SF小説・未来の出来事28 試し読み

元チベット仏教の修行僧、ユイマは檻の中にいる美青年チントンに、こう語る。
「ダライ・ラマが観音菩薩の生まれ変わりという証明は、できない。だから観音菩薩の生まれ変わりというのはウソだ。少し前に公安で用意してくださった何人もの美女と乱交させてもらった。彼女達もチベット仏教の尼僧だった。強くマンコを締め付けてくるし、それはもう本当の極楽だったよ。それを否定して生きるダライ・ラマこそ生き極楽を否定して生き地獄に誘う悪魔のような奴だ。公安で極楽を味わい、僕は共産主義者になった。日本にも行くことに、なっている。チントン君、一緒に僕と日本に行こう。そして日本女性のオマンコを味わうんだ。ダライ・ラマを捨てろ。」
それを聞いたチントンは檻の中で、
「いやだ!君こそ騙されている。女こそ修行を妨げる悪魔の手先だ。」
と断言した。公安の中年男性は困ったような顔をすると、
「チンチンの檻の中にも美女の元・尼僧を送ったのだが、全く動じなかった。チントンの股間にも美女に触らせたのだが変化なし。しかも美女は全裸だったんだけどねえ。それで日本製のラブドールを注文した。やっと届いたから、それを差し向けよう。おい李、運んできてくれ。」
と近くにいた部下に指示する。檻のある部屋を出た李という公安の男性は、しばらくすると服を付けているラブドールを抱えて戻って来た。李という姓は中国では多い人名だ。李から日本製のラブドールを受け取った中年男は檻の扉を鍵で開けて、ラブドールの背中にあるらしいボタンを指で押して檻の中に入れた。
 ボタンを押されたラブドールはシャキーンとした感じになり、生きた女性の動きでチントンに近づく。清楚な顔立ちでチントンに中国語で、
「おはよう。ここで何しているの?」
と尋ねたのだ。チントンは驚いて、
「何もしていないよ。君は日本人のようだが、ラブドールとも聞いたが。」
と話すとラブドールは、
「サイボーグのようなラブドールなのよ。人体を改造してもらっているわ。元々が日本人だから、日本人のよう、じゃないの。」
そう云うと、ラブドールは右手を素早くチントンの股間に持っていき、平常時の長さの彼のモノを握った。きめ細やかな肌触りを感じたチントンのモノは次第に大きくなり始める。彼は、
「ああっ、何故なんだ。勃起しない修行をしてきたのに・・おおっ、立つーっ。」
ほどなく全勃起したチントン。ラブドールはアンドロイドの目で、
「あなたは前回、ここに入った美女を元・尼僧という事で女性と思わないように、したようね。でも私はチベット人でも中国人でもない日本人女性なのよ。」
「そーかー。それで立ってしまったんだ。十年ぶりだー。僧院で尼僧と生活していても立たないように、していたのに。」
ラブドールの右手はチントンのフルエレクト・ステックを、ゆっくりとシゴキ始めた。チントンは歯を食いしばり始める。あまりの気持ちよさに出してしまいそうなのだ。檻の前には公安の人間と元・チベット仏教の修行者の男性が立っていて、自分を見ているのは分かるが、その外界の事象よりも自分の脳内の快楽の方に意識が向かい、檻の外の二人の姿は、ぼやけてしまう。
女性に自分のモノを触られた事も、かつてないチントンは、
「ズボンとパンツを脱ぐから待って。」
と美女ラブドールの動きを制止させた。ラブサイボーグドールはチントンの要請を受け入れ、右手を離す。
チントンは立ち上がって囚人服みたいなズボンを脱ぎ、パンツも捨てた。反り返ったバナナのようなチントンの巨大なものが姿を現す。ラブサイボーグは、チントンの巨大化した肉竿を右手で掴むと身を屈めて柔らかい自分の赤い唇の中に入れる。プチョ、プチョと音を立てて吸い付くラブサイボーグは、その口内の肉棒を巨大なソーセージのように味わうのだ。チントンは、
「ああっ、とめられないっ。!!!。」
と叫ぶとラブサイボーグの口の中に連続して五発も白い恋液を出したのだ。それは濃い液でも、あった。白い恋液を恋の駅に出した、とも言えよう。五発も出したためグニャリと萎えたチントンのバナナはラブサイボーグの口中からポロンと出てくる。
檻の外から公安の白いカッターシャツを着た中年男性が、
「チントン。日本に行けばサイボーグでない日本女性とセックス出来るぞ。それで給料も、もらえる。日本でホストという仕事をしてな。それに公安の方でも元でだけど給料を出すからな。成績に応じてはボーナスも上積みしよう。もちろん寝る場所は東京の新宿に分譲マンションを買ってある。同じ階に飲食店やサウナ、喫茶店もあるマンションだ。だから家賃の心配も、いらない。東京在住の政治公務員や東京都知事なんかにも献金しているから。あり得ないとは思うが、君が警察に掴まっても政治公務員に働きかければ、すぐ釈放してもらえる。金が大好きな日本の政治公務員だ。十億は、ばら撒く。共和党の議員は元・自衛隊が多いから金を受け取らないが、都議会議員は共和党員が少ない。話が長くなった。ダライ・ラマに騙されていたのが分かっただろう。」
下半身を露出しているチントンである。彼は黙思考すると、
「うーん・・・一時の快楽に心を惑わせただけだ。やはり転向は、したくない。」
と不快げに立ったまま、答えた。檻の外の中年公安は、
「よーし、ラブトール霧子。チントンの前で尻を向けて四つん這いに、なれ。その前に服を脱ぎなさい。」
ラボドール霧子は、うなずくと服をサラサラと脱いだ。パンティも取ると白い裸身に黒い股間と黒髪が色彩の対比として鮮やかにチントンの視界に点じると、ラブドール霧子はクルリと白い背中をチントンに見せて、両膝を着き、両手を着いて四つん這いになり、白い大きな量感のタップリとある巨大な桃のような尻を高く上げて自分の股間をチントンに見せつけた。
肛門の下に見える彼女の男をいざなう切れ目は割れて開いている。チントンの股間のモノは突如、上に向けて立った。上に向けて♪勃起しようよ♪精液が遠くに飛ぶよーに♪という歌詞がチントンの脳内を流れた。「上に向けて勃起しよーよ」という日本の歌だった、チントンの祖母が日本人だった。幼いチントンは祖母に抱かれて、祖母は、よく、この「上に向けて勃起しよーよ」を歌ってくれたのを思い出したチントン。(ダライ・ラマの性欲否定は詐欺だ。優しい祖母の子守歌、「上に向けて射精しよーよ」を思い出した。いや、「上に向けて勃起しよーよ」だったようだけど)入れて欲しそうなラブトール霧子の女の穴にチントンは自分の男の道具を亀頭から、のめり込ませていった。口の中より滑らかな霧子の膣内事情だった。ズイン、ズインと突きまくり始めたチントンの長竿である。
両膝をチントンも床に着いて後ろからラブトール霧子の女淫にズッポリと入れて両手は下に垂れている霧子の乳房を揉む。両手と竿に感じる女の感触にイキそうになるチントンを公安の中年男は見て、
「霧子、顔をアレに変えろ。」
と指示した。
四つん這いでチントンには見えない霧子の顔は変化していった。そして紛れもなく、あの顔になったのだ。ハリウッドメイクでも、女性の顔を、ここまで変えられないだろう。ハリウッドも中国に徐々に買収されつつある、というが。公安中年男は満足げに、
「霧子、顔をチントンに見せろ。」
と命じる。ラブトール霧子は顔だけでなく体も後ろに捻って顔をチントンに見せたのだ。嗚呼、霧子の顔はダライ・ラマの顔に変貌していたのだ!ニヤリと笑う霧子、いやダライ・ラマの顔だった。と同時に霧子は自分の女淫を強く締め付ける。あっ、と声を出したチントンはダライ・ラマの顔の霧子の柔らかな女淫穴の中に、ドクドクピュッピュッと連続射精してしまったのだ。
チントンは急いで霧子の体から離れた。霧子も立ち上がると全裸をチントンに向けたが、顔はダライ・ラマの顔のままだった。
苦々しく悔しそうな顔をするチントン。檻の外から公安中年男が、
「ダライ・ラマと、やった感想は、どうだ?え?チントン。」
と問う。チントンは両方の手を拳にして握りしめて、
「ダライ・ラマは、こうまでしてオレの性欲を嘲笑うのか、という思いです。」
「よし、そんなダライ・ラマは捨てろ。転向して日本に行き、存分に女を抱けるようにしてやるから。いいな?チントン、転向するな。」
「はい、共産主義者に転向します。ダライ・ラマは詐欺師で変態です。」
と高らかに下半身を露出したまま宣言したチントンだった。檻の外にいる公安の中年男性とユイマは笑顔でチントンを眺めるのだ。

 今、そのユイマとチントンは新宿駅に近い彼らのマンションで桜見世子と交わっている。ユイマは世子の唇を奪い、チントンは世子の片乳を揉んでいる。世子はユイマが唇を外すと、
「みんな、右手は空いてるでしょ。右手を斜め上に上げて、『ハイル!桜見!』と言いながらセックスを続けて!」
と命じた。五人の男は一斉に右手を右斜め上に上げて、
「ハイル!桜見!ハイル!桜見!」
と叫びつつ、彼女に絡み続ける。桜見世子は快感に目を細めつつ右手を右斜め上方に上げ、
「予は日本紅党を結党して総統に就任する!ああんっ、いくうぅー。」
と叫ぶとアクメに達した。フューラー桜見の誕生でもあった。アクメに達しても桜見世子は右手を右斜め上に上げ続けるのを辞めなかった。それは五人の男も同じだった。
世子が立っていられなくなったので大和とトンリンは自分たちの欲棒を世子の穴から抜いた。射精は、しなかったのだ。
ホストは全員、身を整えてユイマがバスタオルを持ってくるとアクメに達して寝そべっている桜見世子の全裸の上に掛けた。
世子の尻の穴に入れていたトンリンは彼女を見下ろして、
「総統閣下は意識を失っているようだ。ユイマさんとチントンはチベット仏教僧だったらしいけど、総統は大丈夫?」
と視線を彼らに投げて問いかける。ユイマは落ち着いて、
「もうすぐ目を覚ますだろう。日本紅党には我々も入った方が、よさそうだな。」
と答えた。チントンも同意して、
「桜見総統は見所があるよ。彼女の乳房は柔らかくて、しっとりしていた。乳首の硬直度も凄くてね。」
桜見世子の最重要穴に入れていた大和も、
「ぼくも日本紅党には入りたいです。」
と決意を披露する。

 JR東京駅からリニアモーターカーで出発したホストの大和。桜見世子が意識を取り戻す前に中国人ホストのマンションを出て来た。JR新宿駅から東京駅へ行き、リニアモーターカーに乗った。新幹線より高い料金となるがスピードは速い事は確かだ。中国では速度の遅いリニアモーターカーは随分昔に開通している。
リニアモーターカーの窓の外に見える景色は地下が多い。最初は品川駅からの出発なのだったが遂に東京駅から乗れるようになった。それでも地下に降りないと乗れない。日本の地下を通って進むリニアモーターカー、ホストの大和を乗せて何処まで走るのだろう。
三時間を切る時間で到達した駅で大和は地上に出る。そこはJR博多駅だ。駅構内の喫茶店でコーヒーを飲み、寛いだ大和は店を出て地下に降り、今度は福岡市営地下鉄で南福岡駅まで行くと、そこを出て地上に出た。その前に駅の便所で顔を洗うと、おやおや不思議、大和の顔は中国人から日本人の顔に変貌した。
誰の顔に?それは、すぐに今から分かる。線路を渡れば自衛隊の基地が見える。門まで歩いて身分証を提示して中に入ったホストの大和、いや彼は今はホストの顔とは違う、そう時・流太郎の顔になったのだ。地下へ下り、元海教官の部屋へ行く。
椅子に座ってパソコンを見ていたた元海一等陸佐は流太郎を見ると、
「おや、久しぶりだな。会社の方は、うまくいっているか。」
と話した。
「ええ、なんとか、やっています。それにしても重大な情報が手に入りました。」
と身を正して話した流太郎に、元海は、
「ほう。どういう情報だ。」
「日本紅党という共産主義の政党が結成されます。」
「なにい?それは重大事だな。共産党が政権を取ったら自衛隊はクーデターを躊躇なく起こす。」
「なにか女性の左翼活動闘士が総統になるという事で。」
「問題がありすぎるな。で、君は、どうするつもりだ、時君。」
「その紅党に入党予定です。」
「それは、よろしい。活動資金などは遠慮なく言ってくれ。で、君は東京でホストクラブに潜入して、その情報を掴んだという事だな。」
「まあ、大体、そんなものですが、正確には中国人ホストの住んでいるマンションに、その過激派左翼の最高幹部、桜見世子が来たんです。それで我々五人とセックスプレイをしました。」
それを聞いて元海一佐はニヤリとし、
「お盛んな党首だな。日本紅党か。だけど百年以上前に日本赤軍というのが、あったが、あれは警察の機動隊とかで対処したんだ。日本紅党が過激派左翼でも自衛隊は出動しないだろうな。ただ裏で関われるのは情報第三部としては行えるよ。だけど対日活動をする組織などに対処するのが最優先事項だからな。その中国人ホストも怪しげだな。」
「そうみたいですよ。だから新宿のホストクラブに入りました。」
「うむ、それを示唆したのは我々だ。中国の対日工作は多岐に渡る、とはいえ彼らの狙いは日本よりもアメリカらしいね。」
「そうでしょう。いずれ中国はアメリカを支配下に置こうと目的を持っているようです。」
「だろうな。情報第三部はアメリカの為に働く必要はないものな。だけど一応、日本とアメリカは同盟国だし・・・匙加減が難しい所だね。日本にいる中国人は日本工作が狙いだから、予算はタップリと採れる。頑張り給え。」
「はい、頑張ります、元海一佐。」
「本池釣次郎君は、どうしているかね。」
「合同会社の留守番を、させていますよ。もっとも、彼は中国の女工作員を追っていますから会社の部屋に、居続けさせても、よくないので会社の固定電話を本池のスマートフォンに転送させています。電話は、ほとんど掛かってこないようです。」
「今のところ指示する事は、何もない。君達は自由に行動して報告書をスマートフォンで送ってもらえばいい。中国人ホストは調べていくと、いいよ。ではな。また東京へ行きたまえ、福岡に今のところ中国人ホストは、いないなー。」

 という事で、流太郎は福岡駐屯地を出てJR線の鉄道の線路を渡り、会社の事務所に戻ると本池釣次郎が自分の机の前に座っていた。釣次郎は流太郎を見ると、
「社長。お帰りなさい。ホストクラブに入って、どうでした?」
「上手くいったよ。中国人ホストは中国の工作員だろうと確信している。日本紅党の女党首ともセックスした。」
「日本紅党?ですか?そういうのが、出来たんですね。」
「過激派左翼の独身女性で皇族の血を引くと自称しているのが紅党党首で総統なんだ。」
「総統って珍しい名称ですね。」
「そうだなー。左翼なら書記長とか首席とか色々呼び名は、あるのに。アドルフ・ヒトラーを意識しているのかもしれない。」
「なんですか、そのアドレナリン・ヒットラーって。」
「アドルフ、だ。随分過去に実在したドイツの政治家で、従軍経験もある。桜見世子総統は自衛隊に体験入隊も、していないと思うよ。」
「そうですか。我が社は自衛隊と関係していますよ。その桜見世子って危険ですかねー。」
「今のところ影響力は少ないな。三十歳になったか、どうかの年齢らしい。紅党の実態も掴まなければ、いけない。」
本池釣次郎の目に燃え盛る好奇心の炎が炎上し始めた。釣次郎は、
「僕も手伝いに行かなくて、いいんですか?社長。」
流太郎は立ったまま、
「今のところは、いいよ。それより、中国人の顔にするメーキャップを手伝ってくれ。自分一人では面倒だ。」
「はい、社長。いますぐ、やります。」
釣次郎は机の中を引き出して特殊化粧の道具を取り出すと、時・社長の前に行く。釣次郎は、
「ここで、やってしまいますよ。」
と云うと、手にした薄い膜を最初に流太郎の顔に貼ると、その上に中国人の顔に見えるように化粧を、していった。

 予算が豊富に取れたので流太郎は福岡空港から羽田空港まで空の移動を行なった。東京郊外の町田市に部屋を借りている流太郎だ。ホストクラブは一週間ほど休む事にした。電話をすると店長が出たので流太郎は、
「少しダルイので一週間ほど休みます。コロナウイルス感染だと大変な事になりますから。」
と話すと店長は、
「そうか。ゆっくり休んでいい。一か月休んでもいい。PCR検査は受けたのか?」
「いいえ、この程度では受けさせてもらえません。もっとヒドクならないと受けさせてくれませんよ、店長。」
「そうだな。少しのダルさ、ならスグに良くなるよ。ゆっくり休養するように。」
という事で電話は切れた。
実は流太郎、体がダルイところなど、どこにもない。例の桜見世子を探る必要があると思ったのだ。そういう予算が会社宛てに振り込まれた。ホストクラブで働くよりも高い資金が入った以上、自衛隊の別働部隊に所属している流太郎としては、元海一佐からの指示なしでも動き始める。桜見世子については緊急に調査を要する人物では、ないらしい。が、あのような人物は、そう他には居るものではない。
 調査の初めは楽なものでインターネットから調べれば、よい。桜見世子で検索すると出て来た。なんとフェイスブックとツイッターにアカウント登録していて本名で活動中だ。そこから、かなりな情報を取ることが出来る。特にフェイスブックでは自己紹介、友達、なとで桜見世子の交友関係も分かってしまう。おそらく今の探偵は、これを使って調べない事は、ないだろう。
(あ、そうだ)と流太郎は思う。フェイスブックを開設しなければ。本名なんて載せる訳に、いくものか。偽名でも調べられる事は、ない。三空冬樹(みそら・ふゆき)の仮名で登録する。顔写真は・・・すぐに載せなくても、いいや。
よし、出来た。これで桜見世子に友達申請が出来る。ただ、その前に彼女のフェイスブックページに、いいね、を押さないと友達申請は出来ないのがフェイスブックの仕組みだ。これを知らない人も結構いる。
日本紅党最高幹部、桜見世子、経済学部卒業。大学名は表記されていない。おそらくマルクス経済学を学んだのだろう。党員募集中、とフェイスブックで募集している。
まず流太郎は桜見世子のフェイスブックのページに、いいね、を押した。自分のフェイスブックのページは、ほとんど白紙状態なので果たして桜見世子が、どう思うかだ。その上で友達申請をした。メッセンジャーで日本紅党に入隊したいです、とダイレクトメッセージを送ったのだ。
すぐに返信などは、来ないであろう。今は朝の八時だ。九時ごろにマンションの部屋を出て、都心に向かう予定の流太郎、町田駅近くに部屋を借りている。人妻デリヘルの多い町田市である。
まだ一時間は、ある。ネットサーフィンというより検索して桜見世子のツイッターのアカウントを発見、クリックしてみる。フォロワーが五十人程度、この位ではアフィリエイトのASP(運営会社)などではインフルエンサーではない、と判断する。
それは正しいとは限らないが、有名人には、やはり程遠いフォロワーだ。ツィートも毎日は桜見世子は、していない。
ーすごく、おいしい飲茶の店を見つけました。
などというツィートもある。日本紅党・党首とプロフィールに記載しているが本気で受け取る人も少ないだろう。
日本を共産主義社会へ、というメッセージも寄せている。ここへのツィートを流太郎は今のところ遠慮した。それに、まだツイッターのアカウントを作っていなかったので、早速、開設した。オールモーメントという自社の会社名をアカウント名にした。商用利用と見られるだろう。そうして桜見世子のツイッターをフォローしたのだ。
 それから流太郎は町田市のデリバリーヘルスのサイトを見て回る。町田市デリバリーでは宅配の会社がズラリと出て来たので、町田市デリバリーヘルスで検索しなおした。すると、まとめサイトのようなものが出てくる。一店舗ごとのサイトを見るより色々な店舗が見れるのだ。とはいうもののデリバリーヘルスとは無店舗型の性風俗だ。店に行って、やってもらうのではなく自分の部屋に来てもらうものだ。そのサイトで見ていくと、なんと!桜見世子に似た女性がデリバリーヘルスの店に在籍しているようだ。よく似た女性は世の中に、いるものだ。ただし桜見世子よりは若い。桜見世子は自称、三十歳なので多くの性風俗店では働けない事になる。

SF小説・未来の出来事27 試し読みをどうぞ

天神中央公園で水馬社長がズボンのポケットから何かを落としたとしても、それは重いもの、例えば財布などではないはずだ。彼は何かを落としたことに全く気付かなかった。紙谷と水馬社長は、しばらくして天神中央公園を立ち去った。
 その日の夜、公園のベンチで寝転んだ三十代の男性失業者は、即睡眠の状態に入った。ハローワーク求人で紹介された企業に明日から働くことに、なっている。その安心感から深い睡眠に入った模様だ。ガキリ!という感触を喉に感じて目を覚ました浮浪者は目の前に髪の長い女性が立っているのを見た。彼女の口からは赤く染まった牙が二本見える。が、顔だけが人間で首の下の部分は樹木のようだ。両腕に見える二本の枝があり、その先端は人間の手のように五本ずつ指のような小枝がある。浮浪者は(化け物!植物人間だ。もしかして、おれは・・・)と思い、自分の首に手を当てると何かに噛まれたように血が滲んでいる。(うわああーっ、吸血植物!!)ベンチから立ち上がると就職が明日から決まっている浮浪者は多目散といった視線で逃げていった。人間に似た植物は足に根が生えてはいなかった。一本足の人間が移動するように、ポンポンポンと飛び上がりつつベンチから離れていく。
 公園を逃げ出した浮浪者はネットカフェに逃げ込む。朝、目が覚めると胸の辺りに異変を感じた。上着とシャツを脱いで鏡に映してみると、「うわああああっ。」と浮浪者は声を上げてしまった。自分の裸の上半身は樹木の幹に変わろうとしている。すでに人間の肌では、ない。立ち上がると両脚は、くっつきかけている。それを開こうとすると樹木の粘液のようなものが両脚を接着させようとしている。それを無理に離してズボンを履いた浮浪者は、ふくらはぎの辺りも樹木に変わりかけているのを見た。かああああっ、と泣きたい気持ちになる今日から出社する浮浪者だ。会社に行かなければ、いけない。ネットカフェの料金を精算すると重い脚を動かして、外に出た。今日から働く会社も天神にある。あのネットカフェも北天神にある。天神中央公園からは一キロほど北へ逃げた浮浪者だった。今日から通勤する会社は天神の東にある。スマートフォンで時刻を見ると出社の午前九時には、まだ時間があるので浮浪者は天神地下街のモーニングサービスをしている喫茶店でコーヒーとパンの朝食を椅子に座って取った。自分の体内は、どんどんと変わっていっているみたいだ。(二酸化炭素を吸いたい)と何故か思った浮浪者。店内で高くつく炭酸飲料を注文した。ガラスのテーブルに置かれたコップに泡立つ清涼飲料水をゴッ、ゴッと飲み干した浮浪青年はレジで会計を済ませると、外へ出て勤務を始める会社のあるビルに近い出口から地上に上がった。徒歩で階段で登り、地上の光を浴びると周囲を歩く背広姿の出勤者と違い、私服の自分は契約社員である事をメリメリと自覚したのだ。ビルに入りエレベーターに乗ると、他の人が自分が降りる階数を押してくれた。私服姿は自分だけで、大学を出たのに就職をしなかった自分を強く自覚した。新卒しか社員に迎えない会社だが頑張りようによっては正社員に雇用されるという面接官の話だった。インターネット関連の会社でレンタルサーバーを福岡市から展開している。格安が売りで業界第二位のシェアを誇っている。会社の玄関を入ると「おはようございます。」と大声で挨拶した。受付の女子社員が赤い制服姿で、
「おはようございます。新星(しんほし)さん、仕事場まで案内します。」
と云うと立ち上がり、彼女に連れられて入ったのはレンタルサーバーを監視している部屋だ。エアコン空調を入れているが、ともすると熱くなってくる。その監視などや、その他の業務を手伝う仕事だった。三十に近づいているだろう外見の女子社員が椅子に座ってサーバーを管理している。受付の女性が「契約社員の新星さんよ、優しく教えてあげてね。」
と声を掛けると管理社員はニコリとすると、
「新星さん、よろしく。わたし後場頼子(ごば・よりこ)って言います。なにか株式市場の名前みたいだけど本名です。来月、結婚する事になって寿退社するから、来月からは新星さんに仕事を任せられると思う。色々と教える事があるけど、一か月で、かなり覚えられるわ。うん?」
後場頼子は新星の両手を見ると、
「手に植物に見えるアクセサリーをしているなんて珍しいわね。あんまり派手な飾りは、しない方が、いいわ。」
と指摘した。新星はサッと自分の手を見ると、それは、いつの間にか樹木の枝のようになっているではないか!これは、一体・・・冷や汗が出る新星だが平静を装うと、
「あ、これですね。新しい手袋なんです。涼しい手袋なんですよ。サーバーが置いてある部屋は、とても暑いって聞きましたので。」
後場頼子は面白そうに笑うと、
「ほほ、そうなの。それなら座って、仕事を教えるから。まず最初に、あっ、新星君!何よ、その口は・・・・。」
新星は座った途端に唇の両側から二本の長い牙が出て来た。彼は自分で、それを右手で触ると、
「あ、これですか!(おれは変身していっているんだっ)これはジョーク・グッズを付けてみたんです、面白いでしょ、後場さん。」
「なーんだ、そうなの。ふざけすぎは、いけないわ、仕事が始まっていま・・・キャアッ!」
後場頼子は椅子に崩れ落ちるように失神した。首筋には牙で噛まれた跡があり、薄く赤い血が滲んでいる。新星は彼女の首筋を噛みたい衝動に駆られ、実行してしまったのだ。(大変な事を、してしまった・・・。もう、ここには居られない!)新星は部屋を出ると会社の玄関に向かう。受付の女性は、その場に居なかった。彼は走るとマズいと思い、平静な足取りでエレベーターに乗り、会社の雑居ビルを出た。こんな時に、コロナウイルス再燃で誰でも多くがマスクを付けているから、新星も部屋を出る前にマスクを着用して会社を出たので唇の両端から出ている二本の長い血に染まった牙は誰にも見られなかった。通りにあったコンビニで白い軍手を買い、便所で軍手を両手に嵌めると新星はコンビニを出た。レジでは軍手を右手で素早く置いて、金を払うと素早く取ったので木の枝になりつつある両手を東南アジアの留学生の女性に気づかれずに済んだ。コンビニを出て大阪以西の最大の繁華街を歩く新星は天神中央公園で昨晩、吸血植物らしき女性に襲われた事を思い出した。自分も、あんな風に変貌するのだろうか、そして自分が首を噛んだ後場さんも・・・・!
後場さんの血を少量ながら自分は吸っている。うまい、人間の血が、こんなにうまいなんて考えてもみなかった事だ。それに活力が溢れてくるんだ。人を殺しても、その肉を食べ血をすすらないなんて勿体ない事だ。宗教で、というよりユダヤ教で汝、殺すなかれという戒律を設けたのは人肉や人の血のおいしさを知った人間の更なる暴行を止めるために作ったものなんだ。コロナ再燃で失業したオレだ。高級焼き肉店で働いていた。金持ちが来店しては高価な霜降り肉を食べて行ってくれた。福岡市にも富裕者は多いし、北九州市や久留米、その他からも来店してくれる。何故、俺がそれを知っているかというと、その高級焼き肉店では会員を募集している。で、その会員になるためには住所と電話番号を申込書に書いて出さなければ、ならないからだ。大卒の俺は会員名簿の作成管理を任されていた。だがコロナウイルスの再燃で来客は、いきなりゼロになった。金持ちという人達は情報を取るのも早いらしい。一般人より迅速に行動する。営業自粛なんて要請されなくても客は来なくなるんだよ。福岡市で家賃補助なんて抜かしやがる、アホが。うちは自前の土地建物で高級焼き肉店を運営しているんだ。経営者に呼ばれたから社長室に行くと、丸々と太った禿げ頭の社長、六十代に、
「新星君、お客さんが来なくなったから給料は払えないし、仕事もあげられない。自宅待機とか在宅勤務なども、提供出来ないんだ。別の仕事を探してくれ。会員の名簿管理も会員さんが新しくできるから仕事をしてもらえていた。高級路線で走っていたウチが、いきなり低価格店舗に切り替えても誰も来ないだろうし、数か月は続くコロナウイルスの再発らしいし、従業員は全員解雇せざるを得ない。申し訳ないけどハローワーク求人で再就職を探してほしい。心ばかりの退職金は、この封筒の中に入れている。」
と社長は茶色い封書を俺に渡した。
 会社を出てビルの日陰の部分に入り茶封筒の中身を出してみた。三万円、安いソープで女を抱き、溜まっている白濁液を洗いざらい女の壺に放出できる額だ。日本経済は百五十年、物価が上がらない。
これにはコロナウイルスの活躍も、その要因だろう。ヨーロッパの人口は一億人を切り、アメリカは二億人を切る人口となっている。日本の人口は一億二千万人程度だ。物の価値とは希少価値という言葉があるように供給が需要を上回ると価格は下降する。生産が少ないものには高価な値が付く。もしも地球の砂浜の砂が全てダイアモンドならばダイアモンドの価値は、ないのだ。コロナウイルスの活動で地球上の人口が減り、生産過剰となれば物の価値は右肩下がりとなる。又、日本の人口における女の人数が男を上回れば日本人女性の価値は下落するのである。重婚を認めない、つまり一夫多妻を法的に認めない日本という国は女性の余りを救えないから、ある女性は日本人男性との結婚を諦めるしか方法はなく、それでも日本人男性の陰茎の長さ及び周囲の最大値を自らの膣内に於いて感覚的に捉え、できれば快楽を全身で堪能し性的頂点に昇り詰めつつ、しかるのちに男性に自分の女性の器官を提供した、その対価として金銭を得せしめんとする職業に従事するという方法においてのみ日本人男性の体を知るという、やり方が妥当なものである。しかるに、こういう日本人女性の急増に至り、ソープの価格も上昇しない現象を惹起せしめている日本である。加えるに草食動物化する日本の若年層の男性が風俗、ソープ離れを起こしているから値上げができないソープの価格なのである。
まだまだ日本人女性の価値が上昇しない理由があるのだ。それはインドネシアの若い女性が大量に日本に来て働き、しかも日本人男性と結婚する例も増えて来た。それで、そのインドネシアの女性は日本に帰化して自分の宗教、つまりイスラム教も捨てる場合が多いという。なにせインドネシアの女性は一億人以上いる。男性も含めての平均寿命は30代半ばであるから若い女性は多い。彼女達が五百万人、日本に来て働き、日本人男性と結婚すれば日本人女性の結婚浪人の数は急増、爆増は不可避的なものとなる。それは徐々に起こりつつあるのだ。インドネシアの女性で可愛くて胸の大きな女性は昔から多く、おとなしい日本人女性では太刀打ちできない事も多々、あるのだ。鎖国して外国人を入れないで、しかも身分制で女性の結婚先まで両親などに決めさせていた時代の名残りは益々、日本人女性を結婚不利へと導いたのだ。それで福岡市にも久留米から男を探しに若い女性が西鉄電車で天神に、やってくる。天神中央公園にも足を運ぶ久留米のOLである。占い師に見てもらったら天神中央公園で素敵な彼氏が見つかるかもしれない、と言われたりもした。
それで今、久留米から会社が終わって天神に一人で男探しに電車で来た白い服装のAさん、二十五歳、独身は仮名として有菜(ありな)と呼ぼう、その割と美人な女性というよりトテモ美人な女性、だから独身の場合もある、は肩の下まで伸びている長い黒髪を掻き揚げつつベンチに座った。そのベンチの後ろには樹木が多く酸素に溢れているから有菜には心地よかった。久留米には男性が少ない。上司の既婚男性との不倫だけは避けたい。会社で事務をして外に出ないので色白の有菜は、でも豊満な胸を持っている。福岡市は明石標準時より遅い日没のために夏は七時過ぎも明るい、でも夕暮れは確実に訪れて天神中央公園も夕闇が全てを隠そうとしていた。白い服なので有菜の胸の谷間はクッキリ、ハッキリと明示されているが昔からの心理学の実験データに出ているように男は美人を避けていく、という実例が有菜にも適用されたらしい。誰一人の男性もベンチに座っている有菜に声を掛けなかったのだ。(わたしって魅力ないのかしら?)と思う有菜、そんな彼女を一顧だにせず太陽は地平線の見えない福岡市からも姿を消した。バサッと音がした。有菜は自分のふくよかな胸に木の枝が当たっているのを見る。それも左右の乳房の上にある、もちろん服を着ているのだが。その左右の木の枝は丸で人間の手のようだ。自分の乳房に感じるものも木の枝と云うより人間の、しかも男性の手のようだ。だが木の枝らしく動かないので有菜は、その枝を手で払おうとすると、その左右の木の枝は有菜の乳房をグイッ、グイッと揉む様に掴んで動いた。(あっ、オッパイを揉まれている、でも気持ちいいっ)と有菜は感じた。有菜は枝を払おうとした手を白いミニスカートから露出している柔肌の白い太ももの上に置いた。木の枝は人間の男の手のように有菜の乳房を服の上から揉み続け、時々、一本の枝で彼女の乳首に触れるとコリコリとピンクの乳首をいじった。硬くなっていく乳首を有菜は感じるとミニスカートで露出してている太ももを少し大胆に開いてしまう。ベンチに座っている彼女の正面に立てば有菜の開いた太ももの奥の白いパンティが湿り気を帯び、縦にスジを露わにしているのが容易に見えたはずだが公園には誰もいないし太陽は完全に姿を消していたので誰も有菜の開きかけた秘部を見る事はなかった。右の乳房から枝が離れた。あ、と有菜が思っていると、その右の木の枝は有菜の股間に滑り込んでくる。すぐに木の枝は有菜の股間を覆っている白い薄い布地の割れている個所を下から上になぞるように動いた。それは男の指で自分の恥部を愛撫されているかのような動きで有菜は脳が蕩けそうな快感を覚えたので赤い唇から赤い舌を出すと自分の唇を舐める。やがて右の木の枝は有菜の股間の割れた部分にパンティの上から奥へと侵入する。まるで男の指を受け入れたような感覚に有菜は背をのけ反らせると、ああん、と耐えられないように声を出した。有菜は左右の木の枝に抱きかかえられてベンチの上に浮き上がった。快感で陶酔しているので白い両脚は広げている。後ろの木が彼女を抱えているのだ。次にベンチの後ろに有菜を立たせると左右の木の枝は彼女の白いミニスカートの中に潜り込み、彼女の白いパンティをズリ降ろしたので白い薄いナイロンの布は有菜の膝の下辺りに、とどまっている。有菜の胸と股間を抱き寄せた木の枝は後ろから樹木の中心部から突き出した男根を有菜の女性の淫窟に入れていく。(はああんっ、そんなの・・・いいっ)樹木に犯されている気分の有菜だが心の中では樹木に扮装した男に後ろから嵌められているのだろうと予測した。というのも自分の中心の穴に入った男のモノは人間の肌である陰茎の部分やキノコのような亀頭の部分を感じられたからだ。有菜は処女ではあったがローターなどで自分のモノを弄っていた事がある。ホストクラブで露出させたホストの陰茎を見るだけでなく握った事もあるから亀頭や陰茎の肌触りも覚えているのだ。誰もいないとはいえパット見ただけでは、木に背中を付けて揺れているミニスカートの女性にしか見えなくもない。膝のあたりまで白いパンティを降ろしているのも暗くて見えにくいのだ。それでも木の一番上の部分は人間の男の顔だった。女を後ろから犯して楽しむ男の顔。それは失業者の新星の顔だ!!新星は天神中央公園で木に扮して獲物を待っていたのだろうか?
新星にしても久しぶりに抱き、勃起肉を入れる女の、それも若い女の体だ。その若い柔らかな淫肉に欲棒を突き入れる快感も失業してからは味わえなかったのだ。金を出して抱く女よりもイイ感覚がする女だ。後ろから突き入れて木の枝に変わった五本の指ではなく枝で女の乳房を揉む。まだ首や頭は動くのか試しに前に頭を倒すと前傾したので女の白い首を舌を出して舐め回してやる。女は感じたらしく首を少し縮めたので、右手は乳房から話して女の股間のクリトリス(陰核)を擦りまくると、それは肥大してきたようだ。でも強姦ではなく和姦なのだ、女は逃げようとしなかった。夜になった街中の公園は誰もいないし、そこで若い豊満な結婚前のOLを後ろから嵌めて激しく、または緩慢に張りきった亀頭と陰茎を女の膣内で運動させるのが、こんなに気持ちがいいとは新星は知らなかった。張りきった男根。張りきって、いこう、とか、張り切って頑張ろうなどという言葉は実は性的な意味があるが放送禁止用語ではない。
植物というか樹木になりつつある新星だ。完全に樹木になれば陰茎も木の幹の中に消えるのだろうか、それは新星には分からない。それよりも今を楽しもう。二十分は女の秘窟を出し入れしている。ん?ついに締め付けられるのを感じた新星は耐え切れずに二発連続で発射してしまった。女も激しく白い大きな尻を揺り動かした。樹木になりつつある新星は右手で、というより右枝で女の白い右足を高く上げさせて、左手で女の腰の上あたりを支えると、女を自分の方に向けさせた。トロンとした目で女が、つまり有菜が上を見上げると、
「きゃぁぁぁぁぁっ。」
と高い声を上げたが、周辺には聞く犬とて居合わせなかった。新星は言葉を掛けようとしたが、中々、声に出せない。小さくなった男根は有菜の尻の中に入ったままだ。有菜は化け物から逃げ出したかったが、それは大脳の新皮質で思考したのであって大脳の旧皮質、つまり本能は性の快楽を楽しみ続けたいので白い両脚を有菜は動かしも、しなかった。女は子宮で考えるなどという形容は適切ではなく、子宮に影響される又は神経線維により接合された脳内に於いて思考を発生させるので、しかも、それは大脳の前頭葉か、それ以外の部分で考えるかによっても思考過程は様々な選択肢を彷徨うものであるけれども、睡眠欲や食欲と同じく考える必要のない性欲に有菜も大脳の判断に身を任せることになる。化け物でもいい、さっきの交接は気持ちよかった、それに縫いぐるみを着た青年かもしれないではないか。髪の毛の一部が木の葉になりつつあるのは縫いぐるみとして良く出来たものかもしれない。有菜はジッとしてていると植物人間に抱きしめられ顔を近づけられてキスをされた。有菜の赤い唇は割られて男の舌が這入り込み、有菜の舌と絡み合う。有菜は、その時、自分の穴の中の男のモノが勢いよく膨張し始めて、それは見る見るさっきの長さと太さを取り戻したのが分かった。二発、発射した割には回復が早い。独身男性なのだろう。それならば何ら問題は、ないではないか、と白い大きな尻を揺らせながら有菜は考えている。ぬいぐるみの若い男に福岡市の中心部の公園でガンガンと突きまくられ有菜は心地よさに意識を失っていった・・・。
新星は女が意識を失い地面に倒れたので接合していたモノも外れてしまった。新星のその部分は未だに屹立していたが、彼は慌ててズボンの中にモノをしまうとジッパーを上に上げる。
気持ちよさそうに地面に寝ている久留米の女を見ていると新星は抑えきれない衝動のままに両膝を有菜の前について顔を近づけて彼女の喉元を軽く噛む。その時には新星の口から長い牙が二本出ていたので、いとも容易に有菜の喉から血を吸えたのだ。大量に血を吸ったり出血されると女は死ぬので新星は、その辺は巧みに噛んだ。
すぐに立ち上がると新星は公園を出た。背広のポケットから軍手を出して両手に嵌めると天神駅に向かって速足で歩き、地下鉄七隈線に乗った。階段を降りつつ新星は自分の行く先を刹那的に考えていたのだ。野芥駅で降りると階段を登り地上に出た。夜なので暗いとはいえ街灯や車道の車のヘッドライトが明かりを、もたらしている。

SF小説・未来の出来事26 試し読み

そこで水馬社長は聞いてみたのだ、カリスマンに。
「阿片と言うものは中毒性や何か人体によくないから世界各国で禁止されているようですが。」
「ああ、その事かい。いずれ問題になるような事は我々は最初からしないよ。その辺は安心していてくれて、いい。」
カリスマンは念を押すような顔をすると、
「せっかくだから外に出てパキナ星を見ていこうよ、水馬君。君とは永続的なビジネスパートナーシップを組みたい。パキナ星は地球の二分の一の大きさで、我々人類の他は植物だけ、とさっき話したね。それを見に行くのは植物園が、いいだろう。」
「それは是非、見せてください。地球の植物とは違うものが多いんでしょうね。」
と水馬宇摩士は関心を目に示す。
「それは違うよ。徹底的に違うものもある。自動車で行こうか。」

 オープンカーに乗ってカリスマンと水馬宇摩士は車道に出た。車輪が無くて地上より浮上し、前進する。それも半重力による推進だそうだ。だから!車道とはいっても地球のようにアスファルト舗装など、されていない。タイヤを必要としないせいだろう。水馬宇摩士は助手席で風を感じつつ、
「これでは車両税なんて要らないですね。路面も傷まないし。」
ハンドルを握っていなくて自動運転させているカリスマンは、
「ハハハ。この星には税金が、そもそも存在しないよ。」
と軽く答えた。水馬宇摩士は不思議そうに、
「では政府は、どうやって運営されるんですかねえ。」
「それがねえ、後払いになっているんだよ。」
「後払い?ですか、一体、それは・・・。」
「うん、政府は一年単位で行政を行なう。それで住民の満足度によって税金を納める額は国民で決めるのさ。」
「それでは税金を払わない人も、いるんでは?」
「いや、いないよ。税金を払わないと水道を止められる。水道代は税金の中に入っているから。」
屋根のない車の助手席での眺めは、郊外から街中に入ったらしい。建物の窓はカリスマンの家の部屋の窓のように上下の高さの幅が狭い。その代り、というか道路を走る車はオープンカーが多いようだ。地球と似た星だが植物が多いせいか酸素が多いらしい。自動車も化石燃料を燃やして走る原始的な車ではないため、二酸化炭素も出るわけがない。車道も歩道も同じような空気だ。
外に出た時は暑く感じた水馬宇摩士もオープンカーの助手席では涼しく感じる。吹いてくる風だけのせいではないようだが?水馬は、
「涼しいですね。エアコンもないのに。」
「うん、後部座席と前の座席を透明な壁で覆ったのさ。それで直射日光を、さえぎっている。ぼくらの頭の上に、その透明の防護シートみたいなものが出ているよ。それで雨が降っても上からは降らない。雨の場合には目の前まで透明な防護シートを降ろすから雨に濡れることはない。オープンカーには標準装備されているよ、この透明な防護シートはね。」
との事だった。
 飛ぶように走る、形容詞ではなく、そんな車だ。地球では考えられない車に水馬宇摩士は乗っているのだ。
 動物のいない星だから動物園はなく、植物園はあるというけれど、一般的には興味を持たれないのではないか、と水馬宇摩士は考えていた。それが植物園の前の駐車場にカリスマンの車が停まり、歩いて二分の場所に植物園の入り口があったが少し行列が出来ていた。入場料はカリスマンが水馬社長の分も払ってくれた。植物園の中に来ている人たちの肌の色は地球で言えば黄色人種のものが多い。カリスマンは室内に籠っていることが多いため、日焼けしないのだろう。パキナ星のあちこちに見られるような植物を植物園に置いていても入場料を払う価値はない。
 入り口を入ると屋根のない場所で、なんと!そこには見上げても見上げきれない高さの樹木が天を目指すかのように地に根を生やしていたのだ!高層建築物のような樹木である。表示板にはパキナ星の言語で説明しているため、水馬宇摩士には分からなかった。カリスマンは日本語で、
「この木は高さ1500メートルは、あるよ。」
と云う。地球の日本の山でも1500メートルは高い山だろう。パキナ星の植物の生命力には驚かされてしまう。カリスマンは続けて、
「この木の樹齢は千年に、なるらしい。」
パキナ星の人の寿命は五百歳らしい。水馬宇摩士にとっては晴天の驟雨だった。それから屋根付きの部屋に入っていくが、天井の高い植物園だ。
直径10メートルのスイカのようなものが展示されている。高さも十メートルは、ある。水馬社長は、それを見て、
「西瓜の和菓子が何人分作れるか分かりませんね、カリスマンさん。」
と右横のカリスマンに話す。ゆったりとした表情でカリスマンは、
「あの果物は、この植物園でだけ栽培しているんだ。いずれ市場に出るが、価格はね、普通のあれ、地球の名称は西瓜、と同じ値段だ。これを見るためにパキナ星の、あらゆる場所から見物に来るよ。
ぼくらパキナ星人が富裕なのも実は、ここにある。食べ物に不自由しないのさ。働かなくても生きていける。」
「本当ですか、夢みたいですね。」
「政府で生活費を支給してくれる。でも、それより働いた方が収入はいいから遊んでいる人間はパキナ星には、いないよ。所得税は払わなくて、いいし。」
「うわーを。それでは天国ですよ、ここは。」
「地球は地獄に近いだろ?太陽の恵みが乏しいから、それで地球には貧困が生まれるのさ。庶民から税金を取らないと政府が成り立たないものね。地球のどこででもなく確か産油国の何処かも無税だったんじゃないかな、地球の。」
「産油国は太陽の恵みが、あるんですねー。日本は石油は出ないし。」
「そうだ、だから働いて金を稼ぐしか、ない。」
小さな石油の貯蔵タンクのようにも見える緑色の巨大な果実。飽きずに眺めていたい水馬宇摩士だったが、ふと、聞いてみたいのが、
「もしかしてパキナ星の人には癌はないのでは、と思いまして。」
「ああ、いい質問だ。癌に限らずパキナ星人には病気が起こらない。千歳、いや二千歳まで生きられるのが普通だ。」
「それでは老人になって生き続けるという人生ですか。」
「いや違う。老化は死ぬ五十年前から始まる。千歳で死ぬ人もいる。」
その話に感銘を受けた水馬社長は口を閉ざした。カリスマンは歩き始めたので水馬宇摩士も随行する。
 高さ四メートルの樹木が向かい合うかのように立っている。その樹木の半分の高さ、二メートルほどの地点に一方の樹木に人間の陰茎のようなものが二十センチほどの長さで垂れ下がっていた。
もう一方の樹木の半分の高さには人間の女性の陰部に相当する割れた部分があったのだ。
だが何気なく見たのでは気づかないし、水馬宇摩士も通り過ぎようとしたのだが、カリスマンが立ち止まったので水馬も急停止して、
「カリスマンさん、どうしました?」
「あ、ああ。あの一対の樹木なんだが、夫婦木と言われているんだよ。」
「夫婦木?ですって?何でしょう、それ。」
「フウフキ、では分からないだろうね、メオトギ。と言えばいいかな。」
「めおとぎ、ですか。目を研ぐんですか?あの木に目があるんですかねえ。目を、どうやって研ぐんでしょう。」
「研磨ではないんだよ。カップルだ、男女のね、これで分かるだろう。」
「ああ夫と妻、ハズバンドとワイフですね。(水馬は目を凝らして二つの木を見ると)ああ、すごいなあ。あれは人間の男女の性器に似ていますねえ。でも、それだけでしょ?」
「いいや、違う。おい、始まるよ。」
と楽しそうに声を上げるカリスマン。
男性の陰茎のような垂れ下がったものを露出している樹木のそれが、まるで人間の男性の性器のように太くなり勃起するかのように屹立したのだ。その先端は亀頭のような形状をしているが、それは伸びに伸びて一方の向かい合わせて立っているような真ん中に女性の陰部の形状を持つ樹木の、その部分に伸びていく。すると!
その樹木の陰茎に呼応したかのように女性の陰部に似ている、その部分は少し開いたようだ。それに、そこが樹液で濡れたようになる。
男の樹木ともいえる、その陰茎に似た部分は女の樹木らしい、その陰部の穴に突入したのだ!
その瞬間、女の樹木は全身を震わせるような動きを見せた。上部にある枝葉を震わせて、それは快感を顕わしているような女性の樹木の姿だ。男の樹木の男性器は女の樹木の性器の中に出没、出る、入るを繰り返す。まるで向かい合わせて立った男女の性交のような動きだ。
来園者は少ないし、大人しかいない。木が交合するなとどは水馬宇摩士には考えたこともない現象だ。しかも、よく雌の樹木を見ると腰の辺りが横に広がって人間の女性のようなのだ。それにしても立っている樹木とは思えない程、柔軟な腰の動きを見せる夫婦木だ。男の樹木の性器のような部分は幹の方向に対して直角の角度で隆起している。やがて男木は腰を激しく連続して振り続けると、その動きを止めた。どうも人間で言えば射精したらしい。水馬は、
「果てましたね。ああいう樹木は精液のような樹液を放出するのですか。」
カリスマンは苦笑いすると、
「いや、大量の花粉を放出するんだ。その点は植物だね。女の木には、あの穴の中に雌しべが、あるんだよ。それで種子が結実したら、あの陰部が開いて夫婦木の種子がバラまかれる。この星で進化した植物として大昔より研究されてきた夫婦木だ。まるで人間のようだし、それに彼らの交わりは地球の動物のような春と秋ではない、一年中だ。神様が作ったような樹木だね。」
「そうですね、あっ!」
雌の木の股間に相当する部分の穴から雄の木の長く硬いものが柔らかく平常時の寸法に戻り、引き抜かれると以前のように男の木の股間にダラリと垂れ下がった。その亀頭に相当する部分には発射した花粉が大量に残っていた。
カリスマンは微笑むと、
「地球にはない植物は沢山、ある。あの若い美人の女性展示員に頼めば面白い事をしてくれるよ。」
と水馬に話すと、夫婦木から五メートルも離れて立っている赤い上着と赤色のスカートを履いて白いベレー帽をかぶって係員のように立っている美人にカリスマンは近づいた。カリスマンに気づいた女性展示員にパキナ星語で何かを話すカリスマン、彼女は少し頬を赤らめると、うなずき、夫婦木に近づいていった。男の木に接近すると彼女はダラリと下がっている陰茎のような部分を白い柔らかな右手で握った。すると!男の木のソレは固くなり、上に陰茎を向け始めたのだ!そして勃起角度は直角ではなく、自分の幹に近づくほど、そそり立った。美人展示員が握った手を巧みに動かして、男の木の陰茎部分を愛撫するように擦(こす)ると、二分で大量の花粉を放出した。それからダラリと垂れ下がる男の木の股間のモノだ。
展示員はパキナ星語で何かを説明した。カリスマンは、
「人間の若い女性の手で握られて、こすられて花粉を出すと男の木は次の日まで花粉を出したり勃起しないそうだよ。彼女は、この星の高等植物研究所の所員で、今は体験的に、ここで働いている。」
水馬は、その神秘的な瞳の若い美人と目が合ったので黙礼すると、彼女も少し金髪の頭を下げた。目は灰色がかった黒色の瞳の睫毛の長い美女で胸も勢いよく張り出している。
 彼女は地球人の水馬を見ても珍しい顔を見るような目をしなかった。その地点からカリスマンと水馬は先に進んで行った。パキナ星は、その星の太陽に、地球と地球の太陽との距離より短いという。その影響の成果として進化した(?)植物が生まれるのかもしれない。
 植物が展示されていない広い場所は円形のソファが、いくつもの場所にある休憩所のような所らしい。カリスマンは無人のソファに腰かけると、
「水馬君、座ってくれ。」
と話しかける。水馬宇摩士が言われた通りにカリスマンの横に座るとカリスマンは、
「こういう植物園にも展示できない危険な植物も、この星、パキナ星には、ある。吸血植物などが、そうだ。」
「吸血植物?ですか。信じられない植物ですね。」
「ああ。地球には、ないだろうからね。この星にも動物が誕生した時期は、あったらしい。四つ足の動物は化石として出土する地域もある。だが・・・。」
「どうなったんでしょうか、その動物たちは。絶滅?したんですか。」
「うん、絶滅している。それは吸血植物のカーキュラに、やられてしまったらしい。近くで寝ている動物に自分の蔓を巻き付けて、その動物の血を吸うのだ。しかも動物の首に蔓が巻き付けられて、まず、それで動物は窒息死するし、ほとんどの血を吸い取られてしまう。抵抗する暇もないまま、この星の動物は死んでいった。」
水馬は茫然として、
「そんな危険な植物は駆除されたんでしょう?この星では。」
カリスマンは首を横に振ると、
「それがね、駆除しきれていないんだよ。地球のライオンやトラでも絶滅させては、いないだろう?」
「ええ、そうですね。そういえば、そうです。」
「吸血植物カーキュラを絶滅させると、この星の生態系に良くない影響を与えると考えられている。野生の植物だし、動物みたいに移動するわけでは、ないからね。パキナ星の小学校で吸血植物カーキュラを危険なものとして図入りで教えているから、人が行かない野原に行ってもパキナ星の人間ならカーキュラを、すぐに分かるんだ。」
「教育されているほど危険な植物なんですね、カーキュラは。」
「そうだなー。だから、この星も行きたいところなら何処でも行けるわけではないんだ。ごく稀にではあるけれど幼児がカーキュラに殺されているという事も数年に一度は起こっている。その場合は、もしかしたら親が自分の子供をカーキュラのそばに置くというのも考えられるから、とはいえ、この星には警察が無いんだよ。」
「警察がないなら犯罪天国ではないですか。」
「それが犯罪なんて殆ど起こらない星だから警察はない。裁判所は、あるよ。検察庁もあるし弁護士もいる。ただ警察は、ないね。」
「それなら平和な星ですね。」
「そうだね、一つの国しかないし。それに一つの大陸しかないから過去に戦争をした事もないよ。」
「どういう大陸なんでしょうか、この星の大陸は。」
「ああ。この星も地球と似た球体なんだけれど、地球で言えば北極のあたりに広い大陸がある。その他は全て海だよ。」
「それでは魚とかは?いるんですか。」
「そうだ、魚類は動物では、ないからね。海産物は豊富すぎるよ。この星の人口は十億人程度。余った海産物は植物の、特に野菜の肥料にしている。それに魚介類も大きくてね。体長が一メートルの海老が一番小さなエビだ、というエビデンスがある。五メートルや十メートルの海老も採れる。地球の海老とは少し違うが、よく似ているし、おいしいよ。だから食べ物の値段は安いんだよ。
地球の経済格差の元は貧困な食料にあると思う。少ないから値段が上がる。宝石も、そうなんだけどね。鰻でも地球のウナギは数が少ないから、高価になるけどパキナ星のウナギは多い上に体長が五メートルはあるから、こちらの鰻丼はコメよりもウナギの方を分厚く載せているよ。地球の日本で鰻丼は、その逆と思うよ、ぼくはね。」
「その通りで、ございますよ、カリスマンさん。でもカリスマン様とは中国で、お会いしましたが。」
「ああ、そうだったね。中国のウナギ料理には、しゃぶしゃぶ、もあったな。日本では、うなぎの、しゃぶしゃぶ、は皆無だろうよ。」
「そうですな。私も知りません。それを日本で、やれば・・・。」
「成功しないだろう。君は中国に和菓子を出すのが望みなんだろ?

「ええ、ええ。左様で御座います、カリスマン様。秘密の成分を、よろしく御指導のほどを。」
「ああ。分かっているともさ。それはタダって訳には、いかない。しかしだ。地球の貨幣を貰っても仕方がない。金貨とかなら若干の価値は、あるけどパキナ星の金の埋蔵量は地球の十万倍は、あるし人口は地球の何十分の一だろう。金(かね)の価値は、それほどないし銀や銅も同じだね。それより創造的なものに価値があるからね、この星は。」
「はあ。わたくしどもの和菓子も創造的といえば創造的ですが。」
「いや、それも自然にあるものを加工しただけだからね。真に創造とはいえない。地球という星は大宇宙を作られた神様からすれば、恵の少ない星なんだよ。地球では金、すなわちゴールドが価値が高いのも埋蔵量が少ないからだ。キリストが何と叫ぼうと大宇宙を創造された創造主は地球を恵の少ないものとして作られた。我々の星、パキナ星は創造主の恵みは、もっとある。地球は寧ろ、ユダヤ人が信奉する宗教のようなものが生きるのに、ふさわしい。
すなわち、だね。物質の方が価値が高いのだよね。古い地球の世界では人が住める星は自分たちのいる所だけ、という発想だった。天動説だった。後は天国や地獄を考えた。神様は地球だけを、つまり人間が住める星として、作られたと考えたのだ。
なんという狭い発想だろうか。キリスト教は、その狭い発想の範囲内にあるのだ。大宇宙はキリストが考えたよりも遥かに、遥かに広大だ。我々の星にはキリスト教も仏教もない。地球の宗教は何もない。パキナ星は海には魚が多すぎて漁師は何時でも楽に大漁になる。雨の少ない年もないので米や小麦粉、その他の野菜が不足する事もない。野菜は例年、余っている。金(きん)が楽に取れる砂漠もある。金が豊富すぎると値段が高くならない。
ダイヤモンド。これもパキナ星には地球のガラス玉と同じくらい、ある。ルビー、サファイヤ、エメラルド、なども大量に採掘出来る星なので、それらの地球の宝石は、この星では珍しくないのだ。
では、われわれパキナ星人にとって珍しいものは、なにか。他の惑星の人間、地球人もそうだが、それも左程、珍しいものではなくなった。さっきの美人展示員が君を見ても平然としていたのを見たね。
 そういう訳で君、水馬宇摩士・君には或る所に行き、或る人に会って或る事をしてもらう。そうすれば対価が得られるので、それを私への謝礼にしてもらいたい。」
というカリスマンの話だ。
水馬宇摩士には良く分からなかったが、
「はい、そうします。それで御役に立てれば、と思います。」
と答えておいた。
カリスマンは立ち上がると、
「植物園は残りもあるけど、外に出よう。出口も入り口の近くだから。」
二人は最短の道で植物園を出た。車輪のない車でカリスマンが向かったのは企業のビルが立ち並んだようなオフィス街のような場所。
日本のオフィス街との違いはパキナ星の企業ビルには、それぞれ広い駐車場があり、そこには車輪のない車が停車している。地上に停車できない場合は地下にも駐車場がある。
カリスマンが停車させた駐車場の企業ビルは三階建てで、ガラス張りの入り口を入ると受付嬢が赤いベレー帽をかぶって受付の場所に座っていた。カリスマンは彼女の方に歩いていくと水馬も後を追った。パキナ星の言葉で話すカリスマンに対して受付嬢もパキナ星語で答える。彼女の肌の色は地球の白人より白い。氷のような肌の色だ。透明ではない氷の部分の白というべきだ。
カリスマンは後ろを振り向くと、
「最上階だ、エレベーターで昇ろう。」
エレベーターも反重力で動いているのか、瞬間的な移動だった。エレベーターを降りるとカリスマンは目の前にある部屋のドアへ行き、立ち止まった。そのドアの上部は広いパネルのような部分で、そこに何と部屋の中にいるらしい金髪で三十代らしき女性の顔が映った。その女性にはカリスマンが見えたようだ。ドアは右に移動して開いた。二人が入ると、その女性は近づいてきて、
「お待ちしていましたわ。カリスマンさん、と地球の方。ミズウマさんね?どうぞ、よろしく。」
地球の北欧の女性をさらに色白にしたような事務服を着たパキナ星の女性は右手を水馬に差し出した。握手をして感じられたのは暖かな手だ、という感触を水馬は感じた。ドアに自分の顔を映すのはパキナ星の独特の習慣だろうか。色々と不思議な思いの水馬の顔を見て、その女性は、
「アヌンと言います、私。日本に住んでいたこともあって、日本語は得意です。スウェーデン人という事でパスポートも持っていたし、コンビニでバイトをした事も、あります。地球に降りる前に日焼け機械で肌を焼いてから日本に降りたので、異星人には見られませんでした。東京に行って或る業界で仕事をしていましたけど、今は、それは言わない事にします。まずは先に水馬さんの和菓子が中国で成功してからの話です。成功しますよ、あなたは。水馬さん、又、会いましょう。」

SF小説・未来の出来事25 試し読み

 徐福目が立っている部屋の中は背の高い本棚が左右の壁に並び、ドアから入ると真ん前に見える壁は大きな窓ガラスが庭の緑を見れるようにしている。庭が、とても広い。それを囲む壁も高く、壁の近くは樹木が建ち並んでいるのが兄目美瑠男の目に映った。
 中国語講師の徐福目の部屋らしい本で埋まった部屋だが何故か中央に応接のための横長のソファがガラスのテーブルを挟んで二つある。そのソファに徐福目は座ると、
「兄目さん、わたしの前に座ってね。」
と声を掛けた。兄目美瑠男は両足を少し動かし続けて、そのソファに腰かけ心地よさを感じた。その感想を、
「いい座り心地ですよ、徐さん。」
と笑顔で話した兄目美瑠男に徐福目は右手で何かを取り上げたのだ。なんと、それは拳銃だった!!
彼女は拳銃の筒先を兄目美瑠男の喉のあたりに向けて、
「気分は、どうですか?兄目さん。」
と、しかし真面目な顔で訊く。兄目美瑠男の額に冷や汗がツーっと流れると、
「どういう意味でしょう。冗談では、ないように見えます。でも、その拳銃は本物ですか?」
「本物ですよ。92式手槍QSZ-92-10です。私たちしか持てないものです現在ね。」
兄目はブルっと震えを感じた。
「もしかして僕を殺そうとしているのですか?」
「そうかもね。でも気分次第だから、分からないわ。」
「なぜ?ぼくを・・・・狙うのですか。」
拳銃を構えた徐福目の左目がキラリと光ると、
「あなたの、お兄さんが私の姉を、もてあそんで捨てたからかな?」
「そ、それは僕には兄はいますし、商社勤めで中国にも行っています。でも兄とは親しくないし、何年も電話さえしていないんだ。そんな理由で・・・銃を向けられるなんて・・。」
徐福目は右手で構えた拳銃を膝の上に降ろすと、
「それなら撃てないかな、貴方を。」
兄目の兄が原因だったとは・・・。美瑠男は、
「最初から僕を調べた上で・・・僕のラーメン店に来たのか・・・。」
「それは勿論よ。そうでなければ貴方のラーメンの店に来ていなかったかもね。結構、遠いでしょ?ここから、あのラーメンの店は。」
「ううむ、そうだね。でもラーメンを食べ歩きしている人もいる。僕も、そうだけど・・・。」
「あなたの兄さんも、そうなのよ。中国でラーメンを食べ歩いていたらしく、わたしの姉が働いているラーメン店に何度も来ては姉に声を掛けた。真剣な交際だと思った姉は数度のデートの後、ホテルで体を貴方の兄さんに捧げたのよ。それから二人は三十回はホテルで体を重ね続けた。その後の或る日、突然、貴方の兄さんは私の姉の前から姿を見えなくしてしまった。湖南省から、いなくなったの。調べようが、なかった姉は自殺してしまったのね。わたしが調べていくうちに貴方の兄さんは別の中国人女性と結婚した事が分かった。貴方の兄さんを憎んでも、相手の女性は私と同じ中国人女性。その女性を悲しませたくは、ない。その代り貴方、兄目美瑠男さん、あなたが死ねば姉も満足すると思う。」
「そ、そんな勝手な三段論法か演繹法か何かは僕には迷惑じゃないか。なぜ僕は死ななければ、ならないんだ。」
「貴方は兄さんと親しくは、ないのね。兄目槍蔵(やりぞう)と。」
「それは、さっき話しただろ。兄さんが中国で結婚していたのも知らなかった・・・。」
徐福目はフッ、と息を吐くと拳銃をソファに置き、
「それなら、やれないわね。実は本当は貴方の事を段々と好きになっていたのよ。それでも姉の敵討ちだという事は忘れられないから。それで貴方と貴方の兄さんとの関係を調べようと思って、ここまで誘ったのよ。」
兄目美瑠男はホッとした顔で、
「それなら、もう要件は終わったんだろ?帰っても、いいかなー。」
「いえ、まだ終わった事ではないの。貴方を連れていきたい場所が、あるから。」
それを聞いた兄目美瑠男は再び背筋にドライアイスを載せられた気がして、
「どこに行けば、いいのかな。そんな場所が、あるとはね。」
冷たく光っていた徐福目の目は優しさを帯びた元のまなざしに代わると、
「そこへ行く前にチョット、わたしの日本についての考えなんか話すわ。それと、あの拳銃には弾丸は入っていないの、実弾は実装されていないわけ。」
それを聞いた兄目は平常心に帰り、
「それなら単なる脅しだったわけだ。」
「いいえ、脅しじゃないわ。実は拳銃にはウイルスカプセルを装填できるの。コロナウイルスとかも、ね。」
再び兄目美瑠男は恐怖を覚えた。
「そ、それなら細菌兵器だ。でも、見かけは、その拳銃は・・・。」
徐福目は、ふ、と息を吐くと、
「警察が調べても、おもちゃの拳銃でしかないから銃の不法所持には、ならないわ。でもウイルスカプセルは十分な衝撃力で撃てる。人体に当たっても危険のないカプセル。でも、そのカプセルが割れると中からウイルスが飛び出すのよ。」
兄目美瑠男は恐れ入った、という顔をした。だが聞いてみる兄目、
「ウイルスなんて何処に保管しているのかな。」
「それは、この屋敷の中にある部屋で細菌を培養、保存が出来るから。ウイルスを氷点下で凍結しておけば人間の冷凍保存と同じように、いつでも蘇生できるの。」
「君は中国語講師にしては、そんな事まで関与している・・・。」
徐福目は豊満な胸を張ると、
「個人で、そんな事は出来ないわよ。それに、この家は私の祖父のもので祖父は先月、死んだわ。父は中国にいる。さっきの話は冗談よ。わたしに姉は、いないもの。昔の中国人らしく一人っ子だから。」
そうだ、そうだった一人っ子政策、と兄目は納得する。だが自分には本当に兄はいるし、音信不通といってもいい。仲が悪いというより兄は仕事熱心すぎてラーメン屋の弟には電話でさえ話をしないのだ。では、あれは・・・と兄目は、
「それなら、さっきのあれは演技だったのか。」
「そうね、貴方の反応を見てみたかったのよ。きっと驚くだろうと思ってね。」
「それでは日本人が憎い、という事もないわけだ。」
「そういう事よ。日本人が憎くて日本に来るわけないじゃない。」
それならウイルスカプセルも・・・。兄目は、
「ウイルスカプセルなんてのも冗談だ、ね?」
徐福目は軽くホ、ホ、と笑い、
「好きに考えてね。祖父は細菌学者だった。その前の私の先祖が旧日本軍の731部隊で実験に使われたことが、あったらしいわ。」
「731部隊・・・。」
「もう忘れられた事かも知れない。でも、それは日本で忘れられた存在で、わたしの祖父は731部隊の影響で細菌研究に一生を捧げたのよ。たった一人の孫娘の私は祖父に、とても寵愛された。だから私は幼い頃から色んなウイルスを・・・、その話は今は中断して私は日本の文化論を貴方に展開したいと思う。その前に飲茶(ヤムチャ)に、しましょう。」
と徐福目は話すとテーブルの上にある拳銃を手にした。あ、やはりオレを殺すつもりだ!と兄目美瑠男は即断即決してしまった。が徐福目は、その拳銃を耳に当てると「小小(シャンシャン)、ウチの定番飲茶を二人前、私の部屋にね。お客さんだから。」
と通話する。
話し終わると拳銃の何処かにある通話切断の箇所を押して通話を切った、そして拳銃を又、テーブルに置き、
「すぐ持ってくるわ。近い部屋で作らせているから。」
と温かみのある声で話した。
拳銃はスマートフォンにもなるらしい。兄目美瑠男は好奇心で、
「そのピストルはインターネットの動画も見れるのかな?」
と尋ねると徐福目は、
「もちろん見れるわよ。銃把の部分でね。スライド式に銃把のその部分を外せばいいだけ。そこに画面が現れるから。」
その拳銃の携帯電話が鳴る。徐福目は拳銃を取ると耳に当て、
「あ、小小(シャンシャン)、ドアを開けてお入り。」
ドアが開いた。ホテルの部屋に届けるような台車の上には飲茶が載せられていた。それを押してきたのは小学校高学年の男子の身長の男だった。小人の男、小小。
小小は二人前の飲茶をテーブルの上に並べた。小小は黒のチョッキに白いズボンの制服のようなものを着て、頭は耳の辺りを刈り上げた短髪の姿で懸命に働いた。飲茶を並べ終えた小小は気を付けの姿勢をして頭を下げると部屋を出ていく。
ドアが閉まってから兄目美瑠男は、
「あの人は成人なんでしょう?今来た給仕の人は。」
と烏龍茶のいい匂いを鼻で嗅ぎながら訪ねると徐福目は茶碗を取り上げて、
「そうですよ。四十歳かな、あの小人は。うん、おいしいな。小小はウチの料理人です。さあ飲茶を召し上がれ。」
ウーロン茶の他には餃子、焼き小籠包、焼売(シュウマイ)、胡麻団子、焼きリンゴなどが兄目美瑠男の口の中に入るべく待ち望んでいるようだ。
ラーメン店を出している男、兄目美瑠男の味覚は舌太鼓を連打したので、「いやあ、こういう飲茶は初めて食べました。とても、おいしい、ネット通販に出せば大嵐が吹くように売れますよ。」
と舌太鼓判を押す。徐福目は餃子を食べつつ、
「経済的に困っていないから、ネットで商売する必要は今のところ、ないわ。わたしの日本文学論、それは日本の明治の文学は江戸時代より貧相なもの、というものよ。兄目さんはアニメが好きなので退屈かしら?」
「いえ、どうぞ。是が非でも非が是でも、拝聴しますから。」
「そう?それでは飲茶を食べながらでいいので聞いてね。」
「はい、おいしい、食べます、聞きます、どうぞ続けて。」
「明治時代は文語体から口語体への文学の移行期だった。でも彼らの文学作品は大したものではなかった。それを長く日本の学校教育の国語の狂果書、教えるではない狂った成果の本に載せて只でさえ文盲の多い日本人を奈落の底へ落したのよ。ソーセキ、ダトカ、オーガイ、トイウ奴ラノ詰マラナイ作品ヲ立派ナモノニ、シタテタ。ソレデ日本人(リーベンレン)ハ、オモシロクナイモノヲ文学ダト思ウヨウニナッタ。森鴎外や幸田露伴も江戸時代の馬琴の「里見八犬伝」を激賞しています。つまり日本が軍事大国化していくのと反比例して文化は貧弱になったけども口語化や西洋画へ移ったので目新しく見えただけ。絵画も浮世絵の方が評価が高い。
つまり明治の日本の文学なんて漢字が多いだけで中身は取るに足らないものばかり。漢字なら私たち中国人の本は全て漢字だけ。幸田露伴も中国信者なのよ。彼の造詣は中国の本からが殆ど。
漢字に弱い日本人は操りやすいし、金の亡者の自民党も簡単に操作できたけど今の日本は共和党になって金で動かせなくなった感はあるわね。それと本を読まなくなった日本人は漢字を知らなくても平然としているし。日本のマスメディアというのは中国で簡単に操れる。だ、か、ら。アニメも中国は目を付けているのよ。」
徐福目の目は不気味な光を放っている。兄目美瑠男は、しかし酔いが全身に少し回るのを感じた。それでも言ってみたいことは、
「もしかして徐さんは中国の工作員か何かですか。」
「そうではないけど知り合いに、その方面の友人がいるから教えてもらう事はある。日本人なんて殆ど馬鹿ばかりに近くなってきているから、中国で操るのは簡単になりつつあるのよ。お笑い、これは馬鹿が見るものなのよ。それを見る奴らに日本の企業は投資している訳。この馬鹿日本企業を中国で操るのは簡単なのね。
中国では、お笑いなんて全然、はやらない。成長する国家が笑われるのかしら、豊かになっていく国民は可笑しくはないわけでしょう。でも日本は世界の笑われ者なのよ。だからバカ企業も笑われても商品を売りたいって事にまで、なっている。もう自衛隊が、どうであれ日本なんて簡単に沈没させられる。それは日本の陸地ではない形容詞的表現としての沈没の事。
もともと日本のテレビ局は日本の新聞社が出資した形で出来たもの。その日本の新聞には赤が多かったから、わたしたちが操るのは簡単。日本人は、お笑いでも、やっていなさいと命じれば、はい、やりますって我々のいう事を聞いたのよ。日本の大学、防衛大学を除けば、これも赤だらけだから毛主席に勧められて全て赤になる、貧乏大好き人間を日本で大学で教育していった。財務省の人間も全て東大を出た赤。税金を取りまくり国民を貧乏にして国家を強大にする、これは共産主義の考えだけど原始共産主義で、わたしたちの国では、もうそんな事は開放政策でやめてしまっているから中国は頑張る国民は豊かになれる。相続税も取らないの、中国は。日本は、どうですか?豊かな家の財産は相続税で巻き上げる。もっとも、日本のそのやり方は明治の西郷隆盛の「子孫に美田を残さず」という下級士族の思想が反映されているのかもしれないわ。
日本こそ共産主義なのよ、それも原始共産主義の。わたしたたちは修正共産主義だから日本を操れるんです。原始人をね、思想の原始人で国家のお金を預かる連中が日本では、その原始思想だからねー。
中国とアメリカは消費税を取らない、だから国家は逆に強大になっていくんです。その我々のチャイナマネーが欲しくてたまらない日本。それは可笑しくて笑えるんだわ。だって共産主義、正確に言えば修正共産主義の国のお金を資本主義、建前だけは資本主義、けれども官僚というか財務省が原始共産思想の国が欲しがる。インバウンド、中国さん来てくださーい、あなたがたのお金を待っています、ホテル、旅館、ソープもありますよーって呼んでくれ続けた。そんな国自体が、お笑いなのよ。
だから日本のテレビは必然的に、お笑い抜きでは存在できなくなり、われわれの足の下に踏みにじられても、我々の靴の底を喜んで舐めるようになるバカ国家日本なのよ、と知りなさい兄目さん。」
「そ、それならGHQが弱体化したのではない、と。」
「よく知っているわね、ラーメン屋にしては。GHQの財務方面、昔の日本の大蔵省を指導したのが崩壊して消えたソ連だった。その計画経済を死守しているのが日本の財務省。アメリカとかは関係ありません。日本は世界一の共産国家、一億総中流なんて昔に言っていたのは、まさにそれ。今は一億総貧乏、われわれは十三億総富裕の国家になるのよ。日本は大昔、武力で我が国を完全制圧寸前にまで出来たけど、今からは経済で日本を完全制圧するところまで行けると思う。兄目さん、中国にラーメン店を開きたいんだったわよね、わたし明日からでも動くから、そのために。」
「大学の方は、いいんですか?」
「コロナ再燃で、しばらく閉校だから。それでも給料はもらえる、九州大学、国立だからね。」
「それでは、御願いします。」と言うと、兄目美瑠男は両手を座っている両膝に置くと頭を下げた。
「頭を下げなくても、いいわよ。わたしの名義を使うし、経営者は私だから。」
「そうですねーえ、けれども徐さんなしではできない中国での会社設立です。」
「クイーンエリザベス号に乗った気持ちで、いたら、いいわ。」
「はい、そのつもりで、おります。徐福目様。」
「そんなに下に出なくても、いいのよ。わたしは女王様では、ないんだから。飲茶を食べ終わったら連れて行くところがあるから。」
「へ?そうなんですか。楽しみですねー。」
「お笑いが、はやる国は亡国への段階にあるわ。イギリスでチャップリンが流行った頃に大英帝国は多くの領土を失っていった。日本も似たようになる、経済で勃興した日本も、それを失っていく・・・。わたしたちの国が覇権を握れるのよ。中国もアメリカも、お笑いというのは流行らないから。それは二つの超大国の象徴だわ。
 われわれの国は経済で日本を制圧できる。白物家電は、その第一歩。松・・・なんとかいう家電メーカーは積極的に大昔に支援してくれた。低学歴で運が良かっただけの人物が社長の時だったから、すべて中国は漁夫の利を得られるのよ。それに、その人物は論語が好きだったそうだし。孔子という中国遺産でも日本人は、どうにでも出来る程度の低い奴らは多いのね。
ま、わたしは日本人を心配してやる必要はないのだけど、兄目さんが日本人だし、それで少し喋りすぎたのかな。食べ終わったわね、兄目さん。餃子、もっと食べてもいいわよ。」
「いえ、もう満腹です。」
「それなら今から庭に行きましょう。ね?」

 徐福目の外観は古い民家の庭は広い。南の方を向けば田園風景に連山が、それから先の視界を遮(さえぎ)っている。
縁側から降りると言っても二人は土足で降りた。先に降りるのは徐福目だ。そこからも見えるのは掘っ立て小屋のような小さな建物で、徐福目はズボンのポケットからカギを出して、その小屋の戸を開けた。このドアは顔認証や指紋認証のない昔からある鍵で開ける方式のもの、兄目が入ると徐福目は中からカギを掛ける。そんなに重要なものが、おんぼろにも見える小屋の中にあるのだろうか。中は十畳ほどの広さで、床は板張りでも畳でもない土だったのだ。つまり庭の土と同じものが小屋の床にもある。その土の床面の中央部に床柱にしては横幅の広いものが立っている。それは、入り口らしいところから見るとエレベーターではないか。徐福目は兄目の目が奇妙な色を宿しているのを見て、
「地下に行くためのエレベーターよ。乗りましょう。」
と話すと、そのエレベーターの開くボタンを押す。何処のビルにもあるようなエレベーターの内部で地下は何と五階まである。そのBF5、地下五階でエレベーターは停まった。そして何と、そこは地下鉄の駅のような場所だったのだ。駅のような、ではなく一車両のみの電車が停止していた。やはり地下鉄の駅であろう。ただ、これは福岡市営地下鉄とは違うはずだ。
この辺りには、まだ福岡市営地下鉄は開通していない。このような設備を作るのには物凄い費用と人の手が必要なはずだ。もちろん、その人の手が動かす機械も、なければならない。駅舎らしいものが見えた。ホームに降りたために切符を買う必要は、ないはずだ。徐福目が駅舎に歩み寄るので兄目美瑠男も徐福目の影のように、駅舎についていく。
駅舎の中には退屈そうな老駅員が一人、椅子に座っていたが駅舎内のガラス窓から徐福目を見ると、
「お久しぶりです。徐様。すぐに発車させますよ。」
と富裕な令嬢の御機嫌を取るような話し方で老駅員は迎えた。徐福目は老駅員を真っすぐに見ると、
「ご苦労様。燃料の方は、まだ大丈夫だね?」
「ええ、フルスピード、急発進、なんでも耐えられます、地下鉄としてね。」
「いや、おまえの燃料の方だよ、大丈夫かい?」
「ええ、原子力は随分、持つものです。おかげで今年、百歳になります。」
「ここへ来て、三十年だね?」
「ええ、その頃にサイボーグに改良していただいて、ここの仕事まで戴いたのは御嬢様のおじいさまの、おかげです、はい、日本語もなんとか話せるようになりました。」
「お前は湖南省の出身だったね?」
「はい、観光地が多い場所での駅員でした。新型のウイルスで全身が壊疽だったのを、おじいさまに助けてもらいました。」
「そうだった。祖父は医師でも、ありました。もう他界しましたよ。」
「へい、ご冥福は、いつも、お祈りしています。いつもの場所で、よろしいのですね?車両の目的地は?」
「ああ、いつもの場所へ出しておくれ。」
「はい、かしこまりました。乗車されてください。」
丁寧な老駅員は実はサイボーグらしい。
 二人が乗車すると扉が閉まり、車両は発車した。一体、どこへ行くのか、それが兄目美瑠男には気になって仕方がない。右に座っている徐福目に、
「これから何処へいくんですか?なんだか、とても不安になります。」
窓の外を楽し気に見るともなく見ている徐福目は、
「歴史的な場所ですよ。だけど日本人は意外と知らない所だけど。兄目さんは行ったことのある場所。」
「ええっ、こんな地下鉄は何処に行くんですか?」
「上海まで行くかもしれないわ。」
「上海まで行けたら楽しいな。上海のラーメンを食べたいですよ。」
「ここから地下鉄で上海なんて現実的ではない。糸島の港に漁船を装った中国船が停泊しています。それに乗れば上海まで行くのは簡単です。」
「あ、そうか。そういう方法も、ありますね。では、今回は糸島の港まで?」

一粒万倍日 8月

 今日は8月の一粒万倍日の日です。試し読みから電子書籍の購入には、
とても、いい日になっています。

迷信と思えば迷信になり、迷信ではないと思えば迷信ではなくなるという
事も、あります。

全く根拠がない、としたら、その根拠は何処にありますか。

SF小説・未来の出来事24 我是日本人 試し読み

 福岡市東公園のベンチで寝ていた浮浪者は飛行機で香港に運ばれていた。香港の空港で楽団員の楽器の箱の中から係員に別の場所に浮浪者の入った箱は移動させられて空港の関係者だけが出入りする通用口から外に出された。そこへトラックが到着。浮浪者の入った箱は、そのトラックで空港から別の場所へと移動を始めたのだった。
 トラックは医療施設のような建物の敷地に入っていくと、その大きな箱はトラックから降ろされ、箱ごと建物の中に数人の医療施設の男たちが運び入れる。病院のような廊下を通って浮浪者の入った箱は一番奥の部屋に入れられた。中国語で「関係者以外立ち入り禁止」と大きくドアに表示されている。その広いドアが開かれると、大形の箱は広い部屋の中央に運ばれて停止した。箱の下部には小さな車輪が幾つも、つけられているので押せば楽に動く。その部屋には白い服を着た医者らしき人物と公務に従事しているような背広の男性が立って、その停止した箱を見ると医者は箱を運んできた男たちに中国語で、
「ありがとう。お疲れ様。今晩は君達専用の女を好きにしていい。金での報酬とは別に高級ホテルに用意しているからね。このホテルに、今晩、行くといい。」
と声を掛けると、それぞれの男にホテルの名刺のようなものを渡した。男たちは、それを受け取ると、
「謝射(ありがとう)、謝謝。」
と口々に礼を云うと部屋を出ていく。白衣の医者は大きな楽器の箱を開けた。中には青いビニールに包まれたものが転がっていた。医者は深々と、その青のビニールに顔を近づけると二か所、ビニールに丸い穴が開いている。大きな青のビニールは少し動いている。
 医者がビニールを破り広げると中には日本人の浮浪者らしき男、四十代か、が深く眠っている。中国の公務員風の男、四十代に見える人物も箱に近づき中を見て、
「ほ!これは上物だ。健康そうだし生きたまま臓器を摘出できますな、先生。」
と不気味な笑みを浮かべる。黒縁眼鏡を掛けた医者は、
「一応レントゲン検査や、その他の検査をした後で、この日本人が健康なのを確かめますよ。ここ最近、世界各国の金持ち連中から臓器移植の手術の依頼が世界中に来ています。しかし、新鮮な臓器は簡単に手に入るものでは、ありません。」
と冷徹的確に話す。課長クラスの役人は左手で右手の肘を支え、右手を顎の下に当てると、
「うん、中国国家の独占市場ですよ。まだ、この事は何処の国にもバレてないから。日本は特に日中友好を柱として政治活動を、してくる。これは我々国家からすると、やりやすいのです。随分大昔にコロナウイルス感染が武漢で大流行した時に日本人はマスクを大量に送ってくれました。まさに日本でいうカモネギですよ。小日本人は中国人の心の中まで知らないのです。日本の田中という奴が日中友好を掲げて来た時に、こちら側はシメタ、と思ったんだから。」
医師は、うなずくと、
「それから日本の有名な電機メーカーが我が国を支援したりと、これも鴨葱ですよね、園さん。」
「そうですよ。こちらが有利になることを進んで、してくれた日本人。そもそも、ね、共産党軍が中国国民政府軍に勝てたのも日本の陸軍が国民政府軍を壊滅に近い所まで追い込んでくれたからだね。
今では公園で寝ていて我々の利益になってくれる日本の浮浪者に感謝しようよ。医師の貴方にも高額な手術料を提供できる。まずは腎臓、そして肺、これは片方は切り取っても生きていけるから、まずは、いつも通りに手術してください、シーフ(先生)。」
「トエ(はい)。これで又、フランスの高級ワインが買えるというものです。日本人て公園で寝るような貧乏人も多いでしょう。家電メーカーの奴らも公園のベンチで寝ているかもね、しれません。中国の方が日本人より金持ちが多いのに、うはは、マスクを大昔、送ってくれましたから小日本人達は。」
園と呼ばれた官吏は笑顔で、
「自分たちのマスクもない小日本人がね。欧州から美国、そして日本に感染が増えたのに。あの頃でも我々の方が金持ちだった。貧乏人が多い小日本人が我が国に寄付なんて驚きですよ。ふふ、今は浮浪者を大量に寄付してくれていますから。小日本人は。あ、この浮浪人は冷凍保存した方が、いいのなら先生、今すぐに。」
医師は落ち着いて、
「冷凍したら解凍しないと、いけませんから。目が覚めたら、この小日本人に・・・してやる事は、あるでしょう園さん。」
と話すとニヤリとした。園は思い出したように、
「ああ、そうでした。準備は、こっちでします。日本の浮浪者への小さな投資です。よっし、ちょっと行ってきます。」
「はい、どうぞ。待ってますから。」
園という官吏は部屋を出て行った。
 医師は注射器を持ってきて箱の中に寝そべった浮浪者の腕に静脈注射した。十秒もすると浮浪者は目を覚まし、天井を見ると、
「おお、天井がある。おれは公園に寝ていたのになあ。」
と口を開いて話した。
浮浪者は視界に医師の顔が自分を覗き込んでいるのを認めて、
「ん、おや?あんた医者だろう、ここは病院かな、ね?そうだろー、先生。」
中国の医師は優しく微笑み日本語で、
「そうです、ここは病院ですよ。あなたは救急車で運ばれたんです。軽い貧血を起こしていただけなので、今は大丈夫。ただ、すぐに動くのは、やめてください。」
「ああ、そうなんですか。ここは国立病院ですか?」
「国立病院です。」
中国の国立病院である。浮浪者は納得して、
「先生、おれ何ともないよ。動けそうだけど。」
「いえ、だめです。医者のいう事は聴いてください。それに貴方の財布では出来ない事も、ここでは出来るから。」
「ええっ?なんなんでしょう?それ。」
「もうすぐ分かるよ。ああ、園さん、いらっしゃい。」
ドアが開いて官吏の園が戻って来た。その後ろに可動式電動台車が誰も押していないのに園の後ろに、移動してきたらしい。園が室内に立ち止まると、その台車も停止した。その台車の上には一流ホテルのルームサービスのような豪華な食事とバナナ、りんごなどの果物が小山のように載っていた。
 園は浮浪者に日本語で、
「やあ、お目覚めですか。元気そうですね、腹は減りませんか?」
とニコニコとして聞く。浮浪者は上半身を起こすと、豪華な食べ物が並んでいる台車を見て、
「あ、腹減ったなー。実は三日も水だけで過ごして公園で寝ていたんです。あなた方が助けてくれたんですね?」
園と医師は、うなずく。浮浪者は安堵したように、
「助かりました。ここは九大病院ですか?」
官吏の園は日本語で、
「いえ違うのですよ。それと似たような場所ですけどね。それより、あそこのソファに座ってください。私が台車を運びます。」
浮浪者は立ち上がるとフラフラっ、とした。よろよろと示された白い長椅子に歩くと腰かける。ふかふかとした座り心地で浮浪者は気持ちよくなった。園が浮浪者の目の前に台車を運んだ。すぐに台車の上の食べ物、果物を手に取って浮浪者は食べられる。赤茶色の長い箸も据えてある。浮浪者は両手を合わせると、
「いただきます。」
それから彼は絶え間なく食べた。中華料理ばかり並んでいる。餃子、シューマイ、中華丼に麻婆豆腐、スーパイコ、ふかひれスープに烏龍茶、りんご、梨、みかん、杏仁豆腐・・・。三日間も空いていた彼の胃袋は貪欲に美味な料理を平らげた。浮浪者は満足げに、
「あー、食べた。食べた。満腹ですよ、うーん眠くなってきました・・。」
と話す。白衣の医師は浮浪者に近づくと、
「食後の眠りは価値が高いですよ。どうぞ眠ってください。」
「はい、それでは・・。」
浮浪者は再び眠る。後ろにいた官吏の園は、いつの間にか右手にハンカチを持っていて、それを浮浪者の鼻に当てる。医師は中国語で、
「それで一日は寝てしまいますよ。起こす時は私が、やります。」
園は満足そうに中国語で、
「それでは腎臓から切り取ろうよ。一つ取っても死なないんだろ。」
「ええ、大丈夫です。ここで手術しますから園さんも、こいつを手術代に乗せるのを手伝ってください。」
二人で話す時は日本語で話す必要はない。園は浮浪者の両肩を医師は浮浪者の両足を持つと、手術台に浮浪者を運んだ。
手慣れた手術で医師は浮浪者の腎臓の一つを切除した。部屋の奥のドアが開いて若い男の看護師が出てくると手袋をした手で医師から浮浪者の腎臓を受け取り、出て来た部屋に引っ込んだ。腎臓を冷凍保存するのだろう。医師は落ち着いて、
「世界には腎移植を希望する人達は数多くいます。日本でも一万人はいる。でも一番高く買ってくれるのは小日本人ではないから。」
官吏の園は、
「そうだね、日本人はケチなのだから仕方ない。欧米の富豪なら幾らでも出すからなあ。我が党の隠れ元箱なんだ、臓器提供は。」
と恐るべきことを平然と中国語で語った。
 白衣の医師は園の機嫌を伺うように、
「臓器関係だけでなく私はウイルスの方も詳しいんですが。」
園は苦く笑みを浮かべつつ、
「そっちの方は何十年に一度、という割合で検討されている。我が国は世界に安い労働を提供したのだから多くの人間が細菌で死んだって当たり前のことだ。君には即金が手に入る方で活躍してもらいたい。」
医師は少し心配そうに、
「世界にバレませんか、この臓器売買は。」
園は自信ありげに、
「なーに、マスバカを抑えておけば、いい。美国なんてのも金を掴ませれば何でもするよ。小日本のマスバカは勿論だけど。欧州も貧乏だから簡単。アヘン戦争を仕掛けたイギリスも薄のろ。コロナで大騒ぎした奴らだ。超後進国のイタリアは我々の言うなり。我が国の世界進出は続くよ。小日本は女工作員で、というところかな。」
医師は思い出すように、
「それにしてもコロナの頃の小日本は傑作でしたね。大量にマスクを送ってくれて。」
園は思い出し笑いして、
「我が党の幹部が『日本のみなさんに感謝します』という会見をするのに有名女優を呼んで演技の練習をしたそうだ。本当は小日本人を笑いたいのを演技で感謝するのは難しいらしいよ。その後、コロナは日本にも行っているからな。」
「ま、小日本人は扱いやすいですよ。軍部を解体された後は。自衛隊は侵攻してきませんからね。日本の陸軍は世界一だったが、海の方が弱かったんで我が国も助かったんですよ、ね?園さん。」
「私は軍部じゃないから詳しくは知らないが、神風特攻隊なんて精神異常者の末期症状のようなものだな。あれで終わったんだよ。大日本が小日本になったのさ。」
医師は満足げに、うなずくと、
「小日本人の腎臓の方は看護師が冷凍保存状態で業者に手渡しますよ。もう手渡しているでしょう。浮浪者だったんだから、これで人の為に働いたことになるし、我々が豪華な食事もさせていますから極めて人道的ですよ。」
「そうそう。小日本の電機メーカーにしたって古い昔に、ホテル住まいで運転手付きの生活と高給を与えて技術を教えてもらった。日本にいてもリストラされた人物だったからな。関西の電気メーカーだったと思う。日本のリストラブームも我が国の為になった。すべて小日本人は中国の為に働いてくれている。リストラ促進は日本政府主導でもあったそうだ。国会議員には中国美女を、あてがっておけばいい。中国の美女が間に合わない時は・・。」
そこで園は言葉を止めた。
医師は好奇心旺盛に、
「間に合わない時は?どうしますか。」
園は改めて医師の顔を見て、
「興味津々そうだな。考えてみれば分かると思うけど、日本の芸能プロダクションに手を回して若い美人タレントを議員に回す。芸能事務所に居るような女は百万円でも、すぐ寝てくれるのは多いんだ。
金で大抵の日本人は、どうにでもなる。私も一時期、日本の芸能事務所を担当していたからね。大体、日本の芸能人と言う奴らが欲しいものは、たった一つ、金だけだよ。それを小日本国民は憧れたり、好きだったりするからな。それをさ、そういう奴らを民間人だけなら、ともかく公務員とかなんかも、役所なんか他は警察でさえポスターに使っているんだから。」
医師は愉快そうに、
「はっははははは。程度の低い奴らですね。今や収入は、とうの昔に我が国の方が小日本より高いのに。相変わらず小日本の芸能とかいう、あの馬鹿どもを?」
「そうだ、使っている。一億は皆、白痴の小日本人。勉強だって我が国の方が若者も、しているし本も読んでいる。日本は年寄りまでが漫画。圧倒的に我が国の勝ちだよ。手ごわいのは、でも、やはり自衛隊だろう。」
「うーむ。そうですね。でも戦争の時代は終わっているのでは?」
「まあ、そうだろうけど。自衛隊とは過去に交流もしているから、いくらか盗み出せたのかもしれない。その辺は軍部の経験がないから分からないな。私はダークサイドの仕事が多いけど国家に奉仕しているのは変わりないよ。日本の方で過去に中国を親戚のように思ってなんて、あったろう?」
「ありましたねー、何党だったか忘れましたけど。マスクで、でしたか。」
「ああ、そうだ、マスク、マスクをねー。それで一帯一路でなくて、日本には親戚一路にしようかなんて笑い話でなく、実行可能だよ。」
「本当に小日本人なんて自衛官以外は危機意識を持ってないようですね。それだけに我が国としても、やりやすいんじゃないですか、園さん。」
「やりやすいなー。日中友好なんて我々の為に、あるようなものだ。田中なんて田舎出のオッサンは操りやすかった。あの当時の我が国の指導部は色紙にサインして日本から来た議員に手渡したんだよ。わたしたちのファンなんでしょ、という意味さ。」
「なーるほど。昔から日本人は孔子が好きですもんね。論語なんてものに敬意を払っていた。松下電器産業なんていう会社は朝礼で論語の一節を声を出して社員一同、唱えていたんだそうです。」
園は初耳とばかりに、
「そうか。まさに、それは中国の為に、その松下とやらいう会社が働きますと毎朝、宣言しているようなものだ。」
「しかも、その松下という会社は日本の電機メーカーとしてはエリートだったそうです。」
「おやおや、小日本の電機メーカーなんて、ちょろいわ。その松下の創業者は中国の崇拝者だったんだな、いや、これは、いい。他にも、あるんだろ?孔子のファン、孫子のファン、老子、孟子、荘子、墨子、荀子、色々、いるよ。あ、それでね、日本の大学の教員に中国の崇拝者が多い。老荘思想なんて我々でも知らなくていいものを一生懸命やっているのが、いる。それに日本人は漢字を書けるほど尊敬されやすいらしいな。漢字なんて我々には平仮名は、ないからな。小日本人と我々の、どっちが漢字を多く知っているか、だよ。」
医師は誇らしげに白衣の胸を張り、
「それは、もう我々ですよ。もともと小日本人は遣唐使、遣隋使などを我が国に送っていましたからね。」
園も誇らしそうに、
「日本の仏教は中国仏教さ。それに経文は全部、漢字だからな。」
「小日本の東京にも中国崇拝者は沢山いる。日本の大学の学長は全て中国崇拝者として我々が最も操りやすい連中だ。こいつらに共産思想、修正共産思想ではない古い共産思想を吹き込んだので、大学出の多数を古い共産思想の持ち主にした。それで小日本は失われた何十年もの経済停滞があり、我が国は修正共産思想により大躍進した。美国なんて問題にもならない程にな。」
医師は目を細めると、
「小日本の大学出が古い共産思想では金は要らない、て事になり経済発展なんて、ありえません。それで我が国は小日本より経済大国になったんです。ダッチワイフ、というかラブドールでさえ小日本のラブドールメーカーより先に人工知能AIをつけて販売しました。
もはや、そういう産業でさえ小日本を見下せます。」
園はニヤニヤすると、
「ラブドールも我が国の方が進歩し始めたね。小日本の国会議員はハニートラップか大金で簡単に操れるから、そうそう、私もマカオに別荘を建てられたのも小日本の国会議員を操作したからなんだよ。田舎者だし、そいつはね、でも小日本の国会議員なんて大抵は田舎者だろ。女と金をやれば、何でもするよ。中国崇拝者にも、すぐになる。もともと孔子様なんてのも多いしな、小日本人には。」
「水戸拷問でしたっけ?あれは・・・。」
園は、それを正して、
「水戸黄門だろう、それは。」
「ええ、印籠を出すと平伏するんです、あれは。我々なら孔子とか出せば平伏しますよね、一部の日本人は。」
「するよ、特に大学の学長あたりでも。小日本の大学のな。」
「小日本の大学出は御しやすし、ですか。」
「まあ、そうだろう。でも防衛大学は、そうではない。が、君は医師だし気にするな。」
「気に島専太郎、でしょう。小日本風に云うと。」
「そういう事だ。界深淵君、臓器摘出の医療に励みたまえ。」
「はい、園凱旋さん。励みます。」

 中国人留学生の李芽が女工作員であることは本池釣次郎によって明らかにされたが、彼女は本当に日本の学校に行っているのか。というのは気になるところだ。一日中、働いているかもしれない。釣次郎が中国人留学生・叛英果に変装して李芽と知り合ったコンビニでは李芽は一日中、働いてはいない。その時間帯以外では別の場所でも働けるだろう。そのコンビニの店主はアルバイトに来た李芽に、
「今日は叛君は休み、というか、しばらく休むそうだ。丁度、別の留学生がウチにアルバイト希望で志望して来てくれたよ。やっぱり、君と同じ中国からの留学生で上海から来た刻クンだ。おーい、刻クーン。」
広めの控室の奥の方に座っていた中国人男性が立ち上がると店主と李芽の近くに歩いてきた。良く日焼けした顔で、日本に初めて来たような顔をしている。店主は彼を右手で示すと、
「刻クンだ。刻クン、こちらは李芽さん。同じ国だから仲良く、やれるよね、うん、仲良くやってほしい。刻クンは別のコンビニで働いていたことがあるそうだけどウチと競合している他社のコンビニだから見習のやり直し、みたいになるけど李さん、よろしく頼むよ。」
と励ます。李芽は気軽に刻という留学生に近づくと、
「よろしくね、刻さん。」
と呼びかける。刻は浅黒い顔を李芽に向けて、
「よろしく、お願いをします。」
と変な日本語で答えた。店の裏側で飲料水を並べて入れたり、手書きで商品説明を書いたりする研修を李芽は刻にしながら、前に居た叛とどこか似たとこがあると感じていた。それで休憩時間に向かい合って座ると李芽は刻に、
「前に叛さんっていう留学生がいたけど、なんか雰囲気が、よく似ているわね。叛さんも中国からの留学生。わたしも、そうだけど。刻さん、叛さんっていう人、知りませんか?」
刻は首をかしげると、
「叛さん?知りませんよ。僕の言っている学校には叛という名前の人は、いない。」
李芽は、
「そうだろうね。わたしの学校にも叛さんは、いないもの。なんか貴方にはAV男優の雰囲気があるわ。気のせいかしら。」
「AVには東京で出た事、あります。顔に目線を入れてもらいましたから分からないと思っていましたけど、李さんAVとか見るんですか。」
「ええ、少しよ。それもパソコンから見るからレンタルの店に行かなくていい。女性で若くてAVなんて借りにくいもの。それにレンタルの店なんて少ないでしょ。大昔のコロナウイルスで店舗自粛とか、そうしなくても人が来ないとかで大半が潰れたそうよ、日本でも。スマホで見たりするほどマニアじゃないもの。でも・・・。」
刻は訝し気に李芽を見て、
「でも・・・?デモってデモストライキのデモですか。」
目を伏せた李芽は再び、目を上げると瞳を輝かせて、
「うちのオーナーさん、実は昔、AVの監督を東京で、していたんですって。だからメーカーとかレーベルとか、その業界のつながりを知っていて何処に出せば売れるかとか知っているそう。AVなんてスマホで撮影して編集して出来上がりに出来るらしいわ。それでオーナーさんもコンビニは人に任せて他の場所でAV作ってるそうよ。刻さんの雰囲気、AV向きだと思うのね。」
と話すと李芽は刻の顔から上半身、股間、足までジロジロと見た。

sf小説・未来の出来事23 陸上自衛隊・春日学校・虹一号作戦 試し読み

 中国からの女性客を優先して回してもらえるなんて、嬉しい限りだが、それでは工作員としての仕事は捗らない。だが社長の行為を断るわけにもいかずに珍光年は、
「ありがとうございます。がんばりますよ。」
と元気よく即答した。

 陸上自衛隊の春日駐屯地の地下で講義をする元海教官の話に戻ろう。
「・・・という事で防衛大臣の腰野カルコは辞任することに、なった。という事例は君達は小さい子供の頃の話だから知らないと思うが。その盗撮ビデオは情報第三部で鑑賞した後に、業者に出品させた。情報第三部の名前で出品することなど、ありえる話ではない。又、その業者も陸上自衛隊春日学校の情報心理戦対防護必須課程を修了した隊員が作っているアダルト専門の会社から出品する。
収益は陸自で取るわけでなく、春日学校出身の隊員が運営しているアダルト会社の収入になるよ。
防衛女大臣の腰野カルコは無料で出演、中国の工作員青年も無料出演だ。彼らは性器を露出させているしな。時君、何か質問があるか?」
と元海教官は流太郎に質問を振り向けた。流太郎は考えて、
「それにしても凄い話ですね。それでは僕らも、こういう事をしないといけないんですか。」
元海教官は静かな笑顔で、
「なーに。ここまで高度な事は、しなくてよい。盗撮機器の操作も実習の必要は、あるから。君達には、もっと簡単なことをしてもらう。国会議員の暗殺の手伝いとかも頼むかもしれんな。ま、冗談と今は受け取っておいてくれ。
腰野カルコが知りうる自衛隊の情報は大したものではないが、工作員に入手されていいというものでもない。国会議員の中にも他国へ情報を流す輩、それは男女を問わず、いる。愚民が選ぶ政治屋だ。金さえもらえば他国に国家の機密は、どんどん流しているのも、いるからな。
特に中国から大金を貰って、せっせと情報を流す政治屋は国会議員に限らず、都、府、道、県会議員、市会議員の中にも、いるのだ。
それらの輩を暗殺せねばならない、と思わんかね、本池クン。」
と今度は釣次郎に質問が飛ばされた。釣次郎は、
「ええ、まあ、思いますが。まるで小説か映画のような話ですね。」
と答えると元海教官は、
「うむ。そうだなー。でも実際に行ったとしても国防の為だ。売国議員は抹消する必要は、あるよ。これらの調査は情報本部第三部で、おこなっていると少し記憶しておいて外では話さないようにしてもらいたい。という事で、君達への指令は自衛隊情報本部第三部から来ることもあるし、参謀本部から来ることもある。ま、この陸上自衛隊参謀本部も自衛隊の組織図には載せられていないが、実は、この参謀本部が陸上自衛隊の最上部組織なのだ。統合幕僚監部の上に位置した自衛隊の最高機関なのだね。これは政治屋も国民も知る必要は、ないし自衛隊の機密の一つだからだ。
 君達も、この機密は守るように。外の人間に話さないように。
 まず君達に課せられた任務は女体一号作戦、と名付けられている。それと君達にはコードネームが与えられる予定だ。」
釣次郎は思わず、
「コードネームって、なんですか。」
と訊いてしまった。元海教官は、
「おほん。(と咳払いして)こちらが質問をしていいと時間を取らない限り、質問や意見は言わないように。」
と厳重な注意をした。釣次郎は、
「すみません。気を付けます。」
元海教官は、
「よろしい。君達には諜報活動の手伝いをしてもらうのだ。そこから考えても分かりそうな用語だな。時君のコードネームは海、本池クンのコードネームは空である。覚えられないと思うし、ノートに書いておくといい。で、だね。ノートにはコードネームなどと書かずに飲み屋のツケに使う名前と書いてくれ。
このコードネームを使う事に君達は、なる。軍事作戦には大なり小なり暗号は必要だ。昭和の日本の海軍は何故完敗したか。それは暗号をすべてアメリカに解読されたからだ。最後の方は薩摩弁を暗号にして、それもアメリカに解読され、昭和の海軍の行動は筒抜けで知られていたのだよ。
ぽっぽーや、海軍の哀れな最後は暗号にある。ぽっぽーや、とは薩摩っぽ、という軽蔑用語から取られている。薩摩が日本のどの地方かは知っていると思うが、知らなくても調べたまえ。」
 流太郎と釣次郎は電子ノートに自分たちのコードネームを書き付けた。この電子ノートは元海教官の授業に際して二人に手渡されたもので自衛隊特製のモノだ。自衛隊というより情報第三部で使われている。電子書籍を読むためのタブレット型の機器に似ているが、電源を入れて起動すると人差し指で字が書ける。人差し指の大きさで線を引くことにはならず、ボールペンで書く字の大きさになる。
ひらがなから漢字への文字変換機能もあり、漁師だった釣次郎には使い勝手が良かった。
 コードネームも貰って、いよいよ、これから諜報員として活動できるのだと思うと釣次郎と流太郎の胸は気球が空に昇るような期待で膨らんだ。
 休憩をはさんで、次の授業では中国の工作員の見分け方をスライド写真を黒板に投影しての解説を元海教官が、おこなう。
「いずれにしても、これという人相があるわけではない。しかし工作員の顔は一般中国人とは違うので見抜くのに早く慣れてもらいたい。」
元海教官は教卓から眼鏡を取り出して、二人に見せる。
「実はね、この眼鏡を掛けると中国の工作員は即座に見分けられるんだ。レンズに仕掛けがあることは、あるんだが何といってもマイクロコンピューターが内蔵されていて、そのコンピューターが対象人物を工作員かどうか、判断する。
 決定的な事には、この眼鏡から出るごく微弱な電波によって対象人物の脳内を検査し、調べて工作員であるという記憶も調べるんだ。だから間違いなく確定できるよ。」
流太郎と釣次郎は絶句した。
信じられない話だからだ。こんな凄いものを日本で開発したのだろうか。しばらく前に地円の陽元に住む霧沢金之介は異母弟の黒沢金雄に会うために地球に、やってきた。
黒沢の自宅で兄の霧沢は、
「日本の自衛隊にも新兵器は必要だが、大きな戦争もないから緊急の要件ではないと思う。しかし中国の工作員とかは要注意だね。スパイでなければ逮捕も出来ないが、だからこその警戒は必要だと思う。この中国の工作員を見分ける眼鏡を、この前、遊び半分で作ったが成功した。
おまえに上げるから自衛隊に提供して利益を上げろよ。」
と兄らしく語ったのだ。

 元海教官は流太郎に、
「なにか質問があるか。」
と面白そうに聞いたので、流太郎は、
「その眼鏡はサイバーモーメントの発明じゃないかと思いますが。」
と答えると元海教官は、ほお、という顔をして、
「よく知っているな。その通りだよ。つい最近、完成したらしい。サイバーモーメントの製品は、これからも自衛隊で採用予定のものが多数ある。なんとも超科学というか、こんなものを地球人が作れるのかというものが多いらしいなー。て、君はサイバーモーメントと関係した事があるのか。」
「ええ、サイバーモーメントの社長は知っていますよ。」
「そうか。それなら・・・君を通じて自衛隊もサイバーモーメントに要望を出せるだろう。ま、この驚愕的な眼鏡は君達に支給されるし、それでも自分の目で中国の工作員を見抜けるように、なって欲しい。」
三月になって暖かく、暖房もしていない教室だが、時折、少し寒い空気が地下とはいえ窓から入ってくる。
 驚異で脅威の眼鏡の存在を知った二人は心強い気持ちになった。
 情報心理戦防護必須課程に準じた教育が元海一佐によって、時と本池に続けて、おこなわれていった。
元海教官曰く、
「情報戦は実戦よりも多大な影響を対峙した国に与えることが出来る。攻撃は最大の防御とは広く知られた言葉だ。武力による攻撃を上回れる場合がある。これは「ペンは剣よりも強し」としても知られている。陸上自衛隊春日学校では情報心理戦攻撃過程も加えられている。防御の後に攻撃か、攻撃の後に防御か、というのは、それで一つの論題ともなるわけだが、専守防衛というオカマじみた見せかけを取らなければいけなかった日本の自衛隊としては防御の後に攻撃の路線ではあるが、それは実戦部隊の話で、我々情報三部、そして参謀本部からの指令では攻撃が先になることもある。要は武器による攻撃ではないからな。
それで情報心理戦における攻撃を君達にも学んでもらう。ボクシングでも防御しかしていないと、どうなると思う、本池クン。」
「いつかノックアウトされますよ、間違いなく。」
「その通りだ。日本の自衛隊は同盟国アメリカ軍の後方から、ついていく行動となっていた。だが情報第三部は違う。攻撃のための攻撃も、おこなう。
参謀本部も原則的に統合幕僚監部には口出しを平時では、しない。
日本は古い過去に軍隊の経営を間違った。直接的には頭の悪い人間しか海軍に行かなくなった。それが第二次世界大戦の日本の結果となった。それは、そのころにあった制度にも問題がある。御前会議というやつだな。実はね、帝国陸軍でも、これは御荷物というか必要ないものであるばかりか御前が意見もしたし、命令もしたりしたので皇道派以外は、ため息が出るものだったのだ。
 それでだね、英才ではあったが皇道派に近い石原莞爾を二二六事件の反乱部隊の鎮圧に派遣させている。石原が反乱部隊に殺される可能性もあることを分かった上でだ。
 最終的には石原は左遷、そして予備役へと引退していく。これも当時の陸軍に反発したためである。
そして中国への戦争を長引かせることは陸軍の意思では、なかった。公家上がりの近衛首相ら政治屋の意志である。
 文民統制を廃絶した今の日本は昔よりも、戦争のプロである我々に国民は任せて安心、という事なのだよ。
それでも一応、先に攻撃しないのは自衛隊の実戦部隊であるから、先手必勝なのは情報第三部と、さらに上の参謀本部の領域となる。
 君達の授業の態度もいいので参謀本部も期待しているから、大いに頑張ってもらう。机上の空論に終わらないためにも街に出て実践の足慣らし、手慣らしに行こう。」

 元海一佐に伴われて地下から上がり、春日駐屯地を出た二人。正門前に見えるUR、公団団地を見て、右に直角に歩道を曲がって歩いていく。JR南福岡駅から電車に乗り、博多駅という福岡市で一番大きな駅に着く。ここから新幹線も出ている。その新幹線で中国の工作員が福岡市に、やってくる場合もある。それで元海教官は二人を新幹線乗り場の近くまで導いた。元海教官は、
「この新幹線の出入り口も要注意な場所だ。そもそも工作員が最も多い場所は東京だ。福岡市に乗り込んでくる中国の工作員は少ない。それだけに見分けは、つけやすいよ。」
と話す。
 確かに新幹線の降り口から出てくる乗客に中国人らしき人影も見えない。元海教官は、
「次は地下鉄で移動する。行くぞ。」
福岡市営地下鉄は博多駅から乗れる。もちろん地下に降りて切符を買い、列車を待つ。明るい構内には中国語の案内文も見える。工作員を歓迎しているかのようで馬鹿馬鹿しい。通勤時でもないので人は少ない。元海教官は、
「KCIAという韓国の諜報機関員も福岡市に、いるはずだが、中国ほど活動はしていない。福岡市だからだろう。」
 福岡市はアジア人を歓迎している。それだけに工作員天国なのだ。中国人の店は料理店に限らない。それには風俗業も含まれる。福岡市の風俗業は中洲という場所に大体、限定されている。これは何と江戸時代の黒田藩で決めた事だ。黒田五十二万石、筑前・黒田藩以来の伝統なのだ。
そもそも日本全国的に戦国大名の拠点地が、そのまま発展を続けている。福岡市の風俗店は、ポツンと他の場所にもあるが、広がらないで消えていく場合が多い。中州にはビルが立ち並び、その中の大半は飲食店で、それも主に酒を提供する店でスナック、パブと呼び名は色々ある。会員制のスナックもある。
 これらの店も全ては生き残れず、空室も出てくる。元海教官と流太郎、釣次郎は今、中洲の飲み屋ビル街を歩いている。随分と大昔には呼び込みの連中もいたが市の条例で禁止されてからは、呼び込みは消えている。
 飲み屋のビルは高くても六階程度、数十階のビルなどは昔からない。そのうちの一つのビルの一階にある店に元海教官が、
「ここに入るぞ。」
と先導した。「ぃらっしゃいません。」と中国語訛りの女性の声が聞こえた。中国風スナックで風水的飾り物が店内には多い。福とか赤色の配色が多数、見られる。大きな水槽に赤い金魚が数匹泳いでいた。女性店員は赤や紺色、黄色のチャイナドレスで三人が並んで立っていた。中国的美女、キャバクラのようだ。厨房に近いカウンター席の向こうに店の女主人が元海ら三人に気づくと、声をかけたのは、この三十代後半に見える髪の長い中国美女で、もっと若いころはキャバ嬢だったのだろう。この女店主は、
「カウンターの席に、ひと席ずつ間を開けて座ってくださいませんか。そこに、あの子たち三人を座らせます。」
と元海教官に話す。元海は、
「諸君。そのように座りなさい。」
右から元海、流太郎、釣次郎と、それぞれ一席ずつ開けて腰かける。まもなく三人の左席に、赤、紺、黄色のチャイナドレスの女性が座った。香水の甘い香りが元海ら三人の鼻を、くすぐる。元海は左に座った女性の左肩に左手を回すと、
「とりあえずビールを三人分、頼む。」
と注文すると、左の女性の肩から尻に左手を降ろし、その女性の丸い大きな臀部を、ゆったりと触る。元海は機嫌良さそうに、
「時と本池、ここは、おさわりOKなのだ。尻と胸は触っていいんだ。」
と教えた。香港から来たという店の女性たち。マダムは笑顔で、
「お二人さんも、触って大丈夫よ。この三人は彼氏も、まだ、いないし。」
流太郎と釣次郎は、しかし、手を動かさない。元海は、
「香港はアメリカの原爆は落ちないんだろう。」
とマダムに聞く。マダムは、
「ええ、ダイジョブです。北京には落ちましたね。わたしたち、北京から逃げた、あるよ。にじゅ、まん死んだね。でもロサンゼルスに中国のICBM(大陸間弾道ミサイル)に積んだ原爆、おちたよ。ハリウッドの大きな文字は、消滅したのある。」
元海は目の前に出された大ジョッキの生ビールを右手の取ると、左横にいる流太郎たちに、
「さあ、乾杯だ。(グイ、グイと一息に飲んで)、ああ。うまいな。なにせ中国から核弾頭搭載ミサイルを数百発は飛ばしたらしいね。」
「人民解放軍がシュミレーションでアメリカを攻撃する訓練をしていたら、実際の発射ボタンを押してしまったあるの。アメリカも百五十発は撃ち落としたらしいけど五十は爆発、大惨事よ。その大惨事から第三次世界大戦、始まったアルネ。」
「もう三十年も前の話だな。日本は戦争放棄国だから、よかった。今は核攻撃なしにズルズルと続いているな、中国各地にアメリカの軍隊は入っているらしいが。」
「小さな駐留しか出来ていないわ、アメリカは。ベトナムでも結局、引き揚げたしアメリカはね、だからワタシタチ中国人、漢民族負けないのあるよ。モア一杯、ビール飲む?モトウミ、サン。」
「アア、もう一杯、頼む。時君と本池クンも、お代わりで飲めよ、生ビールをね。」
流太郎と釣次郎の隣に座っている中国人キャバ嬢も、
「ママ、わたしもビール飲みたい。」
「わたしもね、ママ。」
と声を上げた。店のママは、
「ああ、あんたたちの分は店で持つわ。はい、ジョッキで飲むあるよ。」
と二人の前に生ビールの大ジョッキを一つずつ置いた。店のママは元海の顔を覗き込むように、
「自衛隊はアメリカに協力していないあるけど、いいの?」
それに対して、胸を反りかえらせた元海は、
「日米安保条約は日本はアメリカ軍を助けなくて、いい、となっているよ。戦争に手助けすることは、戦争に参加していることになる。戦争放棄国は戦争を、しないもんだ。楽なものさ。」
 中国大陸に上陸しているアメリカ軍は五十万人ほど、だ。この大部分は在韓国米軍が移動し、その後にアメリカは韓国に新しい五十万人を上陸させた。ベトナム戦争と同じく、他の国、イギリスやフランスなどは不参戦の戦いなので第三次世界大戦とは呼称しにくい戦いなのだ。
 日本にとっては随分昔の朝鮮戦争と同じような雰囲気が漂い、朝鮮特需があったように中国特需が発生している。なので好景気な世の中、アメリカからに限らず中国からも日本への医薬品などの需要が出ているため、空前の好景気が日本に出現している。
日経平均も十万円を突破している。中国とアメリカの戦争は十五年を経過した。どちらの国も過去のコロナ・ウイルスで一億人以上の死者を出している国だ。コロナウイルスでは全世界の人間は十億人以上の死者が出ている。
中国としてはコロナウイルスはアメリカが持ち込んだ、と信じている人たちもいるために、手違いの核ミサイル発射も無意識的なヤリタイ事をしてしまったのが本当なのかもしれない。
謂わばアメリカのコロナウイルス持ち込みの行為に対する核攻撃と見てもよいのかもしれない。
HOLLYWOOD
の文字を吹き飛ばされた恨みのせいか映画関係者の志願兵が相次いだという話が日本にも伝えられた。
 流太郎の隣に座っているのが赤のチャイナドレスを着た、レンレンという北京出身の中国女性だ。彼女は流太郎に、ビールのおつまみを差し出しながら、
「わたし、レンレンいうね。あなたも兵隊サン?」
と尋ねた。流太郎は、
「いや、ぼくは兵隊じゃないよ。ただの民間人だ。」
「そうなの?あのモトウミさんは陸上自衛隊なんでしょ。」
「そうだよ。でも僕は自衛隊員じゃないんだ。」
「そうなの?じゃあ、自衛隊さんより自由なのね。」
「だろうねえ。朝からビールも飲めるし。」
「モトウミさんも飲んでる。モトウミさんは自衛隊。」
「うん、自衛隊でも特別な部隊さ。だから、いいんだろう。」
「時サン、お酒強いのね。顔も変わっていないし、あたし少し酔ってきたわ。」
レンレンは顔色を赤くしている。釣次郎の隣にいるのは黄色の服のマンマンだ。二十歳くらいで髪は肩よりも下に長い。黄色のチャイナドレスの胸は大きく、肉まんの大きなものが服の中に二つ、おいしそうに入っている感じだ。
釣次郎も大ジョッキのビールを飲んで顔色は、それほど変わらない。マンマンは、するめを釣次郎に差し出すと、
「わたし香港から北京にいた時、この店のママに誘われて日本に来ました。北京でもママは飲食店で主に飲酒する人のための店を、やってたの。福岡は、あったかくて、いいわ。香港みたい、雪は降らないし、降っても積もらないし。お金貯めて、店、出したいです。」
と話すので釣次郎は、
「日本に店を出すの、それとも中国に?」
「中国はアメリカと戦争しているから日本に店、出したい。」
「店を出すのには、お金が、たくさん要るよ。」
「わたし、ここ以外でも働いているから。」
とマンマンは髪を、かきあげながら話す。

 酔いが回ってくると何の話か、いい加減になるものだ。元海教官は、
「そろそろ退店しよう。」
と二人を急(せ)き立てた。地下鉄で博多駅まで行き、地上に出て博多駅から南福岡駅へ、そこから歩いて春日駐屯地に戻ると、又、地下に降りる。そして昼食後、授業が再開された。
 教壇に立った元海一佐は、
「諜報員としては外国語の習得、それも複数の言語は知らなければ、ならない。君達は正規の諜報員ではないので、深く知らなくてもいい。主に中国語は知っておこう。君達の調査する対象は中国人から、となる。女性に限らない。珍光年という中国青年がいる。日本ではホストクラブで働いているが、奴は中国の工作員だ。過去に女性防衛大臣と肉体関係を持ち、日本の国防機密を盗み出そうとした。それは随分過去の話だが、今は女性法務大臣と肉体関係に進んでいるようなんだ。日本の法律事情を手に入れたいのだろう。まだババアとはいえない女性法務大臣だ。ホストクラブに遊びにも行くだろうし、写真週刊誌も大臣を追うほど暇でもないから世間に知られることも、ない。情報第三部では今の女性法務大臣が珍光年と少なくとも三回はホストクラブで酒を飲んでいるのを調べている。防衛大臣ではないために法務大臣の行動は、深くは調べていないようだ。法務大臣だけでなく他の大臣も防衛機密を知ることは出来ないので、女性法務大臣の夜のホストクラブ遊びに立ち入りすぎることは、しないのだが珍光年が、いつ矛先を防衛省に向けるかが重要ではあるから情報第三部も気が抜けないのだよ。
 それで女性法務大臣も追尾している。女性法務大臣の財布の中には情報第三部が仕掛けた特殊なGPSが入っている。それにラブホテルに入ると撮影が始まるという特殊カメラも、そのGPSには付属している。これが秘密兵器の、ゆえんたるものだ。つまりGPSでラブホテルに入ったと認識されるとカメラが回り始めるのだ。赤外線により財布を透かして撮影が始まる。
時君、質問があるかね。」
「はい、元海一佐。法務大臣の財布の中に、どうやって、そのGPSを入れるのですか。」
「いい質問では、ないな。それは君、大臣秘書を通して、やってもらったりと色々だ。具体的詳細は国防機密だな。君達には教えられない事だ。君達が実行することも、ない事だ。で、そのカメラは女性法務大臣がラブホテルに入ったのを捉えて撮影を始めている。」

 五十歳になったばかりの女性法務大臣、しかし彼女は独身だ。大学の法学部を出て、すぐに司法試験に合格し弁護士となり弁護士事務所で働く事、十年、そこから独立開業して多数の法廷に立つこととなった。少子化、そして人口減少という日本の流れの中で悪い人間も減少したので弁護士の仕事は減っていく。四十にして惑わずなどというのは一人の変哲もない中国人の幻想を、かなり昔の日本人さえ理想の人生としていたが、人の一生に理屈を当てはめようとするのはバカ中国人の思考傾向である。四十にして立つ、でもいいではないか。三十にして立つ、のは男として当たり前なのだが、それは閑話休題(さておき)、この弁護士の桜・摩見子は四十にして立った、立候補したのである、いきなり衆議院議員に。
そして初当選後、東京に出て事務所を構える。彼女のビルの部屋の窓からはスカイツリーが見えた。仕事が終わって男性秘書と事務所内にある彼女のベッドで性交する、というわけにもいかず、かといって外出も好まない彼女、桜摩見子(さくら・まみこ)であるからして男性とは縁のない性活とはなる始末。
 五十になる少し前に桜摩見子は法務大臣に選ばれた。そうなると公設秘書は三人、私設秘書を七人置いて丁度いいほどになる。摩見子の場合は公設、私設の秘書すべてを男にした。
これで男日照りの時代は過ぎたのだ。男でも身近に十人の女を置くのは難しい時代に桜摩見子は十人の異性に取り囲まれて仕事をしているのだ。何度も書くことだが大臣の私生活なんて写真週刊誌も相手にしないものなので桜摩見子はヤリタイ放題、文字通りのヤリタイ放題の私性活となった。このうちの二人の秘書は地元に置いておく。だから摩見子は地元に帰っても最低、二人の自分の言いなりになる男を持っている。これに加えて年収・数千万円という給与の支給でホストも何十人でも買えるのである。が万が一、写真週刊誌に狙われたら、その際は私設秘書が上手く処理するのだ。だから一般人には大臣の夜遊びは知られることは、ない。
これは男子大臣も同じこと。ところが、である。自衛隊情報三部は確実に各大臣を追っている。中国の工作員は日本の大臣すべてに近づくことが彼らの任務だ。ハニートラップ、つまり甘い罠をしかければよい、という訳で男性大臣には美女工作員、女性大臣には美男工作員を近づけていく。
それ以外にも、労働者として日本に入国してきた中国人は工作員といってもよい。それを知らない大手コンビニなどは、ありがたやとばかりに店員として働かせてきた。大量の中国人労働者を認めた時点で中国の工作は成功していたのだ。おそらく売国議員によって提案されたものであろう。その辺りを元海一佐は話す。
「中国から来た人間は基本的に全て工作員と思ってよい。彼らは日本を破壊しに来ている。どこかの田舎者が提案した日中友好など、中国人が喜んでいるだけだ。中国に技術支援した大手電機メーカーは、のちに電化製品、特に白物家電で市場を奪われていった。松の名前がついた電機メーカーだ。ここの創業者は、ある国会議員の要請で中国支援を決めたという。これが数十年後の日本の家電メーカーの没落へと繋がっていく。
それだけではなく日本の大学は防衛大学以外は東京大学でさえ共産思想を植え付けられている。それが日本の貧困を招いている、何故なら大学卒の増大が民間企業の年収低下、大企業さえ収入低下を喜ぶ風潮、そして週休二日制、休日の増大と正に中国にとって笑顔の絶えない日本になっていったのだ。
君達は大学には行っていなかったな?」
と元海教官は流太郎と釣次郎を見る。流太郎と釣次郎は、ほぼ同時に、
「はい、行っていません。」
「よろしい。それで、いい。東京の共産汚染は日本で一番、ひどいものだ。コロナウイルスも日本で一番多く感染した場所だ。それで陸上自衛隊としては春日駐屯地の地下に陸上自衛隊・春日学校を創設、運用している。ここには自衛隊の幹部学校を出た尉官のみを入校させているから、現在の君達は入校できない。
五万とあるという言葉があるが、2020の頃でも中国の工作員、別名スパイは日本に五万人はいた、とされている。
さて簡単な中国工作員の仕事を教えよう。彼らは外食産業で働き始める。目的は収入を得るためではなく日本の外食産業を破壊するためだ。信じられないと思うが福岡市でも安いうどん屋などは閉店してしまった。中国人は安く雇用できると浅はかな考えの経営者は大手電機メーカーにも、いた。彼らは安く働く代わりに日本の企業を壊滅に追い込むのが目的だ。
それで奴らの収入も無くなる、と思うだろうが中国の工作員だから例え働いている日本の会社、店が倒産しても金に困ることはない。奴らは収入を得るための労働を、しにきたのではない。たとえ彼らが工作員でなくても大陸の中国人は、みな共産主義だ。彼らは資本主義を悪だと教えられている。それで資本主義国家は悪だと考えている。実際は、どちらが悪なのかは歴史を見れば分かる。
ソ連共産党の崩壊などでだ。
 少し早いとは思うが明日からは二人で街に出てもらう。諜報活動は机上の御話ではないから。
さっき行った店も工作員の店の可能性がある。週に一度は君達二人の、いずれかに行ってもらう。飲み代は、あらかじめ必要以上の額を渡しておく。
映像でも見よう。情報第三部が手にしている女性法務大臣の桜摩見子のラブホテル盗撮編の映像だ。」
教室の黒板に映像が投射され始める。東京都郊外のラブホテル内が映された。桜摩見子の歩調に合わせて映像は揺れている。
カメラは桜摩見子の財布の中に入っているのだ。
無人のラブホテルで男が金を入れると部屋の鍵が出てくる。
8号室の鍵を手にした男は摩見子の腕を取って部屋に連れ込んでいく。部屋に入るとシャワーを浴びに男は行った。シャワーのある部屋から出て来た男は全裸で、棍棒のような肉茎を天井に向けていた。もちろんは皮は向けている。
 摩見子は男の立派な道具を見ると、
「すばらしく太くて逞しい。わたしも裸になるわ。」
と話すと手早く衣服を脱ぎ、下着姿になる。全裸の珍光年は反りかえって固定したかのような勃起棒とユラユラと揺れる陰嚢を見せながら、速歩で摩見子に近づくと彼女を抱え上げてキスをする。
真面目な彼女は男の秘書と肉体関係を持てなかった。ただ精神的に満足していた。それだけに肉体的に満足させてくれる男が現れて、今、摩見子の下着を剥ぎ取り、荒々しく肉の棍棒を自分の中心に、ねじ込んできた、その快感は彼女の予想以上だった。
快感で朦朧となった摩見子はベッドに仰向けに横たわり、両脚を大きく広げて珍光年を迎え入れている。突如、珍光年は腰の動きを止め、摩見子に聞く。
「コロナウイルスが東京で再び拡大した時に、検察官は逃げたのですね?」
「そう、逃げたわ。拘束されていた人たちを釈放して・・・。ん、腰を動かしてよぅー、はさんだだけでも気持ちいいけど。」
珍光年は摩見子の両手と自分の両手を絡み合わせて、
「やります、やります、その前に逃げた検察官の数を教えてください。」
「数?十人以上かな。東京地検特捜部の検事も逃げたわよ。」
と国会で答弁しなかった内容を今、珍光年に貫かれている桜摩見子は洩らした。珍光年は腰を大きく動かして、一度、摩見子の女の洞窟を深く突くと、彼女は目を閉じて、
「気持ちいいっ。あら、一度だけ?」
「検察庁の庁舎からですか?」
「そうよ。庁舎に救急車が来て、倒れた職員を運んでいったけど、救急隊員はマスクと目にはゴーグルをしていたの。その事が庁内に広まると検察官は庁舎から逃げたのよ。」
「ありがとう。摩見子さんの体は素晴らしい。」
と珍光年は摩見子の耳元で囁くように話すと、彼女の耳にハアーッ、と息を吹きかけ、彼女が両脚をすぼめるようにしたので彼は電撃的に腰を前後にメロディカルに動かし始め、何度も摩見子を絶頂に導いた。
 そこで一旦、映像は停止した。明るくなった教室の教壇で元海一佐は、
「こんな具合に女大臣は日本の報道各社も知らない内容の事実を中国の工作員にベッドの上で話している。それにしても財布の中から盗撮しているのに鮮明な映像だった。これはパソコンで見られる映像ファイルで記録されているので、ここにはコピーされたものが送られている。春日学校の授業でも使われているのを今、君達に見せたわけだ。感想は、どうかね、時君。」
と名指された流太郎は、
「ネットニュースで見たことのある大臣だけに、裸で男に激しく突かれている姿には驚きました。国会での冷静な姿勢からは想像も出来ない乱れた姿でした。」
と興奮気味に答える。元海教官は軽く、うなずくと、
「本池クンの感想は、どうだ?」
「法律の大臣のベッドでの姿には驚きました。大臣の女性器もバッチリと写っていましたね。独身だけに若い体なのかと思いました。」

今日は

 今日は巳の日です。巳の日にして、いい事は幾つもありますが、
芸術のようなものを始めるのもいいらしいし、小説を読み始めるのも
いいと思われます。
それで試し読みをアップロードしましょう。