき、やがて、その玄関についた。彼がベルをリンリンと鳴らすと、しばらくして、シャンメルがぬっと現れた。真一郎は、希望の光を彼女の背後に感じていた。シャンメルは、にこやかに、
「前に、もっと売れたければ、連絡しなさいと言ったでしょ。早くすれば、よかったのにね。もう結構、落ちぶれたようね。」
シャンメルは、また、とても日本語が、うまくなっていた。彼女は優しく手招きをして、
「さあ、お入りよ。魔術で復活させてあげるからさ、あんたの絵を、ね。楽しみだろ。」
それから、二人は祭壇室へ行った。シャンメルは、真一郎を見ると、
「あなた、ここ初めてね。緊張しなくてもいいよ。」
そこには、香の煙が、もうもうと立ち込めていた。真一郎は、ゴホンと咳払いすると、
「ええ。特にぼくは、怖いとも思いません。」
「そう。あなたを前よりも、もっと、有名にしてあげますよ。ただし、あなたは、何らかのものをビフロウス様に捧げる事になりますが、それは大丈夫ですね?」
「何らかのですか?もしかして、それは魂とか、ですか?」
シャンメルは首を、すぐに横に振って、
「いえいえ、それは、ありません。あなたも寿命どおり生きられます。魂なんて悪魔が欲しがるものです。」
「では、ぼくは何を捧げれば、よいのですか?もしかして、ぼくの性的能力とか?インポになればいい、とかですか。」
「それは、私にも、わからないのです。ビフロウス様が、お決めになる事ですから。私には、何とも言えません、今のところは。」
というと、シャンメルは、背筋をしゃんと伸ばした。真一郎は、少し迷っていた。でも、どーせ、おれには絵の才能なんか、なかったんだ、なら、毒も食らわば皿までだ、と思うと、
「もちろん、ぼくは、かまいません。何だって、いいです。捧げられるものなら何だって、差し上げます。だから、よろしくお願いします。」
とシャンメルの神秘的な眼を見て、決然と言った。
「おー、よろしい答えです。では、それでは始めます。まず、あの祭壇に礼拝するのでーす。」
真一郎は、その祭壇に向かって深々と頭を下げた。シャンメルは、近くにあった模造の西洋の刀を取ると、
「ビフロウス様、どうか、この青年に、お力をおあたーえ下さい。」
と懇請して、真一郎の両肩を剣で一度ずつ、叩いた。その時、祭壇にあった二本の蝋燭の炎が、ぱっ、
と上に十センチ程、伸びた。シャンメルは、それを見ると、
「ビフロウス様は、了承されました。これで、よろしい。これで又、あなたの絵は売れますよ。」
と確信的に言って、深く、うなずいた。いささか、拍子抜けした顔で真一郎は、
「え、これだけで、いいのですか?もう、終わりなんですか。なんだか、短すぎて。」
「ええ、あなたが来る前に、長い儀式は、すませていましたからねー。」
「そうだったのですか。あ、あのー、お礼は、いくらすれば・・・よろしいんでしょう。」
「おー、よろしいのです。これで、あの時、湖で、おぼれかかった、わたっしを助けてくれた御礼が出来ましたからね。」
「そうですか。それでは、ありがたく、お礼なしという事で。」
シャンメルは、にやっと笑うと、
「ガンバッテネ。お礼はビフロウス様に差し上げてください。私は神様の召使です。」
と言った。
真一郎が向きを変えようとすると、シャンメルが、
「お礼はいいけど、二人で楽しみましょう。」
と色気のある声で誘った。
真一郎が彼女を見ると、すでにシャンメルは白いブラジャーとショーツだけに、なっていた。二十五歳のような、その魅惑する体に、とても真一郎は抵抗できなかった。
「シャンメルさん。ぼく、体で、お礼します。」
というが早く、彼は服を全部脱ぎ、パンツも降ろしてしまった。
彼のものは既に硬直していた。それはシャンメルも同時に全裸になっていたからだ。彼女のアンダーヘアは黒、目は茶色がかって、
乳首の色はピンクだ。彼らの身長は同じくらいで、立ったまま祭壇の前で固く抱き合って密着すると、キスを長く続けた。
彼女の乳首が真一郎の胸板に当たる。それが柔らかくて気持ちよく、シャンメルは大きく足を開くので、真一郎は彼女の、ぷりんとした豊満な尻を抱きつつ突き上げるように挿入する。
「オー!イイワッ、アフッ、オマンコ、キモチイイ。」
どこか神秘的な彼女が今は性的な女、そのもので、真一郎と彼女は膝を屈伸させて立ちセックスを堪能する。その両膝の屈伸は深くて、先導するのはシャンメルだ。真一郎は美若魔女の彼女に合わせて膝を屈伸する。
「アン、アンッ、ハ、アアアーンッ。ヤアン、アン、ハァ、ハァ、イイッ。」
二人は二十分、その体位で結合して、動いていたが、
白い美若魔女は唇を開けると、
「アッ、アッ、アッ、アッ、イクワァ、イクノー、シンイチロウ!イッショニ、イクワヨー。」
彼女は柔らかく締めていた自分の美マンコをグイグイグイと徐々に強く締め付けて信一郎の男肉棒を耐えられなくした。
「あっ、シャンメルさん、出ます、出ますー。」
ぴっ、ぴっ、と真一郎は目を閉じて快感の高みにいる美若魔女シャンメルに持てる限りの男の液体を捧げて行った。
その日は、それからすぐに、真一郎は町田市高ヶ坂のマンションに帰った。部屋に戻ると可奈が嬉しそうに、
「さっきね、美術ジャーナルの編集長さんから電話があって、絵を一枚描いて欲しいって。」
「ほんとか、でもやっぱり、創作意欲が、ないんだけどなー。どうしよう。」
「わたし、を又、描いたら、どうなのかしら?そしたら、きっと、売れるわよ。やってみてよ。お願い。」
「よし、そうだな。そうしようか。それで、おれが復活できるのなら。」
すぐに真一郎は、可奈に色々とポーズを取らせると、
「よし、そのまま、じっとして。今のポーズが、いいよ。セクシーだね、何だか。」
と話して近づくと、電燈を薄暗い方に切り替えて、デッサンを始めたのである。
成功とキャバ嬢
一週間後に完成した、その絵は、それは鬼気迫るようなものだった。それも、そのはず、何故なら、緑川鈴華の肉体が変化して今の可奈が、あるのだから。携帯電話一本で、美術ジャーナルの編集長は、真一郎のマンションに飛んできた。そして、出来上がった絵を見て、
「これは、凄いっ。田宮さんっ、あなたは、やはり天才だ!少しのスランプが、あっただけですよ。」
と感嘆するように言ったのである。最新号の美術ジャーナルに載った田宮真一郎の絵は、一つのブームを巻き起こし、インターネットでも話題となった。某掲示板でも、スレッドが立てられたほどだった。
天才画家、田宮真一郎 復活
というスレッドには、多くの書き込みが寄せられた。その絵はなんと一億円で、某IT企業が買い取り、自社のウェブサイトのトップページに飾った。成功と勝利感に酔う真一郎には絵の注文が、たくさん来た。練馬の絵山文房堂も今は、インターネットで画材を販売している。ある日、真一郎の携帯電話に絵山から祝福の電話があった。
「もしもし、真一郎さんですか、わたし見ましたよ、新作の絵を。あれは、すごいですね。やはり天才だ、あなたは。見事な出来栄えですね。」
「いえ、何ね。やっぱり、シャンメルさんの、おかげですよ。魔術を、かけてもらいましたよ、又。」
「ああ、祭司長ですか。今度、うちの教団も新宿に自前の施設を建てるんですよ。教団の規模も、大きくなってきていますから。」
「それは、素晴らしい。あの魔女も相当な人、なんでしょうね。お金を集めるくらい、なんて事は、ないんでしょう。」
「それはね、信徒数が十万人に、なりましたんでね。よかったら、来ませんか。真一郎さん。」
「えー、考えておきます。そのうち、是非とも伺いますよ。ぼくも、信者になろうかな、と思っていますよ。」
真一郎は再び、仕事が忙しくなっていたので、教団の事など、どうでもよかったのだ。世間では、不況風が相変わらず吹いていたが、シャンメルの教団に入った人達は、みんな成功していた。それが、口コミとなって、シャンメルの魔術結社「薔薇の星」は、その勢力を広げていた。薔薇の星の信徒の中には、大企業のトップや政治家の名前まで、見られるようになったほどであった。
一方、田宮真一郎の絵は、前と違って癒しではなく、持った人が開運する、成功するという現象が起きた。それを聞きつけたネット通販も、やっている開運グッズ会社が、真一郎に絵を依頼し、その仕事も真一郎は、引き受けて、やはり同じ様な結果が出たのである。
やがて、日本の社会の広い範囲で真一郎の絵と、魔術結社、薔薇の星のブームが起こった。政府も予想しなかった事ではあるが、好景気が訪れようとしていた。新宿の都庁に用がある場合、そこから、そう遠くはない、薔薇の星の教団本部へ訪れてから帰る人達も増えてきた。真一郎は、時代の寵児となり、貯金も百二十億円となっていた。可奈は再び、贅沢三昧の生活を送っていた。美食の毎日で、可奈は次第に太っていき、ついには二重顎の顔となった。そんな可奈を見て、次第に真一郎は可奈に対する性欲を失っていったのである。それで、夜の営みが週三回から、一回、そして二週間に一度、ついには月に一度、という一説によれば平均的日本人(?)の回数とは、なっていた。それでも可奈は、真一郎を愛していたし、セックスだけが夫婦の愛ではない、とも思っていた。真一郎も、絵の制作に打ち込んでいたので、性欲は、しばらく感じなかったのだが、開運グッズ会社の社長の接待を新宿のキャバクラで受けているうちに、店に出てきたナンバーワンのキャバ嬢、エミに眠っていたものを呼び起こされたのだ。それでも、真一郎は可奈に悪いと思い、それを抑えたのである。
そのキャバクラのエミは店の入り口から出て、
「じゃあ、先生、又、いらっしゃってね。お待ちしていますわ。」
「あ、ああ。又、近い内に来るよ。きっと。」
大酒に酔った真一郎が、そう返事をすると、開運グッズ会社社長の吉内三太は、
「ああ、又、来るよ、おれが連れてくる。田宮先生、そうしますよ。いいですね?」
と、どら声で答えた。それを聞いたエミは、にっこりとした。
キャバクラが終わって深夜、エミは相模大野の自宅まで小田急線で帰る。駅近くのマンションには、よくある話だが、エミのヒモが待っていた。玄関をエミが開けて、
「ただいま。帰ったわよ、ちゃんと掃除したの?」
と言うと、
「ああ、しましたよ。早かったね、エミさん。」
と、ヒモの市川明夫が答えた。彼の年齢は二十五歳、エミは二十一歳だ。エミは片エクボを作ると、
「そうかな。今日ね、画家の田宮真一郎先生が、うちの店に来たのよ。すごいじゃないの、ねえ。」
と誇らしげに話すと、明夫は興味深そうに、
「あ、あの。有名な人ね。実際に会ったわけですね、もちろん、すごいなあ。」
と、いい加減そうに応えて、台所に行きながら、
「今から電子レンジで暖めてくるね、今日の料理。とっても、おいしいよ。」
エミはハンドバッグを、いつもの場所に置いた。明夫が、自分で作った料理をお盆に載せて持ってくると、
「さあ、食べてね。ぼくの自慢の手料理だよー。」
と言った。エミは黙って食べながら、心の中で田宮真一郎の事を考えていた。(あの人、奥さん、いるのかしら・・・?)
二人は食事を終えると、明夫が後片付けして、すぐに先にベッドに入ったエミの横に、服を脱いで、もぐった。パジャマになっていたエミを見ると明夫は、
「エミちゃん、脱がせてもいい?いいんでしょ?」
エミは答えなかったが、明夫はエミのパジャマを脱がせ、ブラジャーとパンティも外した。形のいいエミの乳房が現れると、明夫は、ゆっくりと吸った。エミは少し感じながらも、(田宮真一郎さんに抱かれたいな・・・)
と思っていた。そのうち明夫はエミを全裸にすると、自分もパンツを脱ぎ捨てて、
「エミちゃん、いくよ?いいかな。」
と自分とペニスの両方とも、ベッドの上に立たせていた。エミは綺麗な両脚を大きく広げると、
「早く来なさいよ。エミが、いい、って言うまで突き続けてね。」
「はーい。」
明夫が、ちんこを挿入した時、エミは田宮のペニスを想像していた。そう想像すると、今までの明夫とのセックスと違った快感を感じ始めた。
「あ、あん、いいっ。」
明夫の逸物はヒモをしているだけあって、野太くて、エミのマンコには十分なものではあったが、明夫そのものに何か、飽き足らないものを感じつつも母性本能とでもいうべきものが、彼との生活を実現したのだろう。
久しぶりにセックス開始から可愛い悶え声を出したエミを、上から明夫は見つめて、
「感じた、エミさん、ぼくも、いいよ。」
と受け答えつつ、プロのヒモの腰の使いに入る。と同時にエミの乳首を吸い、首筋を舌でなぞり、耳たぶを軽くしゃぶる。彼女のまぶたも舌を這わせ、ちんこの毛をエミのマンコの毛と密着させて、腰を回転させるようにする。激しく腰を明夫が動かすと、エミの美巨乳は、大きなプリンのように、おいしそうに揺れ動く。
エミは画家の田宮に、今の明夫のセックスをして欲しいと思うと、明夫が何だか田宮真一郎に見えてきて、自分でも尻を上下に振り、
「はあっ、あーん、あっ、気持ち、いいっ。」
と美乳房を乳首を立てて揺らせながら、キャバクラでの礼儀正しさとは全く違った淫なる乱れをして、口を開けて赤い舌を長く出した。
美術学生
高ヶ坂のマンションに帰った真一郎は、二重顎の可奈を見て、心の中でエミと比べて、なんだか、ものすごく幻滅した。可奈も少し前までは、エミと同じ痩せ型の体型だった。キャバクラで見たエミは、やせていても胸は、しっかりと、ふくらんでいた。帰りに見た腰のくびれのラインを思い出して、真一郎は勃起しそうになった。可奈は不満げに、
「何で、ぼんやりと、しているの?何か女性の事を考えているみたいだわ。もしかして、あたし以外の女の事かしら、ねえ?」
と詰め寄りながら、聞いてきた。真一郎は、意志の力で勃起を自制すると、
「あ、いや、次の絵の事を考えていてね。そのモデルを想像の世界で見ていたんだよ。君以外を、この僕が考えるわけは、ないじゃないか。」
と説明すると、パジャマに着替えてベッドに入った。可奈は、
(又、今晩も駄目なのかしら。この人、性欲減退なのでは。全然、勃起しないし。)
と思って、パジャマに着替えてベッドに入り、真一郎の股間に手をやったが、それは小さくなったままだった。それどころか、真一郎はもう、スヤスヤ、と寝ていたのである。
その晩、ベットでエミを突きまくりながらも、市川明夫はエミの様子が、いつもと違う事に気がついた。しかし、
(気のせいかな?)と思いながら、フィニッシュしたのだった。その瞬間にエミは田宮真一郎の精液を想像していた。
それから、ひと月が過ぎた。真一郎は相変わらず、絵の制作に、とても忙しくて、ついに可奈との夜の営みは二ヶ月もなく過ぎていた。その頃、真一郎は、請われるまま、本町田にある美術大学で非常勤講師をしていた。そのクラスの中に、一人、傑出した才能の若者がいた。今年、二十二歳になる小島政治という名の青年で、九州は熊本から出てきていたのである。真一郎は、自分に才能が、ない事は分っていたが、人の才能は素直に認める方で、小島政治の絵を教室のみんなの前で褒めた事もある。何か神秘的な絵を描くので、ある日、真一郎は授業が終わった後で、小島に、
「君、魔術結社に興味ないかい?君の絵は神秘的だ。結社に興味が、あれば紹介したいのだがね。」
と興味深げに聞くと、
「ありますたい、先生。ぼくは、なんでん興味の、あっけど、魔術とか特に、ありますとです。」
と方言交じりに答えた。背は大柄で丸い顔をして、眼鏡をかけているその姿は、見た目は田舎者そのもので、
クラスの女性は誰も彼を見向きもしなかった。真一郎は笑顔で、
「じゃあ、連れて行ってあげよう。絵の進歩にもきっと、役立つと思うよ。」
と言うと、携帯電話で絵山に連絡を取った。それから、放課後、真一郎と小島政治は新宿のシャンメルの魔術結社「薔薇の星」に行き、小島は、すぐに入会式を受けた。一人の青年の才能を伸ばして上げられれば、と真一郎は思っていた。そうやったりする事で、キャバ嬢エミを忘れたかったのだ。立ったままの帰りの小田急線の電車の中で小島は、
「先生、よか団体ば紹介してもらって、うれしかです。ほんとに、ぼくは、幸運です。」
と、とても感激していた。真一郎も嬉しそうに、
「そうか。よかったな。君の成功は、ぼくの喜びだからね。頑張りたまえ。」
と言うと、満足げにうなずいた。窓外の景色は、町田へと変わった。二人は、JR横浜線に通じる道の前で、
別れた。朴訥な感じそのもので、原町田の街のほうに歩いていく小島の後姿を見ながら、真一郎はエミの事は忘れていた。
姉の魔女シャンメルとは全く違って、キャンメルは、魔術結社に人も大して集められずにいたし、入会しても、やがて全員やめていった。失意の中、キャンメルは銀座を引き払い、町田へ移り、町田駅の小田急デパートのあるところで占い師として何とか生計を立てていた。ある日曜日、相模大野から町田にショッピングに来たエミは、小田急デパートで占いのコーナーに謎めいた中年の外人女性を認めた。それは、キャンメルだったのである。エミは立ち止まると、
「あの、見てもらえません?あたし、自分の運命を知りたいんです。」
と、キャンメルに聞いた。キャンメルは、うなずくと、
「ああ、どうぞ、座ってください。わたし、透視も、できるのですよ。」
と、上手な日本語で答えた。エミが前に座ると、
「ははーん。あなた、男の人の悩み、ありまーすねー。最近ですかね、今の男性とは別に。」
「えっ?わかりますか?そうなんです、どうしたら、いいんでしょう?最近、ずっと悩んでいたんですけど。」
若美魔女キャンメルの心の眼は、エミの心の中を見ていた。そこにキャンメルは真一郎の姿を見た。
(田宮真一郎!おおお、田宮が見える。いるのだ、田宮は。)
キャンメルは、ウルフマン佐山が死んでしまったので、右腕を失った感じだった。田宮真一郎は、わたしの呪いが、かかったはずなのに、未だ名声を保っている。おかしい・・・・、姉が?助けたのか?と思いに耽っていると、
「どうなんでしょう?もう、おわかりなのでは、ないですか。」
と、待ちきれずにエミが問いかけた。
「あ、あー、あなたの思いのままに。したほうがいい、よ。」
「思いのままに、ですって?じゃあ、あたしが今、思っている人の方へ行ったほうが、いいって事ですか?」
キャンメルは、にやりと笑って、
「そーよ。その通りです。その人も、あなたの事を思っていますから。」
エミは晴れ晴れとした顔で、
「ありがとう。よかったわ、そうします。とても嬉しいです。」
と言うと、お金を置いて立ち上がった。キャンメルは、慌てて、
「ちょと、待ってよ。まだ・・・言う事が、あるのに。」
と言いかけた時は、エミの姿は、もう、人混みの中で見えなくなっていた。
キャバクラで
開運グッズ会社社長の吉内三太は、真一郎が最近、自社の仕事に、あまりすぐ応じてくれない事に気づいた。
(何やってんだか、ったくもう・・・全然、絵を描いてくれないんだから。)
それから、社長室のデスクを軽く叩くと、
(よし、あの手でいくか、あれしか、ないかな、へへへ。)
それから携帯電話を取り出すと、真一郎に、かけた。やがて通じると、
「もしもし、田宮先生ですか、「きらめく開運」の吉内です。今晩、どうです、キャバクラなんて、え?今日は先約が?それは残念です。」
その頃、真一郎は美術学生の小島政治と夜の新宿にいた。小島が魔術結社「薔薇の星」の金星の儀式に真一郎を誘ったので、それに参加した後の事だ。その儀式は壮麗なものだったが、真一郎は、あまり関心がなかった。儀式が終わると絵山が、
「真一郎さん、どうです、これから夜の街は?」
と笑顔で聞くと、横から小島が、
「今日は、ぼくが田宮先生を案内しますので、残念ですが。」
と、真一郎の腕を取った。絵山はうなずいて、
「そうですか。それでは、又。新宿は眠らぬ街ですしね。」
それから結社の建物を出て、真一郎と小島は、ぶらぶら歩いていくうちに、飲み屋街へと来てしまっていた。真一郎は、小島を見ると、
「小島君、変なとこに来たね。引き返そうか。君は、こんなところは興味ないだろ。」
と言うと、小島は真面目な顔をして、
「よかとです。先生、ぼくはキャバクラというものが見たくて、それでアルバイトしていました。先生には、いつもお世話になっているので、今日は、ぼくに、おごらせてください。」
「いいよ、いいよ。気にしなくても。そんな事より、君が、もし堕落してしまったら、申し訳ないものな。帰ろうよ。」
「いや、ぼくは絵のためです、キャバクラを見たいのは。それに、ぼくみたいな顔じゃ、おんなんこは相手に、してくれんけん、問題なか。」
そういうと、小島は真一郎の手を引いた。真一郎は仕方ないという顔をした。二人は少し歩くと、小島が、
「愛の花束、て書いてありますね、ここに入りましょう。先生。」
と誘うと、真一郎の手を引いて、その店に入った。店のマダムが、歓迎の両手を広げて、
「まあ、いらっしゃいませ、ようこそ。お二人様ですわよ。」
と出迎えたが、店内に客の姿は、まばらだった。小島は、まごまごしながら、
「この先生のために、店で一番の女の子を呼んでください。」
と、マダムに頼んだ。マダムは、にっこりうなずくと、
「一番奥に行って、座って待っていて、くださいませね。あとから、すぐに来ますから、失礼。」
真一郎と小島は、マダムに言われたとおりの所へ、行って座った。真一郎は、
「大丈夫か、小島君。ここは高いのだぞ、こんなところは、どこでも。」
「何、大丈夫ですよ、先生、まかせんですか。」
と言って、眼鏡を上に持ち上げた。やがて来たのは、エミとナンバーツーの女、マリだった。エミは田宮を見ると、
「まあ、田宮先生、お久しぶりです。次は、いつ来て下さるのかと思っていましたわ。」
と喜びを隠さずに言った。それを見て、小島は、
「なんだ、先生、お知り合いだったんですか。それなら、教えてくれれば、いいのに。」
真一郎は、右手を髪に当てると、
「まあね。仕事の関係で来たことが、あったんだ。自分じゃ、来ないもの。」
バーテンが酒を持って来た。それを並々とエミはグラスに注ぐと、真一郎に渡した。実は真一郎はエミの姿態に、ぐらぐらしていたのだが、(酔えば忘れる、これも可奈のためだ)と、思って、一気に飲み干した。エミは、
「わあ、先生、お強いんですね。じゃあ、もう一杯どうぞ。」
と又、なみなみとついだ高級酒を真一郎に渡した。それも真一郎は一気飲みした。すぐに、くるくると酔いが回り始めた。最初はエミは真一郎に、マリは小島に対面していたが、そのうち、エミが、
「ね、席変わりましょうよ。」
と言うと、真一郎の横に来た。小島は、酔っ払って立ち上がって、
「いや、気がつかんやった、変わりましょう。先生のためですたい。」
と言って、席をマリの横に移動すると、それまで、いかにも仕事らしく酒を小島に注いでいたマリが、
「え、小島さん、九州の人?なのねー。」
「あー、熊本ですたい、酔って、すまんです、言葉が・・・出て、しもうてから。」
と小島が、だらしなく言うと、マリは笑って、
「実はね、わたしもね、熊本なのよ。だから、わかるから、心配しないでね。」
と言うと、小島にウインクした。小島は少し驚いて、
「そーね。そしたら気ば、つかわんで、よかたい。あんた、どこな。」
「山鹿なのよ。あなたは、どこね。」
「あー、おれ、熊本市内たい。」
「そう、何してるの?今は。」
「おれ、今、美術大学に、いっとーもんね。」
「へー、偉かね。今度、あたしんち、来る?」
「おー、よかよ。来て、ゆっくり話しば、しよーか。」
マリは、携帯電話を出すと、小島に見せた。それから、自分の電話番号を携帯電話の画面に出すと、
「はい、電話番号よ。ここに、かけて、いーけんね。」
小島は照れくさそうに、
「おれ、携帯ば持っとらんとよ。どけんも、ならんたいね(どうにも、ならない)。」
「そう、じゃあ、こうするかな。」
マリは、ポケットからメモ帳とペンを出すと、走り書きして小島に渡した。それを受け取った小島は、
「わー、初めてたい。おなごから、こげん、してもらうとは(おんなから、こんなことを、してもらうのは)。どきどき、してきた。」
それから、盛んに真一郎に酒を注いでいるエミに、
「あ、先生に、この店で一番よか、いや、いい酒を持ってきてくれんですか。」
と、酔眼で言った。エミは、うなずくと、
「わかった。じゃあ、ロマネコンティ持ってくるわね。」
と言って、立ち上がった。マリと小島は仲睦まじく話し合っていて、エミを見ていない。エミは、ふらふらしている真一郎のズボンのポケットに手を入れると、彼の携帯電話を抜き取った。それから小走りに化粧室に行くと、ドアを閉めて、真一郎の携帯番号を画面に出して、洗面台に置き、それから自分の携帯電話を取り出して、その番号をメモに入力した。
エミがロマネコンティ、通称、ロマコンを片手に、席に戻って来ると、
「お待ちどおさま。とっておきのお酒よ。とっても高いのよ。」
と言って、真一郎の横に座り、ロマコンを真一郎のグラスに注ぐと、
「どうぞ。飲んでくださいね、先生。」
それから、小島に向き直ると、
「小島さんも、いかがですか?高級酒を体験して見たら。」
「いや、ぼくは、いーとです。先生のための、お酒やけん。」
と、ふらふらとしながら断って、手を横に振った。真一郎がロマコンを飲み干して、さらに、ふらふらになった時、エミは素早くスカートのポケットの中から真一郎の携帯電話を彼のズボンのポケットに入れた。真一郎は、ふいと腕時計を見ると、
「あー、もう十一時だよ、帰ろうか、小島君。今日は、気持ちよく酔っ払ったよ。」
と、へべれけ、になって喋って、立ち上がった。小島は、
「そうします。先生。結構、時間のたつの、の早かですね。」
と素直な態度で真一郎に同行した。帰りのレジで、マダムが、
「それでは、お会計は十万円になります。」
と、にこやかに言うと、小島はズボンのポケットから財布を出して払った。真一郎は、
「いいのかい?君、こんな大金を出しても。」
「いやー、大丈夫ですよ、先生。さあ、行きましょう。」
二人は、キャバクラ【愛の花束】を出た。出掛けに、
「また、いらっしゃってね、きっとー。」
「ぜひ、お待ちしていますわー。」
と、いう呼びかけの声を朦朧として聞きながら。
魔法で性交したら
462円
