SF小説・未来の出来事34 試し読み

 自分の社員寮のマンションの部屋に帰った快音は、一階のコンビニで買った弁当を食べると早めに寝ようと思ったが、明日の事を考えると眠れなくなった。ノートパソコンに彼の視線は漂着した。机の椅子に座り、ノートパソコンを起動させるとネットサーフィンを始める。
とはいっても自分に関係したサイトしか見ない快音だ。実家の寺のサイトには快音の人生相談のコンテンツもある。毎日、返信すると約束していない無料のものだけにパソコンも持たずに全裸で福岡市に移動させられた快音としては小安堵感をもって今、相談内容を閲覧していられる。それらの悩みに、いくらか返信すると自分が関りを持つホストゴーのサイトを見た。なんと日本紅党のバナー広告が出ているではないか。格差社会を無くします 日本紅党 桜見世子
 不思議な政治広告だ。時社長は日本紅党から広告費を受け取っているのだろう。それで、ひとまずは安泰なのか。明日、ホストの仕事を頼まれた人物も巨額な報酬をくれるというからホストゴーは広く顧客を求めるよりも少人数でも出費を多くしてくれる人に標的を定めたという事なのだろうと快音は思う。
 紅党の桜見世子という人も大胆な事をする・・・と思いつつ、快音は寝支度を整え、ベッドに転がり込んだ。
 翌日は七時に起床してコンビニで買ったカップラーメンに水を入れると電子レンジに押し込み、三分に設定して、チンとなって出来上がったカップラーメンをベッドの横のテーブルで食べた。
お湯の要らないカップラーメンは便利で、いい。
 社員マンションを出て博多駅まで歩いていく途中に(あ、サイバーモーメントに今日は欠勤する事を伝えていなかった)と気づいたので丁度、見えてきた公園に入ると総務課に
本日は欠勤します
とメールを送った。博多駅から電車で南福岡駅へ行くと、そこから歩いて三分のホストゴーの事務所へ入った快音は、すでに社長の時と専務の本池釣次郎が出社しているのを知った。快音は、
「おはようございます。」
と挨拶をすると流太郎が、
「おはようさん。あと二十分で指名された場所に行ってもらう。朝からではあるけど、酒は向こうで用意するという話だ。二十代の女性で社長らしい話しぶりだよ。前金で君の口座には振り込まれている。サービスに勤めれば、それ以上の報酬をもらえるか、どうかは分からないけど頑張ろう、快音君。」
と話を開陳した。
続けて流太郎は快音に、
「そこのソファに座っていい。」
と話すと、緑の長椅子を指さす。

 運転手は本池専務で車での移動は三分ほど、快音は70階建ての
高層マンションの入り口の前で降ろされた。釣次郎は運転席から、
「ここの最上階に住んでいる女性だよ。玄関も三つあるらしいけど、どの玄関の呼び出しを押しても、いいらしい。では、がんばって。快音君、夕方には迎えに来るから。」
と励ましと応援の送り出しだった。
 見上げても最上階は目が届かない位置に快音は立った。なんと、その建物は十階までが複合商業施設で色々なテナントが入居している。デパートに似ているが、少し違うビルだ。
 社員寮のビルの二階も、まだ全部見ていない快音。ここは十階までがデパートのようなものだ。午前九時なので、まだ開店していない。エレベーターは何基もある。住居用の11から70のエレベーターも五基は見られた。そのうちの一つの住居用のエレベーターで快音は最上階へ向かった。
1から11まではテナント抜きで上昇するため、時間がかかるが、それからは住居だけの階になる。朝の九時なので出勤や通学の為のエレベーター利用は、ないので各階止まらずに70階まで連続上昇だ。
 最上階で開いた扉から快音は70階に勇み足で出る。そこはホテルのような壁と廊下だった。エレベーターの正面にはドアがある部屋は皆無だった。左に曲がって廊下を歩くと玄関ドアが快音の目に着いた。
 快音がインターフォンのボタンを押そうとすると、男の声で、
「はーい、お待ちください。」
と告げられ、ドアが開いた。玄関の中で待っていたのは黒い背広を着た日焼け顔の大男。とにかく快音は、
「ホストゴーから参りました。快乱と言います。」
と挨拶すると大男は、
「はい、聞いていますよ。社長が待っています。靴は脱いで上がってね。」
と説明した。快音はブーツのような靴を外して玄関に上がり、大男の背中を追った。廊下は横幅も広い。壁には絵画が所広しと飾られている。
大男が一つの扉を開くと、
「社長。デリバリーホストの野郎が来ましたぜ。」
と報告する。
中は応接室みたいな広い部屋の真ん中の長椅子に腰かけているのは着物を着た若い女性で、その人物こそ快音を呼んだ女社長なのだろう。大男に、その女性は、
「ご苦労。お前は下がっていい、下桂(しもかつら)。」
と鈴の音を振るような声で命じる。
大男は深く一礼すると扉を閉めた。部屋の出入り口近くに立っている快音を見ると女社長は手招きして、
「まあ、まあ、こちらに来て座ってね。」
と呼びかける。
半円形で背もたれのあるソファだ。横並びに五人は座れる。それが空間を置いてUの字と逆Uの字を向かい合わせた形で配置されている。快音は向かい合ったソファの空いている空間から入ると、その円形のソファに女社長に向かい合って座る。二人の間には強固なプラスチックのテーブルがある。
 着物が似合う女社長は白い肌で赤い唇を開くと、
「ここは父の応接室だったの。ホームバーみたいに、あそこには酒類が並んでいるでしょ。」
と白い人差し指で指した方向を快音が目で辿ってみるとウイスキー、ジン、ラム酒の瓶が整列していた。女社長は続けて、
「あの辺にコップもあるから取って来てね。」
と快音に言う。快音は立ち上がり、数本の酒瓶と二つのコップを銀色の盆に載せてテーブルまで運んで置いた。快音は、
「どの御酒にしますか?」
と聞くと着物社長は、
「そうね。まず初めにアナタが好きなものを飲んでいいわよ。」
と両手を自分の胸の前に組んで答える女社長。
快音はジンの酒瓶を手に取ると、
「いただきます、それでは。」
とコップに注ぎ、グイと飲んだ。強烈な酔いが回ってくる。その変化を女社長は楽しんで、
「強いのねー。そのジンは普通なら、もっと酔うものなの。」
と笑顔で話す。快音は目を少し虚ろにして、
「うーん、そうですか?ホスト稼業で慣れたんでしょう。社長も一杯、」
「いえ、わたしは飲まないのよ。父と違って全くダメなの、お酒は。」
と意外な返心だった。心を返した答えだ。快音は、
「そうなんですか?それでは僕だけ酔っていいんですか?」
「ええ、どうぞ。貴方の頭の毛。それは、もしかしてカツラ?」
「もしかしなくてもカツラですよ、よく分かりましたね。」
「髪全部が真っ黒だから。自然の髪とは違うのね。」
酔いが回ってきた快音。顧客に答えなければ、ならない。
「ボクの髪がカツラだと気づいたのは、アナタだけですよ。社長さん。」
女社長は快音に、
「もっと飲んでくださいな。アナタの酔った顔は面白いもの。」
と更なる飲酒を強く促す。
快音は又、一杯のジンをコップに注ぐと飲み干すのだった。相当な泥酔というか沼の中に居るような沼酔を感じる快音だ。
 部屋の天井から青い光が快音を照らした。強烈な眠気を催した快音は意識を失っていく・・・・。
 女社長は立ち上がると壁に向かって歩いた。そこにはインターフォンがあり、女社長は、それに向かって、
「山星(やまほし)、よくやりました。あれを持ってくるように。」
と話す。インターフォンからは男の声で、
「了解、誘拐完了ですね、女王様。」
それに答えて女社長は、
「山星、何を言うの。時間が来たら返却するから、こいつを。」
と話し、
「すぐに行動よ。」
促す。インターフォンからは、
「アイアイ・クイーン。」
と返事が流れた。
間もなくドアが開くと黒い上下の背広に黒の帽子、しかも黒のサングラスを掛けた背の高い男が現れ、ソファに寝そべった快音に近づき、快音の頭にヘッドフォンのようなものを取り付けた。それが終わると女社長の方を向き、
「王家・女王、完了いたしました。」と気を付けの姿勢で報告する。
王家と呼ばれた女社長は、
「ご苦労だ。山星、サングラスは外しなさいよ。」
男はサングラスに手を当てて、
「あ、すみません。寝る時もサングラスを掛けたまま寝たりしています。」
と弁解すると急速な動きでサングラスを外した。王家女社長は、
「よろしい。あんたも見ていきなさいね。今日は仕事は休みで、いいから。」
と、ねぎらうような話し方で語る。山星は姿勢を更に整えると、
「はいっ、有難き幸せ。それでは見学いたします。」
と答えた。
王家社長はテーブルの上のリモコンを取ると操作を始めた。応接室の奥の壁にスクリーンが投影された。王家社長はソファに寝そべっている快音の右側に座ると、
「山星、あんたは、この男の左の空いている所に座りなさい。」
「はい、有難き幸せです、王家社長、それでは失礼します。」
社長の前を通る訳には、いかないのでサングラスを外した黒服の山星はU字型のソファの後ろを移動して快音の左側に腰を静かに落下させた。
スクリーンは薄い闇が映っている。王家は、
「今、映っているのは寝そべっているデリバリーホストの快乱の頭の中よ。これから、そこを、いじってやろうというのさ。東京から来た男みたいだね、さっきの口ぶりでは。」
と長いUの字ソファの左端にいる部下の山星に話しかける。
山星は両手を両膝に置いたまま、
「そうでしょうね。軟弱そうですし。奴の頭の後ろの方はカツラが少し、外れているですよ。」
と横目で快乱を見下ろしつつ評した。王家は、
「若禿げでも、ないようだな。うん?」
スクリーンを見た王家は、画面の中に仏像が現れたのに気付く。女社長は、
「若い男にしては夢の中に仏像が出て来るとはねー。」
山星も、それを見て、
「もしかして、坊主じゃないんですか?こいつは。」
と発言した。王家社長は、
「わたしも、そう睨んだよ。でも坊主でデリバリーホストを、しているとはねー。東京なら有り得る話さ。もうちょっと、見ておこうか、山星。」
「ええ、見させて貰います。王家社長。」
だがスクリーンからは仏像は消えた。代わりに現れたのが、赤いビキニの美女だった。それを見て王家社長はニヤニヤ笑いをして、
「やっぱり坊主でも性欲は抑えられないよ。だって夢の中だろ?」
と黒服の山星に云う。山星も笑いだしそうな顔をして、
「夢の中だから現れるんでしょうね、あの胸と尻が大きくて足の長い美人が。」
画面、つまり快音の脳内は、しかし美女がビキニで右手を腰に当てて体を傾けてポーズを取ったままだ。王家女社長は、
「なんだか、つまらないなあ。快乱が夢の中に出てこない。よーし、こうして。」
と話すとリモコンを操作する王家。すると画面には快乱が現れる。しかも全裸の快乱。ビキニ美女は驚くどころか快乱に近づいた。横から映っている二人。快乱はビキニ美女と五十センチの距離で、股間の肉道具をスグに勃起させた。
 王家がソファに横たわっている快音の股間を見て、
「山星、現実の快乱も勃起しているよ。」
と伝えると山星も快音のソコを見て、
「本当ですね。夢は現実に、というやつですか。」
王家は、
「美女を少し動かしてみるよ。」
と話すとリモコンを操作する。
ビキニ美女は自分で胸の部分の水着を外した。そこは、いつの間にか森の中になっている。土の上にビキニはフラリと落ちた。白い肌の乳房が露わになる。その部分が日焼けしていないので、ビキニの形が白く残っているみたいだ。快音の肉道具は金づちのように硬く上を向く。快音は美女に近づくと強く抱きしめた。彼の肉金槌は美女の股間のビキニの食い込んだ部分に当たる。美女は感じて口を開けた。快音は美女の股間のビキニを両手で素早く降ろす。しゃがんだ快音は美女の薄い股間のビキニを彼女の足首まで降ろした。美女は両脚を交互に持ち上げて赤いビキニを外す。
黒く手縮れた美女の股間の陰毛が快音の視界に入った。下から見上げている快音だ。快音は立ち上がり美女を横抱きに抱くと、芝生のような場所で彼女を降ろすと、二人は重なり合い、快音の肉金槌は美女が大きく足を開いた、その付け根にある開いた淫穴に入り込んでいく。森の中は薄暗いが日の出前らしく、二十分も激しく腰を一緒に振り続けた二人に太陽光線が当たった。
と同時に全裸で仰向けになり、上から、のしかかった快音に肉金槌を嵌められていた美女は消えたのだった。
 射精をしていない快音は、まだ肉金槌を強固にしたままだ。
「おや?消えてしまった。もしかして、これは夢か幻か、なんだろう?」
と四つん這いのまま独り言を言う。
それを見ていた王家富富(おうけ・ふふ)は、
「奴の思念は夜明けを迎えた。坊主らしい女を忌避する考えが夢にも出て来ている。ようし、それなら。山星、見ていろよ。」
と黒服部下の山星に告げる。
山星は姿勢を正して、
「はい、社長、拝見します。」
と即答した。
 四つん這いの全裸の快音の体に何処から現れたのか、植物の太い蔓が四本、伸びて来て快音の両手、両足に絡みつき、四つん這いの状態から起こすと後ろに引っ張って行って、大きな樹木の下部にキリストの磔のように固定したのだ。快音の両手は水兵に横に伸び、両脚は揃えて固定された。全裸の快音は、
「なんだー、これは?手が。足が、動かなーい。」
と絶叫した。怒叫とも表現できる。
快音の股間の肉金槌は少し下を向いた。それでも下腹部からは直角の角度は保っている。
 森の何処からか裸の女性たちが続々と現れた。十人以上と見える。
三十路が大半で、容姿は波の女性ばかり、中には肥満体の女、痩せて貧乳の女もいた。美女は皆無である。
 彼女達は大木の下の部分に磔されているような快音を取り囲んだ。裸体の快音の肉金槌は、まだ水平に勃起している。一人の女が、
「この格好でチンコ立てて森にいるなんて、どういうつもりなのかしらねー。」
と快音を指さした。他の女たちは一斉に笑い始めた。もう一人の女が乳房を揺らすと、
「まるでキリストが十字架に掛かっているみたいよー。キリストのつもり?この人。」
他の女が、
「キリストでもチンコは出していなかったんでしょう?森の中なら見られないと思っていたんだー。」
別の女が、
「わたしたちモテない女の集まりなの。森の中でレズ乱交するために集まって、さっき全員脱いだら叫び声が聞こえてね。ここに来たら、あんたが叫んでいたんでしょう。チンコは水平に立ててさー。」
並の女とはいえ全裸になれば三十路でも美乳や豊満尻の女もいるから、それを目にして快音の肉金槌は少し上を向いた。それを見て三十路の女たちは、きゃー、すごういー、とか、はしゃぎたてる。
 全体の長らしき女が、
「ひとりずつ、この男を犯しましょう。両手と両脚は縛られているしね。」
と意見を御披露目した。全部の女が、
「さんせーい。」「あたしも、したい、犯したい。」「みんなで、ろーよ。この男。」「おー、おー。」「いえーいっ。」
と声を上げる。
長らしき女が全裸の胸を揺らすと、
「一人ずつ、犯していきましょう。そのために一列に並んでください。」
と快音を犯す遣り方を決めた。全裸の三十路集団は縦に一列、磔の全裸の快音の前に行儀よく並んだ。画面には三十路女の丸い尻が並んでいるのが映る。快音は見えなくなっている。
 王家富富はリモコンを手にして、
「ちょっと角度を変えよう。」
と云うと、リモコンを操作した。カメラが移動するように画面は磔の姿勢の快音を横から映し出す。
横から見える快音の股間は肉金槌は元気に反りかえり始めた。最初の女が快音の肉金槌を右手で握ったのだ。女は顔は普通だが胸と尻の大きな女で、快音に口づけると自分の股間を大きく開き、彼の肉金槌を自分の秘所に入れ込んでいく。彼女は長い髪を振り乱すと、
「あーん、強烈っ!太すぎて気持ちいいっ!」
と媚声を上げると自分で自分の乳房を揉む。尻を上げたり降ろしたりして、抜き差しする快感を楽しんでいるようだ。
横から見えるだけに彼女の乳房の大きさや揺れ、と尻の揺れも映し出されている。
 ソファに寝そべっている現実の快音は仰向けになると両手を水平にして磔になった姿勢を取った。快音のズボンの股間は、はち切れそうだ。それを見た王家富富は笑みを浮かべると、
「うふふ。夢の中は現実にも反映されるのね。スクリーンに映っている、あの情景を快乱は今、体験しているのだわ。夢とも思わずにね。あの三十路全裸集団はリモコン操作で登場させたのよ、わたしが。」
と部下の黒服の山星に話す。山星は度心臓を抜かれたように、
「そうだったのですか。それは凄い機械ですね。」
と相槌を打ちつつ頭を前後に振る。王家富富は、
「サイバーモーメントにも制作できない機械と思うわ。奴らに機械市場を独占させないわよ。」
と固く断言した。女社長の王家の視線はスクリーンに戻る。
 最初の女が尻を痙攣させてイッたらしく、快音から離れると尻を土に着いて寝そべった。
統率者らしき女性は、
「次に行きましょう。まだ男は萎えていないし射精もしていないから。」
と次に待っている三十路の裸女を促す。
背が高くて190センチは、ある裸の三十路女性は快音より背が高い。彼女は快音を見下ろすと、
「最初の人でイカなかったのなら、わたしでイってね。」
と言い裸体を快音に密着させると両膝を曲げた。
横から映っているので超長身の女の股間は見えない。王家富富は左手に持ったリモコンを右手で操作する。
映像は快音と長身女性の上からの俯瞰を映し出した。それが急降下して二人の性器の結合が映し出された。
何しろ快音は身動きが出来ない。長身女性は自分の両膝を曲げて伸ばして快音の肉ハンマーを膣内に擦りつけて、
「はあっ、はあーん、いくっ、いくっ。」
と悶えると右手で自分の黒髪を掻き揚げた。
快音は遂に射精してしまった。途端に彼の肉凶器は只の陰茎に変形した。長身の女は快音から離れる。
長らしき女はダラリと垂れた快音の股間のモノを見ると、
「しばらく休憩して貰いましょう。二人目で終わるとは意外でした。」
と語った。
 王家富富はリモコンを動かすと、
「あの長らしい女を操るよ、今からね。」
と山星に話す。
画面に映った全裸の統率者は、
「キリストの磔みたいな姿勢が勃起持続には難しいのかもしれないですね。」
と集団の全裸三十路女達に呼びかけ、続けて、
「今度は釈迦の悟りを顕わしているような結跏趺坐の姿勢を取らせましょう。」
と提案した。一人の全裸女性は、
「結跏趺坐って何でしょうか、わたし知りません。」
と質問したので裸の三十路の長は、
「座禅で組む姿勢ですよ。胡坐に似ているけど、そうだ、この人に自分で足を組んでもらいましょう。」
と虚脱している快乱に話す。
快乱は、
「この磔みたいな姿勢を解いてくれたら自分で結跏趺坐を組みます。」
と十字架に掛かったままのような体勢から即座に答える。
全裸の統率者は足元の地面からカッターナイフを拾うと、快乱を縛っている四本の蔓を切り捨てた。
崩れ落ちるように地面に座り込んだ全裸の快音は、両脚を組み、結跏趺坐の姿勢を取った。組んだ両脚の上に自分の萎えたモノを載せている。
全裸三十路女達は快音を取り巻くと、
「すごーい。坊さんみたいよ。ちんこ出しているのが違うかもね。」
「しごいてやったら立つんじゃないのー?」
「もう少し待ちましょう。」
「美人になら即、立つかも、この人。あれをしたらいい。」
「あれって、なーに?お姉さん。」
「あれは、あれですよ。変顔マスク。」
「あー、あれね。指導者さん、変顔マスクは在りますか?」
指導者の裸女性は、
「あるけど三枚しか今、ないわね。高価だけど売り切れて生産が間に合わないらしいのよ。」
変顔マスクとは所謂、仮面の事だがシリコン製で薄くて顔面に張り付くので仮面よりは実際の顔のように見える。メイク技術より簡単に美人になれるというものだ。
指導者の裸女はチラと座禅を組んでいる快音を見ると、
「あら?この人の頭の毛はカツラみたいよ。」
と話し、快音に近づくと彼の髪の毛を右手で掴むとグイと引っ張った。スポリと抜ける快音のカツラ。剃髪した頭が白く光っていた快音。